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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 澄美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/22/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
  (1) 和をもって貴しとなすとする知事の姿勢             
  (2) これからの四年間の県政運営                  
   ア 県政の重点課題                       
   イ 財政運営                          
  (1) ふじのくに士民協働事業レビューの狙い             
  (2) 県勢発展に向けた情報戦略                   
2 第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策について       
  (1) 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の対応方針                               
  (2) 津波対策施設整備の推進                    
  (3) 地震・津波対策に係る予算措置、必要な財源の確保        
3 経済・雇用対策について                     
 (1) 中小企業対策                         
 (2) 雇用の確保                          
4 強い農業づくりに向けた農山村の整備について           
5 富士山の保存管理に向けた取り組みについて            
 (1) 適切な保存管理と世界遺産センターの整備            
 (2) 利用者負担                          
 (3) 富士山周辺の景観形成                     
6 富士山静岡空港の先導的経営について               
7 医師、看護職員の確保について                  
8 原子力対策について                       
 (1) 浜岡原子力発電所の再稼動に係る県民投票            
 (2) 環境放射線監視センターの機能の確保              
9 教育行政について                        
 (1) 教育行政のあり方                       
 (2) 特別支援学校への支援                     
10 県警察の運営に対する県警本部長の所信について


○議長(中谷多加二君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇 拍手)
○十番(鈴木澄美君) おはようございます。私は、自民改革会議を代表し二期目を迎えた知事の政治姿勢について及び県政の諸課題について、知事及び関係部局長並びに教育長、警察本部長に通告に基づき伺います。
 質問に入る前に、去る今月十七日から十八日にかけ伊豆地域を中心に降った豪雨の被災者の皆様に心よりのお見舞いを申し上げ、一日も早い復興を願うものであります。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてのうち、和をもってとうとしとなすとする知事の姿勢についてであります。
 去る六月十六日に行われた県知事選挙において、百八万票という多くの県民の信任を受けたことを我々県議会議員は真摯に受けとめるとともに、三百七十万人余の静岡県民の代表として今後四年間の県政運営のかじ取りの重責が全うできますよう期待するものであります。
 また、私ども自民改革会議は二元代表の一端を担う立場から、ともに県民を代表する知事と議会が相互の抑制と均衡によってある種の緊張関係を保ちながら、県政において静岡県の発展と県民の安全・安心を確保するために、是々非々で闊達な議論を通じて常に県民にとって何が最善かを念頭に健全な県政運営に努めてまいることを県民の皆様に改めてお誓いするところであります。
 さらに、知事選直後の報道によれば、知事への期待の一つとして県議会各派との連携が挙げられています。
 そこで、まず最初にお尋ねしますが、知事は選挙戦の中で好きな言葉として、聖徳太子の和をもってとうとしとなすを掲げました。さらにそれは日本人の誇る哲学だと思うとも述べております。私は知事の二期目の姿勢がこの言葉に象徴されていると受けとめましたが、知事はこの言葉を議会や職員とのかかわりにおいてどのように考えているのかを伺います。
 次に、これからの四年間の県政運営のうち、県政の重点課題についてであります。
 知事は、前回の選挙では静岡に日本の理想郷をつくろうと訴え当選され、また今回は全国のモデルとなる新しい県土づくりを掲げ、その期待を担って二期目を迎えたことと理解をしております。また本六月議会の開会日に発表された知事提案説明要旨によれば、県政運営の指針となるものは県民の県民による県民のためのマニフェストと称する総合計画であり、平成二十二年度からの十年間の計画期間のうち残り期間六年を二期目の任期四年間に前倒しして完遂すべく、年度内に新しい基本計画を策定しふじのくにづくりの総仕上げへの道筋を明確なものとすると明言しています。
 まずは、最優先課題が地震・津波対策とすべきことは、県行政・県民相互が理解しているものと認識しております。県知事選直後の報道機関が行った川勝知事二期目に期待する施策は、期待の大きい順番に地震・津波対策の強化、浜岡原発再稼働の可否判断、医療・福祉の充実、新産業創出などの経済対策・雇用促進、子育て支援・教育改革、観光行政の推進、行財政改革、インフラ整備、文化・スポーツ事業の推進などが続きます。このほか業界団体や県民各層からさまざまな要望が寄せられていると想像しますが、二期目を迎える県のリーダーとしてそれらの声にも真摯に耳を傾けながらも全国のモデルとなる新しい県土づくりの実現を目指す知事の決意をお伺いします。
 次に、財政運営について伺います。
 平成二十五年度当初予算編成時に策定した財政の中期見通しによりますと、毎年度四百億円程度の財源不足額が想定されております。それに加えまして第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策に係る経費が見込まれるなど、今後も厳しい財政運営となることと思われます。
 知事は、総合計画の残り六年間を二期目の四年間に前倒しして完遂していくとしておりますが、目標を達成するためには地震・津波対策、雇用経済対策、保育所入所待機児童の解消を初めとした少子化対策、医療体制の充実など喫緊の課題について集中的な取り組みを進めていかなければならず、事業の具体化のためには財源確保が必要となっております。
 知事の一期目におきましては、歳出のスリム化や歳入の確保により六百四十八億円余りの財源捻出を行い、それらの財源を活用して県政運営を推進してきたところではありますが、財政状況が厳しい状況の中で二期目においてはどのような財政運営を行っていくのかを伺います。
 次に、ふじのくに士民協働事業レビューの狙いについて伺います。
 平成二十一年度より取り組んだ事業仕分けは県の実施事業の必要性を外部が検証する目的で導入されたもので、これまで四年間に二百六十四事業、対象事業費で約千四十億円、財源捻出額で四十九億円が成果として得られました。このような成果のほかに県民の県に対する理解と信頼感や行政参加意識が向上し、事業担当課職員の意識改革にも寄与したと聞いております。
 県はこのたび、これまでの事業仕分けによって仕分け作業が一巡したとの判断から本年度は総合計画のさらなる推進のため、戦略に関係する事業の実施効果や今後の方向性を判定する事業レビューを実施することを明らかにしています。これにより“ふじのくに”づくり白書で数値目標の達成度が低いとされた施策のうち、次世代産業の創出などを初め六施策に関する二十四事業が対象となっています。今後の県政における事業の必要性の検証等への県民のかかわり方や事業レビューが果たす役割として、どのような方向性があるのかについて伺います。
 次に、県勢発展に向けた情報戦略について伺います。
 このたびの富士山世界文化遺産登録により、本県の知名度向上をどのように発展につなげていくか。食の都を初め、本県には世界に誇る数々の有形無形の資産と発展の可能性が満載された県であることを自負しています。このことについては今回の知事選において、知事を初め他の候補者も本県の潜在力、魅力をどう発信していくかについて訴えていました。
 県からは、県民生活を支えるものから県の魅力を発信するものなどさまざまな情報が各担当部署から県内外に発信されています。しかし情報は発信するだけではなくその情報をもとにどのような反響が得られたか、その結果が施策の成否を握ることも少なくないでしょう。このような取り組みを情報戦略として確立し、県庁全体で時には県内基礎自治体とネットワークを組みながら情報発信していくことが本県の発展には重要であると感じておりますが、県の組織的な情報戦略について、知事の所見を伺います。
 次に、第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策についてのうち、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の対応方針についてであります。
