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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成31年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

増田 享大 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/18/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1) 平成三十一年度当初予算編成
(2) 人口減少対策
2 森の防潮堤づくりについて
3 リニア中央新幹線の整備に伴う水資源等の保全について
4 文化力の拠点整備について
5 ラグビーワールドカップ二〇一九におけるWiFi環境の整
 備について
6 駿河湾フェリーの継続運航について
7 マリンバイオ産業の振興について
8 静岡県水産振興条例案を踏まえた振興策について
9 静岡県茶業振興条例案を踏まえた振興策について
10 ICT人材の確保、育成戦略について
11 社会健康医学の推進について
12 県立学校の老朽化対策について
13 平成三十一における県警察の運営重点について


○議長(渥美泰一君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十八番 増田享大君。
       (四十八番 増田享大君登壇 拍手)
○四十八番(増田享大君) おはようございます。
 私は、自民改革会議を代表して当面する県政の諸課題に対し通告に基づき知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に一括質問方式で伺います。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてのうち、平成三十一年度当初予算編成について伺います。
 少子化、人口減少の時代、さらにことしは御代がわりによるまさに新しい時代を迎えようとする中、今私たちの国と地方は大きく変わろうとしているのだと思います。その地域社会では一層多様化が進みそれに伴う住民ニーズも多岐に及び、政治が県政が対処しなければならない課題はたくさんあるのだと思います。そこには頑張る人がいてその人を支えてくれている人々もいます。その人たちを支援し、支えることも政治の大切な使命だと思います。その中でどの分野に重点を置きどう予算を配分していくのか考え方一つ方向性一つでその答えは大きく変わるものであり、県政のかじ取りが複雑さを増す中その決断が県の将来を決定づけていくのだと思います。
 今年度、私は会派並びに自民党県連の政務調査会長を仰せつかり、昨年の五月以降県内六十七の党市町支部の皆様を初め多くの業界や団体の皆様とお会いし、さまざまな要望を伺ってまいりました。五泊六日で県内各地を訪れた際には本県は東西にも南北にも長く広く改めて県土の広大さを感じましたし、また市町や圏域、業界や団体ごとでそれぞれの実情や特徴、文化の違いもあり要望の内容が実に多様なことも印象的でした。地域からの要望はその多くが道路整備に関するもので、国への交付金獲得に向けた働きかけも一層強めるべきと考えますし県単事業も含め改めて道路予算拡充に向けた取り組みの必要性を感じました。
 このほかにも、河川整備など頻発する自然災害への万全な備えや農林水産業の振興、安心を支える医療・福祉の実現に向けた要望も多く、また教育現場への支援拡充や学校施設の老朽化を懸念する声も多く伺いました。特に学校施設の老朽化は深刻で、その対策費は県全体でいうと建てかえ等が集中すれば単年度で百億円規模に上るとも言われており、整備の計画策定はもちろん新たな基金の創設など財源確保策を含めた対策の必要性を強く感じました。
 また、一口に人口減少社会といっても年々人口が減少している地域もあれば鉄道や道路など立地環境に恵まれた地域では横ばいか、中には人口の増加が進んでいる地域もありそれぞれの地域に適した対応策が必要ですし、産業界が抱える人材不足対策等多種多様な課題に対し限られた財源の中、選択と集中の必要性はもちろんその選択そのものの難しさを感じました。これらあまたある県政の課題に対し、幅広くかつ網羅的に予算を配分しつつもどこに重点を置き活力を生み将来に備えていくのかとても重要だと考えます。
 昨年十二月十九日、我が会派は来年度予算に関し地域や業界団体から聞き取った要望をもとに、経済成長の加速と産業人材の確保、人口減少社会を克服する子育て支援と医療・福祉の充実などの七分野について要望書をまとめ知事に提出いたしました。
 そこで、次年度予算編成に当たりこのような本県の状況の中、我が会派の要望を踏まえどのような観点からどのような事業に重点を置き予算編成を行ったのか伺います。
 次に、人口減少対策について伺います。
 本県の人口は、昨年十月一日現在で三百六十五万六千四百八十七人と三年前の国勢調査から約四万四千人もの減少、また昨年三月に発表された日本の地域別将来推計人口では二〇四五年には三百万人を切る二百九十四万人余になるとも予想されており、本格的な人口減少時代を迎えていることを実感します。人口減少は我が国全体が直面する最大の課題でもあり、県ではその対策として平成二十七年に美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、人口減少の急激な進行を可能な限り抑制する戦略と到来する人口減少社会に適応する戦略を両面から進めていくこととしています。しかし人の社会移動の増加などを目指す抑制戦略に比べ適応戦略は過去の本会議上でも各議員の先生方から御指摘があったように具体策が乏しく有効な手だてが講じられていない、懸念される状況が続いていると思います。
 また、この適応戦略は地域社会のあり方そのものにかかわる長期的な政策手段でもありますから、本県の将来ビジョンを描き明確な方向性を打ち出した上で早期にその対策に着手すべきと考えます。
 また、適応戦略はイコールコンパクトシティー化との考え方もありますが、AIやIoTなどの最先端の科学技術を大胆に取り込むことにより既存の地域枠や圏域をそのままに生かしていくことも視野に入るでしょうし、科学技術により距離や時間の概念を超えた発想やまた生産性を飛躍的に向上する取り組みの進展を見据え県の将来ビジョンを考え官民を挙げて取り組んでいくことも重要だと思います。
 そのような観点から地域の将来像を描くに当たっては、効率的かつ効果的な施策展開を可能とするため市町域を超えたある程度広い範囲での広域的な枠組みで考えていくことも重要だと思います。
 例えば、私の地元掛川市を含む中東遠と志太榛原地域は現在の県総合計画上は中東遠は県西部、志太榛原は中部とそれぞれ分けてくくられています。しかしこの圏域の中心には昨年秋のリニューアル、ことし四月からの民間化により将来性がより高まった富士山静岡空港が存在し、それを核とした充実した交通ネットワークと大井川流域を中心に広がる産業、文化、自然などの資源を複合的に結ぶことにより、地域を超えた圏域全体の発展も大いに期待されております。そういった圏域ごとの可能性を追求し、広域的に地域を俯瞰した視点を持ちつつ未来のまちづくりを描くことも重要だと考えます。
 現総合戦略は、来年度最終年度を迎えます。これまでの対策により拍車をかけるとともに、次の計画期間に向け戦略を強化すべき時期になると考えます。
 そこで、総合戦略最終年度を迎えるに当たり、適応戦略について具体策をどのような形で打ち出し次の総合戦略につなげていくのか、県の所見を伺います。
 次に、森の防潮堤づくりについて伺います。
 県内の広域的な都市形成の状況に関しましては、先に述べましたように公共交通機関沿線の発展が目立つ一方、中山間地域を初め津波被害への不安から沿岸地域の衰退が一層顕著になっております。そのような中、県が実施する内陸フロンティア構想は内陸部への人や企業の移動をもたらし一定の効果も上がっていると思われます。
 しかしながら、本県は広大な海岸線に囲まれた県でもあり沿岸地域の安全確保とその振興は欠くことのできない県の重要施策であると私は考えます。遠州灘一帯では津波から命を守る森の防潮堤づくりが官民を挙げて進められており、塩害等に枯れた松林等の防災林については平成二十六年度以降、海岸防災林の強化事業として県と市町が連携して静岡モデルと称した対策事業が進められ今年度末にはその進捗率は約四〇%までに及ぶと伺っております。
 一方、枯損していない、枯れていない防災林につきましては保安林保護の観点からこれまで具体的な整備方法が定まらず、さきの十二月定例会で我が会派の野崎議員が質問したように周辺住民の大きな懸念事項となっておりました。
 こうした中、去る一月二十四日の知事定例記者会見において枯損していない防災林の整備方法について県が林野庁と協議を続けた結果、一定の要件のもとであれば枯損した防災林と同様に整備が可能との方針が示されました。地元各市ではこの発表により今後の計画も具体化され事業の進捗も大きく前進すると一様に歓迎の声を伺っており、意義ある合意であったと関係者の御努力に敬意を表するものであります。
