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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大池 幸男 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/02/2012

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 県産材の活用について                      
2 中山間地の茶農家の経営安定について               
3 南アルプスのユネスコエコパークの登録について          
4 大井川流域の観光振興について                  
5 大井川の治水対策への取り組みについて              
6 小水力発電施設を活用した地域活性化について           
7 国道一号バイパスの四車線化について



    ○議長(小楠和男君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、三十四番 大池幸男君。
           (三十四番 大池幸男君登壇 拍手)
    ○三十四番(大池幸男君) 私は民主党・ふじのくに県議団所属議員といたしまして、知事並びに関係部局長に質問をいたします。よろしくお願いいたします。
     初めに、県産材の活用についてであります。
     私が生まれ育った島田市はかつて木都島田と表され、木材関係の産業で栄えた町でありました。特に私の自宅がございます向谷地区は大井川上流部から運ばれた原木の貯木場が広がり、柱や板に加工する製材工場や茶箱や家具の加工工場が建ち並んでおりました。朝起きて窓を開けますと木の香りがいたしまして、八時になりますと工場の始業サイレンが四方八方から聞こえる大変活気に満ちた地域でありましたが、半世紀が経過し地域の趣は大きく変わりました。木材工場はなくなり多くの製材工場や加工工場は宅地となり、木都島田も大きく変わり果ててしまいました。
     今、私たちは林業の再生と森林の適正な整備と保全を行い、山間地の地域経済の活性化を実現するために具体的な活動が求められております。
     県では、総合計画で平成二十五年の木材生産量を平成二十一年の一・七倍の四十五万立米に増産する目標を立てております。目標達成のためには、県産材の安定供給体制とあわせて木材産業の再構築と木材の需要拡大を推進していかなければなりません。しかし県内の木材産業を取り巻く環境は厳しく、県産材の利用も大変低迷をしております。
     そこで県は、公共部門において率先して県産材の利用に取り組むことが県産材の需要拡大につながるとの方針を示しております。
     そのような中、まさに県の方針を具体的に進める事業が始まりました。それは本年十二月末に完成する富士山静岡空港内の石雲院展望デッキであります。広大な面積を有するデッキに本県産の木材を使用していただければ、公共施設への積極的な活用事例としてまた県産材の使用の優良事例になると大いに期待をしておりました。しかしその期待に反して、県から県産材の採用を断念したとの決定をいただきました。県産材が採用できなかった理由は、大勢の方が利用するデッキでありハードな使用条件となり、一般に流通している杉・ヒノキでは耐久性で難があるとの結論で県産材の使用を見送り南米産のイペ材を採用したとのことでありました。県は県民の皆様に県産材を積極的に利用してくださいとPRをしているにもかかわらず、多量の木材を使用する展望デッキで県産材を採用しなかった県の判断については、理解しがたい出来事でありました。
     そこで、今後石雲院展望デッキでの使用を含め県産材の需要拡大に向け県民の皆様にどのように御理解をいただくのか、所見をいだたきたいと思います。
     次に、中山間地の茶農家の経営安定についてであります。
     八十八夜が過ぎ、川根本町にも遅い一番茶のシーズンがスタートしました五月の中旬、旧中川根地区の農家の方から悲痛なお訴えをお聞きしました。「今年最初にとれた一番茶が一キロ三千円だった。お茶はことしでやめる」とつぶやいておりました。調べてみましたら、一キロ三千円とは三十年前の二番茶の価格と同じとのことでありました。機械化で生産性の向上が実現でき、九州の産地に対抗できるよう頑張っている平野部の農家でも経営は大変厳しい状況と推察いたしますが、川根や本山など中山間地の多くの農家は既に業として成り立たなくなり、存亡の危機に直面していると思います。
