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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中澤 通訓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/28/2018

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 清水港について                         
 (1) 清水港のみなとまちづくりと将来像               
 (2) 駿河湾フェリーの撤退問題                    
2 リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設計画について      
3 教育行政について                        
 (1) 長期計画の検証と今後の進め方                 
 (2) 川根高校のあり方         


午後一時三十分 再開   
○副議長(落合愼悟君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十四番 中澤通訓君。
       (六十四番 中澤通訓君登壇 拍手)
○六十四番(中澤通訓君) 私はふじのくに県民クラブ所属議員として、県政の諸課題について通告に基づき知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に分割質問方式で伺います。
 初めに、清水港についてのうち、清水港のみなとまちづくりと将来像について伺います。
 古くから巴川の河口を小舟の係留地として人や荷物の運搬が行われていた清水港が江戸時代になって徳川家康が駿府城を修築するために港に搬入された石材、材木を巴川を使って駿府に送らせ、また大阪夏の陣での東軍への物資の輸送への功績により四十二軒の回船問屋に特権が与えられたことから港の発展が始まったと言われております。
 明治になって土地の払い下げを受け、地元の有力者が波止場の整備をし横浜経由でお茶の輸出も始まり、外国貿易港の許可を得るための請願運動が実り一八九九年――明治三十二年八月四日、開港場に指定され今日の国際貿易港としてのスタートとなりました。一時期は茶の輸出高は横浜を抜いて全国一となり、その後ミカンの輸出、北海道、樺太からの北洋材の輸入など大いに貢献したものです。
 旧清水市は、大正、昭和とそれぞれの時代に先駆けての企業の誘致、周辺の町村の合併もあって一九六〇年代前半には人口二十万人を超え工業生産高は県内トップクラスでありました。重厚長大から軽薄短小へと産業の転換が必ずしもうまくいかなかった清水でしたが、県西部地区の自動車産業を中心とした製品輸出は順調で港湾物流の実績を積み上げてきました。コンテナ化への対応として日の出埠頭から袖師・興津埠頭へと物流基地を移転、水深十五メートルの大水深を持つ新興津コンテナヤードも完成、近く日本に寄港する最大クラスのコンテナ船に対応したコンテナクレーンも設置されることになりました。
 貿易額は昨年の確定値で二兆八千八億円と輸出額では全国第八位の成績であり、コンテナ取り扱い個数は五十四万千五百四十TEUで過去最高に近づきつつあります。平成三十一年度内には中部横断自動車道の開通も見込まれ、商圏が拡大され明るい希望が見えつつあります。
 一方、約二十五年にわたって客船誘致に努力を重ねた結果もあって国際旅客船拠点形成港湾に指定され、アジア最大のクルーズ会社ゲンティン香港との提携調印がなされたことは喜ばしいことであります。
 一九九〇年二月二十三日、イギリスの豪華客船「クイーンエリザベス二世号」が清水港に初入港、この年が清水における客船元年で、以来地道な努力が実り昨年は三十八隻の入港で名古屋港を抜いて東海地区ではトップとなりました。ゲンティン香港が本格的に業務をスタートすれば二〇二〇年には五十三回、二〇三〇年には百五回、他の客船をも数えれば二日に一回の百七十五回の客船の入港となる予定とのことであります。
 また、このたび日の出・江尻地区を中心に県、静岡市、銀行、私鉄、港湾団体等による清水みなとまちづくり公民連携協議会が発足、その内容は従来のばらばらな開発ではなく、港町のにぎわいづくりを確実に前進していくために民間の土地をも含んだ具体像を描きグランドデザインによっての開発を誘導していくとのことです。大いに期待をしたいと思っております。