 しかしながら、これには防災林に一定の幅が必要であるなどの要件があり一部対象にならない地域もあるとも聞いており、整備全体への影響と残された課題はないのか、まだ予断を許さない状況だと思います。
 そこで、林野庁との協議により可能となった一定の要件とは具体的にどのようなものなのか、そしてそれが全体計画の進捗にどのような影響を与えるのか伺います。また今回の要件に当てはまらない地域については、整備計画実現に向け今後どのような方針で対応するのか、県の所見をあわせて伺います。
 次に、リニア中央新幹線の整備に伴う水資源等の保全について伺います。
 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水資源の減少問題は、課題が判明して以降流域の多くの県民に不安を与えることとなり、過日私が地元で行った県政報告会の際も切実な御意見、御要望を伺い県民の関心度の高さを感じております。想定される水の減少量は毎秒二トンと実に掛川市内全域の一日の水使用量と同量の大規模なもので、他県でもリニア工事による渇水が発生した事例もあるなど不安は尽きず、県として慎重かつ適切な対応が求められると考えます。
 昨年十一月、静岡県中央新幹線環境保全連絡会議においてようやく県とJR東海との対話が始まったものの、将来にわたり確実に水資源等への影響を回避できるのか判断するための材料が十分には出されていないなどから県は翌十二月末に改めてJR東海に質問書を送付しました。そしてことしの一月には県は連絡会議の専門部会を開催し、これらの質問に対する回答をJR東海に対し再度求めていると聞きます。しかし同二十五日に開催された水資源への影響等を検証する地質構造・水資源専門部会での審議では、トンネル工事を行う前に十分なリスク管理を求める県や委員に対しJR側は、工事前にできることは限られ工事を進めていく中で事前の予測や調査を行いながら対応していく、と従来どおりの考え方の説明に終始し議論は平行線をたどったままとなっております。
 また、三十日に開催された生物多様性専門部会での審議でも委員から南アルプスに生息・生育する動植物の特徴などに配慮した具体的な保全措置を求める質問、意見もありましたがJR側は工事を進めながら対応するなどとした従来の説明を繰り返すにとどまったと伺っております。雄大な大井川水系にはその表流水や地下水により日々の生活や産業が支えられており、利水者や地元住民にとりましてはリニア中央新幹線の整備に伴う水資源や自然環境等への影響の回避についてJR東海から一刻も早く安心できる基本方針や具体的な対策が示されない限り、県民の不安は解消されません。
 そこで、県は現在JR東海との対話が平行線である状況をどのように打開し、リニア中央新幹線の整備に伴う大井川水系の水資源や自然環境の保全をどのように実現していくのか伺います。
 次に、文化力の拠点整備について伺います。
 JR東静岡駅南口における文化力の拠点整備につきましては、これまでも我が会派から本会議の場などでたびたびただしてまいりましたが、その計画案の内容は静岡の文化を創造する知の拠点を基本コンセプトに、新たな県立中央図書館を中心に新しい知的空間などを含めて整備を進めていくと伺っております。
 県立中央図書館につきましては、過日公表された文化力の拠点施設における新県立中央図書館基本計画案において、豊富で多彩な蔵書に直接触れる機会の提供や子ども図書館の創設、図書に関する情報を提供する高度なレファレンスの実施など図書館が本来持つ機能を強化充実することにより想定来館者数を百万人程度と見込み、収蔵冊数については百七十万から二百万冊、面積については一万六千平米程度とすることなどが示されております。また新しい知的空間につきましては本県が誇る自然や歴史、産業などの魅力を発信するほか体験や交流を通じて新たな文化の創造や本県の将来を担う人材の育成につなげるスペースとしていくとされております。
 文化力の拠点が東静岡駅前という立地を生かし魅力やにぎわいのある施設となるためには、その中心となる県立中央図書館と新たな知的空間が一体となり他の施設との相乗効果を図りながら基本計画に位置づけられた創造・発信、学ぶ・人づくり、そして出会い・交わるの三つのコンセプトを実現することが必要であり、また近隣のみならず広く県内全域の皆様から親しまれる施設にすることがとても重要だと考えます。
 しかしながら、平成二十八年八月の基本計画策定後多くの時間も経過していることから、今回県立中央図書館を中心とする先行導入機能の整備に当たり文化力の拠点に導入する機能や規模、事業手法などについて改めて県民に対し具体的な整備方針とスケジュールを示すべきだと考えます。
 そこで、文化力の拠点を今後いつまでにどのような形で進めていくのか、県の所見を伺います。また施設の整備や管理運営には相当大きな事業費が必要になると考えられ、今後県が過大な財政負担を強いられることにならないよう民間も含めた現実的な事業手法やスキームを構築することが不可欠であると考えますが、どのようにこれを実現するのかあわせて伺います。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九におけるWiFi環境の整備について伺います。
 いよいよことし九月、ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会が開催されます。アジアで初めて、またラグビー伝統国以外で初めての開催という歴史的な大会であり、英国の富裕層を中心に約四十万人の外国人観戦客が来訪すると予想されています。県全体として来訪者を本県ならではの最高のおもてなしで迎えることが期待されている中、さきの十二月定例会におきまして我が会派の渡瀬議員が質問し知事から、JR愛野駅からエコパスタジアムに至る、いわゆるラストマイルにおいて国内外から訪れる観戦客の皆様に、もう一度訪れたいと感じられるような静岡らしい高品質なおもてなしを提供するとの力強い答弁をいただきました。しかしながらもう一つの課題でありました無料WiFi整備に関しましてはまだ課題が残ったままとなっており、スタジアムまでのおもてなしと同様スタジアム内におけるその整備は不可欠だと考えます。
 観光庁の調査では、訪日外国人観光客が旅行中に困ったこととして最多の四六・六%が無料WiFiの少なさを挙げており、今や先進国では主要な大規模集客施設では無料WiFi環境は当たり前となる中、全国十二開催都市の中で二番目に大きいエコパスタジアムで未整備では本県や開催都市の印象を低下させてしまう可能性もあると思います。もちろん無料WiFi環境の常設には多額の費用がかかりますが仮設やリースなど低コストで実施する方法もあり、あらゆる検討を重ね整備を進めるべきと考えます。
 そこで、本県の国際的な評価を損なわないためにもエコパスタジアム内の無料WiFi通信環境の整備は是が非でも進めるべきと考えますが県の今後の取り組みについて伺います。
 次に、駿河湾フェリーの継続運航について伺います。
 昨年五月のエスパルスドリームフェリーによる撤退発表を受け、我が会派は運航継続に向け知事に緊急要望をいたしました。これを受け県は庁内にプロジェクトチームを設置し、専門機関の意見を踏まえ運航継続に向けた検討を続けてきた結果、昨年十二月末にはフェリーの継続した運航に向け総務管理や商品企画、営業などを一体的に行う一般社団法人を設立方向で沿岸の三市三町と協議するとの発表がありました。
 ことしは、静岡デスティネーションキャンペーン、ラグビーワールドカップ二〇一九が開催され、また来年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが県内で開催されるなど国内外から多くの観光客の来訪が期待されております。こうした時期に駿河湾フェリーが継続して運航され利用者の増加が図られれば、駿河湾地域一帯の魅力発信はもちろんのこと本県の観光振興そして経済的にも大きな効果をもたらすものと思います。
 しかしながら、これまで専門の民間企業によるさまざまな経営努力によっても運航継続が困難となってしまったのは事実であり、その事業の再生を自治体主導でなし遂げることは決してたやすいことではなく県の財政負担が膨大にならないよう一定の限度を設けることも重要です。民間から公共へ運営主体を移管し運航を継続していくためには、しっかりとした運営組織を構築するとともに自治体や関係機関が密接に連携して取り組んでいくことが必要だと考えます。
 そこで、駿河湾フェリーの継続運航に向けた新たな運営組織の方針と民間企業でも難しかった経営再建をどのように実現するのか、今後の取り組み方針について県の所見を伺います。
 ここから二問、海洋と水産業に関する質問をさせていただきます。
 まず、マリンバイオ産業の振興について伺います。
