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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

仁科 喜世志 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/24/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 県政検証
 (2) 二期目の任期満了間近の所見
2 平成二十九年度当初予算編成について
3 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三について
4 内陸のフロンティアを拓く取り組みについて
5 経済再生への産業成長戦略について
6 人口減少対策について
7 行財政改革について
8 福祉行政について
 (1) 障がいのある人への対応
 (2) 待機児童対策
9 豪雨災害対策アクションプランについて
10 教育行政について
 (1) 「有徳の人」づくりアクションプランのあり方
 (2) 外国語、道徳の教科化
 (3) 「世界津波の日」高校生サミットin黒潮
11 平成二十九年の県警察の取り組みについて


○議長(鈴木洋佑君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十五番 仁科喜世志君。
       (十五番 仁科喜世志君登壇 拍手)
○十五番(仁科喜世志君) おはようございます。質問に入る前に一言お許し願います。
 年が明けて去る一月の九日、私どもの会派の同志であります遠藤榮先生が御逝去なさいました。文字どおり静岡県議会の重鎮であり、私どもは大きな穴があいたようです。しかしながら静岡県の発展と今さら遠藤先生には安らかに休んでいただき、そして謹んで皆様と一緒に哀悼の意を表するものです。ありがとうございました。
 さて、私は自民改革会議を代表し県政の諸課題について知事、副知事及び関係部局長、教育長並びに警察本部長に通告に従い、分割質問方式で質問いたします。簡潔明瞭な答弁をお願いいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、県政検証であります。
 知事の二期目のマニフェストと言ってもよい県民の県民による県民のための総合計画後期アクションプランへの取り組みに対する我が自民改革会議の評価であります。
 私たち会派は、昨年八月から県内六十七支部及び中小企業関係団体、農林水産業関係団体、厚生福祉関係団体から現場の生の声として提言や要望を聞かせていただき、総合計画後期アクションプランが真に県民に寄り添ったものなのか実績や効果について今月の六日、その検証結果を我が会派の総意として機関決定し、その内容を公表いたしました。知事からは二十一日の記者会見でそのコメントも聞いています。
 私たち自民改革会議は、静岡県議会の最大会派として自負と責任を持って現在の静岡県政の動向、政策遂行状況、県民幸福度への貢献などについて独自の指標を用いて行い、今の県行財政をわかりやすく県民の皆様にお伝えし県政の課題がどのようなところにあるのかを共有しながら考えていただき、さらにこれからの政策づくりに生かしていくことを目的といたしました。
 我が会派が検証に付した項目は十二分野で評価の基準は五点法です。そして評価の視点は総合計画評価との関係、他の都道府県との比較優位性、県民生活への寄与度の三つを共通事項とし、個別に本会議、常任委員会や特別委員会で課題や話題となった事項、これまで世論が問題としてきた事項等を加えたものです。結果として十二分野八十一項目百七十六指標にわたりました。
 分野別では、大規模地震への備え二・七点、内陸のフロンティアを拓く取り組み二・五点、人口減少社会への挑戦一・二点、健全な財政運営の実現二・六点、地域外交の展開二・〇点、富士山世界文化遺産登録後の観光施策の展開二・二点、健康長寿日本一県への挑戦二・四点、エネルギーの地産地消二・八点、新産業の育成と雇用の創造二・七点、県都構想の必要性一・二点、施設整備の妥当性一・八点、多彩な人材を生む学びの場づくり一・七点でした。全テーマの平均検証評点は二・二点でありました。
 総合計画後期アクションプランの前倒し達成を目指して平成二十九年度を最終年度として当初より結果を出していこうとする知事の行政姿勢は立派でありますが、なかなか達成は難しく容易なことではありません。なぜならそれは限られた予算や職員等を圧縮して無理な偏りを生み出す原因にもなるからです。さらに本県は地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を平成二十五年度に策定し、県の最重要事業の一つとして掲げており、この対応も急務となっています。
 しかし、前倒し達成を急ぐ余り何か置き忘れをしていませんか。しっかりと地に足をつけた着実な取り組みをないがしろにしていませんか。人口流出に歯どめがかかってないことや県内の法人二税の回復が他県よりも遅いことなどがそのことを物語っているものと考えますが、知事の我が会派の県政検証結果に対する所感を伺います。
 知事の政治姿勢についてのうち、二期目の任期満了間近の所見であります。
 知事は、平成二十五年六月県議会定例会で二期目の就任挨拶をされています。その一部を紹介しますと、県民幸福度の最大化に向けて「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」の富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを着実に進めていくことが、県民の皆様の負託に応える道であると、その総合計画の基本構想は平成二十二年度からおおむね十年間を計画期間としており、平成二十五年度が最初の四年間の具体的取り組みを定めた基本計画の最終年度であります。これまでの取り組みを総括的に評価した上で残り期間六年を私の二期目の四年間に前倒して完遂するべく、平成二十五年度に新しい基本計画を策定し総仕上げの道筋を明確なものとしてまいりますと述べられたのであります。
 知事の二期目の任期満了は平成二十九年七月四日ですので、二期目の就任時挨拶で述べた決意は四年近くたった今、どのようになったのでしょうか。
 例を挙げればまず地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき地震・津波対策を早急に進めること、新しい成長産業の育成などの雇用拡大と経済対策のこと、保育所入所など待機児童の解消を初め子育て環境の向上による少子化対策のこと、ふじのくにの未来を担う有徳の人づくりに向け飛び入学制度の導入や実学の奨励のこと、県教育委員会事務局のあり方見直しなど国に先駆けて教育再生改革の実現のこと、健康長寿日本一を確固たるものとすべく医師、看護職員を確保して質の高い医療体制の構築のこと等々です。
 これらに代表される施策は、四年前に知事が語られたとおり前倒しで完遂されたのかどうかは甚だ疑問でありますが、知事自身はどのように考えるのか、二期目任期満了を間近にした所見を伺います。
 次に、平成二十九年度当初予算編成についてであります。
 知事自身の二期目の任期は今年の七月までです。ということは知事自身、最後の予算編成と理解してよろしいでしょうか。なぜなら知事はその後のことは一切触れていないからであります。
 最後となる予算編成は非常に厳しいものだったと伺っています。昨年十月の編成方針時の財源不足が六百億円。近年まれに見るほどの財源不足額に、一部の経費を除いてマイナス二〇%のシーリングを設定しました。また十二月の部局調整案提出状況時には税収の伸び悩みもあり、財源不足は六百三十二億円にまで拡大しました。このような厳しい財政状況は私自身県議会議員になって以来初めての経験です。
 そのような状況下、今議会に提案された予算案は一般会計で一兆二千五十八億円ですが、県費負担教職員の政令市移譲を考慮しますと二十八年度当初予算比で〇・一%増となっています。実質の歳出額が増加していることは正直驚きでありました。相当の県債を発行してまで、さらに今後残す基金を減らしてまでやりたかった施策、事業は何なのでしょうか。それがジャパニーズドリームなのでしょうか。限られた財源の中では、もっと地に足をつけた施策があるのではないでしょうか。静岡県の将来が心配でなりません。
 我が会派は、昨年十二月十九日に知事に対し県民の皆さんが真に求めている施策を立案し県民本位の県政運営を行うことの重要性をじかに申し上げました。予算編成に際しては小さな声にも気配りしてほしいと、人口減少対策、経済再生、雇用対策など七項目について要望いたしました。一方知事は政策本位、現場本位での予算の編成順位を決めると、従来より各部局の意見を強く反映させる意向を示し、副知事三人をトップとした政策調整会議の導入意義を強調されました。
 そこで、知事は政策調整会議を中心とした予算編成において、我が会派が現場の声を集約した要望をどのような形で反映させたのか伺います。
 次に、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三についてであります。
 この取り組み内容は、第四次地震被害想定において推計された被害をできるだけ減らすために策定されたもので、基本理念には減災を据えてレベルツーの地震・津波による犠牲者十万五千人を平成二十五年度から三十四年度の十年間で八割減少させることを目指すものです。そのために数値目標と達成時期を定め、新たに追加された十四の施策を含め合計百七十六のアクションを打ち出し、周知と着手に努めているところは理解しています。
