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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

蓮池 章平 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/29/2020

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 今後の県政運営について
2 県の危機管理について
(1) 危機管理体制の強化
(2) ダブルリスク、トリプルリスクシミュレーション
3 新型コロナウイルス感染症への今後の対応について
(1) 感染症対策
  ア 介護施設における新たな事業継続計画の作成
  イ PCR検査の安全な実施体制の確立
  ウ 新たな生活様式におけるたばこによる健康被害の防止
   対策
(2) 虐待やDVの相談体制
(3) 経済再生に向けた支援
(4) 農水産業への支援
(5) 教育体制の整備
(6) 文化芸術の再開
4 今後の公共事業の取組について
5 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについて
6 ICT関連産業の集積の促進について
7 多胎育児家庭への支援について
8 海洋プラスチックごみ対策について
9 リニア中央新幹線整備について
10 障がいのある児童生徒への支援について
11 有事に備えた警察署の防災力の強化について


○議長(山田 誠君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第八十五号から第百一号までを一括して議題とします。
 ここで、後半グループの議員が退出するため休憩します。

○議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、七十番 蓮池章平君。
       (七十番 蓮池章平君登壇 拍手)
○七十番(蓮池章平君) 私は、公明党静岡県議団を代表して生活者の視点から通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長並びに警察本部長に一括質問方式で伺います。
 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の調査によれば、世界における新型コロナウイルス感染者数は一千万人を超えました。亡くなられた方も五十万人となりました。六月十八日に世界の新規の感染者数が十五万人を超え過去最大となり、WHOはパンデミック――世界的流行は加速、世界は新たな段階に入ったと危機感を募らせています。
 本県でも、八十名の方が感染をされ一名の方が亡くなられました。日夜、医療・介護・福祉・教育などの現場で新型コロナウイルス感染症との闘いに奮闘くださっている皆様に感謝を込め、ありがとうございますと申し上げます。私たちも共に努力を重ね、ウイルスとの闘いに負けず立ち向かっていくことを強く誓いたいと思います。県当局の皆様にも引き続き緊張感とスピード感を持って対応していただくことを求めて、質問に入ります。
 初めに、今後の県政運営について伺います。
 令和二年度は、富国有徳の美しいふじのくにづくり、世界の静岡をワンチームで元気にを基本理念として、世界の静岡を加速化する三つの戦略と静岡県をドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点にする八つの政策を掲げ必要な予算編成と組織改編を行いスタートいたしました。
 しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により状況は一変。感染防止や医療提供体制の整備に早急な対応が求められ、同時に人間の営み全てが見直しを迫られるなどその克服まで新しい生活様式を継続しつつ進まざるを得ない状況となりました。新型コロナウイルスという目に見えない敵との闘いの真っただ中にあります。戦時と言うべき今、平時の戦略や政策では県民の命や生活を守ることはできない。今後の県政運営についてもスピード感や柔軟性が求められ戦略や政策、組織体制をも見直しを迫られています。
 こうした状況を受け、本県でも新型コロナウイルス感染症への緊急的対応としてこれまで短期間に数次にわたる補正予算を編成し国の交付金のほか財政調整基金など多額の財源を投入して幅広く対策に取り組んでいると承知をしています。
 しかしながら今後の県政運営の持続性、柔軟性に着目すると、これまで感染症対策に財政調整用の基金を約百億円活用した結果、令和元年度の決算見込みを反映しても財政調整用の基金の残高は百五十億円程度にまで減少しリーマンショック以降十年程度の水準と比べても極めて低い危機的な水準となっています。もちろん今般の基金の取崩しは新型コロナウイルス感染症対策を確実に実施していくために必要な措置であったと認識をしておりますが、一方で長期戦が予想される感染症対策への継続的な支援のほか自然災害への対応など、いざというときの備えという面では現在の基金残高では大変に心もとなく機動的かつ柔軟な対応のための財源確保は県政運営上重要な課題であります。
 そこで、新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波や自然災害など不測の事態への対応に備え機動的に対応するための財源の確保策について伺います。
 次に、県の危機管理について伺います。
 初めに、危機管理体制の強化についてであります。
 県の危機管理体制については、平成二十年九月議会で公明党静岡県議団から総合的な危機管理体制の強化を求め当時の石川知事が翌年平成二十一年四月から防災局を危機管理局に組織改編、平成二十二年度からは危機管理部が発足し危機管理を統括する危機管理監が常設される体制が整ったわけであります。それ以降危機管理の重要性を共有しながら危機管理の在り方についても議論をしてまいりました。
 平成二十一年春頃から流行した新型インフルエンザの蔓延に伴い、これまでの地震や津波、台風などの自然災害のみならず感染症に対しても県民の命を守る観点から県の危機管理体制や最悪を想定して冷静に判断、行動するための訓練などを求めてまいりました。新型コロナウイルス感染症に対する全国の都道府県知事の対応についてマスコミでもトップリーダーとしての評価について分かれるところですが、誰がトップリーダーであっても的確な対応ができる危機管理のシステムこそが重要と考えています。
 新型コロナウイルス感染症に対するこれまでの対応を総括した上で、危機管理の体制についても感染症、疾病分野の危機管理監の常設など県民の命と生活を守る視点から危機管理体制の強化が必要と考えますが、県の所見を伺います。
 次に、ダブルリスク、トリプルリスクシミュレーションについて伺います。
 「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった」これは国土交通省の東北地方整備局がまとめた「東日本大震災の実体験に基づく災害初動期指揮心得」の冒頭の言葉でございます。本県はこれまで約四十年にわたり地震災害を中心に様々な訓練を行い危機事案に備えてきました。今回の新型コロナウイルスという未知の感染症が流行している中での災害対応という新たな課題に対応し、早急かつしっかりとした備えをしなければなりません。感染症の蔓延時に想定される地震や風水害など危機的な状況が重なって発生した場合のシミュレーションを住民の参加を得て全県下で定期的に実施し、現場の対応力を向上させていく必要があると考えます。
 特に、市町における避難所の運営に関しては国も最重要課題と捉え感染防止に必要な物資のプッシュ型支援の強化を図ることなどを第二次の補正予算に盛り込みました。本県におけるマニュアルや避難所の在り方に関しても、学校体育館を主体としつつもより多くの避難スペースを確保するため学校の空き教室、公民館などの公的施設、ホテルや旅館の借上げなど迅速な見直しの対応が必要であります。
 そこで、こうしたダブルリスクまた場合によってはトリプルリスク、いわゆる複合災害に対する危機管理という新たな課題に対して行政主導の下、県民の意識を高め備えを積極的に進めていくべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症への今後の対応について伺います。
 国立感染症研究所は、百年前に発生しおよそ五億人が感染したとされるスペイン風邪について、一九一八年北半球の春から夏にかけ発生した第一波の致死率は低かったが晩秋に襲った第二波では十倍の致死率に強毒化し翌一九一九年の初めに第三波が襲い日本でも二千三百万人が感染、三十八万人が死亡したと推計をしています。現在の医療水準は極めて高く感染防止対策に加えてワクチンや新薬の開発に世界の英知を集めて取り組んでいますが、万全の備えが必要なことは論をまちません。また今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響は世界経済にも大きな影響が出ており、世界銀行はリーマンショックを上回るマイナス成長と危機感を募らせています。
 以下、今後の対応について項目ごとに伺います。
 初めに、感染症対策のうち介護施設における新たな事業継続計画の作成についてであります。
 残念ながら、幾つかの県の介護施設でクラスターが発生をいたしました。本県では厚生労働省からの連絡事項の徹底や各施設における介護現場での職員の皆様の懸命な対応により、全ての介護施設でクラスターの発生はありませんでした。
 そこで、これまで介護施設の感染症対策がどのように行われたのか、また課題について伺います。
