• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

山本 貴史 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/06/2013

会派名:

富士の会


質疑・質問事項:

1 多文化共生について
 (1) 多文化共生社会実現への取り組み
 (2) 県営住宅における外国人入居者への対応
2 人口減少社会を見据えた住宅政策の方針について
3 PM二・五に係る監視体制について
4 避難所の機能充実について
5 東日本大震災を踏まえた医薬品の確保対策について
6 小笠山総合運動公園エコパの今後の利用について
7 食の都づくりにおける食育について


○議長(中谷多加二君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、二番 山本貴史君。
       (二番 山本貴史君登壇 拍手)
○二番(山本貴史君) 私は富士の会所属議員として県政の諸課題について、知事及び関係部局長並びに教育長に通告に従い一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、多文化共生についての質問のうち多文化共生社会実現への取り組みについて伺います。
 世界的な経済危機や東日本大震災などの影響を受け、在住外国人を取り巻く社会情勢は大きく変化をしております。出入国管理及び難民認定法の改正法施行以来増加の著しかった外国人登録者数は、リーマンショック以降減少に転じる一方で日本にとどまる外国人は、定住化、永住化の傾向にあります。また外国人登録者の年齢別構成を見ますと二十歳代から四十歳代が多くの割合を占めており、こうした若い世代が今後私たちとともに暮らし子供を育てながら地域社会をつくっていくことになります。
 静岡県内では、平成二十四年十二月末現在で百二十カ国以上の国と地域から七万七千三百五十三人もの外国人登録者がおり、国籍別ではブラジルの三八%を筆頭に中国の一七%、フィリピンの一六%と続き、実に県民の五十人に一人が外国人という状況であります。
 一方でリーマンショック後の雇用情勢の悪化により、外国人労働者の生活環境は大変厳しいものになりました。日本語能力の不足から職につくことが難しくなり、生活はもとより学校の授業料も払えず、子供たちが学校に行かなくなるなど労働、生活、教育などさまざまな面で新たな課題が生じております。
 実際、外国人市民の意見を聞いていきますとさまざまな悩みや思いを持ちながら生活をしていることを知ることができます。「自治会活動やルールなどは教えてもらっただけではできない。一緒にやってアドバイスをしてくれる日本人がいてほしい」、「行事に参加しなさい、やりなさいという人はいるが、実際に一緒になってやってくれる人がいない」、「日本の行政はブラジル人の施策ばかりが目立つ。他の国籍の外国人がいることも知ってほしい」など日本人側からの協力やコミュニケーションを求める声が多くあることがわかります。
 逆に日本人の側からするといまだに外国人に対して、どこか怖い、言葉が通じないからという理由で近づくことにさえ抵抗を感じる人たちは少なくありません。確かに外国人による犯罪が少なからずあることも事実ではありますが、地域に住み子供を学校に通わせているような家庭にまでいたずらに偏見の目を向けることは、私たち自身にとっても決してよいことではありません。
 行政サービスにおいては、県だけでなくそれぞれの市町において多文化共生の取り組みがなされてきました。役所の窓口に通訳を置いたり、ごみ出しなどの案内やリーフレットを多言語化するなどの成果として、各種の手続などについて不安を感じる外国人は少なくなっていると思われます。しかしながら国際化、グローバル化という言葉が先行し多国籍化している今、相互理解による多文化共生社会を実現していくためには、外国人と日本人が互いに互いの文化や考え方を理解し認め合い協調・協力していくことが必要です。
 県民だよりの十月号では、世界の文化と暮らし出前講座を実施した結果日本の子供たちから外国に対するイメージがよくなった、行ってみたくなったという声があったとのことですし、孤立しがちだった外国籍の子供が講座をきっかけに人気者になったり、クラスに溶け込めるようになったという事例が報告されておりました。このような取り組みは、子供たちだけでなく一般市民のレベルでも広く行っていく必要があると思います。