 しかし、その具体的内容と進捗状況を見ますと、第四次地震被害想定に対して新たな対策が必要な沿岸部のレベルワン津波に対するかさ上げ対策は百二十一・五キロメートルに対し〇・〇五キロメートルの一%、耐震化が必要な海岸堤防百十・一キロメートルに対し〇・一三キロメートルの一%、港湾や漁港の防波堤の粘り強い構造への改良は九・九キロメートルに対して二・二キロメートルの二二%となっています。河川部はレベルワン津波に対して高さの確保が必要な河川数六十七河川に対し一河川の一%、耐震化が必要な河川堤防六河川に対しゼロ河川の〇%、粘り強い構造への改良が必要な河川堤防二十八河川に対し零河川の〇%の整備率となっています。
 そもそも、平成三十四年度までの計画ですら三五%から九〇%の整備を目標としているのです。何ゆえに目標値を一〇〇%としないのですか。
 これに対し、津波避難用施設について既存耐震水門の避難用階段の設置が六水門に対して六水門完了一〇〇%、既存海岸堤防二十二カ所の避難用階段及び避難誘導看板の設置率二十二カ所で一〇〇%、既存急傾斜地崩壊防止施設九カ所への避難用階段の設置率九カ所で一〇〇%完了となっています。総じて海岸、河川の津波対策や堤防の耐震化の遅延が目立ち、私は大いに心配しています。どうしてこの整備率で犠牲者八割減を目指せるのでしょうか。逆に二割の方々はどのような想定で犠牲者となってしまうのでしょうか。
 これらの膨大な事業が、完成時期へ向かって改めてこの進捗度で大丈夫かと危惧することと、また巨費を要する事業はほとんどが国の補助と交付金によるものの事業であるものの、大規模地震対策措置法の見直しも視野に十年間のうちで後半に集中した場合、国、県の補助額に支障を来したときに県内の市町で優先度、緊急度を考慮した調整や進め方に修正を求めるような場合が生じないか考えてしまいます。人命や財産に大きくかかわることなのであり、地域で合意形成されると待ったなしとなることは必至です。
 西部の遠州灘沿岸や中部、東部の駿河湾沿岸に比べ伊豆半島沿岸の遅延は著しく、公平性や公益保持の観点から進捗度合いの疑問を感じているのは私一人ではないと思うのであります。そのためにも特定の目的のために財源を積み立て、基金を設けることも一案かと思います。
 地震・津波対策事業費への安定した財源確保や、そしてこの事業のスピード感を持って均衡ある進め方について所見を伺います。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてであります。
 内閣府から、昨年の十二月に平成二十七年度の総合特区の取り組みで本県三特区が各分野で全国一位の評価をされたと記事がありました。このスタートは東日本大震災で大きな被害をこうむり、南海トラフ巨大地震等に備えつつ事前復興の視点を取り入れた内陸のフロンティアを拓く取り組みによる防災・減災と地域成長とを両立させた魅力ある地域づくりの実現であります。そして沿岸都市部のリノベーション、内陸高台部のイノベーション、多層的な地域連携軸の形成を基本戦略としています。
 国制度の総合特区に平成二十五年度中に十一市町十一区域が計画の認定を受け、また県制度の内陸フロンティア推進区域を平成二十六年度に創設し、平成二十八年度末までの六次指定で全三十五市町七十八区域を指定しました。平成二十八年度末では五十六の取り組み事業が完了や着手の運びとなりますが、残りの二十八の取り組みでは平成二十九年度末までに実施設計を作成するなど具体化が求められています。
 具体的な成果が見えてきた区域がある反面、各自治体の事業進捗に温度差があることも少なからず聞こえ、県は総合特区では事業者への金融支援や規制の特例措置等に向けた国との協議を実施し、また内陸フロンティア推進区域での開発地周辺の農業振興対策の事業支援、財政支援、中小企業への金融支援の支援策をされていることは承知をしていますが、支援策のほとんどが平成二十九年度の期限です。三十五市町はこれから正念場を迎え、地域それぞれの歴史、文化、自然等の特性を生かした取り組みを進めていく上で推進協議会を設置しているところも承知しております。
 しかしながら、事業者の進出を促したり地権者の合意形成を構築していくことについては今まで以上に県の実務的な支援をしていく必要を強く感じますが、具体的な所見を伺います。
 次に、経済再生への産業成長戦略についてであります。
 昨年十二月二十日に発表した静岡経済研究所は県内主要企業経営者アンケートで、平成二十九年の景気を「横ばい」とする予想が五七・五%を占め前年調査より三・六ポイントふえました。一方で「良くなる・やや良くなる」は前年より比率を下げ、景気回復の足取りが重くなるとの見方がふえました。また県西部地域しんきん経済研究所も昨年十二月二十日付、中小企業を対象に調査した二〇一七年経営見通しをまとめて公表しました。これによれば、全体として業績は平成二十八年と比べほぼ横ばいで推移するとの見方を示しているとのことでした。どちらも人手不足の状況は否めず、原油などの原材料費の上昇で先行き不安感が強いということです。
 そこで、県は官民一体で取り組む産業成長戦略として平成二十六年三月から平成二十七年二月まで計五回の産業界、金融界、県の代表者で会議を開催し、四つの戦略から成る実効策を伴った本県独自の産業成長戦略を取りまとめました。また去る二月十四日には新たな施策を追加した産業成長戦略二〇一七を取りまとめたと聞いています。
 平成二十七年度、平成二十八年度の取り組みによってどのような実績が上がり、また持続的な戦略を推進していくにはどのような課題克服が考えられるのか伺います。
 また、真に足腰が強くなって県内の産業界を支えていく企業に対して県の産業成長戦略をどのように進めていくのか、あわせて所見を伺います。
 次に、人口減少対策についてであります。
 平成二十八年十月二十六日に平成二十七年国勢調査の人口等基本集計結果が公表されました。それによれば、五年ごとでは平成十七年国勢調査で三百七十九万二千三百七十七人がピークで、平成二十七年、三百七十万三百五人と減少しています。また毎年十月以降の人口は、国勢調査の確定値をもとに住民基本台帳に基づく移動数を加減したものによれば平成十九年十月一日付の三百七十九万六千二十九人が本県人口の最高峰と言えるものと考えられます。
 そのときから九年たった平成二十八年十月一日付人口は、三百六十八万六千九百四十五人です。何と十万九千八十四人が自然動態と社会動態で減少したことになります。平均で毎年約一万二千百二十一人が減ったことになっています。平成二十二年から平成二十七年までの間に人口が増加は長泉町、袋井市、藤枝市であり、残り三十二市町は減少率に差がありますが人口減となっていて、年齢別人口は十五歳未満は三万三千四百九十一人減、十五から六十四歳までは十六万四千九百十一人減、六十五歳以上は十二万九千四百七十六人の増となっています。
 本県では、平成二十五年に転出超過が全国ワースト二位になったことなどを背景に人口減少問題に関する有識者会議を設置し、平成二十六年十二月に提言をいただきましたが、本年一月末に総務省が公表した住民基本台帳に基づく平成二十八年中の人口移動報告によれば東京圏は転入超過で、二十一年連続とのことです。全国的には七都府県が転入超過でした。大変残念ですが静岡県は六千三百九十人の減少で、北海道、熊本、兵庫に次いでワースト四位でした。特に二十歳から二十四歳では男性の七百三十人に対して女性は二千九十七人と女性の県外流出が目立っているのです。
 知事は、昨年の十二月定例議会でポスト東京時代の理想郷に向けた取り組みをさらに進化させ、世界から憧れを呼ぶジャパニーズドリームの理想郷ふじのくにの実現に向けて新たに施策の展開をしていくと述べましたが、しかしながら人口流出による減少に歯どめが全くかからず、本県にとって課題が何なのか、そしてその対策はどのようにするのか、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 仁科議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、県政検証についてであります。
 自民改革会議の皆様には、十二分野八十一項目百七十六指標に及ぶ県政検証の結果をまとめていただき感謝申し上げます。私は知事就任以来、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを基本理念に掲げ、政治姿勢として現場主義を貫き、すべきことはちゅうちょすることなく前倒しで実現を図り、スピード感を持って県政運営に取り組んでまいりました。
 ふじのくにづくりの道筋を示す総合計画の推進状況につきましては、専門家や各界各層の有識者の皆様の外部評価に加え、県議会の皆様の御審議をいただき、今月十四日に“ふじのくに”づくり白書として公表したところであります。その内容は、九つの戦略ごとの具体的取り組みに掲げる二百六十八の数値目標のうち六〇%が目標達成に向けて着実に推移していること、五〇一の主な取り組みのうち九九・二%が前倒しまたは計画どおり実施されており、計画は順調に進捗しているものと評価を受けております。特に最優先で取り組む必要のある県民の皆様の命を守る危機管理や、安心を生む健康福祉の実現を初め、観光交流、行政経営などの分野は目標に向けて順調に進捗が図られております。