 県は先月二十七日に第四次地震被害想定を公表しました。この想定によれば駿河トラフ・南海トラフ沿いで発生するレベルツーの地震・津波による人的被害は死者数約十万五千人と想定され、国の想定と同様に厳しいものとなっております。レベルワンの津波・地震による人的被害も第三次想定の約三倍の一万六千人の死者数と想定されております。地震動については震度七及び六強の地域が第三次想定に比べ増加しております。その影響により、レベルワンの地震による建物被害については耐震化が進んではいるものの、県中部から西部を中心に全壊・焼失棟数が増加すると想定されております。また相模トラフ沿いで発生する地震についても、対象地震が一回り大きくなったことから震度分布、津波高、浸水域が第三次想定に比べ大きくなると想定されています。今後は津波対策を中心に人的被害の死者数を限りなく少なくすることが重要と私は考えます。
 また、地震による崖崩れが心配される中、中山間地の道路の機能強化や万一使用不可能となった場合の緊急輸送路対策などについても考慮する必要があると考えます。さらにきめ細やかな対策としては、例えば津波からの避難が迅速にできるようにするための避難ルートの確保や被災した後にやむを得ず使用する避難所に太陽光発電を整備するなどの必要もあると考えます。
 このたび、県が第四次地震被害想定とあわせ公表した地震・津波対策アクションプログラム二〇一三にもこれらのアクションが含まれており、安心したところではあります。このアクションプログラムには新たな津波被害想定への対応、超広域災害への対応、複合災害・連続災害対策の三つが重点施策として位置づけられておりますが、このプログラムの基本理念及び今後の対応方針について伺います。
 次に、津波対策施設整備の推進について伺います。
 東日本大震災による津波被害の状況等を踏まえ、本県においても津波に対する県民の関心がより一層高くなっており、津波対策施設については地震・津波から命を守るための施設として、目標値も含めてアクションプログラムに施設整備を位置づけていると聞いております。
 また、第四次地震被害想定では人的被害等は第三次地震被害想定と比較すると甚大となっていることから、これに対応するため防潮堤等の津波防御施設の整備を計画的に進めていく必要があります。一方浜松市沿岸の防潮堤については、寄附金の受け入れもあり県民目線からはほかの地域に比べ整備水準を高く設定しているようにも見受けられます。
 県では、アクションプログラムの中で沿岸域の地形等を踏まえ、さらなる安全度の向上を図る静岡モデルを県内全域沿岸市町において推進していくこととしておりますが、これらを踏まえて今後、県内全域の津波対策としてのハード整備をどのように進めていくのか、県としての所見を伺います。
 次に、地震・津波対策に係る予算措置や必要な財源の確保について伺います。
 想定される被害をできる限り軽減し県民の生命や財産を守るためには、アクションプログラムに規定されたアクションを着実に推進していく必要があります。さきの知事提案説明において緊急に必要な経費については補正予算に計上していくということでしたが、アクションプログラムの重点施策である新たな津波被害想定への対策、超広域災害への対応、複合災害・連続災害対策の早期具体化のためにどのような補正予算を段階的に編成する予定なのか、その考え方について伺います。
 また、アクションプログラムの実施に当たりましては、計画期間である平成二十五年度から三十四年度までの十年間で全体事業費として四千二百億円程度の財源が必要となると言われております。今年度は財源の一部を確保するため、あくまでも緊急的な措置としてやむを得ず職員の給与を削減するとのことでありますが、本来は事業の実施に必要となる財源については、職員の給与削減で対応するべきものではないと考えております。来年度以降に必要となる財源の確保について、寄附金等の負担について県民や企業の御理解と御協力を求めることも念頭に置く必要があるかもしれませんが、職員の給与削減も含め来年度以降の財源の確保についてどのように対応していくのかについてお伺いします。
 次に、経済・雇用対策のうち、中小企業対策についてであります。
 昨年末に安倍自民党政権が発足して以来、政府による積極的な経済対策や日本銀行との政策連携に基づく積極的な金融緩和などいわゆるアベノミクスにより、為替相場の円安や株式市場の回復傾向など経済回復に対する国民の期待感が高まっております。このことは、七月上旬に日銀が発表した景気判断においても景気は穏やかに回復しつつある。今後輸出や企業の設備投資が持ち直し、個人消費が底がたく推移する中で企業収益の改善が企業支出や家計所得の増加につながり、さらに景気回復へ向かうことが期待されるとの報告が出されております。
 東京商工リサーチが独自に取りまとめ本年五月に発表した全国企業の財務データ分析調査によると、本県の赤字企業の割合は三八%と二年連続で全国最下位を記録するなど全国的な景気の回復基調に乗りおくれているとの印象を強くしているところです。これはリーマンショック以降本県の主力産業である輸送用機械などを中心に製造業が不振に陥り、回復に時間がかかっていることが大きな原因であると考えられます。
 これまでも県では県内企業の九九・八%を占める中小企業対策に力を注いでおります。例えば中小企業の経営革新計画承認件数などの数値目標を設定し、専門家の派遣や新商品開発等に対する助成など各種の施策を展開しております。その結果平成二十四年度には、経営革新計画の承認件数が四百五件と全国第一位となり施策の効果が確実にあらわれておりますが、引き続き県の中小企業対策に関する目標を定めて効果の測定を行うことによりさらに有効な施策が展開できるよう要望いたします。
 現在の経済状況からできるだけ早期に脱却を図り企業が赤字を解消し本県経済が好転していくためには、国の成長戦略に乗せて前倒しで本県の実情に合った中小企業への支援に取り組むことが不可欠であると考えますが、県が実施する中小企業対策についてお伺いいたします。
 次に、雇用の確保について伺います。
 平成二十年九月のリーマンショックを端緒とする世界同時不況の影響により輸出型産業が大きな割合を占める本県経済は大きな打撃を受け、完全失業者数が平成十九年の五万五千人から平成二十二年には八万二千人と三万人近く悪化し、有効求人倍率も同時期に一・二〇から〇・五二となるなど県内の雇用情勢は大変厳しい状況に陥りました。こうしたことから県では、平成二十三年度から平成二十五年度までの緊急対策として三万人の雇用の創造を目指す静岡県雇用創造アクションプランを策定し、あらゆる取り組みを進めてきたと承知しております。
 昨年十二月には経済再生を第一に掲げる安倍政権が発足し、アベノミクスと言われる経済政策のもと大胆な金融政策、機動的な財政政策を矢継ぎ早に打ち出し、特に次元の違う金融緩和による円安株高等もあって足元の企業業績は改善してきておりますが、本県の鉱工業生産指数はいまだに低迷しており雇用情勢もリーマンショック前の水準を回復できない厳しい状況が続いています。
 県内の中小企業等からは、最近の大企業の業績改善が設備投資や生産の増加に直結せず部品等の受注の増加に結びついていないことから、なかなか製造業全体の雇用回復を実感できないなどの声も耳にするところであり、引き続き全県を挙げて積極的な雇用対策を推進する必要があると考えます。
 そこで、本年度は雇用創造アクションプランの最終年度となりますが、目標の達成に向け県は今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。また雇用の確保は来年度以降も引き続き県政の重要施策であると考えますが、どのように対応していくのかあわせて所見を伺います。
 次に、強い農業づくりに向けた農山村の整備についてであります。
 先ごろ閣議決定された日本再興戦略においては農業においても成長産業と位置づけ、担い手への農地集積や企業参入の拡大などに係る施策が盛り込まれ、農業・農村全体の所得の倍増を達成するためには生産性を飛躍的に拡大する必要があるとしています。そのためには農地を最大限効率的に活用できるように生産現場を強化することが重要であり、生産性の向上に結びつく担い手への農地集積・集約や耕作放棄地の解消をサポートするため、農地の大区画化などや農業水利施設の整備を推進していくことが極めて重要であります。
 また、農業は成長産業であると同時に農業が営まれることによりすばらしい景観や五穀豊穣を祈る伝統文化の継承などの多面的な機能を果たしており、経済性、効率性だけで断じることができない大きな価値を有しております。本県は全国一位である三百三十九品目に及ぶ農産物を生産する食材王国しずおかであります。この全国に誇れる農産物の品目数を拡大し品質を向上させ本県農業を成長産業としていくためには先々を見据えた生産基盤を整備していく必要がありますが、変化に富み多彩な景観を有する本県においては、生産性の向上だけでは不十分であります。
 折しも美しい景観を有する富士山が世界遺産に登録され、また静岡の茶草場農法が世界農業遺産に認定されました。世界に認められたこれらの財産にふさわしい農山村のたたずまいは次世代に残していかなければならないものであります。
 そこで、強い農業づくりに向けた農山村の整備に当たっては、生産性の一層の向上等により競争力を高めながら静岡県らしい美しい景観の創造に努めていくべきだと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、富士山の保存管理に向けた取り組みのうち、適切な保存管理と世界遺産センターの整備について伺います。
 去る六月十六日から二十七日にかけてカンボジア・プノンペンにおいて開催された第三十七回世界遺産委員会におきまして、富士山が世界遺産として正式に登録されました。四月三十日のイコモスの勧告におきましては三保松原は除外という厳しい勧告でありましたが、今回、三保松原を含めた登録がなされたということで、これまで富士山の世界遺産登録を後押ししてまいりました我が会派としましても大変喜ばしく思っております。振り返りますと平成十七年に富士山世界文化遺産登録推進両県合同会議が設置されるなど富士山の世界文化遺産登録への動きが具体化したわけですが、これまでの長い道のりを考えますと、ここまでに至る関係の皆様の御努力には改めて敬意を表する次第であります。
