• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

三ッ谷 金秋 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/07/2014

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 ふじのくに観光立県の実現に向けた取り組みについて        
 (1) 地域資源を活用した海外誘客                  
 (2) WiFiの整備促進                      
2 修学支援について                        
 (1) 医学生及び専門研修医への医学修学研修資金貸与制度       
 (2) 大学等への就学支援                      
3 デング熱などの蚊が媒介する感染症対策について          
4 企業誘致と県内企業の定着促進について              
5 遠州灘沿岸の津波対策について                  
 (1) 市独自の防潮堤整備に対する補助制度の創設           
 (2) 海岸防災林の再整備と砂丘の再構築               
6 ぼう僧川の治水対策について                   
7 全国学力・学習状況調査結果と課題について


○議長(多家一彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十八番 三ッ谷金秋君。
       (六十八番 三ッ谷金秋君登壇 拍手)
○六十八番(三ッ谷金秋君) 昨日の台風で被災をいたしました県民の皆さんに心からお見舞い申し上げ、早い復旧をお祈り申し上げます。
 それでは、通告に基づきまして県政の諸課題につき、知事並びに関係部局長並びに教育長に一括方式で質問をいたします。
 初めに、ふじのくに観光立県の実現に向けた取り組みについてのうち、地域資源を活用した海外誘客について伺います。
 NHKの「日曜討論」の中で、外国のお客様を誘致するためには生活文化に根差した観光を目指すべきだとの発言があり、近年は観光のために物をつくり売り出すことが往々にして目につく。小さな可能性はあるが大きな可能性には至らないと結ばれました。つまり日本人としての生活や自然など身近なことを魅せることが観光である点を強調しています。私も県内地域資源の再確認は、観光立県静岡には必要だと考えています。
 折しも九月十六日、観光庁が訪日観光客の増加を目指し、インバウンドを見据えた着地型観光調査事業のモデル地域として富士山周辺等四地域を指定いたしました。モデル地域では、地元の魅力をよく知り地域資源を生かした旅行商品やプログラムをみずからつくり、観光客を受け入れる着地型観光を実践すべく、本年度はモデル地域の課題や問題点を調べ手引書にまとめるとのことであります。これらは今日まで私たちが気づかない新たな観光資源の発掘には欠かせない事業であります。
 そこで、地域とともにふじのくに静岡の魅力を再認識し地域のすぐれた資源を活用した海外誘客を推進するため、県としてどのような取り組みをしていくのか伺います。
 次に、WiFiの整備促進について伺います。
 多くの外国人観光客の日本に対する要望の第一位は公衆無線LANの充実であります。WiFiでインターネットとつながり、フェイスブックやツイッターなどのSNSを使用し、写真とともに旅行記を投稿することや日本の旬な観光情報を取得することを旅行中の楽しみの一つと考えているようであります。
 富士山の世界遺産登録により富士山に登頂する外国のお客様も増加し、外国人へのおもてなしの課題も報告されています。八月十三日に山頂での御来光に歓声が上がり、日本人登山者が御来光の写真を無料通信アプリで送信している中、ルーマニアから新婚旅行で訪れたお二人は持参したスマートフォンで記念撮影をいたしましたが、契約していた日本の携帯電話の電波が使える国際ローミングは通信料が高いから使わなかったようです。新郎が、せっかくのハネムーン、この写真がフェイスブックにアップできればよかったと話したと報道されています。観光庁の実態調査では、訪日外国人の五割くらいが無料WiFiがあればと回答しており、専門家は外国人観光客にとって、無料WiFiは水がきれい、治安がよいと同じくらい重要な基準だとも説いています。
 そこで、期限限定であっても日本を代表する富士山山頂付近での整備促進は、本県の観光振興や富士山観光にも大きなインパクトを与えると考えます。外国人観光客への一番のおもてなしになるWiFi環境の整備について、どのような対応を考えているのか、当局の所見を伺います。