 駿河湾を含む本県の海洋には、日本で唯一漁業が行われているサクラエビや世界一大きなカニであるタカアシガニ――残念ながら私は食べるのがいずれも苦手なんですが――全国最多の種類があると言われている海藻など富士山からの湧水や沖合に流れる黒潮などが育む多くの貴重な資源があります。一方社会の進展とともに現在AIやIoT、ビッグデータといった技術革新が急激に進展する中、本県産業もこの潮流に乗りおくれないよう積極的に革新的技術を取り入れ新たな産業創出につなげていく必要があると考えます。
 近年ではバイオテクノロジー分野における技術革新も目覚ましく、こうした新しい技術を活用し本県の豊かな海洋資源を漁業や食品加工産業のみならずさまざまな産業へとその活用の領域を広げ、より一層価値を高めていくことは本県経済の新たな進展につながるものと各方面より期待されております。このような中、県は本県経済の持続的、安定的な発展を図るためマリンバイオ、すなわち海洋由来の生物資源に着目しマリンバイオテクノロジー研究会やマリンバイオ産業振興ビジョン検討協議会を立ち上げ、産業の振興そして新たな産業創出に向けた取り組みを始めたと聞いております。
 そうした中、先日同協議会においてマリンバイオテクノロジーの専門家を初め産業界や地域住民などからの意見も踏まえて取りまとめたマリンバイオ産業振興ビジョンが県に提出されました。このビジョンには中核となる拠点の整備や推進機関の設置、大学や企業、産業支援機関などが参画するネットワークの構築などプロジェクトを推進する上でポイントとなる項目が盛り込まれていると聞いております。
 そこで、県はこのビジョンに基づき今後どのようにマリンバイオテクノロジーを活用した産業振興を進めていくのか、それにより県内企業の商品開発等に具体的にどのような波及効果を期待するのか、県の所見を伺います。
 次に、静岡県水産振興条例案を踏まえた振興策について伺います。
 さきに述べましたように、本県は豊かな海に囲まれ、その恵まれた海洋環境と先人たちの努力によって平成二十九年度の漁業生産量は全国五位、海面漁業に限れば全国四位を誇るなど全国有数の水産県としての地位を築いております。各産地の代表的な水産物はそれぞれが全国有数の規模を誇っているほか水産加工業も盛んで、沼津のアジの干物や焼津のかつおぶし、駿河湾から遠州灘にかけての釜揚げシラスやシラス干しなど各地で我が国を代表する水産加工品が生産されております。
 しかしながら、漁業生産量はここ三十年の長期にわたり減少または横ばい傾向が続き、漁業者、水産加工業者などの本県水産業の担い手も長い間同様の傾向が続いております。さらに今年度は大きな話題となりましたサクラエビの不漁など地球温暖化の影響なのか豊富な水産資源に関する心配なニュースも多く、本県水産業の今後の発展に関し多くの心配の声が寄せられております。
 一方、これらを所管する県の組織は一次産業を所管する部として独立していた農林水産部が幾多の改編を経て今では経済産業部の一部となり、今日本県の水産振興は水産業局が担当することとなっております。豊富な水産資源を有する一方、県所管の水産業のこうした状況などを踏まえると県として改めて一次産業の振興にもっと力を注ぐべきだと考えます。
 県議会では、昨年六月定例会において本県水産業のさらなる振興に向け静岡県水産振興条例に係る協議の場を設置し、条例検討委員会の議員の皆様の御努力のもと七月以降関係団体への意見聴取等を行いながら検討を重ね、そして今般県民皆様の意見募集を経て本議会に議員提案として静岡県水産振興条例案を提案させていただくこととなりました。改めまして各委員の先生方の御努力に敬意を表するものであります。
 本条例案では、まず基本理念として水産資源の適切な保存管理及び持続的な利用の確保を初め内水面そして沿岸から遠洋に至る全ての漁業の共存共栄、水産に関するあらゆる産業の連携、漁村地域の振興の四点を旨とし本県水産業の振興をより一層推進すべきと提起されております。さらに県の責務として本県水産業や漁村地域の振興に関する施策を策定し、国や市町及び水産業者と連携を図りながらその施策を着実に実施する責務を有することを掲げております。本県の魅力をより向上させるためにも本県特有の水産資源を最大限生かし、国内外の人たちに食材の宝庫と言われる本県の海の味覚を一層発信すべきと考えます。
 そこで、県は本条例案の検討委員会での議論の内容や本条例案の趣旨も踏まえ、本県水産業のさらなる発展に向けて水産振興策をどのように推進していくのか伺います。
 次に、静岡県茶業振興条例案を踏まえた振興策について伺います。
 本県における一番茶の一キログラム当たりの荒茶平均価格は、平成十二年の三千百三十七円をピークに年々下落傾向にあり、昨年は千九百四十六円と平成に入ってから初めて二千円を下回りました。市場価格の低迷から地元の生産者によれば、過去には一反歩で七十万円から高級茶産地では百万円を超える収入があったものが今日では三十万から四十万円程度と、肥料や農薬代を差し引けば人件費はもちろん採算性は全く合わない状況が続いており、勤めやコンビニのパートのほうがまだましと考えざるを得ない方など将来への希望を見出せないまま離農される方は後を絶たない状況です。
 このように苦境に立つ茶業界ではありますが、お茶は本県を代表する農産物でもあり生産、流通、農村振興などそれぞれの分野にターゲットを絞って県として本腰を入れたより一層の支援策が求められると思います。
 生産面では、近年お茶の飲み方が一層多様化しており本物のお茶として急須で飲むリーフ茶、飲みやすいペットボトル用の中級茶、海外等で人気の抹茶用のてん茶など市場のニーズに合わせそれぞれの個性を生かした対応策が必要だと考えます。また担い手育成の面では、せっかく茶業に参入し引き継ごうとする若者にとって農村は都市部と比べ生活環境のインフラ設備が不十分、子育て支援策も乏しく生活しにくいといった課題が多く指摘されております。農地保全を中心とした従来施策の延長にとどまるのではなく、新たな担い手がやる気を持って茶業に取り組めるよう県庁内の組織の枠組みを乗り越えて農村地域全体の振興や活性化につながる施策を打ち出すことも重要であります。
 そのような中、今議会に提案されている静岡県茶業振興条例案は、今後の茶業の行く末を担う大事な条例であり、関係者に期待をもたらす内容とそれを実行する確かな支援策が必要であると考えます。
 そこで、県はこうしたさまざまな課題を踏まえ今後どのような方針で茶業振興に取り組んでいくのか伺います。
 次に、ICT人材の確保、育成戦略について伺います。
 ICT、情報通信に関する技術の分野も含め第四次産業革命と呼ばれる大きな変革が社会全体で急速に進行しています。国が二〇一八年に策定した統合イノベーション戦略におきましても、世界に先駆けた官民データ連携基盤の整備やオープンサイエンスといったAI、データ活用の必要性がうたわれております。一方で経済産業省のまとめによりますと、人口減少に伴い人材供給力が低下するもののICTに関する市場規模は年々拡大すると見込まれており、その結果ICT人材不足は今後ますます深刻化し二〇三〇年には全国で約五十九万人が不足すると予想されるなど、今後全国的にICT人材の争奪戦になることが予想されております。
 本県産業に目を向けますと、本県は自動車産業を初めとした全国屈指のものづくり県であり製造業中心の産業構造であります。この製造業の成長なくして本県経済の発展はないのだと考えます。本県産業が厳しい競争を勝ち抜き、さらなる成長をなし遂げていくためにはAI、IoTなどを活用した新製品の開発や新たなイノベーションの創出が不可欠であり、そのためのICT人材の確保、育成は急務だと考えます。
 昨年九月定例会におきまして、我が会派の河原崎議員の代表質問でICT人材の確保、育成の取り組みについてただしたところ、県から、協議会を立ち上げ具体的に方策を検討していくとの御答弁をいただき、その後県が九月補正予算に計上したICT戦略策定に関する予算を我が会派としても賛成させていただいたところであります。
 本県のICT人材の確保、育成は待ったなしの状況でありスピード感を持った対応が必要と思われますが、その後どのような戦略を立て来年度に向けどのように施策を進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、社会健康医学の推進について伺います。
 この時期、地元でシニアクラブの会にお邪魔する機会も多くその際や昨年の敬老会でも米寿や白寿、百寿に加えお茶の茶寿――百八歳――の方を祝う会場もあり本格的な人生百年時代を迎えたことを実感いたします。ただ皆様からお話を伺うと当然のことですが、元気で長生きしたいという方ばかりで健康な上で生き生きとした生活が送られる長寿社会の構築が期待されるところだと思います。
 本県は、これまで男女ともに全国トップクラスの健康長寿県と言われてまいりましたが、厚生労働省の推計では二〇一六年の静岡県の健康寿命は男性が六位、女性が十三位となり二〇一〇年の男性二位、女性一位と比べると他の都道府県の積極的な施策展開もあってか相対的な地位は徐々に低下しております。県ではこれまでもふじ三三プログラムなどさまざまな健康増進施策などを行ってきておりますが、県民の健康寿命のさらなる延伸のためには健康長寿を支える要因を科学的に分析しより効果的に施策を展開していく必要があると考えます。
 知事は、昨年二月定例会におきまして社会健康医学の取り組みを推進するため県立総合病院のリサーチサポートセンターを活用して研究に着手するとともに、研究を長期的、継続的に推進し研究成果を医療現場や健康づくり施策に還元できる人材を育成するため将来的に大学院大学の設置を目指すと答弁をされました。また本庶佑京都大学特別教授を委員長とする有識者会議におきまして、このたび大学院大学の基本理念や養成する人材像などを記載した基本構想案を取りまとめ、あわせて本庶委員長から「速やかに大学院大学を設置すべき」との意見書が提出されたと聞いております。さらにこの意見書に応える形で今議会の冒頭、開会日に知事は二年後となる二〇二一年四月の開学を目指し着実に準備を進めていくと表明されました。
 そこで、まず今年度からリサーチサポートセンターにおいて着手している社会健康医学の研究の取り組み状況と今後県民へどのように研究成果を還元していくのか伺います。あわせて大学院大学の設置に向け県として現在どのような検討が行われ、今後どのような方針で進めていくのか、またその設置による本県への波及効果をどのように考えているのか、県の所見を伺います。
 次に、県立学校の老朽化対策について伺います。
 本県の学校施設は、現在一九六〇年代から七〇年代に建設された築後四十年を超える建物が全体の四割以上を占め多くの学校で老朽化が深刻な課題となっております。校舎の老朽化により学校現場では外壁や屋上からの雨漏りなど教育環境上さまざまなふぐあいが生じている状況で、私が以前地元の県立掛川工業高校を視察した際もその老朽化の深刻さを感じたものでありました。また昨年の台風二十四号では特に西部地域の学校施設において劣化した屋根の崩落など多くの被害が発生しており、教育環境上、安全管理上の観点から学校施設の老朽化対策は喫緊の課題となっております。
 このような中、昨年六月定例会におきまして教育部長から老朽化した校舎については、平成三十年三月策定の学校施設長寿命化整備指針に基づき劣化状況等により建てかえと長寿命化改修に分けて整備を進め、まず今年度は具体的な整備内容を示す学校施設中長期整備計画を策定するとの答弁がありました。私は県立学校では今後も安全・安心な教育環境を提供し続けるためには老朽化校舎の更新に要する全体の事業規模を見通した上で長期的な視点に立ち、計画的に老朽化対策を進めることが重要と考えます。また県立高校第三次長期計画において新構想高校を検討している地区の中には地元調整が続いている高校もありますが、新たな構想の際に現校舎をどう考えていくのか老朽化対策との整合も図る必要もあると考えます。
 そこで、今後県立学校の老朽化対策全体の事業規模をどのように認識しているのか、これを踏まえ今後の対策をどのように進めていくのか、教育委員会の所見を伺います。
 最後に、平成三十一年における県警察の運営重点について伺います。
 平成三十年における刑法犯認知件数は、一万九千六百五十九件と前年と比べて千二百十件少ない十六年連続の減少となりました。また交通事故につきましては件数、死者数、負傷者数がいずれも減少し特に交通事故による死者数は百四人となり昭和二十八年以降の最少をさらに更新いたしました。
 このように、事件事故の発生件数が大きく減少する一方、振り込め詐欺などの特殊詐欺は記録をとり始めてから最多だった一昨年をさらに上回る四百件以上が発生し、被害額は七億円を上回ったと聞いております。また昨年は全国を震撼させた浜松市における看護師拉致・殺害事件や藤枝市における登下校中の小学生襲撃事件など常軌を逸した事件が発生し全体の事件事故件数が大きく減少しているといっても住民の不安は依然として払拭されていないと感じております。
 このような中、本年は平成十七年策定の警察署再編整備計画の最後となる浜松西警察署が開設予定であるほかラグビーワールドカップ二〇一九が、加えて来年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの県内開催が予定されております。大会に関する具体的な交通規制や各種警備対策、とりわけソフトターゲット対策を要するテロ対策、コンピューターの普及により大きな影響が危惧されるサイバーテロ対策など県警察には多くの期待が寄せられているところであります。
 このような状況にあって、県警察では小嶋本部長の強力なリーダーシップのもと各種対策を着実に進めていると承知しておりますが、年頭に当たり警察が抱えるこうした諸課題に対しどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 増田議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、平成三十一年度当初予算編成についてであります。
 平成三十一年度当初予算の編成に当たりましては、人口減少対策を初め県内の各地域に山積する多種多様な課題を踏まえた自民改革会議の皆様からいただきました七つの重点分野、並びにそれにかかわる御意見を真摯に受けとめまして可能な限り予算案に盛り込んだところであります。
 七つの要望項目の一つ目、経済成長の加速と産業人材の確保につきましてはEV、CNF、先端農業プロジェクトに加えマリンバイオテクノロジーを活用した次世代型産業の創出に本格的に取り組むほか、経営力向上に取り組む中小企業への支援の充実などにより経済成長を加速してまいります。産業人材の確保につきましては首都圏等のICTベンチャーと県内企業とのマッチング支援などによるICT人材の確保、育成や県内企業の海外高度人材の採用支援などにより、労働力不足の解消に向けた取り組みを進めてまいります。
 二つ目の要望項目、人口減少社会を克服する子育て支援と医療・福祉の充実でありますが、子育て支援につきましては十月から保育所や幼稚園の通園費等を無償化し利用者負担を軽減いたします。また発達障害のある方、その家族に対する支援体制を充実するため東部、中西部地域への発達障害者支援センターの開設に向けた準備を進めます。
 三つ目の要望項目、豊かな県民の暮らしの実現でありますが、多発する自然災害への対応力を強化するため国の三カ年緊急対策とこれに連携した県単独事業により県土強靱化に集中的に取り組みます。地域の身近な道路、河川の新設改良などを行う県単独生活環境整備事業に前年度と同額の二百八十億円を計上いたします。さらに地域の緊急的な課題に早期に対応するため歩行者の安全対策などの道路整備事業と川底、河床のしゅんせつや森の防潮堤などの河川・治山事業に合わせて五十億円計上いたします。また今後増加が見込まれる外国人県民との共生を図るため、外国人県民への情報提供や相談を一元的に行う多文化共生総合相談ワンストップセンターを設置いたします。
 四つ目の御要望項目、本県の魅力を生かした観光交流の促進については、目前に迫りましたラグビーワールドカップ二〇一九の大会運営やレガシーの創出に取り組むとともに、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向けて万全な準備を進めます。また観光交流を拡大するためデスティネーションキャンペーンの本格展開に加え、世界的なスポーツイベントの開催を契機とする訪日観光客の受け入れ環境の整備などにより世界レベルの観光地域づくりを進めます。
 五つ目の御要望項目、教育・人づくりの充実であります。
 県立学校の施設や産業教育設備の老朽化が進み、その対策が急務となっております。そのため学校の建てかえや長寿命化対策、実業高校の産業教育設備の更新を進めます。また私立高校の保護者負担を軽減するために国の実質無償化施策を一年前倒しをし、年収三百五十万円以上五百九十万円未満の世帯への授業料を減免する制度を創設いたします。
 六つ目の御要望項目、県民の生命財産を守る危機管理体制の強化でありますが、南海トラフ地震の新たな防災対応に万全を期するため国と連携し、本県の地域特性等を踏まえた県独自のガイドラインを策定いたします。また地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づく対策を着実かつ迅速に進めるため市町の地震・津波対策への支援を継続することといたしまして、支援メニューを追加した上で四年間で百億円程度交付いたします。
 七つ目の御要望項目、行財政改革の推進であります。
 歳出のスリム化や歳入確保に取り組み、翌年度以降に活用可能な基金を前年度より六十一億円多い三百七十四億円を確保いたしました。また県債残高につきましては通常債はもとより縮減いたしますが、それに加えまして臨時財政対策債を加えた全体でも縮減するなど健全財政の枠組みを堅持したところでございます。
 平成三十一年度は新しい時代の幕あけとなる節目の年です。将来にわたり静岡県が誰もが努力をすれば人生の夢を実現でき幸せを実感できる地域となるべく、新しいビジョンの取り組みを積極果敢に進めてまいります。
 次に、文化力の拠点整備についてであります。