 私たち公明党が介護施設の関係者からヒアリングを行った中では、今後もクラスターを発生させないために努力をするが、万が一クラスターが発生した場合の対応を確実に行うためには事業継続のための指針が必要であるとの声を頂きました。現在整備されている介護施設における事業継続計画――BCP作成支援ツールは地震や豪雨に対する事業継続計画のマニュアルとなっており、また新型インフルエンザに対するマニュアルとしての事業継続計画や対応の手引の作成例がありますがマニュアルの存在が十分に認知をされておりません。新型コロナウイルス感染症に対応した事業継続の指針、マニュアルの整備、周知が必要となっております。
 今後、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、PCR検査の安全な実施体制の確立についてであります。
 今後想定される第二波、第三波の発生においてはこれまで以上の感染拡大を想定し様々な準備を進めるべきで、県下各地域で十分な数のPCR検査ができる体制を構築することが重要であります。東京都においても積極的な集団PCR検査により無症状の陽性患者が数多く判明し、クラスター発生の歯止めに一定の効果を上げています。
 一方で、新型コロナウイルスのPCR検査においては感染の疑いがある方から検体を採取する際に医療従事者が感染するリスクがあることから、医師や看護師、事務の方から不安の声を耳にしています。PCR検査の検査体制の充実に向けては現在各地域で地域外来・検査センターの設置が進められております。このセンターの開設、運用には郡市医師会の協力が不可欠であり、PCR検査に対する医療従事者の不安の解消は急務の課題であります。リスクを最小限に抑えた形での検査体制を県が主導して構築することが求められております。
 そこで、医療従事者が安全にPCR検査を行うためどのような安全対策を講じていくのか、県の取組を伺います。
 次に、新たな生活様式におけるたばこによる健康被害の防止対策について伺います。
 本年四月、日本呼吸器学会が、喫煙は新型コロナウイルス肺炎重症化の最大リスクであり喫煙室は濃厚接触の場、自分自身と家族、同僚を守るためこの機会に禁煙することを勧めると発表いたしました。健康増進法の改正により今年度から飲食店や事業所等多くの方が利用する施設は原則屋内禁煙となり、喫煙標識の掲示が義務化をされました。また昨年度施行された静岡県受動喫煙防止条例により飲食店においては禁煙の場合も標識掲示が義務づけられ、望まない受動喫煙を心配することなく安心してお店選びができる環境整備が進んでいます。
 そこで、法律や条例に基づく標識掲示など受動喫煙防止のための環境整備の状況について伺うとともに、新型コロナウイルス感染症対策の新たな生活様式の中で受動喫煙防止や禁煙支援などたばこによる健康被害の防止対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、虐待やDVの相談体制についてであります。
 災害や戦争などで児童や女性に対する暴力や虐待が多発することが問題となっています。ユニセフは四月に、ウイルスを封じ込める努力は世界の人々の健康を守るために不可欠であるが、同時に子供たちを虐待やジェンダーに基づく暴力、性的搾取などの暴力のリスクにさらすことであると警鐘を鳴らしました。
 全国的に児童虐待の相談件数が増えている一方で、DVの相談件数は全国では増加傾向にあるものの県内では横ばい状態にあります。専門家によれば、DV被害者は自粛生活のためこれまで以上に加害者と生活を共にする時間が多くなり声を発することができない環境にあり潜在化が心配される、また児童虐待も同様で今後学校再開とともに鬱症状や自殺に結びつく心配があるとのことであります。
 こうした事態を受け、国では二十四時間体制でDV被害者のための相談プラスを開設、本県でも性暴力被害者支援センターの体制強化、自殺予防のためのLINEによる若者の相談窓口の拡充などを行っていることは承知をしておりますが、さらに虐待やDVに悩む人が気楽に相談できる体制の充実を図る必要があると考えます。県の所見を伺いたいと思います。
 次に、経済再生に向けた支援についてであります。
 移動制限やイベントの中止、営業自粛等によりサービス業を中心に消費が大きく落ち込むとともに、サプライチェーンの寸断により生産活動にも大きな支障が生じています。売上げが減少した多くの企業は事業の継続に不安を抱えており、雇用を守り経済活動を再生させるため引き続き資金繰りや雇用の維持確保に向けた支援のさらなる充実が必要であります。また地域の活性化に重要な役割を持つ商店街も窮地に立たされており、感染症拡大防止や再起を図るための支援が求められています。
 緊急事態宣言の全面解除等を踏まえ県内の商業施設、飲食店、観光施設等が徐々に営業を再開し、また県内企業の多くが当面在宅勤務や時差出勤等の対応を続けながら企業活動の正常化に向けて動き出し、一部の企業ではこの危機を乗り越えるため新たな事業展開に挑戦する動きなどが見られます。こうした企業の皆様が前を向き希望を持って再生していけるよう県として思い切った支援策が必要であります。
 岡山県では、国の持続化給付金だけでは足りないという事業者の声を踏まえ県独自の特別支援金の創設を決めました。また神奈川県では商店街等再起支援事業費補助金制度を創設し、商店街等の感染症拡大防止や再起を図るための事業への支援に取り組んでいます。
 こうした他県の事例も踏まえ、今後感染症防止対策と社会経済活動の両立に向け経済再生に取り組む企業、事業者への支援策をさらに強化するほか商店街等への支援に取り組むべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、農水産業への支援についてであります。
 本県はガーベラや菊、バラなどの花卉産業が盛んで、卒業や入学、送別会などのイベントが多い三月から四月は一年の中でも需要が高い時期でありますが休校やイベントの自粛により販路が閉ざされ生産者は大変な局面に立たされております。また家庭内で食事をする機会が増えたためスーパーなどの販売は促進された一方で、休校に伴う学校給食の中止により野菜や牛乳などが大量に余り廃棄を余儀なくされたり、観光や外食産業の休業、結婚式や法事などの延期で牛肉やメロンなど高単価な品目の需要が大きく落ち込みました。また水産業では高級魚や養殖魚の売上げが大きく落ち込み在庫が滞留するなど厳しい経営状況になっていると聞いております。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、農水産物の需要の先行きの不透明さは払拭をされておりません。こうした状況を打破するため国では花いっぱいプロジェクトを展開し、花卉産業では五月を母の日ではなく母の月として販路拡大を試み反響を呼びました。また市町では学校給食用の野菜や牛乳を販売する市場を開設するなど様々な取組が展開をされております。
 先日も、山梨県の長崎知事が沼津内浦漁協の漁協直営のいけすやに来ていただき干物など海の幸をたくさん購入をいただきました。バイ・シズオカの取組をより一層進めていただくなど、豊かな本県の農水産物を多くの方に利用していただき困難を共に乗り越えていきたいと思います。
 農水産業への支援について、県の取組を伺います。
 次に、教育体制の整備についてであります。
 約三か月の休校が明け子供たちも学校に戻ってきましたが、学校生活もこれまでとは一変した様相であります。三密を避けることやマスクをしながらの授業、まずは学校生活に必要な生活のリズムを立て直すことが必要です。
 そこでまず、児童生徒の休校による学力の影響を把握した上でこの三か月間の授業の遅れをどのように取り戻していくのか伺います。
 県下の一部の市町では既に夏休みや冬休みの短縮を打ち出していますが、県立学校の方針についてはどうでしょうか。特に今年は猛暑が予想される中、マスクを着用しての登下校や学校生活になることを想定すると熱中症に対する備えが求められます。エアコンの稼働については文部科学省の学校環境衛生基準に基づいて運用されておりますが、コロナ対策としての定期的な換気が必要で室内の温度の変化が生じることになります。
 そこで、この夏はエアコンの運用に関しては現場での柔軟かつ臨機応変な運用基準を示すべきと考えますが、学校における学習環境の確保について伺います。
 また、四月の補正予算で県立学校におけるトイレの洋式化が進みます。それに併せて衛生面の配慮から手洗い用の水道蛇口を自動水栓に取り替えていくことも重要な課題と考えますが、所見を伺います。
 今後、新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波による再度の休校が想定されますが、国は学びの場の保障を加速させるためGIGAスクール構想を前倒しで実現するための補正予算を組みました。児童生徒に一人一台端末の整備、障害のある児童生徒のための支援装置の整備、学校ネットワーク環境整備、家庭でのオンライン環境の整備などについて市町からの申請を県が取りまとめて国へ要望するスキームとなっております。
 そこで、県下市町における整備運用状況を伺うとともに、ランニングコストや保守、通信料など整備後の課題について、県の所見を伺います。
 次に、文化芸術の再開についてであります。
 文化芸術分野でもかつてないほどの深刻な影響が出ており、大規模な舞台公演やコンサートのみならず小さな劇場なども密を避けるため自粛せざるを得ない状況に追い込まれています。アーティストだけではなく照明や音響などの裏方、スタッフ部門の多くはフリーランスで収入の道が絶たれ死活問題となっています。終息の見えていない状況の中で支援の手が届かなければ文化芸術に携わる個人、団体がいつ息絶えてもおかしくなく、一度消滅してしまえば取り戻すことは容易なことではありません。
 国は、フリーランスを含む個人事業主に対して最大百万円を給付する持続化給付金や第二次補正予算ではフリーランスの芸術家やスタッフなどの個人に対し活動継続に向けて稽古場の確保や研修資料の購入、制作準備などに最大二十万円を支給する支援策を打ち出しております。芸術家や音楽家などの中には、こうした支援制度の手続に不慣れで事業の再開に不安を持つ方もいることから、きめ細かい対応や悩みに寄り添うことが重要であります。