 県内各地においては登録によるお祝いムードが高まっておりますが、一方で世界遺産に登録されたかけがえのない富士山をいかに後世に継承していくのかということが、我々国民に与えられた大きな責任であると考えております。第三十七回世界遺産委員会においては、平成二十八年二月一日までに保全状況報告書を世界遺産センターに提出することが要請されていると伺っております。
 そこで、県は今後富士山の適切な保存管理についてどのように取り組んでいくのかについて伺います。
 また、県では富士山が持つ顕著な普遍的な価値を次世代に継承し、長く守る拠点施設として富士山世界遺産センター――仮称ですけれども――の整備に向けた検討を進めていますが、今般世界遺産登録が実現したことを受け、早期にセンターが整備されることが求められると考えます。
 そこで、県はセンターの整備について今後どのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
 次に、利用者負担について伺います。
 世界文化遺産登録が決まり今夏の登山者の大幅な増加は確実であります。大勢の登山者が富士山に与える環境負荷を軽減し、将来にわたって富士山を適切に保存管理しなければなりません。このような状況の中で静岡・山梨両県は、来年度の本格導入を目指して利用者負担制度の導入、いわゆる入山料の徴収を検討していると承知しております。報道によればこの夏に試験的な協力金の徴収と登山者へのアンケートを行う社会実験を行うとのことでありますが、その理念や制度のあり方、特に協力金の具体的な使途など検討すべき課題は多いと考えます。
 そこで、県は入山料――利用者負担――の制度化に向けてどのような方針のもとに、また具体的にどのように取り組んでいくのかについて伺います。
 次に、富士山周辺の景観の形成について伺います。
 日本の象徴である富士山が世界遺産に登録されたことは、まことに喜ばしいことでございます。その一方で富士山が世界遺産に登録されたことで、その美しい景観を次代に継承していくことは本県の責務でもあります。
 世界遺産に登録されてから富士山周辺地域には国内外より多くの観光客が訪れており、今まで以上に富士山周辺地域の景観形成に配慮していかなければならないと考えております。特にメガソーラーの設置に係る規制が緩和されたことから、朝霧地区等にメガソーラーを設置したいという相談が富士宮市では急増しています。富士宮市では、この設置を食いとめるために事業者に対し自粛要請を行うとともに、メガソーラーを設置する際には地元自治体の同意を義務づけるように国に要望書を提出しました。
 富士山周辺には、メガソーラーを初め景観を阻害する要因が数多くありますので、県も積極的に関係市町と連携して世界遺産である富士山周辺の景観を保全すべきであると考えますが、県の考え方を伺います。
 また、平成二十四年度には県は、富士山周辺市町とともに富士山周辺景観形成保全行動計画を策定しましたが、今後この計画に基づいてどのように景観の改善に取り組んでいくのかについて伺います。
 次に、富士山静岡空港の先導的経営についてであります。
 富士山静岡空港は、静岡県の空の玄関として本県のさらなる発展を支えていく重要な社会資本であります。しかし開港から四年間の利用状況を見ますと東日本大震災や国際情勢の影響等もありますが、厳しい状況と言わざるを得ません。また毎年発表される空港の収支についてもなかなか改善されていない現状であります。
 知事は、先月の静岡空港開港四周年の式典において総合計画の目標七十万人は堅持すると述べておりますが、オープンスカイの進展やLCCの台頭等、目まぐるしく変化し、より厳しさを増している空港間競争を勝ち抜くためにも確固たる空港経営の体制を築くことは喫緊の課題であります。
 県では、昨年度先導的空港経営検討会議を設置し、有識者による議論、さらには答申を受け、取り組み方針を四月に発表しております。その内容を見ますと収支の改善にも言及しているものの、空港ターミナルビルの取得や増築、また富士山静岡空港株式会社の株式取得等、新たな投資を伴うものが目立ちます。
 空港を取り巻く環境が厳しい中で新たな投資を行うに当たり、空港収支の改善はもとより空港の利活用促進を含め、競争力のある空港となるための具体性のある方策や中長期的な展望に立った総合的な戦略が必要と思いますが、県の考えを伺います。
 次に、医師、看護職員の確保についてであります。
 知事は、さきの知事選における自身のマニフェストにおいて県民が希望を持てる未来を開く社会づくりを進めるとされ、その中で健やかに生きる健康寿命日本一の推進に向け、安全で質の高い医療体制の構築をしていくと公約をされました。私も県民の皆様に安心して日々の生活を送っていただくためには、必要なときに質の高い医療を安定的に利用できる環境をしっかりと整備することが非常に大切であると考えております。そうした環境を実現するためにはそうした体制を支える医療人材、特に医師や看護職員の果たす役割がまことに大きいものであると思います。
 平成二十二年の厚生労働省の調査によれば本県の医師数、看護職員数とも前回調査と比べ増加をしています。しかし他の県などと比較しますと、人口十万人当たりの医師数は百八十二・八人で全国第四十位、就業している看護職員数は九百四十九・三人で全国第四十一位と、いずれもかなり低い水準にあり、県民の皆様に安心してくださいと言える状況にはありません。また平成二十二年の国勢調査における本県の高齢化率は二三・八%であり、国の二三%を〇・八ポイント上回っています。
 もともと医療人材が少ない上にこうした高齢化の急速な進行、さらには医療技術の進歩による専門化、細分化が進み、医療人材の必要絶対数はふえる一方であり、今後ますます不足感が高まることが懸念されます。県民の皆様が必要なときにいつでも安心して質の高い医療を提供していただくためには、医療体制の基盤となる医師や看護職員の確保について、これまでにも増して県が全力を挙げて取り組む必要があると考えます。
 そこで、喫緊の課題である医師や看護職員の確保に向け今後どのように取り組んでいくのかについて伺います。
 次に、原子力対策についてのうち、浜岡原子力発電所の再稼働に係る県民投票について伺います。
 浜岡原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票条例については十六万五千人余りの署名を受け、平成二十四年九月定例会に知事の賛意が付されて提案されましたが、審議の結果、条例案、修正案とも否決となりました。審議においては市町への事務委託など法制度上の問題点も指摘されたところであります。
 浜岡原子力発電所は現在も運転を停止しておりますが、中部電力株式会社では防波壁の設置工事などを進めているところであります。また本年七月八日から施行されている原子力規制庁の新規制基準に適合するため、地震・津波対策の強化やフィルターベント設備の設置などの過酷事故対策が必要になると聞いております。国は事業者からの申請を受け新規制基準への適合状況を審査した上で再稼働の是非について判断するとしておりますが、再稼働に当たっては県民の理解が不可欠であります。
 このような状況下において、県議会では静岡県議会原発・総合エネルギー対策議員連盟を立ち上げ、独自の調査活動をスタートさせました。知事は浜岡原子力発電所の再稼働についての県民投票に関して賛成であるとしている一方、県民投票条例案は議会から提案することが望ましいと述べております。
 そこで、県民投票の実施に関し、知事の見解を伺います。
 次に、環境放射線監視センターの機能の確保について伺います。
 浜岡原子力発電所は現在停止中でありますが、災害時に備えた放射線の監視測定や防災対策は充実強化していかなければなりません。オフサイトセンターについては富士山静岡空港西側県有地へ移転し、原子力災害発生時の現地対策本部の拠点としての機能の強化を図るため関連予算を計上し整備が進められているところであります。
 一方環境放射線監視センターは、平時から環境放射線等の監視、測定を行うほか、原子力災害の発生時には緊急時モニタリングの活動拠点となるなど防災対策に重要な役割を果たす施設であります。しかしながら現在の施設は、原子力災害発生時には直ちに避難指示が出される区域として浜岡原子力発電所からおおむね五キロメートルに設定された予防的防護措置を準備する区域、いわゆるPAZの圏内に位置しております。また空気浄化フィルターなどの放射線防護設備も備えておらず、緊急時の拠点として利用できるのかが疑問であります。
 環境放射線監視センターとオフサイトセンターを一体的に整備し運用することで原子力防災体制の強化を図るべきと考えますが、環境放射線監視センターの機能の確保について、どのように取り組んでいくのかについて伺います。
 次に、教育行政のうち、教育行政のあり方について伺います。
 昨年度知事の主導により教育行政のあり方検討会が計四回開催され、教育行政に係る組織の存在意義やあり方について議論され、年度末には知事に意見書が提出されたところであります。この意見書にある項目の具現化については教育委員会で検討を行い、特に予算、定数、組織などの事務局組織に関係する項目については教育委員会事務局の組織体制検討プロジェクトチームを設置し、知事部局と教育委員会が連携して対応策を検討していると聞いております。
 現在国では、教育行政の根幹となっている教育委員会制度が議論されており、政府の教育再生実行会議の提言においては地方教育行政の権限と責任を明確にするため首長が任命する常勤の教育長を教育行政の責任者とする一方、教育委員会は教育長に対し大きな方向性を示すとともに教育長による事務の執行状況をチェックをする機能とするとしております。
