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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

早川 育子 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/30/2015

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
  地方創生に向けた取り組み
2 公民連携について
3 ふじのくに広報戦略について
4 映像文化の振興について
5 東京オリンピック・パラリンピックへの取り組みについて  
6 茶業振興に向けた新たな取り組みについて
7 子育て支援について
 (1) 待機児童解消への取り組み
 (2) こども医療費助成
 (3) 保育料の無料化
8 地域包括ケアシステムについて
 (1) 認知症対策
 (2) 介護人材の確保
 (3) 介護予防につながる健康づくり
9 夜間中学校について
10 富士山火山防災対策について
11 土砂災害対策について
 (1) 土砂災害対策の推進
 (2) 住宅移転支援
12 環境政策について
  水銀使用製品の適正処理
13 高齢者の交通事故防止対策について


○副議長(杉山盛雄君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第九十二号から第百十一号までを一括して議題といたします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、二十八番 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇 拍手)
○二十八番(早川育子君) おはようございます。私は公明党静岡県議団を代表し当面する県政の諸課題について、分割方式で知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、地方創生に向けた取り組みについて伺います。
 公明党は、このたびの統一地方選で、「人が生きる、地方創生。」を掲げました。日本は世界最速で人口減少、少子高齢社会に入り、歴史的な転換期を迎えていると言えます。これまでの東京一極集中型から地方がそれぞれの特性を最大限に生かし知恵を出し合い自立していくことが求められております。
 明治大学青山やすし(注)教授は、地方創生とは単に人口増加や経済成長だけを取り上げればよいわけではなく、各地域の特徴を生かして生活の質の豊かさを追求することと捉えるべきであると指摘されております。日本は高度成長時代を経て工業社会への対応はできているものの、情報化社会、成熟社会への対応は不十分であり生活を楽しむためのインフラや生活習慣、そのための社会的、経済的な仕組みづくりが必要であると言及されております。地域に生きる人の生活向上に注目してこそ真の地方創生であると言えます。【注:「やすし」は「人」べんに「ハ」の下に「月」】
 国では、地方創生に向けて長期ビジョンと総合戦略を昨年末閣議決定し、これを踏まえ全国の自治体には地方人口ビジョンと地方版総合戦略の策定が求められております。静岡県では美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生県民会議を設置し、昨年十二月、人口減少問題に関する有識者会議からの提言を踏まえた総合戦略の素案が今議会に示されているところであります。
 県では、総合計画後期アクションプランにのっとり県政運営が進められているわけですが、美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略がさらに実効性あるものとして機能することが求められます。
 地方創生の鍵を握るのは、女性、若者、高齢者そして外国人であると言われております。多様な人材に光を当て、まさに「人が生きる、地方創生。」を構築していくことが求められます。このたび策定する総合戦略の考え方や方向性と地方創生に向けた知事の考えをお伺いいたします。
 次に、公民連携について伺います。
 行財政改革の一環として民間の活力を生かした公の施設の管理方法として指定管理者制度が創設され十年以上が経過しました。
 静岡県でも積極的に制度の導入が進み、指定管理者制度により管理運営されている施設は四十三施設あり、制度導入によりサービスが向上し利用者の増加に結びついている例も見受けられます。私の地元富士市にある富士山こどもの国は、直営時の来場者数は年間十八万六千人余でしたが現在では二十七万一千人余に増加し県の実質的な負担額は直営時に比べて縮小、コストパフォーマンスも向上しております。一方で、この制度では指定管理期間満了後も同じ団体が管理者として継続して指定を受けられる保証はないため長期的な運営計画が立てられず、また職員の雇用の継続が不透明という課題も明らかとなっております。こうした中、富士山静岡空港が導入を目指しているコンセッション方式など新しい管理運営の制度も検討されていると伺っております。
 そこで、これまでの指定管理者制度の評価と課題認識を伺うとともに、指定管理者制度を含めた今後の公民連携のあり方について、県の所見を伺います。
 次に、ふじのくに広報戦略について伺います。
 川勝知事は、富国有徳の理想郷ふじのくにの総仕上げに向けた八項目にわたる重点的な取り組みを掲げ、その実現に向けさまざまな政策を展開されてこられました。世界クラスのふじのくに静岡県を発信するための広報広聴計画にのっとり県内外にその取り組みが発信されることになりますが、近年の情報社会においてこの広報戦略は非常に重要であると実感いたします。つまり、いかにすばらしい政策が提示されても十分な周知徹底がなされなければ活用されず、逆に観光振興等、広報戦略により大きな経済効果が発生する場合も考えられます。
 例えば、後ほど触れますが、二月に上映された「幕が上がる」という映画の撮影地が静岡県内であったことからたくさんの映画ファンがロケ地を訪れ岳鉄電車に乗り、つけナポリタンを食すといったフィルムツーリズムで大きな効果が得られました。またJR東海の新幹線開通五十周年記念の新聞広告は富士市で撮影された富士山を背景にした新幹線の写真が全国版で紹介され、写真の撮影場所に多くの写真家が訪れておりました。タイでは富士宮市出身の俳優が静岡県の茶畑で静岡茶のコマーシャルに出演し反響を呼んでいました。著名人がフェイスブックやツイッターでつぶやいたことが瞬時に世界中に発信され、それまで反響が薄かった産物や観光地が一夜にして有名になるということもまれではなくなりました。
 県政運営に必要な基本的な情報発信が確実に県民に届くことはもちろん重要ですが、情報社会における広報戦略は時代の変化に的確に即していかなくてはなりません。世界クラスを誇るふじのくにの広報戦略について、その取り組みを伺います。
 次に、映像文化の振興について伺います。
 今月二十一日まで行われていた県立美術館の「篠山紀信展 写真力」は多くの来場者でにぎわい、私も目の前に広がるすばらしい作品の数々に圧倒されました。篠山氏の言う写真力、いわゆる写真の力がみなぎった写真であり、撮られた者も撮った者も、それを見る人々も唖然とするようなとうとい写真だという写真力の持つ威力に心を奪われ、映像の持つ力に感動いたしました。
 本年二月八日、「プラサ ヴェルデ」で行われたふじのくに映画フェアは、七百名を超える来場者を迎え大盛況に終わりました。私も当日会場に足を運びましたが、予想以上に若い方々が来場しており大変驚きました。県内各地のフィルムコミッションの活動を紹介するほか、県内で撮影が行われた映画やドラマの撮影シーンやグッズの展示、裏話の紹介など盛りだくさんの内容に加え、ステージでの川勝知事と本広監督のトークは大変な反響でありました。その場でふじのくに映画祭開催も提案され大いに盛り上がりました。
 本広監督の粋な計らいで、県内で撮影が行われ県も協力した人気アイドルグループ主演「幕が上がる」の試写会も行われ県内外からたくさんの来場希望があったと伺いました。平田オリザさん原作の青春時代の熱い思いがあふれる内容と富士市を中心とした県内の撮影地を映像で目の当たりにした多くの来場者に感動の渦が巻き起こりました。映像は私たちを非日常の世界に案内し感動を呼び、あるときには生き方そのものにも大きく影響を及ぼします。特に映画は作製側に多くのスタッフが携わり、一つの作品が完成するまでにたくさんのドラマが生まれております。
 香川県が民間と共同で取り組んでいるさぬき映画祭はことし九回目を終え、香川県をイメージできる景観や風土などを用いた映像作品の募集、ゆかりの作品上映、シナリオ講座や映画制作実践ワークショップ、子供向けワークショップやシネマキャラバン等が開催され毎回大変なにぎわいで、地域が活性化していると伺っております。
 近年、静岡県は都市部に近接しているとともに、自然豊かな景観や都市機能などさまざまな機能を有していることに加え、撮影誘致や協力を行うフィルムコミッションの活躍により多くのドラマや映画、コマーシャルの撮影地に選ばれております。また地域住民がエキストラに参加するなど地域を挙げた機運が上昇しております。今静岡県は映像文化の醸成を図る絶好の機会に遭遇していると言え、この機会を大いに生かすべきと考えます。