 一方、議員御指摘のとおり、東京一極集中による人口の転出超過が続いていることへの対応や世界規模の社会経済情勢等の影響で低迷する法人二税の回復など、より一層の取り組みの強化に努める必要がある課題もあります。このため移住・定住の促進や合計特殊出生率二・〇七を目指した市町の取り組みに対する支援、本県経済を本格的な回復軌道に乗せることを視野に入れた産業成長戦略の推進等々、限られた財源を有効活用いたしまして効果的な施策を来年度当初予算案に重点的に盛り込んだところでございます。
 県行政は停滞が許されません。現計画は十年計画でございますけれども、これを七年で仕上げることができたという総括の仕方が新しい出発の仕方を決めるものと考えております。日本の象徴富士山のあるこの国が海外の人々から夢をかなえられる国であると、いわばジャパニーズドリームという言葉が恐らく数年のうちに国内外で語られる時期が来ると見込んでおりますが、その先駆けとなる地域になるべく、全力で邁進していきます。
 今後とも、県議会の皆様、県民の皆様の御意見、御提言を真摯に受けとめ、よりよい県政運営に努めてまいりますので、御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、二期目の任期満了間近の所見についてであります。
 私は、知事就任以来、県民幸福度の最大化に向けて富国有徳の理想郷づくりの実現に全力を傾注してまいりました。二期目の就任後に策定いたしました後期アクションプランにおきまして、十年間の総合計画を前倒しにより実質七年一カ月で仕上げられる見込みであります。言いかえますと三年間分の予算を浮かしたということであります。目標は、静岡県を日本一の県にするという高い理想を持ってふじのくにづくりの総仕上げ、これに邁進することであります。
 現状でございますが、まず県政の最優先課題である地震・津波対策につきましては地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の着実な進捗を図り、計画どおり犠牲者数の三割減少を達成しております。また本県独自の防潮堤、いわゆる静岡モデルはジャパン・レジリエンス・アワード二〇一五の金賞を受賞しております。防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みは、国の総合特別区域の取り組みに対する評価におきましてまちづくり等の分野で全国第一位と評価されております。こうした取り組みに対して、日本の代表とも言える高い評価をいただいているところであります。
 雇用・経済につきましては、三万人の雇用創出を目指したのは数年前でありますが、そのときには仕事がなかったのでありますが今は人手がないというところまで回復いたしました。雇用創造アクションプランを策定いたしまして完全失業率の改善を達成いたしました。直近の有効求人倍率は二十四年ぶりに一・四倍台の高水準になっています。私が知事に就任いたしました平成二十一年には有効求人倍率は〇・四でした。V字型の回復をしたということであります。また産業界、金融界、県が一体となった産業成長戦略による施策の展開や静岡新産業集積クラスターの推進体制の確立によりまして本県の将来を担う産業基盤の強化を図り、本県経済の成長は確実になると見込んでおります。
 健康福祉分野におきましては、世界トップクラスの健康寿命をさらに延伸するべく、保健・福祉・医療などさまざまな取り組みを総合的に進めております。医師不足に対しましてはふじのくにバーチャルメディカルカレッジが奏功しております。ふじのくにバーチャルメディカルカレッジとは、県内外で奨学金を差し上げて六年間でメディカルコースを終えられた方がその六年間の一・五倍を静岡県で研修や医療に従事していただくというそういう制度でありますが、これは仮に医学部なり医科大学をつくるということですと土地の取得に何十億、校舎を建てるのに何百億、教授をお招きするのに億の単位、そして学生が育つに十年ということでございますが、こうした一千億、恐らく近くになるであろうものとは全く違う形で、お医者様の卵を東大、京大、名古屋大学等々で育てていただいてその成果をいただく、そういう制度で、その学長は昨年京都賞を取られました本県の県立大学の理事長本庶佑先生です。オプジーボ、これのもとになるPD―1を開発された先生でありますが、この課程を修了したお医者様が今、百四十五人県内で勤務をされておりまして、実際の医科大学にまさるとも劣らない成果を今、出し始めております。
 また、有徳の人づくりに向けましては、地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会の御意見――この中には藪田副議長の御令息も入っておられますが――この実践委員会の御意見をいただきながら教職員及び高校生の国際化の推進や水産、農業、園芸等々実学の奨励など地域ぐるみ、社会総がかりの教育を進めているところであります。
 さらに、平成二十五年六月の富士山の世界遺産登録を皮切りに世界クラスの地域資源や人材が次々と顕在化しております。平成二十五年六月から今月――平成二十九年二月までのこの四十五カ月の間に何と四十六件もの資源が世界的な評価を得ておりまして、今まさに静岡県は日本を代表するふじのくにとして世界のひのき舞台に名実ともに躍り出たと言えます。まだ実感はないと存じますがこれがデータでございます。
 後期アクションプランの最終年となる平成二十九年度は、その総仕上げとして各種の目標を達成するべく全力で取り組むとともに、次のステージとして日本が世界の人々から憧れを呼ぶ国になると、今日の観光客数二千四百万、恐らく三千万、四千万は間近であります。人々が日本に憧れてまた留学をしてきております。こうしたいわば日本で夢をかなえることができる、日本を夢の国と見るジャパニーズドリームの実現を本県から開いていくというそのような志を持ってスタートを切っていきたいと考えております。
 次に、平成二十九年度当初予算編成についてであります。
 県税収入が六年ぶりに前年度を下回るなど厳しい財政状況でありましたが、自民改革会議の皆様の御意見を真摯に受けとめ、いただきました七つの要望事項につきましては関係部局長の会議に副知事並びに私が加わりまして政策調整を行い、可能な限り当初予算案に盛り込んだところであります。
 要望事項の一つ目の経済再生、雇用対策の強化につきましては、昨年十二月に制定いたしました静岡県中小企業・小規模企業振興基本条例の趣旨を実行に移すことといたしまして、中小企業、小規模企業に対する支援を強化いたします。具体的には新たなビジネスへの挑戦や経営力向上を図る小規模企業に対する助成制度を創設いたします。そのほか、経営指導員の指導力向上を図るため広域サポートセンターの設置を支援してまいります。
 二つ目の生命・財産を守る危機管理体制の強化につきましては、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の必要な見直しを行った上で、地域の皆様の合意を得るという静岡型のこの方法のもとで防潮堤や水門等の津波対策施設の整備を進めてまいります。また昨年発生いたしました熊本地震における課題を踏まえ、避難所運営体制を充実するため運営マニュアルの見直しを行うなどソフトとハードの両面から地震・津波対策を着実かつ迅速に進めてまいります。
 三つ目の要望事項、子育て支援、医療・福祉の充実では、待機児童の解消に向けて保育所や認定こども園の整備を促進し、入所定員を大幅に増加させます。またひとり親家庭を対象とした放課後児童クラブの利用を促進する支援制度を創設いたしますなど、生まれ育った環境により子供の将来が左右されないという環境を整備してまいります。
 四つ目の要望事項、教育・人づくりの充実では、静岡式三十五人学級編制につきましては現在一クラス二十五人を下限とする基準を設けておりますがこれを撤廃し平成三十一年度までに小学校、中学校の全学年で実施することとし、これまで以上に一人一人の児童生徒へのきめ細かな指導を行えるようにしてまいります。また特別支援学校につきましては、施設の狭隘化の解消や通学負担の軽減が喫緊の課題となっている三島・田方地区と浜松地区におきまして新しい学校の整備に着手することとして調査を進めます。
 五つ目の要望事項、県民の豊かな暮らしの実現につきましては、地域の皆様からの強い要望を踏まえ、身近な道路や河川の新設改良などを行う県単独生活環境整備事業に前年度同額の二百七十億円を計上いたします。また地域の緊急的な課題に早期に対応するため、通学路の整備やサイクリング環境の整備などの道路整備事業と河床のしゅんせつや防潮堤整備に合わせた海岸防災林の再整備などの河川、治山事業に合わせて五十億円を計上したところでございます。
 六つ目の要望事項、本県の魅力を活かした観光、交流の促進では、訪日外国人観光客の一層の獲得に向けまして公益社団法人静岡県観光協会内に設置したDMO静岡ツーリズムビューローを核といたしましてインバウンド施策を強化するほか、本県への玄関口でございます富士山静岡空港旅客ターミナルビルの増築・改修工事を進めてまいります。
 また、ラグビーワールドカップ二〇一九、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けまして競技会場や主要アクセス道路の整備を進めるとともに、県内への事前キャンプ誘致、サイクリングを通じた国際交流の拡大等々に取り組みます。さらに国内外の競技会で活躍するトップアスリートの合宿や遠征等を支援いたしまして競技力の向上を図ってまいります。