     そのような中、台湾に詳しい方のお話によりますと台湾の茶業界は大変元気があるそうでございます。それも川根や本山と同じような中山間地の産地のお茶がよい商売を行っているそうでございます。その理由は、二十年ほど前に台湾の中山間地の茶業も中国大陸の安いお茶との価格競争に敗れ存亡の危機に陥ったときに、安物はやめ香り高い高級ウーロン茶に絞り売り出した結果それが市場に受け入れられ大成功したそうであります。
     本県の川根や本山などの中山間地の茶農家の生き残り策は、業者に安値で買いたたかれるお茶はもうおしまいにいたしまして、消費者に価値を認めていただける高級茶の生産に特化すべきであると思います。
     そのような中、県は一昨年の凍霜害を契機に香り高い紅茶やウーロン茶などの発酵茶を推進する方向を打ち出し、県茶業研究センターに発酵茶等の製造研究施設を整備し新たなお茶づくりが始まると伺っております。今後の中山間地の茶農家の将来を考えたときこれまでの茶業経営の延長線だけで対応を考えるのではなく、新たな視点や発想で台湾などの成功事例を学び取り組むべきであると私は考えます。
     そこで、発酵茶などの新たなお茶づくりの推進を含め県は中山間地の茶農家の経営安定にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
     次に、南アルプスのユネスコエコパークの登録についてであります。
     静岡、長野、山梨の三県にまたがる南アルプスは、三千メートル級の十三座の山々を有する我が国有数の山岳地帯であります。南アルプスに関係する静岡、長野、山梨、三県の関係十市町村で構成いたします南アルプス世界自然遺産登録推進協議会は、ユネスコエコパークの登録を目指し本年度内に国への申請手続を行うということでございます。ユネスコエコパークは一九七六年にユネスコが開始したもので、自然と人間社会の共生を目指しており集落を含めた地域を一体的にとらえ、国立公園の特別保護地区など自然環境を守らなければならない一番大切な地域の核心地域と、その周辺の観光や野外活動に利用できる緩衝地帯と、人が暮らしを営みさまざまな社会活動や企業活動が行われる移行地域と三つの地域にゾーニングし、緩衝地帯や移行地域での主体的な取り組みを重視しているところに特徴がございます。
     これまでに、世界五百八十地域が登録され、国内では一九八〇年に屋久島など四地域が登録されており、昨年九月に約三十年ぶりに国が宮崎の綾生物圏保存地域をユネスコに推薦をいたしました。宮崎の綾地域ではユネスコエコパークへの登録を機に、アジアでは北限である照葉樹林帯の存在や地域における有機農業の取り組みなどを生かし、エコツーリズムなど自然と人間の共存に配慮した取り組みが強力に進められております。
     南アルプスとその南ろくに広がる地域がユネスコエコパークの登録を受けることができたならば、まさに地域力の衰えが目立つ南アルプス周辺の自治体の復活の手段として有効な手だてとなり得ると私は思います。
     そこで、ユネスコエコパークの登録に対する県としての考えと、登録を契機とした地域の取り組みに対して県は今後どのように対応していくのかお伺いをいたします。
     次に、大井川流域の観光振興についてであります。
     南アルプスに源を発する大井川流域には豊かな森林やお茶畑が広がり、それらの景観を背景に走る大井川鉄道の蒸気機関車、温泉や食など観光客を魅了する資源が豊富に存在しております。自然に親しむ環境に恵まれていることからハイキングやキャンプを初めカヌーや釣りといったアウトドアスポーツを満喫し、お茶摘みやそば打ちなどを体験することもでき、多くの観光スポットが点在をしております。そして富士山静岡空港が開港し本県が世界と直接つながることになったことから、国内遠隔地や海外からの観光客の誘客を促進してまいりました。
     ところが、昨年三月に発生した東日本大震災とそれに伴う風評の影響によりまして宿泊者が減少し外国人観光客の姿もめっきり少なくなり、地域の観光業界にとっては大変厳しい状況が続いておりました。
     先日、寸又峡温泉の旅館組合の総会に出席させていただきましたけれども、昨年の宿泊者数はピーク時の四分の一に激減し経営的には大変厳しい状況に落ち込んだそうでありますが、県当局はいち早く当初予算の前倒しや補正予算の編成により緊急誘客キャンペーンやメディアやインターネットを活用した観光情報の発信など各種の誘客対策を機動的に実施していただき、大きな効果があらわれ回復の兆しが見えてまいりました。そして新東名高速道路が開通したことにより内陸部へのアクセスがよくなり、ゴールデンウイークには本地域においても宿泊客の増加や観光施設での入場者の増加が見られてきたそうであります。