 そこで、施策を進める中でこれまでの状況と共生意識を県民に広げていくために今後どう取り組んでいくのか伺います。
 また、本県では企業の労働力として多くの外国人が居住しておりますが、民間の賃貸住宅には入りづらい環境がある上、家賃が安く入居しやすい県営住宅を希望することが多く県営住宅における外国人入居者の割合が多くなっております。県西部地域の県営住宅では、外国人入居者が三割を占めており、特に私の地元でもある約百五十戸の堀越県営住宅では五割近くが外国人世帯であります。他の県営住宅を見ましても、ごみ出しなどの生活ルールを守ってもらえない、夜間集団で騒いでいるなど団地入居者と外国人入居者との間でトラブルや苦情の声があるとのことですが、状況の改善を図るために奮闘されているのは、同じ県営住宅の住民である自治会長や地域の連合会長またその役員さんたちであります。彼らの御苦労は相当なものであり、もう少し県や市から応援や協力が欲しいという声は以前から根強く存在いたします。
 このような方たちが今最も心配しているのは、現実に震災が発生した場合の対応であります。先日行われた防災訓練にも外国人入居者が参加をしていたものの、本当に震災が来たときの対応には多くの不安を抱えている実態があります。
 県営住宅内も多国籍化している中、ある国の方と話をするために複数の言語を間に入れなければ通じなかったり、自分たちで通訳となる人を探してきたりしている現実があるそうです。外国人の方にある程度の日本語を学んでもらい、日常的に地域住民との間で、ある程度のコミュニケーションや交流が図られていれば、その不安や苦労は随分と軽減されるに違いありません。
 このような中、県営住宅においては、外国人入居者に対しどのような対応を行っているのかを伺います。
 次に、人口減少社会を見据えた住宅政策の方針についてであります。
 県総合計画の次期基本計画の策定に反映するため、県が将来人口を独自推計した結果によりますと現状の出生率や社会移動率が続いた場合、三十年後には県の人口が最大約六十八万人減る見通しになることが発表されました。日本全体では既に一年前と比較しただけでも二十二万人が減少しており、三十年後には二千百万人が減るとの予想も出されております。このような数で人口が減少していくということは、自治体経営や地域経済また都市機能そのものに大きな影響を与えることが懸念されますが、実際既に町内会や自治会レベルでは今後の活動や存続が危ぶまれているような地域もあらわれてきております。
 そのような中、県は県の都市計画区域マスタープランの次期改定作業に向け、目指す都市構造を従来の拡散型から集約型へ転換されることを柱とした策定方針を固めたとのことであります。
 今、日本は大変な転換期にあると言えます。これからの日本は、人口が減り高齢者がふえ社会保障費は拡大し、高度経済成長時代につくられた高速道路などのインフラや各種施設の老朽化は進み、それぞれの対応や改修を行うだけでも莫大な予算を必要といたします。拡散型から集約型に方針転換をすることは、これからやってくるさまざまな状況の変化に対応するために必要な方針転換であると私は考えます。ただし集約型を目指すためには、住宅政策などによって、ある程度の人口誘導が必要となるのではないでしょうか。
 かつて年間二百万戸近くあった我が国の住宅着工件数は、平成二十一年度に百万戸を下回って以降現在は八十万戸前後で推移をしております。最近は若干持ち直しの動きがあるものの、長期的には回復したとは言いがたい状況であります。古い家から新しい家に引っ越しをすれば古い家は空き家になります。若い人が減る今後の社会では、新しい家をつくればつくるほど空き家がふえていくのです。ちなみに国土交通省の予測では二〇三〇年には一千百三十三万戸が、二〇五〇年には一千五百四十九万戸が空き家になり、現在の二倍以上にふえる見込みであります。
 現在、本県の新設住宅着工件数も減少傾向にあり平成二十年の住宅・土地統計調査によりますと県内の住宅ストック数約百六十万戸に対し、世帯数が約百三十七万世帯でありますから単純計算でも空き家が約二十三万戸という状況にあるわけです。また子育て世帯などは、庭つきの戸建て住宅に住みたいという要望が高いにもかかわらず、経済的な理由などから約半数は借家の共同住宅に居住しております。アベノミクス効果に期待はするものの、もし今後も正社員がふえず所得が伸び悩むとすれば新しく着工される住宅の戸数がふえていくとは思えません。