 来年、清水港開港百二十周年を迎えることになり、先日民間を中心にその記念事業実行委員会が発足いたしました。開港百周年のときには川勝知事は、当時国際日本文化研究センター教授として「美しい文明の港――清水」と題して記念講演をされました。私は聴衆の一人でありましたが改めて当時の講演録を拝見いたしました。近代化の歩みの中で日本は富士山に象徴される日本固有の自然との調和ある発展の大切さを説き、国内外のネットワーク化によって地域連携軸と広域国際交流圏を形成することにより、清水港こそ二十一世紀における美しい文明の港、日本の顔になり得ると祝っていただきました。清水の人たちに大いなる勇気を与えてくれました。その実現には今後もこれまで以上の努力を重ねなければと思います。
 私は、ユニークな切り口から話をされる学者だなとそのとき初めて川勝平太さんの名前を記憶しました。間もなく静岡文化芸術大学の学長に就任、二〇〇九年には県知事に当選、現在に至っております。
 清水港が百二十周年を迎えるに当たり、今や港湾管理者の代表者である川勝知事の思いを込め、県はみずからが立ち上げを主導し参加する清水みなとまちづくり公民連携協議会を通じ、民間事業者と連携しつつ今後どのように区域全体の具体的な将来像を描いていくのかお伺いをいたします。
 次に、駿河湾フェリーの撤退問題について伺います。
 清水―土肥間を運航する駿河湾フェリーは、燃料費や維持管理費などコスト高が経営を圧迫し累積赤字の解消の見込みがないと判断した結果、来年三月末をもって撤退すると発表されました。二〇〇二年に田子の浦―土肥間から現状の清水―土肥間に変更して以来十六年間運航し、二〇一三年六月には富士山が世界文化遺産に登録されるとともに全国初の観光に特化した海路を県道とした県道二百二十三号清水港土肥線が認定され、駿河湾の船上からの絶景の富士山の景色が評判となり同年九月までの一年間は二十二万九千人の利用がありました。しかしながら景気の上滑りもあって利用客は減少となり、直近の二〇一六年九月から二〇一七年八月期は乗客十七万四千人、バス二千五百台、乗用車二万九千三百台でありました。
 整備が進む伊豆縦貫道とはライバル関係になりますが、現在でも乗用車の二〇%以上は関東圏からの利用者です。関東から伊豆に入って西伊豆からフェリーを利用し、中部、西部圏へのルートも定着しつつあるのも事実で、このルートの利用者は年々増加をしているとのことです。また本年四月には伊豆半島がユネスコ世界ジオパークに認定されました。中部横断自動車道も開通を控えております。さらに来年春からはJRグループが静岡県を舞台に十九年ぶりにデスティネーションキャンペーンを行うことが決定しており、既にことしはプレキャンペーンとして全国から旅行関係者を招いて県内各地の企画商品の理解を深めるイベントも実施されております。
 今回の駿河湾フェリーの撤退報道は、その出鼻をくじくものでもあります。民間経営ではありますが交通インフラとして観光政策の一翼を担っていることも事実であります。
 知事は記者会見で前向きな検討を始めると表明し、プロジェクトチームが発足したとのことです。
ラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催に加え、国を挙げて進めている海外からの誘客促進策など外的好条件がめじろ押しとも言えます。時機を逸することがないように早期の対応策を決める必要があると思いますが、どのように対応するのか伺います。
 次に、リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設計画について伺います。
 リニア中央新幹線は、東京品川―大阪間を一時間で結ぶ計画であり総工費は九兆円と言われ、一期工事として品川―名古屋間の工事発注がなされております。総人口の減少で企業収益、顧客数の低下が予想される中で実施する事業なのか大きな疑問があります。自然環境の面から見れば反対の声は大きいものと思われます。
 特に、本県の大井川源流域である南アルプス直下地下四百メートルに一〇・七キロにわたるトンネル工事は地下水脈の水源を分断する危惧を抱かせます。JR東海が公表している環境影響評価準備書の中で工事における影響のうち最大毎秒二トンの減水の可能性があり、導水路トンネルによって毎秒一・三トン分を回復し残りの〇・七トンは必要に応じてポンプアップを実施するとしております。この減水される毎秒二トンの根拠は何なのか、毎秒一・三トン分はどのように検証できるのか県はその方法を今後十分に確認していく必要があります。
 去る六月十三日になって、JR東海社長はトンネル湧水の全量を川に戻すポンプの設置を検討、県及び利水者に説明を始めたとの報道がありましたが、これは事実でしょうか。また渇水期のみのポンプアップを想定し常時のくみ上げではないとも伝わっていますが、その真意はどのようなものか、それで不都合はないのか伺います。