 文化力の拠点整備につきましては、高階秀爾先生を会長とする有識者会議に基本構想をお定めいただき、それを受けて伊藤滋先生を会長とする専門家会議で基本計画案を取りまとめていただきました。これらに示された目指す姿、コンセプトの実現に向け民間事業者との対話を重ねながら庁内プロジェクトチームにおきまして導入機能や事業手法などの検討を行ったところでございます。
 この検討の中で計画地北側を県民の憩い安らぎの場となる緑地、広場などとして利用し、南側の約一・五ヘクタールを施設計画エリアといたします。そこに図書館棟、民間施設棟、立体駐車場棟を整備することを想定しております。導入機能といたしましては公的機能として全館移転となる県立中央図書館を中心に本県の文化を体験し、新たな創造につなげる新しい知的空間やグローバル人材育成の機能を持つ大学コンソーシアムの拠点を整備することとしております。また民間事業者の提案により本県の食、茶の魅力を発信するレストランやカフェ、にぎわいの創出や拠点の価値を高める新たな機能を導入するとともに、AIやICTなど先端技術を有する企業の集積を図り県有地を最大限に有効活用した施設規模を目指してまいります。
 事業手法につきましては、図書館棟をPFI手法、民間施設棟を定期借地権方式により全体を一括で公募する案を基本としておりますが、民間事業者との対話を通じて最も適切な手法を決定いたしまして施設の整備、管理、運営に民間のアイデアや資金を積極的に活用することにより県の財政負担の軽減並びに良質なサービスの提供を図ってまいります。
 今後、導入する公的機能の詳細な内容、規模また県で想定している事業手法などを民間事業者に御提示申し上げて官民連携の具体的な提案を求め、対話を通じてより魅力的で実現性の高い事業スキームを構築した上で二〇二〇年度の事業者の公募に向けた準備を進めてまいります。
 県としましては、本県の高い文化力を発信し多様な交流やにぎわいを創出する文化力の拠点の早期形成に向け、引き続きスピード感を持って取り組んでまいります。
 次に、マリンバイオ産業の振興についてであります。
 我が日本は、労働力人口の減少やAI、IoTなどの科学技術の著しい進展等により百年に一度とも言われる産業構造の大転換期に直面しております。こうした中、本県経済が力強い成長を持続していくためには地域経済を牽引する新しい産業の創出が不可欠です。
 バイオ関連産業というのは、二〇三〇年の世界市場が百八十兆円と見込まれている産業であります。二十一世紀の基幹産業とも言われております。中でも未知の海洋微生物など多様な資源を活用するマリンバイオテクノロジーは新たなイノベーション創出の源泉として期待されております。本県は水深二千五百メートルの深海を擁する駿河湾など特異な海洋環境を有し、研究フィールドとしてすぐれているばかりでなく医薬品、食品産業、多彩な産業群が集積しておりマリンバイオテクノロジーを活用した先端的な研究開発と産業応用に適した高いポテンシャルを持った地域と言えます。
 このため、県では本年度学識経験者や企業、産業支援機関などの代表者から成るマリンバイオ産業振興ビジョン検討協議会を設置し、研究開発の方向性や産業応用の可能性のある分野について検討を進め、このたび議員御指摘のとおりマリンバイオ産業振興ビジョンを取りまとめたところでございます。来年度はこのビジョンに基づきまして本格的に施策を展開いたします。
 具体的には、大学や研究機関、企業などが参画するフォーラムを立ち上げます。ここをプラットホームとして研究開発の成果を産業の現場につなげてまいります。またプロジェクトの中核拠点として清水マリンビルの中にマリンオープンイノベーションパーク、通称はMaOI―PARCといたしましてこれを設置してまいります。
 さらに、推進機関となる一般財団法人マリンオープンイノベーション機構を設立いたします。そこで海洋微生物のライブラリー化やバイオ情報、海洋の状況、海況情報などのさまざまなデータを収集、分析し大学や研究機関、企業の研究開発の基盤を整備いたします。加えて水産技術研究所、温水利用研究センターなどと機能を分担し実証フィールドを形成するとともに、農業分野のAOI―PARCと海洋分野のMaOI―PARCという先端技術開発拠点が相互に連携し相乗効果を発揮する仕組みを構築いたします。
 これらにより水産業での新たな種苗技術の開発、海洋由来の機能性食品や医薬品の開発、藻類――藻のことでございますが――藻類を活用したバイオ燃料の生成、環境面で注目が集まる水の研究を通した水産資源の保全などを進めてまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みを通じましてマリンバイオテクノロジーを核としたイノベーションによる多彩な産業の振興と創出を図りマリンバイオの世界的な拠点形成を進めてまいります。
 次に、静岡県茶業振興条例案を踏まえた振興策についてであります。
 県は、次世代に茶を継承していくため平成二十六年三月お茶の文化の伝承やお茶の機能による健康づくり、茶産業の発展などを柱とするふじのくに茶の都しずおか憲章を定めました。現在この憲章を県民の皆様と広く共有し茶の都づくりを進めております。
 本議会にお諮りしております静岡県茶業振興条例案もこの憲章の精神にのっとるものであります。本県茶業の健全な発展に寄与することを目的に振興施策の柱として担い手の育成、生産者の経営発展、消費の拡大、輸出の促進といった八項目の考え方とお茶の評価を高め信頼を確保するための取り組みを盛り込む内容となります。
 茶業界が直面する課題を踏まえた具体的な取り組みですが、緑茶の消費動向は家庭を中心とした煎茶で飲むリーフ需要の減少が進む一方でドリンク用原料や海外向けの有機抹茶の需要は伸びております。こうした緑茶に関する需要と生産のミスマッチを解消するため市場ニーズに対応した茶産地の構造改革と国内外の需要の掘り起こしが必要でございます。このため茶産地の構造改革に向けて市町やJAと連携いたしまして茶園の地形等に応じた基盤整備と集積を進めます。具体的には平たん地を中心に大型機械導入による大規模低コスト生産でドリンク需要への対応を図ります。それとともに高級煎茶や有機てん茶の生産に適した中山間地におきましては、有機認証の取得や加工施設の整備等の支援を充実いたします。また新たな品種開発や栽培・加工技術の開発力強化のため茶業研究センターの再整備も進めます。
 次に、需要の掘り起こしのために国内では民間事業者から自由な企画提案を募りまして、静岡茶の新たな利用分野の創出と開拓に挑みます。あわせて輸出促進に向けましては農学分野で世界的に評価の高い米国カリフォルニア大学デービス校の御協力を得まして、静岡茶の機能性を学術的にアピールし健康志向の消費者の購買意欲を高めてまいります。また海外茶業者をインターンとして県内茶生産現場にお招きし静岡茶ファンになっていただきまして、海外から選ばれる静岡茶の輸出拡大につなげてまいります。
 さらに、農村地域全体の活性化につきましては集落の道や農道等の整備に加え農業用ため池の耐震化を早急に進めるとともに、異業種と連携した茶園再生など農山村の活力向上を支援することで地域コミュニティーを強化し、暮らしやすく安心して子育てのできる環境づくりに取り組んでまいります。
 新しい条例――新条例の基本理念は茶業者の自主的な努力を重んじ茶業団体、県、市町といった関係者が連携して茶業振興に取り組むことであります。県としましてはこの精神に基づき、茶業にかかわる方々が将来に希望を持って茶業に取り組んでいただけるように新しい時代に合った茶業振興施策を積極的に推進してまいります。
 次に、社会健康医学の推進についてであります。
 本県では、県民お一人お一人が心身ともに健康で生き生きとした社会生活を送ることができるように、県民総ぐるみの健康づくりとしてふじのくに健康長寿プロジェクトなど展開しているところであります。さらにこうした取り組みに科学的知見を反映させ、より効果的な本県独自の取り組みに発展させていく必要がございます。
 そこで、京都大学高等研究院の本庶佑特別教授の御指導を仰ぎながら県立総合病院リサーチサポートセンターにおきまして社会健康医学研究を先進的に行っている京都大学等から優秀な研究者を招聘し、その研究成果を活用しながら本県をフィールドとして医療ビッグデータ、疫学、ゲノムコホートの三分野の研究に取り組んでおります。例えば医療ビッグデータを活用した研究では健診・医療・介護データを解析し、市町の保健師さんが健康状態の将来予測や疾患リスクに基づく適切な保健指導を行える仕組みを開発しております。こうしたことなどその成果を県民の皆様の健康寿命の延伸につながる施策に取り入れてまいります。
 今後、こうした研究の内容や成果をシンポジウムなどを通しまして県民の皆様に情報提供するとともに、医療や公衆衛生の現場にその成果を還元できるように研究を加速してまいります。
 大学院大学の設置につきましては、県内の医療機関、介護事業所、市町、健康保険組合等から医療・介護データの分析能力や健康施策のマネジメント能力を持った人材が必要であるとの声がございます。また社会健康医学推進委員会におきましても研究成果を県民の皆様に広く還元することが必要である、そのためには科学的な視点を持ち医療・公衆衛生の現場においてリーダーとなり得る人材が重要であるという御意見をいただくなど、現場で活躍する人材の育成が求められております。
 そこで、県では社会健康医学の研究で得られた知見をもとに日々の診療や健康指導におきまして、より効果的な疾病予防対策、健康増進施策を担うことのできる人材を育成する大学院大学の設置に向け委員会の御意見も踏まえて本年度中に基本構想を策定するとともに、文部科学省への設置認可申請に向け準備を進めてまいります。
 大学院大学の設置によりまして、単に医療に従事するだけでなくみずからが現場で感じた課題を解決する手法を学ぶ魅力的な環境があることを県内外にアピールすることで優秀なお医者さんを全国から呼び込み、県内に定着していただく効果も期待されるところであります。
 県としましては、この大学院大学が本県における健康寿命延伸の中核的役割を担い、国際社会にも貢献する知と人材の集積拠点となるよう、二〇二一年四月の開学を目指し全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(渥美泰一君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 駿河湾フェリーの継続運航についてお答えをいたします。
 地域に大きな経済効果をもたらす重要な社会資本である駿河湾フェリーを民間事業者から引き継ぎ運航を継続するためには、航行の安全確保に最優先に取り組むとともに利用者の増加の取り組みを一層強化する必要があります。県と環駿河湾観光交流活性化協議会の三市三町はもとより県民ぐるみ社会総がかりで運航を支えていくことが大変重要であります。
 このため、フェリーを運航する新たな運営組織については構成員の意見が等しく扱われ公平性が保たれる一般社団法人を四月に設立し、私と三市三町の副市長、副町長が理事に就任するとともに事務局についても県と市町から職員を派遣し、法人の管理運営や旅行商品の企画に従事するなど各自治体が責任を持ちつつ一体となって経営を支える体制を構築いたします。
 新法人の運営については、法人設置に係る経費のほか当面の運営資金となる無利子貸付金及び船舶の維持管理に必要な経費について来年度当初予算に計上し、不測の事態が発生した場合でも運航に支障が出ることがないよう対応することとしております。
 また、企業や団体を対象に駿河湾フェリー応援隊を設置し広報活動への協力や広告の出展をお願いするほか、社員旅行等でフェリーを積極的に利用していただくなど地域の支援体制づくりにも取り組んでまいります。
 県といたしましては、駿河湾を渡る県道二二三から海と山の風景の画廊を眺めることができる魅力あふれ、かけがえのない航路を後世に引き継いでいけるよう三市三町を初め地域の皆様、県民の皆様の御協力を得て駿河湾フェリーの存続に全力を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 知事の政治姿勢についてのうち、人口減少対策についてお答えいたします。
 美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略の取り組みにつきましては、計画の進捗度を表すKPIの六六%が目標達成に向け順調に推移しております。
 昨年三月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した本県の将来推計人口は五年前の推計値と比較し人口減少のペースが緩やかとなっており、これまでの取り組みにより一定の成果が上がっているものと考えております。しかしながら議員御指摘のとおり、長期にわたる出生数の減少や東京一極集中の加速化を背景に今後の人口減少は避けられない状況にあり、人口が減少しても快適で安全な社会を創造する適応戦略の重要性は増しております。
 このため、来年度当初予算では進展する革新的技術を地域づくりや産業の生産性向上に積極的に活用する意欲的な取り組みを盛り込んだところであります。具体的には全国に先駆けてオープンデータ化した三次元点群データを利活用し地域防災力の強化、公共交通や物流への自動運転の導入などにつなげてまいります。また中小企業におけるロボットやIoTの導入を支援してまいります。
 広域的な連携に向けましては、既に進められております賀茂地域における事務の共同処理や中部地域の連携中枢都市圏の取り組みに加え、空港を初めとする地域のさまざまな資源やインフラを魅力ある地域づくりに最大限活用していくことが重要であります。来年度はふじのくにフロンティア推進区域等と新たな産業、文化等の拠点が相互に連携、補完し合う広域的なエリア形成を支援するなど、県、市町が一体となって快適で魅力ある地域づくりを推進してまいります。
 我が国が直面する最大の課題である人口減少、超高齢社会の克服に向け来年度が最終年度となる総合戦略の取り組みを総括するとともに、新たな取り組みを積極的に取り入れ人口減少社会への適応戦略にも重点を置いた次期総合戦略の策定を進めてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君)芦川農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 芦川敏洋君登壇)
○農林水産戦略監(芦川敏洋君) 森の防潮堤づくりについてお答えいたします。
 中東遠地域におけるふじのくに森の防潮堤づくりは、現在塩害等により枯れた海岸防災林に対して地元市が実施するかさ上げ盛り土工事と県の治山事業が連携し整備を進めておりますが、津波対策として切れ目なく連続性をもって進めることが必要となります。このため県では枯損していない区間の整備手法についてさまざまなケースを想定して検討を重ね、防災林の一部を残すなど保安林の機能を発揮させながら防潮堤づくりが進められないか国と協議を重ねてきた結果、一定の要件のもと治山事業で整備できる旨の方針が示された次第であります。
 この一定の要件ですが、まずは防災林の一部を帯状に残し海岸からの砂の飛来や潮風を防ぐ機能を維持させることが可能な区間で実施すること、そして県と市の役割分担等を明確にした覚書を結び市が行う工事の法令上の位置づけを明らかにすること、さらに伐採により防災林の機能が失われ苗木が成長するまでに長期間を要するため地元の市が影響を受ける地域住民などの理解を得ることであります。
 全体計画の進捗への影響でありますが、今回の合意が得られた結果レベルワンを超える津波対策を推進している磐田市、袋井市、掛川市におきましては新たに整備計画の策定が可能な区間が六・五キロほどふえ、海岸延長約二十五キロメートルの九割弱の整備が可能になるものと推定しております。また今回の要件に当てはまらない防災林の幅が狭い区間や防災林そのものがない区間におきましては治山事業での整備ができないことから、県、市の関係部局で構成する静岡モデル推進検討会におきましてそれぞれ個別の状況に応じた対応策を検討してまいります。
 県といたしましては、引き続き地元四市との連携を密に図り津波対策の一助となるふじのくに森の防潮堤づくりを切れ目なく連続性をもって進めることで中東遠沿岸域の住民の皆様が安心して暮らせる環境づくりに努めてまいります。
 次に、静岡県水産振興条例案を踏まえた振興策についてであります。
 本議会に提出されることとなっております静岡県水産振興条例案は、本県の水産業及び水産関連業の健全な発展並びに豊かで活力のある漁村地域の構築に寄与することを目的としており、そのため県はより効果的な施策を企画し着実に実施することが求められていると認識しております。特に本県水産業が置かれた厳しい状況を克服するためには、同条例案の基本理念を踏まえて水産に関するあらゆる産業の皆様が連携を図って水産物の高付加価値化や新たな流通体制の構築などの水産振興対策をこれまで以上に進めることが重要となります。あわせて減少が深刻化するサクラエビやシラスウナギなどの資源管理、資源増殖対策、漁業現場を支える海技士の育成といった人材確保対策が必要であり、こうした水産振興、資源管理及び人材確保の三つの施策の柱を一体的に推進していくことで将来への活路につながるものと考えております。
 こうした中で、来年度予算案として本議会にお諮りしている水産イノベーション対策支援推進事業は漁業者や水産加工業者等による新たな事業化アイデアや外食産業などの関連産業からのニーズを実現し収益アップに結びつけるため、業界横断型の総合的相談体制を整備するとともにスタートアップ・マッチング支援制度を創設する新規事業であります。漁業と信用漁業、水産加工業、内水面漁業の四分野の協同組合連合会が連携した支援チームを立ち上げ事業化を促進してまいりますが、こうした取り組みにこれまでの諸施策を結びつけていく形で本県水産業のイノベーションを創出してまいります。
 県といたしましては、新条例の制定を大きな契機と捉え本県水産業界全体の活性化に弾みがつくよう水産業振興を推進してまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線の整備に伴う水資源等の保全についてお答えいたします。
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事につきましては、水資源や自然環境に与える影響が非常に大きいことから事前に県民の皆様が抱く不安や懸念を解消する必要があります。南アルプスの地形や地質は極めて複雑であり工事によるトンネル湧水量等に関する推計には不確実性が高いことから、より大きな湧水量が発生した場合に生じる環境への影響を推定し影響の発生を回避するための対処方針をあらかじめ明示しておく必要があると考えJR東海と対話を続けております。
 先月開催いたしました環境影響評価手続に基づく中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会において、委員から事前にできることは何でもやるということが基本的なリスク管理の姿勢である等の意見が出されましたが、JR東海は工事をやっていく中でリスクを減らしていく等と回答しておりリスク管理方針として納得できるものではありませんでした。
 県といたしましては、JR東海に対処方針をあらかじめ明示しておく必要性を理解していただくまで中央新幹線対策本部を中心に引き続き粘り強く対話を重ねてまいります。その上で示された保全措置を中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会において一つ一つ丁寧に検証してまいります。そして利水者や地域住民の皆様が受忍できるようになった段階で、大井川水系の水資源の保全等に関する協定や県条例に基づく自然環境保全協定を締結することなどにより大井川水系の水資源や自然環境の保全を図ってまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 渡邉文化・観光部長。
       (文化・観光部長 渡邉眞一郎君登壇)
○文化・観光部長(渡邉眞一郎君) ラグビーワールドカップ二〇一九におけるWiFi環境の整備についてお答えいたします。
 ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に当たりましては、交通輸送や警備、案内、誘導など安全・安心の確保に万全を期すことはもとより来訪者の皆様が快適にストレスなく観戦していただけるよう、満足度の高い観戦環境を提供することが重要と考えております。特にエコパスタジアム内でのフリーWiFi環境の整備は、友人や家族との連絡を初めSNSを用いまして大会の熱戦の様子や静岡での思い出などを国内外への発信を可能とするなど観戦客のおもてなしや満足度の向上の観点から不可欠であります。このため県による常設整備、リースや仮設整備等さまざまな手法について検討を行ってきたところであります。
 こうした中、大手通信事業者であるKDDIグループがauユーザー向けWiFi設備をエコパスタジアム内に整備したいとの御意向をお持ちであることがわかりました。そこで同グループと調整した結果、ラグビーワールドカップ等の大規模イベント開催時には誰もが無料で接続できるフリーWiFiとして利用することが可能となりました。そこで機器の設定変更等に必要な経費を本議会にお諮りしているところであります。
 今後、同グループによる機器の整備が終了する五月を目途に県と同グループとの間で協定を締結し、大会開催期間中フリーWiFiが利用できるよう準備を進めてまいります。
 また、このほかに袋井市がJR愛野駅から小笠山総合運動公園入り口までのおもてなしエリアにおいてフリーWiFiを整備、提供することとしており、これにより駅からエコパスタジアムまで連続したフリーWiFiの利用が可能となります。
 県といたしましては、フリーWiFi環境の整備とあわせて多言語標記によるスタジアム内の適切な案内、誘導や通訳ボランティアの配置などを通じまして、誰もが快適にかつ安心して観戦できるよう大会の準備に万全を期してまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) ICT人材の確保、育成戦略についてお答えをいたします。
 AIやIoT、ロボットなどの科学技術が著しく進展し第四次産業革命と呼ばれる大きなイノベーションが発生する中、従来の産業構造が大きく変化しつつあります。こうした変化への対応の鍵を握るのがデータであり、このデータ領域を制することが事業の優劣を決するという状況が生まれつつあります。しかしこの膨大なデータを処理するAIやICT人材が本県に限らず我が国におきまして質量ともに圧倒的に不足しており、その確保、育成が喫緊の課題となっております。
 このため、県では本年度学識経験者やICT企業経営者などから成るふじのくにICT人材育成協議会を立ち上げ、育成する人材をトップレベル人材、各産業の中核的人材、全てのビジネスパーソン、次世代人材の四つの階層に分けそれぞれの階層ごとの人材の確保、育成策を盛り込んだ戦略を策定し、この戦略に基づき来年度重点的に実施する施策につきまして当初予算案に盛り込み本議会にお諮りしているところであります。
 具体的には、トップレベル人材につきましては全国初の試みとなる国内有数のICTベンチャーと高い技術力を持つ県内企業とをマッチングする商談会などを開催することで高度なスキルを持つICT人材を呼び込み、企業への先端技術導入に伴う課題解決や新たなビジネス創出につなげてまいります。また高い付加価値を生み出すICT関連企業の誘致に向けた新たな助成制度を創設するなど、ポテンシャルの高い駅前や自然豊かな中山間地などへの企業立地や人材集積を促してまいります。
 さらに、企業ニーズを踏まえAIやIoTの活用やデータ分析のできる企業の中核的人材を県内大学と連携して育成するほか、小中高生を対象としたプログラミングコンテストの開催など次世代人材の育成も含めた総合的な施策を展開してまいります。
 県といたしましては、大学や産業界、教育界などと連携しながら第四次産業革命がもたらす経済社会の大きな変動に的確に対応できるICT人材の確保、育成にスピード感を持って取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 鈴木教育部長。
       (教育部長 鈴木一吉君登壇)
○教育部長(鈴木一吉君) 県立学校の老朽化対策についてお答えいたします。
 児童生徒が生き生きと学び楽しい学校生活を送るためには、施設の安全・安心の確保とともに快適性を高めることが重要であり、議員御指摘のとおり県立学校の施設状況を考えますと老朽化対策は急務であります。
 県教育委員会では、昨年三月に策定した学校施設長寿命化整備指針に基づき昭和五十六年以前に旧耐震基準で建築された校舎につきましては劣化度等により建てかえや長寿命化改修を判断することとし、昭和五十七年以降の新耐震基準の校舎につきましてはおおむね二十年ごとの計画的な修繕や改修により築八十年程度まで長寿命化を図ることとしております。このうち昭和五十六年以前の校舎は高校と特別支援学校を合わせると百二十五棟ありますことから、経費の平準化を図りながら毎年数棟の建てかえまたは長寿命化改修を行う整備計画を策定することとしております。来年度は老朽化が著しく早急に対策が必要な高等学校四校の校舎の建てかえに着手することとしており、来年度予算案に設計費を計上し本議会にお諮りしているところであります。
 施設は、児童生徒、教職員の安全を確保すると同時に学校の魅力の一つでもあります。県教育委員会といたしましては今後も計画的に県立学校の老朽化の解消を図り教育環境の向上を図ってまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 小嶋警察本部長。
       (警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) 平成三十一年における県警察の運営重点についてお答えいたします。
 県警察では、本年の運営指針を「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」と定め、この指針を実現すべく七つの重点目標、すなわちストーカー、配偶者暴力、児童虐待などの人の生命、身体の安全を脅かす事案への迅速的確な対応の徹底、しずおか関所作戦を中心とした特殊詐欺被害防止対策の推進、地域住民の身近な不安を解消する街頭活動等の推進、子供と高齢者の交通事故防止対策の推進、凶悪な犯罪や暴力団などによる組織的な犯罪の徹底検挙、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会などの大規模イベントに伴うテロ対策の推進、警察力を最大限に発揮するための働き方改革の推進を掲げたところであります。
 特に、児童虐待やストーカー、配偶者暴力など人の生命、身体の安全を脅かす事案についてはその結果が重大となる可能性をはらんでいることに鑑み、未然防止の観点から関係機関とより一層の連携を図るとともに加害者に対し検挙、警告等の必要な措置を早期に講じてまいります。
 特殊詐欺については、御指摘のとおり極めて憂慮すべき状況にありますので迷惑・悪質電話防止装置の普及促進、高齢者みずからの警戒心、防衛心の醸成、現役世代へのアプローチを取り組みの三本柱としたしずおか関所作戦をさらに強力に推進してまいります。
 また、殺人事件など地域の皆様に大きな不安を及ぼす凶悪犯罪に対しては初動捜査を徹底するなど組織を挙げた捜査を推進してまいります。
 さらに年内にはラグビーワールドカップ二〇一九が、来年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されますことから、官民連携の枠組みとして構築したテロ対策ネットワーク静岡の取り組みをより深化させるなど各種対策を一層推進し、テロ等違法行為の未然防止と大会の安全で円滑な進行に万全を期してまいります。
 県警察といたしましては、引き続き県民の皆様と力を合わせて以上のような各種施策を推進しより安全・安心な静岡県の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (四十八番 増田享大君登壇)
○四十八番(増田享大君) それぞれに御答弁をいただきましてありがとうございました。
 要望を一点、再質問を三点させていただきます。
 予算編成に関しましては、我が会派の要望に対しまして本当に丁寧また寛大な御配慮をいただけたと思っております。改めて御礼を申し上げます。
 個々の部分的な予算に関しましては、例えば前年のベースがございますので少しふやしていただくとか百を百五にしてもらうとかという、そういう配慮をいただいてとてもありがたいという思いはございますが改めて全体を見てみますと、政調会で回ってみますと福祉とかそういう要望も多いんですけれども、そういったのはもう非常に手厚く県はやっていただいていっているかと思います。ただ質問の中でお話ししましたとおり、道路要望というのが実は物すごく多い。蓄積してしまっているといいますか、近年の予算規模と対応状況の中でそれが地域の閉塞感につながっているのではないかという思いと一次産業。農業、漁業を中心とした一次産業、本当に困っている状況が続いていて一次産業から離れていってしまうと、そうするとまた地域が減退するというような話であったりとか、あと教育に関する要望、御意見も非常に多かったと印象的に感じております。
 もちろんこの三点。個々の要望に関しましては本当に対応はいただけたと思ってるんですが全体の枠を少しやっぱりふやしていただかないとなかなか住民のニーズには応え切れないぐらい要望が強いのではないかと思いましたので、ぜひそういう方向で次年度以降、担当部局におかれましても当たっていただきたい。予算がこれぐらいしかないからこれぐらいしかできないという考え方ではなくて、住民がこういうニーズがあって地域はこういう状況だから、こういう形で事業また予算をという考え方でぜひ地域の声を真摯に耳を傾けていただきますように、これは要望させていただきます。
 文化力の拠点の整備についての再質問。
 これ、予算規模をどれぐらい見込んでいらっしゃるのか。また企業と相談、連携をしながらという民間の活力を導入しながらということですが、県が幾らといってこういうものをつくるという発注ではなくて協議をしながらのような答弁にも聞こえてしまったんですが、その辺の規模をどれぐらいということと、企業へ入る中での厳しいチェックがそこで県が入れられることができるのかちょっと聞いていて不安になりましたので改めて確認をさせてください。
 マリンバイオにつきましては、すばらしい取り組みだと思っております。これでもただあくまで県がやる、県民のため県内産業のための事業であるべきだと考えますので、新産業創出に向けて県内企業の参入をどうしていくのか、県内の企業また振興にどのような効果を具体的に目指して始めていくのか、そのお考えを改めて確認をさせてください。
 三点目、社会健康医学の推進につきまして大学院大学設置となりますと相当の経費がかかると思われますけれども、こちらもどれぐらいの規模を考えていらっしゃるのか。また大学院大学の設置によって優秀な医師を全国から呼び込んで県内に定着してもらう効果も期待されているというようなお話でしたけれども、けさも新聞に載っていましたけれども本県の懸案である医師不足解消につながる施策としなければならないと思いますが、その点につきましての御所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 渡邉文化・観光部長。
○文化・観光部長(渡邉眞一郎君) 文化力の拠点の再質問についてお答えをいたします。
 予算規模ということお話をいただきましたけれども、企業様からさまざまに今御提案、アイデアを伺っているところでございます。またこれから公募案というのも聞かせていただきたいというふうに思っております。そうしたものの御提案の中でのいろいろなアイデアそれらを全体的に勘案いたしまして全体の規模というものを定めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 また、その御提案は御提案として伺いまして、その実現可能性のあるものが大体出てくるだろう、それを私どもの目で十分に検証いたしまして公共として適正なもの、規模これを判断した上で改めて御提案をしてまいりたいというふうに考えております。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) マリンバイオ産業に関する再質問についてお答えいたします。
 県内企業へどのような形で展開していくかということでございますけれども、このマリンバイオにつきましては専門の先生方の見解では特に水産と食品に大変大きな可能性があるということでございます。したがいましてこの現在産業界を入れた協議会でもこの水産業あるいは食品業界、加工、加工機械のメーカーこういったところにも入っていただいて議論をしております。
 したがいましてこの研究開発の成果は、例えば水産でありますとこの漁業者の皆さん、水産加工業者の皆さんがこういうような付加価値の高い魚の開発あるいは健康な魚の開発こういったところに研究開発の成果を入れてそういった養殖技術といいますか育苗技術といいますか、そういったところに還元していきたいというふうに考えております。
 例えば食品ですと、例えば新しい未知の分子構造を持った微生物資源そういったものが全く新しい可能性を持っているということでありまして、まさに食品業界で新しい食品をつくる加工等やろうと。食品の新しい製品をつくろうとするときにそういった微生物資源を使いまして、さらにおいしい食品とか機能性の高い食品を開発していくということで、まずはとにかくこの研究開発をアカデミアの領域で終わらせないで、必ず産業界におろしていくというような形で進めてまいりたいというふうに考えております。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 社会健康医学につきまして、大学院大学がどれぐらいの規模を見込んでいるのかという質問でございました。
 現在、基本構想案を踏まえまして、具体的に教育課程、教員組織等、大学院大学の運営体制を検討しているところでございまして、あわせて必要とする運営費につきまして詰めていくこととしております。
 ちなみに、分野は異なりますけれども他の大学院大学の例によりますと、浜松市にあります光産業創成大学院大学これが運営費が約十六億円、東京都にあります産業技術大学院大学これが約十億円となっております。
 また、施設整備につきましては現在社会健康医学研究を委託しております県立総合病院のリサーチサポートセンターや隣接いたしまして移転が計画されております環境衛生科学研究所の建物など既存の施設の活用を想定しております。
 もう一点、社会健康医学の取り組みが医師不足の解消につながるのかという御質問でございました。
 みずから現場で感じた課題を研究し現場で生かしていく手法を合わせて学べる環境が県内にあるということは、県内の病院で勤務しております医師等におきまして全国から呼び込めるための他県にはない本県独自の魅力を提供することができると考えております。それが中長期的には静岡県の長年の懸案であります医師不足の解消につながっていくものと考えております。以上でございます。
○議長(渥美泰一君) 増田享大君。
       (四十八番 増田享大君登壇)
○四十八番(増田享大君) 文化力を含めまして近年の県政、大型施設の建設計画が結構続いている感じがしています。もちろん建てて効果が出るものはいいともちろん思いますけれども、その後のランニングコストを含めて財政負担というものはやはりチェック、厳しい目で見ていかないと将来に負担を強いることにもなりますので、そういったランニングコストを含めたコスト管理、厳しいチェックをさらに徹底していただきますように御要望申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(渥美泰一君) これで、増田享大君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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