 そこで、映像文化を支えるフィルムコミッションへの支援とともに、知事が映画フェアで提案されましたふじのくに映画祭の実現などを通じた映像文化の振興について、県の所見を伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックへの取り組みについて伺います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催まであと五年となりました。スポーツの祭典として選手や関係者のみならず多くの国民が開催を待ち望んでおります。施設整備や関連消費の増加さらには観光振興等、三兆円とも言われる経済効果や雇用創出十五万人など活力あふれる効果が期待されるとともに、海外への情報発信や国際交流機会の拡大などさまざまな効果に期待が寄せられております。国でも、開催効果を東日本大震災被災地を初め全国に波及させる取り組みを推進する方針を打ち出しております。
 こうした機運の高まりとともに、全国各地でスポーツ振興や交流に注目が集まり始め、スポーツ大会やキャンプ誘致による地域のブランディングや地域活性化への取り組みが進み始めております。二〇〇八年北京オリンピックの際も全国各地で事前合宿が誘致され、身近に競技や選手を感じ地域住民のスポーツ振興への関心が高まるとともに、国際交流の機会にもなり地域の経済活性化につながりました。
 静岡県は、エコパや草薙総合運動場、愛鷹広域公園、富士水泳場などの充実したスポーツ施設に加え、首都圏へのアクセスのよさ、温暖な気候、豊かな食材など事前合宿に適した好条件が整っていると言えます。昨年、全市町と県でオリンピック・パラリンピック推進会議を開催し事前合宿誘致に向けて協議が行われた結果、焼津市とモンゴルの間でレスリング競技の事前合宿に関する話し合いが進展したと伺いました。こうした合宿誘致には各市町の交流先へのアプローチが重要ではありますが、地域外交には温度差があり市町単独では限界があるとも考えられます。焼津市に見られるように県が推進調整役となってさらに積極的に事前合宿誘致に取り組み、大いに静岡県をアピールすべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、茶業振興に向けた新たな取り組みについて伺います。
 四月二十七日、私の地元富士市で献上茶謹製事業記念式典が行われました。富士市が産地に指定されるのは二十年ぶり三回目ということで、関係者に喜びの輪が広がりました。会場では静岡県茶手揉み保存会の皆さんが富士市に古くから伝わる天下一製法による茶葉の手もみが行われました。一方で、ことしの一番茶は全体的に前年に比べて価格安の取引であったと伺いました。近年、ペットボトルや他の嗜好飲料の普及によりいわゆる急須で入れるリーフ茶離れが著しく、茶業農家にとって厳しい状況が続いております。富士茶は大手飲料メーカーによる低価格の取引により大変な状況に陥っております。
 本年四月より、科学的根拠があれば企業の責任で機能性を表示できる新たな表示制度が始まりました。茶の持つ健康増進機能が表示されることによる販路拡大が期待されます。国は、六月一日から特定の産地と結びついた農林水産物を地理的表示に認定する制度を開始いたしました。機能性表示とあわせて近年の和食ブームも加わり国内外にアピールできる絶好のチャンス到来とも言えます。
 また、昨今抹茶が大変なブームとなりケーキやクッキーなどのお菓子、抹茶ラテ、抹茶を練り込んだパスタ等人気を呼んでいます。先日、抹茶の生チョコレートがアメリカで大ヒットしているとの報道があり、海外での関心の高さもうかがえました。こうした好機を生かすためには生産者である農家の方の努力だけでは限界があります。機能性表示制度の活用に向けた研究や地理表示を最大限生かす販路拡大など支援策が必要と考えます。抹茶を初め消費者ニーズに合った新たな商品開発を進めていく必要があります。
 私は、世界的に健康志向の中、お茶はこれからさらに伸びていく可能性を秘めていると確信しております。
 そこで、茶業振興に対し農家への支援や販路拡大等、新たな取り組みが必要と考えますが、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 早川議員にお答えいたします。
 地方創生にかかわる私の姿勢についてであります。
 地方創生に向けた取り組みにつきましては、ふじのくにならではの魅力の最大化を図り人々を引きつけ憧れを呼ぶ日本の理想郷を築き上げるという考えに立って、本県の地方版総合戦略の素案を取りまとめたところでございます。素案には美しく、強く、しなやかな静岡型地方創生を目指して五つの戦略を掲げております。
 まず、第一の戦略として、全てに優先されるのは危機管理でございます。県民の命を守り、日本一安全・安心な県土を築くということでございます。この危機管理の第一優先をもとに、地震・津波などに対する人々、あるいは企業の不安を払拭するさまざまな施策を位置づけているところであります。この上で、第二に誰もが活躍できる、安定した雇用を創出する。第三にふじのくにならではの魅力ある暮らしを提供し、新しい人の流れをつくる。第四に若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる。第五に時代に合った地域をつくり、地域と地域を連携するという四つの戦略を掲げているわけでございます。これら五つの戦略、それぞれの戦略に本県の特色を生かした多彩な施策を位置づけているところであります。
 この素案の中には、早川議員御指摘の「人が生きる、地方創生。」に資する人に光を当てた施策を積極的に盛り込んでいます。若者、女性、障害者など働く意欲のある誰もが就労できる魅力ある雇用の場の創出を初め、健康寿命日本一である静岡県の特性を生かして元気な高齢者がはつらつと社会で活躍できる環境の整備、外国人県民も住みやすく、その能力を発揮できる多文化共生の先進地の形成など、県民一人一人にきめ細かに目配りをした施策を推進してまいります。
 また、子育てはとうとい仕事であるという理念のもとで社会全体で子育てを応援する取り組みを初め新しい実学の奨励、社会総がかりでの教育、その推進、高いスキルを持った次世代の本県産業を担う人材の育成など、人を大切にし誰もが誇りと自信を持って健やかに暮らせる社会の実現に取り組んでまいります。
 国が我々に御指示なさいました地方版の人口ビジョンと地方版の総合戦略をつくりなさいということでございますが、これは私どもは、人口問題につきましては現在県立大学の学長をされている鬼頭先生を委員長として、その問題を御指示がある前に取り組んで報告書も受けたわけでございます。
 さらにまた、地方版総合戦略というのはまさにふじのくにづくりの総合計画がそれ自体でございまして、したがって国が出されてこられたその基準に則して、その戦略を、何といいますか、入れ込んでいくという、そうしたことができましたので、この十月には成案ができるということで、恐らく全国でトップを切ってこの地方版総合戦略をまとめることができるのではないかというふうに思っております。
 もちろん、今後今議会での審議結果、各会派からの御提言をいただき、それらを踏まえて修正を加えます。県民会議、地域会議などを通じ幅広い皆様から再度御意見を伺った上で、九月県議会で最終的な戦略案を御審議賜わりまして県民の皆様の英知を結集した総合戦略を取りまとめてまいりますので、引き続き県議会の皆様の御支援、御協力を賜わりますようお願いを申し上げます。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックへの取り組みについてであります。
 事前合宿誘致につきましては、ことしの三月に県内市町及び関係競技団体と協働いたしまして三十市町九十六の事前合宿候補施設、今後の取り組み方針、ロードマップ等を盛り込んだ誘致戦略を策定いたしました。現在この戦略に基づきまして全県を挙げ誘致活動に取り組んでいます。
 既にその効果があらわれておりまして、本年五月にはモンゴル国保健・スポーツ省副大臣が来日し焼津市及び伊豆の国市の合宿候補施設を視察され、県と事前合宿地として本県を優先的に選定する旨確認した文書を取り交わしました。現在、県が仲立ちをし、両市が来月にモンゴルを訪問し――両市というのは焼津市と伊豆の国市ですけれども、モンゴルを訪問し、事前合宿受け入れに関する具体的条件等の協議を進めることができるよう調整しているところであります。
 さらに、富士山静岡空港の就航先の一つ、台湾のバドミントンの競技団体からは、本年中に本県でリオデジャネイロオリンピックに向けた合宿を行う意向が示されておりまして、対応につきまして県内の競技団体と協議を進めているところであります。
 事前合宿の受け入れの主体は市町でございますが、県は各市町の持つ友好都市関係や盛んなスポーツなどの強みを引き出すとともに、費用負担等、受け入れ条件の標準モデルを提示するなど今後とも各国の競技団体や大使館等へ積極的に誘致活動を進めてまいります。
 私どもといたしましては、本年を誘致活動元年と位置づけておりまして、具体的な合宿誘致の成功例を創出していくことで市町の取り組みを促進し、本県や合宿地である市町の魅力が世界各国に発信できますように県全体のいわば旗振り役を積極的に努めていくということでございます。
 次に、茶業振興に向けた新しい取り組みについてであります。
 近年、ライフスタイルの変化がございますし、嗜好も多様化しております。こうした中で残念ながらリーフ茶の消費が減少し価格も低迷しております。一方、抹茶、食材用の粉末茶、香りに特徴のあるお茶等々、新しいタイプのお茶の消費が伸びているのが特徴です。県ではこうした需要の変化、消費構造の変化を的確に捉えた茶業を形づくるために、生産、販売それぞれの面で新しい取り組みを支援してまいります。
 生産面におきましては、需要が急増している抹茶の生産拡大を推進いたします。うまみを凝縮させた白葉茶を用いた高級ボトルティー、飲まれましたか。大変その、冷茶にしても温かいもの、冷やしたものも両方ともとてもおいしくいただけます。特に冷茶がおいしいですね。新しい需要に対応した多様な商品の創出を進めているところです。
 販売面では、今年度、流通販売業者を対象としたビジネスにつながる商談会を全国七つの都市で開催します。今月三日の東京会場では緑茶カフェ経営者、ネット通販業者など幅広い事業者が来場してくださって、「多彩なお茶を知ることができて新しい可能性を感じた」、あるいは「継続して開催すべきである」などの御評価をいただきました。今後につきましても一般消費者へのキャンペーンにとどまらず直接取引につながる商談会に取り組んでまいる所存です。
 また、輸出の拡大につきましては、アメリカやEUの農薬の基準に適合した生産拡大を進めるとともに、ロサンゼルスとロンドンにサポートデスクを置き県内生産者や茶商と現地小売業者とのマッチングを支援しているところであります。
 さらに、議員御指摘の機能性表示食品制度への対応につきましては、静岡県立大学との連携が非常にうまくいっております。現在教育長をしてくださっている木苗先生が学長時代にフーズ・サイエンスセンターというものを立ち上げまして、このフーズ・サイエンスセンターが言ってみればワンストップ窓口となりまして、県立大学の食品環境研究センターでシステマチックレビューをしていただくという、機能性を検証する――これをシステマチックレビューと言うわけでございますけれども、これを整備しておりまして、県内関係者はこれを活用して表示の届け出を行う準備をしているところであります。また県内茶産地が地理的表示保護制度に基づいて商品の名称を早期に登録できるように支援いたします。
 県といたしましては、今後とも「山は富士 お茶は静岡 日本一」と、茶の都であり続けられるよう、関係者と連携いたしまして新しい取り組みを進め県内茶業の振興を図ってまいります。
○副議長(杉山盛雄君) 伊藤経営管理部長。
       (経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) 公民連携についてお答えいたします。
 本県の指定管理者制度につきましては、平成十六年度の導入以来、施設の利用日時の拡大や料金の見直しなど利用者の利便性の向上を図り、導入施設の利用者が平成十七年度の年間四百三十万人から二十六年度は六百八十三万人に増加いたしました。直営時と比べまして約十億円の経費削減効果が生じるなど、公の施設のサービスの向上や効率的運営に寄与しております。
 一方で、事業者が雇用の継続を含む長期的な経営計画を立てにくいこと、利用者の安全確保などの課題もあり、県では指定管理の目安を三年から五年に延長し優秀な管理の実績を次期選定時の評価に反映させる仕組みを導入するとともに、安全対策の専門家による実地指導など制度運用面での改善に取り組んでおります。
 また、昨年度設置した県と市町による行政経営研究会での検討では、募集時に応募者が少なく競争性が確保しにくい、指定管理者制度の導入効果が施設の種別により差が出るなど新たな課題も明らかになってまいりました。このため、今年度県と市町が連携して応募者を増加させ競争性を確保するための企業等への施設紹介フェアを八月に開催するほか、施設区分ごとに導入効果の分析調査を実施いたします。
 県といたしましては、民間事業者等の創意工夫が発揮されやすく利用者の増加や満足度の向上が見込まれる施設には積極的に指定管理者制度を導入していくとともに、コンセッション方式など新たな手法の導入の検討も進め、民間にできることは民間に任せることを基本に県全体でサービスの向上と効率的な運営が図られるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 吉林知事戦略監。
       (知事戦略監 吉林章仁君登壇)
○知事戦略監(吉林章仁君) ふじのくに広報戦略についてお答えいたします。
 県政の基本理念である富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを実現するためには、議員御指摘のとおり広報戦略が非常に重要であると認識しており、本県では広報広聴の中期的な方向性を示す取り組み方針を定め、戦略的な広報に努めております。
 世界文化遺産富士山を初め登録を目指す韮山反射炉などふじのくにのブランドイメージを構成する世界クラスの魅力やものづくり、防災対策など先進的な取り組みを国内外に情報発信することで観光振興や経済活性化につなげてまいりたいと考えております。このため新聞、テレビ、雑誌などに取り上げられるような県政情報の積極的な提供や広報素材に付加価値をつけて番組化や記事化をメディアに売り込む企画提案型の広報に取り組んでおります。
 これらの取り組みの結果、先般、新聞全国紙の県内版開設百周年記念特集におきまして世界クラスの資源群の紹介記事が掲載されましたことに続きまして、現在、富士山の環境保全や観光をテーマとした知事と外国大使との対談企画やBS放送での本県の特集企画が進められております。
 また、本県の魅力をワンストップで提供するホームページを新たに開設し、今年度はラグビーワールドカップ二〇一九や二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据えまして、世界での活躍が期待される本県のアスリートやエコパなどのスポーツ施設の情報を全国へ発信してまいります。
 今後とも、情報社会の変化に対応し連動性や拡散性のあるソーシャルネットワーキングサービスなどさまざまな広報ツールを活用して本県の魅力を戦略的に発信し、県民の皆様の理解と参画、国内外の人々の認知と共感を促す広報を展開してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 映像文化の振興についてお答えいたします。
 県ではこれまで、県立美術館における下岡蓮杖展、篠山紀信展等を初めとする写真に関する展覧会や本県出身で日本を代表する写真家の一人である大竹省二氏の貴重なコレクションを活用した写真展等を実施してまいりました。映画祭につきましては、浜松出身の木下恵介監督を記念したはままつ映画祭を初め静岡カンヌウイークや清水映画祭などが地域の民間団体を中心に地元市町や企業等の協賛により開催されており、県文化財団による助成やSPACとの共催などにより支援してまいりました。
 また、映画やドラマ等のロケ地誘致に当たってはフィルムコミッションの果たす役割が大きいことから、県ではこれまでフィルムコミッションのネットワーク化や教育委員会の協力を得て県立高校や県立水泳場等をロケ地として積極的に提供するなどフィルムコミッションの活動を支援してまいりました。こうした結果、県内のフィルムコミッションが支援したロケ地は年々増加しており昨年度は初めて千件を超えたほか、本年は本県を舞台とする全国的にも話題となる映画が立て続けに上映され、テレビドラマが海外で放映されるなどその成果が目に見えて出てきております。
 今後とも、ロケ地ツアーを旅行会社との商談会等においてPR、情報発信するなど地域振興や観光振興に資するフィルムコミッションの活動を支援するとともに、地域における映画祭や写真展の開催を支援するなど本県の魅力を生かした映像文化の振興を図ってまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇)
○二十八番(早川育子君) それぞれ御答弁いただきありがとうございました。二点再質問いたします。
 一点目。お茶の振興についてであります。先日カタログギフトを見ていましたら、外国人のデザイナーによるおしゃれな急須というかティーポットがあり、とてもすてきでした。これまでお茶に縁の薄かった外国の方や若者の意見を聞く場、例えば知事と留学生や子育て世代の皆さんとのティーブレーク、いわゆる茶話会などを企画してお茶の振興について意見を聞く場などを設けたら、もっと斬新なお茶の振興についてのアイデアが出てくるのではないかと思いますがいかがでしょうか。またお茶博士と言われる木苗教育長もいらっしゃいますので、ぜひ共同してそのような場を振興していただきたいと思いますが、この点について知事のお考えを伺います。
 二点目。映像文化の振興について、浜松、清水、静岡、それぞれ各地で地域の映画祭を開催されているとの答弁もありましたが、それだけ地域の機運が高まっているということで、ぜひ静岡県としてふじのくに映画祭開催が必要かと思います。広報戦略にも通じますが、費用対効果を考えたときに、このふじのくに映画祭の開催は映画文化の醸成とともに経済効果も大いに期待できます。すぐにというのは難しいかと思いますが、知事の御所見をぜひ伺いたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) お茶の需要拡大で、外国人やあるいは若い人たちの意見を聞く会ということで、今までもいろんな形で、世界お茶まつり等でも外国人の方々と意見交換をしております。さらに若い人たちともいろんな形で意見交換をしています。こういうことをこれからちょっと、御提案のような会を設けるようなことも含めてですね、検討してまいりたいというふうに思っています。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) 映像文化の振興についてお答えいたします。
 県といたしましては、映像文化を初めといたしまして、文化の振興に当たりましては、その担い手となる主体の自主性、創造性の尊重が大切であり、かつ文化の多様性への配慮が必要だという認識のもと、地域におけるさまざまな取り組みに対して支援をしていくという姿勢を基本としておるところでございます。
 映画祭につきましては、ただいま御答弁申しましたとおり浜松におきましては平成十四年から、清水におきましては昭和六十二年から、静岡におきましては静岡市カンヌウイークにつきましては平成二十二年から行われているというところでございます。
 こういう民間主導で映画祭が行われている中で、県がふじのくに映画祭という形で主催するかどうかにつきましては、十分に研究させていただきたいと思います。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇)
○二十八番(早川育子君) 再々質問いたします。
 知事に答弁を、映像文化の振興についてお考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 映像文化の振興についての再々質問にお答えいたします。
 振興をするという姿勢でおります。具体的に何ができるのかというのを西田君などと一緒に検討しているということです。これは役所言葉での検討ではありませんで、本当に次回の御質問までに答えられるかどうかわかりませんが、なるべく早くに、確実に何をするかということを答弁できるようにお約束をいたします。ともあれ、一つはですね、カンヌ映画祭のような、ああいうふうなものになれば大したものだと思いますけれども、なかなかにこの映画祭といってもローカルなものにとどまっているというのが現実です。
 一方、例えばそうですね、演劇などで今、日韓正常化五十周年ということでさまざまな日本人と韓国人、当時の朝鮮の方たちとの交流をテーマにしたものが上演されたりしているわけです。これは演劇も入っておりますけれども。そうしたもので、韓流のテレビも相当にまだ放送されております。チャンネルによってはですね。
 そうした中で、韓国の有名な俳優と日本の有名な俳優で、例えばジェームス三木さんの「つばめ」という、小説といいますか、実話に基づいた話がございますけれども、こうしたものを一緒にやるということになれば、韓国も大変映画に対しては真剣ですので、そうしたこともあわせて考えているということで、目下のところ具体的にこれと決めていないというのが現状でございますので、御理解賜わりたいと存じます。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇)
○二十八番(早川育子君) ありがとうございました。それでは次の質問に移ります。
 次に、子育て支援について伺います。
 子ども・子育て支援新制度が本年四月からスタートし、地域における保育や幼児教育など質と量をともに拡充する取り組みが始まりました。今月五日に公表されました厚生労働省の人口動態統計によりますと、二〇一四年の出生数は推計で百万三千五百三十二人。これは過去最少の出生数です。さらに総人口は二〇六〇年には八千六百七十四万人との推計であり、我が国の少子化、人口減少は深刻さを増しております。
 こうした中、政府は三月に新たな少子化社会対策大綱を決定し、子育て支援施策の一層の充実、子供の多い世帯への配慮などを重要課題に盛り込みました。今後さらに少子化対策に取り組む各自治体の熱意と新制度の成果が問われることになると言えます。
 本県の二〇一四年の出生数は二万八千六百八十四人と、こちらも過去最少を更新し初めて三万人を割り込み深刻な状況になりました。今後、少子化対策、子育て支援がさらに充実し成果があらわれてくることを期待してやみません。そこで、現状を踏まえた上で今後の県の考えを伺います。
 初めに、待機児童解消への取り組みについて伺います。
 県内の待機児童数は、前年度の五百六十七人から二百十三人増加し過去最高の七百八十人となりました。新制度移行により保育を受けられる対象者がふえたためと考えられますが、年齢別に見ますと一、二歳児の待機児童数が大きく増加したことや市町ごとの差があることなど課題が多く見られます。
 そこで、県としてこうした現状を踏まえ、県が目指す待機児童ゼロ実現に向けどのように取り組んでいかれるのか伺います。
 次に、こども医療費助成について伺います。
 子育ての経済的負担を軽減するための支援と子供の多い世帯への支援も重要かと考えます。第三子を産まない理由で「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」と答えた人の割合は七一・一%という結果を新聞で目にしました。こども医療費助成はこれまで公明党の強力な推進により段階的に対象年齢等が拡充され、現在県として中学三年生まで実現しました。一方、高校生のお子さんのいる御家庭では高校生になってもけがや病気で医療費負担が大きいとの声も聞かれます。
 子供の総数は減少し、政令市も昨年で完全に外れているわけですから、子育て世代の経済的負担軽減のために今後はさらに助成対象を十八歳までにしていくべきと考えますが所見を伺います。
 次に、保育料の無料化について伺います。
 福井県では、この四月から親の所得に関係なく第三子以降の保育料を就学前まで無料にする取り組みを始めました。ほかには富山県、京都府でも始めていると聞いており本県も参考にすべき取り組みと考えます。県内では長泉町が兄弟姉妹の通園状況にかかわらず第三子以降の保育料を無料としております。こうした取り組みは実施主体の市町によってばらつきが見られますが、県内市町のどこに住んでも安心して子育てができるような環境を整えることが県の責務であり、特に財政的に厳しい市町への支援を含め県として支援をしっかりと行うべきです。
 そこで、保育料の無料化の取り組みについて、県の所見を伺います。
 次に、地域包括ケアシステムについて伺います。
 初めに、認知症対策について伺います。
 県の調査によりますと、六十五歳以上の高齢者は本年四月現在で前年比三万六百二十人増の百一万一千六百九十一人で、初めて百万人を突破し高齢化率も二六・八%と過去最高を更新しております。さらに二〇四〇年には百十二万三千人まで増加すると見られ、それ以降の高齢化率はその後も上昇すると予測されております。
 こうした超高齢社会において重症な要介護状態になっても住みなれた地域で暮らし続けることができるよう、医療・介護、予防、住まい、生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムが構築されることになりました。その中でも重要課題とされる認知症対策は世界規模で取り組むべき課題となり、本年開催されたWHO認知症閣僚会議では各国が認知症対策へ政策的優先度をより高位に位置づけるべきとの考えが確認されました。世界最速で高齢化が進む我が国では、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年には認知症高齢者数は最大約七百三十万人にも達すると推計されており日本の認知症への取り組みが注目されております。
 政府は、本年一月認知症対策を国家的課題として位置づけ、認知症施策推進総合戦略いわゆる新オレンジプランを策定し認知症高齢者にやさしい地域づくりを目指すことにしました。認知症に対する県の取り組みについて昨年六月議会で質問し、医療・介護の切れ目のない支援体制づくり、症状や進行に応じたサービスの拡充、介護マークの普及などの取り組みに加え若年性認知症に関しての実態調査を行うとの答弁をいただき、先ごろ結果が公表されました。先日、若年性認知症フォーラムに参加し、当事者である佐野さん御夫妻と支援者の対談を伺いました。はかり知れない御苦労があったと推察されましたが、告知をされてからさまざまな場面で支援する方の輪が広がり地域全体で支え合っている姿に大変感動いたしました。若年性認知症の場合、仕事の継続や経済的な支援の必要性など調査の結果からもわかりましたが独自の課題がある一方で、広く認知症に対する対策として家族への支援や周囲の理解に加えこのような支え合う地域づくりなど、さまざまな観点からの総合的な支援は非常に重要であると実感しました。
 そこで、県の今後の認知症対策について伺います。
 次に、介護人材の確保について伺います。
 昨年六月議会でも質問いたしましたが、介護人材の不足は深刻な社会問題です。国でも処遇改善については本年度さらに積極的に行われていますが十分とは言えず、急速に進む高齢化、要介護状態者の増加に追いついておりません。二〇二五年までに本県でも介護職員は現在から二万人の確保が必要と予測され不足が懸念されます。
 県では、全国に先駆けてキャリアパス制度の導入支援や介護技術向上への取り組みなどを行ってきましたが、さらに潜在的に存在する介護職員の活用や外国人の方の受け入れ支援、介護ロボットの活用などあらゆる手段を使い取り組むべきと考えますが、県の考えを伺います。
 次に、介護予防につながる健康づくりについて伺います。
 昨日も話題になりましたが、県では効果的な生活習慣病予防対策に活用するため県内各医療保険者の協力により五十六万人もの特定健診データを集約し分析を行いました。その結果、メタボリックシンドローム、いわゆるメタボ該当者や高血圧有病者は圧倒的に東部が多い一方、西部の女性に糖尿病有病者が多く、糖尿病予備群では中部、東部に比べ西部地域が男女とも圧倒的に多いなど地域の特性がわかりました。
 このうち、糖尿病は血管障害や心臓病の合併症になりやすいだけでなく、食後の血糖値の上昇等によりアルツハイマーなどの認知症のリスクが糖尿病でない人の二倍から四倍に高まると言われております。また調査のほうでは問診票の結果により食生活や喫煙習慣なども傾向が明らかとなり、全国的に見てもこのような大がかりなデータ分析を行っているところはなく非常に貴重な取り組みであり、大いに活用すべきであると考えます。高齢者の介護予防も重要ですが、若い時期から生活習慣を見直し健康づくりに取り組むことが大きくその後の介護予防や医療費抑制につながると思われます。
 県では、健康寿命のさらなる延伸に向け、ふじ三三プログラムを開発し県内市町と連携し健康づくりに取り組んでおりますが、若い時期からの健康づくりに県民挙げて取り組む必要があると考えます。
 そこで、介護予防につながる健康づくりについて、県の取り組みを伺います。
 次に、夜間中学校について教育長に伺います。
 夜間中学校は、戦後の混乱期に貧困や家族離散などで就学機会を失った人たちの学習の場として開始され、一九五〇年代半ばがピークで生徒数は五千人を超えていました。義務教育の就学率が向上する中、生徒数は減少しましたが需要は途絶えることはありませんでした。二〇一四年の文部科学省の調査によりますと公立夜間中学校があるのは八都府県のみで、二十五区市三十一校で千八百四十九人が学んでいました。十代後半から高齢者まで各年代にわたっておりますが、三割近くが六十歳以上でした。また近年は就労のために来日した親に呼び寄せられた若者や国際結婚で来日した外国籍の生徒がふえております。公立の夜間中学校が少ないためこれを補っているのが民間が運営する自主夜間中学校であり、少なくとも三百七カ所存在し公立の四倍に上る七千四百二十二人が学んでおり潜在的な需要の高さを示していると言えます。
 昨年十月の衆議院文部科学委員会で、公明党の浮島智子衆議院議員は夜間中学校の全都道府県設置を訴え下村博文文部科学大臣から具体的に進める旨の答弁を引き出しております。一方、現行制度では中学校未修了で学齢を過ぎていることが入学の要件となっており、例えば中学校にほとんど通えず学校側の配慮で形式的に卒業した、いわゆる形式卒業者が大人になって中学校での学び直しを望んでも受け入れられないといった課題もあり、入学条件の緩和が必要と言えます。
 足立区立第四中学校では、二〇一四年度の生徒数八十八人、全十クラスあり、そのうちの六クラスは日本語学級で、何と外国籍生徒の国籍は九カ国に及んでいるそうです。午後五時三十分から一時間目が始まり給食時間を挟んで四時間目が終了するのは午後八時五十五分。その中で学ぶAさんという八十五歳の方のお話は夜間中学校の存在の意義を教えてくれております。Aさんは、戦中戦後の混乱で義務教育を修了できませんでした。どうしても勉強したいとの思いで夜勤明けの日に英語塾に通っていましたが、結婚を機にその塾通いを断念。八十歳になり向学心に火がつき、夜間中学校を紹介され昨年九月に入学。今、定時制高校への進学、そして何と大学を目指すという決意をされているそうです。
 静岡県内にも夜間中学校の設置を求める声は少なくありません。多様なニーズのある夜間中学校について検討を進めるべきと考えますが、教育長の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 子育て支援についてのうち、待機児童解消への取り組みについてお答えいたします。
 子ども・子育て支援の新制度が始まりまして、利用対象者がパートタイム就労者や求職活動中の方などにも拡大され利用申込者が大幅に増加いたしました。また利用申込者の御家庭の事情や就労状況に最も適した保育所や保育サービスなどを提供することができなかったなどの要因によりまして、多くの市町で待機児童が発生したのでございます。今後、少子化対策を確実に進めていくためには待機児童の解消は喫緊の課題であるという認識を持っております。
 このため、本年度は保育所や認定こども園の整備などを着実に進め、約四千人分の定員増員を図ります。あわせまして保育コンシェルジュを拡大いたします。この保育コンシェルジュというのは、多様な保育ニーズにきめ細かに対応して希望に沿う施設などを紹介することを通し、利用者とのミスマッチの解消に努めるものであります。平成二十六年度の実施状況では、国庫補助事業により実施したのは県下十の市でございましたが、磐田市ではコンシェルジュの活用で平成二十六年四月一日に二十八人であった待機児童がことし四月一日にはゼロになりました。そこで今年度は十四の市で計三十一人を配置することにいたしております。
 利用申込者の増加に伴いまして今後保育士が必要となってきますけれども、この保育士の確保につきましては、この四月に二つの保育士養成施設の開設などにより新たに百三十人の保育士を育成するほか、県内に約二万人もいらっしゃると推測される潜在保育士に対しまして保育現場への就労を呼びかけます。あわせて求人情報の提供や研修の実施などにより就労を具体的に支援してまいる所存です。
 また、待機児童が発生した全ての市町に対しまして個別のヒアリングを実施いたします。そして増加要因等の実態を把握し、待機児童を解消した市町の取り組みなど効果的な事例を学びまして、その情報を御提供申し上げることによって各市町における取り組みの実効性を高めるように支援いたします。さらに八月には待機児童解消推進会議を開催し、待機児童解消に向けた対応策を策定して全市町に対して積極的に取り組むように強力に働きかけます。
 今後も、私どもといたしましては、平成二十九年度までに全ての市町で待機児童をゼロにするというこの実現を図るために、ふじさんっこ応援プランを着実に推進し、「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを市町や保育所などとともに全力で取り組んでまいる所存であります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 子育て支援のうち、こども医療費助成についてお答えいたします。
 こども医療費助成につきましては、県ではこれまでも制度拡充を図ってきたところであり、平成二十四年十月の制度改正では、入院に加え通院も対象を中学三年生まで拡大し県内全市町で実施されております。全国的にも入院、通院ともに中学三年まで対象としているところは六都県のみであり本県の助成水準は非常に高い状況でございます。
 また、県独自の制度によりまして、特に経済的負担の多いひとり親家庭に対しましては二十歳までの子を助成対象としているほか、重度障害児を抱えた家庭に対しましては二十歳以降も助成を行うなど家庭の状況に応じたきめ細かな支援を行っているところでございます。こども医療費助成は市町が事業の実施主体となることから、対象の拡大につきましては既に実施している自治体の状況や事業効果なども分析し、県と市町が十分協議し連携して進めることとしております。
 県といたしましては、子育ての経済的負担を軽減するための支援策につきまして、医療費助成の拡大も含め子育て支援全体の中で検討を進めてまいります。
 次に、保育料の無料化についてであります。
 国の制度において保育所などに複数の子供が同時に通園している場合の保育料は、二人目は半額、そして三人目は無料という多子軽減の特例制度があることから、県ではこれを活用して子育て家庭の経済的負担の軽減に努めているところでございます。第三子以降の保育料の無料化につきましては、子供の通園状況にかかわらず全国的な制度として取り組むべきと考え、本県では平成二十五年度から国に政策提言しております。また全国知事会においても同様の提言を国に対して平成二十六年度に行っているところでございます。
 県では、既に第三子以降の保育料無料化を先行的に行っている自治体もあることから、その助成方法や取り組み成果などを検証するとともに、各市町の意見なども伺いながら保育料の無料化を含めた子供の多い世帯への支援についても効果的な施策を検討してまいります。
 今後とも、市町と連携して二人から三人の子供を持ちたいという県民の希望がかなえられる「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを進めてまいります。
 次に、地域包括ケアシステムについてのうち、認知症対策についてであります。
 認知症対策につきましては、早期に発見し医療機関や介護サービスにつなげて早期の対応を行い、その人たちを地域で見守り支え合う体制を構築することが重要であります。県では、地域包括支援センターの職員を対象とした研修を強化し家族などからの相談に的確に対応できるようにし、早期発見の充実に努めております。今年度からは、医師や保健師、介護福祉士等が連携して初期の支援を集中的に行う体制を構築するなど円滑に早期の対応ができるよう取り組んでおります。また認知症サポーターのさらなる増加を図り日常生活におけるさまざまな支援の輪を広げるなど認知症の方やその家族に優しい地域づくりを進めることとしております。
 若年性認知症対策につきましては、病気への理解や就労等の生活支援をテーマにしたフォーラムを開催し、広く県民に向けて若年性認知症の理解の促進と生活支援の大切さの意識啓発を図ったところであります。今後は症状の特徴や就労の支援策などを盛り込んだ若年性認知症に関する手引を作成し経済団体や企業などに配付し、正しい理解や就労への配慮などについて協力を呼びかけてまいります。
 県といたしましては、今後も市町や企業との連携を図り、認知症の方も住みなれた場所で安心して生活を続けていくことができるよう、地域全体が支え合う社会の実現を目指してまいります。
 次に、介護人材の確保についてであります。
 県では、第七次静岡県長寿者保健福祉計画に基づき介護現場への就業促進や介護職員の職場定着に取り組んでおりますが、今後二万人の介護職員を確保するためにはさらなる取り組みが必要であると認識しております。潜在している介護人材の活用につきましては、静岡県社会福祉人材センターによる就労希望者へのきめ細かな相談対応により介護職員への再就職につなげております。また同センターとの連携により復職の不安を解消するため介護技術研修や職場体験などのプログラムの策定に取り組み、就職実績についても上げているところでございます。
 外国人の受け入れ支援につきましては、受け入れを考えている介護事業所を対象に本年度新たに県内三カ所で外国人介護職員の指導や育成方法などを学ぶ研修会を開催し、受け入れの増加に努めているところでございます。
 介護ロボットの活用につきましては、介護職員の身体的負担の軽減の効果等が期待できることから、本年度は介護ロボットをテーマとした展示会を県内三会場で開催するなど介護現場における活用に結びつける取り組みを展開することとしております。
 今後も、県民の皆様が必要なときに必要な介護サービスを受けることができるよう、現在の事業の充実も含めあらゆる手段を用いて市町や介護事業所と一丸となって介護人材の確保について取り組んでまいります。
 次に、介護予防につながる健康づくりについてであります。
 県民が介護を受けることなく健やかな毎日を送るためには、運動、食生活、社会参加、この三つの健康長寿の三要素を取り入れた健康づくりが重要であります。県では、この三要素に着目して生活習慣の改善を図るふじ三三プログラムを普及させ地域や職場で活用していただくなど県民挙げての健康づくりに取り組んでおります。また主に若い世代を対象としたスマートフォンで利用できるふじ三三アプリを開発するなど健康への関心を高め望ましい生活習慣が身につくよう若い時期からの健康づくりの大切さについて普及啓発に努めております。
 今年度からは、要介護となった一番多い原因でございます脳血管疾患の予防のため減塩五五プログラムを開発し、市町や企業等と連携し働き盛り世代からの食生活の見直しによる健康づくりにも取り組んでおります。
 今後も、長寿者が生き生きと活躍し生きがいのある毎日を送ることができますよう、若い時期からの介護予防につながる健康づくりについて県民総ぐるみで推進してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 夜間中学校についてお答えいたします。
 国の中学校夜間学級等に関する実態調査によれば、平成二十六年度現在、全国八都道府県の三十一校において公立中学校夜間学級が設置されています。またこうした調査結果や国会における議員連盟の動向を踏まえ、文部科学省からは各県に少なくとも一校の設置を目指し未設置県における検討を促すとの方針が示されているところであります。
 本県におきましては、牧之原市に外国人を対象とした民間が運営する日本語教室、いわゆる自主夜間中学がありますが、公立の中学校夜間学級は設置されておりません。一方、夜間中学校のニーズの多くを占める日本語学習を必要とする外国籍の生徒につきましては、磐田市や富士市など特に外国籍の児童生徒の多い市町教育委員会において特別な日本語の指導プログラムが提供されています。県教育委員会といたしましては、こうした取り組みに対し母国語を理解できる相談員等を派遣する外国人児童生徒トータルサポート事業を実施し、支援を行っているところであります。
 夜間中学校の設置について、県教育委員会といたしましては、今後の国の動向を踏まえながら各市町におけるニーズの把握に努めるとともに、義務教育未修了者の学習機会の一つとしてその研究に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇)
○二十八番(早川育子君) それぞれ御答弁いただきありがとうございました。二点再質問いたします。
 初めに、介護職員の確保についてであります。
 重労働で低賃金という労働環境の影響が大きいということはもう明らかであります。こうした中で、介護保険制度の中での賃金上昇というのは非常に難しい課題があろうかと思います。そこで例えば補助職員としてお元気な高齢者の方に活躍していただくお元気ポイントの創設ですとか、あるいは有能な県庁職員の皆さんの、例えばひとり一改革のような形で集中テーマを掲げて、介護職員の皆様の重労働の回避あるいは職員確保に向けての提案などを取り上げるなどさまざまな工夫が必要かと思いますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
 二点目ですが、夜間中学校についてであります。
 義務教育は市町が主体であるということはもちろん承知しておりますが、県でも県立中学校が存在し、市町の教育委員会をリードする立場が県の教育委員会であると考えます。率先して設置に向けて取り組むべきと考えますが、先ほどの研究するというのは率先して取り組むという意味でありましょうか。教育長の積極的な答弁を再度求めます。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 介護人材の確保について、さらなる取り組みということでお答えいたします。
 介護人材の確保につきましては、先ほど答弁でお答えした以外にさまざまな取り組みをしております。例えば介護職員の大学へ訪問相談をさせたり、あとは小学生の親子施設見学会など介護職員の周りにいる方々の実際の見学等もさせていただきまして、現在介護のイメージとして三Kと言われているのがきつい、汚い、危険ではなくて、逆三Kと言われている感動、輝き、感謝。そのようなイメージの定着をしっかり図るべきとも考えているところでございます。
 さらに、議員からの御意見もありましたいろんな方々の意見を聞くということでございますが、今年度新たに介護のすぐれた取り組みを発掘し、また介護のすばらしさを発信するコンクール等も開催いたしまして、介護の魅力について情報発信しているところでございます。
 このように、さまざまな手法につきまして積極的に取り入れまして、介護人材の確保についてさらに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 先ほどお話しいただきました件なんですけれども、静岡県は、まだこういうものは中学校夜間学級というのがないものですから、そういう意味では前向きに検討するということと、それから実際のニーズはどうなのかということ。それからもう一つはですね、もう既に八都府県がやられていらっしゃる、三十一校ですね。そういう中でやはりそういうところもちゃんと見学して、参考にして、それで結論を出したいと。こういうように考えておりますので、決して後向きな発想ではなくて前向きに議論したいと。そういうようなことでございます。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇)
○二十八番(早川育子君) それでは、次の質問に移ります。
 次に、富士山火山防災対策について伺います。
 昨年九月、御岳山が水蒸気噴火し、合わせて六十三人の死者・行方不明者を出したことは日本中に大きな衝撃を与えました。犠牲になられました皆様の御冥福を心よりお祈りいたします。
 国内の火山活動状況を見ますと、本年四月に蔵王山に火口周辺警報が出されました。また四月二十六日から火山性地震が頻発した箱根山では五月六日に噴火警戒レベル2に引き上げられ、地震活動や地殻変動、活発な蒸気の噴出が継続している間は小規模な噴火が発生する可能性があると引き続きの注意が呼びかけられております。五月二十九日には口永良部島の新岳が噴火し、噴火警戒レベル5に引き上げられ島民全員が避難し昨日で一カ月経過しました。島民の皆様の一日も早い帰還を願ってやみません。六月十一日には浅間山で噴火レベル2に引き上げられ十六日に小規模でありますが噴火がありました。現在、噴火警報が出されている火山は全国で十三カ所に及んでおります。日本全体で火山活動が活発になっていると感じられることに対し、火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東京大学名誉教授は、二十世紀は火山噴火が少なかったが今の状況が普通かもしれないと語り、これからはもっと大きい噴火が別の火山で起こることも覚悟したほうがいいと警告しておりました。
 こうした御岳山の教訓や火山防災対策の特殊性を踏まえ活火山対策の強化を図るため、今国会に活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案が提出され、現在審議中であります。改正案では、噴火で被害が発生するおそれのある地域を国が火山災害警戒地域に指定した上で、国の関係機関や警察や消防、火山専門家らが加わる火山防災協議会の設置を自治体に義務づけることや観光施設にも避難確保計画の策定や訓練を義務づけており、より安全確保のための官民挙げての取り組みを求めているとうかがえます。
 静岡県では、既に平成二十四年に富士山火山防災対策協議会を立ち上げ、昨年度、富士山火山広域避難計画に基づき山梨県、神奈川県と三県合同の防災訓練を実施し着実に防災対策を実行していることは十分承知しておりますが、国内での火山活動の状況を考えますと、より実効性ある対策が求められます。
 また、富士山は七月十日に開山を迎え多くの観光客でにぎわいのシーズンを迎えます。地域住民だけでなく登山者に対する対策も必要と考えます。県の富士山火山防災対策への取り組みについて伺います。
 次に、土砂災害対策について伺います。
 初めに、土砂災害対策の推進について伺います。
 昨年八月の広島市北部の土砂災害を引き起こした豪雨を初め本県でも平成二十二年の小山町、平成二十五年の西伊豆町、昨年十月の台風十八号など豪雨による被害が相次いでおります。昨年は全国で千百八十四件の土砂災害が発生し、その規模も大規模化してきています。昨年国では、広島市の土砂災害を受けて土砂災害警戒区域における警戒避難体制を強化するために土砂災害防止法を改正しました。土砂災害防止法では土砂災害が発生するおそれの区域が明らかになるとともに、避難体制が整備され、著しい土砂災害が発生するおそれのある区域については特定の開発行為の制限や建築物の構造規制、既存住宅の移転等により総合的な対策がとられますが、今回の改正によりさらに促進されることになります。
 また、防災意識の高揚と避難体制の強化を目的として、土砂災害防止月間である六月を中心に土砂災害警戒区域に指定された地域などで防災訓練が行われます。私の地元富士市でも多くの地域住民、市、県、自衛隊の参加のもと行われ、参加者からは、いざというときの具体的な流れがわかり大変によかったとの話を伺いました。このようなソフト面での対策のほかに、近年日野市では全国初のフォレストベンチ工法という新しい工法を導入し話題となっております。この工法では重機の入りにくい地域でも取り組むことができ事業効果も高いとの評価を受けております。ハード対策には事業コスト、環境コストの削減等課題がありますが、新工法の採用など積極的に取り組むべきと考えます。
 本県では、平成二十四年以降土砂災害による死者は出ておりませんが、年々異常気象による災害が増加する中、命を守る危機管理として土砂災害に対する基盤整備は大変重要な課題であります。
 そこで、今後県では土砂災害対策をどのように進めていくのか伺います。
 次に、住宅移転支援について伺います。
 危険な崖に近接して建っている住宅を安全な場所に移転したい方への補助金制度がありますが、熊本県では全国で初めて土砂災害特別警戒区域内に居住する方々の移転を促進する土砂災害危険住宅移転促進事業制度を開始したと聞いております。この制度では、これまでの集団移転などの条件をつけず一戸でも対象とすることや急傾斜地のみならず土石流、地すべりのレッドゾーンも補助の対象としており移転促進に大いに期待が寄せられております。
 静岡県でもこのような積極的な支援策を講ずるべきと考えますが、県の住宅移転支援について伺います。
 次に、環境政策についてのうち、水銀使用製品の適正処理について伺います。
 メチル水銀化合物に汚染された魚介類を食べることにより起こった中毒性の神経系疾患である水俣病が公式に認定されてから本年五月で五十九年を迎えました。しかしながら、いまだに多くの水俣病患者が健康被害に苦しみ続けています。水銀は蛍光管や体温計、血圧計など私たちの暮らしの中でさまざまな用途に利用されてきましたが、一旦環境中に放出されると循環を繰り返しながら残留し生物の体内に取り込まれると蓄積し神経系の疾患へとつながります。二〇一三年十月に熊本県で開催された水銀に関する水俣条約外交会議で水銀に関する水俣条約が採択されました。この条約の前文には、水俣病の教訓として水銀汚染による同様の公害の再発防止が日本の提案として明記されました。そのほか水銀の供給と国際貿易の削減、製品への水銀使用の削減、水銀の大気への排出、水、土壌への排出抑制などが示され、条約は五十カ国が締結してから九十日後に発効され国連環境計画――UNEPでは二〇一六年を発効の目安といたしました。
 国においても、今国会で国による水銀汚染防止計画のほか特定の水銀使用製品の製造の原則禁止が盛り込まれた水銀対策を厳格化する法案が提出され六月十二日成立しました。この法律では廃棄された水銀使用製品を回収する努力義務を市町村に課し蛍光灯や電池、体温計など水銀使用製品を適切に回収し環境リスクを軽減させることを狙いとしています。環境省の調査では水銀使用製品の分別回収を行っている自治体は全国平均七割にとどまっており、回収方法もまちまちです。本県の市町でも廃棄された蛍光灯の分別回収を行っている割合は六五%程度となっており、水銀が環境中に放出され環境を汚染、人間の健康にも影響が出るおそれがある状況です。一昨年、富士山が世界遺産となり韮山の反射炉も世界遺産の登録が目前に迫る中、人類の残すべき遺産を守る観点からも環境保全に対する本県の姿勢を明確にしていくことが重要であります。
 廃棄された水銀使用製品について明確な回収方法の方向性を明示すべきと考えますが、県の所見を伺います。
 最後に、高齢者の交通事故防止対策について、警察本部長に伺います。
 高齢者の交通安全対策については昨年六月の代表質問においてお伺いしたところであります。県警察では交通事故の死者の多くを占める高齢者への対応が急務であるとの認識のもと昨年四月、交通部に高齢者交通安全対策室を新設するなどして運転免許の自主返納の働きかけや高齢者見守り隊制度の運用など自治体、関係機関・団体、民間事業者等と連携し高齢者に特化した交通安全施策を推進してこられました。
 しかしながら、交通事故により多数のとうとい命が失われているのは紛れもない事実であります。本年に入ってからも、県内で七十四歳の男性が運転する原付と七十二歳の男性が運転する普通貨物車が出会い頭に衝突し死亡した事故や七十三歳の男性がコンビニの駐車場でブレーキとアクセルを踏み間違え店舗に衝突し破損した事故など、高齢者が被害者になるのみならず加害者になる事故も見受けられるようになりました。せっかく健康長寿日本一に輝いても、とうとい命が交通事故で奪われることは何としても防いでいくことが重要であります。先日、改正道路交通法が成立し認知症高齢者の事故防止の大きな足がかりとなると期待をいたします。静岡県では第九次交通安全基本計画を受け、平成二十七年度末までに年間死者数を百二十人以下、人身事故発生数三万三千件以下を掲げているところであり、これを達成させるためにもまさに今が正念場と言えます。
 今後ますます進む高齢社会において交通事故による死者の半数を占める高齢者の交通事故防止対策は極めて大きな課題であり、全庁挙げて取り組むべきであると考えます。
 そこで、高齢者に係る交通事故防止対策をいかに進めていくのか警察本部長の所見を伺い、私の質問といたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 富士山火山防災対策についてお答えいたします。
 静岡県は熊本県と鹿児島県と防災協定を結んでいるのは御存じでしょうか。熊本県に飛行機が就航していた時期がございましたけれども、その折に防災協定を結びました。現在鹿児島県は飛行機が就航しておりますけれども、それというのも一つには阿蘇山、あるいは桜島というのがあり、本県に富士山があるということからでございます。そうしたことで既に三年前、私どもは山梨県、神奈川県とで知事がいろいろと課題を話し合う山静神サミットというのがございますけれども、そこで富士山の火山対策につきまして提起をいたしまして、平成二十四年六月――三年前ですね――に国、山梨、神奈川両県、富士山周辺市町村とともに、富士山火山防災対策協議会を組織したわけであります。そして富士山火山広域避難計画の策定を進めてまいりました。
 昨年二月には、火山現象に応じた避難の基本的な考え方を示した計画編を策定し、ことし三月に広域避難を円滑に実施するため各機関が実施する対策を整理した対策編を策定したところです。現在この計画を受けまして、市町において入山規制や避難の開始時期、対象地域、避難先、避難経路、避難手段等を盛り込んだ具体的で実践的な避難計画の策定を進めています。
 県としましては、市町の計画策定を支援するとともに、訓練により計画の検証を進めながら富士山火山広域避難計画の実効性を高めてまいります。
 登山者に対する対策といたしましては、来月十五日に富士山の五合目以上を対象に山小屋の協力を得て情報伝達訓練を行います。さらに避難ルートマップの作成やシェルター設置場所の調査、緊急情報等を伝えるスマートフォン向けアプリの実証実験を行うほか、富士山保全協力金を活用いたしましてヘルメット、防じんマスク等を山小屋に配備するなど安全対策の充実を図ります。
 また、静岡県地震防災センターに火山防災コーナーを設置するとともに、登山の際のヘルメット携行を促進するためヘルメットのデザインコンテストを実施いたしました。引き続き住民や登山者への啓発を進めてまいります。
 今後とも国、山梨、神奈川両県、富士山周辺市町村、関係機関とともに、富士山火山防災対策を一層推進してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 土砂災害対策についてのうち、土砂災害対策の推進についてお答えいたします。
 県では、土砂災害による死者数ゼロを目指し、砂防堰堤や擁壁工などの整備によるハード対策と住民の迅速な避難行動を促すソフト対策が一体となった取り組みを推進しております。近年、局地的豪雨の増加により土砂災害が頻発していることから、施設整備の重点化などによる効果の早期発現や住民の避難に結びつく体制の一層の強化が重要と考えております。
 このため、ハード対策では社会資本整備総合交付金等により人家が集中する箇所や避難所等を保全する箇所など緊急性の高いところから着実に整備を進めるとともに、県単独事業として豪雨対策緊急整備事業を創設し、本年度から二カ年で災害の危険性が高いものの国の補助事業採択が困難な三十カ所の対策に取り組むこととしております。
 また、ソフト対策では一万五千百九十三の危険箇所のうち昨年度末までに一万一千六百二十六箇所を土砂災害警戒区域に指定したところであり、今後は現在実施している危険箇所の見直しによる追加箇所も含め平成三十一年度の完了を目標に指定を進めてまいります。さらに地域の防災力を向上させるためハザードマップ作成に必要となる指定区域のデータの提供や全警戒区域での避難訓練の実施、防災講習会の開催など市町の取り組みを支援してまいります。
 県といたしましては、市町と連携しハード・ソフト両面から総合的な土砂災害対策を推進し、県民の安全・安心の確保と県土の強靱化に努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 池谷くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 土砂災害対策についてのうち、住宅移転支援についてお答えいたします。
 本県では、昭和四十八年度から国、県、市町が一体となってがけ地近接危険住宅移転事業により住宅移転を進めており、昨年度末までに鹿児島県に次ぐ全国第二位の千二百九十四戸が移転したところであります。平成十六年度からは土砂災害特別警戒区域内の住宅につきましても当該事業の対象に追加されました。区域内の住宅は現在約一万二千棟に上りますが、区域の指定は継続しており今後対象住宅はさらに増加することが見込まれます。
 一方、制度活用による移転は近年、年間数件程度にとどまっております。この要因としては一部の市町で制度が未整備であること、住宅所有者の多くが高齢者で長年住みなれた土地への愛着やそして何より経済的な負担が大きいことなどが考えられます。そのような中、熊本県が新たに創設した支援制度は費用負担の軽減など画期的なものであり、その動向を大いに注目しているところであります。
 県といたしましては、今後とも制度未整備の市町への働きかけを強めるとともに、住民説明会等で制度の一層の周知を図るなど危険地域の住民の移転促進に努めてまいります。
 次に、環境政策についてであります。
 水銀使用製品の適正処理についてでありますが、水銀は体温計やボタン電池など私たちの身近な製品で使用されてきました。中でも全体の四割近くを占める蛍光灯は割れやすく、その適切な回収と処理が求められますが、分別回収を実施しているのは県内の二十三の市町、また専門業者に処理を委託しているのは二十七の市町にとどまっております。このため先月には市町担当者を対象として新法制定の趣旨や内容、また分別収集と適切な処理の必要性などについて理解を深めてもらう研修会を開催したところであります。
 今後は、市町に加え業界団体の参画も得て検討会を新たに立ち上げて、専用回収ボックスの導入など水銀使用製品が破損することのないような分別・収集・運搬体制をいかに構築するか、水銀が大気中に飛散しないように処分するかなどを優良事例も参考にしながら研究し、県内全域で水銀使用製品の安全な処理体制の構築に努めてまいります。また消費者の正しい理解も重要でありますことから、水銀の危険性、使用製品の情報、使用済みの製品は破損しないように保管した上で市町が定めた方法で正しく廃棄すること、さらに水銀フリーの製品への代替の勧めなどについて積極的に広報してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 西川警察本部長。
○警察本部長(西川直哉君) 高齢者に対する交通事故防止対策についてお答えを申し上げます。
 本年の交通事故発生状況を見てみますと、高齢者に係ります事故発生件数、死者数、それから負傷者数ともに増加をいたしておりまして、全死者の半数以上を高齢者が占めているという現状にございます。
 そこで、下半期に向けまして高齢者事故の実態を詳細に分析をいたしまして、その結果に基づく効果的な施策を推進していくことが重要であると考えておるところでございます。
 高齢運転者が当事者となる事故につきましては、加齢による身体機能の変化が影響している状況がうかがわれますことから、これを理解させるために参加・体験・実践型の交通安全教育を実施するとともに、運転に不安を抱えておられる高齢者に対する段階的な運転自粛さらには運転免許自主返納制度の周知と利用促進などを関係機関と連携して呼びかけてまいります。
 また、交通事故でお亡くなりになられた高齢者のうち、特に歩行中であった方あるいは自転車乗用中であった方。この方々が過半数を占めているという現状にございますことから、社会全体で交通事故に遭遇する危険性の高い高齢者に対する見守りや保護対策の強化を図ってまいります。
 さらに、例年秋口から多発いたします高齢歩行者事故を防止するために、九月からの三カ月間を夕暮れ時の歩行者安全対策推進強化期間に指定をいたしまして自治体や関係機関・団体等と連携をいたしました広報啓発活動や街頭活動などを強化してまいります。加えまして反射材つきエコバッグや自発光式反射材等の利用促進に向けまして利用者への優遇制度導入などについてスーパー、商店街等に対する働きかけなどを検討してまいります。
 他方、運転免許を保有しておらず定期的な交通安全教育を受ける機会の乏しい高齢者の方々に対しましては、自宅訪問などによる家族を含めた具体的な指導を推進してまいります。あわせまして、高齢者以外の世代に対しましても高齢者事故の実態及び高齢者の特性を理解させるなど多角的な高齢者事故防止対策を推進してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 早川育子君。
       (二十八番 早川育子君登壇)
○二十八番(早川育子君) 御答弁いただきありがとうございました。二点再質問いたします。
 初めに、富士山火山防災対策についてであります。
 七月に五合目以上の登山者の訓練を山小屋の皆さんと連携しながら行うということで、これは非常に重要な取り組みだと思います。特にその中で外国の方に向けての情報発信。これがやはり非常に重要になってくるのではなかろうかと思いますが、そのあたりの取り組みについて伺います。
 二点目。環境政策についてのうち、水銀使用製品の適正処理について伺います。
 聞き漏らしていたら大変申しわけないんですが、市町そして事業所との検討会を立ち上げて具体的な回収方法を含めた検討に入るということでありましたが、これは具体的にいつぐらいの時期、そしてどのようなスケジュールで取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 富士山火山防災対策についての再質問にお答えいたします。
 今回、七月に訓練をいたしますけれども、外国人の方に対する対応をどのようなことを考えているかということでございます。
 七月の訓練では情報伝達ということを主体としております。具体的には山小屋にですね、二十七くらい山小屋がございますけれども、そういうところに情報をまずいろんな形で入れます。それを各登山者に伝えていただくといったような訓練を実施いたします。その中で富士山ナビゲーターというような方がいらっしゃいますので、外国語対応のできる方がいらしゃいますので、そういう方に、いわゆるハンドマイク等を通じてですね、呼びかけていただくというようなことを主体とした訓練をいたします。外国人の方はなかなか日本語が堪能な方ばかりということではないと思いますので、そういう形で個別に呼びかけるといったような訓練を実施いたします。
 また、今登山者対策という意味ではですね、情報伝達用のアプリの実証というようなことを九月にやろうと思っていまして、そういった中でも情報伝達ということについては検証していきたいとこのように考えております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 池谷くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 水銀使用製品の適正処理の再質問についてお答えいたします。
 水銀の対策についてはもう待ったなしというふうに考えておりますので早急に立ち上げたいと思っておりますが、まず市町のほうについてはやはり分別収集をきちっとできるような形のシステムを早急につくっていただくということで、これはこれで市町のそれぞれの事情もありますので、そこは押していくということで考えております。
 それからもう一点。事業者というのは、やはり市町村ルートでは乗らない、いわゆる製造者に、あるいは販売者に回収していただくというルートになりますので、これについても早急に働きかけをして、最終的にいつの時点でシステムができ上がるかということはちょっと申し上げられませんけれども可及的速やかに対応してまいりたいと思っております。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) これで早川育子君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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