     こうした回復基調にある観光需要を逃さず地域の豊富な観光資源を活用して大井川流域に誘客を図り、観光交流を一層拡大する必要があると私は考えますが、今後県として大井川流域の観光振興にどのように取り組むのかお伺いをいたします。
     次に、大井川の治水対策への取り組みについてであります。
     大井川には、国土交通省が管理する長島ダムや中部電力が所管する発電ダムなど数多くのダムが設置され、治水だけではなく電力や農業用水の供給など地域の発展に大きく貢献してまいりました。しかしながらその一方で、河床の土砂の堆積や濁水の発生などダムが大井川におけるいろいろな問題の一因となっていることは事実であり、昨年三月に発生しました東日本大震災以降はダム自体の安全性に対する不安の声も地域からは聞こえてまいります。
     昨年、大井川流域は台風六号、十二号、十五号というたび重なる大出水に見舞われ、特に台風十二号の際には長島ダムにおいていわゆるただし書き操作と言われる異常洪水時防災操作が行われる可能性が高まったことから、ダムからの大放流により大幅な水位の上昇が予想される川根本町の千頭地区の約五百世帯に避難勧告が発せられる事態となりました。結果として操作は行われませんでしたが、住民は大きな不安を感じたものと思います。この台風十二号は紀伊半島にも記録的な豪雨をもたらしており、和歌山県や奈良県の山間部においても河川沿いに形成された集落が大きな被害を受けました。大井川においても一たび河川がはんらんすればその被害は甚大なものとなり、決して人ごととは思えません。大井川に寄り添って暮らす住民にとって大井川の安全性は地域の安全性そのものであります。
     そこで、ダムとの共生を求められている大井川にとって治水対策をどのように進め人命や資産を守っていこうとするのか、県のお考えをお願いをいたします。
     次に、小水力発電施設を活用した地域活性化についてであります。
     東日本大震災以降、再生可能エネルギーへの注目が日々高まっており、中でも小水力発電については地産地消による地域分散型の電源の可能性だけではなく、地域活性化の起爆剤にもなり得るものと大いに期待をしております。とりわけ小水力発電施設の設置にはコンサルティング、調査設計、技術開発、製造、工事施工、保守点検など複数の企業ノウハウが必要であることから、さまざまな分野の地元企業等の関係者が広域的に連携していくことが大変重要であると考えております。本年四月にはエネルギー分野における規制・制度改革に係る方針が閣議決定され、河川法の許可手続の規制緩和に向けた検討が本格化し、またこの七月からは再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が導入されることで、企業やNPO等の動きも一層活発になってきております。
     私は、かねてから小水力発電の導入に意欲的な企業のニーズに幅広く対応するフィールドとして、県内にくまなく張りめぐらされた地域住民にとっても身近な存在である農業用水路を有効に利用していくことが、普及拡大の先駆けになるものと考えております。
     県では、農業用水路を活用した小水力発電の導入促進に向けて、行政や施設を管理する土地改良区のほか民間企業や商工業関係者の団体、NPO等で構成する静岡県農業水利施設を活用した小水力等利用推進協議会を本年三月に設立し、ことしから本格的な取り組みをスタートしたと伺っております。
     そこで、いろいろな分野の企業や団体等が参画する本協議会を効果的に活用し幅広い企業ニーズや施設管理者の意向を十分に反映させながら、地域特性に応じた多様な発電施設の導入を促進していくことが重要であると考えますが、県として具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
     最後に、国道一号バイパスの四車線化についてであります。
     県内百六十二キロメートルにわたって開通をいたしました新東名高速道路は、沿線各地に新たなにぎわいを創出し地域の活性化に大きく貢献をしております。また整備効果はそれだけにとどまらず、東名と合わせた開通後の一カ月間の交通量が昨年と比べて二割も増加したにもかかわらず適切な交通分担が実現したことにより、五月の大型連休の風物詩ともなっておりました渋滞の発生件数は昨年の六十五回から五回まで減少をいたしました。こうした整備効果は国道一号の整備にも当てはまると思います。通過する車両の円滑な走行を可能にするとともに、現道の交通量を削減し車両集中による混雑を緩和し交通事故の削減にも資することから、国によって県内の国道一号バイパスの四車線化整備事業が進められてきております。