 大井川下流域の八市二町は水道用水、工業用水、発電用水として利用しており利水団体は十一者であります。流域人口六十二万人、かんがい農地は水田、茶園を主体に一万二千六百ヘクタール、地下水は四百余りの事業所が工業用水、水道用水として利用しています。近年の地球温暖化による不安定な気象条件のもとでは水資源の重要性がますます強くなっております。一部有識者のみがこうした現状を理解するのではなく、大井川流域のみならず広く県民の高いレベルの意識の醸成が望まれるところであります。
 大井川の水は、県民共有の資源、財産であることを考えればもっと広く県民に知ってもらうことが大切であります。県の広報を初め多くの媒体を使ってこれまで以上に広報していくべきと考えますが、どのように対応するのか伺います。
 トンネル湧水の全量の恒久的かつ確実に大井川に戻すこと、利水十一者との流量減少対策に関する基本協定締結が最小限の条件と知事は言明しております。そのことは当然でありますが、南アルプスはその豊かな自然環境が高く評価され平成二十六年にユネスコエコパークとして登録されております。このかけがえのない自然環境がJRの工事によって破壊されることはあってはならないことです。そこで県としてどのように南アルプスの自然環境を守っていくのか伺います。
 また、減水のことも予定どおりにいかなかったときでも、走り出してしまえば列車は途中でとめられないとしてJR東海に一方的に押し切られてしまうおそれがあります。これらはしっかりと事前に決めておくことが必要と思いますが、当局の考え方を伺います。
 最後に、これらの経緯からJR東海との交渉の途中経過は県当局に任せますが、最終結論のときには十分に議会と連携しながら進める必要があると思いますが、当局の考え方をお示しください。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中澤通訓議員にお答えいたします。
 清水港につきまして、長く輝かしい歴史に関して簡潔におまとめいただきまして大変勉強になりました。江戸時代以降についてお話だったわけですけれども、主に恐らく白村江の戦いに廬原君臣以下一万人の健児が中大兄皇子の命令によってはせ参じているわけですが、廬原のあの古墳はその廬原君臣ではないかといつぞや先生に案内していただきました。そのころからあの清水港というのはあったのではないかというふうに思います。したがって七世紀からではないかと思います。
 さて、この清水港のみなとまちづくりと将来像についてであります。
 私は十九年前、清水港で開催されました開港百周年記念式典にお招きにあずかり「美しい文明の港――清水」と題して記念講演をさせていただく光栄に浴しました。まさか講演録が残っているとは知りませんでした。私は講演をするときには講演録は残さないという条件でお引き受けをしております。というのは話し言葉と文章言葉は違うので一旦文章にするとなればそれを手直ししなくちゃいけませんが、それは大変手間がかかるのでお断りすると。恐らく話し言葉のままのものではないかと思いますので、出回っているとなれば直す機会を得たいと思っております。
 ともあれ、美しい文明の港ということでお話をいたしました。なぜ美しい文明と言ったかといいますと、それは力の文明と美の文明に対して力の文明というものを念頭に置いていたからです。日本は明治維新で開港したとき以降、清水港も発展するわけですけれども、ヨーロッパの文明をどう見たかといいますと、経済力と軍事力にたけたところだと、列強と見たわけですね。つまり力のある文明と見たわけでございます。それに対して向こうの方たちは日本をどう見たかといいますと、リサイクルをしておりますし海外への侵略もございませんので美しいところだということで、非常に美しいその日本の景観がヨーロッパにジャポニズムといういわゆる芸術、美術の運動を起こしていきます。したがって我々は意図したわけではありませんけれども、世界から見ると美しいというそういうものにかなった社会をつくり上げていたんだということであります。
 ちなみに、この文明という言葉を日本に広めたのは福沢諭吉という方ですが、「文明論之概略」というのを明治七年に書きました。大変に読まれたものであります。この文明は進歩していくもので、ヨーロッパの文明が一番進歩しているからそれを目指せと彼は言ったわけですが、この文明という言葉は実は彼はcivilizationという言葉を訳したわけです。このcivilizationという言葉は実はヨーロッパ起源のものではありませんで、もともとは中国の中華という世界の中心に中華があって周りに敵がいると、こういう中華という言葉を十八世紀に中国にいた宣教師たちがフランスを中心に送りまして、世界の中心は中国ではなくて自分たちだということで、しかも一番進歩していると、最高の進歩になっているのが自分たちで、それを文明というふうに自称したんですね。ヨーロッパ文明史とかイギリス文明史というのが書かれまして、ギゾーとかバックルが書いたものを実は福沢さんはベースにしてその本を書いたので、ですからあれはヨーロッパ文明というものを軸にしたもので限界があるということで私は本来の日本の文明を取り戻すべきだと。その拠点が富士山を借景にした清水にあると、そういう思いを込めてお話をしたのを覚えております。