 ちなみに日本の住宅販売のうち、中古住宅が占める割合は一三・五%程度ですがアメリカでは七八%、イギリスでは八九%、フランスでは六六%が中古住宅であります。住宅のストックがふえているのですから、今後は中古住宅を安く購入し自分の好きなようにリフォームして住むという人たちがふえていく可能性は大変高いと思われます。
 また現在は、若者同士が一軒の家に共同生活をするシェアハウスという考え方も広がっておりますが、今後は中古の二世帯住宅などを活用し高齢者と若者とのシェアハウスを促す取り組みなども検討すべきと考えます。買い物や病院への送り迎え、ちょっとした力仕事などの助けを必要とする高齢者を若者が助け、経済的にゆとりのない若者が共同生活をすることで家賃を低く抑えるなど互いにメリットが生まれると思います。共働き家庭であれば、お年寄りの目の届くところで子供を留守番させられるなど持ちつ持たれつの関係によってかつての日本が持っていた人と人とのきずなをよみがえらせることができるかもしれません。
 いずれにしましても空き家の活用など既存の住宅を有効に活用していく施策が望まれると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、PM二・五に係る監視体制について伺います。
 大気汚染を引き起こし、ぜんそくや気管支炎、がんなどになりやすいとされ健康への悪影響が懸念される微小粒子状物質、いわゆるPM二・五については特に中国での大気汚染を象徴する形で本年春先に連日報道されたことは、いまだに記憶に新しいところであります。十月以降、再びPM二・五に関する報道を目にすることが多くなりました。
 ことし十月十七日には、世界保健機関――WHOの国際がん研究機関――IARCによる発表があり、PM二・五を含む大気汚染物質の発がんリスクが、五段階のうち最高ランクの発がん性があるグループ一に分類されました。これはアスベストと同レベルのリスクに当たります。
 国立環境研究所環境健康研究センター長で環境省のPM二・五専門家会合メンバーでもある新田裕史氏は、米国では疫学調査を根拠にPM二・五と循環器系の疾患には関係があると断定している。日本には十分な疫学データがまだなくそこまでは言えないものの、米国以外にも関係を示唆するデータが多くある。また大気汚染と乳がんや膀胱がんとの関係を指摘する調査報告が存在し、不妊症や胎児への影響も考えられるとの見解を示されております。
 冬から春にかけては偏西風により中国から我が国への越境汚染が指摘され、健康への不安を感じている県民も多いと思われます。ただしPM二・五の要因は中国ばかりとは言い切れず、本県では本年七月前半にPM二・五の濃度上昇が見られましたが、これは鹿児島県桜島の噴火が影響したのではないかとの報道もあり、国内にも発生要因があることを認識したところであります。とはいえテレビなどで見る中国の大気汚染の状況は太陽光を遮断し視界を遮るほどであり、汚染された大気が風に乗って日本へやってくることへの不安とともに、子供たちやお年寄りへの健康被害を懸念する声や行政や学校の対応についての問い合わせが、私のもとへも寄せられるほどになっております。
 そのような中、去る十一月十三日の環境省の専門家会合では、外出自粛などの注意喚起をする際の暫定指針の見直し案を大筋で了承されたとの報道がありました。県民の安全で安心な暮らしを支えるためには、大気や水質などさまざまな生活環境の要因について自治体が常時監視を行い、県民への的確な情報提供が求められます。
 本年二月の県議会では小野達也議員からの質問に対し、当局から本県の監視体制の充実や県民への適切な注意喚起を図る旨の答弁がありました。
 そこで、本県におけるPM二・五に係る監視体制の整備・運用状況と国内外の発生要因を踏まえて、県としてどのような対応を考えているのかを伺います。
 次に、避難所の機能充実についてであります。
 県は去る十一月二十九日、南海トラフ巨大地震などによる社会基盤や生活面の被害、経済的損失を推計した第四次地震被害想定の第二次報告において百万人を超える避難者による避難所の不足について発表をされました。
 大規模災害時に設置される避難所は、各市町において主に学校や幼稚園などの施設が指定されており、その開設や運営については市町と施設管理者、自主防災組織が具体的な取り決めを行っておりますが、実情はそのような取り組みがなされていない施設も見受けられます。