     そのような中、本年度島田金谷バイパスの四車線化が新規事業になったことは、大井川を挟んで発生する慢性的な渋滞の解消や頻発する追突事故の削減に向け朗報であり、私の地元でございます島田市民の期待も大きく県や地元が連携して熱心に要望を続けてきていただいた成果であると思っております。
     しかしながら、バイパスの四車線化は、整備が終わった区間においては途中に二車線区間が残っていればそれを起点として渋滞を引き起こすことになり、結果として渋滞箇所が移動するだけのことになってしまいます。国道一号バイパスにおいても、現在の二車線区間がすべて四車線区間になれてこそ渋滞のない快適な走行を実現し、バイパスとしての本来の効果を発揮するものと考えます。
     そこで、県内の国道一号バイパスにおいて全線四車線化実現への展望についてお伺いをいたしまして、ひとまず質問を終わります。(拍手)
    ○議長(小楠和男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 大池議員にお答えいたします。
     初めに、県産材の活用についてでございます。
     総合計画では、平成二十五年度に木材生産量四十五万立方メートルを目指しております。平成二十三年度段階で二十八万立方メートルでございますので、これを目標を達成するためにはさまざまな分野で県産材を活用することが大変重要です。公共部門におきましては、昨年三月に第三期木使い推進プランを策定いたしました。このプランによりまして、平成二十三年度から二十七年度までの五年間で製材品として八万五千立方メートルを目標にしております。製材品というのは丸太を削って製材したものということで、これを原木量に直しますとその二倍、十七万立方メートルということになります。そのような目標を立てて県産材利用に取り組んでいるところです。
     昨年度は、県営住宅や県立高校の体育館、福祉施設などのほか新東名高速道路の遮音壁、サービスエリア、パーキングエリアなどの休憩施設の内装など新しい利用も進めた結果、単年度目標である製品量で一万七千立方メートル、原木量に直しますと三万四千立方メートルという目標をほぼ達成したところでございます。
     今後は、県庁の本館三、四階の廊下の腰壁の木質化を進めることにしております。また草薙総合運動場の体育館、硬式野球場、ふじのくに千本松フォーラムなどシンボル性の高い建築物におきまして積極的に県産材を利用し、木のよさを広くアピールしてまいります。そうしたシンボル性の高い建築物の一つが石雲院の展望デッキでございました。まことに残念なことに、これをつくるに際しまして残念ながらイペ材ということに決定したわけです。
     その理由は、杉をかたくいたしまして圧縮木材といわれるものが今つくられておりまして、これは今新しい天竜区役所におきまして、例えばその階段のところに使われております。大変かたいものでございます。このかたさが相当なものであると。コストをおきましてこのかたさにおいてイペ材とどうかといったところ、それほど変わるものではないということで、ですからこれを使おうということで進めてきたわけでございます。ところがまことに残念なことに、屋外で使う場合に反りが出ると、変形するということで、そこをいろんな人がいらっしゃいますのでけつまずくとかいうことがあり得るということで、まだイペのような形にはできないというわけです。しからば議員の御指摘のようにアルミとかあるいはタイルがいいかというと、あそこは名刹石雲院ですからやはり石雲院に応じたものとせざるを得ませんで、やはり木材を使うのがいいと。また御住職ほか檀家の方たちがよく御存じなんですけれども、あそこは風雨にさらされてなかなかきついところだということで、やはり今世界で最も強い木となりますとブラジル産のイペ、これは水の中に十年ぐらいつかっていてもかたさが失われないというそういうものなんですね。これにせざるを得ないと。これはもちろん使用例がたくさんございますから、これを使う限りにおいては安全だということでございます。長もちをすると。
