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本会議会議録

答弁文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年6月静岡県議会定例会

四本 康久 議員(ふじのくに県民クラブ)の 一般質問 に対する答弁

(質問日:06/26/2019番目)
答 弁 者知事


○知事(川勝平太君) 四本議員にお答えいたします。
 富士山についてのうち、富士山の世界複合遺産化についてであります。
 富士山は平成二十五年に世界文化遺産に登録されました。その道のりは決して平坦ではありませんでした。平成の初期から自然遺産としての登録を目指し準備を進めてまいりました。平成十五年の国の検討会で登録候補の選定に漏れて以来文化遺産として登録を目指すことといたしました。
 私自身も静岡県にわらじを脱いだ平成十九年の四月以来静岡県側の学術委員会の委員長として富士山を世界遺産にするために尽力をし、その過程で平成二十二年の八月八日には四本議員と御一緒に八月七日九合目まで登り一泊をして翌八日四時半ごろの御来光を仰ぎ天にかかった虹、これを仰いだ記憶は鮮明であります。そのときの感動、これは一種自然というよりも神々しいものであったと。
 これを我々は上から見たものでありますけれども、かつて下から見た人たちは一番最初にそれを表現した山部赤人も「神さびて高く貴き駿河なる布士の高嶺」と。神さびて、神のごとくと言っています。あるいは高橋虫麻呂も同じく万葉集ですけれども、います神ともというふうにそこに神様がいらっしゃるというふうに表現しておりまして全く自然とは見ていないんですね。
 ですから、これが自然遺産におさまらないで文化性を持つので複合遺産にするべきであるというのはごもっともですけれども、翻ってこれはユネスコが一九七二年に世界遺産を選び始めたわけですけれども彼らにとって自然というのは文化とは大別するものです。ノートルダム寺院とかピラミッドとか万里の長城とかそうしたものが文化で自然そのものというのは文化がないと。しかし自然に文化があるということに彼らは気づきました。それは一九九二年のあのニュージーランドのトンガリロ山、マオリ族にとってこれは神聖な山でそこに羊を放牧できないと、これは文化だと、信仰の山だということで初めて自然に文化があるということに気づいたのです。
 しかし、そのことに日本人は気づかなかった。だから自然遺産か文化遺産しかないと。だったら富士山は自然遺産だろうと。ヨーロッパの基準に適すればですよ。しかしながらですね、ついに平成二十五年あの山塊でしかない富士山が信仰の対象であり芸術の源泉であると認めたんですね。自然に文化性を認めたということで私は画期的であるというふうに思っております。
 日本の自然はただにいわゆる非生物の土くれではないんですね。そこに精神性があると。しかもそれが国土のシンボルです。ということは国土それ自体に精神性があり、また芸術の源泉になり得るようなそういう国土として我々はこの自然を見ているということじゃないでしょうか。
 その意味でですね、これが世界文化遺産に認められたということは人類史上というかヨーロッパの歴史から見ると画期的なことであったと思っております。
 ともあれこれが世界文化遺産に認められましたのはもう関係者の皆さんの大変な労力と費用のたまもので、改めてですね日本人総力を挙げたこの尽力、思いをいたすところであり今百歳を迎えられた中曽根御大もそのうちの一人でありました。
 しかし何とその後ですね、登録を認められたそのときに三年後に保全状況報告書を出せと言われました。平成二十八年に出しました。何とまた出せと言われました。それで昨年の十一月二十六日に出しました。十二月一日が締め切りだったからです。この報告書をまとめるというのは日本語でしっかりまとめ直しそれを英訳してまとめなくちゃいけないので大変なことです。ところが今度またアゼルバイジャンのバクーで行われるところで今聞くところによればさらにまた一年半後に報告書を出せと。これはいじめじゃないですかと思うくらいです。
 そしてよく事情を聞いてみると保全状況報告が余りにもよくできていると、したがってこれを各国に知らせたいというのでありますけれども、これに要する多大な労力と費用というのは静岡県と山梨県と関係市町また国を挙げてやらなくちゃなりません。何しろ相手が富士山ですから。ですからすきがあってはならないということでございますけれども、ともあれですね差し当たってですね、この世界文化遺産としてしっかりと富士山の自然環境の保全を進めていくことに全力を傾注するということでよろしいのではないかというふうに僕は思っております。ただしこれはそれこそ万機公論に決すということですから多くの方々の議論を集約した上ででありますけれども。
 ともあれ富士山全体を最初の保全報告書についての注文がありました。そのうちの最大のものはなるほど二十五の構成資産から成りますけれども富士山全体について言っていないというわけです。あるいは全体として文化的景観ではないのかとなぜそれをうたっていないのかと。つまり富士山の姿それ自体がですね、カルチャラル・ランドスケープという言い方で文化の姿ではないですかとそれを書き込みなさいと言ったわけですね。私はこれはもっともなことだと思ったと同時についに地球的環境も一つの文化的な、つまり精神性のある姿として見るという、環境にも場合によっては主権があるという言い方が最近はされますけれども人間に使われるその主権という言葉がですね、あるいは人権という言葉が環境権、環境にもちゃんとした権利がありますと声なき声でこの権利を主張しているということにその形なきところに形あるものを見ると、声なきところに声を聞くというそういう姿勢に大きく言えば人類が変わりつつあるということで、その意味ではですね自然と文化の一緒になったものだというよりも自然それ自体に文化性があると言っていることの画期性というのは改めて認識するべきことではないかと思っております。
 富士山を愛される四本先生に釈迦に説法で大変失礼なことを申し上げたと思いますけれども、富士山は日本の国土の統合のシンボルでありかつ今や人類共通の宝物であります。末永く後世に継承しその価値を一層高めかつ人類にこれを普及させていくということは我々日本人の特に山梨県、静岡県民の使命ではないかと存じます。
 県といたしましては、類いまれなる富士山の美しい自然や文化的価値を守っていくために今後とも国、山梨県及び関係市町村等と連携を密にしながら適切な保存活用と魅力の発信に全力で取り組んでまいります。以上でございます。

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電話番号:054-221-3482

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