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平成30年2月静岡県議会定例会
議員提出議案の提出、提案理由の説明及び採決 【 採決 】 発言日: 03/16/2018 会派名: |
○議長(杉山盛雄君) 異議なしと認めます。本案は、それぞれ原案どおり可決することに決定しました。
報告します。書記に朗読させます。
(書 記 朗 読)
議員提出第1号議案「静岡県手話言語条例」の提出について
上記の議案を別紙のとおり、地方自治法第112条及び静岡県議会会議規則第14条第1項の規定に
より提出します。
平成30年3月16日
静岡県議会議長 杉 山 盛 雄 様
提出者 静岡県議会議員
吉 川 雄 二 藤 曲 敬 宏 櫻 町 宏 毅 中 田 次 城
早 川 育 子 佐 地 茂 人 諸 田 洋 之 落 合 愼 悟
宮 城 也寸志 増 田 享 大 山 本 貴 史
(提案理由)
手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関する基本理念、県等の責務及び役割ととも
に、手話の普及に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な基本的事項を定め、もっ
てろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会の実現を図るため、条例を制定するも
のである。
(以下掲載省略)
○議長(杉山盛雄君) お諮りします。
議事日程に追加して、ただいま報告した議員提出議案第一号を議題とすることに御異議ありませんか。
(「異議なし」と言う者あり)
○議長(杉山盛雄君) 異議なしと認め、そのように決定しました。
議員提出議案第一号を議題とし、説明を求めます。
六十三番 吉川雄二君。
(六十三番 吉川雄二君登壇 拍手)
○六十三番(吉川雄二君) 上程されました議員提出第一号議案「静岡県手話言語条例」について、提出者を代表してここにその提案理由を御説明申し上げます。
本年十月に設置された手話言語条例案検討委員会において、自民改革会議から提案された条例案について関係団体との意見交換や市町からの意見聴取を行うとともに県民意見の募集を実施し、協議、調整を重ねてまいりました。その結果を踏まえ本議案を委員全員の合意をもって提出するものであります。
手話は音声によらない目で見る視覚言語であり、聾者の方々が永々として守り続けてきた大切な言語であります。この言葉をもって聾者だけではなく聾者以外の人たちとも意思の疎通を図ってきたのであります。しかしながら残念なことに、長年にわたり手話は言語として認められてきませんでした。平成十八年に国際連合総会が採択した障害者の権利条約において、初めて手話は言語であると定義されたのであります。その後手話に対する国際的な認知が広がり、今日手話を憲法や法律に言語として位置づける国がふえつつあります。我が国においても平成二十三年の障害者基本法の改正により言語に手話を含むことが明記されました。しかしながら今日、その社会的認知は決して進んでいるとは言えません。
そこで、これまでの歴史的経緯を踏まえ手話を言語として明確に位置づけるとともに手話の普及を促進し聾者を含む誰もが地域社会の一員として生活できる社会を実現することが今日、まさに我々に与えられた責務であります。
本条例では、第三条に基本理念、第四条に県の責務、第五条に市町との連携及び協力、第六条及び第七条に県民、事業者等の役割を定めています。そして第八条に計画の策定及び推進、第九条から第十五条に県や学校における手話の普及のための取り組みなどについて定めています。
さて、本条例は人間的なる何者か、人をして人足らしめるものは何かといった人間の根源的な領域に踏み込まなければその意義は見えてこないのであります。手話は言語である、この極めて当たり前の事実を我々は何ゆえかくも無関心に放てきしてきたのか。それが健常者ゆえのこととしたなら、私はそこに人間の限界と愚かさを感じるのであります。
戦後日本が生んだ知の巨人、田中美知太郎の言葉は必ず過去からやってくるという言葉もまた過去からやってくるのであります。それゆえ我々が我々の過去に存在するように言葉もまた我々の過去に存在するのであります。我々が所有する過去がなければ我々の人格が成立せぬように、過去から運ばれし言葉がなければ我々の人格は成立しないのであります。ゆえに手話もまた言語であるはまごうことなき真実であり、これを否定することは実に人格を毀損することであります。
我々は言葉によって思考するのであります。それゆえ言葉と思考は不可分にして一体であります。ホモロクエンス、いわゆる人間が言語動物たるゆえんであります。人をして人足らしめるもの、実にそれは言葉であり、そういう歴史や過去を我々が所有することであります。手話もまた言語であるという事実はかかる論理に裏づけられるものであり、それゆえこの事実を否認することは、それは人権を否定することにほかならないのであります。
手話は言語であるという事実は、いつの世にも普遍する真理であります。天が下に普遍する真理などないと平素断言してやまない、吉川の言説であります。賢明なる議員諸兄なら必ずや御理解いただけるものと確信してやみません。
文芸評論家であり、政治評論家でもあった福田恆存は聖書の中のなんじらのうち誰か百匹の羊をもたんに、もしその一匹を失はば、九十九匹を野におき失せたるものを見出すまではこれをたずねざらんや、かかるキリストの言葉を引喩し福田恆存は九十九人を救えても残りのその一人においてその無力を暴露するならば政治とはそも一体何ものぞと慨嘆しているのであります。ことほどさようであります。
百人いれば百人の人の幸せを構築するのが政治であります。一人の落後者も許してはならないのであります。これこそがまさに福祉行政の要諦であります。この上は満場の議員諸兄の御賛同を切に懇願申し上げ、提案理由の説明といたします。(拍手)
○議長(杉山盛雄君) 以上で説明は終わりました。
提案者の説明に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と言う者あり)
○議長(杉山盛雄君) 質疑はないものと認めます。
お諮りします。
本案は、委員会付託を省略することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と言う者あり)
○議長(杉山盛雄君) 異議なしと認め、そのように決定しました。
討論については、通告がありませんので、討論はなしと認めます。
これから採決します。
議員提出議案第一号「静岡県手話言語条例」を採決します。
本案は、原案どおり可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と言う者あり)
○議長(杉山盛雄君) 異議なしと認めます。本案は、原案どおり可決することに決定をいたしました。
議事の都合により、休憩します。
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