 この提言を受けて文部科学大臣は、具体的な制度の見直しを中央教育審議会に諮問し年内の答申を求めるなど教育委員会制度自体が大きな変革期を迎えようとしております。このような中、現在教育委員会において教育行政のあり方検討会の意見書項目の具現化に向けて取り組んでいると伺っております。プロジェクトチームでの検討を含め現段階での検討状況についてどのようになっているか、教育長に伺います。
 次に、特別支援学校への支援について伺います。
 文部科学省の統計によると、本県の県立特別支援学校に在籍する子供の一人当たりの財政支出額は全国最低レベルにあるということであります。財政支出額の高さが教育の質とは直接の関係性にあるわけではないとはいえ施設の狭隘化や大規模化、教員に占める講師の割合の高さ、医療的ケアの必要性など特別支援学校を取り巻く課題が山積している中、特別支援学校にさらなる支援を強化していく姿勢が本県に必要であると考えます。
 そこで、今回は肢体不自由者を対象とする特別支援学校、その中でも施設老朽化が進む東部特別支援学校と西部特別支援学校について取り上げたいと思います。
 肢体不自由者を対象とする特別支援学校では、医療的ケア対象児も通学するなど学校整備当時とは児童生徒の実態が大きく変容しておりますが、これらの二校はその点でも建設当時の考え方に沿った時代おくれの施設のままであります。現在の児童生徒の多様なニーズに対応できるよう早期の施設整備が望まれています。
 教育委員会ではこうした問題点を認識し、平成二十三年策定の静岡県立特別支援学校施設整備計画においてこの二校について改築を行うことと決めています。早急に対策が必要とされた五地区のうち残りの三地区は、分校、本校の整備などが順調に進み二十七年度の掛川地区、榛南地区の本校整備で一応のめどが立ったところであります。しかし肢体不自由二校の改築計画については、計画策定から既に二年がたつのにいまだ進展の知らせが聞こえてまいりません。
 障害の重度、重複化及び多様化に対応できる教育環境を求める児童生徒や保護者の思いは切実であります。肢体不自由特別支援学校の改築計画を強力に推進し、さらなる特別支援学校への支援を充実すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 最後に、県警察の運営に対する警察本部長の所信について伺います。
 島根警察本部長におかれましては、去る六月二十一日付で警察庁刑事局刑事企画課長から本県の警察本部長として御着任されました。まことにおめでとうございます。本部長は、主に警察の刑事部門を歴任された捜査部門のエキスパートとして御活躍されていると聞き及んでおります。中でも北海道警察本部刑事部長時代、北見市における資産家夫婦殺人事件では長期に及んだ捜査を的確に指揮され、時効寸前に犯人を検挙、解決に導かれたとのことで、その捜査指揮能力を本県でも十分に発揮していただきたいと強く思うところであります。
 さて、我が静岡県の治安情勢等に目を向けましたとき警察の懸命な活動と地域住民との協働した犯罪予防活動を推進しているものの、強盗や殺人事件などの凶悪犯が発生し、またお年寄りなどを対象とした、いわゆる振り込め詐欺の被害に歯どめがかからないなど県民の皆さんが安心・安全を体感できるレベルに至るには、警察の一層の活躍が期待されているところであります。
 また、県内を横断する新東名高速道路の開通という新たな交通の大動脈を得て、今後交通環境が整い発展していく一方で我が静岡県内で交通事故により亡くなられた方は全国で二番目の多さとなっている現状から、警察がリーダーシップをとった交通安全活動はますます重要な課題になってくると思われます。さらに東日本大震災から約二年半がたとうとしておりますが、この六月二十七日には第四次地震被害想定が公表されており、大規模震災に対する県民の皆さんの防災意識はますます高まっております。
 また、富士山が三保松原を含めた形で世界文化遺産として登録が決定されたことにより国内外から注目されて人の往来が活発化することが予想され、警察による治安対策はますます重大になると思われます。
 そこで、静岡県警察の総指揮官として県民の不安を解消し安全で安心を体感できるまちとしていくための活動をどのように推進されていくのか、その所信について警察本部長に伺います。以上、代表質問とします。(拍手)
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鈴木澄美議員にお答えいたします。
 初めに、私の政治姿勢についてのうち、和をもってとうとしとなすとする私の姿勢についてであります。
 聖徳太子の十七条の憲法は日本最初の成文法として有名であります。その第一条に、和をもってとうとしとなし、逆らうこと、すなわち争うことなきをむねとなせとありまして、そして、物事を議論して同意が得られるならば、すなわちことわりおのずからに通う。何事かならざらんと、このようにこの第一条は結ばれているのでありまして、まことに傾聴するべき至言であると存じます。
 日本は、東西の両方の文明を吸収し調和を実現してきました。その歴史が物語っておりますように、多様なものを取り込んで、それぞれに所を得さしめて、多様なままでまとめる和という、そういう精神がございます。この和という概念は日本の文化の大きな特質であると考えます。明治から過去一世紀半にわたりまして西欧列強に倣い、日本も追求してきましたのは力の文明でございます。その功罪はございますけれども罪のほうを言いますならば、戦争による悲劇あるいは自然破壊あるいは環境破壊という限界も露呈しているところであります。私は日本が本来持っている和を大事にする和の文明が世界のモデルになり得ると見ておりまして、私自身も和を重んじる生き方を精進して誓っているところでございます。
 これを組織や人との関係に当てはめますならば、なれ合いではなくて互いの立場や意見の違いがあるのは当たり前なのでこれを尊重し、意を通じ合う努力を重ねることが大切であると考えます。もとより議員御指摘のとおりあるいは自民改革会議の各位さらに議会の各派も同じようなお考えだと存じますけれども、首長と議会との間には、ともに県民の負託を受けて二元代表制を担っております。その立場から緊張関係を保ちながら、闊達な議論を通じた県政運営をすることが求められています。
 その上で常に県民にとって最善の結論を導き出すということを目標にすることが大切です。そのためには私たちが、意見の相違があるということは前提にそれを超えて確かな人間としての信頼関係を築き上げていく必要があると思います。二期目を迎えまして、私は県議会の全ての皆様との間に会派を問わず、信頼関係を確立するための努力を惜しまない決意をしております。
 職員と私との関係においても同様です。職員六千人余が万事にわたって私と考えを一つにしているという必要はありませんし、そのことは望むべくもありません。しかし日ごろの意思疎通さえできておりますならば、職員各位がそれぞれの信念に基づきまして常に現場をよくするということを目的にそれを念頭にして積極果敢に仕事を進めてくれればというふうに望んでおります。前向きに仕事に取り組む中で当然失敗も生じましょう。失敗が生じたときには私が責任をとるということをしっかりと伝えたいと思っています。こうした私の考えを職員各位が理解していただいて、気持ちよく安心して仕事をしてもらえるために、これまで以上に職員との間の風通しをよくしてまいります。
 富士山の姿は誰がどこから見ても崇高です。すなわち人を選びません。場所を問いません。そのような意味で多様性の和という価値を体現していると存じます。私は県議会の皆様や職員との和を大切にしながら和をたっとび、社会の調和と平和に貢献するふじのくにづくりを進めてまいりますので、県議会議員の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げるものであります。
 次に、私の政治姿勢についてのうち、これからの四年間の県政運営についてであります。
 まず、県政の重点課題についてですが、私は県民三百七十万人余の負託に応え、引き続き全ての県民の皆様の幸せと静岡県の一層の発展のために、ふじのくにづくりに全身全霊を傾ける所存であります。知事就任以来貫いてまいりましたのは現場主義であります。この現場主義を基本姿勢とし、スピード感を信条といたしまして全力で取り組みます。まずは全ての課題を前倒しで解決をするべく、ふじのくにづくりの指針である総合計画の新しい基本計画の策定に着手いたしました。
 今後四年間で最優先するべき課題は県民の皆様の命を守ることです。また生活を守ることであります。地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進など南海トラフ巨大地震から県民の皆様の生命財産を守り、強靭な県土づくりを進めます。そして防災・減災と地域成長とを両立させる内陸のフロンティアを拓く取り組みを最重点施策として進めてまいります。
 また、若年者や女性、高齢者、障害者などへの年代や職種ごとのきめ細かな雇用対策、医療健康分野を初めとする新成長産業の育成などの経済対策、子育て環境の向上による少子化対策などの喫緊の課題にも重点的に取り組む所存です。
 さらに、国に先駆けた教育再生改革、健やかに生きる健康長寿日本一、また誰にも優しい福祉社会づくりも進めます。富士山の世界遺産登録などを生かした交流人口の一層の拡大に努めます。高規格幹線道路の整備促進にも努めます。また空港機能の強化など交流を支える基盤づくりをしっかりと進めます。さらに本県の豊かな資源についてしっかりとしたデータの把握に努めまして、先ほど三百三十九の農産物の食材数があるというふうにおっしゃいましたけれども、このような数字というようなものを通して、そこから立ち上ってくる本県の持っている中心性、いわば都ぶりというものをベースにいたしまして都づくりを進めるということでございます。日本における本県が持つ可能性を発揮させまして、ポスト東京時代のモデルとなる取り組みを進めてまいります。