 その後、富士山は世界文化遺産に登録されました。駿河湾は世界で最も美しい湾クラブにも認定されて加盟いたしました。そして南アルプスもエコパークもこれも一種の借景でございますね。さらに伊豆半島も清水を取り囲む借景の一つとしてジオパークになったということで、今やクルーズ船の寄港数が飛躍的に増加し先ほどおっしゃったようにさらにふえる可能性が出てきております。この清水港が人々を引きつけて人々がお越しになり美しい港だと、そういうことで十九年前の思いは今現実になりつつあると思っております。将来像としては、この美しい港として世界から憧れられ賞賛されて人々を引きつける港になると確信しています。
 昨年、フリウリ・ベネチア・ジュリア州という恐らく四、五年前には誰も聞いたことのないようなイタリアの州から姉妹関係をやってほしいということで、バイシクルを中心に相当進んでいるのは御案内のとおりです。そのフリウリ・ベネチア・ジュリア州の面積と静岡県の面積は全く一緒で、しかも一番この中東に近いところにありましてコーヒーの文化だとかさまざまな、当時一番進歩していたのはオスマントルコですけれども、その文化が入った入り口です。物すごくきれいな港です。トリエステという港。それがフリウリ・ベネチア・ジュリア州の州都になっているんです。そこからうちの清水港と。ほかではありません。横浜でも長崎でもない。清水港と姉妹港になりたいと。美しいからなんですね。
 ですから、私も本当にトリエステに参りまして何と美しい港だと思ってすごいなと思ったんですが、向こうも我々のほうをそう見たというのはこの清水港の持っているポテンシャルというのを示しているのではないかというふうに思います。
 ここで言う美しいというのは、もとよりその景観が美しいということにとどまるものではありませんで人と港のつながりが美しい、港とまちのつながりも美しいと、人の活動と自然の調和も美しい、おもてなし、サービスもきれいというか美しいと、物流システムがスマートだと、働く人々の技術とその思いも美しいということを指します。
 ちなみに、この美などというのは主観的だから余りこういうことを言うものじゃないというふうに言われるかもしれません。しかし人間の価値というのは真、善、美とあると思うんですけれども、例えば富士山が真か富士山は善だといっても成り立ちません。しかし富士山は美しいかと言えば成り立ちますですよ。ですから実は地球環境について寄って立つべき価値というのは美だと。これは主観的ですけれども、誰もが持っている感性ですので神様から与えられたものではないかと思いますが、こうした普遍的な価値に立脚できるところだとこういうふうに思うことからですね、あえてその言葉を使っているわけでございます。
 清水港を訪れた人がさまざまな面から何と美しい港かというふうに感動し、住んでいる人、働いている人たちは訪れた人のその好評価にまた誇りを持ってますます磨き上げていこうというように行動する。そして世界の人々から、いわば憧れられて自然に人が集まる港となると。このような美しい港町を実現するためには、この将来像を多くの方々に共感いただいて具体的な将来像を描きそれを地域ぐるみ、社会総がかりで取り組んでいくことが重要です。
 このため、県が静岡市や地元企業とともに本年四月、難波副知事が尽力いたしまして清水みなとまちづくり公民連携協議会というものが立ち上がったわけです。ですからこれも県市連携どころか、もう民間事業者、いろんな人がお入りになって協議会ができ上がったということ、大変喜んでおります。ここで多くの関係者の御意見を出していただいて、それを伺いながら港とまちの持つ価値を最大限活用する地域経営という視点を取り入れたグランドデザインを描いていきたいと考えているところです。
 また、海運や物流の分野におきましてはAIやIoTによる技術革新が急速に進んでおりますことから、清水港におきましても新技術を活用した物流機能の高度化を図り効率的でスマートな港となる将来像を描いてまいりたいと考えております。
 県としましては、清水港が開港百二十周年という節目を迎えると。これをきっかけに景観にすぐれ人や物が行き交い環境に優しく自然と共生する美しい文明の港として飛躍する礎を築くとともに、周辺地域が一体となって発展することによって世界の人々から憧れを集めるふじのくに静岡県の海の玄関口となるように取り組んでまいる所存でございます。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 清水港についてのうち、駿河湾フェリーの撤退問題についてお答えをいたします。