 例えば地震直後の応急危険度判定や開設時における初動の段取りが定まっていないところも多く存在し、自主防災隊組織が全く運営にかかわっていない事例があるなど避難所として県が期待している機能が果たせるかどうか、個人的には大いに懸念をしているところであります。また地震発生後は、百万人を超える人々が避難所に集まってくるとの予測がありながら水や非常食、毛布などの備蓄がほとんどなされていないという事実もあります。ただこの水や食料、生活日常品などの備蓄については、自治体が全てを備えることは物理的にも予算的にも難しいところであり、本来であれば自助、共助によって県民みずからが備えていかなければならないものでありますが、三十年以上も地震対策を行ってきているのだから県や市がとっくに準備をしているもの、準備すべきものという誤解を抱いている人たちは少なくありません。
 県においては、県立高校や特別支援学校において避難所機能の充実を図っているところでありますが、小学校や中学校などへの避難所機能を充実させるためには、市町を初め地域住民への働きかけを行う必要があるのではないかと考えます。さらに近年では東日本大震災での教訓を受け、災害時要援護者の視点、女性の視点、ペットを連れてきた避難者の視点などさまざまな避難者の立場に配慮することが求められることがわかっております。
 そこで、避難所の機能充実を図るため、県はどのように市町に働きかけをしていくのか、また避難所の適正な利用について県民にどのように啓発していくのかを伺います。
 次に、東日本大震災を踏まえた医薬品の確保対策についてであります。
 東日本大震災では、多くの方々が津波により家を失い長期にわたり避難生活を余儀なくされました。避難者の中には高血圧などの慢性疾患を抱え、ふだん服用していた医薬品を家とともに流されてしまった方々も多く、被災地では県外から支援に集まった薬剤師が医療チームと連携し対応に当たったと伺っております。一方多くの支援医薬品が県の集積所に集まったものの、必要なところに必要な医薬品を迅速に届けることができず、結果として大量の医薬品が県の集積所に残存した状況があったということも聞きました。
 県が広域的に被害を受ける大規模震災時に避難生活を余儀なくされる多くの慢性疾患患者に必要な医薬品を迅速に確保し届ける仕組みが重要であると考えておりますが、震災時における県の医薬品確保対策について現在の考えや取り組みを伺います。
 次に、小笠山総合運動場公園エコパの今後の利用についてであります。
 二〇〇一年三月にオープンし二〇〇二年のFIFAワールドカップでは、デビッド・ベッカム率いるイングランドと二〇〇二年大会の覇者ブラジルとの準々決勝がエコパスタジアムで行われ、世界的なスター選手たちのプレーに興奮したことは、今も鮮明に記憶しているところであります。
 また、翌二〇〇三年のNEW!!わかふじ国体では、天皇皇后両陛下をお迎えし国内の一流選手たちによる陸上競技が連日開催されました。私の地元袋井市では地域ごとに応援する県を割り振り、ほとんど全ての選手たちに民泊をしていただき、それぞれの家庭でお風呂や食事をともにする中で家族のようなきずなをつくり連日スタジアムに応援に繰り出したことが今も語りぐさになっております。あれから十年。その間も多くの大会やイベント、コンサート等が開催されてきましたが、エコパが存在する袋井市、掛川市の市民からは、もう少し地域住民にとって利用しやすい施設にしてもらいたいなどの声が聞かれるようになりました。
 二〇〇六年より静岡県サッカー協会グループが指定管理者として運営管理を行い、その運営もおおむね順調に推移しているとのことでありますが、地域住民の実感としては、いま一つ利用できていないという印象があるようです。
 特に課題となるのはスタジアムの芝生の取り扱いです。サッカーの国際試合や陸上の大会のためには、厳しい芝生の管理があるということで利用制限が設けられているとのことであります。高いレベルでの競技を行う場また優秀なアスリートを育てる場という役割も大変重要ではありますが、今後は県民の健康づくりや楽しむためのスポーツを行う場を今まで以上に充実させていくべきではないかと思います。
 そこで、年間スケジュールの組み方や芝生内への利用について御所見を伺います。
 次に、食の都づくりにおける食育について伺います。
 ユネスコの政府間委員会が四日、日本が提案していた和食、日本人の伝統的な食文化を無形文化遺産に正式登録いたしました。無形文化遺産は、世界遺産や記憶遺産と並ぶユネスコの遺産事業の一つであり、今回の登録は富士山の世界遺産登録に続き日本人としてまた静岡県民として大変誇らしく、喜ばしいことであります。海外ではおいしくて健康的だという理由から和食ブームが拡大しており、特にアメリカでは日本食レストランが急増しているとのことであります。