 計画策定に当たりましては県議会を初め広く県民の皆様の御意見を賜り、「住んでよし 訪れてよし」、「学んでよし 働いてよし」、「生んでよし 育ててよし」の富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに全力で邁進してまいりますので、県議会の皆様の一層の御支援と御協力をお願いするものでございます。
 次に、財政運営についてであります。
 私は富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの早期実現のため、知事一期目の四年間で市町との協働等による税収確保、未利用財産の売却などによる歳入の確保、さらに補助金や事務事業の見直しなど歳出のスリム化にも徹底的に取り組みまして四年間で六百四十八億円余りの財源を捻出いたしました。捻出した財源は、小中学校の全学年で静岡式三十五人学級編制を全国に先駆けて完成させる。またそのための教職員の増員あるいはエネルギーの地産地消など、ふじのくにづくりの早期実現を推進する新規、拡充事業に活用してまいりましたし、その姿勢に変わりはありません。
 今後四年間でふじのくにづくりを総仕上げする道筋をつけるためには、地震・津波対策を初めとした県政の喫緊の課題に対応できる財政基盤の確立が不可欠です。それゆえこれまで以上に行財政改革に取り組まねばなりません。このため事業の重点化や効率化を徹底し、めり張りのある施策展開を図るほか現在策定を進めております新しい総合計画や行財政改革大綱の中で、こうした取り組みを一層強力に推進し必要な財源の確保に努めてまいります。
 こうした取り組みに加え防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みや成長分野の産業の育成など、本県経済の持続的な成長をもたらす取り組みを推進して、ふじのくにづくりの実現と将来にわたる安心な財政運営を両立させてまいりたいと決意しているところであります。
 次に、第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策についてのうち、まず地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の対応方針についてであります。
 先月末に公表いたしました第四次地震被害想定では、大変厳しい人的被害が想定されました。議員御指摘のとおり死者数を限りなく少なくすることが最大の使命です。アクションプログラムでは、想定される被害をできる限り軽減し一人でも多くの県民の命を守る減災。これを基本理念に十年間で集中して進めるハード・ソフトの両面にわたる地震・津波対策として、百五十一のアクションを明示しまして三つの重点施策を設けました。
 第一の重点施策は新たな津波被害想定への対策です。これによりまして防潮堤のかさ上げなど津波を防ぐ施設の整備によりまして、過去繰り返し発生している、いわゆるレベルワンの津波による人的被害を八割減少させることを目指します。またあらゆる可能性を考慮した最大クラスのいわゆるレベルツーの津波に対しましては、防潮堤を粘り強い構造へ改良するとともに――粘り強い構造というのは、レベルツーのものが来ましてもそれによって破壊されないというそのような構造のことをいいますが――そのような粘り強い構造へと改良するとともに、ハザードマップあるいは避難地、避難路の整備による迅速な避難を実現し――これはソフトでございます。大幅な減災を目指してまいります。
 第二は超広域災害への対応です。具体的に申し上げれば富士山静岡空港隣接地への基幹的広域防災拠点の整備を始めます。そして緊急輸送路の整備や耐震化、家庭での食料・飲料水の備蓄、避難所の機能充実などを進めてまいります。
 第三の重点施策は複合災害・連続災害対策でありまして、これは浜岡原子力発電所の原子力災害が複合して発生した場合、あるいは富士山の噴火が連続した場合の避難計画づくりや対処訓練を実施することをいいます。
 アクションプログラムは数値目標とその達成時期を明示いたします。定期的に達成状況を県民の皆様にお知らせして検証を行います。必要に応じて、より効果の高い地震・津波対策を改善してまいります。根本は一人でも多くの県民の命を守ることでございます。
 次に、地震・津波対策にかかわる予算措置、必要な財源の確保についてであります。
 アクションプログラムの早期具体化に向けましては、できることからスピード感を持って対応することが重要であると考えます。本年度におきましては段階的に補正予算を編成して対応するという考えでおります。具体的には、水門や堤防等の整備にかかわる調査設計の前倒しなど早期に事業化が可能な対策やソフト事業などにつきまして、今議会に追加提案できるよう目下鋭意準備を進めております。さらに来る九月補正予算以降におきましても、市町が機動的に地震・津波対策を実施するための新しい支援制度の創設を始めます。減災を図る上で必要となる事業に全力で取り組みます。アクションプログラムを着実に実施するためであります。
 また、必要な財源の確保についてでありますが、議員御指摘のとおり職員の給与削減というのは、こうしたことに対しては使うべきではありません。南海トラフの巨大地震は内閣府が去年の八月の末に出したものです。出していながら予算措置をとらないというのはまことに遺憾の極みであります。しかしだからといって国の予算を待っているわけにはまいりません。そこで今回の職員の給与削減は、あくまで今年度限りの臨時、特例的な措置として、ほかに財源がないものでありますからそうしたものとして実施するものであります。来年度以降につきましては国に対しまして、南海トラフの地震にかかわる地震防災対策の推進に関する特別措置法の早期成立を強く働きかけてまいります。これは国のするべき義務であります。国庫補助金のかさ上げなどの財政措置をも求めてまいります。
 一方、県みずからも徹底した行財政改革はもとより、個人県民税の徴収対策の強化による税収確保に努めます。そして議員も御指摘のとおり、私ども県民の命は皆で守らねばなりません。自助、共助、公助でございます。県民の皆様の御協力による寄附金もファンドを設けておりますので、そこに寄附金も賜れればというふうに念じております。また企業の皆様や県議会の御意見も伺いながらではございますけれども、来年三月末に期限が到来する法人事業税の超過課税の更新も選択肢の一つであります。あらゆる手段を検討いたしまして県民の命を守るため、財源確保に努めてまいる所存であります。
 次に、経済・雇用対策についてのうち、雇用の確保についてであります。
 県内の雇用情勢はこの五月末に発表されました数字によりますと、本年の一月から三月期の完全失業者数は六万五千人ということでございました。雇用創造アクションプラン策定時は八万二千人の失業者がいました。一番ひどいときには八万九千人という数字が平成二十一年第三・四半期に記録しております。現在は六万五千人でありますから一番ひどいときと比べますと二万四千人、策定時から比べれば一万七千人が完全失業者ではなくなっているということでございます。また五月の有効求人倍率も〇・八五と、プラン策定時からは〇・三三改善しております。これは官民一体となった取り組みにより、明るい兆しが見えてきたということで喜んでおります。
 しかし、このたび選挙期間中に県内をくまなく回りまして、多くの県民の皆様と接する中で雇用の確保や景気対策の充実を期待する切実な声を数多くお伺いする機会を得ました。改めまして雇用対策に全力を挙げて取り組む必要があるとの思いを強くしたところでございます。
 それを受けまして去る七月十日に雇用創造県民会議本部会議を開催いたしました。産業界、労働界など各界各層の代表の皆様と今後の取り組み等について協議した次第です。プランの目標に掲げる三万人の雇用創造の達成に向け、オール静岡で取り組んでいくことを確認いたしました。
 今後は内陸のフロンティアを拓く取り組み、健康・医療や次世代自動車、新エネルギーなど新成長産業の育成や企業誘致の推進、世界遺産富士山を生かした観光産業の振興、福祉施設の整備などを重点的に推進して、一層の雇用の場の創出を図ってまいります。有効求人数が多いのが「医療・福祉」、「宿泊業・飲料サービス業」、「卸売業・小売業」という統計数字がありますから、こうしたところは有効求人倍率が一を超えております。ですから、このミスマッチを早くなくさねばならないというように考えております。
 また、本年四月には若者、中高年、女性など幅広い求職者のニーズにワンストップで対応できるように既存の就労支援機関を統合したしずおかジョブステーションを新設いたしました。実効性の高い就職支援を進めるためです。さらに介護・福祉分野の雇用のミスマッチを解消するために、ここは仕事がありながら人が就職してこないということなので、何としてでもこの部門における介護の魅力発信や介護職員の賃金水準の向上などきめ細やかな就業促進対策に積極的に取り組みます。
 雇用の確保は、今後とも全県を挙げて取り組む必要がありますことから、来年度以降につきましても、次期総合計画の最重要課題の一つとして位置づけております。次代を担う人材育成や雇用の創造を実現するための多様な施策を盛り込みます。県民誰もが働いてよしを実感できる理想郷を目指し、全力で取り組んでまいります。
 次に、富士山の保存管理に向けた取り組みについてのうち、適切な保存管理と世界遺産センターの整備についてです。
 ことしの六月、第三十七回ユネスコ世界遺産委員会におきまして富士山が世界遺産に登録されましたことは、まことに喜ばしい限りであります。しかし同時に富士山を人類共通の財産として後世に継承していくという大きな責任を私たちは負うことになりました。ユネスコ世界遺産委員会におきましては、資産の総合的な構想を提出しなさい、また来訪者管理戦略を出しなさい、情報提供戦略などを定めなさいなどが勧告されるとともに、保全状況報告書をユネスコ世界遺産センターに二〇一六年二月一日までに提出するように要請がございます。まことに富士山の適切な保存管理について重い課題が課せられています。