 駿河湾から仰ぎ見る世界遺産富士山の姿はかけがえのない宝であり、これを見ることができる駿河湾フェリーは環駿河湾地域の観光や生活を支える大変重要な交通手段であるのみならず、かけがえのない社会資本と言えます。この駿河湾フェリーが来年の三月末をもって撤退するとの発表は、来春の静岡デスティネーションキャンペーン、二年後の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを控え本県の魅力を国内外に発信する絶好の機会を前に非常に残念に思っております。この航路がなくなりますと伊豆半島地域、静岡市への影響のみならず魅力的な周遊ルートを失うことになり、県全体の観光や経済にも大きな影響を与えることが懸念されます。
 このため、県では私と土屋副知事をリーダーとする部局横断的なプロジェクトチームを立ち上げ今月二十日に第一回目の会議を開催をいたしました。当日はフェリー事業の現状や課題を共有するとともにさまざまな継続手法や今後の進め方について意見交換を行ったところであります。
 県といたしましては、関係地域の方々と一丸となって直ちにフェリーの需要拡大策を講じるとともに、引き続き環駿河湾地域の市町や観光事業者等の意見を伺いながら静岡DCの本番を迎える来年四月以降の切れ目ないフェリー事業の継続に向け、遅くとも九月末までには対応策を公表できるよう迅速に検討を進めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設計画についてお答えいたします。
 南アルプストンネル工事は、極めて大規模な土地改変を伴うものであり自然環境などに重大な影響を及ぼすことが懸念されております。
 議員御指摘のとおり、報道ではJR東海はトンネル湧水の全量を川に戻すポンプの設置を検討しているとありましたが、県は工事中にトンネル湧水をくみ上げるために設置するポンプを工事完了後も設置しておくとの説明をJR東海から受けております。また渇水時に要請があればポンプアップによりトンネル湧水を流すことを検討する旨の提案であり、常時トンネル湧水の全量を大井川に戻すことが必要であるとする県及び利水者の考えとは全く相入れないものであります。
 この水資源減少の問題に関しては、県のホームページに掲載するなど周知に努めており、今後市町の協力も得ながらさまざまな媒体を使ってより多くの県民の皆様の理解を得られるよう広報してまいります。
 県といたしましては、トンネル工事による南アルプスの豊かな自然環境への影響や大井川の水資源の減少を回避するため、工事着手前に絶滅危惧種の保護と緑地の保全などを目的とした自然環境保全協定や水資源の保全に関する基本協定の締結に向け、県議会の皆様の御意見を伺いながら全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 中澤通訓君。
       (六十四番 中澤通訓君登壇)
○六十四番(中澤通訓君) 再質問します。
 フェリーのことにつきましては早期の解決をお願いしたいですが、やり方としてこれまで補助金なり人員派遣なりということでやってきますけれどもエンドレスになるおそれがあります。民間企業の努力が基本であります。ですから三年とか五年とかとりあえず有期限にして、そこで一旦リセットしてどうするか。そういう形でないと努力が出てきませんので、そのアイデアを私、提供させていただきたいと思いますので御検討いただきたいと思います。その考え方がどうかということで質問いたします。
 リニアのことにつきましてはこうしたいろんな交渉中でありますが、県の努力を買いますが六月二十日に静岡市とJR東海間で取り交わされた地域振興策としてのトンネル建設の基本合意という報道がありました。このことにつきまして県は強い抗議文を出しましたが、このことの所見とあわせて今後の基本協定締結への調整及びスケジュールに影響はないのかどうか、そのことについてお伺いをいたします。
○副議長(落合愼悟君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) フェリーの再質問についてお答えをいたします。
 期限を切ってということですけれども大変重要な視点というふうに思っております。その点をしっかり踏まえてしっかり検討を進めてまいりたいと思います。以上です。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設計画についての再質問にお答えいたします。