 感染症の蔓延で人々の心がすさんでいく中、心を癒やし喜びと希望を与える文化芸術の役割は極めて大きいものがあります。芸術家やスタッフも生の歓声や拍手などを送る観客の存在があってこそやりがいがあり文化芸術の持続、発展につながります。
 しかし、今後の対応として野外公演や屋内での入場の人数制限など密を避け感染防止に努めることで採算が取れる状況には到底至りません。
 県として、芸術家やスタッフの活動再開に向けてどのような支援をしていくのか伺います。
 次に、今後の公共事業の取組について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大が日本経済に与える影響は計り知れないものがあり、六月八日に発表された二〇二〇年一月から三月期の国内総生産GDPは〇・六%減となりました。このうちGDPの半分を占める個人消費は〇・八%減、またこれまで底堅かった公共投資も〇・六%減り五・四半期ぶりのマイナスとなるなど今後の景気動向や経済の先行きは決して楽観できる状態ではありません。
 緊急事態宣言が解除され新型コロナウイルスに対する感染防止と経済活動を両立させていく段階となる中で、経済活動の大きな下支えとなっている公共事業は重要性を増すとともに新しい生活様式に対応した取組が必要になっていくと考えます。
 そこで、新型コロナウイルス感染症に対して県が行った対策を踏まえ今後の公共事業の取組について伺います。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 本年は多くの関係者や県民が心を躍らせ待ち望んでいた本県で初めて開催される東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルス感染症の拡大により国際オリンピック委員会の臨時理事会において一年程度延期する新たな開催日程が承認されたところであります。既に出場が内定していたアスリートにとっても、現在各競技の開催日程が具体的に示されていないことや選考の見直しが検討されていることから複雑な思いを抱いて日々を送っている選手もおり、これまでの努力や今後のモチベーションの維持などについて大変心配されております。トップアスリートの多くが思うようなトレーニングを積めない状況で不安を抱えながら来年に向けて準備を進めていることと推察されますが、一日でも早く全世界のアスリートと全力で競技する日を楽しみにしているとの前向きな声も聞こえてきます。
 本県ゆかりの選手には、来年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けての心身のコンディションの調整や新たな選考試合の準備など様々な課題に対して積極的な支援が必要と考えます。
 そこで、多くの人に夢と希望を与えるオリンピック・パラリンピックアスリートへの支援を継続して行うべきと考えますが、県の支援策について伺います。
 次に、ICT関連産業の集積の促進について伺います。
 新しい生活様式への切り替えが求められる中、三密を回避するためのテレワークやテレビ会議、オンライン診療、オンライン授業などデジタル対応の重要性が改めて再認識されたところであります。
 一方で、各種給付金、休業補償などネット申請のトラブルや感染症の抑え込みにICTを活用している諸外国と比べて日本におけるICT分野の遅れが指摘をされました。その鍵となるICT、新しいテクノロジーは今後もさらに技術革新のスピードを上げながら生産性の向上や人口減少社会の課題解決に直結していくものであります。
 本県の新産業の集積の取組については医療、食品、海洋、光、CNFなどの分野で進めておりますが、ICT関連産業についてはこれまで東京一極集中が顕著で地方への誘致のハードルは非常に高く本県もICT関連産業の集積が少ないのが現状であります。
 そのような中、トヨタ自動車が裾野市に実証都市「コネクティッド・シティ」構想を発表し世界から注目を浴びています。本年三月には通信最大手のNTTとの業務提携を発表いたしました。今後静岡県の魅力の高まりと最先端のテクノロジーを持つ企業の進出が期待されます。この魅力的なプロジェクトの鍵もICTであります。
 地域発展や雇用の創出、さらには人口流出の歯止めにつながる可能性の高いICT関連産業の集積に積極的に取り組むべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、多胎育児家庭への支援について伺います。
 日本では母親の百人に一人が双子や三つ子ら多胎児を出産をしております。多胎児出産は母体と胎児へのリスクが高い上、産後も過酷な育児となりますが支援が十分に行き届いているとは言えない状況にあります。一昨年愛知県で三つ子の母親が生後十一か月の次男を死なせる事故が起きたことをきっかけに支援の在り方を問う声が高まりました。
 昨年の秋、認定NPO法人フローレンスが多胎児の親約千六百人に行ったアンケートでも育児中につらいと感じた場面として外出、移動が困難なときが八九・一%、自身の睡眠不足、体調不良のときが七七・三%と多く、求めたい必要なサポートとして家事、育児の人手が六八%に上りました。また九三・二%の人が気持ちがふさぎ込んだり子供に対してネガティブな感情を持ったりしたことがあると回答、完全にノイローゼで毎日泣いていた、二人の命を守らなければという重圧がのしかかるという声もありました。
 国も本年度から、孤立しやすく産前産後で育児等の負担が多い多胎児妊産婦を支援するため産前産後サポート事業に支援のためのメニューを創設し多胎妊産婦の負担感、孤立感の軽減に乗り出しました。
 佐賀県では、平成二十九年度から多胎育児家庭のタクシー料金の一部助成事業を開始するとともに、本年度からは県が主体となり多胎児家庭を支援するためヘルパーの派遣や多胎育児経験者――ピアサポーターによる相談事業のほか多胎児の育児情報を掲載したサポートブックの配付などをスタートをさせました。国の多胎妊産婦支援事業の主体は市町でありますが、人口の少ない自治体では多胎児の数が少ない場合制度化することが困難なこともあり地域での格差が生じています。
 そこで、県として多胎育児家庭への支援をさらに充実させるため積極的な支援の姿勢を示すことが求められていると考えますが所見を伺います。
 次に、海洋プラスチックごみ対策について伺います。
 新型コロナウイルス感染症は、人間が経済を優先させ自然を大切にしてこなかったことに対する自然からの仕返しであると指摘する識者がおります。感染症の蔓延により移動や経済活動が自粛され、世界の主要都市の空が青く澄みわたりPM二・五の発生も極めて少なくなっていると述べています。
 一方で、弁当の容器やマスク、防護服、手袋などプラスチック製品の製造が急増、家庭からのプラスチックごみの排出量も増加し、その結果海に流れ込むプラスチックごみの増加が懸念されており世界的なプラスチックごみ削減の取組の後退が心配されるところであります。
 プラスチックごみによる海洋汚染が世界的な問題になって以降、中国では廃プラスチックの輸入規制、タイではレジ袋の有料化や使い捨てプラスチックの使用禁止を打ち出しており、日本でも令和元年五月三十一日にプラスチック資源循環戦略を策定しレジ袋の有料化の方針を発表するなどプラスチックごみの削減に動き出してきました。本県でも昨年度ごみゼロの日――五月三十日に海洋プラスチックごみ防止6R県民運動をスタートし、県民挙げた削減運動を展開し始めました。
 県として、これまで以上に海洋プラスチックごみの削減に取り組んでいくべきと考えますが、これまでの取組状況と今年度の取組について伺います。
 次に、リニア中央新幹線整備について伺います。
 今年度に入り国土交通省が設置した有識者会議がようやく動き出し、四月二十七日に第一回の会議が開催されて以来既に三回の有識者会議が開催されました。今月二日に行われた第三回の会議ではJR東海からトンネル掘削中に突発的に発生する大量の湧水については流量予測には反映できないといった説明があるなど、各委員の指摘によりこれまで県の専門部会では不十分であったデータの提示や説明について少しずつ行われるようになり、JR東海の対応の変化でようやく科学的根拠に基づいた議論が進展していくことに期待が持てるようになりました。
 一方で、具体的な根拠を示さずにリニア中央新幹線整備に伴い大井川中下流域の水利用に影響を及ぼすことはないと主張するなど一方的な主張を繰り返すJR東海に対して各委員から、地元の皆様に理解していただくために分かりやすい説明をすること、大井川流域の住民が何が不安なのかということをしっかり理解していく必要がある等の厳しい意見があったと伺っています。また先週二十六日の金曜日には知事とJR東海の金子社長との会談が行われ金子社長からヤード工事を開始することについて理解を求める発言があった一方、工事により失われる水の全量を大井川に戻すことについては明言がありませんでした。
 こうしたJR東海の姿勢を見ると、まだまだ大井川流域の住民がリニア中央新幹線整備に対して抱く不安感を理解できていないのではないかと感じています。リニア中央新幹線整備に当たっては大井川の水資源と南アルプスの自然環境の保全は大前提であり、JR東海は事業者としてその整備により影響を受ける大井川流域の住民の方々の気持ちを理解し納得する説明をすることが不可欠であります。県も流域住民や利水関係者の思いに十分に寄り添い、その思いや不安をきちんと伝える必要があります。
 そこで、リニア中央新幹線整備に関して大井川流域の住民の皆様は何に不安を感じ何を求めているとお考えなのか、改めて知事の所見を伺います。
 次に、障害のある児童生徒への支援についてであります。
 今では当たり前のように使われる言葉の一つにノーマライゼーションという言葉があります。この言葉はデンマークで一九五一年に結成された知的障害児親の会が掲げた、一つ千五百人収容する大型施設を二十人から三十人の小規模な施設にすること、二つ目は社会から分離されていた施設を親や保護者の生活地域に造ること、三つ目はほかの子供と同じように教育を受ける機会をつくること、この三つのスローガンに共感したデンマーク社会省のバンク・ミケルセンが親たちの願いを象徴し表現する言葉としてノーマライゼーションと名づけました。
 日本では一九八一年国際障害者年の制定をきっかけに広く知られるようになりましたが、かつてある保護者の方からこんなお話を伺いました。知的に遅れのない肢体不自由の子供を地域の学校で学ばせたいと相談に行ったところ地元の教育委員会で、ここはあなたの来るところではない、学校は勉強するところ、あなたの子供が来たら学校崩壊になると言われたそうであります。最終的には学校側の努力で保護者の付添いを条件に地域の普通学級で学ぶことができたそうであります。
 教育の分野においても、一人一人丁寧にみんなで一緒に学ぶインクルーシブ教育や子供の困難さに応じた個別の配慮、合理的配慮により様々な変化を遂げています。障害のある児童生徒と共に学んだ子供たちは障害のある人と共に暮らすことを特別なことではなく当たり前のこととして受け入れており、身をもって経験したことで大人になってからも障害のある人への支援を普通のこととして行動することができています。
 県下各市町の教育現場においても、普通学級に肢体不自由の児童生徒を積極的に受け入れる学校が見られる一方で、肢体不自由によって教室の移動や校外学習等において介助が必要な児童生徒のために保護者が付き添わなければならない場合があり、保護者からは付添いなしでも学校生活が送れるような体制づくりを整備してほしいという声が上がっています。
 本県では、学校教育におけるインクルーシブ教育の推進に力を入れていると承知をしておりますが、このような現状をどのように捉え今後どのようにインクルーシブ教育を推進していくのか教育長に伺います。
 最後に、有事に備えた警察署の防災力の強化について伺います。
 本県警察は、地震や水害など自然災害の際には災害現場の最前線で県民の命の防波堤として活躍が期待をされています。また災害時や有事の際には警察署や交番が県民の命を守る最前線の拠点であり、想定される南海トラフの巨大地震に備えて津波浸水区域にある警察署や交番の移転整備を行ってきました。
 一方で、最近毎年のように多発する豪雨災害に備えるためハザードマップが整備され事前防災の観点から県民に活用を呼びかけています。私の地元の沼津警察署も狩野川の護岸に隣接しハザードマップの浸水想定区域に位置しています。いざというときの最前線の基地である警察署が機能を発揮するためにも、今後建て替え時には洪水ハザードマップも十分考慮して整備する必要があります。直ちに建て替えや移転は財政的にも難しい状況の中で、いざというときに備えて施設の防災力の強化を含めた対応が必要と考えます。
 そこで、ハザードマップ浸水想定区域に位置する警察署の現状及び水害対応への取組状況、また特に浸水想定区域に位置する警察署では有事に備えどのような対応方針でいるのか警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 蓮池議員にお答えいたします。
 県の危機管理についてのうち、危機管理体制の強化についてであります。
 命を守る危機管理は本県の最重要課題の一つであります。これまでも県民の命及び財産を守るため充実に努めてまいりました。防疫は防衛、防災と並ぶ国防の三本柱の一つであり、また危機管理の重要な柱の一つであります。今回の新型コロナウイルス感染症に対しましても、私の下に静岡県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置いたしまして危機管理監を中心に全庁を挙げて対応に当たっております。
 危機管理事案が発生した場合、全庁における対応を総括するに当たりましてはトップダウンによる指揮命令系統を確保し速やかに初動体制を確立することが要諦であります。緊急事態におきましては可能な限り簡素で効率的な体制が望ましいと考えております。このため引き続き危機管理監が県政の各分野における専門性を持つ各部局を総括し、様々な危機事案に迅速かつ的確に対応してまいります。
 一方、今回の事案におきましては感染症拡大の影響は健康被害にとどまらず社会経済活動のあらゆる面に深刻な被害を及ぼすことが明らかとなりましたことから、改めて市町、医療機関、医師会等をはじめとする関係機関が総がかりで対応に当たる重要性を認識したところであります。
 こうしたことから、今回の対応全般について検証を行いました上で感染症の対応に当たる組織体制の強化、例えば平時におきましては感染症発生時における行動計画の策定あるいは関係機関との連携に向けた調整などを行い、併せて有事における迅速な初動体制の確立や行動計画の実践を担う組織体制について検討をしてまいります。
 次に、ICT関連産業の集積の促進についてであります。
 今回の新型コロナウイルス感染症がもたらした危機は我が国のデジタル対応の遅れを顕在化させました。給付金や助成金など困窮する人々に対し迅速に支援を届けられない状況が発生し、デジタル化の促進が生産性や利便性の向上にとどまらず人々の生活や健康、命を守ることにつながることが明らかとなりました。
 一方で、緊急事態宣言下で外出自制が求められた結果テレワークなどが急速に普及し、情報通信の基盤が整っていれば東京など大都市でなくても仕事が可能であることが裏づけられました。またオンラインによる会議などは経済活動のあらゆる領域で全国各地を結んで一気に浸透しているところであります。
 ウイズコロナ、アフターコロナの時代はこうしたデジタル化の潮流をこれまで以上に加速させることは疑いありません。それは東京一極集中を是正し新しい地方の時代の到来を強く実感させるものでもあります。
 本県は温暖な気候と豊かな自然に恵まれ多彩な産業が集積しております。加えてほぼ全世帯をカバーするブロードバンド網が整えられていることなどデジタル化を支える基盤が整備され、ICT関連産業の集積に向けてあらゆるテクノロジーとの融合が可能な高いポテンシャルを有しております。こうしたポテンシャルを生かし、県では新型コロナウイルス危機を転換点として官民を挙げて本県のデジタル実装を力強く推進しICT関連産業の集積を促進いたします。
 具体的には、昨年度グランシップで開催した首都圏のICTスタートアップ等と県内企業等を結ぶ商談会TECH BEAT Shizuokaを今年度は七月十五日と十六日の両日にオンラインで開催いたします。さらに秋口にかけまして医療版、農業版、分野別TECH BEATもオンラインで開催してまいります。
 こうした商談の成立などを契機にしてICTスタートアップなどに本県へ進出していただくため拠点の賃借料、設備費等々を支援する助成制度を整え企業誘致を進めます。加えてICT技術が不可欠な次世代モビリティーやスマート農業などの実証フィールドの形成や産学官の研究開発に対する支援を行い大学、産業界、教育界等と連携したAI・ICT高度人材の育成にも努めてまいります。これらによってICT関連産業の集積に向けた基盤づくりにも取り組みます。
 県といたしましては、ICT関連産業の集積を着実に進めアフターコロナを見据えたより強靱な産業構造への転換を促進し、経済社会の一層の発展と成長分野を支える雇用の創出などにつなげてまいります
 次に、リニア中央新幹線整備についてであります。
 ユネスコエコパークに登録されている南アルプスは豊かな自然環境が保全される世界の宝であります。この南アルプスを源流とする大井川の水は流域六十二万人の生活用水であります。水田と茶園を主体とした一万二千ヘクタールの農地を潤す農業用水であります。地下水利用を含め約四百五十の事業所を支える工業用水でもあります。加えて水系全体の年間総発電量は一般家庭の約八十万世帯分に相当する発電用水でもあります。
 リニアは国策であるというのはそのとおりであります。しかし南アルプスを世界の宝物として守り抜くということも環境省の担当で国策であります。また七千四百五十ヘクタールの農地を十九年かけて五百七十億円強の公金を投入して平成二十九年に完成いたしましたが、これは農水省の国策であります。それから六十二万人の水道を供給するというのは厚労省の国策であります。また地下水、様々な工業用水を提供し発電を行うのは経産省の国策であります。全て、どの国策が重要というものでもなく全ての国策が重要でありましてリニアだけを国策とするのは国交省鉄道局並びにJR東海の思い上がりであるというふうに思っております。
 過去には、地域住民の皆様によって河川流量の回復に向けた水返せ運動が展開されるなど長い歴史の中で関係者の血のにじむ努力の積み重ねにより大井川の現在の水の利用が成り立っておりまして、これが命の水と言われるゆえんであります。リニア中央新幹線整備に伴い、流域の住民の皆様の生活や産業の発展に欠かせない大切な資源であるこの大井川の水に悪影響が生じることは決して許されてはなりません。
 私はこれまで流域の多くの方々の御意見に耳を傾けてまいりました。流域の首長の皆様方との意見交換をはじめ地元市町議会や商工会議所、商工会、自治会の代表の皆様が知事室に足をお運びになられましてリニア工事による水問題では一歩も譲らぬように要請を頂きました。それとともに力強い励ましの言葉も頂いております。このような流域の皆様の思いにつきましては、先週二十六日にJR東海の金子社長にお会いして私からしっかりと和やかな雰囲気の中でお伝えをしたところであります。
 大井川流域住民の皆様は、トンネル工事に伴って大井川の水が減ったり地下水に影響が出れば日常生活に支障を来し、産業活動が滞ることで将来の暮らしがどうなるか分からないという不安を抱かれています。何かあったときの補償が欲しいということではありません。また工事により土地の形状、水量、水質が変化すれば南アルプスの自然環境や生態系は大打撃を受けることになります。失われた自然は取り返すことができないと懸念されており、私も同じように懸念をしているのであります。