     例えば、富士山ろくに山の村というのがございます。行かれたらわかりますけれども、あれは杉を使ってなされているわけですがデッキはぼろぼろです。穴があいてるし、ぶよぶよですし。だから危ないですね。しかし屋内におきましては十分に杉で耐えているわけです。通常厳しい自然のところにいきますと、杉の場合はもう三年ぐらいで傷みが出てくるところがあります。現在のところ石雲院のデッキは風雨にさらされるところでございますので、涙をのんでと申し上げておきたいと思いますけれどもイペ材にしたということでございます。県産材につきましては屋内の床材や壁、いす、テーブルなどできる限りこれを活用するということにいたしました。
     県産材を使用した木造住宅への助成も拡充しておりまして、一千百棟の住んでよししずおか木の家推進事業あるいは六百戸の住宅リフォーム支援事業――これは県産材型でございますが――によりまして、民間部門での県産材の利用拡大に努めております。
     この取り組みに加えまして、県の森林・林業研究センターでははりやけたへの利用を図るために新しく複数の板を張り合わせた接着合わせばりを開発いたしまして、価格、性能などの面で競争力のある県産材製品の供給を促進してまいります。
     我々といたしましては、今後とも県有施設での利用や市町への働きかけの強化によりまして公共部門での県産材の活用を積極的に進めるとともに、民間部門での利用を支援するなどして県産材の需要拡大に全庁を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
     とはいえ、近い将来に木都島田の復活はそう簡単に見通せませんけれども、しかしお茶の都、食の都、最近では醸造酒が日本一になりましたので「山は富士 酒は静岡 日本一」とも言えそうなんですが、いずれ「山は富士 材は静岡 木の都」と言われるように、静岡県全体としてかつての島田のアイデンティティーを生かすというような方向に向けて取り組んでまいるということをお約束いたします。
     続きまして、小水力発電施設を活用した地域活性化についてであります。
     温室効果ガスを排出しないクリーンな再生可能エネルギーの一つであります小水力発電などの導入を促進するために静岡県農業水利施設を活用した小水力等利用推進協議会を発足させて、そこで官民が一体となって普及拡大に取り組んでいる最中でございます。この取り組みを持続的に発展させるには、発電の場となる施設の管理者と新技術の開発などに意欲的な民間企業が相互に利益を享受することが重要です。
     このため私どもは、本年度、仮称ですけれども小水力発電の導入に関するガイドラインを年内に策定します。これは大井川用水で事業着手する二カ所の発電施設の整備を通じて得られる技術や手続などの成果をもとに、協議会における検討を踏まえて策定していこうというものでございます。
     また、今後整備する発電施設につきましては、設置場所が限定される落差利用型から設置の自由度が高い流水利用型への移行を図ってまいりたいと思っております。
     この落差利用型の発電というのは、農業用水路の落差を利用してそこに比較的規模の大きい発電を行うわけでございますけれども、それには設置場所が限定的になります。一方流水型と言われるものは、既存の農業用水路の構造を大きく変える必要はない、したがって設置がしやすいということでございます。任意の場所に設置ができると。そして設置の場所の制約が落差利用型の発電と比べると格段に少ないということから流水利用型への移行を図ろうという所存でございます。その中で、会員の皆様に対しまして必要な技術開発などの機会や情報を御提供申し上げて、新しいビジネスの創出を支援してまいりたいと思っております。
     私どもは、小水力発電、太陽光発電、風力発電などそれらを組み合わせまして、いわゆるベストミックスによって一極集中依存型から自立分散型エネルギーシステムの構築に取り組もうという今流れでおります。本県の豊かな地域資源を最大限に活用した多様な新エネルギーの創出に努めてまいりたいと存じます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(小楠和男君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 中山間地の茶農家の経営安定についてお答えいたします。
     県では、味、香り、色、形に特徴を持つ山の銘茶をふじのくに山のお茶百選としてこれまで七十七の銘茶を選定し、食品見本市等に出展し、高い評価を得ているところであります。引き続きブランド化を進めますとともに、販売促進活動をより一層支援してまいります。一方近年、高品質な国産発酵茶の需要が増加しておりまして、県内では平成二十年に十六トンであった発酵茶生産量が二十三年には約四十トンに拡大するなど消費者のお茶に対する嗜好が多様化をしております。