 静岡市とJR東海の結びました基本合意に関して県がコメントを発した件でございますが、首長の発言は非常に影響が大きいものがあると考えております。県民に対して正しい情報発信をお願いしたいという趣旨でございまして、水問題に関し認識に多少ずれがあるのではないかというところで訂正をお願いしたとそういう趣旨でございます。
 また、今回の基本合意書締結は道路整備を中心とした静岡市の地域振興に関するものでございまして、現在県と利水者がJR東海と進めております大井川の流量減少を回避するための基本協定の締結に向けた協議、これとは基本的に影響がないというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(落合愼悟君) 中澤通訓君。
       (六十四番 中澤通訓君登壇)
○六十四番(中澤通訓君) この川の水のことについて、また静岡市と県とぎくしゃくしているということが少し報道されつつあります。やはり政令市でありますけれども、それぞれの所管のことを大事にしながらということでむしろ自由討議があったらいいのかなと思いますが、以前首長とサミットがありましたが、今は調整会議というかそういう特殊なところしか法的な調整会議ができないということで内容には入っていきません。むしろこういう時期だからこそ県が呼びかけるのかどちらが呼びかけるにしても、フリートーキングできちっとした会議ができたほうがこれは不協和音を出さないためにも大切ですし、本筋を求めるにはもっと大切なことだと思います。できれば私は、県の議長、市の議長が呼びかけ立ち会いということで両者がフリーなトーキングをすると。そういう中で前進していくものだと思いますが、もしそういうことができるという呼びかけがあったら知事はそれに応えていただけますかどうかお伺いいたします。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) お答えします。もちろんです。
○副議長(落合愼悟君) 中澤通訓君。
       (六十四番 中澤通訓君登壇)
○六十四番(中澤通訓君) 次に、教育行政についてのうち、長期計画の検証と今後の進め方について伺います。
 昨年の人口推計では七年連続人口は減少、子供は三十七年連続して減少であり、二〇一五年の国勢調査に基づく人口推計では三十年後は今より一六・三%減の一億六百四十二万人、東京だけが微増と予想されております。
 県教委は三月に、ふじのくに魅力ある学校づくり推進計画(静岡県立高校第三次長期計画)を公表しました。有徳の人づくり大綱を基本目標に一次、二次の成果を検証し、十年後の県立高校のあり方を検討、作成したとのことであります。第三次計画において改編対象の高校は全日制で二〇二三年に伊東高校、伊東高校城ヶ崎分校、伊東商業高校、二〇二六年に横須賀、池新田、二〇二九年には沼津城北、沼津西の分校を含む七校を三校に統合するとあります。これらが公表されて、該当する所在地の首長を初め同窓会関係から反対の表明がありました。
 昨年十一月に原案が示されて以来、当該校との関係者とはどのように説明、交渉に当たったのか、またパブリックコメントの反応はどうであったのかを具体的に伺います。原案からの修正はなされたのか、今後の進め方はどうするのかもあわせて伺います。
 次に、中高一貫教育について伺います。
 平成十四年度に浜松西高、十五年度に清水南高、沼津市立沼津高で併設型一貫教育校としての導入がされました。既に当初から十五年実施しているわけでありますが、この制度の是非についての総括検証がなされていないままにきているように思えます。どのように考えるかお伺いをいたします。
 次に、川根高校のあり方について伺います。
 県立の普通高校として初めて生徒の県外募集が認められた川根高校についてであります。
 県の北部に位置し過疎地域の高校として生徒数の減少を食いとめられず廃校への道をたどっていた川根高校でしたが、地域から高校がなくなれば文化がなくなると町長、教育長が強力なリーダーシップを発揮、町を挙げての存続・拡充運動を実施中であります。小さな町の大きな挑戦であり、私は強く応援をしたいと思っております。
 生徒の減少を食いとめるため、五年前から川根地区以外からの入学生いわゆる川根留学生制度での募集を始め、第一期は二名でしたが、十名、二十四名、二十名、二十二名と着実に増加。定員八十名のうち現状は四十名前後の生徒数ですが、五〇%は川根留学生であり当初は民間下宿で対応、女子入学者もあって現在は三カ所の分散ながら七十二人定員の寮を建設、女子十八名を含む七十二名が寮生活をし今日に至っております。
 昨年七月になって待望の県外募集がようやく認められましたが、県外中学生へのアピール期間も少なく要領を得なかったので残念ながら今春の応募者はゼロでした。本年の対応について県教委のバックアップについて伺います。