 七つ目の要望項目、行財政改革の推進では、既存事業の廃止を含めた積極的な見直しと歳入の確保に努め百五十一億円の財源を捻出いたしました。また県債残高につきましても通常債はもとより臨時財政対策債を含めた全体でも縮減するとともに、将来に備えた基金につきましては厳しい財政状況ではありますけれども百六十一億円を確保したところであります。
 平成二十九年度は後期アクションプランの最終年度となります。ふじのくにづくりの総仕上げとして、新たなふじのくにのステージ、ジャパニーズドリームの日本の理想郷の拠点になりますよう各種の施策をスピード感を持って実行してまいりたいと考えております。
 次に、経済再生への産業成長戦略についてであります。
 県は、産業界、金融界と一体となって産業成長戦略会議を設け、企業誘致・定着の推進、事業用地の確保、地域企業の事業活動の活発化、次世代産業の創出の四つの戦略について取り組みを積み重ねてまいりました。その結果、雇用情勢につきましては先ほど御紹介申し上げましたとおり有効求人倍率が二十四年ぶりに一・四倍台の高水準となっております。また昨年上期の企業立地件数は二十九件で全国第一位となっております。
 一方で、産業を取り巻く環境は刻々と変化しており、IoTを初め技術革新の波が押し寄せております。労働市場では人手不足が顕在化しております。このため二十九年度に実施する施策は次世代産業の振興と人材の確保・育成に重点を置いて取り組んでいくことといたしまして、去る十四日に開催した産業成長戦略会議におきまして産業成長戦略二〇一七として取りまとめたところでございます。
 具体的には、ファルマバレープロジェクトは富士山麓に医療城下町の形成を進めます。このため中核支援機関であるファルマバレーセンターを新しい法人として再編し、従来にも増して迅速かつ的確な支援を行うことのできる新たな体制を構築いたします。フォトンバレープロジェクトは世界をリードする光の都を創生するためフォトンバレーセンターを設置いたしまして、県西部を中心に光・電子技術関連産業の集積を一層進めてまいります。
 また、近年自動車部品の電子化が進展し開発時に必要な電磁波の影響試験の需要が増大しております。このため次世代自動車やIoT関連機器の開発に必須である電波暗室を浜松工業技術支援センターに整備いたします。加えてCNF――セルロースナノファイバー産業の世界的な拠点の形成を目指し、静岡大学との寄附講座の開設や富士工業技術支援センターへの試験研究機器の整備を進めてまいります。
 さらに、人材の確保・育成につきましては、ことし八月をめどに産業人材確保・育成プラン――仮称でございますが――これを策定いたし、働き方改革、優れた産業人材の確保、高度産業人材の育成を柱とする実効性のある施策に取り組んでまいります。
 県といたしましては、産業成長戦略二〇一七を基本に引き続き地域企業の現場の声を踏まえ、産業界、金融界とより連携し、本県経済のさらなる発展に向け全力を尽くしてまいります。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三についてお答えをいたします。
 本プログラムでは、平成二十五年度から三十四年度までの十年間で最大クラスであるレベルツーの地震・津波で想定される約十万五千人の犠牲者を防潮堤の整備や津波避難施設の整備、避難訓練などのハード・ソフト対策を組み合わせることにより八割減少させることを目指しております。昨年度末の各アクションの進捗状況では、減災効果の試算では約三万一千人の犠牲者減少が見込まれる結果となり、これまでのところおおむね順調に推移をしております。
 二割の方々を減災目標に入れることができなかった理由は、防潮堤などの施設整備に時間を要することや住宅の倒壊などによる場合などを想定した結果でありますが、平成三十五年度以降も防潮堤の整備や住宅の耐震化などを進めることにより一人でも多くの命を守ることができるよう努めてまいります。
 防潮堤の整備などのハード対策につきましては、避難などのソフト対策との組み合わせを考慮した上でその地域の方々の合意が得られる形で進めることが重要です。本プログラムでは十年間で六十二海岸、五十河川の計百十二カ所で堤防のかさ上げや液状化対策等の施設整備を進めることとし、これらハード対策に必要な事業費を約二千二百億円と算定をいたしました。これまでに合意がとれた五十四カ所で約三百五十億円を投入して調査設計や工事に着手しており、このうち今年度末までに九カ所で整備が完了する予定であります。
 その中で、全体事業費の約半分を占める伊豆半島地域においては五十の地区協議会を開催し、ハード・ソフト両面の対策のあり方について検討を進めております。現在のところアクションプログラムでは防潮堤を整備すると想定した地域においても景観や観光、生活上の利便を重視をして高い防潮堤を望まない声が多く聞かれております。今後合意形成の加速化を図り、その結果により事業費を見直すとともに、早期に事業着手してまいります。
 県といたしましては、限られた予算の中での減災目標の達成に向けて、当初計画にとらわれずハード対策とソフト対策を最適に組み合わせることにより効果の最大化を図り、スピード感を持って地震・津波対策を進めるとともに、引き続き国に対して予算枠の拡大を強力に働きかけてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
       (政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 内陸のフロンティアを拓く取り組みについてお答えいたします。
 県内全市町に拡大した内陸フロンティア推進区域は、約七割の取り組みが順調に事業化に着手するなど県内各地で次々と新しい産業の創出や新たなライフスタイルの実現が図られてきております。一方で議員御指摘のとおり、一部の区域では事業者の進出や地元調整に時間がかかり進捗におくれが見られる取り組みがあります。
 このため、事業者の誘致に向けて首都圏等における経済産業部や東京事務所との連携した企業への訪問、立地環境の優位性を実感する現地見学会の実施に加え、首都圏や愛知県等における県外展示会でのPRの強化など早期具体化が図られますよう全部局一丸となって市町を積極的に支援してまいります。また地元の円滑な合意形成に向けて課題解決への提案や助言を行うアドバイザーの派遣などのほか地元説明会への県職員の積極的な参加などによりきめ細やかな対応を図り、市町の取り組みを後押ししてまいります。
 来年度は、全ての推進区域において事業着手が見込まれているなど具体的な成果があらわれてまいります。その上で平成三十年度以降の新しい戦略となるビジョンを策定し、山梨県、長野県などとの県境における連携を深め、本県発のこの取り組みを新しいステージへ進めていきます。
 今後も、市町や推進協議会の皆様の取り組みを積極的に支援し、静岡ならではの豊かな自然や美しい景観と調和した多様なライフスタイルを選択できる安全・安心で魅力のあるふじのくにづくりを実現してまいります。
 次に、人口減少対策についてであります。
 本県にとって人口減少は非常に重要な課題であり、中でも本県の将来を担う若い世代、特に女性の人口流出が顕著であることに危機感を持っております。主に進学のときに県外に転出し、そのまま本県以外で就職し定住してしまうことがその大きな要因と考えております。本県の将来を担う人材を確保するためには志の高い若者を単に県内に引きとめるのだけではなく、県外や国外で経験や知識を蓄積しその力を発揮するために戻ってくることができるよう、誰もが活躍できる魅力ある地域づくりを進めること、そしてその質の高い暮らし方を情報発信していくことが重要であります。
 このため県では、誰もが活躍できる多様な雇用の場の創出や安心して子育てできる環境の整備に努めるとともに、静岡U・Iターン就職サポートセンターやしずおか就職ネットなどを通じた企業情報の発信、さらには県外の大学との就職支援のための協定による県内企業への学生インターンの受け入れなど本県への就職や移住の促進を図っているところであります。
 本県は、東京圏にはない美しい自然環境や豊かな食材、歴史に培われた文化、ゆとりある暮らしの空間、活力のある産業など恵まれた場の力を有しております。それらを十分に生かし、若者が望む多彩なライフスタイルが選択できる地域づくりを進めることで人口減少の克服に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 仁科君。
       (十五番 仁科喜世志君登壇)
○十五番(仁科喜世志君) 答弁いただきましたけれども、意見を一点、再質問を一点させてもらいます。
 意見ですけれども、県政検証についてです。
 質問の中にありましたけれども、私らは自民改革会議としては六日の日に公表しました。それについて知事の記者会見の中で、二十一日に知事がされています。そこで大きな指摘を三点ばかりさせていただきます。
 評価項目あるいは評価の仕方等々について恣意的であるという考え方ですが、これは全く恣意的ではありません。ひとりよがりで決めた話でもなく県民の中に入って聞いたことでありまして、結果として十二分野百六十七の指標が出てきたということです。私どもは評価として満点の五点のものもあります。零点のものもあります。結果として二・二点になったものであります。