     このため県では、茶業研究センターに導入した高級茶の産地である台湾やスリランカ製の発酵茶製造設備を活用し、若手の生産者二十二名を紅茶・ウーロン茶の指導者として育成する発酵茶マイスター塾を開講し、今後県内各地で発酵茶の技術指導を進めてまいります。さらに八月からは施設を開放し、味や香りに特色のある静岡型の発酵茶づくりに取り組む生産者の技術習得や商品開発を支援いたしまして、付加価値の高い発酵茶の生産を推進してまいります。
     県といたしましては、こうした取り組みを進め中山間地域の気象や地形、茶農家のすぐれた技を生かし付加価値の高い特色あるお茶づくりを支援いたしますとともに、野菜などの複合作物の導入を進めるなど中山間地の茶農家の経営安定を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 伊熊くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
    ○くらし・環境部長(伊熊元則君) 南アルプスのユネスコエコパークの登録についてお答えいたします。
     南アルプスには、氷河期の生き残りとされるライチョウやタカネマンテマなどの希少な動植物が生息・生育しておりますことから、県では希少野生動植物保護条例に基づく種の指定を行い捕獲や採取などを禁止するとともに、高山植物保護指導員による巡視や指導、踏み荒らしを防ぐための木道の整備など自然環境の保全に取り組んでまいりました。この南アルプスがエコパークとして登録されれば豊かな自然環境の価値と魅力、長年にわたる保全活動が国際的に評価され国内外での知名度が高まることから、エコツアーなどによる誘客が図られ地域の活性化が期待されます。
     県といたしましては、高山帯などの核心地域におきましては引き続き環境保全活動を進め、特にニホンジカ対策として高山植物群落を守る保護さくの増設などに積極的に取り組んでまいります。
     また、緩衝地帯や移行地域におきましては森づくり県民大作戦による里山保全活動や環境学習リーダーの派遣による環境教育の拡充を図るとともに、社会貢献活動の一環として企業が取り組む森づくり活動の場を提供するなど地元市町と連携して、自然を守りながらさまざまな取り組みを積極的に進め地域の魅力をさらに高めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 下山文化・観光部長。
           (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
    ○文化・観光部長(下山晃司君) 大井川流域の観光振興についてお答えいたします。
     大井川流域は、SLやアプト式鉄道、秘境の温泉など他の地域がうらやむような観光資源に恵まれている上、新東名高速道路の開通によりアクセスが飛躍的に向上したことで誘客活動を強化する絶好の機会を迎えております。
     この地域では、従来から市町や観光関係者、フィルムコミッションなどの方々がSLや沿線の景観を活用したドラマの誘致や首都圏からのモニターツアーの実施、海外での観光プロモーションの開催など知名度の向上による観光誘客に積極的に取り組んでこられました。
     県では、今年度も六月十八日の東京に引き続き中京圏や関西圏において、旅行会社と観光事業者などを対象としたふじのくに観光大商談会を開催し、観光施設の紹介やモデルルートの提案を通じ観光商品の造成を促す機会を提供するなど、大井川流域のように地域の方々が前向きに取り組む誘客活動を支援してまいります。
     また、海外におきましては、定期便の就航先であるソウル、上海、台北を中心に観光展への出展や現地メディアの県内への招聘等を行い、大井川流域を組み込んだ観光プランを提案するなどこの地域の知名度の向上に努めてまいります。
     県といたしましては、今後とも大井川流域の住民や市町、観光事業者等の皆様とともに、年間を通じてさまざまな観光プロモーションを展開し、この地域の魅力を継続的に発信するなど大井川流域の観光振興を図ってまいります。以上です。
    ○議長(小楠和男君) 長島交通基盤部長。
           (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
    ○交通基盤部長(長島郁夫君) 大井川の治水対策への取り組みについてお答えいたします。