 過去には、東海道本線丹那トンネルの工事におきまして芦ノ湖三杯分にも相当する予想を超える多量の湧水が発生し、周辺の水源がかれたことによりまして丹那盆地の住民の皆様の生活に甚大な影響を及ぼし稲作やワサビ栽培を続けることができなくなりました。最近では新東名高速道路の粟ヶ岳トンネルの工事におきまして周辺で沢がれが起こり、それまで豊富にあった簡易水道の水源が枯渇した例もございます。掘ってしまった後では一度失った水は元には戻せないということであります。
 住民の皆様が真に求めるのは、大井川の水に影響が出た後に何かをすることではなくて影響が出ないようにすることであります。そのためにJR東海には明確な根拠を持った説明、また全国新幹線鉄道整備法――全幹法というのがございますが、これは国交省が事業者に認可を与えることを明記した法律でありますけれども同時に事業者が工事を中止したり延期したり変更したりすることをも可能とし、それを国交省が認めるという案文になっております。
 JR東海には明確な根拠を持った御説明をいただき、またリスク管理も含めた影響回避のための確実な体制が目下求められていると存じます。しかしJR東海さんのこれまでの説明は、国交省が設置した有識者会議の委員からも議員御指摘のとおり、専門的過ぎて専門家でも分からない、独りよがりの説明であるなどと指摘される内容となっております。このような状況で大井川の河川流量や中下流域の地下水への影響はないなどと不確実なものを確定的に結論づけられても、到底科学的に納得できるものではありません。
 私は、流域の皆様の不安を払拭できるようしっかりとしたデータ分析の下でトンネル工事に伴って川や沢、地下水のどこにどのような影響を及ぼすことが予測され、それを回避するためにどのような対策を講じるのか地元に寄り添った真摯な姿勢と分かりやすい説明をJR東海に求めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 出野副知事。
       (副知事 出野 勉君登壇)
○副知事(出野 勉君) 新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてのうち、感染症対策についてお答えいたします。
 PCR検査の安全な実施体制の確立についてでありますが、議員御指摘のとおり鼻や喉から検体を採取するときには患者のくしゃみやせきを誘発し医療従事者の感染リスクが高まりますため安全性の確保が重要となっております。
 このため、県ではマスクや防護服、フェイスシールド等を確保し帰国者・接触者外来をはじめとする医療機関等に、例えば不織布マスクを約五百十六万枚、防護服及びガウンを約三十七万着配布するなど必要な衛生資材を配置することで医療現場における感染防止を図っているところであります。
 また、郡市医師会及び市町と連携して設置いたしました検体の採取を集中的に行う地域外来・検査センターでは、患者を自家用車に乗せたまま検体を採取するドライブスルー方式やウオークスルー方式により医療従事者の感染リスクを軽減するよう努力しております。加えて今月、検体採取を現場の感染防御に係る負担を大幅に軽減する方法といたしまして唾液を検体とするPCR検査を国が承認し保険適用したところであり、今後唾液のみによる検査の導入も進めてまいります。
 県といたしましては、医療従事者の感染防止対策を強化し必要な検査をより迅速かつ安全に実施する体制を確保してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 今後の県政運営についてお答えいたします。
 財政調整に活用できる基金の残高は、これまでの補正予算により新型コロナウイルス感染症対策に活用した結果百五十七億円となり昨年度同時期に比べ二百億円以上低い水準となっております。加えて県税収入の落ち込みは避けられず、今後の不測の事態に備えた財源の確保は重要な課題であると認識しております。
 このため、六月補正予算では新型コロナウイルス感染症の影響で休止や延期、規模縮小を決定した事業につきまして十六億一千七百万円を減額し財源を確保いたしました。第二波、第三波に備えて、今後進捗の遅れている事業の見直しなどにより財源を捻出してまいります。さらに国の第二次補正予算で大幅に増額された地方創生臨時交付金などを最大限活用するほか、県税収入の落ち込みに対しましては減収補填債などの県債を活用するなど必要な財源の確保に努めてまいります。
 また、県税収入の減少などによる財源不足は来年度以降の予算編成にも大きな影響を及ぼすことから、令和三年度当初予算の編成に向けこれまで以上に徹底した歳出のスリム化と歳入確保に取り組んでまいります。
 これらの取組を通じ、感染症対策の長期化や自然災害の発生などの事態が生じた場合でも迅速かつ確実に対応できるよう財源の確保に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 県の危機管理についてのうち、ダブルリスク、トリプルリスクシミュレーションについてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症が流行している中、南海トラフ地震や近年激甚化する風水害の発生も視野に入れた複合災害への対応は喫緊の課題であると認識しております。複合災害時における避難所での感染防止対策は非常に重要であるため、県では市町と連携し十分な避難スペースの確保や健康管理など具体的な対応策を取りまとめたガイドラインの策定や感染防止に必要な資機材の整備を進めております。さらに非接触型の避難所運営を推進するため県総合防災アプリの機能拡充にも取り組んでまいります。
 また、複合災害への対応力を高めるためには県民の皆様に災害を自分のこととして認識していただくことが重要であります。このため地域の災害リスクや必要な避難行動、避難生活での留意事項等につきまして防災出前講座や広報紙などを活用して意識啓発を行い地域防災訓練等を通じて検証し災害への備えを強化してまいります。
 県といたしましては、このような取組により複合災害が発生した場合にも適切に対応できるよう現場の対応力向上に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 新型コロナウイルス感染症への今後の対応のうち、感染症対策についてお答えいたします。
 介護施設における新たな事業継続計画の作成についてでありますが、県内の介護施設におきましては新型インフルエンザに対応した既存の感染症対策マニュアルを活用し施設の職員による小まめな手洗いやマスクの着用、消毒液の設置、施設への出入りの制限など徹底した感染防止に取り組んでおりこれまでクラスターは発生しておりません。
 しかしながら、各介護施設からは県内施設での感染症の発生や他県でのクラスターの発生を踏まえ新型コロナウイルス感染症の予防策や具体的な対応について、クラスター発生時に事業を継続する方法について分かりやすく示してほしいとの要望を頂いております。
 このため、県では感染予防のためのチェックリストや発生時の対応フローを早急に作成するほか、静岡県老人福祉施設協議会の御協力をいただきながら事業継続計画策定マニュアルを新型コロナウイルス感染症にも対応できるよう見直しをしているところであります。作成後は研修会、事業者指導等様々な機会を通じて周知徹底を図ってまいります。
 さらに、感染症の発生により施設の職員の勤務が制限され人員不足となる場合もありますことから、事業継続に当たりましては施設を運営する法人内の応援体制に加え県が関係団体と共に法人の垣根を越えた応援体制の整備を進めているところであります。
 県といたしましては、クラスター発生時におきましても各施設が事業を継続できるよう支援し介護施設の利用者が安心して生活を続けられるよう努めてまいります。
 次に、新たな生活様式におけるたばこによる健康被害の防止対策についてであります。
 本県では、健康増進法の施行に先立ち平成三十一年四月、独自に条例を施行し受動喫煙防止に積極的に取り組んでまいりました。昨年度巡回指導により確認した県内飲食店における禁煙、分煙または喫煙可の標識の掲示率は六一%にとどまっており、今後さらに県民の皆様をはじめ飲食店、事業所等の理解と取組の促進が必要と考えております。このため県では七月一日から、新たに受動喫煙防止対策に関する様々な相談に対応する専用のコールセンターを設置し飲食店等の取組を進めてまいります。
 一方、新型コロナウイルス感染症対策の新たな生活様式を実践する際には喫煙専用室の利用が三つの密を生じやすいことや在宅時間が長くなることにより家庭で受動喫煙の機会が増加することなど新たな課題が指摘されております。
 このため、混雑時の喫煙専用室などの利用自粛や屋外喫煙所では人と人との距離を保つことなど感染リスクの注意喚起に努めるほか、これまでと異なる生活の中で新たな受動喫煙が生じることのないよう県民の皆様に周知を図ってまいります。
 また、喫煙者は肺炎になると重篤化しやすいことから、新型コロナウイルス感染症対策におきましても禁煙を希望する県民の皆様に対してホームページやSNSを活用して禁煙外来等に関する情報の提供を行うなどの禁煙支援に取り組んでまいります。
 県といたしましては、誰もが安心して暮らせるたばこによる健康被害のない社会を目指してまいります。
 次に、虐待やDVの相談体制についてであります。
 県では、これまでも児童虐待の相談窓口として児童相談所全国共通ダイヤル一八九――いちはやくを開設し二十四時間三百六十五日虐待の相談等に対応しております。またDVにつきましては県女性相談センターに専門の電話相談員を配置し休日・夜間の相談体制を整えているほか、県男女共同参画センター「あざれあ」におきましても相談に応じております。
 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染拡大防止のため臨時休校や外出自粛が長期間にわたりますと生活不安やストレスが増大し児童虐待やDVの危険性が増すことも懸念される一方で、加害者が在宅しているため外部に相談しづらい状況が生じることが危惧されているところであります。
 このため、県では新たにLINEを活用した虐待相談窓口を開設し子供やその家族が相談しやすい体制を整え早期の対応につなげてまいります。また国が四月から実施しているDV相談プラスもSNSでの相談等に対応していることを県民の皆様へ周知するとともに、DV相談プラスへの相談者に対しましても県女性相談センターにおいて的確に対応してまいります。
 さらに、こうした取組に加えまして児童相談所や女性相談センター、警察、県教育委員会等で構成する静岡県子どもと家庭を守るネットワークを通じまして関係機関の一層の連携を図り、いずれの相談窓口におきましても迅速かつ最適な支援が受けられる体制を強化してまいります。
 次に、多胎育児家庭への支援についてであります。
 県では、妊産婦に対する支援の充実を図るため、これまで退院後の母子に対する心身のケア等を行う産後ケア事業や子育て経験者が相談支援を行う産前・産後サポート事業の導入につきまして市町に対し粘り強く働きかけてまいりました。この結果昨年度産後ケア事業は全市町で、産前・産後サポート事業は二十市町で実施されるなど国内トップレベルの支援体制が整備されております。
 多胎育児家庭への支援につきましては、こうした体制を基にそれぞれの市町において産後ケア事業の利用料の軽減や産前・産後サポート事業の利用上限の緩和のほか育児情報をまとめた「ふたご手帖」の配付や多胎児を持つ親同士の交流会などを実施しておりますが、議員御指摘のとおり地域によって取組の内容に差があると認識しております。
 このため、今後は市町が国の新たな支援制度を活用して外出時の補助や多胎育児経験者による訪問相談などを実施できるよう先進事例の紹介や研修会を開催するとともに、単独実施が困難な市町につきましては複数の市町での共同実施に向けた広域調整を行い県内どこでも必要な支援が受けられるよう市町の取組を強力に支援してまいります。
 県といたしましては、市町と連携し多胎妊産婦が地域で孤立することがないよう妊娠、出産、そして子育て期まで切れ目のない支援を積極的に行ってまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてのうち、経済再生に向けた支援についてお答えをいたします。
 緊急事態宣言の解除により経済活動は徐々に再開されておりますが、需要の回復は鈍く依然として感染再拡大のおそれも残っております。
 こうした状況の中、本県の経済情勢を見ますと県内企業は当面の運転資金の確保に奔走している状況であります。今なお世界で工場における生産調整などが行われております現状から今後製造業を中心にさらに資金需要は高まるものと考えており、まずは金融支援、つなぐ支援に注力していく必要があるものと考えております。
 他方、各自治体は国の臨時交付金などを活用しつつ地域の実情に応じまして独自の支援制度を実施しております。本県におきましても四月臨時会で御議決を頂きました小規模企業経営力向上補助金への新型コロナ枠の創設や新たに業態転換やオンラインビジネスに挑戦する企業への助成制度の新設など、産業の現場からの御要望等を踏まえつつ本県独自の支援策を実施しているところであります。多くの県内企業の皆様からの申請が殺到し、過日先議を頂きました六月補正予算で増額補正を行い現在事業の迅速な執行に努めているところであります。
 また、農林水産業や宿泊・飲食サービス業に携わる事業者の皆様などへの支援を強化するバイ・シズオカ運動や山梨県と連携した両県県民の皆様による経済交流を促進するバイ・ふじのくにの取組を展開し成果が上がりつつあります。
 さらに、商店街への支援につきましては市町と連携して、例えば三つの密を避けるために商店街の一角へテラスを設置するなどの新たな取組につきまして商店街の環境づくりを支援する助成制度の補助対象として積極的に活用するよう働きかけてまいります。加えて非接触のキャッシュレス決済への消費者の関心の高まりを受けまして、新たに県内三か所の商店街で導入促進のためのモデル事業を実施してまいります。
 県といたしましては、新型コロナウイルスにより打撃を受けた県内事業者や商店街の皆様が希望を持って事業再生に取り組んでいくことができますように支援施策の一層の充実に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてのうち、農水産業への支援についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、農水産物につきましては家庭消費向けの品目の需要は堅調だったものの、観光・飲食店向けの品目などは需要が低迷し販売量の減少や単価の下落などの影響が出ております。緊急事態宣言や休業要請が解除され少しずつ需要が戻りつつあるところではありますが、まだ回復が十分に進んでいないと認識しております。
 このため、県は五月八日からJA静岡経済連の通信販売サイトにおきまして県産農水産物や加工品を割引販売するバイ・シズオカ緊急企画を実施してまいりました。特に牛肉、ワサビ、キンメダイや養殖マダイなど新型コロナウイルスの影響を大きく受けた品目につきましては、関係団体に働きかけ新たな商品の追加や従来インターネット販売が困難であった鮮魚での出品などを進めております。今後も通信販売サイトの活用に取り組み遠隔、非接触による販売方法の定着を図ってまいります。
 また、農水産物の生産供給体制を維持するため国の支援策を活用し牛肉やメロン、養殖マアジ、養殖マダイなどを学校給食へ提供するほか小中学校やイベントなどでのお茶の試供品の配布、公共施設における花卉の装飾などを実施し需要が低迷した農水産物の消費拡大に取り組んでまいります。
 さらに、新たな生活様式に対応した経営の継続、転換を図るため国の支援策を活用して販路の回復、開拓などに取り組む農水産業者を伴走支援していくほかテークアウトやインターネット販売等に新たに取り組む水産業者に対しまして費用の一部を支援しているところであります。
 県といたしましては、バイ・シズオカの取組や新たな販路開拓を進め農水産物の消費拡大や販売促進につなげることにより農水産業者が新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えていけるよう支援してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてのうち、教育体制の整備についてお答えいたします。
 学校再開からおよそ一か月が経過し各学校では次第に通常の生活リズムを戻しつつあり、引き続き安心して教育活動に専念できるよう教育体制をさらに整備していくことが重要であると考えております。臨時休業期間中、各県立高校では生徒の学力が低下しないよう全ての学校で家庭学習を課しており、再開後その習熟度の把握に努め生徒一人一人の学習指導に生かしております。
 今後、生徒に過度な負担をかけないように配慮しながら夏季休業期間の短縮や土曜授業の実施等により授業日数を確保し生徒の学びを保障してまいります。
 これから暑い季節を迎えますので、感染予防対策に万全を期すとともに、熱中症などが発生する可能性が高いと判断した場合におきましては十分な換気を行いました上でマスクを外し小まめに水分補給を行うなど健康管理に十分配慮してまいります。またエアコンを使用している場合でも換気が必要でありますことから、エアコンの設定温度にも柔軟に対応してまいります。さらにトイレの改修を計画的に進めていく中で、手洗い器の自動水栓化や照明の人感センサー装置の設置など衛生面に配慮した機器の非接触化を図ってまいります。
 学びの場を確保するためのICT機器の整備につきましては、現在県及び既に整備が完了しております川根本町を除く全ての市町におきまして一人一台端末の導入手続を進めております。しかしながら端末の保守や新たに発生する通信料金などの負担が課題となっておりますので、本年五月に県、市町で設置いたしました静岡県ICT教育推進協議会におきまして課題を共有し県、市町が一体となった効果的な対策を検討してまいります。
 県教育委員会といたしましては、引き続き新型コロナウイルス感染予防対策に努めるとともにICT環境を含めた教育体制の整備を積極的に行い、今後学校が再び休業となった場合にありましても児童生徒の健やかな学びを継続的に保障できるよう全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 植田スポーツ・文化観光部長。
       (スポーツ・文化観光部長 植田基靖君登壇)
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてのうち、文化芸術の再開についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響は文化芸術活動で生計を立てている方々を直撃する事態となっております。個人で活動している方も多く、持続化給付金などの国の支援制度に対しましては手続に苦労し給付を受けられない場合もあるなど今後の活動再開に向けて感染防止対策の実施方法やその資金確保に頭を悩ませている方も多いと伺っております。
 このため、県では県文化財団に文化芸術の専門家のほか税理士や社会保険労務士などを配置し、感染防止対策を講じたイベントの開催手法をはじめ国等の生活支援制度の紹介や会計処理方法まで幅広い相談に対応できるワンストップ相談窓口を設置することといたしました。また新しい生活様式に適切に対応し文化芸術活動を再開できるよう舞台等の制作費や動画作成費、会場使用料などを対象とする支援制度を創設したところであり、文化団体や芸術家の方々を資金面から支えてまいります。
 文化芸術に携わる方々が、一日も早く新たな気持ちで活動を再開し魅力ある文化芸術の創造に専念できるよう全力で支援してまいります。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについてであります。
 県では、出場が期待されるオリンピックの八競技十六人の選手、パラリンピックの十競技十六人の選手を二〇二〇フレーフレー東京オリンピック・パラリンピック「ふじのくに」スポーツ推進事業の強化選手に指定し選手の競技力向上に不可欠な強化合宿や遠征、パーソナルトレーナーの契約、メディカルチェックなどに要する経費を補助するなどその活動を支援しております。また大会の延期に伴い選手の体力、気力面などへの様々な影響が懸念されますことから、選手の皆様が大会本番に向けて調整や準備に安心して取り組めるよう補助金を増額するとともに、新たに出場の可能性が生じた選手にも補助することといたしました。
 さらに、大会関連情報につきまして広報誌やインターネットを通じて広く発信するほか県庁舎及びショッピングモール等におきまして本県ゆかりの選手の皆様の活躍を紹介するパネル展示を行うなど県民の皆様による応援の輪を広げ選手のモチベーションの向上を図ってまいります。
 今後も、本県ゆかりの選手の皆様が競技力の向上に集中して打ち込めるようきめ細やかに支援し東京二〇二〇大会のひのき舞台での活躍を期待するとともに、スポーツの力で輝くふじのくにの実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長繩交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長繩知行君登壇)
○交通基盤部長(長繩知行君) 今後の公共事業の取組についてお答えいたします。
 公共工事は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言の期間中におきましても政府の対処方針により社会の安定を維持するために継続する必要があるとされました。今後は落ち込んだ景気を下支えする重要な役割を担っていくものと認識をしております。
 県では、これまで密集や密接を回避して工事等を継続するためICTを活用し受注者と発注者がインターネットを介して図面等の受渡しを行うシステムの利用を拡大したほかタブレットを利用した工事現場の状況確認やウェブ会議などを導入いたしました。加えて計画的な発注を行うための方策として、在宅勤務におきましても設計積算や図面作成ができる環境を整備したところであります。
 また、用地交渉や工事説明会等の開催延期の影響により今後発注する工事におきまして適正な工期を確保することが困難となることが懸念されます。このため入札方式を見直し契約までに要する期間の短縮と技術審査の簡素化による受発注者双方の負担軽減を図るとともに、繰越制度を適切に活用し公共工事の着実な執行を図ってまいります。
 県といたしましては、新型コロナウイルスを契機としたこれらの対策につきまして生産性向上や働き方改革の観点からも効果を検証し担い手の確保など今後の公共事業の取組に生かしてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 市川敏之君登壇)
○くらし・環境部長(市川敏之君) 海洋プラスチックごみ対策についてお答えいたします。
 世界では、毎年八百万トンものプラスチックごみが海に流れ込み二〇五〇年には海に住む魚の重さを上回ると言われるなど海洋プラスチックごみ問題の解決は喫緊の課題であるため、昨年五月から本県独自の海洋プラスチックごみ防止6R県民運動を展開しております。
 昨年度は、海岸や河川などの清掃活動に十二月までで県民の十分の一に当たる延べ約三十七万人の地域住民や企業の皆様に御参加いただきました。また「海洋プラスチックごみ削減のために私たちができること」をテーマとした講演や6R実践の参考となる事例の発表を内容とするフォーラムを開催したほか子供向けの動画やリーフレットを作成し親子を対象とした啓発にも取り組んでいるところであります。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で多くの清掃活動の実施が見送られておりますが、今後の感染状況を踏まえ可能な限り参加を呼びかけてまいります。
 また、来月から始まるレジ袋の有料化に合わせてコンビニエンスストアなどでマイバッグの持参を全県的に呼びかけ、レジ袋を断った際に県の地球温暖化防止アプリであります「クルポ」のポイントを付与するなどプラスチックの使用削減に向けた取組の充実を図ってまいります。
 県といたしましては、身近なところから実践を促す6R県民運動を推進し海洋プラスチックごみの削減に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長澤教育部長。
       (教育部長 長澤由哉君登壇)
○教育部長(長澤由哉君) 障害のある児童生徒への支援についてお答えいたします。
 本県では、障害のある人もない人も同じように社会の一員として地域で学び自立を見据えた生活ができる共生・共育の実現のため、特別支援コーディネーターを中心とした学校内における多様な学びの場の整備や教職員研修の実施などにより着実にインクルーシブ教育を推進してまいりました。
 市町教育委員会におきましては、障害のある児童生徒が通常学級における就学を希望した場合に、保護者の付添いがなくても学校での授業や生活を円滑に送ることができるよう児童生徒の状況に応じて特別支援教育支援員を配置し教職員と共に対応に当たっております。障害のある児童生徒が県内のどこに居住しておりましても年齢や能力に応じて個々の特性を踏まえた十分な教育を受けるためには受入れ体制のさらなる充実が必要でありますことから、引き続き人的支援を国に働きかけてまいります。
 あわせて、学校訪問等により担当教員に対しまして児童生徒が共に学ぶ意義を理解できるよう集団での学習活動において意識する必要がある点を具体的な事例により助言するなど、市町教育委員会と連携を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、児童生徒が障害の有無によって分け隔てられることなく互いに人格と個性を尊重し合いながら学び成長できるインクルーシブ教育の充実に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 小嶋警察本部長。
       (警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) 有事に備えた警察署の防災力の強化についてお答えいたします。
 初めに、ハザードマップにおける浸水想定区域に位置する警察署の現状についてでありますが、全二十八警察署の半数となる十四警察署が洪水による浸水想定区域に所在しております。また浸水高につきましては五十センチメートル未満が静岡中央警察署など五警察署、五十センチメートル以上三メートル未満が沼津警察署など八警察署、三メートル以上が天竜警察署の一警察署となっております。
 これら警察署における水害対策についてでありますが、浸水に備え平成元年度以降に建設された警察署では通信設備や非常用発電機等の電気設備を庁舎二階以上に設置しているほか非常用発電機については平成二十五年度から連続稼働時間七十二時間化への取組を行っております。
 次に、有事に備えた対応方針でありますが、警察署が浸水した場合においても救出救助等各種警察活動にできるだけ支障が生じないよう署災害警備本部を設置する代替施設の確保、備蓄物資、装備資機材等の保管場所の点検、見直しを行っているところであります。
 県警察といたしましては、今後も浸水想定区域に位置する警察署が自然災害発生時においてもその機能を発揮できるよう防災力の強化に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 蓮池章平君。
       (七十番 蓮池章平君登壇)
○七十番(蓮池章平君) それでは数点、再質問をさせていただきます。
 まず、危機管理の体制についてでございますけれども、感染症とか疾病分野の危機管理監というのを御提案をいたしました。これは前も、これはもう議論していたんですけれども、いざというときはフラットで簡素な組織、これはもう重要なんですが、むしろこの危機管理事案が発生したときではなくて日常的に市町のこの担当部局と連携を取りながら、例えばこういう新型コロナの感染症の対応やこれからもしかしたら出てくるかもしれないこの未知のウイルスへの対応、こういったことに備えることが危機管理の面から重要ではないかということで御提案をしたので、その点について再度の答弁を求めたいと思います。
 それから、リニア中央新幹線整備についてでございますが、二十六日の会談を私も拝見をさせていただきました。トップ会談でリニアの重要性は知事もお話をされておりましたので、リニア整備の実現のためには現在この有識者会議で議論されている静岡県が出した引き続き対話を要する四十七項目、こういう問題についてJRがこれまでのデータを全て出すこと。それから静岡県内のボーリングの調査。こういう流域住民が不安が解消できるための行動というものが誠意を持ってJR東海が対応することがこれはもう一日も早い解決になるんだということをもうちょっと具体的に社長に伝えていただきたかったなという思いがあるんですが、その上で流域住民のこの思いが社長にきちっと伝わったでしょうか。どんな感触だったでしょうか。
 それと併せて、このトップ会談を通じて知事と社長との間での共通認識についてはどうだったでしょうか。課題があればお聞きしたいと思います。
 それから、経済の再生に向けた支援についてでありますが、私先ほど東日本大震災の災害初動期のこれの一文を御紹介いたしましたがこの中にこういうことが書いてあるんですね。国土交通省が被災した市長、町長、この首長さんに物資の調達を国土交通省がやるよということを伝えるこの文書の一文にこの整備局長が私のことを整備局長と思わずにヤミ屋のおやじと思ってくださいと、何でも私が調達しますよということを伝えるために整備局長じゃなくてヤミ屋のおやじと思って何でも要望してくださいと、こういうふうに伝えたという一文があります。やっぱり平時では考えられない表現を使ったという意味はこういうときに、先ほども申し上げました今戦時ともいうべきこのときに、平時の戦略とか政策では本当に県民の命や生活というのは守れないというふうに私は思っています。
 そういう意味で、先ほど商店街に対するこの魅力ある買物環境づくりの支援事業、これはあることが分かっていますし、残予算があるんでしょう。しかしこれはあくまでも平時の政策ですよね。今本当に大変な状況の皆さんを救うためにもう県も、何でも言ってくださいということでやはりそういう政策をつくるべきじゃないかという思いがあります。
 そういう意味で、改めてこのコロナウイルスの対策予算としてこういう商店街の支援等の予算を組むつもりはないかどうか、伺いたいと思います。
 それから、多胎児支援についてであります。
 もちろん、この支援の主体は市町であることはもう十分に承知をしておりますし、ただ市町に任せていただけでは本当に大変な思いをしているそういう皆さんに本当に静岡県に住んでよかったなというふうに思っていただくことができない。県が主導して多胎児育児の妊産婦やまた家庭に対しての支援を推進していけないかということで申し上げました。
 例えば、妊婦検診についても現在十四回までは公費負担でやっているわけでありますけれども、多胎児妊婦の場合はそれ以上に検診が必要になる。その場合全部自己負担になってしまうと。こういったことも含めて、県がこの多胎妊産婦に対して、本当に「産んでよし 育ててよし」というこのふじのくにのためにですね、県がもう一歩出るつもりはないかどうか再度答弁を求めたいと思います。
 それから確認ですが、先ほど教育長からエアコンの設置温度については柔軟な対応をするということですが、これは既に市町の教育委員会を通じて学校まで伝わっているかどうか確認をしたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) リニア中央新幹線に関わる再質問、二点ございましたのでお答えをいたします。
 一つは金子社長との感触ということでございますけれども、思いが伝わったかどうかということの感触ですが伝わったというふうに私は思っております。これはなかなか難しいという会談であったんですけれども、やはり具体的であることが大切で、偶々牧之原の杉本市長にお届けいただきました天皇陛下への御献上茶、これが県庁にございましてこれを差し上げてよいと、差し上げてくださいというふうに市長さんのほうから言っていただきましたのでこれを振る舞うと同時にお持ち帰り頂いたんですよ。それからまた当日磯自慢の寺岡社長が自ら最高級の磯自慢の日本酒をお持ちいただきまして、これもぜひ社長に味わっていただきたいということで、そういう贈物をその場に置きまして同時にその御説明もいたしまして、これがなくなるというのは日本における農芸品の喪失になるということでこれは体にしみて分かるというふうに思いまして、まず敵対的な環境は全くなかったですね。いい人で話が通じる人と、ただお持ちになった案件が唯一ヤード云々の可否についてのことだけだったのでもう少し柔軟な対応ができる、そういうことが必要だというのを踏まえていただければ次回会談しても実りあるものにつながるんじゃないかと思っております。
 それからヤードに係る具体的なことですけれども、実はその数日前に鉄道局長が現場に入りまして静岡県、なかんずく知事が越権行為でいろいろと物申しているかのごとき発言をぶら下がりでなさっていられたわけですね。これはもう明らかに誤解も甚だしいところであります。我々は昭和四十八年に自然保全条例というのをつくっておりまして、これに基づいて全て厳正に対処してきたということでございます。今あそこで造られている作業員の働かれている施設等々はもちろん自然に対する作為を含みますのでその都度この条例に則してやってきたわけですけれども、目下のところは五ヘクタール以内の作業をされているということでございます。それを超せば当然活動拠点の整備であっても条例の対象になると。それから五ヘクタール以上になりますと、これは本体工事の場合には南アルプス全体が含まれますから五ヘクタール以上になります。当然これは、この自然保全協定を締結せざるを得ないと。活動整備拠点についても五ヘクタールを超えれば整備協定を結ばなくちゃいけないし、それからまた本体工事に入る場合は、これはもう自然環境五ヘクタールを超えるところに手を入れるわけですからこの保全協定を結ばなくちゃならないと。
 これは条例にうたわれているとおりで存じていらっしゃるかと思ったらですね、それは何か初めて聞くような考えでしたのでこの点はもうお持ち帰りになられたと。だけどそれは資料にも入れておきましたから必ずお分かりになるということで、今後具体的にヤードの整備についてどういう工事なのかと。社長は診療所を造りたいとおっしゃってまして、これなどはそこで百五十人ほとんどが静岡県民ですから、救急車が入れないような現状ですので大事なことだと思っておりまして、そうしたことは条例の範囲内で可能であれば認めるということで、まずはそういう基本的なスタンスを御理解いただくことが次のステップになるのではないかと思っているところであります。前につないだというふうに思っております。以上であります。ありがとうございました。
○議長(山田 誠君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 危機管理体制の強化につきまして、再度御回答いたします。
 災害等の対策本部が置かれた際には、その意思決定という意味では危機管理監が全ての分野を調整して行うという方向性を今後とも守っていきたいとは思っておりますが、先ほど来お話がございますように今回につきましては感染症対策という部分で大変健康福祉部が大きな役割を担っていたことは事実でございます。専門家会議の意見を反映しながら対策本部において意思決定をしてまいりました。それ以外にも各部がいろんな役割を担いながらですね、例えば医療機関やその他各種機関との連携、市町との連携、そういったものをいろんな部が担ってまいりましたが、集中しないという意味では現在健康福祉部に置いたチームの活動について、まだ続いておりますが検証してまいります。そうした中で実効性のある感染症対策が迅速に行われるような、そういった組織について検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) 商店街対策につきまして、新たな予算措置を考えているかということでございます。
 我々が本日答弁いたしました中身につきましては、各地元の商店街といろいろお話をした中での踏まえまして御答弁をさせていただきました。既存事業ではございますけれども新しい取組がまだまだその既存事業の中でも対応できるということを御存じない方々もいらっしゃるということで、既存事業の予算の執行状況などを見ながらこれを積極的に活用してまいりましょうというのが一点でございます。
 それから、さらにキャッシュレス決済につきまして三か所でモデル事業というお話をしましたけれども、これは下田、藤枝、掛川の商店街からこれをぜひ取り組んでみたいというお話がございました。といいますのは、やはり今まではキャッシュレス決済で何らかの利益がくるかなということだけではなくてやっぱり遠隔、非接触というところでやはり商店街の人々も守ると、お客様の便利性も高めるということで改めてこの部分について関心が高まっていることということを感じております。これはモデル事業でありますけれども、これがうまくいったら次の展開というものをしっかりと考えていきたいというふうに考えております。
 さらにもう一点、知事の御答弁にもございましたけれども実はこのコロナでですね、ウイズコロナからアフターコロナに行く中でこれは東京一極集中が是正されるのではないかというふうに考えております。それは特に若者の移動でございます。最近取ったアンケートによりますと若者の地方移住への関心が非常に高まっておりまして、今部内で検討しておりますのはこの若者を商店街へ戻せないだろうかと。商店街の皆様は売上げとかこのキャッシュレス決済に次のチャンスが、さらに後継者がというようなところで悩んでおられるということでございますので、今部内ではそのような検討もしておりまして、そういったところもまた改めまして検討を深めて必要があれば予算措置のほうも考えてまいりたいというふうに思っております。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長(藤原 学君) 多胎育児支援についてお答えいたします。
 御示唆いただいた点につきましては、実は広域的な自治体であります都道府県とそれから基礎的自治体である市町村が住民とどのような関わりを持つか、あるいは地縁団体とどのような関わりを持つかという事柄を含んでおります。県の取組といたしましては、まずは各地域によって取り組んでいる内容に違いがございますのでそこのところを県内できるだけ同じ水準にしたいと、それが第一段階でございます。一方で他県の状況、市町との関わり合いの仕方ですとか、そういったことについては情報を収集して今後考えてまいりたいと思っております。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 長澤教育部長。
○教育部長(長澤由哉君) エアコンの設定温度の関係でございますけれども、市町教育委員会におきましても換気の必要性ということから十分にエアコンについては柔軟に対応していくということを配慮しているというふうに認識しておりますけれども、改めて教育委員会としまして子供たちに影響が出ないようにお願いするということで確認を取っていきたいと思います。以上でございます。
○議長(山田 誠君) これで蓮池章平君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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