 それから、数値が遅い、最新のものでないということですけれども、県当局においては“ふじのくにづくり”白書は私の手元には、まち・ひと・しごと成長戦略会議、二月の十六日に郵送されてきました。それは直近の情報です。私どもは昨年の八月から資料等々を集めてきましたので、その資料について違いがあるのは当然であります。新しくなければその都度私らは事務局に速報値でもいいから求めます。そうすると事務も混乱するでしょう。公表されたものについて私どもは評価をしたものであって、その時差については当然あるものと考えます。
 それから、当事者が評価をされているというくだりもありました。当然、県の当局と私ども議会は自治法の中でもあるいは憲法の中でも二元代表制をうたわれているわけでありまして、説明を受けたから、審議の中に入ったからそれは当事者ではなくて、評価するものは評価する。そしていろんな各分野からの評価の見方について考えていくことは県当局に素直に求められる姿だと私は考えております。意見としておきます。
 再質問です。地震・津波アクションプログラム二〇一三についてです。
 整備はL1でほとんどがやってきます。浜松の遠州灘海岸を一部を除きますけれども、そしてL2の被害者が十万五千人という数字をカウントしていきながら、整備についてはL1の整備がほとんどです。どうしてそこに八割減、先ほどの二割のほうの住宅の倒壊であるとか防潮堤のおくれであるとかという説明がありましたけれども、繰り返します。整備についてはL1の一〇〇年から一五〇年のスパンの整備をしています。そして犠牲者はL2の十万五千人です。どうして八割が目標とできるのか、再度答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
○交通基盤部長(村松 篤君) 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の再質問についてお答えいたします。
 整備がL1対応で、どうして八割の方を救えるのかという点でございます。
 L1の整備によりまして津波高が変わってまいりますので、その浸水域が変わってまいります。そういうことによって基礎的な浸水区域が減りますので犠牲者が減ってくるということが一つございます。
 それからもう一つは、対策が防潮堤のL1対応の対策以外にも避難タワーとか耐震化とか各家々の耐震化ですね。それからどういうふうに避難するか、そういうソフト的なものも入ってございますので八割削減ができるということでございます。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 仁科喜世志君。
       (十五番 仁科喜世志君登壇)
○十五番(仁科喜世志君) 次の質問に移ります。
 行財政改革についてであります。
 平成二十七年度行政改革大綱の取り組み状況や意見書への対応状況について平成二十八年六月に行財政改革推進委員会で検証が行われました。それの数値目標の達成状況は行財政改革大綱に掲げた二十六の数値目標のうち十六の目標について実績がまとまり、先に述べた七の目標が平成二十九年度を待たず目標に到達していると情報発信しています。さらに取り組み項目の進捗状況の概要は平成二十七年度は全二百七十四項目のうち平成二十八年度以降の取り組みを除く二百七項目が目標を達成したとありました。
 しかし、角度を変えてみると、大きな疑問を抱く部分が気がつきました。それは県職員の長時間勤務についてであります。知事部局だけで平成二十七年度に時間外勤務が年間一千時間を超えた職員が二十二人もいて、最多職員は千四百時間を超えたとありました。私はその情報を聞いたときに自分の耳を疑いました。勤務はその都度当該職員が業務内容を添えて上司の許可をもらって実施するため当然上司も認知していると思いますが、業務管理や人事管理について直属上司の監督義務はどのようになっているのか、大きな疑問を感じます。
 平成二十八年十月十三日に県人事委員会は、職員の給与等に関する報告及び勧告において看過できない深刻な状況だと指摘しました。つまり勤務条件等に関する諸課題の中で過度な時間外労働の是正の指示を受けていたのであります。
 知事部局では任命権者は知事です。職員の時間外労働削減を図る取り組みを行財政改革の一番の柱として職員の配置や業務内容の見直しと削減、心身の健康の保持に努める必要があるのではないでしょうか。また時間外勤務手当は平均一時間当たり約三千円と聞いています。人件費の縮減にもつながることから、早速取り組む用意があるのか所見を伺います。
 次に、福祉行政についてのうち、障害ある人への対応であります。
 国連の障害者の権利に関する条約の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成二十五年六月、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が制定され、平成二十八年四月一日から施行されました。
 そこで、今議会に具体的な差別の解消を図る条例を制定しようとする方針ですが、その内容といかに実効性を担保するかが課題となります。この条例は制定してからが本当の役割を果たすことになり、よりよい共生社会を構築していくことを望むものであります。
 障害者が一人でも多く暮らしやすくするには、障害のある人の障害の特性に応じた取り組みにより自助、自立の支援と社会参加が必要であり、官民そろって雇用を確保していくことが大事であります。
 そこで、県内の障害者への雇用率状況は、民間企業の五十人以上の規模では平成二十六年から一・八%、一・八六%、一・九〇%で過去最高になりましたが、常に本県は全国数値を〇・〇二ポイント下回り、全国順位は三〇位、三一位、三四位と下位をたどっているのです。さらに法定雇用率達成企業の割合は平成二十八年、前年比二・〇ポイント増で五一・四%、全国三十八位です。
 県内の平成二十八年公共団体における雇用状況は、県の知事部局の法定雇用率二・三%に対し二・五九%、市町は二・四〇%でありそれぞれ上回っています。しかし県教育委員会では法定雇用率二・二%に対し二・二三%ですが昨年度までは法定雇用率を下回っており、この状況をどのように受けとめていますか。積極的な雇用環境とは言えないのではないでしょうか。そして平成二十七年度の障害者就労施設と県、市町との物品、役務調達に関する契約金額は県と市町合計額も二億四千五百三万円となり、前年度比一〇六・三%の推移は喜ばしいと評価するものです。
 そこで、障害を理由とする差別のない共生社会の実現に向けて障害のある人が経済的にも自立できるよう、県は福祉行政の観点からどのように雇用の課題に取り組んでいくのか伺います。
 次に、福祉行政についてのうち、待機児童対策であります。
 厚生労働省の発表では全国の待機児童は、昨年四月一日現在二万三千五百五十三人で前年より三百八十六人ふえ、これは二年連続の増加で平成二十九年度末までの解消を目指す政府の目標達成は難しい状況との新聞記事を目にしました。県内では昨年四月一日で三百三十一人減ったが依然として十四市町で四百四十九人を数えています。さらに親御さんが育児休業中であることなどを理由に待機児童数に算入されない潜在待機児童は県内で千九百七十六人に上るとのことであります。私はこの待機児童数の二重構造の実態を見ると、今後も少子化とはいえ共働きの世帯の増加、核家族化の進行、子ども・子育て支援新制度施行による利用対象の拡大により保育ニーズは増加していくものと考えます。
 県がふじさんっこ応援プランを着実に推進し、市町における保育所、認定こども園、小規模保育事業所等の拡大への対応をしていかなければ、子育て支援策としては待機児童の保護者の不信が募るばかりと危惧しています。平成十八年十月からスタートし平成二十七年四月からの子ども・子育て支援新制度の施行によりさらなる幼保一元化が図られた認定こども園制度については、特に幼稚園が認定こども園に移行するに当たり保育が必要な子供の受け皿となることから、有効な待機児童解消策として期待されているところであります。
 県内市町においては、待機児童対策として保育所の新築や増改築で定員をふやしたりしていますが間に合っていないのが現状です。さらに国は保育士確保のために賃金引き上げや企業が設置運営する保育所支援に取り組んでいるが、一朝一夕には待機児童解消には至らないと考えます。
 そこで、県は総合計画最終年度である「生んでよし 育ててよし」が空文句にならないよう、市町との強い連携をとりながらどのような施策を展開していくのか所見を伺います。
 次に、豪雨災害対策アクションプランについてです。
 本県では五百十九の県管理河川のうち四十七は洪水予報河川や水位周知河川で、県が増水時の水位を監視するなど洪水に対する備えをしているのは承知しています。そのような状況下で、平成十九年六月策定の石脇川・高草川流域総合的治水対策アクションプランや平成二十五年に新たな地区を追加して変更した狩野川中流域豪雨災害対策アクションプランなど県内七地域で豪雨災害対策アクションプランを策定しております。さまざまな治水対策の取り組みを国、県、流域市町によって実施するものです。計画は策定時の過去十年間で甚大な被害を頻発した地区において住宅では床上浸水をなくしたり、国道や主要道路の冠水による長時間通行どめを解消するものを目的としているのがほとんどです。施工内容については期間を五年、十年と区切って、河川改修のみならず流域での雨水の貯留、排水路改善、排水ポンプの新増設等の多くのメニューが位置づけられ、浸水被害軽減を図るための取り組みが進められています。