 このため七月一日に静岡県世界文化遺産登録推進本部を保存管理推進本部に改組いたしました。登録後の富士山の保存管理に向けた体制を整備するということです。また富士山包括的保存管理計画に呼応した静岡県行動計画を改定いたしました。全庁が一丸となって適切な保存管理を推進しているところであります。あわせて保存状況報告書を最善のものとするために、本県のほか山梨県、国、関係市町村等で構成する富士山世界文化遺産協議会を中心にいたしまして、来訪者管理戦略などを来年末までに策定します。富士山包括的保存管理計画の改定にそれを反映させてまいります。
 富士山世界遺産センター――仮称でございますが――これにつきましては四つの基本コンセプトがあります。守る、伝える、交わる、きわめるとありますが、この基本コンセプトに基づく諸活動を全方位的にバランスよく展開する拠点として、現在の建物の設計に先立ちまして詳細な展示手法などを盛り込んだ展示計画を策定しています。
 また、富士山周辺の七市町から推薦をいただきました九つの建設候補地につきましては、それを一つに絞り込むための有識者の御意見を今伺っているところでございます。世界文化遺産としての登録コンセプトの適合性や美しい富士山の眺望など昨年度策定した基本計画に掲げる評価項目に基づき、総合的に判断してまいります。今後は保全状況報告書に記載する情報提供戦略の柱として、日本の国土のシンボルである富士山にふさわしい世界遺産センターの早期整備に取り組んでまいります。
 次に、富士山静岡空港の先導的経営についてであります。
 富士山静岡空港は、ふじのくにの空の玄関口であります。国内遠隔地や成長著しい東アジアなどから多くのお客様をお迎えし、世界遺産に登録された富士山を初めとするふじのくに静岡県を体感していただくことができますように、その能力を最大限に引き出していくことが課題です。
 県といたしましては、空港の設置管理者の責任におきまして富士山静岡空港の運営体制を見直すことといたしました。そのために先導的空港経営検討会議を立ち上げ答申をいただいたところでございます。それは航空会社からのさまざまな要望に応えるということが一つあります。また国際線利用者の滞留場所を確保するということもございます。また利用者へのサービスの向上を図るためでもあります。そうしたことを踏まえまして、旅客ターミナルビルを県有化した上でビルの増改築という一定の投資により機能強化を図ることがふさわしいという検討会議からの答申を得ました。同時に空港経営に県が積極的に関与するために富士山静岡空港株式会社に出資するとともに、滑走路等の基本施設とビルの管理運営を一元化しこれを指定管理者に委ねることによって、これまで以上に効率的な空港運営を実現してまいる所存です。
 一方、国際線に強い地方空港、日本一です。地方空港としては海外の人たちの乗降客数は日本一でございますが、その特色を生かしまして東アジア、東南アジア地域からの航空需要を取り込むとともに、国内線需要をも顕在化させるために、陸上交通機関から航空機利用へのシフトを働きかけるなど国際線、国内線のバランスのとれた積極的な利用促進策を講じることで、航空会社に便数の増加や新規路線開設を促し、そして利便性の向上がさらなる利用者の拡大を生むという好循環を実現してまいりたいと考えています。これらさまざまな取り組みによりまして競争力の高い空港へと変革し、近い将来には公共施設等運営権制度に基づく民間事業者による空港経営へ移行してまいりたいと考えています。
 これらの事業の推進に当たりましては過大な投資となりませんようコスト意識を徹底するとともに、県民の皆様を初め県議会議員の皆様の御理解をいただきつつ、おもてなしの心が行き届いた使い勝手のよい空港となりますよう全力を傾注してまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(中谷多加二君) 土屋経営管理部長。
       (経営管理部長 土屋優行君登壇)
○経営管理部長(土屋優行君) 知事の政治姿勢についてのうち、ふじのくに士民協働事業レビューの狙いについてお答えいたします。
 昨年度まで実施してまいりました事業仕分けでは、県民の皆様が公開の場で県の事業を評価する県民評価者方式を導入し、昨年度は全国最多となる百八十二人の県民評価者の皆様に御参画いただくなど積極的な県民参加を進めてまいりました。このような場を持つことは、事業の必要性などについて県民の皆様の御意見を直接聞くことができるとともに県の仕事に対し理解を深めていただく大変貴重な機会であります。本県が目指す透明性の高い行政運営の実現に向け、事業仕分けで行ってきたような県民参加型の行政評価が引き続き必要であると考えております。
 そうした中で、昨年度までに事業仕分けが一巡いたしましたことから本年度、新たにふじのくに士民協働事業レビューとして実施し、県民の皆様から施策目的にかなう事業の実施効果についての評価あるいは今後の事業展開のあり方について、具体的な御意見や御提言をいただくこととしております。この事業レビューの結果につきましては、積極的に県事業の見直しや改善に活用することにより総合計画のさらなる進捗を図ってまいりますとともに、県民の皆様の県政への理解促進及び信頼感の醸成をより一層進めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 吉林知事戦略監。
       (知事戦略監 吉林章仁君登壇)
○知事戦略監(吉林章仁君) 知事の政治姿勢についてのうち、県勢発展に向けた情報戦略についてお答えいたします。
 本県は、世界文化遺産に登録された富士山などの観光資源やお茶など高品質で多彩な食材、高い技術力を持ったものづくり企業などを有する世界に誇る場の力を持った地域であります。そうした場の力を戦略的に国内外に情報発信し、県勢の発展につなげていくことが大変重要であると考えております。
 具体的には、新東名の開通を契機に本県の豊かな自然や地域資源を活用したふじのくにの都づくりや防災・減災と地域成長を両立する内陸のフロンティアを拓く取り組みを進めますとともに、その先進的な取り組みを全国に情報発信をしているところであります。また食の都大路マップや静岡県のすごい産業遺産の発行など地域が有する有形無形の資産について、市町や団体とのネットワークを構築し、それらの資産を結びつけることによりまして新たな本県の資源として情報発信していく取り組みも進めており、来訪者の増加など地域経済の活性化にもつなげてまいります。
 県といたしましては、全庁を挙げてこうした情報戦略を一層進めていくため、知事をトップに各部局広報監により構成される広報広聴会議で重点広報テーマを設定するなど広報戦略を策定しているところであり、情報の共有や広報効果の検証をさらに進めてまいります。
 あわせて世界遺産富士山や世界お茶まつり、浜名湖花博十周年などふじのくにの活力ある話題を知事のトップセールスなどを通じ海外や首都圏などに情報発信いたしますとともに、マーケティング力や発信力にすぐれた民間のノウハウも取り入れながら市町や団体などと連携をし、国内外に効果的な情報発信ができるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策についてのうち、津波対策施設整備の推進についてお答えいたします。
 津波対策施設の整備につきましては、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づきレベルワンの津波による人的被害を八割減少させることを目標として、津波を防ぐ施設高の確保や堤防を津波が超えても機能が損なわれない粘り強い構造への改良などの質的強化を県内全域で進めてまいります。
 また、こうした施設整備に加え津波の到達時間が短く沿岸地域に多くの人口、資産が集積しているという本県特有の課題に対応するため、住民の合意など条件が整った地域では既存の防災林、砂丘、道路のかさ上げなどを行う静岡モデルの整備を進めることとしております。
 県では、アクションプログラムの着実な実行のため沿岸の全二十一市町と勉強会を開催し、情報の共有化を図ったところであります。今後は国、県、市町などで構成する検討会を早期に設置し、施設整備の進め方や静岡モデルのあり方について検討を進めてまいります。
 県といたしましては、早期に事業効果の発現が得られるよう事業執行の優先度などについて市町と協議しながらこうした取り組みをできる限りスピード感を持って推進し、県民の皆様が安心して暮らせる地震・津波に強い県土づくりの実現に努めてまいります。
 次に、強い農業づくりに向けた農山村の整備についてであります。
 強い農業づくりを推進していくためには、世界の食の市場規模の急速な拡大や国内のライフスタイルの大きな変化を好機と捉え農業の構造改革を加速化する生産基盤の整備等を推進するとともに、本県の強みを生かせる新たな市場の創造や他業種との連携を通じた農業の高付加価値化を図ることが重要であります。
 このため県では、農業生産の低コスト化を可能とする水田の大区画化や樹園地の農道網の整備等を効率的に進めながら地域農業の中心となるビジネス経営体等への農地集積を促進し、農業の体質強化を図ってまいります。
 また、農山村の有する美しい景観を農産物のイメージアップに活用することが新たな市場の創造や農業の高付加価値化を進めるためにも効果的であることから、周囲の自然景観と調和した生産基盤の整備を進めるとともに、農村景観の保全活動等を県民運動として展開するふじのくに美しく品格のある邑づくりを推進してまいります。
 これらの取り組みにより全国に誇る高い生産力を実現するとともに、富士山や浜名湖等の豊富な地域資源を戦略的に生かしてふじのくにの都づくりにふさわしい農山村のたたずまいを創出し、次世代に継承される農山村の整備に努めてまいります。