 そもそも日本の食文化という言葉は、一九七〇年代後半に石毛直道先生によって提唱された概念であり、それまでの栄養学、調理学、生理学としての食から自然科学、歴史、民族、思想、経済、文学、美術工芸など食をめぐる一切を含むものとして食文化という言葉を世に出されたということであります。
 また、今回の登録を推薦した政府の有識者検討会で会長を務められた静岡文化芸術大の熊倉功夫学長は、和食の構造というものをあらわすための要素として食の基本である食材、料理、栄養の三要素に加え、もてなしという点を設けられております。このもてなしという点について、熊倉学長の言葉を少しく引用させていただきます。
 ここで言うもてなしとは、主人が客をいかにもてなすかというサービスだけを言っているのではない。食事の場の振る舞い方全体を指している。その中には食事のマナーや室礼、食の場の設営の仕方やそれを鑑賞する態度も含まれる。和食には独自の作法がある。例えば膳に向かって食べ始めるのにまずいただきますという挨拶を全員でする。これは自然の恵みによって我々が生かされているという思いから出たものである。次に何をどのように食べるか、箸をどのように使うかの心得がある。
 以下すばらしい内容が続くわけですが、和食における作法や精神の重要性を改めて認識させられたところであります。これほどすばらしい食文化が無形文化遺産として登録された今、改めて食に対する作法や精神というものを振り返ったとき、私たちは果たしてこれにふさわしいと胸を張れるものでしょうか。私自身自戒と反省を込めて言うのですが、特に若者のお箸の持ち方や食べ方、食べるときの姿勢、また食に対する知識などについては時々信じられない場面に遭遇することがあります。
 食の都づくりに取り組む本県においては、仕事人のようなトップレベルの食を追うとともに、日本の伝統や精神を守るという意味からも食文化に目を向けることが重要であり、そのためには子供たちの食育を進める中で日本人としての食の作法や食事を通じて人間関係づくり、食文化や食にかかわる歴史等を理解するような取り組みも必要であると思います。
 本来は県民を挙げて食の都づくりにふさわしい食育を行うべきだと思いますが、まずは学校において子供たちに学んでもらい、子供たちを通じて家族、社会に伝わっていくことが重要であると考えます。
 このような取り組みに対し、教育長の所見を伺います。以上、答弁を求めます。(拍手)
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 山本議員にお答えいたします。
 多文化共生についてのうち、多文化共生社会実現への取り組みについてです。
 本県では、全市町に議員御指摘のとおり大勢の外国人の方が居住されており、生活環境全般にわたる課題が顕在化しております。そうした中、日本人、外国人問わず両県民が安心して快適に暮らしていくためには、互いの文化や生活習慣、言語などを理解し尊重し合う多文化共生意識の醸成が大変重要です。
 これまで市町等と連携をいたしまして英語とポルトガル語での県政情報や地域イベント等の紹介、ふじのくに留学生親善大使などによる国際交流活動や世界の文化と暮らし出前教室などの多文化共生意識の普及に取り組んでまいりました。また地震防災ガイドブック「やさしい日本語」版を作成いたしまして、約六十カ所の日本語教室などで教科書として活用するなど日本人県民と外国人県民とのコミュニケーションを図るための取り組みを進めてきたところでございます。
 しかし、本年六月に行いました県政世論調査によりますれば多文化共生という言葉の認知度は三〇%台であり、なお一層の努力が必要な状況でございます。静岡県多文化共生審議会からも第一に共生意識の醸成に一層取り組むようにとの御提言をいただきました。
 このため、今後は県民みずからが多文化共生意識を持って実践していくための取り組みに力点を置きまして、具体的にはコミュニケーションのきっかけとなる十カ国語での挨拶や各国の文化や生活習慣の違い、やさしい日本語で表現した日常会話をまとめた多文化共生手引書を作成することとしています。これにより多文化共生意識の醸成を図り日本人県民と外国人県民とが互いの文化を理解し、協力して課題の克服に取り組めるように支援をしてまいります。
 さらに、現在策定中の次期総合計画やふじのくに多文化共生推進基本計画におきましても議員から御提言がございました多文化共生意識の定着を重点施策の一つとして位置づけ、誰もが安心して活躍できる社会づくりを目指してまいります。