 ただし、これはあくまで緊急的対策を盛り込んだ具体的行動計画であり、一定規模以上の豪雨に対しては浸水被害の発生も予想されます。昨今のゲリラ豪雨による時間雨量五十ミリを超える降雨量対策として計画に従って進捗管理を行うとともに、実施過程においては随時効果の検証を行い効果的な被害軽減を目指しているところも承知しています。沿線住民を巻き込んだ浸水対策に対して共通の理解のもとに協働して取り組むことが極めて大切と考えます。
 そして、局地的な集中豪雨や台風の襲来が相次ぎ大災害の発生のリスクが高まっており、施設の能力を超える洪水はいつか必ず起きると言われています。このような異常気象の増加傾向に対して今後の豪雨災害対策アクションプランはいかなる方向性が考えられるのか、県の所見を伺います。
 次に、教育行政についてのうち、「有徳の人」づくりアクションプランのあり方であります。
 県と教育委員会は静岡県教育振興基本計画の第二期計画で有徳の人づくりを掲げています。目指すのは、個人として自立し人とのかかわり合いを大切にしながら社会づくりに参画できる人材の育成、各人の能力に応じて学習、スポーツ、芸術など各分野の力を伸ばすため社会総がかりで臨むとしています。
 一方で、昨年十二月に県が公表した第二期計画評価を見ると、学校、家庭、地域、NPO、行政についての連携協働成果評価は、基準以下のCで八割近くになっています。このことも大きな問題でありますが、それ以前に有徳の人という言葉の県民認知度は平成二十八年度調査で五〇%も届いていないのであり、このことがもっと根深い問題なのではないのでしょうか。どんなに練り上げた立派な理念を並べても、実践に結びつかなければ空論で終わってしまいます。計画は二十九年度まででありますが、今後新たな計画の策定作業を進めていくと思いますが、有徳の人づくりを看板に掲げるのであれば、まずはこのキーワードを県民といかに共有するかが重要となります。
 そこで、今後どのように有徳の人づくりを周知し、評価結果を施策の改善に結びつけ新たな計画の策定に反映させていくのか、県の具体的な所見を伺います。
 次に、教育行政についてのうち、外国語、道徳の教科化であります。
 昨年十二月の中央教育審議会が取りまとめた答申において、平成三十二年度から小学校三、四年に外国語活動を前倒しして実施することと五、六年で教科として英語を実施することが示されました。具体的には、現行の歌やゲーム等を通して体験的に英語に親しむ五、六年の外国語活動を三、四年にして五、六年では教科書を使う教科に位置づけることになります。これからは正規の英語免許を持った教諭や特別免許状の発行も必要となり、小学校外国語教育の現況が大きく変わることが予想され、その課題に対する準備は必至と考えますが、現状はどうなのでしょうか。怠りはありませんか。
 また、道徳は平成二十六年十月の中央教育審議会の答申を受け、教科化に向けた準備が進められています。現行の道徳の時間は特別の教科に新たに位置づけられていることとなっています。平成三十年度から小学校、翌年度には中学校で検定教科書が導入され、学習評価も行われることになり、他の子供と比べる相対評価は行わない、入学者選抜の合否判定しない等々が示されています。
 しかし、文章で記述による評価が導入されることにより、学習状況や道徳性に係る成長の様子を評価することは難しいという声があるのも事実です。道徳は子供の内面にかかわる分野で、そもそも評価はそぐわないとも言われています。しかし人が生きるため、人間として一番大事なことが道徳であることを私は認識しています。他の教科のようにテストによって判断をできるものでなく、児童生徒の日ごろの言動に配慮したきめ細かな評価が必要になるだけに、先生方の指導の手腕が問われることになります。思いやりの心や規範意識を育む中で、子供の努力や成長に目を向ける道徳の授業を進める準備はできているのでしょうか。
 外国語、道徳の教科化により教員の負担も心配されます。県教育委員会として積極的に現場の声を聞く姿勢をもって対応していってほしいと思います。
 今後、英語や道徳といった新しい教科化への対応をどのように進めるのか、教育長の所見を伺います。
 教育行政のうち、「世界津波の日」高校生サミットin黒潮であります。
 昨年、国連総会において世界津波の日が制定され、それを記念し世界三十カ国から平成二十八年十一月二十五、二十六日の両日、南海トラフ地震による甚大な津波被害が想定される高知県黒潮町に高校生が集結し、「世界津波の日」高校生サミットin黒潮が開催されました。この町は平成二十四年の内閣府の被害想定では南海トラフ巨大地震により全国最高の約三十四メートルの津波が襲来するとされました。
 サミットでは、地震や津波の脅威や歴史を学ぶとともに共同宣言が発せられました。宣言では世界での津波リスクと津波による甚大な影響を認識し、先人たちの防災・減災の志を後世に伝える責務を引き継ぎ、津波災害を初めとするあらゆる災害から一人でも多くのとうとい命を守るため、でき得る限りの努力をすることを決意するとあります。国内外の高校生と共有した時間は次世代の防災リーダーとして大変貴重であったことと考えます。そしてみずからの命や他人の命を災害から守ることの大切さがうたわれ、さらに自然の恵みを享受し、時には脅威に臆することなく自然を愛し自然とともに生きることを学んで行動していく姿勢に私は今さらながら感動を覚えたのであります。
 我が静岡県からはこのサミットに県内二つの高校が参加し、英語で発表したと聞いています。
 そこで、高校生たちが貴重な体験をし学んで得た教訓から、これからの静岡県の地震・津波に対する防災教育にどのように生かしていくのか、教育長の所見を伺います。
 次に、平成二十九年の県警察の取り組みについてであります。
 県内の平成二十八年中の刑法犯認知件数は、前年比千三百八十三件、五・九%減となる二万二千九十七件であり、実に十四年連続の減少となりました。この結果発生件数はピーク時の三五%までに低減しています。一方犯罪検挙率は前年比二・〇ポイント増の四三・四%であり、過去二十五年間で最高と聞き及んでいます。また交通事故に関しても発生件数、死者数、負傷者数ともに減少しており、特に死者数を昭和二十八年以降最少となる百三十七人まで抑え込むことができたことは評価に値するものであります。
 県警察が、悪化にある治安情勢に早急に対処するため真剣に取り組まれてきた治安再生プログラム等の緊急的な治安対策、さらに平成二十二年からは安全で安心して暮らせる静岡県の実現に向け取り組まれてきた安全・安心推進プログラム等を組織一丸となり進められてきた結果と考えます。しかしながら全交通事故に占める高齢のドライバー、歩行者が当事者となる交通事故の割合が漸増し、全死者の六割に当たる八十五人が亡くなった高齢者の死者数は全国ワースト四位と不名誉な記録となり、全世代のワースト十一位に比べ深刻さが際立っておりその対策は急務であります。
 また、特殊詐欺では現場設定班などの取り組みにより事件検挙は大きく向上しておりますが、反面、被害は三百三十二件、九億千八百四十万円に上り、いずれも前年から増加しているとのことです。もちろん県警察がさまざまな角度から抑止対策に取り組まれていることは承知していますが、相手はこちらの上を行くずるさがあり一層の取り組みが必要であると考えます。
 さらに、人身安全関連のストーカー、配偶者からの暴力、児童虐待、高齢者虐待等では、重大な事態に発展させない早期の対処や児童相談所等関係機関との連携が今以上に重要性を増すものと考えます。いずれにしても県民生活の安全・安心に対する県警察への期待は増すばかりであります。県民の誰もが平穏に暮らせるためにも日夜職務遂行を願うばかりであります。
 本年の県警察の取り組みについて警察本部長に所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 行財政改革についてお答えいたします。
 高度化、複雑化、多様化する行政課題への対応のため、職員の時間外勤務はここ数年増加傾向にあります。こうした状況は人件費の増加につながるだけでなく職員の心身の負担となり、業務の遂行、職員の健康にさまざまな影響を与えることとなりますので、効率的かつ能率的な行政運営を持続的に推進する上で重要な課題であると認識しております。
 時間外勤務の縮減につきましては、これまでも定時退庁日の設定や定期的な点検に基づく業務分担の見直しなどさまざまな取り組みを進めてまいりました。今年度は全庁を挙げて「生産性の向上に向けた取組〜やめて・へらして・かえて・つくる〜」を実施し、全ての事業や業務についての廃止を含めた見直しを行っております。こうした取り組みの成果が少しずつ実を結び、今年度の第三・四半期までの時間外勤務は前年度比で三%の減少と成果が出始めております。
 また、職員の心の健康状況を調査分析するストレスチェック事業を開始し、必要な職員及び所属長に対して産業医やカウンセラーによる助言をきめ細かく行うなど心と体の両面から職員をサポートする体制をとっております。さらに来年度は行財政改革に係る部局横断的な課題への対応の一つとして日本一働きやすい・働きたい県庁を目指し、関係各課によるタスクフォースを設置して業務の見直し、職場環境の改善、働き方の改革に全庁を挙げて取り組んでまいります。
 また、職員の負担軽減を図るため、一時的に集中する業務に機動的に対応する職員を経営管理部職員局に配置し、部局の枠にとらわれない柔軟な支援を年度当初から展開してまいります。