 次に、修学支援についてのうち、医学生及び専門研修医への医学修学研修資金貸与制度について伺います。
 この制度は、県内における医師の充足を図るために修学研修資金を貸与し県内医療機関への就業を促進すべく平成十九年に制度化され、当時の応募者は十七名でありましたが、県内外の学生や保護者、高校への周知徹底がなされ平成二十一年度には百五十一名の実績を残しています。地域医師会や中小の病院、公立病院などは、後継者対策とか専門医を確保する意味でこの制度に大きな期待を寄せています。私の地元、磐田市立総合病院でも、この制度により本年度九名の医師の配置を受け医療の充実を図ったところであります。
 本年度も、当初予算に九億七千九百万円余の予算を確保し、その新規貸与枠も百二十人とし募集に取り組んでいます。しかしながら当局の努力にもかかわらず、九月一日現在の申し込み件数は九十四人で第四次募集をしていると説明を受けています。
 また、過日三日の質疑では、制度対象の公立病院の扱いで知事が指定する公立病院に準ずる病院が、あるいは病院の選択、あるいは指定をしたというような理由での説明が、私は十分に理解されていなかったと伺っています。このことからこの制度のこれからの動向に注視してまいりたいと思います。
 そこで、県内医師充足を図る趣旨から本年度の新規貸与枠百二十人全員の確保に努めるとともに、社会情勢の変化に呼応しより魅力ある制度となるよう見直しを図るべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、大学等への就学支援について伺います。
 経済的に恵まれない子供ほど大学への進学率が低いと報道されています。その理由として、塾に通えず学ぶ意欲を失い必要な学力を身につけられない、あるいは学力があっても学費や在学中の生活費を出せる見込みがなく、苦渋の選択の中、進学を諦めてしまうケースが少なくないと言われています。国の調査統計においても大学への進学率は全体で四七・四%ですが、生活保護世帯の場合は一五・六%にとどまり親からの貧しさが受け継ながっています。また文科省の調査報告によれば、平成二十四年度の大学や短大を中退した学生のうち経済的理由が二〇・四%と最も高い数値を公表しています。前回調査から大幅な増加を示し、中退者は全学生の二・七%、七万九千人に及んでいます。
 各種の奨学金制度に加え私大などでも入学金免除や成績優秀者の授業料の免除などが実施されておりますが、病気などの理由で働くことができない親を持ち生活保護を受けている家庭の子供であっても、大学に進めば生活保護の対象から外され生活費も自力で確保する必要が生じるなど厳しい現実にさらされています。
 国家百年の大計が学問にあるとすれば、学んでよしを標榜するふじのくに静岡県として貧困の連鎖を打ち切る就学支援に踏み込むべきだと考えます。知事の所見を伺います。
 次に、デング熱などの蚊が媒介する感染症対策について伺います。
 国内での感染が七十年ぶりとなる今回のデング熱は、東京代々木公園からの感染が確認されています。拡大の一途をたどり、厚生労働省の発表では、その患者数は九月十八日現在、全国で百三十三名となり県内でも二名が感染したと報道されています。戦中には昭和十七年に東南アジアから帰国した船員により病気が持ち込まれ、三年間にわたり数万人を超える患者を出したこともあり、感染する可能性は以前から指摘をされております。厚生労働省も対策マニュアルを作成し警戒を強めていました。これらは日本各地に生息するヤブカの一種ヒトスジシマカに刺されて感染したものです。近年、海外との交流は活発化しており、海外に存在する感染症を国内で発症する人は今後もふえると推測されています。ワクチンや治療薬がない感染症もあることから、厚生労働省は渡航地域に応じたワクチン接種とあわせ、蚊に刺されない対策を推奨しています。
 一方、地球温暖化が蚊の生息エリアを広げているとして問題視され始めました。さらに困ることに、国内に持ち込まれるのはウイルスだけではなくウイルスを運ぶ蚊そのものが航空機や貨物に乗って運ばれてくると言われています。成田空港では、旅客ターミナルや駐機場などで毎年のようにデング熱を媒介するネッタイシマカが発見されています。救いはデング熱が人から人に感染しないことです。しかしデング熱は、人により症状が出ないとか軽い風邪のような症状で終わる患者もいると言われ、不安を覚える県民も多いと感じています。感染症を防ぐには、初歩的と言われてもまず個人が蚊に刺されないことを心がけるとともに、行政も蚊の幼虫であるボウフラなどが生息しない都市環境の整備を進める必要があります。しかしながら行政だけで蚊の駆除といった地域全体の環境整備を進めるには無理があります。ふだんから住民が蚊をふやさないよう取り組むことも重要であります。
 そこで、静岡空港を初め港湾や高速道路など多くの交流窓口を抱える本県において、今後、蚊が媒介する感染症についてどのような対応策を講じていくつもりなのか、当局の所見を伺います。
 次に、企業誘致と県内企業の定着促進について伺います。
 先般、新聞記事に「『誘致』情報戦、迅速さが鍵」との見出しが躍りました。全国有数のものづくり県として成長を遂げてきた県内経済が、生産拠点の海外移転や県外転出により製造品出荷額の減少、雇用環境の停滞、若年層の流出による人口減少など大変厳しい状況下にあります。リーマンショック以来停滞していた国内経済は上向き傾向となり、製造業での設備更新や新たな設備投資が見受けられ生産拠点再編の動きも活発化する中で、東日本大震災の教訓や事業継続の観点などから、県内の企業の中には会社機能の県外移転や分散した事例が見受けられます。このような震災リスクは、企業誘致活動において他県からつけ込まれる弱点になっています。
 県では、これまでも企業の設備投資や工業用地の供給に対する支援制度の拡充、創設などに取り組み、企業の誘致や定着促進に力を注いできたことは十分承知をしています。しかしながらさらなる県内経済の回復のためには、県内企業が他県に移転した事例を踏まえ、新聞記事に掲載されているような県からは工業用地の情報提供は受けたものの踏み込んだ対応がなかった、移転先の自治体では熱心さとスピードがあったなどと言われないよう、これらを反省材料にして県外からの企業誘致はもちろんのこと、今後は企業の定着促進にも取り組むべきと考えますが、当局の所見を伺います。
 次に、遠州灘海岸の津波対策についてのうち、市独自の防潮堤整備に対する補助制度の創設について伺います。
 南海トラフを震源とする巨大地震に伴う津波対策において、遠州灘沿岸の防潮堤整備は被害軽減対策となりました。関係する市当局は、沿岸住民の安全・安心を確保するためにも必要な水門など施設整備を含め、早期の事業着手が要請されています。
 しかしながら、浜松市のように特別寄附に基づく防潮堤整備工事は天竜川以東には期待ができません。現在、磐田市や袋井市では静岡モデル推進検討会等の議論を経て市独自の整備方針を掲げ、浜松方式ではなく盛り土構造で津波が乗り越えない高さの防潮堤の整備を決定し、磐田市では事業着手したところであります。
 市独自の防潮堤整備には多額の費用が必要となる中で、県の緊急地震・津波対策交付金では、命山や避難タワーは交付対象になりますが防潮堤の整備は対象にはなりません。既存堤防の内側に整備するこれらの防潮堤は、いわゆる命山の連続であるとも考えられますし、本来は国や県が行うべきと考えるのが当然であります。こうした市独自の防潮堤の整備に対する補助制度の創設は、事業化に弾みをつけるとともに完成年度の前倒しにもつながります。
 そこで、一刻も早い津波対策を講じるためには、防潮堤の整備に対し新たな補助制度の創設が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、海岸防災林の再整備と砂丘の再構築について伺います。
 磐田市内の遠州灘に面した地域では、防災林の侵食対策として盛り土構造の防潮堤の災害復旧工事が施工されています。これらは被災した防潮堤の復旧とあわせ防潮堤背面に盛り土をし、仮設の作業ヤードを設置しているものであります。こうした工事は地元への不安解消の意味からも欠かせないものであり、市独自で防潮堤工事に着手した磐田市にすれば東西延伸に期待を込めています。
 そこで、防災林の再整備を含め、砂丘の再構築について県としてどのように取り組んでいくのかを伺います。
 次に、ぼう僧川の治水対策について伺います。
 三年前の東日本大震災以降、防災に関する地域住民の意識は大きく変わり、自助、共助の意識は確実に高くなっています。それらの事例の中には、生活に必要な堤防道路、あるいは学生などが通学に使うこともあり、堤防上の草刈りなど自治会や自主防災会などが積極的に取り組んでまいりました。
 このような活動が報告された五月には、磐田市自治会連合会の支部長から三十九名の自治会長の連名で、今ノ浦・ぼう僧川治水に関する要望書が提出されたと伺っています。これらは南海トラフ巨大地震や異常気象がもたらす大雨などに対して不安を抱いての陳情です。要望の内容は多岐にわたりますが、東橋付近・耐震水門、左岸堤防では堤防内に樹木が根を張り、のり面のコンクリート部分には亀裂、崩落も随所に見られ五年前には漏水が確認されています。また東橋と西橋間の浜野ポンプ場樋門、ぼう僧川右岸の水門でも両脇の堤防が崩れ、土のうでの応急復旧のままになっています。
 このほかにもぼう僧川と今ノ浦川の合流点では水流による侵食が激しく補修を要望しています。このほか数年前からは堤防上に亀裂が目立ち始めており、補修だけではなく堤防そのものの強度調査をするように要望しています。また要望のほかには、満潮時の入り波では堤防天端にも波が及び不安の声も高まっていると聞いております。
 このような状況を鑑み、早急な対策が必要だと考えますが、県としての対応策を伺います。
 最後に、全国学力・学習状況調査結果と課題について伺います。
 本年度、全国学力・学習状況調査の結果が公表され、県内からはさまざまな反響があり意見が寄せられています。昨年度、小学校国語Aが全国最下位ということで注目された小学校国語Aでは正解率が大幅に改善され、中学校では全ての分野で例年以上と全国上位の結果を残したと伺いました。これらは、県、市町教育委員会、そして現場で尽力された教職員の先生方と期待に応えた児童生徒たちの頑張りのたまものであり、敬意を表し評価をするものであります。
 しかしながら、調査の公表方法をめぐりお互いに自己主張を繰り返す現状には、県民も困惑しています。佐賀県武雄市では、発信力の強い単なる数値に分析や改善策を添えて価値をつけ、地域ぐるみの教育を目指す手段として利用していますし、県内でも先日吉田町が、結果を共有化して学力向上に生かす目途で今後の対応や成果、課題も付記した公表をいたしました。調査結果を生かすべきは教育行政の根幹です。
 そこで、教育活動にこの結果をどう生かしていくのか教育長に伺います。
 次に、調査結果を早期に把握するために教育委員会では事前採点に努めています。早期に授業改善につなげると説明されていますが、業務増大につながるとも聞きました。
 工夫をしたということではありますが、調査結果を当該学年の指導に生かすのであれば、早期の返還を促し文科省に改善を求めるべきではありませんか、この点につきまして伺います。あるいは実施学年の変更なども考えられると思いますがいかがでしょう。
 また、事前採点と送られてきた結果の間には差異が見られたと伺いました。採点により結果が異なる点を教育長はどのように受けとめ対応したのか。さらに限られた字数で解答を促す表現力の設問などは、子供たちの感受性の把握のためにも個票だけではなく解答用紙の返送を求めるべきと考えますが、この点につきましても教育長のお考えを伺います。
 あわせて、学校での学習指導要領に基づく授業内容と調査での傾向がかけ離れているという意見もございました。教育長の所見を伺い、この学習状況調査への生かすべき道のりを伺うものであります。以上について答弁を求めます。(拍手)
○議長(多家一彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 三ッ谷議員にお答えいたします。
 ふじのくに観光立県の実現に向けた取り組みについてのうち、地域資源を活用した海外誘客についてであります。
 近年、旅行の形態は、日本でも外国でも個人旅行が主流となりまして、人々の暮らしや文化を体感できる体験型、あるいはテーマ性の強い観光へのニーズが高まっているのは御案内のとおりであります。
 そこで静岡県では、昨年度新たにふじのくに観光躍進基本計画を策定いたしまして、静岡の魅力を「創る」、魅力に「誘いざなう」、魅力で「もてなす」、この三つの戦略を柱に観光交流の拡大を図っております。こうした中、海外誘客につきましては、海外駐在員事務所や現地旅行会社などから国別の市場ニーズを把握し、韓国や台湾であれば、静岡県の豊かな自然景観を活用したサイクリングやトレッキングなどを核とした周遊型のプランを提案するなど、ターゲットを明確にした商品づくりや誘客活動を展開しています。また現地の旅行会社やメディアを県内に招聘いたしまして静岡県の観光資源の魅力を体感していただくことで、海外の方の目線による効果的なPRや商品造成の働きかけを行い、海外からの誘客拡大に努めているところであります。
 今回、訪日外国人の増加を目指しまして、富士山周辺地域を対象に行う観光庁の調査事業は、まさに本県の取り組みと方向を同じくするものです。静岡県では、各国別のニーズや現地旅行会社から得られた情報等を積極的に提供して、静岡県の状況を十分に反映し利用しやすい調査内容となるよう御協力をしてまいります。
 また、調査事業の成果品となるマニュアルを活用してノウハウの共有化を図り、県内各地域で訪日外国人を対象とした地域資源を活用した商品造成を促進し、世界から選ばれる魅力ある観光地づくりを図ってまいります。
 議員、冒頭でこの点について言われました中に、生活文化に根差した観光が大事だと言われました。目下のところ静岡県にお越しになっている外国人の中で多いのは中国、台湾、韓国、そして最近ではタイからの観光客です。こうした隣国のアジアの方たちにとって日本人の生活それ自体が魅力的であるということなので、こうしたそれぞれのニーズを把握するということにも増して、私どもは、そうした特別なイベントや何かをつくるというよりも、我々のありのままの生活文化それ自体が観光資源になるようにということが一番理想であるというふうに思っております。
 一方で、二〇一九年のワールドカップ、二〇年のオリンピック・パラリンピックというのがございます。これは世界中の人がお越しになられますので、そうしたこの世界に向けた静岡県の魅力のアピールの仕方というのは独自に考えなくてはならないということで、まさに今、静岡県の観光戦略というのが、これから数年かけて試金石ということでありますので、御指摘を受けまして、最終的に我々の生活文化それ自体が観光資源になるようにしてまいりたいと考えているところであります。
 次いで、企業誘致と県内企業の定着促進についてであります。
 県内経済の回復に向けた動きが確実なものとなり、また本県の次世代を担う産業の創出に向けた産業成長戦略を検討するに当たりましては、まずは現場の声を聞くことが重要です。経営者の皆様から現在お抱えになっている課題などについて直接聞き取りをしておりまして、この点につきましては経営者の側からも評価をされているところであります。その結果、地震・津波などの自然災害に対する不安や事業拡大に当たっての用地の不足など企業の定着に関する課題が数多く寄せられているところです。これらの課題に迅速に対応するため、東海地震への備えとして昭和五十四年度から平成二十五年度までの三十五年間で約二兆二千億円ものお金を投じまして、地震対策、津波対策を実施してきたわけでございます。これに加えまして、静岡モデルの防潮堤整備など本県が進める防災・減災対策の取り組みのPRや遊休地や空き工場といった、企業がすぐに活用できる工業用地の情報のデータベース化の準備も進めております。
 加えて、今年度新しく設置しました企業立地促進支援員を中心に業況や投資意向などの幅広い情報を把握するため、県内に立地する企業やゼネコン、市町への訪問を強化しておりまして、いただいた情報には迅速かつきめ細かく対応しているところです。県内企業の県内への誘致につきましても、昨年度までの首都圏での企業立地説明会の開催に加え、今年度は名古屋、大阪でも説明会を開催したほか、県内工業用地の現地見学会を来年一月に開催するなど誘致活動の充実に努めてまいります。
 静岡県は現在、南海トラフの巨大地震の想定が内閣府から発表せられましたために、地震リスクというものが弱点となっているわけです。しかしながら先ほど御説明申し上げましたように、マグニチュード八クラスのいわゆる東海地震についてはほぼ九割方その対策は終わっているわけです。さすがにマグニチュード九と目される南海トラフの巨大地震につきましては、現在やっているわけですが、恐らく静岡県くらい、これほどの、一千年、千五百年に一度と言われる巨大災害に対する備えに対して真摯に取り組んでいる県はほかにないと思います。したがって今はそのリスクが、一種のこの南海トラフに対する恐怖心から逃げ腰になっているところが多うございますけれども、最大の災害に対して最高の備えを持っている地域という、そういう評価が必ず定まるものというふうに信じております。
 ただそうした中で、議員御指摘のような県からは工業用地の情報提供は受けたものの踏み込んだ対応がなかったとか、あるいは移転先の自治体のほうが熱意とスピードがあったというふうなことを言われたのは、まことにもって残念で、これは何とかしなくちゃいけないということで、この間、企業局を中心に、経済産業部、交通基盤部、くらし・環境部、企画広報部ですね。これがしのぎを削って誘致のための熱意とスピード感を持って頑張っているところでもございまして、県内立地企業の定着促進と県内への新たな企業の誘致を図ることで、静岡県産業の力強い再生に向けてより一層頑張ってまいりたいと思っております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げますけれども、一つ、議員の磐田市を中心にした遠州灘の防潮堤でございますけれども、このレベルツーに対応した盛り土をするということについての最大のネックは盛り土の土それ自体だと思います。これにつきましては、磐田市、あるいは袋井市もそうだと存じますけれども、しかるべく今、ほとんど無料で――運搬料は要るかもしれませんけれども――県内ではなかなかそれを手に入れるのが難しいので県外にもその目を向けまして、これを本県の中に運んでくるということで、今ほとんど段取りは済んだんですが、港が決まりません。福田港はどうでしょうか。ともあれ、こうしたことを今検討中でございまして、そうした形で御支援申し上げていきたいと思っております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(多家一彦君) 伊藤文化・観光部長。
       (文化・観光部長 伊藤秀治君登壇)
○文化・観光部長(伊藤秀治君) ふじのくに観光立県の実現に向けた取り組みについてのうち、WiFiの整備促進についてお答えいたします。
 昨年六月に富士山が世界遺産となり、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックを控えるなど、本県を訪れる外国人旅行者のさらなる増加が見込まれますことから、無料で利用できるWiFi環境の整備が急務であると認識しております。
 このため、県では富士山周辺地域を中心に山梨県、神奈川県と三県共同で、誰でも無料でつながるWiFi環境の整備を進めるとともに、通信事業者にも御協力いただきまして無料でWiFiにつながるパスワードを記したカードを外国人旅行者に配布しております。また有料ではありますが、富士山静岡空港でも外国人旅行者が国内でインターネット等が利用できるSIMカードを七月から販売しております。
 こうした中、議員御指摘のとおり、富士登山をされた外国人旅行者から山頂からの御来光や眺望をフェイスブック等で全世界に即座に発信したいとの意見が寄せられております。来年の夏山登山時には、山頂で利用できるよう導入に向けた検討を山梨県と連携して進めてまいります。
 今後とも、市町や通信事業者等と連携してこうした取り組みを伊豆や浜名湖など県内全域に広げ、外国人旅行者に使いやすいWiFi環境を整えてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 修学支援についてのうち、医学生及び専門研修医への医学修学研修資金貸与制度についてお答えいたします。
 本県では、医師臨床研修制度の開始に伴い、全国の大学が派遣医師を引き揚げたことによる地域の医師不足の解消を図るため、医学修学研修資金貸与制度を創設いたしました。これまで全国最大規模の六百四十三人に貸与を行い、既に八十四人が県内に就業するなど、医師確保の効果があらわれております。これまでも多くの医学生に利用していただけるように、大学特別枠設置による大学との連携強化や勤務病院の拡大など制度の改善に取り組んでまいりました。また専門医資格取得に配慮したネットワーク研修プログラムの提供や研修機器等の整備による研修環境の改善など、医師の受け入れ体制も充実してきたところです。
 本年度からは、一層の医師確保を目指して新規貸与枠を百人から百二十人に拡充するとともに、県内への医師の定着を促進するためふじのくにバーチャルメディカルカレッジを創立し、各地で学ぶ医学生が本県の地域医療に関心を持ち、本県の医療を支える志を育成することといたしました。また全国の医学部のある大学を直接訪問して医学修学研修資金応募の説明会を開催し、本県の充実した研修体制や地域医療を紹介するなど募集定員の充足に努めております。
 今後は、医療介護総合確保推進法に基づく新たな医療提供体制の構築や新専門医制度の導入など、地域医療や医師確保を取り巻く状況の大きな変化が予想されますことから、大学医学部や病院など関係する方々からの幅広い御意見も伺いながら、医学生や若手医師にとって利用しやすくより魅力のある医学修学研修資金としてまいります。
 次に、大学等への就学支援についてであります。
 生活に困窮しているという理由で子供たちから学習機会が奪われることは、あってはならないことであります。貧困の連鎖を防止する観点からも、生活困窮世帯の子供たちの大学等への進学機会を用意することは非常に重要であります。
 県では、平成二十四年度から生活保護世帯の中学生を対象とした学習チャレンジ支援モデル事業を実施し、高等学校への進学促進を図ってまいりました。今年度は、七市で事業に取り組み中学生が学習の場の提供や教育相談などを受けたことにより、学習意欲が向上し高校進学を目指すなど、生活困窮世帯の子供たちへの学習支援施策は着実に成果を上げております。経済的支援といたしましては、生活困窮世帯や一人親世帯に対し生活福祉資金や母子寡婦福祉資金などにより、高等学校や大学等への進学や就学に必要な資金の貸し付けを行っております。また各市町を初め民間や大学独自の奨学金制度もあることから、これらの制度の情報提供や利用についての相談などを行い、経済的不安を少しでも軽くし進学の促進を図っているところであります。