 町独自の政策として留学生に対しては二食付きの寮費は施設の新旧によって三万円、四万円のみとし、全生徒の対象での高校入学支度金、成績優秀者に給付型の奨学金、指定大学入学支度金給付制度等が設けられております。町内に塾がなく、教育格差の不安解消もあってこの五月から月額三千円で公設民営塾が開設されました。個別指導と映像指導をかけ合わせた特徴ある指導法で、連携中学の三年生と高校生が対象で六十名以上の参加でスタートし、部活動が一段落すれば倍以上にとの予想もあります。高校生には英検準二級以上対象でカナダへの語学研修があります。本人負担は二〇%です。
 また、インドに本社があるIT関連会社ゾーホーの日本サテライトオフィスが川根本町に進出。この縁で二週間のインド本社への短期研修制度が発足。将来は同社によるインドの大学への給付型の留学生制度も考えているとのことであります。
 これまで後継者難で伝承が危惧されていた国指定重要無形民俗文化財徳山の盆踊、郷土芸能鹿ん舞を川根高生が取り組み始めたことの報道がありました。高校生がいることによって部活動等の町民の応援も生まれ、生徒の町行事への参加等、町が活性化してきていると町長は熱く語っておりました。将来は定住も雇用も広がってくると思われます。
 川根本町は、旧本川根町、旧中川根町の合併でできた町で人口七千百人余、財政力指数〇・三六七六六、本年度当初予算六十一億円余で教育費八億八千万円のうち一億三千万円以上も川根高校存続のためにつぎ込んでおります。町の政策とはいえ本来ならば県が出費すべきものを懸命なやりくりの中で頑張っていると思われます。
 よく話題になりますが、島根県海士町の県立隠岐島前高校の場合は例えば寮の建設費は全額、運営費の一部は県費です。県内の他の高校の存廃も県教委は人口減少を主軸に統合、再編を考えているようですが地域にとっては大きな問題です。
 過疎地の高校のあり方のモデルとしてどうあるべきかどうしたいのかも含め、今後の県としての川根高校へのバックアップ体制の考え方をお伺いいたしたいと思います。
 通告してあります部活動につきましては、これまで何回か意見をいただきましたので今回は取り下げをさせていただきます。
○副議長(落合愼悟君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) それでは、教育行政についてのうち、長期計画の検証と今後の進め方についてお答えいたします。
 静岡県立高等学校第三次長期計画案に関するパブリックコメントでは五百件を超える御意見をいただき、県立高校に対する県民の皆様の強い思いのあらわれであると受けとめております。県教育委員会では、これらの御意見を踏まえ新構想高等学校計画について地域の実情にも配慮しつつ地域や学校関係者からの支援を得ながら推進することを計画案に加え成案としたものであります。計画案の公表後、学校関係者の皆様と意見交換を行ってきており、子供たちの教育環境をよりよくするという趣旨に御理解をいただいている一方で高校の存続の御要望も伺っております。引き続き関係者の皆様の御意見を伺いながら魅力ある学校づくりを進めてまいります。
 中高一貫教育実施校につきましては、第三次長期計画検討委員会において現状等について検証され、体験活動等を重視した特色ある取り組みや地域をテーマとした探求的な学習を行っており、また在籍する生徒が継続的にさまざまな学習や学校行事、部活動に取り組むことで資質能力を伸長させていると整理されております。
 県教育委員会といたしましては、引き続きこれまでの実施校における成果と課題を検証しながら中高一貫教育をより一層魅力あるものとしてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木教育部長。
○教育部長(鈴木一吉君) 教育行政についてのうち、川根高校のあり方についてお答えいたします。
 川根高校につきましては、第三次長期計画に定めた中山間地域の小規模校の基本方向を踏まえ教育環境の整備充実に努めることとしており、地元川根本町と連携しより魅力ある学校づくりを進めております。
 生徒の全国募集につきましては広報に積極的に取り組むこととし、移住相談会におけるPRや高校紹介の動画の作成と配信、観光協会と連携したPRなどのほか全国募集を行っている他の学校と連携した取り組みなどを実施することとしております。
 川根高校の魅力の向上については、県立高校の中でいち早くICT機器を整備しICT支援員の派遣や研修を積んだ教員を着任させ授業等で積極的に活用するとともに、テレビ会議システムによる遠隔授業や静岡大学の留学生との交流などを行っております。またインドのゾーホーユニバーシティと連携し本年八月にインドのチェンナイで行われるサマーキャンプに参加することとなり、参加する生徒に対して経費の一部を支援することとしております。
 県教育委員会では、川根本町や川根高校などと川根高校魅力化推進連絡会を設置し各機関の施策の状況等について情報共有を行っております。今後とも地域ぐるみで特色ある教育を実践することにより、川根高校が国内における中山間地域のモデル校となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 中澤通訓君。
       (六十四番 中澤通訓君登壇)
○六十四番(中澤通訓君) 再編のことにつきまして再質問をいたします。
 結局は、中学生人口に基づくだけでどちらかというと再編を進めているような感じが私は強くするわけであります。その三次計画の中にありますけれども社会に開かれた教育課程づくりの現状及び課題の中で地域の生徒は地域で育てるとされているわけでありますが、そういうことが余り考えられていないのではないかと思っています。
 たまたま先般、文化奨励賞の授与式がありました。そこで横須賀高校の郷土芸能部が、これは昭和三十年、県の無形文化財第一号に指定された三熊野神社大祭に奉納される遠州横須賀の三社祭礼囃子ですね。これが文化奨励賞として授与されて知事がお祝いに駆けつけて、教育長もそこで見ていました。それで知事は、もうこのことがうわさされていましたが、こんな立派なことを残す学校が消えてしまうのはいささかという言葉が発せられていまして教育長も苦笑いをされておりましたけれども、私はすばらしいものをここで見させていただきました。たまたま広報で聞いたわけでありますが、これらも地域の人たちが支えていると。高校生の手で習い覚えられていくことが今回披露されてなったんですが、毎日二時間以上の練習をし週二回の夜間練習は保存会の人たちが指導して、これが過去全国総合文化祭に九回、国民文化祭にも二回、県代表で出ている、それほどすばらしいものであります。
 一方、池新田高校は、これはひもといてくれば過去ここの議場にいらっしゃった議長さんをされた丸尾謙二先生この方が五十四代の議長さんでありましたが、この方の土地を全部、池新田高校の新制になった高校のときの土地を提供されて、この方が初代の校長、その以後議員になって県議会議長を務めた方であります。知事がそこへ、現地へ行きたいということでありますが、ぜひ丸尾記念館に行っていただきたい。丸尾謙二先生、三代の顕彰した記念館があります。そうした地域の人たちが自分たちの財を出してつくって、そして支えている学校です。もし池新田が御前崎からなくなった場合には全国で今北海道だけなんです、市でありながら高校がないところは。二番目の高校が今回、御前崎にできてしまう可能性がある。
 そして横須賀高校が池新田に行ってしまったら、今度は横須賀高校のこの郷土芸能、誰が指導するんですか。やはり郷土愛というのは、郷土教育が今欠けているから若い人たちが帰ってこない。そういうつながりだと思うんです。ただ単に再編すればいいんじゃない。そういうところをやっぱり考えていただきたい。そのことについて御意見があれば伺いたいと思います。
○副議長(落合愼悟君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) ただいま先生から熱いお言葉もいただきました。私も三社囃子の、この間も拝見しましたし各地域に行ってそれぞれの高校全部見て歩いておりますので十分にその辺も理解しながら、ただし高校生がこれから社会に出ていくまでの勉強の期間というのはある程度の規模があって、そしてそこで切磋琢磨されて成長して、それで社会に出ていくというのも事実であります。そういうようなことを含めて十分にその辺は慎重にやっていきたいというように思っております。
 先ほど、横須賀高校と池新田高校のお話ありましたけれども、それも含めて今静岡県だけではありませんけれども、いろいろ県でそういうことがございますので、我々も静岡県のよさは十分に残すというようなことを含めて今後検討していきたいと思っております。以上です。
○副議長(落合愼悟君) 中澤通訓君。
       (六十四番 中澤通訓君登壇)
○六十四番(中澤通訓君) 過去再編されて、今違う施設になっているところがあります。残念ながら元何々高校跡地という表示も何にもない。これでいいんですか。卒業生はよりどころが何にもなくなってしまうんです。そのことに対して県は今まで何にもしてこなかった事実です。これに対してはやはり強く私は抗議をさせていただくし再検討していただきたい、そのように思っております。以上で質問を終わります。

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