 今後も、職員の健康管理やワーク・ライフ・バランスに配慮し、職員一人一人が能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを進めることで組織全体の生産性を高め、行政サービスの向上に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 福祉行政についてのうち、障害のある人への対応についてお答えいたします。
 障害のある方が住みなれた地域で自立した生活を送るためには経済的な自立が不可欠であり、きめ細かな就労支援が重要であると考えます。このため県では一般企業での就労を希望する方には障害者働く幸せ創出センターにおいて専門の相談員が雇用に関する情報提供や助言を行い、一人一人の希望や特性に応じた就労の実現に努めております。また企業での就労が困難な方には就労継続支援事業所で福祉的な支援を受けながら働くことのできる職場を提供するなど、障害のある方の経済的自立に向けた支援を進めております。
 今年度からはマーケティングの専門家の助言による授産品の品質向上や百貨店での販売を通じたイメージアップを目指すしずおか授産品ブランド化推進事業に取り組んでおります。また野菜の水耕栽培など障害のある方に適した農法を学ぶことにより農業分野への参入を促す農福連携も進め、これらの取り組みにより付加価値の高い授産品を生み出し障害のある方の雇用の場の確保と工賃向上を図っております。
 県では、今後とも障害者働く幸せ創出センターや障害者差別解消条例の施行に伴い新たに開設する県民会議の場などを通じて障害者雇用への理解を深めていくほか、授産品のブランド化と農福連携の拡充や、県や市町に加え企業による授産品の発注拡大にも積極的に取り組み、障害のある方が自立し、身近な地域で豊かに安心して暮らせる、よりよい共生社会の実現を目指してまいります。
 次に、待機児童対策についてであります。
 県では、今後の保育需要の増加に備え、ふじさんっこ応援プランに基づき市町と連携して保育の受け入れ枠の拡大を着実に進めております。平成二十九年四月には約三千三百人分の定員を新たに確保し、平成三十年四月にはさらに約四千人分の定員増を図ることで待機児童の解消に努めることとしております。
 県内の認定こども園につきましては、市町と連携した施設整備の助成や運営についての支援などを行い、平成二十六年四月の時点での二十三カ所が平成二十九年四月には百九十四カ所になるなど順調に増加してきております。また幼稚園からの移行につきましても施設整備の助成や制度に係るきめ細かな相談対応や助言を行うなど認定こども園への円滑な移行を促進しております。こうした取り組みにより、ゼロ歳から二歳児の受け入れが大きく増加するなど有効な待機児童解消策となっております。
 保育士の確保に当たりましては、保育士の専門性が社会的にも評価され、若者にとって魅力ある職業とすることが重要であります。勤務経験や技能習得が処遇の向上につながるキャリアアップ制度を県内の全ての保育所に導入を図ることで、若い保育士や保育士を志す方が夢ややりがいを持って長く働くことのできる環境となるようにしてまいります。
 今後とも、県と市町とで効果的な取り組みの情報共有と促進を図る待機児童解消推進会議の開催を初め、保育を必要とする方の意向に添った相談を行う保育コンシェルジュの増設や企業主導型保育事業の取り組みの促進など市町との連携を一層強め、社会全体で保育を担う施策を充実させ、「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを目指し、待機児童ゼロとなるように取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
○交通基盤部長(村松 篤君) 豪雨災害対策アクションプランについてお答えいたします。
 豪雨災害対策アクションプランは、近年の豪雨の頻発により床上浸水被害がたびたび発生した地区において県と関係市町等が連携し、河川改修に加えて雨水貯留施設の整備や排水ポンプの整備などの総合的な治水対策を計画的に行うことにより五年から十年程度で床上浸水の解消を図ることを目指した取り組みであります。
 これまでに県内七地区でこの取り組みを進めてきた結果、過去に床上浸水が発生した豪雨と同規模の豪雨に対して被害が大幅に軽減するなど取り組みの効果が着実にあらわれてきていることから、アクションプランに位置づけた対策を早期に完了させ当初の目標の達成に努めてまいります。
 また、それぞれの地区のアクションプラン完了後は安全性をさらに高めていく取り組みが重要であることから、緊急的な床上浸水対策が完了した袋井市中部地区の流域においては下流河川の流下能力向上や中上流域の雨水貯留等を組み合わせたより安全度の高い施設整備に着手しているところであります。狩野川中流域など他の地区においても、今後関係市町等と連携して新たな目標や目標達成に向けた課題及び対策等について検討を進めてまいります。
 県といたしましては、アクションプランの取り組みで培った流域市町との連携による総合的な治水対策の手法を活用し、対象地域の特性を踏まえ、激化する豪雨に対しても浸水被害を極力軽減する水害に強い地域づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) 教育行政についてのうち、「有徳の人」づくりアクションプランのあり方についてお答えいたします。
 今年度行った静岡県教育振興基本計画「有徳の人」づくりアクションプラン第二期計画の評価では、百三の成果指標のうち七十一の指標がCまたは基準値以下であり、目標達成のためにはより一層の取り組みが必要な状況となっております。
 このうち、有徳の人の言葉の認知度の向上については、これまでふじのくに「有徳の人」づくり大綱の県内全ての学校への配布や県民だよりへの掲載のほか、県教育委員会が行う移動教育委員会の場や広報紙等を活用して周知を図ってきたところであります。今後は有徳の人の定義を子供たちにもわかりやすい表現となるよう検討するとともに、県内百一人の人づくり推進員の活動を通じて子供の範となるべき保護者等に対し有徳の人づくりに関する啓発を積極的に行ってまいります。
 また、議員御指摘の学校・家庭・地域等の連携協働につきましては、教育委員会において通学合宿やしずおか型コミュニティスクールの推進などに取り組んでまいりましたが、来年度から新たに地域の力を活用して子供たちの放課後の学習機会を提供するしずおか寺子屋創出事業を実施することとしております。
 さらに、次期計画の策定に当たりましては有識者で構成する評価委員会や市町、学校等の意見を踏まえ、目標を達成できなかった項目についてその要因や成果指標の妥当性等を検証し、新たな指標や施策に反映させていくこととしております。
 県といたしましては、引き続き有徳の人づくりという本県教育の目標を広く県民の皆様と共有するとともに、実践できる人材を育成するため第二期計画の総仕上げに向け、県、県教育委員会、学校、地域等が一体となって社会総がかりで取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 教育行政についてのうち、外国語及び道徳の教科化についてお答えいたします。
 県教育委員会といたしましては、学習指導要領改訂の趣旨を踏まえつつ、円滑な移行に向け学校現場の準備を着実に進めていくことが大切であると考えております。
 外国語の教科化につきましては、英語免許保有者など十分な英語指導力を有する教員の確保が課題となります。そのため県教育委員会では、採用試験の加点措置による有資格者の積極的な採用や現職教員向けの研修を拡充してまいります。また授業実践経験とともに英語に関する資格やさまざまな海外経験等を有している教員を、県独自に英語指導資格教員として認定することといたします。
 これらの取り組みを通じ、次期学習指導要領が全面実施される平成三十二年度までに全ての小学校に指導力のある教員を配置するよう努めてまいります。
 道徳につきましては、答えが一つではない課題に向き合い、考え、議論する道徳教育への転換を目指し、特別の教科として位置づけられました。このことから、教育課程全体を取りまとめる立場にある教頭を対象とした授業力向上研修で道徳を含めた学習指導要領の全体像を示すとともに、各校で選任している道徳推進教師に対する研修も充実させてまいります。また評価については単に数値によるものではなく子供たちの道徳性に係る成長の様子を把握することが求められており、そのためには教師が児童生徒との日ごろのかかわりを大切にし、「褒めて伸ばそう」のスローガンのもと、個々のよさを見出す姿勢を持って取り組むことは重要であると考えております。
 外国語、道徳の教科化に向けて教員の適切な配置と学校現場の多忙化解消の取り組みを推進し、学習指導要領の改訂に伴う教員の負担感の軽減につなげるとともに、引き続き学校現場のニーズに応じた情報提供等に努めてまいります。
 次に、高校生等による防災国際会議「世界津波の日」高校生サミットin黒潮についてであります。
 このサミットは、「次世代を担う私たちができること」をテーマに開催され、本県からは県立裾野高等学校と静岡学園高等学校の二校が参加いたしました。裾野高校は、各学校が状況に応じてスムーズな避難を行うため避難ルート上の目印や留意点を画像でわかりやすく示した学習システムを発表しました。また静岡学園は、被災後に地域の避難所支援に高校生に何ができるのかを検討した上で避難所運営教材のHUG――エイチ・ユー・ジー、これは避難所運営ゲームの頭文字をとったHUGを取り入れた防災学習の取り組みについて発表いたしました。このサミットに参加した高校生は黒潮町の地域と高校生が密接にかかわり合い防災対策を進めている姿や、海外の高校生が災害復興に対して意欲的に活動している状況を知り、みずからが積極的に行動することが大切であると再認識したとのことでありました。