 今後、国が策定した子供の貧困対策に関する大綱も踏まえ、経済的支援を初めとする既存の事業の充実を図るとともに、生活困窮世帯や施設入所の子供たちに対する学習支援や進学相談などの強化について検討してまいります。こうした取り組みにより経済的に恵まれない子供たちの学習意欲を高めるだけではなく、家族や関係する方々の進学への理解を促進し、貧困の連鎖を断ち切ることができる環境を整えてまいります。
 次に、デング熱などの蚊が媒介する感染症対策についてであります。
 社会や経済のグローバル化に伴う人や物の交流の活発化に伴い、世界各地で流行しているさまざまな感染症が国内に持ち込まれる危険性が高まっております。こうした状況を踏まえ県では、新型インフルエンザや未知の感染症に適切に対応するために静岡県新型インフルエンザ等対策行動計画を策定し、治療を行うことができる医療体制を構築するとともに、感染症の発生状況を把握するための調査とその結果による注意喚起を行うことにより感染拡大を予防する体制を整えております。今回、約七十年ぶりにデング熱の国内感染症例が確認され県内においても患者が発生したことで、過去に流行したことのある蚊の媒介による感染症への対策の必要性を再認識したところであります。
 このため県では、海外での感染症の発生動向を的確に収集し、県民の皆様にデング熱などの感染経路を初め症状や予防法などの正しい情報を速やかに提供してまいります。また市町に対して蚊の発生防止及び駆除を要請するとともに、県民の皆様に向けてもボウフラの発生抑制につながる環境の整備を呼びかけることにより、感染症対策の充実に努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 遠州灘沿岸の津波対策についてのうち、市独自の防潮堤整備に対する補助制度の創設についてお答えいたします。
 本県の津波対策は、発生頻度が比較的高いレベルワンの津波に対しては人命及び財産の保護の観点から防潮堤等で防御し、発生頻度が極めて低い最大クラスのレベルツーの津波に対しては、ハード・ソフトの対策を組み合わせた多重防御により人命を守ることを基本としております。この方針に基づき策定した地震・津波対策アクションプログラム二〇一三では、津波から一人でも多くの命を守ることを最重点課題とし、想定される犠牲者を平成三十四年度までの十年間で八割減少させることを目指しております。この目標達成のためには、防潮堤については、限りある財源の中で、レベルワンの津波に対して高さが不足している約百六キロメートルのうち、事業効果の高い六十七キロメートルを最優先で整備していく必要があります。
 このようなことから、レベルツーの津波に備える市町独自の防潮堤整備に当たりましては、県が松枯れ対策として行う防災林事業との組み合わせや公共残土の活用等、市町の財政負担軽減につながる方策を静岡モデル推進検討会で検討し、積極的な支援に努めてまいります。
 県といたしましては、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を着実に実施するとともに、市町と連携して地域の実情に合った静岡モデルの整備を推進し、津波に強い県土づくりに努めてまいります。
 次に、海岸防災林の再整備と砂丘の再構築についてであります。
 遠州灘の海岸線には、背後地の人家や農地を飛砂や塩害などから守るため約七十キロメートルの海岸防災林が造成されており、県ではその機能の保全に努めているところであります。磐田市では静岡モデルとして、松枯れにより再生が必要となった海岸防災林の砂丘において市が公共事業の残土などを活用してかさ上げを行い、そこに県が抵抗性松などを植栽し海岸防災林の再生を図るという津波対策を示したところであります。
 こうした中、磐田市の遠州灘海岸においては、海岸防災林を守るための防潮堤が平成二十三年の台風十二号などにより約三百メートルの区間が被災したことから、県では災害復旧工事により防潮堤の背面に土砂を投入し作業ヤードを整備しているところであり、市が行う砂丘のかさ上げの一部としても活用できるものと考えております。
 県といたしましては、今後も磐田市と連携して海岸防災林の再整備と砂丘のかさ上げによる津波対策を実現し、地域の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。
 次に、ぼう僧川の治水対策についてであります。
 磐田市の旧福田町を流れるぼう僧川の下流域は、河川の勾配が緩やかで洪水が流れにくいことや低平地で雨水がたまりやすいことから、たびたび浸水被害が発生してまいりました。このため今ノ浦川との合流点から太田川までの護岸整備や河床掘削を平成二十年度までに完了したところであり、現在は太田川との合流点におけるぼう僧川水門の耐震補強工事を、来年度早期の完成を目指し進めているところであります。この区間につきましては、治水安全度を維持するための河川管理が重要であることから、これまでも堤防の浸水に対するのり面保護工や漏水を防止する護岸工などを行ってまいりました。
 今後も、河川巡視や地元からの情報を踏まえ河川内に繁茂した樹木の伐採などを速やかに実施するとともに、堤防道路のひび割れや堤防の越波対策などについては、現地を調査した上で緊急性の高い箇所から整備してまいります。
 県といたしましては、リバーフレンドシップ制度等により除草活動を行っている皆様と連携し治水安全度の維持向上を図ることで、地域の皆様が安心して暮らせる水害に強いまちづくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 全国学力・学習状況調査結果と課題についてお答えいたします。
 全国学力・学習状況調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握することを目的として実施をされております。現在、調査結果の詳細な分析に取り組んでいるところであり、今後これを生かして、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立ててまいります。
 また、本年度、早期対応策として調査直後に学校で採点した結果が、後に公表された文部科学省の結果と比べ違いが大きかったものがありましたが、これは採点基準の捉え方によるものであると考えており、今後は調査直後の採点結果を調査問題の狙いを把握するために活用し、教員の資質向上につなげてまいります。
 議員から御指摘のありました調査結果の早期返還、解答用紙の返却、学習指導要領に基づく授業内容と調査問題との傾向の違いなどにつきましては、全国学力・学習状況調査のあり方にもかかわることでもありますので、今後、市町教育委員会からの御意見等も踏まえながら、県教育委員会として課題を整理し文部科学省に要望してまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 六十八番 三ッ谷金秋君。
       (六十八番 三ッ谷金秋君登壇)
○六十八番(三ッ谷金秋君) 各部局から、知事初め前向きな答弁をいただきました。ありがとうございます。
 要望をしますけれども、特に医学生のこの貸与制度。期待もあるし、やっぱり多額なお金を要する学生にしてみれば大変私はいい制度だと思っていますし、もっと広げてほしいと思います。ただ百二十人の予算で、現在四次でまだまだそこに行っていないということはですね、制度はいい制度なんだけれども、まだまだ栄養である何か条件を付議したらもっと広がるんじゃないかという可能性を、そのわずかの中に入っているんじゃないかなと思います。だから部長のお話しいただきました中で、しっかり大学ともお話をしながら、あるいは各いろんな病院とも話をして、制度設計をもう一度見直すというような御意見も先ほど答弁でいただきましたので、強く期待をして部長に要請をしておきます。
 それから、きのう台風が通過していただいたところでね、やっぱり交通基盤部長、注目皆さんしてますよ。地域の河川やちょっとした排水路につきましてもね。きのうもですね、清水でああいうことがあったり、JRが崩れたり、いろんなものが起きていますけれども、やっぱり「備えあれば憂いなし」とよく言いますけれども、本当だなということは、きのうのああいうものを見てそう思いました。ですので、できることからやる。あるいは太田川や、あるいは今ノ浦、ぼう僧川の治水もそうですけれども、まず現場を見ていただくことは大事ですけれども、できることから手をつけていただくことが大事であって、今回の原稿にもありますような先延ばしは、やっぱりだめだろうと思うんです。もう前向きな意見を聞きましたので、ぜひ部長、その点につきまして叱咤激励を袋井土木にしていただくことをお願いします。
 あわせて教育長、いろんな課題があると思います。私は文科省がやっている制度そのものは、やっぱり学力をしっかり把握するという意味では大事だろうと思います。きょう指摘しましたようなことにつきましても、教育長のひとつ努力で、前向きに現場が喜べるような調査になりますことをお願いをして質問を終わります。(拍手)

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp