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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藪田 宏行 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/24/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
 (1) 原子力発電関係団体協議会からの脱会  
 (2) 火力発電所についての知事の発言  
 (3) 海外との交流のあり方  
2 中部電力浜岡原子力発電所の再稼動の是非を問う県民投票
   条例に対する知事意見について  
3 地震・津波対策の充実強化に向けた取り組みについて  
 (1) 国の被害想定を受けた本県第四次地震被害想定の策定  
 (2) 来年度当初予算編成における位置づけ  
 (3) 津波対策の具体的な進め方  
4 沿岸地域と内陸フロンティアの振興策について  
5 交流人口の拡大について  
 (1) 海外誘客の促進  
 (2) 浜名湖花博十周年記念事業  
6 安心して暮らせる静岡の実現について  
 (1) 虐待、いじめのない子供が尊重される社会づくり  
 (2) 健康長寿日本一への取り組み  
 (3) 今後の障害者施策の取り組み  
 (4) 雇用の確保対策  
7 茶業と漁業の振興について  
 (1) 茶業の振興への取り組み  
 (2) 沿岸漁業の資源確保への取り組み  
8 特別支援教育の取り組みについて  
9 全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた教育長の所感と今後の対策について  
10 浜岡原子力発電所におけるテロ対策への取り組みについて



    ○議長(小楠和男君) 質疑及び一般質問を行います。
     通告により、四十六番 藪田宏行君。
           (四十六番 藪田宏行君登壇 拍手)
    ○四十六番(藪田宏行君) 皆さん、おはようございます。私は自民改革会議を代表し県政の諸課題に対する知事の姿勢や県当局の考え方について、知事及び関係部局長、教育長、警察本部長にお聞きします。
     まず初めに、知事の政治姿勢についてのうち、原子力発電関係団体協議会からの脱会についてであります。
     知事は、去る七月三十日に報道陣に対し、突如原子力発電関係団体協議会――いわゆる原発協からの脱会の考えを表明され、八月十日の定例記者会見において正式に脱会したと公表されました。知事は、その理由を原子力の維持を前提とする会の活動とは統一的な行動をとることは困難であるとしました。
     しかし、原発協の活動目的は、規約にあるように安全性の確保に関することや、防災対策の充実強化や電源地域の福祉向上等について国に対し統一的に物申すことにあり、東電の福島第一原発事故のあった福島県を含め原発立地十四道県全てが参加しての要請は、一定の重みがあったものであります。
     また、浜岡原発は、廃止措置中の一、二号機を含め使用済み燃料など機器や施設は少なくとも当面は地域に存在し続ける現実を否定することはできません。
     そこで伺いますが、知事は原発協から脱会した今、県独自で国に対し浜岡原子力発電所の安全対策や地域の福祉向上などについてどのように求めていくのか、お考えを伺います。
     次に、火力発電所についての知事の発言について伺います。
     知事は、先月五日に開催された御前崎港コンテナクレーンの完成式典において、モンゴル産の石炭の輸入に同港を利活用する構想や、近くに浜岡原子力発電所の送電線があり御前崎港周辺では石炭火力発電所の建設の可能性があることについて言及されました。
     余りに突然の話でしたが、東日本大震災以降国内の大半の原発が停止状態にある中、電力は県民生活や企業活動に欠くことができない重要な社会基盤であることから、県内における電力の自給率を高めていく必要性については理解できるところであります。また現状では、火力発電がベース電源の役割を担っている状況にあることは事実であります。
     一方、大規模発電所を立地するためには地元の意向を尊重する必要もあります。浜岡原子力発電所の設置に当たっての歴史を振り返りますと、昭和四十二年に浜岡が候補地として浮上してから昭和四十五年に設置許可がおりるまでの間、地元では安全性や環境問題を初めさまざまな勉強会や先進地視察など、百回を超す会合などが開催されるなど時間をかけて検討され、地元住民や漁業を初め関係者の皆様の御理解、御協力が得られたものであります。また過去には中部電力が清水港で石炭火力発電所の建設を計画したものの、環境面の課題などから実現には至らなかった事例もあります。
     そこで、知事は、御前崎市周辺への火力発電所の建設については県庁内初め関係者とどのように検討されてきたのか伺います。また東京都の例のように、土地を県が提供して火力発電所を誘致していこうとのお考えもあるのでしょうか伺います。
     次に、海外との交流のあり方についてであります。
     ことしの終戦記念日は残念でなりませんでした。大戦において亡くなられた多くのみたまを静かに弔い不戦の誓いをすべきものであると、護国神社での英霊顕彰祭にも参加させていただきましたが、竹島、尖閣諸島における韓国、中国の活動などあり、騒然とする世相の中での慰霊の日でありました。
     さて、本県は中国、特に浙江省との交流はことし節目の三十周年を迎えますが、これまで人的、経済的交流を拡大してまいりました。そうした中、ことしのような多人数による尖閣諸島への上陸という行為は記憶にありません。
     また、ことしの韓国大統領による竹島上陸とその後の我が国首相からの親書の受け取り拒否行為や天皇陛下の訪韓計画に対する発言などは、かつてない対応であり、戦後最悪と言っていいほど日韓関係はぎくしゃくしています。この影響により、韓国忠清南道への九月の県知事の公式訪問は相手方からの申し入れにより延期となりました。我が国の主権を侵害する行為に対しては毅然とした態度が必要であり、本来我が県から状況が落ちつくまで訪韓を延期する申し入れをしてもよかったくらいに思います。
     事件事故が多発している現状や、多額な予算もかかる交流をより有意義なものにするためには、しばらく冷却期間を置いたほうがよいように思いますが、このような国家間の外交問題が生じている国との交流のあり方について、知事はどのようなお考えを持たれているのかお伺いします。
     次に、中部電力浜岡原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票条例に対する知事意見についてであります。
     先月の二十七日に、浜岡原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票条例の制定を県知事に求めるための署名活動を行ってきた市民団体の皆さんが県庁を訪れ、署名簿とともに条例制定の本請求を行いました。
     折しも、この日は知事の定例記者会見が開かれ、知事はそれまでの発言から一転したともとれる発言をされ、署名活動をリードされてきた鈴木氏を含め各方面において驚きをもって受けとめられました。そして十九日の知事提案説明の中では、条例案の不備を指摘しつつも賛意を示されました。
     これらを踏まえ、論点を五点に絞って伺います。
     知事は常々、浜岡原子力発電所の再稼働については安全性が第一であると発言されてきました。五月十四日の定例記者会見でも、浜岡原発は津波対策が終わっていないし、オフサイトセンターや使用済み燃料処理の問題もあり今は動かせる状況になく、住民投票をやる前にやることがあるだろうとの趣旨も発言されています。おおむね七、八割の人が再稼働に否定的とのマスコミ報道もされる中、知事はどのような経緯でこの条例制定について賛意をつけるに至ったのか伺います。
     また、条例の第二十六条に投票結果の尊重とありますが、仮に投票を実施した場合どのような結果が出ても知事は尊重するつもりでいるのかお伺いします。
     次に、直接民主主義と間接民主主義のあり方についてはさまざまな議論があるところでありますが、知事はこの問題を通してどのようなお考えをお持ちなのか伺います。
     次に、知事の発言が一転した理由であります。
     知事は、これまで、安全性の判断ができない以上再稼働の判断については住民投票に委ねられないというお考えではなかったかと思います。それがなぜ今回意見として住民投票の実施に賛意を示したのか、知事のお考えを伺います。
     八月二十七日の記者会見を受け、翌日の新聞に静岡県立大学教授のコメントが、「政治的思惑見える」との表題とともに載っていました。それには、「現時点で一般県民に原発の再稼働の是非を問えば『ノー』と答える人が多いのは当たり前で、県民投票を行えば結果は明白」で、「その中で知事が賛成を示したのは、知事選を見据えた政治的な思惑が働いたようにも見える」、「議会戦略を描かないまま賛成したのであれば、一つのパフォーマンスとして見ざるを得ない」とまで言われております。
     また、十九日の初日の本会議後に、知事は記者団の質問に答え、当日の市民団体の意見陳述が反原発、再稼働反対の表明のようだったと指摘し、条例案の多くの不備に対しては反省の弁がない、多くの人を巻き込んだだけに謙虚であってほしいと批判したとの記事が新聞に出ていましたが、いつの時点で条例案の不備について知事は最初にお知りになられたのでしょうかお伺いします。
     次に、地震・津波対策の充実強化に向けた取り組みについてのうち、国の被害想定を受けた本県第四次地震被害想定の策定についてであります。
     八月二十九日、内閣府からマグニチュード九クラスという南海トラフ巨大地震による津波高などとともに、人的・物的被害の推計値が発表されました。その内容は沿岸二十一市町のうち十市町で平均の津波高が十メートルを超えており、地震・津波による人的・物的被害は本県の被害が最も大きくなる場合に死者約十一万四千人、建物全壊約三十二万棟という途方もない数値となりました。
     県では、これまでも国が検討している南海トラフ巨大地震の想定結果と整合を図りながら第四次地震被害想定を策定すると述べてこられましたが、今回発表された想定とどう整合をとり、どのような方針で策定するのか伺います。
     また、県の第四次地震被害想定では、住民の目線に立ちそれぞれ地域の被害想定を手にとって確認できるような工夫が必要になります。被害を少しでも減らすためには、これまで以上に住民の自助、共助など自発的な避難行動などに負うところも大きくなると思います。そのために県はどういう取り組みをするのかあわせて伺います。
     次に、来年度当初予算編成における位置づけについてであります。
     県においては、例年十月の中旬に各部局に対し来年度の予算編成方針を示しています。
     昨年の編成方針では、四百十億円の財源不足を解消するため一〇%の効率化が必要であるとする一方で、めり張りをつけた予算編成を目指す姿勢がとられました。今年度当初予算にあわせて公表された財政の中期見通しを見ると、来年度も基本的な姿勢としてはさらなる効率化が求められることとなると思います。
     しかし一方で、第四次被害想定が示される来年度においては、地震対策、津波対策にかかわるハード事業、ソフト事業をこれまでにも増して加速して実施していく必要があります。ハード事業については完成まで時間を要します。また県の投資的経費の予算は平成十年度の五千五十五億円をピークに年々減少し、今年度当初予算は一千六百九十四億円と三割程度となっています。しかし地震の備えのためには、早期にしかも集中的な投資が必要であります。
     そのためには、地震対策、津波対策について予算の重点配分をしていくような仕組みを検討すべきと思いますが、知事の来年度当初予算に臨む考えを伺います。
     次に、津波対策の具体的な進め方について伺います。
     津波被害については、予想をはるかに上回る甚大な被害想定により、津波に対する各地域における関心がより一層高くなっております。
     そのような中、浜松市沿岸域の防潮堤整備資金として民間企業から貴重な寄附金の申し出があり、これを受け六月定例会では、我が会派が津波対策に対する備えを進めるための基金設置に関し提言したことを受け今定例会に基金設置条例が諮られており、まさに今後広く県民に呼びかけていくことについては賛同するものであります。
     さて、津波対策の具体的な進め方については、知事は八月十日の定例記者会見の中で、寄附金を受けた地域については整備水準を高くするのはやむを得ないというような発言をされたかと思います。
     そこで、知事は今後県全域の津波対策の整備水準を含めどのような考え方で進めていくつもりなのか、またその際に設置する基金はどのように活用していくつもりなのか伺います。
     次に、沿岸地域と内陸フロンティアの振興策について伺います。
     内陸のフロンティアを拓く取り組みは、沿岸域においても内陸部と一体となって災害に強い地域づくりを進めていくことがこの取り組みの本旨であるとの説明が、六月定例会であったところであります。
     本県は長い海岸線を有し、沿岸域を中心に商工業の基盤や生活の場が集中しています。しかし東日本大震災や南海トラフ巨大地震の津波高の公表などにより、企業や住民が内陸部へ移転する動きが見られるようになり、地価も下落傾向にあるなど厳しい状況が続いています。
     もちろん、県民の生命財産の安全・安心が第一であり、企業や住民が内陸部へ移転する自由を制約するものではありません。しかしながら沿岸部の産業基盤や社会資本は本県にとって重要なものであり、厳しい状態が続いている沿岸域の都市部の取り組みを一刻も早く進め、県民の安全・安心を守ることも県の大きな役割だと考えます。
     そこで、まず県が、沿岸域の市町が置かれている状況をどのように把握し認識した上で、全体構想に盛り込まれた施策を速やかに実行するため、今後どのように進めていこうと考えているのか伺います。
     次に、交流人口の拡大についてのうち、初めに海外誘客の促進についてであります。
     国の平成二十四年版観光白書によると、平成二十三年三月に発生した東日本大震災により平成二十三年の訪日外国人客数は六百二十二万人まで落ち込み、過去最高の平成二十二年の七二・二%にとどまりました。
     しかしながら、震災直後の平成二十三年四月一月の訪日外国人客数が全体で約三十万人と震災前年同月比では三八%という大変少ない状況であったのに対し、ことし三月には六十八万人と、震災前の平成二十二年との比較でもやっと九五・六%となりました。産業としての観光はあらゆる産業に波及する総合的な産業であり、経済発展に与える影響が大きいことから、国は観光の裾野の拡大を図るため、訪日外国人旅行者数を平成二十八年までに千八百万人にする目標を掲げています。
     本県においても地域経済をより活性化させるため、国内外を問わず観光誘客は重要な役割を担っていると認識しております。
     そこで、近隣諸国との厳しい政治状況が続いてはいますが、県は外国人観光客の誘客について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、浜名湖花博十周年記念事業についてであります。
     平成十六年度に浜名湖ガーデンパークを会場に開催された浜名湖花博は、全国から五百四十五万人の来場者をお迎えし、花や緑の産業や文化の振興はもとより二千五百億円の経済効果を生み、周辺地域に大きな経済効果をもたらしたと言われております。
     浜名湖ガーデンパークは、現在でも年間約百万人が訪れるなど気軽に花と緑を楽しめる公園として県民に親しまれております。また花博に参加したボランティアが、花博を契機に地域における緑化活動の推進をするなど花や緑にかかわる人材の育成が図られてきました。
     一方、地元からも、花博開催から十年目の節目となる平成二十六年に地域の活性化に寄与するイベントの開催が求められてきたとお聞きしております。
     こうした中、県では平成二十六年度の春に浜名湖花博十周年記念事業と全国都市緑化フェアの同時開催を計画し、今年度は実施体制を整備し基本計画を策定するとのことですが、どのような記念事業を目指すのかお伺いいたします。
     次に、安心して暮らせる静岡の実現についてのうち、虐待、いじめのない、子供が尊重される社会づくりについてお伺いします。
     厚生労働省の発表によると、平成二十三年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待の相談対応件数は五万九千八百六十二件と過去最多を更新し、本県においても静岡、浜松両政令市を含む相談件数は千四百三十五件と三年連続で千件を超え、過去最多となっております。
     児童や家庭が抱える問題がますます多様化、複雑化していく中、虐待を未然に防ぎまた少しでも早く発見し対応するためには、児童相談所や市町など関係機関の取り組みとともに、地域の方々により子供たちを見守り家庭を支えていくという取り組みも大変重要であると考えております。
     また、平成二十三年度における本県のいじめの認知件数は公立の小中高等学校及び特別支援学校を合わせて二千九百八十九件で、前年度より三百七十四件減少しており、三年連続で減少傾向にあるとのことです。しかしいじめは周囲から大変見えづらいことから、認知件数の減少を額面どおり受け取るべきでなく、いじめはどの子供にもどの学校でも起こり得るという認識のもと、学校の教員を初めとした子供を取り巻く人たちにはいじめの早期発見に努めていただきたいと思います。
     今、こうしたいじめや虐待を初めとする子供に対する人権侵害やひきこもりが社会問題として顕在化し数多く報道されているところであり、関係機関が総がかりで取り組んでいかなければならない問題でありますが、私はこうした問題の背景には、近年核家族化の進展などに伴い各家庭における子育てに対する不安や負担感が大きくなるとともに、地域の連帯感や人間関係が希薄化し地域のきずなが弱くなってしまった結果子育てをする家庭が孤立してしまっている、そうした状況もあるのではないかと思っております。
     いじめ、虐待などの子供を取り巻くこうした問題を解決していくためには、かつては当たり前のように子供たちに向けられておりました多くの地域の人の手、支えを取り戻し、新たな地域社会のつながりを構築していくことが必要ではないかと考えます。
     地域の子供は地域で育てるというのが基本的な考えであると認識をしております。子供は地域の宝であり、家庭や学校だけでなく地域でも、さらには行政も含めて子供が尊重される社会づくりに取り組むべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。
     次に、健康長寿日本一への取り組みについて伺います。
     去る六月に、厚生労働省が発表した都道府県別健康寿命において、本県は女性は七十五・三二歳で第一位となり、男性も七十一・六八歳で第二位となりました。県独自の試算では全国で男女総合一位という結果が報道されております。このことは高齢者の自助努力とともに、本県が健康づくり対策に長年取り組んできた成果であるとも考えております。
     現在、ふじのくに健康増進計画において、健康寿命の延伸と生活の質の向上を目標に生活習慣病の予防対策等による健康づくりを進めており、メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍は減少傾向にありますが、県民の死亡要因のうち脳血管疾患などの生活習慣病が死亡要因の約六割を占めております。さらに好ましい生活習慣をあらわすとされる一日の食塩摂取量、野菜摂取量、運動習慣のある人の割合や平均歩数などは、国の示す目標水準に達しておりません。
     このような課題も残ることから、健康寿命日本一をこれからも維持しさらに延ばしていくためには、さらなる努力が必要であると考えます。
     また、平成二十四年四月一日現在の高齢化率は二三・八%と、過去最高を記録し続けております。
     そこで、今後県内でもいまだ残る生活習慣上の課題に加え高齢化が急速に加速していくことも踏まえ、県は健康寿命をさらに延伸していくため県民の健康づくりにどのように取り組んでいくのか。また健康寿命を延ばす上では高齢者の生きがいづくりも重要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、今後の障害者施策の取り組みについて伺います。
     県内には、障害のある方が約十九万人おいでになりますが、これは県民の二十人に一人ということになり、障害をお持ちであることは決してまれなことではありません。
     国では、昨年八月に障害者施策の理念法である障害者基本法を抜本的に改正しました。
     この改正では、法の目的が障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現に変更されるとともに、国や地方公共団体が行わなければならない基本的施策が拡大されました。また障害者の定義が拡大され、これを受けて、この六月の障害者自立支援法の改正においても障害福祉サービスなどの対象に平成二十五年度から新たに難病患者が加わることになりました。
     このように、平成十八年度に障害者自立支援法が施行されて以来我が国の障害のある方に対する施策や制度は目まぐるしく変化しております。
     障害のある方を支援する制度が改善されていくことは大いに歓迎すべきことでありますが、共生社会を真に実現するためには、当事者の意見を尊重しつつどこに住んでいても障害福祉サービスなどが必要なときに確実に受けられるようになることが今後の課題であると考えます。
     県は、施策や制度の変化に的確に対応し、障害のある方が障害の有無にかかわらず住みなれた地域で豊かに安心して暮らすことができる魅力あるしずおかの実現に努めていかなくてはならないと考えます。
     そこで、今後障害者施策の基本的な方向性をどこに置いてどのように取り組んでいかれるのか、県の考えを伺います。
     次に、雇用の確保対策についてであります。
     雇用は県民生活の基本であり、雇用の量と質の確保は豊かな県土づくりに直結するものであります。
     本県では、二つの施策を柱とする雇用創造アクションプランを策定し、完全失業者数で三万人の減少を目標に掲げ、積極的な取り組みを実施しています。
     この取り組みの特徴としては、産業界を初め関係分野が広範に連携協力し、地域ごとに推進組織を設けるなどきめ細かな情報収集や取り組みの広がりに配慮している点でありますが、関係業界が一つの目的のもとに一堂に会して議論し取り組むことそのものに大きな意義があると考えます。
     先ごろ日銀静岡支店が発表した最近の本県の金融経済の動向によりますと、県内景気は足踏み状態が続いており、雇用・所得環境は改善の動きが緩やかになっている状況と伺っております。
     そこで、現在のプランの進捗についての所感と今後の取り組み方針について県の所見を伺います。
     次に、茶業と漁業の振興についてのうち、茶業の振興への取り組みについて伺います。
     本県は、名実ともに日本の茶業を牽引する地位を築いておりますが、近年茶業を取り巻く環境は大きく変化しております。
     先般、総務省が公表した家計調査では上半期の緑茶購入量は前年比一〇%減と、リーフ茶の消費は減少しております。近年の消費者の嗜好の多様化や流通・消費構造の変化に加え、昨年の放射能風評被害でお茶の消費の減少につながったとも考えられます。
     一方、生産に目を転じると全国の四〇%を占め日本一の茶産地であることは言うまでもありませんが、九州などのライバル産地の台頭に拍車がかかることも懸念されます。茶業経営の柱であり収益の七、八割を占める一番茶の価格推移を見ると過去十年間で三〇%程度低下しており、茶生産者の経営収支は年々厳しくなっていると言えます。このような状況の中、御前崎での新しい味わいの品種「つゆひかり」を活用した新商品開発など県内の各生産地ではさまざまな取り組みが行われております。
     また、県茶業会議所の榛村会頭は、お米百キロ、お茶二キロ、お魚六十キロの食事を基本とする和産和消路線を提唱していますが、お茶の消費を米や魚はもとよりさまざまな食材と一緒に官民一体となりPRしていくことも大切だと思います。
     本県は現在生産から流通、消費とさまざまな課題に遭遇し、大きな転換期に差しかかっていると言っても過言ではありません。今こそ静岡茶の復権に向け、県を初め関係団体等が、共通の目標に向かい戦略的に茶業の振興に取り組むことが重要であると考えます。
     そこで、このような状況を踏まえ県はどのように茶業の振興に取り組むのか、所見を伺います。
     次に、沿岸漁業の資源確保への取り組みについて伺います。
     本県は、沿岸から沖合、近海、遠洋まで漁業が盛んで水産王国とも言われてきました。そうした中、沿岸から沖合では、いそや岩礁が発達した伊豆半島、日本一深い駿河湾、広大な砂浜の遠州灘、海水と淡水がまじり合う浜名湖など変化に富み黒潮の恵みも受けた魚の宝庫で、さまざまな魚介類が水揚げされています。これらの豊富な魚介類は食を支える豊かな食材となっており、本県は平成二十二年の漁業、養殖業の生産量が全国六位、同じく水産加工品の生産量が全国三位で国内有数の水産県であります。
     しかしながら、本県の沿岸での漁獲量は近年低位で推移しており、水産業の健全な発展を促進するためには水産資源の増大を図る積極的な取り組みが必要であります。
     このため、本県では水産資源の維持増大に積極的に取り組んでいるところでありますが、放流用種苗については主として御前崎市内の温水利用研究センターで生産しております。温水利用研究センターは浜岡原子力発電所の温排水を有効利用して種苗生産及び養殖を行ってきた施設であり、本県の沿岸漁業資源の維持増大に寄与してまいりました。本県漁業が多様で魅力ある水産物を今後も安定して供給していくためには、水産資源の確保に係る息の長い取り組みが重要であり、栽培漁業の推進は必要不可欠なものと考えます。
     そこで、温水利用研究センターでの種苗生産の現状と種苗放流の効果及び今後の栽培漁業への取り組みについてお伺いします。
     次に、特別支援教育の取り組みについて伺います。
     平成十九年四月、特別支援教育がスタートして以来支援が必要な幼児・児童・生徒に対して個別の支援計画を作成するなど、個々の教育的ニーズに対応した特別支援教育の取り組みが進んでまいりました。
     しかしながら、特別支援教育の一つの柱となる特別支援学級が高等学校にはいまだ設置がされていません。障害のある生徒が地域で学ぶという観点からも高等学校に特別支援学級を設置することが望ましいと考えますが、教育長のお考えを伺います。
     また、児童生徒全体が減少する中、特別支援学校の児童生徒数は大きく増加しており、特別支援学校の大規模化、施設の狭隘化が深刻な問題となっております。
     こうした状況に対し、静岡県は平成二十三年三月に静岡県立特別支援学校施設整備計画を策定し、計画的に取り組まれていると承知しております。
     この中で、袋井特別支援学校と藤枝特別支援学校の大規模化、施設狭隘化及び児童生徒の通学負担の軽減のため設置を予定している掛川地区本校と榛南地区本校については、平成二十七年度開校予定にもかかわらず具体的な計画が余り見えてきておりません。この地区の児童生徒及びその保護者からは、具体的な計画が伝わってこず不安であるという声が聞かれます。
     ぜひとも早期に計画を進めていただきたいと思いますが、特別支援学校整備計画の進捗状況についてあわせて伺います。
     次に、全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた教育長の所感と今後の対策について伺います。
     小学六年と中学三年を対象に、ことし四月に実施された全国学力・学習状況調査の結果を文部科学省が八月に公表しました。実施教科は、従来の国語、算数・数学に今回理科が追加されました。新聞を見ますと、本県は小学生において全教科で全国平均を下回っていました。県別の平均正答率を合計して順位をつけると三十九位と低迷しております。一方中学生においては全教科で全国平均を上回り、順位で八位という成績を上げています。小学生の成績が思わしくないのはどうしたわけでしょうか。
     また、理科に関する全国的な傾向として、小学生から中学生にかけて理科離れが進む実態が浮かんできました。科学技術立国を目指す我が国にとって理科離れはゆゆしきことであります。本県の理科に関する状況にも全国と同様の傾向が見られ、また小学生の平均正答率は全国平均に比べて二・八ポイントも低い結果となっています。
     こうした学力・学習状況調査の結果を踏まえ、今後の本県の学力向上に向けての対策について教育長の所見を伺います。
     最後に、浜岡原子力発電所におけるテロ対策への取り組みについてであります。
     県警は、国際テロリストから攻撃を受ける可能性の高い重要防護対策施設として中部電力浜岡原子力発電所に対する警戒警備を強化し、テロ対策として日夜原発の警戒活動に従事していただいております。
     さて、昨年三月十一日、宮城県沖を震源とするマグニチュード九・〇の巨大地震で発生した大津波は福島第一原子力発電所にも甚大な被害を与えました。この津波被害で注目すべき点の一つは危機管理に対する脆弱性であります。
     こうした中、国も警察の警備増強を明示するなど原発テロ対策の強化を表明したほか、静岡県警本部長もことし五月の新聞インタビューにおいて同様に浜岡原発のテロ対策の強化も重点課題として述べられています。
     そこで、浜岡原子力発電所におけるテロ対策について、関係機関との連携を含めた県警の取り組みについて警察本部長にお伺いし、ひとまず質問を終わります。(拍手)
    ○議長(小楠和男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 藪田議員にお答えいたします。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、原子力発電関係団体協議会からの脱会についてでございます。
     この協議会は、原子力発電所が立地あるいは立地予定の十四の道県で構成されておりまして、静岡県も昭和四十九年の発足当時から参加してまいりました。御案内のように国は原子力政策を進めているという環境の中で、それを前提に原子力発電所の新規立地が進みまして、その影響を受けて地域の福祉が向上するというそうした時代には、一致して地方の意見を言うことに意義があったものと評価しています。
     しかし、昨年の福島第一原子力発電所の事故後、原子力発電の是非が議論されるに至っているのが現状でございます。原発政策を推進するという、いわば与党、野党を超えた国の政策も今は揺らいでおりまして、脱原発の閣議決定をする直前にまでいくような状況が現実です。そしてまたそれぞれの電力会社――原発立地は九つの電力会社が持っているわけですけれども――そうした電力会社と立地地域で原子力発電への依存度がばらばらです。そして地域経済の状況もそれぞれ違います。こうした中で各道県が一致する方向性を見出せないというのが現実です。すなわち前提条件がもう崩れた時代に入ったということです。ですからこの協議会の存在理由が従来のものとはもう異なるということでございます。
     我々の中部電力管内に浜岡原子力発電所が立地しておりますけれども、これは国が想定東海地震での影響を懸念して停止を要請いたしました。そのために我々にとって関心のあるのは、この中部電力の管内、浜岡原子力発電所の安全性です。そしてこの協議会も冒頭で安全性をうたっておりました。しかし御案内のように、前回この協議会は原発の維持を確認するように要請しようといたしまして、それは本来の意図と本来の趣旨と異なるということで異議を申し立て、何の慰留もなくそのまま脱会が認められました。というのは、同じような意見を持っている構成知事さんがいらっしゃるからです。
     まずは、浜岡原子力発電所の安全性の対策の実施また安全性の確認が必要です。オフサイトセンターが二・三キロメートルのところに位置しているというのは本県独自の事情でございますから、これは仮に事故が起こった場合には現地における本部にはなり得ませんので、こうした問題については本県独自に言うべきことだと存じます。
     それから、議員御指摘の使用済み燃料についてでございますけれども、使用済み燃料はとりあえずは燃料プールに保管することになっておりますけれども、現在どれぐらい余裕があるかとなれば一千体以下ですね。一号機と二号機のものを三号機、四号機、五号機に移しかえるとなりますと、今それを入れないで二千数百体の余地がございますけれども、実はそれを移さなくちゃいけませんので、そうすると一千体を切ります。そうすると、再稼働する、言いかえるとその後定期点検というのがございます。定期点検というのは燃料の入れかえですから、入れかえるべきところがもうなくなってしまうというのは本県独自の事情で、こうしたことをどうしますかということを問わねばならないということで、協議会が全体でいろんな要請をするという時代ではもうありません。
     私どもといたしましては、原子力発電所の安全確保のため、これらの課題につきまして事業者に適切な対策の実施を求めてまいります。加えて国に対しましては、福島第一原子力発電所の事故の新たな知見を踏まえた事業者への厳正な指導を原子力規制庁を通してしていただくように要請してまいります。
     福島第一原子力発電所の事故の後、その影響が広範囲に及びましたことから、原子力発電の問題は立地自治体と国との問題だけにとどまらず全国的な議論が求められています。こうした折、全国知事会におきましても、昨年度電力消費県も含めた原子力発電対策特別委員会というのが設置されました。議論を進める体制が現在整ったところです。私としましては、必要に応じてこの特別委員会などを通しても国に対して要請を行っていこうと思っています。
     次に、火力発電所についての私の発言についてです。
     東日本大震災以後、原子力発電が停止する中、火力発電が主要電源として電力供給の多くを支えているのは議員も御案内のとおりでございます。中でも石炭火力は発電コストが最も低うございます。例えば石油と比べて半分のコストで済みます。大規模な電力を供給できる有力な電源として、現在改めて期待が高まっているところです。
     具体的な発電所の建設に当たりましては、議員御指摘のとおり地元の意向を尊重するのは当然重要です。その前に行われる立地の検討に当たりましては、燃料となる石炭、またその石炭を荷揚げする港、そしてまた発電所の適地、あるいは発電された電力を利用するための送電網、こうしたことを検討しなくてはなりません。
     例えば、石炭の確保につきましてはもう既に昨年の夏に中部電力の幹部とともにモンゴルに出向きまして、そしてモンゴルの担当大臣から直接に静岡県のほうに石炭を輸出したいと、検討してほしいという御依頼がございました。そして昨年の秋にはサンプルが五つ持ってこられまして、それを中部電力のほうに私のほうからお渡しをして、その検査結果がことしの春には終わっています。そしてこの石炭をどのように運ぶかという試験輸送をこの七月から開始しているというようなことでございまして、こうしたこと一つをとってもそうですが、決して突然に出てきたような話ではございません。
     それからまた、送電線につきましては仮にも中部電力以外のところがつくるというふうにいたしますれば、そのときからすぐ発送電の分離の問題が出てきます。ですからこうした問題は常々考えておかねばならないということでございます。
     ですから、電力の安定供給が使命となるはずの電力会社――中部電力が今の我々にとっての電力会社でございますけれども、三百六十万キロワットの送電線が全く機能していません。送電する方向に機能するのではなくて、四千四百人の方々が今働かれているわけですが、その方たちの生活、仕事を支えるために使われているということで、電力会社としての体をなしてないというのが浜岡における現状でございます。
     こうした中で、八月二十八日、原子力経済性等検証専門部会を開催しました。これはもう四回目の部会で全部オープンになっています。ジャーナリストも参りますし民間の方も来られます。その中で、石炭火力の長所、課題、特にCO2排出量の問題等について、国内における石炭火力出力シェア第一位の卸電気事業者である電源開発――ジェイパワー、また石炭火力として国内最大出力を誇る碧南火力発電所を運営する中部電力等を交えて、有識者等によって多角的に議論したところでございます。
     火力発電所の立地につきましては、地域の皆様の意向も踏まえ、進めることが大前提でございますが、今後とも電力の安定供給に向けた電力会社の動きに対しましては、できる限り御協力をしてまいりたいと考えております。
     次に、中部電力浜岡原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票条例に対する知事意見についてです。
     私は、浜岡原子力発電所につきましては安全性を確保することが大前提であり、それが担保されない限り再稼働はあり得ないと一貫して申し上げてまいりました。また浜岡原子力発電所は政府の要請を受けて運転を停止しましたので、安全性の確保を最優先とした中央政府は判断をするという責任も負っております。さらにオフサイトセンターの移転、使用済み核燃料の処理方法など課題のあることも一貫して申し上げてきたわけでございます。
     この私の考えは、県民投票条例制定の署名活動が開始された以降もさまざまな機会にこのテーマが取り上げられるたびにお話を申し上げて、報道機関にも何度も取り上げていただきましたので、県民の皆様にはこの姿勢は十分に伝わっていたものと考えます。
     しかし、なお県民の皆様方が自分で意思を表明したいというこの署名の結果を見ますと、請求に必要な法定数を大きく上回る十六万五千人余りの数に達しました。これは皆様方がみずから主体的に意思を表明したいという強い思いのあらわれであります。絶対数では東京都、大阪とは比べものにならないぐらい低いですけれども、この法定数との割合でいけば大阪で三割強ぐらいでしょう、一三〇%。東京で一五〇%ぐらいじゃないかと思います。うちは三〇〇%ですからかなり多くの方々が割合としては署名をされたということが言えます。
     条例案には法制度上の多くの問題点があります。県民投票を実現させるためには適切な修正が不可欠です。しかしこのことをもって、地方自治法で規定されている直接請求の権利を奪ってしまうのは妥当ではないと考えます。そうしたことから賛意を表明するに至ったわけでございます。
     投票が実施された場合は当然その結果を尊重してまいります。再稼働を是とした場合でありましても、浜岡原子力発電所につきましては原子力規制委員会による審査、本県の防災・原子力学術会議、分科会も含めてでございますけれども、これらを中心とした検証など安全性が確認された上で対応すべきであると。これを申し上げた上で署名活動がされ、そして現在それを御審議いただいているということでございますので、この姿勢のもとで御尊重申し上げるということです。
     なお、条例制定請求につきましては、地方自治において議会の解散請求や地方公共団体の長の解職請求などと同様に、間接民主制を補完して住民自治を図るための重要な手段であると考えています。
     条例案の法制度上の不備を知った時期についてお尋ねでございますが、署名収集中にもその実施に際して課題があるとの報告は受けてはおりましたが、私が実際に条例を見たのが八月二十七日か二十八日です。そしてその日のうちに、その週末までに、たしか月曜日か火曜日に見たと存じますが、問題点を全部洗い出してくださいと、そして論点を明確にして審議ができやすいようにそういう環境を整えてくださいというふうに指示をしたというのが経緯でございます。
     次に、地震・津波対策の充実強化に向けた取り組みについてのうち、まず国の被害想定を受けた本県第四次地震被害想定の策定についてであります。
     先月、国が発表いたしました南海トラフの巨大地震の被害想定によりますと、本県の被害は最大で約十一万人の犠牲者が予測され、多くは津波によるものであり深刻な内容です。
     県の第四次地震被害想定の策定に当たりましては、国が発表した最大クラスの地震・津波と約百年から百五十年の周期で繰り返し発生している地震・津波の双方について被害を推計してまいります。
     具体的には、国から提供を受ける地震や津波の断層モデルのほか地形や地盤の基本的なデータに各市町から御提供いただいた詳細な建物データなどを加えて使用することによって、国との整合を図りながら本県の実情を的確に反映した被害想定を策定するという段取りでございます。
     想定される津波による甚大な被害を軽減するには、ハード対策としての防潮堤などの施設整備に加えて、議員御指摘のとおり県民の皆様の自発的な早期の避難行動などのソフト対策が不可欠となっております。
     昨年九月に県独自で策定いたしました津波対策アクションプログラム短期対策編の中でも、ハード・ソフトを車の両輪とした津波対策を掲げておりまして、その充実強化に取り組んでいるところでございます。
     この夏には焼津市と吉田町で津波避難施設が実際に使用できるかどうかの調査を行ったところでございます。今後全県に範囲を広げて、津波避難施設の実態把握と速やかな改善を進めてまいります。
     さらに、第四次地震被害想定で明らかになった津波浸水想定区域などの結果につきましては、住民の皆様がみずから確認できるようにインターネット等で情報を提供してまいります。加えて地域の海抜や避難場所、避難方向を表示する津波避難の見える化を推進することによりまして、地域住民の皆様の自発的な避難行動を促して津波による被害の軽減を図ってまいります。
     続きまして、津波対策の具体的な進め方についてであります。
     津波対策の基本的な考え方は、東日本大震災を教訓に約百年から百五十年の周期で繰り返し発生する比較的頻度の高い津波、いわゆるレベルワンに対しましては海岸防潮堤の施設整備によって防御することにしています。また最大クラスの津波、レベルツーに対しましては、粘り強く効果を発揮する防潮堤への改良や道路・保安林のかさ上げ等に加えまして、住民の避難体制の整備や土地利用の誘導などハード・ソフト施策を総合的に組み合わせた多重防護によって対応することとしています。
     これまで、ふじのくに津波対策アクションプログラム短期対策編に基づきまして河川水門の整備や海岸防潮堤、河川堤防のかさ上げを前倒しして実施するとともに、公共施設における避難階段、避難タワーの設置などできることから対策を進めてまいりました。
     これからは、静岡県第四次地震被害想定の策定とあわせまして県内全域の河川、海岸、港湾、漁港における津波対策をふじのくに津波対策アクションプログラム中長期対策編にまとめ上げ、海岸防潮堤等の整備を進めてまいります。
     なお、浜松市沿岸域の防潮堤整備につきましては第四次地震被害想定を踏まえるとともに、寄附者の思いや浜松市、地域住民の皆様の御意向を十分に尊重しつつ、周辺への影響や被害軽減効果、景観、環境などにもしっかり配慮することとしております。
     いずれにいたしましても、施設整備には多大な費用と時間を要することから、本議会にお諮りしている基金を活用することにより津波対策施設等の計画的な整備に鋭意取り組んでまいります。
     次に、安心して暮らせる静岡の実現についてのうち、虐待、いじめのない子供が尊重される社会づくりについてであります。
     まず、いじめは許さない、いじめはひきょうであるということでございます。
     弱い者いじめをしてはいけない。強い者は弱い者を助けねばならない。みずからの強さは相手の弱さを補うために使うべきものであるということを徹底すべきであると考えます。いじめをなくすには、事前にいじめが起こらないように、あるいはいじめが大きな悲劇に立ち至る前に感知する仕組みを社会全体に構築する必要があります。
     学校任せではもうぐあいが悪い状況だと。議員御指摘のように地域の教育は地域でやっていくと。地域の子供は地域で育てるという姿勢を持つことが今ほど必要とされている時期はないというふうに存じます。
     また、児童虐待もあってはならない、許されない行為です。この増加に対しては大きな危機感を抱いております。
     このため、県では学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置いたしまして、いじめの早期発見と適切な対応に取り組むとともに、親の育児負担感や社会からの孤立感を解消するため地域子育て支援拠点の整備や民間の子育て支援団体のさまざまな活動を積極的に御支援申し上げ、児童虐待の防止に努めているところでございます。
     人間は一人一人がかけがえのない存在でございます。お互いのとうとさを認め合い、思いやる心を持って支え合いながら生活していくことが、いじめや虐待の防止につながるものと考えています。
     静岡県では、県民一人一人がお互いに尊重し合うことを暮らしの中の静岡の文化とする、そういう取り組みをふじのくに人権文化推進プランとして強力に推進しているところです。
     これからも、行政や学校はもとより子育て経験者等の地域住民や民間団体、自治会などが一体となって子供や子育て家庭を日常的に見守り、思いやりを持ってともに支え合う地域づくりに全力で取り組んでまいる所存でございます。
     次に、茶業と漁業の振興についてのうち、茶業の振興への取り組みについてでございます。
     これまで、県議の御前崎の「つゆひかり」、あるいは牧之原の「望」など味や香りに特徴のある各産地の銘茶づくりや、味、形、色、香りに特色のある中山間地域の銘茶ふじのくに山のお茶百選など静岡茶のブランド化を進めています。
     本年八月から県茶業研究センターに導入いたしましたのは発酵茶製造施設でございますが、これを既に六十九人の生産者が技術習得や商品開発に利用していただいております。これによって、付加価値の高い新たな静岡型発酵茶づくりの取り組みが進められるものと期待しています。
     さらに、生産者や茶業関係団体と一丸となりまして、商談会の開催、都内の茶専門店の訪問等による一層の販路開拓、風評被害の払拭を図っているところです。今後は新しい取り組みとして東京、名古屋、大阪などの大消費地のスーパー、百貨店などで試飲や販売を行うなど静岡茶の魅力を広め、これまで以上に店頭に並ぶように積極的に売り込みを図ってまいります。
     十一月に掛川市で開催する運びでございます第六十六回全国お茶まつりでは、お茶の機能性、効用を広く情報発信するため専門家による最新の健康増進効果の研究成果を発表するシンポジウムを開催いたします。
     また、東京から消費者を茶園に招くツアーを実施するとともに、榛村さんの言われる和産和消路線として日本型食文化の魅力を発信するため第九回お米日本一コンテストを同時開催し、お米と静岡茶を一体的にPRしてまいります。
     こうした取り組みに加えまして、みずからが農地を借りて茶園の共同管理や野菜などを加えた複合化に取り組む茶工場を支援してまいります。さらに栽培や製造に要する生産コストを大幅に削減するための方策についての調査研究を進めるなど茶農家の経営安定を図ってまいります。
     市町や茶業関係者と一体になりまして戦略的に静岡県茶業の振興を図り、本県が「山は富士 お茶は静岡 茶の都」――茶どころではありません、茶の都です――として、日本の茶業をリードできるよう、茶どころではあるんですが、茶どころは狭山にも、宇治にも、鹿児島もございます。だけど本県ほど、県議が挙げられましたのは生産量でございます。生産額にすれば四割五分、流通量は六割でございます。文字どおり西は浜松から東は御殿場、小山町に至るまでお茶を栽培していないところはございません。まことに茶の都と言われるにふさわしいところであるというふうに存じます。
     このような茶の都として、静岡県が日本の茶業をリードできるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(小楠和男君) 若梅静岡県理事。
           (静岡県理事 若梅真樹君登壇)
    ○静岡県理事(若梅真樹君) 知事の政治姿勢についてのうち、海外との交流のあり方についてお答えいたします。
     海外との交流が、国家間にとどまらず地方自治体、企業、民間団体などさまざまなレベルで広がりを見せる中、本県もその交流単位の一つとして友好的互恵・互助の精神に基づき地域外交を展開しております。
     こうした地域レベルの交流が、国家間の友好関係に寄与するとの認識のもとこのような時期にあっても誠意を持って信頼関係に基づく地域間交流を進めることが、地域の、ひいては国の利益にかなうものであると考えております。
     今回の韓国訪問におきましては、韓国観光公社、アシアナ航空、大韓航空など行く先々で温かい歓迎を受けるとともに、両国が政治的に難しい時期における訪問を高く評価いただくなど相互の信頼関係を深めることができました。
     忠清南道への友好代表団の派遣につきましては先方の意向を踏まえ延期いたしましたが、韓国国内の情勢等を注視しながら、協定締結に向け引き続き忠清南道と調整を進めてまいります。
     また、浙江省につきましては、一昨年の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の影響によりまして日中関係が停滞した期間におきましても、これまで築き上げてきた信頼関係をもとに揺るぎない交流を進めてまいりました。
     こうした安定的、友好的な交流を継続できるよう、現時点では十一月の県友好代表団派遣の準備を進めておりますが、今後とも中国国内の反日運動の推移などを注視するとともに、浙江省における受け入れ体制や安全確保の状況を確認しながら、必要に応じて交流内容の見直しなどを含め調整を図ってまいります。以上でございます。
    ○議長(小楠和男君) 土屋経営管理部長。
           (経営管理部長 土屋優行君登壇)
    ○経営管理部長(土屋優行君) 地震・津波対策の充実強化に向けた取り組みについてのうち、来年度当初予算編成における位置づけについてお答えいたします。
     平成二十五年度当初予算の編成に当たりましては、今後発表される国の当初予算や地方財政計画により最終的な編成を行っていくこととなっております。平成二十四年度当初予算時に策定いたしました財政の中期見通しによりますと、平成二十五年度の財源不足額は四百二十八億円となっております。
     歳入の大宗をなす税収は、本年度につきましては予算額を確保できる見通しでありますけれども、海外経済の減速や円高の影響などにより法人二税を中心とした県税収入の大幅な伸びが期待できないことなどから、来年度は厳しい予算編成になるものと考えております。
     しかしながら、県民の生命と財産を守り安心して生活できる安全な地域を構築することは県の最大の責務でありますことから、今後策定いたします第四次地震被害想定や新たな地震対策・津波対策アクションプログラムに沿ったハード・ソフト両面からの対策を積極的に推進していく必要があります。
     このようなことから、来年度当初予算の編成におきましては大変厳しい財政状況が見込まれるところではありますが、歳出のスリム化や歳入の確保を徹底することにより必要な財源の確保を図りながら、地震・津波対策に重点的に配分できるよう取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 伊藤静岡県理事。
           (静岡県理事 伊藤秀治君登壇)
    ○静岡県理事(伊藤秀治君) 沿岸地域と内陸フロンティアの振興策についてお答えいたします。
     東日本大震災の発生や南海トラフ巨大地震による被害想定の公表により、本県沿岸域では災害に強い地域を形成していくことが最優先の課題となっております。
     このため、沿岸域を含む県内全市町の皆様とともに、県と市町の企画政策会議を開催し、その中で沿岸域の市町からは企業や住民が内陸部へ移転する厳しい現状や内陸部に避難地を確保する際には県に支援してほしいといった要望を伺い、こうした現場の意見も踏まえて全体構想を取りまとめてまいりました。
     議員御指摘のとおり、県土全体の発展を目指す上で、商工都市として発展し本県経済を牽引してきた沿岸域の都市部の果たす役割は重要であり、集積した都市機能、産業基盤を生かしつつ水と緑と土を大切にする美しい都市景観を創造し、暮らしやすく人々が憧れる洗練された新しい都市へと再生していくことが必要と考えます。
     構想には、本議会に補正予算案としてお諮りしております基金等を活用した海岸等の津波対策を初め命山の整備、既存施設を活用した避難先の確保、分散自立型エネルギーの導入など都市部の防災・減災対策を掲げております。
     また、工場の移転等による跡地において緑地の創出や農地への復元などを行いながら、県産品のブランド化の推進や成長分野への参入促進を図るなどの振興策を盛り込んでおります。
     今後も、沿岸域の市町の現状や住民、企業の皆様の声を十分に踏まえながら、防災・減災対策を最優先に国の制度等も活用しながら市町と一体となって構想に掲げる施策の着実な推進に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 下山文化・観光部長。
           (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
    ○文化・観光部長(下山晃司君) 交流人口の拡大についてのうち、海外誘客の促進についてお答えいたします。
     平成二十二年に六十万人を超えた本県の外国人宿泊客数は、大震災の影響で落ち込んだものの、現地旅行会社やメディアを招聘するファムツアーの実施など緊急誘客事業を積極的に展開した結果、ことしに入り徐々に回復基調に転じてまいりました。
     回復に向けた動きをさらに力強いものとするため、富士山静岡空港の就航先を中心に国や地域ごとに旅行ニーズを分析した上で本県の知名度を高めるための広報活動を行うとともに、現地旅行会社に対して本県の観光地を満喫していただける旅行商品の造成を働きかけるなど多くの外国人観光客に訪れていただけるよう取り組みを進めております。
     例えば韓国では、今月七日、知事みずからが航空会社に出向きトップセールスを行うとともに、現地旅行会社四十四社、六十七名が参加する商談会を開催し本県の魅力をアピールしたほか、台湾では大手食品メーカーとタイアップして静岡茶のペットボトル購入者に静岡旅行が当たるキャンペーンを展開するなど、機会を捉えた効果的な誘客活動に取り組んでいるところであります。
     また、中国では、浙江省友好提携三十周年記念事業の一環として観光プロモーションの実施に向けた調整を進めてまいります。
     今後も、変化の激しい国際情勢を見据えつつ、富士山の世界文化遺産登録を契機に富士山と周辺の魅力的な観光資源を組み合わせた周遊型旅行商品の造成を促進するなど観光事業者と一体となった誘客活動を展開するとともに、ソウル、上海、台北などと結ばれている富士山静岡空港のさらなる路線の充実やチャーター便の利用の積み上げなどによる新規路線の就航にも取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 交流人口の拡大についてのうち、浜名湖花博十周年記念事業についてお答えいたします。
     県では、平成二十六年に浜名湖花博十周年記念事業と全国都市緑化フェアを同時開催することとし、去る九月十日に浜松市及び関係団体等で構成する実行委員会を設立いたしました。会期は四月から六月の七十二日間、来場者目標は八十万人とすることなどを決定したところであります。
     開催に当たりましては、本県花卉産業の振興を目的に県産花卉の装飾展示やフラワーアレンジのコンテスト等を実施いたしますとともに、都市緑化の推進を図るため全国の自治体や企業等が参加する庭園コンテストや皇族殿下の御臨席を賜る全国都市緑化祭などの開催を予定しております。
     また、本県は地域の花の会による花壇づくりや個人の庭を公開するオープンガーデンなどの活動が盛んでありますことから、こうした多くの県民の方々に参加をいただき記念事業全体を盛り上げてまいります。
     さらに、市町や商工、観光団体などと連携をいたしまして、記念事業にあわせて四季折々の花を楽しめる施設や名所をめぐる観光ツアーなどの取り組みも推進し、交流人口の拡大につなげてまいります。
     県といたしましては、国、浜松市、関係団体等と開催準備を着実に進め、花卉産業の振興と都市緑化の推進さらには西部地域の活性化につなげてまいります。
     次に、茶業と漁業の振興についてのうち、沿岸漁業の資源確保への取り組みについてであります。
     温水利用研究センターは、年間おおむね一千二百万尾の放流用種苗を生産しておりまして、マダイ及びアワビは主に伊豆地域、ヒラメ及びクエは主に榛南地域、クルマエビ及びトラフグは主に西部地域と県内全域に放流をしております。また三重、神奈川県等県外の放流事業にも活用されておりまして、幅広く県内外の種苗放流に貢献をしております。
     海に放流された種苗は成長後漁獲され、例えばマダイの調査では漁獲量の約三割を放流したマダイが占めるなど種苗放流は本県漁業生産に大きく寄与をしております。さらに放流されたマダイが産卵を行っていることも確認されており、次世代以降の長期的な水産資源の維持増大効果が見込まれております。
     また、種苗放流は遊漁船など観光漁業の機会を増大させますとともに、クエは地元の名物として地域振興にも寄与しております。さらに子供たちによります種苗放流イベント等を通じまして、県民の漁業に対する理解を深めることにも役立っております。
     現在、温水利用研究センターでは順調に種苗生産を継続しており、今後もウイルス病の防除技術の開発などによりまして種苗生産の安定化と効率化を推進し、種苗生産の中核施設としての役割を担ってまいります。
     県といたしましては、これらの取り組みに加えまして、放流した種苗が生育する場づくりとして魚礁の設置や藻場の造成などの漁場整備事業を種苗放流と一体的に実施することによりまして、栽培漁業の推進を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 安心して暮らせる静岡の実現についてのうち、初めに健康長寿日本一への取り組みについてお答えをいたします。
     県の総合健康センターを中心として健康長寿に関するさまざまな調査研究に取り組む中で、適度な運動やバランスのよい食生活に加え、ボランティア活動などの社会参加を取り入れた生活を送る方々が健康で長生きであることがわかってまいりました。
     このため、積極的な社会参加メニューを取り入れた本県独自の健康長寿プログラムふじ三三プログラムを開発し、今後市町や企業へ広く普及してまいりたいと考えております。
     さらに、今年度新たに中小企業が加入する協会けんぽと覚書を締結し働き盛り世代の全職種の特定健診データが充実したことから、今後このデータを活用いたしまして働き盛り世代から取り組むべき健康課題を解明し、県民の生活実態に即した生活習慣病予防対策を推進してまいります。
     また、長寿者の社会参加を初めとする生きがい活動を促進することも大変重要であると認識しており、本年三月に策定をいたしましたふじのくに長寿社会安心プランにおきましても重点施策として位置づけ、積極的に取り組むことといたしております。
     具体的には、老人クラブが実施する子育て支援や昔遊び等の地域文化の伝承による世代間交流、しずおか健康長寿財団が実施いたします長寿者のスポーツ大会や美術展などへの支援のほか県内各地に広がりつつある商店街の空き店舗を活用し、長寿者が中心となって運営するいわゆる居場所づくりの普及にも努めてまいります。
     県といたしましては、今後も健康長寿日本一の結果に甘んずることなく健康づくりと長寿者の生きがい活動をともに推進することで、健康寿命のさらなる延伸を図ってまいります。
     次に、今後の障害者施策の取り組みについてであります。
     県では、共生社会の実現という改正障害者基本法の理念を踏まえまして、来年度から向こう五カ年における障害者施策の方向性を示した第三次静岡県障害者計画を全庁各部局の参加のもと現在策定をしているところであります。
     計画の策定に当たりましては、従来の施策に加え新たに障害者施策の対象となる難病患者への対応や虐待防止対策の充実、消費者としての利益擁護、授産製品の優先調達、選挙における配慮などの視点も取り入れることとしております。また市町に義務づけられている障害者計画の策定に役立つよう障害のある方へのアンケート調査や障害当事者団体等との意見交換を踏まえまして、ニーズに的確に対応したきめ細かな計画としてまいりたいと考えております。
     一方、市町が給付する障害福祉サービスにつきましては、今年度策定した第三期静岡県障害福祉計画に基づき、相談支援体制の充実やグループホームなどの基盤整備を着実に進めており、県といたしましても相談支援専門員などの人材養成や施設整備への助成により、市町を積極的に応援しているところであります。
     今後とも、障害のある人が住みなれた地域で豊かに安心して暮らすことができる魅力あるふじのくにの実現を目指し、市町とともに全力を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 出野知事戦略監。
           (知事戦略監 出野 勉君登壇)
    ○知事戦略監(出野 勉君) 安心して暮らせる静岡の実現についてのうち、雇用の確保対策についてお答えいたします。
     雇用創造アクションプラン策定時に基準といたしました平成二十二年度に比べ、完全失業者数は最新の平成二十四年四から六月期平均で一万人改善、有効求人倍率も平成二十四年七月期で〇・三〇ポイント上昇するなど、本県の雇用情勢は改善は見られるものの、完全失業者数について言えば平成二十四年一から三月期に比べ約四千人増加しております。これは季節的な変動要因があるとはいえ依然として深刻で厳しい状況にあると考えております。
     この八月に開催いたしました雇用創造に関係するあらゆる分野の代表者による静岡県雇用創造県民会議の本部会議や県内四地域での地域会議では、高い技術を持った中小企業の連携による新たなものづくりへの支援や人材の育成、円高に対応した既存産業への対策、介護・福祉の仕事に対する理解の促進、教育現場でのキャリア教育の充実など幅広い意見が寄せられ、引き続き官民一体となって取り組んでいくことを確認したところであります。
     また、本県経済を牽引する経済四団体におきましても、本年八月二十七日に中小企業の人材確保や子育てに配慮した企業経営など雇用対策に重点的に取り組んでいただくことについて合意がされたところであります。
     今後とも、県民会議での議論を踏まえ、就職応援フェアの開催、ヤングジョブステーションや本年八月からスタートいたしましたマザーズジョブステーションによる就職支援、求人開拓員による求人の掘り起こしなどに加え新エネルギー、環境、健康分野など新たな成長産業の振興、地域産業の活性化、企業立地の促進などによる雇用の創出や障害のある人など誰もが活躍できる就業環境の実現、医療・福祉・介護人材の確保などによる人材の供給の両面から雇用の確保の強化策を検討し、プランに掲げる三万人の雇用創造の達成に向けまして、全県を挙げた一層の取り組みを進めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 特別支援教育の取り組みについてお答えいたします。
     高等学校における特別支援学級の設置につきましては、学校教育法施行規則におきまして、特別支援学級で実施されている作業学習や生活単元学習等の授業を行うことができるのは小学校、中学校及び中等教育学校前期課程に限られているため、現実的には今の段階におきまして高等学校に特別支援学級を置くことは不可能であります。
     しかしながら、高等学校に特別支援学級を設置することは議員御指摘のとおり望ましいことと考えており、現在全国都道府県教育長協議会などから国に対して規則改正などの要望を行っているところであり、今後もこうした取り組みを継続してまいります。
     また、静岡県立特別支援学校施設整備計画の進捗状況についてでありますが、掛川地区への本校設置につきましては、七月二十三日の教育委員会定例会におきまして敷地の選定を行い、現在の掛川市立総合病院の敷地の一部に設置することといたしました。知的障害及び知的障害のある肢体不自由の児童生徒を対象に小学部・中学部・高等部を設置することとし、現在設計の契約手続を進めているところであります。
     榛南地区への本校設置につきましては、志太榛原地区の新構想高等学校設置に伴い再編となります吉田高等学校の敷地を有力な候補地と考えており、速やかに地域や関係の方々と調整を進めてまいります。
     今後も両地区における本校の平成二十七年四月の開校に向け必要な準備を進めてまいります。
     次に、全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた私の所感と今後の対策についてであります。
     本年度を含め、全国学力・学習状況調査はこれまで五回にわたり国語、算数・数学の知識と活用、そして五回目は理科も加えて実施されました。これらの調査結果では、本県の中学生につきましては常に全国の平均正答率を全教科において上回っておりますが、小学生については年々低下の傾向にあり、この結果を深刻に受けとめているところであります。
     本年度の小学生の学力に関する調査結果では、与えられた条件に合わせて自分の考えを書くことや学んだ内容を日常生活の中で活用する力が十分に身についていないという課題が、国語、算数、理科のいずれの教科においても見られました。また生活習慣等に関する調査結果では、宿題は行ってはいるものの、みずから計画的に学習を進める習慣が十分に身についていないという課題も見られました。
     このため、県教育委員会といたしましては市町教育委員会と連携し有識者を交えた検証チームを立ち上げ、児童生徒の現状、小学生の学力低下の要因、そして中学生の学力安定の要因について、生活習慣とのかかわりや現在実施しておりますさまざまな教育施策から検証し、子供たちの学力向上を図るための対応策を検討してまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 浜岡原発のテロ対策についてお答えいたします。
     国際テロの脅威については、現在も世界で米国権益を狙い続けておりますアルカイダ関連組織が存在するほか、過去海外でテロ手法を用いてきた北朝鮮やイランなどその動向に注意を要するものがあります。
     原発は、過去テロの攻撃の対象とするには困難なハードターゲットと見られておりましたが、昨年の三・一一事案により電源喪失の弱点を露呈したことから、原発内部の状況を工事段階等で調べられれば狙い得るターゲットとなりました。
     このため、サブマシンガン等の重装備を有する直近の警戒警備要員を増強し、警察航空隊や警備艇とも随時連絡を取りつつ、各電源を視野に以前より広いエリアを二十四時間体制で警戒しております。
     あわせて、テロの実行までには長期間の綿密な調査活動が行われていることから、この段階での捕捉を図るべく本部警備部と菊川署が協力して周辺徘回者の発見、追求とともに、工事関係者を装った内部への潜入者の洗い出しに努めております。
     一日に数千人が稼働する原発において、警戒員がいかに不審者を識別できるか鋭敏な感覚が要求されるところでありますが、警察だけでは発見するに限界があります。そのため管理者である中部電力株式会社に対しても、請負業者等の事前における身元調査の徹底等について協力を申し入れているところであります。
     なお、海上からの侵入も想定し、海上保安庁との合同による夜間の侵入者発見訓練等も行う予定であります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 藪田宏行君。
           (四十六番 藪田宏行君登壇)
    ○四十六番(藪田宏行君) 丁寧な御答弁ありがとうございました。二点質問させていただき、二点要望したいと思います。
     原発協からの脱退の件でありますが、先ほどの御答弁の中で知事は、他の道県ですかわかりませんが、知事と意見交換あるいは情報交換された由の御答弁があったわけですが、どこの県の知事とそうした交換会を持たれたのかお伺いします。
     もう一つは、静岡県も知事が先頭に立って、大震災の瓦れき処理について県を挙げ協力してまいりました。一方、いまだに約十六万人の福島県民が住みなれた故郷に帰れないでいる状況を思うと、関係道県と力を合わせて、福島県民のためにも事故処理や廃炉などの安全対策、防災対策や福祉向上のためなどに、静岡県ももっともっと知事が先頭に立って知恵を出す、協力していく、そうした姿勢が大切だと思いますが、知事はどのようにお考えになりますか。
     二点の要望でありますが、八月五日の知事の発言のように火力発電は大変大きなテーマでありますので、今は携帯電話もある時代でありますので、どうか関係の首長等とは情報交換あるいは意見交換した上で公にしていただく、そんな努力を要望しておきます。
     もう一点は、八月二十七日、二十八日ごろに、初めて市民団体から上がってきた条例案を見たというような御答弁だったかと思いますが、もう既に数カ月前からそうした運動がされていたわけです。最終案はそこでごらんになったかもしれませんが、もっと早い段階で、市民団体の皆さんも一生懸命署名活動をしている、そうした条例案については、先ほど御答弁があった知事戦略監初め戦略室の皆さんもいるわけでありますので、関係職員を動員して情報の収集に努めるべきではなかったかと思いますが、こうした重要テーマについては、もっともっと迅速に情報収集に努めていただきたいと思います。この二点を要望しておきます。以上です。
    ○議長(小楠和男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 原発協に関する再質問にお答えいたします。
     原発協の脱会について、それ自体についてどなたとも相談はしていません。私のほうからではなくて消費者、消費県に当たる嘉田知事から数回御相談を受けたことがございます。また泉田知事からも御相談を受けたことがございます。
     今回の脱会に関することで福島県知事が理解を示されたということは、後の報道で知りました。以上でございます。
    ○議長(小楠和男君) 小川危機管理監。
           (危機管理監 小川英雄君登壇)
    ○危機管理監(小川英雄君) 福島県のために、福島県の瓦れき処理等にさまざまな知恵を出す活動をすべきではないかという御意見をいただきました。
     福島第一原子力発電所の事故につきまして、あるいはその後の処理につきましては、第一義的には原子力政策を進めてきた国とそれから事業者に被災地の復興支援の責任があるものというふうに考えております。
     諸般の状況の中で知恵を出すということであれば、先ほど知事が答弁の中で触れていただきました全国知事会に原子力発電対策特別委員会が設置をされておりますので、この委員会は立地県のほか隣接県、その他関係する県、二十六の都道県で構成されておりますので、必要を感じた場合にはこの会を通じて意見を出し合うことが十分可能であるというふうに考えております。以上でございます。
    ○議長(小楠和男君) 藪田宏行君。
           (四十六番 藪田宏行君登壇)
    ○四十六番(藪田宏行君) 私の質問の仕方が悪かったと思いますが、瓦れきと特定しているじゃなくて、福島原発、さまざまな防災上あるいは安全上の問題がたくさんあるわけですので、静岡県も原発立地県として協力の仕方あるいは一緒に勉強する仕方があろうかと思って、瓦れきのことを特定して質問したわけではありませんので、全てを含んでおりますので、その旨要望をしておきます。以上です。
    ○議長(小楠和男君) これで藪田宏行君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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