     大井川には、治水を目的とする長島ダムや発電用ダムなどが十五基あり、発電用ダムの貯水池の容量に余裕がある場合には一時的に流水を貯留し、下流河川の増水を抑制する効果を発揮しております。しかし昨年の台風十二号による豪雨では大井川の水位が大きく上昇し、川根本町での避難勧告の発令等において混乱が生じました。
     こうした状況を踏まえ今年四月には、大井川を水防法に基づく水位情報周知河川に指定するとともに、長島ダム下流から島田市神座までの浸水想定区域図を公表し関係市町と連携した警戒避難体制の強化を図ったところであります。
     また、県では国土交通省や発電ダムを所有する中部電力と大井川の出水対応に関する情報連絡会を昨年十二月に設置し、大井川流域のダム群が有する治水機能が最大限発揮されるよう協議を進め対策の強化を図ってまいります。
     さらに、現在策定中の大井川河川整備計画においてこれまで大井川中流域で取り組んできた堤防補強や護岸整備などの治水対策を見直し、近年の洪水にも対応できる河川整備を進め地域の発展と安全・安心の確保に努めてまいります。
     次に、国道一号バイパスの四車線化についてであります。
     国道一号バイパスは地域の経済活動を支援するとともに、住民生活の利便性向上に資する重要な幹線道路であり、現在静清、磐田、袋井の各バイパスにおいて四車線化が進められ、今年度新たに島田金谷バイパスが事業化されたところであります。このうち静清バイパスにつきましては、唐瀬から羽鳥までの区間が今年二月に四車線化され、現在鳥坂から千代田上土の区間と羽鳥から牧ヶ谷の区間で、平成二十六年度の完成に向けて橋梁上部工等の工事が進められております。残る丸子藁科トンネルを含む区間につきましても、平成三十年度の完成に向けて調査設計や橋脚等の工事が行われております。
     磐田バイパスにつきましては、袋井バイパスの一部区間とあわせて今年度中に全線が四車線化される見通しで、袋井バイパスの残りの区間につきましても平成二十七年度に四車線化の完成が予定されております。
     県といたしましては、各事業区間の整備促進とともに、未着手である藤枝バイパスの早期事業化について引き続き地元市と連携し国に対して働きかけを行い、事故や渋滞のない安全で快適な道路の整備促進に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 三十四番 大池幸男君。
           (三十四番 大池幸男君登壇)
    ○三十四番(大池幸男君) 再質問をさせていただきます。一点に絞ってお伺いをしたいと思います。
     県産材をたくさん使っていただきたいという質問をさせていただいて、県は一生懸命やっているという中で富士山静岡空港の石雲院展望デッキ、この材質については南米産のイペ材でやっていくということでございます。知事はチーム川勝の担当から県産材が使えないという説明を聞いて、それを理解してイペ材という判断をいたしました。私も全く同じ説明を職員の方からいただいておりました。
     ただ、この経緯を調べてまいりますと、まず昨年来私たちは県産材を使ってくださいという要望活動をして、昨年から詳細設計が入りましてその図面を見させていだきました。今年の初めごろにできたものを見させていただきますと、間違いなく設計図面には杉の圧縮材の県産材という仕様明記がしてあって、これで設計段階ではいけるなという思いを私たちは持っていましたけれども、それ以降に営繕工事課という部署がございましてそこで圧縮材というのは多分初めて使うということでございますのでその性能評価をしておりまして、そのペーパーがあるんですけれどもそれはイペ材との比較をしておりまして、結論的には強度もほぼ同等、耐久性もイペ材はもう随分実績があるから十年以上はOKでしょうと。ただ圧縮材はこれはせつないかな、五年ぐらい前から実は発売されたものでその五年までの実証データはあるけれども、それは問題になってないと。ですので、多分十年ぐらいまではいけるんじゃないかと、いけそうだねという調査といいますか、レポートがあるんですね。それでそこの最後のところに、ただ十年保証をすべきだと。これは県の組織ですので、県産材でやるにしても十年保証をすべきという一行が書いてあるんですね。多分その一行に対して、県内の業者さんが圧縮材を検討していたと思いますけれども引けたんですね。当然ながら五年しか自分たちは実績がないのに十年保証を県がしろと、しなければいけないという話でございますので、それを受けてここにその業者さんからお手紙――レポートが、ふぐあいのレポートです。「私たちの製品において、水を吸って膨張して、変形して、その原因を調べてもわからない、対策も打てない。私たちの製品、圧縮材は大したものではない」という結論になってしまうんですね。普通こんなレポートは書かないですよ、民間企業さん。自分たちの製品を売りたいから。でもそれはそういう結末になってまして、これを多分県は受け取って、十年もたない、だからイペ材にという流れが起きたんでしょう。
     ただ、この過程を私は見させていただいて、県はやはり県のこの業界をきちんと育て上げなければいけないという責務があると思うんです。五年しか実績がないけど十年と言われた、その後の五年分は県が共同で責任を持つぐらいのそういう思いの中で圧縮材を入れるいう判断をすれば、今回の石雲院の展望デッキの材料として県産材は土俵にしっかりと上がったと私は思うわけですね。そこの配慮が欠落しているなと。これは私の考え方でございますけれども。
     そういう意味で、県産材本当にどんどん使っていかなければいけないという時代になっているわけですので、官民一体となって製品を育て上げるし、それを県の事業に入れることによってそれが世間に対して実績として評価されて、さらに県が世界に対して本県産のそういう材料が売れるということにつながるんではないかなと。一歩踏み込んだ対応を私はすべきであると思っておりまして、知事におかれましてはぜひもう一度、このイペ材といえば本当に簡単ですがもう実績がありますからもう何も問題が起きないということはわかりますけれども、県内の産業を育てるという面で再考をすべきであると考えますけれども、何か御所見がございましたら御答弁をいただきたいと思います。以上でこざいます。
    ○議長(小楠和男君) 下山文化・観光部長。
           (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
    ○文化・観光部長(下山晃司君) 石雲院展望デッキでの再質問にお答えをいたします。
     議員から御指摘がありましたように、公共施設でございますので耐久性という観点から十年程度の保証を求めてきたところでございます。それに対しましてこれも議員の御指摘がありましたように、業者の方からなかなかそれは難しいという御報告をいただいたところでございます。公共施設という位置づけでございますので、安全性において何よりも優先せざるを得ないということで大変残念な判断をさせていただきました。結果といたしまして、県産材の活用についてさまざまな協力をしたいとお考えをいただいた皆様にも大変御迷惑をおかけし、申しわけなく思っております。
     今後は、県産材の活用について文化施設あるいは観光施設、そういったものにつきましても積極的に活用していきたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
    ○議長(小楠和男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 今、下山部長のほうから御答弁申し上げたとおりなんですけれども、あの石雲院展望デッキは大きくは風雨にさらされるところを分けますと三つに分けられます。いわゆるトイレであるとかお茶をサービスするところであるとか、その上のところです。それから一番大きな円形のところです。それから外側が歩けるようになっております。この三つのところに分けられるんですけれども、ほとんどの方々が行くところは屋根のあるお茶の前のところ、円形のところです。その上のところは、今のところ坂になっているので上に上がらねばなりませんので、人を入れないというのを安全上、当局というか関係者のほうは今そういう考えでいます。
     しかし、実績が確かに「一〇〇テンバッキー」、まだ年が若いと。そしてそういう風雨にさらされる形でどのぐらいもつかということについては実績がないわけですが、一部それを使ってやってみることについては安全上問題がないところがあるのではないか。それはトイレ、お茶、休憩、そうしたところの上のところです。ですからその可能性を探ってみます。
     私は、一番最後まで抵抗いたしまして、この圧縮材といいますかこれを今育てなくちゃいかんという気持ちを持っております。これは何も外側だけでなくて、屋外だけでなくて屋内でももちろん使うべきところは使って――事実使われておりますが、これは今試行錯誤の段階にあるけれども、屋外で使うのは恐らく今度が初めてになるんじゃないかと。我々はもちろん安全のことを最優先にしなくちゃなりません。しかし場所によっては屋外でも使えるところがあるようにも思いますので検討させてください。前向きに検討いたします。以上でございます。

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