 中高生は地域防災の担い手として期待されているところであり、来月には熊本地震で活躍した中学生を本県に招き、震災体験、避難所運営など被災地での活動について学ぶことになっております。
 県教育委員会といたしましては、これらの学びを生かして学校防災推進協力校との協議会や地区別研修会などの場で広く周知し、来年度計画している学校の防災計画の見直しへ中高生が積極的に参画することや、被災時にみずから行動を起こすことができるよう、防災教育の充実に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 筋警察本部長。
○警察本部長(筋 伊知朗君) 平成二十九年の県警察の取り組みについてお答えいたします。
 県警察では、平成二十九年の運営指針を「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」とし、現下の治安情勢を踏まえ、安全・安心推進プログラム二〇一四に掲げる三本柱のもと各種の重点施策を推進してまいります。
 まず、第一の柱は犯罪の起きにくい社会づくりであります。
 刑法犯認知件数のさらなる減少を目指し、地域住民や各種事業者、行政機関等と連携した効果的な犯罪抑止活動を推進してまいります。中でも振り込め詐欺等の特殊詐欺の対策としましては、新たな取り組みとして今年三月から静岡県内の全信用金庫で振り込み機能の一部利用制限による還付金詐欺対策を開始していただく予定であり、このような官民連携した被害防止対策をより一層推進してまいります。また犯行グループの現場検挙や犯行組織そのものに打撃を与える捜査を推進してまいります。
 また、ストーカーや配偶者からの暴力事案等の人身安全関連事案に対しましては、相談者等の生命、身体の安全を最優先に対応してまいります。そのほかサイバー空間をめぐる脅威への対処、国際情勢を踏まえたテロの未然防止などを推進するため、警察における戦略的な情報収集、分析を初めとした諸対策を強化し、県民の皆様の安心感の醸成に一層努めてまいります。
 第二の柱は、人に優しい交通安全社会の実現であります。
 昨年の交通事故では、全死者のうち高齢者の比率が六割を占めるという状況にあります。そのため引き続き高齢者に対する参加・体験・実践型の交通安全教育を充実するほか、自発光式反射材や反射材つきエコバッグの利用促進を図るなど高齢者の事故防止を最重点とし、総合的な交通事故防止対策を関係機関、団体等と連携し強力に推進してまいります。
 第三の柱は、安全・安心のための警察力の強化であります。
 治安情勢の変化に的確に対応するため組織体制の整備を進めるとともに警察官二十五人を増員するほか、複雑多様化する警察事象に迅速的確に対応するため各種の実戦的な訓練などにより精強な第一線警察を構築するとともに、警察施設の整備や防災対策を図るなど警察活動の基盤強化を推進してまいります。
 本年も県民の皆様の期待と信頼に応えるべく、県警察職員一丸となって職務に邁進していく所存であります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 仁科喜世志君。
       (十五番 仁科喜世志君登壇)
○十五番(仁科喜世志君) それぞれ答弁いただきましたけれども、二点について再質問させていただきます。
 まず、行財政改革についてです。
 先ほど、平成二十九年度の取り組みについては経営管理部に弾力的な職員を配置して対応していくんだと、そういうような話もあり、全庁挙げて対応する。さらに日本一働きやすい、働きたい、働きやすいという言葉もありました。
 私の質問の趣旨は、答弁が少し理解できませんので、再質問の、過去はどのようにこういう一千時間を超えるような職員が発生してしまっているのかということと、一時的に職員を対処するということですけれども算数で十二で割れば一千時間を超えるものが一時的であるわけがないです。恒常的に行わなければ一千時間や一千四百時間という数字はカウントできないのであります。それをどのように発生してしまっているのか、そういうものをお聞きします。その発生原因によって解決策が近道になるというものであります。
 それから、有徳の人づくりについてです。
 先ほどの私の質問もありました。答弁も同じような形で評価については昨年の十二月にC以下が八割、そして有徳の人づくりという言葉の定義を説明するということがありましたけれども、その言葉の認知度も五〇%以下ということの答弁ではなくてそれがなぜこのようになってしまっているのかと、それが昨年の十二月に静岡県の教育振興基本計画の評価をしているはずなんです。そのことを答弁をなくして私には聞き取れませんでしたけれども、平成二十九年度に向けていろいろの対応をするんだということもありますけれども、まず評価の一端をここで紹介していただかないと質問等、かみ合っていかないのであります。再質問を以上の点で二点させていただきます。答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 行財政改革に関します再質問にお答えいたします。
 まずは、一千時間以上の時間外勤務が生じている職員、どんな状況かということでございますが、平成二十五年度以降を申し上げますと一千時間を超えた職員、これ、がんセンターを除きますけれども平成二十五年度が十二名、平成二十六年度が二十五名、そして二十七年度が十六名でございます。そして今年度に入りまして四分の三・四半期までの実績で申しますと千時間の四分の三、七百五十時間になりますけれども七百五十時間を超えた職員は三人でございます。
 それから、こうした職員への対応でございますけれども、まずは根本的には組織定数の配置を根本的に見直すということがまず第一かと思います。来年度の組織改正に当たりましては、具体的に言うと先ほど申し上げた今年度の時間が多い職場に関して申し上げますと、各地域の児童相談所の職員が非常に勤務が多いという状況が出ていました。したがって来年度の組織改正には各児童相談所の定数を増員いたして合計四名の増員をとっております。
 先ほど、三名の職員を経営管理部の職員局に増員するという答弁をいたしましたが、これはあくまで年度途中におけるいろんな業務の増減に対応して柔軟に対応するという意味で配置をしておりまして、こうした状況を見ながら断続的に例えば三カ月、例えば半年、そういった形で配置をしていくつもりです。基本的には根本的な解決は定数の配置で見直すことが第一だと考えております。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) 「有徳の人」づくりアクションプランのあり方についての再質問についてお答えいたします。
 まず、今回の県教育振興基本計画の成果指標の評価でございますけれども全体で百三指標ございまして、そのうち七十一が基準値以下ということで全体六八・九%が達していないという評価でございました。これにつきましては評価の項目といたしまして、いわゆる定数評価、意識を問う項目が多く、その中で評価が低かったということでございます。
 例えば、主な取り組みというものが五百十二取り組みがございまして、これはもう全体の九七・三%、四百九十八項目がおおむね順調に進んでいるということでございますので、取り組み状況につきまして我々としてはほぼ計画どおり実施されているという理解でおります。
 もう一点、有徳の人という言葉の認知度、これは先ほど議員がおっしゃいましたように現状値では四七・三%ということで五〇%を割る状況でございます。これにつきましては私どもがこれまで「有徳の人」づくり大綱をつくり、県内の各学校にも皆さん配り、また県民だよりにも載せるということでやってまいりましたけれども、まだそういう取り組みがまだ足りなかったのかなと思っております。今後より理解していただけるように情報提供等を行ってまいりますのでよろしくお願いいたします。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 仁科喜世志君。
       (十五番 仁科喜世志君登壇)
○十五番(仁科喜世志君) 要望を一点。
 行財政改革についての先ほどの答弁ですけれども、組織定数の改編、定数の増員、それから三人については年度途中という説明がありましたけれども、このことしの公表されている人事委員会から指摘を受けた、例えば平成二十八年度の状況についてもそのような数値が減ってきたことについては理解しておりますけれども、この三人の方というのはその部を飛び越えて一時的に弾力的に、そうすると上司は誰になってくるんですか。その業務の中に入っていってそこの仕事を手伝うということでいいんですか。そういうもののことがこれから、今までそういう手法は設けられていなかったと思うんですね。そういうものについてその任命を受けた人がしっかりと責任持ってできるようにしていただきたいと思います。以上でございます。要望を終わります。
○議長(鈴木洋佑君) これで仁科喜世志君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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