 次に、PM二・五に係る監視体制についてであります。
 本県では、大気汚染防止法に基づき県及び静岡市、浜松市の両政令市が県内十九カ所の自動測定器によりPM二・五の常時監視を行っており、県ホームページの大気汚染常時監視システムサイトで時間ごとの速報値を公表しています。
 また、本年三月からは環境省の注意喚起のための暫定的な指針を踏まえまして、毎日の濃度予測情報を県ホームページに掲載するとともに、早朝の測定結果が指針値を超えた場合には、市町や報道機関等を通じて県民の皆様に注意喚起情報を発表する体制を整備しています。幸いなことに本県ではこれまで指針値を超えた日は一日もございませんで、良好な大気環境が確保されております。
 十一月末には、環境省から注意喚起情報の精度の向上や生活の実態に即した運用に向けて指針を改善する旨の通知がございましたので、県といたしましてもこの通知に基づき早急に注意喚起のための基準や方法等を見直す予定でございます。
 さらにPM二・五の国内外の発生要因につきましては、議員御指摘のとおりただに中国の大気汚染のみならず、火山も一原因というふうに指摘されておりますので、全国知事会を通じて多岐にわたる発生源の実態等の解明と総合的な対策を講じるように国に提案をいたしました。
 今後も本県として機動的かつよりきめ細やかな監視を行うため、移動可能な大気汚染測定車両の活用や自動測定器の増設を進めるなど監視体制の一層の充実に取り組み、県民の皆様の安全、安心な生活環境の保全を図ってまいります。
 その他の御質問につきましては関係部局長、教育長から御答弁を申し上げますが、一点、人口減少社会を見据えた住宅政策の方針につきまして、立ち入った現在の住宅状況についての分析を踏まえて斬新な御提言をいただきまして、ありがとうございました。
 人口が減少していく、住宅が余ると。そのことはそれを好機として捉えますれば、生活空間を倍増できると。暮らし空間倍増。所得の倍増ではなく暮らし空間が倍増できるということです。それに伴いまして今は単婚小家族をベースにした家になっておりますけれども、三世帯同居も可能になります。必ずしも常に同居しているというわけではなく、お越しになったときにお子様が生まれたときなどは、おじいちゃん、おばあちゃんに特におばあさんに見てもらうということもできるということで、そうしたものを我々は必ずしも家を所有するのではなく、定期借地、定期借家などの制度を活用して、広く豊かなきずなの深まるようなそういうライフスタイルをこれから提言していきたいと。
 詳しくは、くらし・環境部長のほうから申し上げます。
○議長(中谷多加二君) 伊熊くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
○くらし・環境部長(伊熊元則君) 多文化共生についてのうち、県営住宅における外国人入居者への対応についてお答えいたします。
 県では、新規に県営住宅に入居する外国人に対して外国語「すまいのしおり」やビデオによりまして日本での生活習慣やルールについて丁寧に周知案内を行うとともに、入居者から具体的な苦情が寄せられた場合には、戸別訪問や電話などにより速やかな対応に努めてきております。
 しかしながら、依然として県営住宅の外国人入居者の生活ルール等に関する苦情は多く、昨年度は県が受けた苦情件数の四分の一近くを占めております。
 こうしたことから、今年度は団地入居者の相互の理解を深めるための新たな試みとしまして、中部地域の外国人入居者が多い団地において自治会長など団地役員にも参加していただきまして、共同生活のルールや住まい方などについて意見を交換し合う場を設けたところであります。
 今後は、こうした取り組みを外国人入居者の多い他の地域にも広げるとともに、通訳の積極的な活用による円滑な意思疎通や団地自治会、地元市町との連携を図りながら、入居者同士が相互の理解と協調のもとに安心して快適に暮らせるコミュニティーづくりを目指してまいります。
 次に、人口減少社会を見据えた住宅政策の方針についてであります。
 住生活の向上及び環境への負荷の低減を図るためには、住宅をつくっては壊す社会からよいものをつくってきちんと手入れして長く使う社会への移行によりまして、良質な住宅の循環利用を図っていくことが、これからの時代に求められると考えます。
 本県におきましても人口減少社会を迎え、住宅の需要そのものが低下し空き家が次第に増加してきており、その有効な活用が住宅政策にとりましても大変重要な課題であると認識しております。
 このため県では、不動産関係団体と連携し既存住宅の安全性や傷みぐあいなどの性能を表示する制度の普及、新築住宅に比べ価格的に取得しやすい空き家を市場に流通させるシステムの構築などを進めることにより、子育て世帯を初め居住ニーズの異なるさまざまな世帯の皆様に適した既存住宅を選択できるようにしてまいります。これまで長年にわたり蓄積されてきた住宅ストックが一部でも利用されないことは、社会的な大きな損失でございますので、既存住宅の有効活用を積極的に推進してまいります。
 また、次期の総合計画におきまして暮らし空間倍増を住宅施策の柱に位置づけを大きくいたしまして推進をし、これによりますと居住空間が広がることによりまして先ほど知事もおっしゃいましたが、三世帯居住が可能となるということがございます。そうなれば祖父母――おじいさん、おばあさんがお孫さんの世話を見る、面倒を見るというようなことも十分可能だということでございますので、これにおきまして安心して子供を産み育てやすい環境が整うということが期待されますので、この施策を積極的に推進することにより、これからの人口減少社会を見据えた住宅政策にもつなげていきたいということで考えてございます。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 避難所の機能充実についてお答えいたします。
 避難所の運営に当たりましては、災害時要援護者や女性への配慮、さらに最近ではペット対応を望む声もありますことから、県では避難所運営マニュアルや避難所運営ゲームHUGの普及促進に努めてきたところでございます。
 このような中、第四次地震被害想定で示したような超広域災害が発生をすれば避難所生活はより長期化いたしますことから、さらにきめ細かな避難所の運営が求められ、避難所運営マニュアルやHUGのより一層の普及と徹底が必要であると考えております。
 避難所に指定されている学校には、学校関係者と市町及び自主防災組織の役員で構成します連絡会議がございますので、県といたしましてはこの会議の場を利用して避難所開設時の初動態勢の検証を図ってまいりますほか、要援護者や女性などへの配慮ができますよう県の避難所運営マニュアルの活用、HUGの奨励を呼びかけてまいります。あわせて市町には必要とされる物資の備蓄を進めるよう働きかけてまいります。
 また、きめ細かい避難所の運営につきまして自主防災新聞や出前防災講座などの機会を通じて県民の皆様への啓発を行いますとともに、自主防災組織でマニュアルが活用されHUGが実施される仕組みを市町と連携して構築するなど災害時に避難所が適切に運営されるように取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 東日本大震災を踏まえた医薬品の確保対策についてお答えいたします。
 県では、これまで災害時の医療救護に必要な医薬品やその管理、調剤業務等を担う薬剤師を確保するため、災害拠点病院などの医療機関には医薬品の備蓄を促すとともに、静岡県医薬品卸業協会等との医薬品調達協定や公益社団法人静岡県薬剤師会との薬剤師派遣協定を結ぶなど体制整備を図ってまいりました。
 しかしながら、医薬品集積場所での仕分け作業や慢性疾患を抱えた避難者への調剤業務等に苦労した東日本大震災の教訓を踏まえると、大規模災害発生時においては県内外からの支援医薬品等や薬剤師を円滑に受け入れ、必要なところに効率的かつ的確に供給、配置していく仕組みが重要であると考えております。
 そこで、ことし五月に全面改定いたしました静岡県医療救護計画に救護所等における医薬品等のニーズの把握とマッチング及び薬剤師の配置調整を適切に行う災害薬事コーディネーターを新しく規定し、九月には静岡県薬剤師会からの推薦のあった薬剤師百二十七名を委嘱したところであります。
 現在、静岡県薬剤師会と連携し研修会を実施しておりますが、県といたしましては今後繰り返し訓練等を行うことで対応力の向上を図り、災害時の医薬品等の確保体制の充実強化を行ってまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 小笠山総合運動公園エコパの今後の利用についてお答えいたします。