 次に、富士山の保存管理に向けた取り組みについてのうち、富士山周辺の景観形成についてであります。
 富士山が世界遺産に登録されたことで富士山周辺の美しい景観を次代に継承していくことが、これまでにも増して大変重要になってまいりました。景観は地域によりそれぞれ特性がありますので、景観の保全と形成に当たっては市町と十分な連携を図っていくことが大切であると考えております。
 富士宮市では、景観を阻害するおそれのある大規模建築物や工作物、メガソーラーなどに対応するため景観法に基づく事前届け出制度を設けるなど先進的な取り組みを行っているところであり、県といたしましては、こうした取り組みを他の富士山周辺市町にも広め積極的に良好な景観の保全と形成に努めてまいります。
 また、広域連携の一環として策定した富士山周辺景観形成保全行動計画では、地域全体で取り組むべき施策を掲げ、世界遺産の構成資産周辺や玄関口となる鉄道駅など四十二の重点箇所を対象に短期、中期、長期の取り組みを工程表として定めたところであります。
 今後は富士山地域景観協議会において連携を図りながら、この工程表に基づいて電線類の地中化や屋外広告物対策等の具体的な取り組みを着実に進めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
       (経済産業部長 渥美敏之君登壇)
○経済産業部長(渥美敏之君) 経済・雇用対策についてのうち、中小企業対策についてお答えいたします。
 本県経済が持続的に発展していくためには、国内外の経済情勢の変化に対応できる多極的な産業構造への転換を図っていくことが必要であります。本県では中小企業がこれまでに培ってきた技術などを生かし、健康医療を初め新エネルギー、航空宇宙産業などの成長分野に参入できるよう支援を行ってまいりました。本年度からはこうした取り組みをより一層加速するため、事業化のための研究開発や販路開拓などに重点を置いた新成長産業戦略的育成事業を実施しており、県制度融資にも成長産業分野支援資金を新設いたしました。
 また、産業支援機関や金融機関との連携強化を図り、引き続き経営革新計画の承認件数が全国第一位となるよう努めるとともに、新たな商品開発や販路開拓を促進する地域産業総合支援事業費補助金を増額し中小企業における経営革新の取り組みをより一層支援してまいります。
 さらに、国のいわゆるものづくり補助金などの経済対策や新たな成長戦略にも迅速的確に対応するとともに、商工団体や金融機関と定期的に意見交換を行うなど現場の声を伺いながら経済環境の変化に対応した機動的な支援策を実施し地域経済の活性化、中小企業の振興に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山の保存管理に向けた取り組みについてのうち、利用者負担についてお答えいたします。
 富士山における利用者負担については、去る五月二十八日に富士山世界文化遺産協議会作業部会を開催し、富士山の適切な保存管理に必要な財源とすることで静岡・山梨両県の自治体や住民代表、観光関係者等の皆様の合意が得られたところであります。あわせて御協力いただく負担金は、登山者の安全対策と富士山の環境保全に充てることとし、登山者など関係者の理解が得られやすいものとなるよう今後具体的に検討することといたしました。
 また、環境政策や観光政策などの専門家で構成する富士山利用者負担専門委員会の検討結果を踏まえ、六月二十八日の作業部会においてこの七月二十五日から十日間、富士山保全協力金の名称で千円を基本に任意の協力をお願いし、あわせてアンケート調査を行う社会実験の実施を決定いたしました。
 来年度本格実施する際の制度設計については、社会実験で得たデータを踏まえ専門委員会で具体的な使途や実施方法等を検討していただき、作業部会で合意を得た上で年内には最終方針を決定する予定であります。利用者負担制度を富士山を保全する取り組みの一つとして、静岡・山梨両県連携のもと関係する皆様の御理解と御協力をいただきながら実施することで美しい富士山の保存管理に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 医師、看護職員の確保についてお答えいたします。
 医師の確保につきましては、平成二十二年に県及び県内の医療機関や医科大学等が一丸となって医師確保対策を推進するふじのくに地域医療支援センターを全国に先駆けて設置し、専門医研修ネットワークプログラムや家庭医養成プログラムの整備など魅力ある研修環境づくりに取り組んでまいりました。またここ四年間で全国最大規模の四百人を超える医学修学研修資金の貸与など将来における本県の医療を担う人材を確保するための対策もあわせて推進しているところであります。
 今後は、県内の地域医療の特色や病院に勤務する指導医や研修医からのメッセージなどを全国の医学生等に情報発信するとともに、医学修学研修資金貸与者への定期的な面談などきめ細かな対応を行うことにより医師の県内定着をより一層推進してまいります。
 看護職員の確保につきましては、県内の看護職員養成数の増加と離職防止及び再就業支援に取り組むことが重要であります。このうち看護職員養成施設の入学定員は、本年四月に常葉大学健康科学部が新設されたことなどから全体では千四百三十三人となり、今後新規卒業者は着実に増加していく見込みとなっております。
 また、毎年一〇%程度に上る県内の離職者の防止を図るため、新人看護職員の臨床実践能力の早期習得を目的とする研修や院内保育所の拡充などを進めるとともに、夜間勤務時の負担軽減を図る就労環境改善など現場の声に即した新たな支援策についても検討を進めております。さらにナースバンクを通じた就業相談やあっせん、未就業の看護職員が最新の知識や技術を学ぶための講習会の開催など安心して再就業するための支援を行っているところであります。
 県といたしましては、誰もが安全に暮らすことができる社会の実現を目指し県民に安心していただける医療を確実に提供できるよう、その根幹となる医療人材の確保に全力を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 原子力対策についてのうち、初めに浜岡原子力発電所の再稼働に係る県民投票についてお答えをいたします。
 現在浜岡原子力発電所は、津波対策を初めフィルターベントの設置、非常用電源の強化などの原子力規制委員会が定めた新たな規制基準に適合するための安全対策を講じている途上であります。全ての安全対策が整った後に原子力規制委員会が審査を行い、安全性を判定することとなります。さらに浜岡原子力発電所は、政府の要請により停止しておりますことから、再稼働に支障がない旨の政府の判断が必要であると考えております。
 こうした判断が示された後、県といたしましても国と中部電力に十分な説明を求め、静岡県防災・原子力学術会議の御意見も踏まえ浜岡原子力発電所の安全性について判断してまいります。これらの判断の過程におきまして、安全性について県民の皆様が御判断できる環境が整った段階で県民の皆様または県議会の皆様方から御提案いただき、県民投票によりお考えを伺うことが必要であると考えております。
 次に、環境放射線監視センターの機能の確保についてであります。
 環境放射線監視センターは、原子力災害発生時には住民の避難や食物摂取制限を判断するための放射能測定などの緊急時モニタリングの活動拠点として機能する必要があります。しかし現在は、浜岡原子力発電所から二キロメートルの距離に立地し築三十二年を経過して老朽化が進んでいる上、空気浄化フィルターなどの放射線防護設備やモニタリング要員の除染設備を整えておらず大規模な原子力災害が発生した場合には、その役割を十分に果たすことができないため建てかえを検討していたところでございます。
 原子力災害が発生しますと環境放射線監視センターに参集する要員は、現地対策本部となるオフサイトセンターの指揮下で緊急時モニタリング活動を行うことになりますことから、両施設は近接することが望ましいと考えております。さらに建屋を初め空気浄化フィルターなどこれら施設に特有な設備の共有ができれば、経費の削減効果も期待できます。このため環境放射線監視センターにつきましては、議員御指摘のとおり既に富士山静岡空港隣接地への移転を進めているオフサイトセンターの建設にあわせ整備を検討することにより、原子力防災体制の強化に努めてまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めに教育行政のあり方についてお答えいたします。
 県教育委員会では、教育行政のあり方検討会からの提言のありました全体で四十一項目の具現化に向けて現在協議を進めており、このうち特に組織、定数等に関する十二項目につきましては、教育委員会事務局の組織体制検討プロジェクトチームにおきまして知事部局と連携して検討をしているところであります。
 今月十日の教育委員会定例会におきましては、学校教育を取り巻く諸課題や国レベルでの議論、これまでの組織再編の経緯等を踏まえ、指導力向上、市町教育委員会の自立促進、教育行政の効率化の三つを共通の視点とするなどの対応方針を了承いたしました。具体的には教育委員会事務局における業務や市町の教育行政体制の現状と課題を把握し、また学校指導面での総合教育センターと学校教育課、人事面での教育事務所と学校人事課との関係を精査しており、今後これらの結果を踏まえて組織体制を検討してまいります。
 その他の提言項目につきましては大学教授、校長、事務長等から成ります検討委員会を設置し、計画と予算が一体となった実効性のある学校経営の仕組みにつきまして検討するなどの取り組みを進めております。
 今後、提言に対する具体的な方策を秋までに決定し、国の教育委員会制度改革の動向も踏まえながら必要に応じて見直しを行い、本県教育行政の一層の改善充実に努めてまいります。
 次に、特別支援学校の支援についてであります。
 県教育委員会では特別支援学校で学ぶ児童生徒一人一人のニーズに応じた教育を行っていくため、平成二十三年三月に静岡県立特別支援学校施設整備計画を策定し、学校施設の整備充実を図っているところであります。この計画におきまして東部特別支援学校及び西部特別支援学校につきましては、建築後四十年以上が経過し校舎本体や電気、水道設備などの老朽化が進んでいることから、改築を行うこととしております。また児童生徒の障害の重度、重複化及び多様化に伴う車椅子の大型化や医療的ケア、送迎等に対応できる面積の確保など機能面における改善につきましてもあわせて行う必要があると考えております。
 しかしながら、両校とも学校敷地に余裕がなく現在地での改築については困難を伴うことも予想され、また西部特別支援学校につきましては、専門性を持つ医療機関が近くにないことから移転改築も含めて多角的に検討しており、今後関係者との協議を行いながらできるだけ早期に両校の具体的な改築方針を定めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 県警察の運営に対する所信についてお答えいたします。
 県警察の最高責任者として課せられた責務を果たし、静岡県の安全・安心を確保するために何よりもまず県民の期待と信頼に応える警察の構築を目指してまいります。
 最近の犯罪情勢を見ますと刑法犯認知件数は減少しておりますが、本年は振り込め詐欺が発生件数、被害金額ともに増加しているほか、凶悪犯罪や暴力団犯罪の脅威も依然として大きい状況にあります。このような事案に対しては、関係機関と連携した発生抑止対策や暴力団排除対策を講ずるとともに迅速な初動捜査による検挙活動を強力に推進してまいります。また事案の発生、検挙に当たりましては、県民の皆様の安心感の醸成のための積極的な情報発信にも努めてまいりたいと考えております。
 次に、交通死亡事故対策の推進であります。
 本年の交通事故死者数は六月末の時点で八十八人、全国ワースト二位という厳しい状況でしたが、本日未明には百人と極めて憂慮すべき状況にあります。事故状況の分析に基づきまして、夜間の視認性を向上させる自発光式反射材のさらなる普及や警察官の街頭活動の強化など諸対策を講じて交通死亡事故の抑止に取り組んでまいります。
 また、さきに公表されました県の第四次地震被害想定においても甚大な災害被害が想定されているところでありますが、有事の際の迅速的確な対応により県民の被害を最小限に抑えることができるよう関係機関と連携の上あらゆる事態を想定した備えを推進してまいります。
 さらに、富士山が世界文化遺産に登録されたことに伴いまして登山者が増加し山岳事故等の増加が懸念されることから、的確な対応に努めてまいります。
 以上のような取り組みを着実に推進してまいりたいと考えておりますが、最後に県警察としての仕事への取り組み方について申し上げます。
 警察全体として最大限の力を発揮し、警察が県民から信頼されるよい仕事をするために共有すべき取り組み姿勢として、着任時部下職員に対して、力強く頼られる警察を目指す、意気に感じて仕事をする、心を開き結束するという三点を指示いたしました。こうした姿勢を堅持し組織一丸となって仕事に取り組み、県民の期待と信頼に応えてまいる所存であります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇)
○十番(鈴木澄美君) 細やかな答弁、それぞれありがとうございました。ここで少し感想と、それから質問を二、三させていただきます。
 まず、知事の和をもってとうとしとなすと。これは私たちもこの言葉の意味をしっかりと自分たちも理解をしながら県政運営にしっかりと努めていきたいなというふうに思っております。
 それから、先ほど災害の問題の中で財源をどうするかということで、国にしっかりとというお話がありました。実は参議院選、この選挙の直前に災害対策特別委員会の中でも、ある法が通って、そしてそれに対するさまざまな手厚い流れができるということをこの参議院選の選挙の中でも候補者たちの話の中からあったわけでして、ここで新たな体制の中でまた今知事がおっしゃったようなことで、しっかりと県に対してもいろいろな県の要望を吸収していただけるというふうな体制ができることを私は信じております。
 それで質問ですが、津波対策の施設整備の関係ですけれども結局今回、沿岸二十一市町からさまざまないろんな要望が一斉に上がってくるというふうに考えますと、それを十年間で約四千数百億のお金を投資してそれで守っていくということになった場合に、その順番を先ほど説明の中にも優先度について検討していくということでしたが、それぞれの地域から要望があってその優先順位をどのように進めていくかというのは、そこに住む県民の命の――はかりにかけちゃいけないのかもしれませんが、そういう立場からしたらしっかりとした説明をする必要があると思いますが、そのあたりの方向性についてどう考えているかについてお聞きします。
 それから経済対策につきましては中小企業、特に今大変だということですが、私は本県が制定しました一流のものづくり・もの使い振興条例の中で、この中では農林水産業というのは比較的その製品が目にわかって、特に販路拡大のところで見れば県民は比較的あるいは県外の人たちも消費しやすいという流れにあるのかもしれませんが、ものづくりの中の製造業の中の中小企業が主にやっている部品であるというふうなものについては、製品が形として見えることが非常に少ないので、この部分については今の条例のままでいいのかどうかということについて今後どうしていくのか、私はここの部分に少し課題があると思いますので、考えをお聞きしたいと思います。
 それから富士山の周辺景観のことであります。富士宮市が、先ほどソーラーパネルの話があるということで御答弁の中では事前届け出ということでしょうか。任意ですね。その流れについてということですが、地元のお話を聞いていると届け出で、一方で静岡県として富士山の景観を守っていくという姿勢に対して、それで果たして届け出だけで十分なのだろうかというふうなことは感じました。つまり今回の場合は、エネルギー対策の中で必要な設備ではあるけれども富士山をしっかり景観で守っていくというのは、この静岡県がどういうふうにそこにかかわっていくかということも重要だと思いますので、いま一度そのあたりについて単純に届け出を応援するかのような言葉ではなくて、もう少し踏み込んだ県としての考え方を御答弁を求めます。以上で私からの質問を終わります。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) まず初めに、津波対策施設整備の推進についての再質問に対してお答えいたします。
 現在津波対策事業につきましては、三次想定の対策ということで進めております。現在実施している事業につきましては見直しの必要のないもの特に変更のないものについては、例えば水門の耐震化とか今までと変わらないものについては、まず初めに早期に完了を目指して継続をしていきます。
 また、新しく整備を実施する箇所につきましては、これから詳細な設計また詳細な調査、そしてその結果によりまして基本的には効果の大きいところから進めます。それにつきましては当然地元の状況等も考慮しなければなりませんので市町としっかり協議をした上で地元の理解を得ながら、優先順位を決めて進めていきたいというふうに考えてございます。
 それから、富士山の保存管理に向けた取り組みのうち、富士山周辺の景観の形成ということでございます。
 富士宮市が現在進めているのは、景観計画において尾根の上とか丘陵地とかそういう高台のところについてはそういうものはつくらないでほしい。またできるだけ低くして周辺の景観から突出しないでほしい。また敷地の境界からできる限り後ろに下がって、必要に応じて植栽などをやって景観に配慮するというようなことを景観形成基準が定められております。これに適合しない場合には勧告ができるというような形になってございます。
 県といたしましては、こうした取り組みを富士山周辺の市町にも導入をしていただき景観の配慮を行ってまいるというふうに考えてございます。周辺市町と連携をしまして、また議会の力もお借りしまして規制の強化について国にも必要があれば働きかけをしていきたいというふうに考えてございます。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
       (経済産業部長 渥美敏之君登壇)
○経済産業部長(渥美敏之君) 中小企業対策の再質問にお答えいたします。
 議員のお話にございましたように本県では、二十三年三月に静岡県の地域資源の活用と新しい価値の創造によるものづくりの振興に関する条例が制定されております。この条例は本県が持つ人、技、物の場の力を活用して本県のものづくり産業の発展を促し、本県経済の発展と県民生活の向上を目指すものでございます。
 このものづくり産業には、議員御指摘の中小企業者も含めたものでございまして、ものづくり事業者や県などの役割あるいは新たな事業分野への進出など県が実施する施策の基本方針などを定めてございます。さらにその実施計画として経済産業ビジョンを定めて、現在中小企業施策を推進しておるところでございます。現在総合計画の見直しに合わせまして、この経済産業ビジョンを見直しているところでございますので、その中で今後中小企業対策を一層振興するような施策を打ち出してまいりたいと思っています。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) これで鈴木澄美君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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