 小笠山総合運動公園は、本県スポーツの殿堂として国際大会や全国大会を開催するにふさわしい県内でも最高水準となる競技施設の提供を目的として設置しており、県では県営都市公園有料施設使用基準を定め、国際陸上大会やサッカー国際親善試合等の大規模大会を優先開催してきたところであり、二〇一九年に開催されるラグビーワールドカップの試合会場としての誘致活動も進めているところであります。
 また、園内のさまざまな施設を活用してコンサートなどの文化イベントやB級グルメスタジアムinエコパ、自然体験学習や健康づくりのイベントなどを積極的に開催し、地元住民の皆様はもとより県民全般に広く親しまれる公園となっております。
 スタジアムに関しましては、ピッチいわゆる芝生部分の利用は国際大会、全国大会、Jリーグ等が開催可能な水準を維持するため年間の利用を七十日程度に制限しております。このような制限の中で優先利用として県高校サッカー選手権や陸上競技大会等、多くの県民の皆様が参加する大会にも活用しているほか、一般利用枠を設け地元チームの試合にも利用していただいております。
 県といたしましては、トップレベルの大会開催が可能な芝生の水準を維持するため、スタジアムのこれ以上の利用日数の拡大は困難であることから一般利用枠をふやすことを検討するとともに、補助競技場や人工芝グラウンドなど園内他施設の利活用を促進し地元の皆様に愛されるエコパスタジアムを目指してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 食の都づくりにおける食育についてお答えいたします。
 学校における食育につきましては、望ましい栄養、食事のとり方に加え地域の食文化等を学習するとともに、感謝の心を培い食事のマナーや作法を身につけるよう指導しております。議員からも御紹介がありましたように、十二月四日に日本の伝統的な食文化であります和食のユネスコ無形文化遺産への登録が決定いたしました。このことからも食育の重要性はますます高まっていくものと考えております。
 学校におきましては、栄養教諭等が中心となり給食の時間等を通して食の楽しさ、食べ物の大切さ、食べるときの姿勢や食器の並べ方などを指導しております。また生産者との会食や授業参観、給食試食会を開催するなど地域や保護者と連携した食育を推進しているところであります。
 県教育委員会では「学校における食育ガイドライン」を作成し研修会等で活用するとともに、親子でつくる学校給食メニューコンクールを実施し、食育のさらなる充実に努めております。
 現在、より実践的な食育を行っていくために食事の挨拶、箸の達人、地域の食材と郷土料理等の内容を取り上げた食に関する学習指導案集を作成しているところであります。
 今後は、学校においてこの指導案集の活用等により食事の作法や人間関係づくり、和食を初めとした食文化等を尊重する食育を推進し、地域や家庭と連携して子供たちの健康で豊かな人間性の育成に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 山本貴史君。
       (二番 山本貴史君登壇)
○二番(山本貴史君) 時間が一分を切ってしまいましたので、要望を幾つか述べさせていただきたいと思います。
 まず、避難所の機能充実につきましては、HUG等を通じてということでございました。しかし避難所に例えば千人規模の人たちが来るといったときに、地域の人たちはどれぐらいの物資が必要だとか、どういうことが必要かとか、なかなかそういった情報がない状況の中で今訓練等行っております。ある程度の目安として、この避難所には大体このぐらいの物資、三日間、一週間をしのぐためにはこれぐらいの物資が必要ですよという、そうした何らかの目安となるようなマニュアルみたいなものがあれば、地域の中でまたそうした自助、共助の中で備えを充実させていくと思いますので今後ぜひそうした取り組みをしていただきたいと思います。
 また、エコパの活用につきましては、利用枠を拡大をしていただけるということでございました。地域の中からも芝生等を利用して例えば市民大運動会をやりたいというような住民の皆さんからそうした夢を語るような希望もございます。東京オリンピックの開催なんかも決まっておりまして、やっぱり市民の皆さん県民の皆さんが、スポーツにより親しみたい健康づくりをしたいという方々はふえてくると思いますので、ぜひその辺も柔軟に対応していただきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。(拍手)

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp