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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

坪内 秀樹 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
(1) 令和二年度当初予算編成  
(2) 次期総合戦略の策定  
(3) リニア中央新幹線整備への対応  
(4) 文化力の拠点整備  
2 県民の生命・財産を守る危機管理体制の強化について  
(1) 台風十九号被害への対応  
  ア 災害対策の強化  
  イ 被災した事業者への支援  
(2) 地域の安全を守る交番、駐在所の整備  
3 医療・福祉の充実について  
(1) 社会健康医学大学院大学と健康寿命の延伸に向けた取り
組み  
(2) 地域包括ケアシステムの推進  
(3) 医師確保対策  
(4) 公立・公的医療機関の再編統合  
4 教育・人づくりの充実について  
(1) 地域と密着した県立高校の運営  
(2) 教育現場におけるいじめやハラスメントへの対応  
5 次世代産業の創出と競争力の強化について  
(1) ファルマバレープロジェクトにおける地域企業の参入促
進  
(2) CSF(豚コレラ)対策  
6 本県の魅力を活かした観光・交流の促進について  
(1) ラグビーワールドカップ二〇一九の総括  


○議長(鈴木利幸君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十四番 坪内秀樹君。
       (十四番 坪内秀樹君登壇 拍手)
○十四番(坪内秀樹君) 皆様おはようございます。私は自民改革会議の坪内でございます。質問に入ります前に一言申し上げます。
 十月十二日に上陸した台風十九号は県内を初め全国各地で甚大な被害をもたらしました。この災害でとうとい命を落とされた方々の御冥福をお祈りしますとともに、今もなお不自由な生活を強いられている皆様にお見舞いを申し上げます。また復旧と復興に携わっておられるあらゆる立場の方々に感謝と敬意を表します。
 それでは、私は自民改革会議を代表し通告に従い一括質問方式で知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長及び警察本部長に当面する県政の諸課題についてお伺いをいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、令和二年度当初予算編成についてお伺いをいたします。
 本県の経済状況は、日本銀行静岡支店の発表によれば景気は緩やかに拡大しているものの、海外の経済減速を受け輸出や企業生産が減少をしております。また中小事業者の方々からは景気回復の効果を十分享受できない苦しい経営状況の中、歯を食いしばって事業を続けているとの声もよく伺うところであります。景気の行き先は不透明感が増しており、税収を初め歳入の確保は容易ではなく来年度当初予算編成は近年になく厳しいものになるのではないかと懸念をしております。
 県は来年度の予算編成に当たり予算編成五箇条を掲げました。エビデンスに基づく政策立案やビルド・アンド・スクラップによる事業選択、多様な主体との連携、共創など着実な実施による成果が求められます。限られた財源を有効に使うためには、県はやった方がよい施策ではなく県民にとって真に必要な施策に集中的に投資をすることが重要と考えます。
 県民にとっての真に必要な施策とは、大規模自然災害に備える防災・減災対策や県民に身近な生活環境の整備、実効性のある地域包括ケアシステムの構築、地域企業の活力向上などであると考えます。スクラップするものと真に必要なものをしっかりと見きわめることが肝要であります。
 県は、来年度当初予算編成要領において誰もが活躍できる社会の形成など三つの指定テーマを定め新ビジョンの実現に向けた取り組みを加速すると伺っております。
 そこで、この指定テーマに基づく事業について具体的にどのようなものを想定しているのか、そして最終的に当初予算をどのような形にまとめていくおつもりなのか、県の所見を伺います。
 次に、次期総合戦略の策定について伺います。
 県が平成二十七年に策定した美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略は、今年度が計画期間最終年度を迎え次期総合戦略の策定作業が進められています。一方現行の総合戦略や長期人口ビジョンを振り返ると、本県が目指すべき将来の姿として二〇六〇年に三百万人程度の人口の確保を実現するため、二〇二〇年までに合計特殊出生率を二・〇七と社会移動の均衡を目指す取り組みが進められてきましたが、残念ながら現在の本県は目指す姿と大きく乖離していると言わざるを得ません。
 少子化対策については、二〇一七年の地方公共団体における統計利活用表彰で総務大臣賞を受賞したふじのくに少子化突破戦略の羅針盤を鳴り物入りで導入し、その分析結果に基づき昨年度までの二年間で市町に対し一億四千万円以上の交付金を交付したものの、合計特殊出生率は二〇一八年には一・五〇に低下するなど成果が上がったとはとても言えません。また社会移動についても外国人県民は増加傾向にあるものの、日本人の転出超過に歯どめがかかっていない状況にあります。
 このように、合計特殊出生率二・〇七や社会移動の均衡の実現についてはこの五年間の取り組みで改善が図られなかったという現実を直視するべきです。短期間での達成は現実感がなく、中長期的な視点で目指すべき目標ではないでしょうか。
 次期総合戦略では、現戦略での課題が顕在化した合計特殊出生率の低下や転出超過について要因分析をしっかり行った上で計画期間中に達成が可能な現実的な目標を掲げ、一つ一つ着実に成果を積み上げていくことが重要と考えます。
 そこで、次期総合戦略の策定に向けた県の考えを伺います。
 次に、リニア中央新幹線整備への対応について伺います。
 県はこれまでJR東海と対話を続けてきたものの、他県側へのトンネル湧水の流出問題についてJR東海が根拠を示さないなど具体的な工法の議論には至らず協議は進んでおりません。国土交通省は議論が膠着する状況を踏まえ去る十月二十四日、事務次官が県庁を訪れて知事と面談しました。その結果国土交通省が主導する形で国、静岡県、JR東海の三者による新たな枠組みを設けることで意見が一致したと伺っております。
 しかし知事がその後、国交省鉄道局では協議を仕切れないとし環境省や農林水産省を協議に加えるよう求めたことなどにより新たな枠組みはまだ設置されておりません。またJR東海の水資源対策について国土交通省が文書で見解を示すと聞いた旨の発言や他県の知事を批判するような発言、リニア新幹線のルート変更を求めるともとれる発言が知事から出されたこともあり、ようやく関係者がテーブルに着くと思いきや一歩進んで二歩下がる、事態は混迷を深めております。現在は新たな枠組みをどう設置するか入り口部分の条件闘争の様相を示しており、いつ協議が行われるのか見通せない状況です。見ようによっては知事の発言によって時間が浪費されているともとられかねず、あらぬ批判を浴びかねないという懸念をいたします。
 協議というものはお互いに信頼関係を築くことが大前提でありますが、このままでは今後事態を明らかにし課題を解決するにも支障を生じかねません。九月定例会以降知事は記者会見の場などでこの問題に対するみずからの考えを述べてきたところでありますが、たびたび飛び出す知事の新たな発言に関係者は大いに振り回されているようにも見えます。こうした状況を見ると、いま一度議場において知事みずからの考えをきちんと整理をして説明し県民及び関係者の理解を得る必要があると考えます。
 そこで、リニア新幹線整備に関する諸課題の解決に向け今後どのように道筋をつけどのように対応していくおつもりなのか、知事の考えを伺います。
 次に、文化力の拠点整備について伺います。
 文化力の拠点につきましては、これまでも我が会派の質問において整備方針や導入機能などについてただしてきたところであります。県は本年三月に取りまとめた施設整備にかかわる県方針をもとに民間事業者から事業計画案を公募し、その結果も踏まえながら施設の内容や規模、管理運営方法についても具体化を図るとしておりました。
 こうした中、県の説明によれば県方針において先行整備を想定した機能のうち民間提案によるホテルや立体駐車場等の整備の想定を白紙にし、県立中央図書館などの機能に限って一期整備として県主体で先行整備をする方針を固めたとのことであります。
 もとはといえば、県は平成二十六年度に東静岡周辺地区の整備に関する有識者会議においてふじのくにの文化力を生かした地域づくり基本構想をまとめ、東静岡から日本平、三保松原に広がる地域の整備について壮大な構想を示したものであります。その中心的施設である文化力の拠点が整備方針の変更を余儀なくされた今、少なからぬ時間とコストをかけてつくった壮大な基本構想は何のためのものだったのか疑問が残るところであります。またそもそも文化とは地域が共有している生活様式を言うものであり、地域や民間が積極的に参画しないような施設が文化力の拠点と言えるでしょうか。
 この文化力の拠点の一期整備は事業費が二百三十億から二百七十億円に上るとも言われ、箱物としては川勝県政始まって以来の大型投資であります。当面の民間活力活用の前提が崩れたことによりこれまで描いていた最終的な姿も容易に見通せなくなってしまいました。貴重な税金を使う事業として妥当な計画だったと言えるのか疑問であります。今後の整備についてはさまざまな課題が生じており、県は県民が納得できる説明をする必要があります。
 具体的には、今回の変更により建設や運営管理に関する県負担がどれだけ増加するのか、現在の県立中央図書館の入館者数が直近の十二月三日は四百六人程度である中、今後先行整備する新図書館が大きな集客力を生む根拠があるのか、食・茶・花の都と位置づけるフードコート等はどのような必要性があり具体的にどのようなものを整備するのか、AI、ICT拠点にはどのような企業が入りどのような機能を備えるのか、それが実現可能とする根拠は何であるのか、後続の整備計画に民間参入が本当に見込めるのか、整備の全体計画が本当に実現可能なのかなどさまざまな部分において大いに懸念されるところであります。これまでの想定が大きく変わる中、しっかりと課題を整理して現実的な内容に計画を見直すことも必要ではないでしょうか。
 そこで、文化力の拠点整備方針を変更になった理由とさきに述べた懸念に対する見解を伺います。またこれらを踏まえ今後の施設整備をどのように進められるのかあわせて伺います。
 次に、県民の生命・財産を守る危機管理体制の強化について伺います。
 まず、台風十九号被害への対応についてのうち、災害対策の強化について伺います。
 記録的な大雨をもたらした台風十九号は、関東・東北を中心に、各地に大きな爪跡を残しました。本県でも三名の方のとうとい命が犠牲となりました。また約三千棟に及ぶ住家被害のほか公共土木施設や農作物、生産施設などの被害、東部地域では断水発生など近年にはない大きな被害に見舞われました。被災された皆様のことを思うと大変心が痛みます。
 さて、県は目下被災された方々の生活再建支援を初め被災地の復旧に向けた取り組みを進めているところでありますが、今後風水害は激甚化、頻発化が懸念され今回の台風十九号レベルの災害が毎年起きても不思議ではない状況になりつつあります。そのため復旧対策に力を尽くしつつ、今回明らかになったさまざまな課題に真摯に向き合い分析し今後の対策に生かしていくことが重要であります。
 例えば、まず今後も頻発化、激甚化する水害を踏まえた治水対策を進めることが必要です。また市町が作成したハザードマップや県の作成した総合防災アプリなどの周知や小規模河川の浸水想定区域など、避難に必要な情報の住民への事前提供が十分ではなかったことも課題であったと認識しております。さらに多くの方が避難所に押し寄せ入り切れなかった避難所があったとも聞いております。このように治水などのハード対策の着実な推進とあわせて確実な避難を促すソフト対策を進めることも、重要性を再認識したことが今回得た教訓であると考えます。
 そこで、県ではこれらの課題を踏まえ今年度の補正予算及び来年度当初予算において災害対策の強化にどのように取り組んでいくおつもりなのか伺います。
 次に、被災した事業者への支援について伺います。
 台風十九号は農業を初めとする本県の事業活動にも甚大な被害をもたらしました。
 まず、農業分野では東部地域を中心にビニールハウスが浸水しイチゴ、トマトなどの園芸作物が泥水をかぶるとともに暖房機などの内部設備が冠水するなど九億円を上回る被害が生じております。また農地・農業用施設関連では農地畦畔の崩壊や農業用の用排水路の破損などで被害額は十五億円余り、森林・林業分野では林地の崩壊や林道の路肩決壊などにより被害額は二十七億円余りとなったほか、水産業分野でも中部地域や東部地域の漁協の荷さばき施設や給油施設などに一億五千万円余りの被害が出ております。さらに商工業分野でも製造業や小売業を中心に浸水等による建物被害や機械設備の損壊など被害は十五億円余りに上ると伺っております。
 このように甚大な被害を受けますと再建には膨大な時間と費用が必要となります。被災をきっかけに事業継続を諦める事業者が出かねないと危惧しております。そのため安心して事業活動が継続できるよう施設整備の再建、修繕等に対する支援や適時適切な情報発信など、被災事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を行うことが不可欠であると考えます。
 そこで、県では被災した事業者への支援についてどのように対応していくのか伺います。
 次に、地域の安全を守る交番、駐在所の整備について伺います。
 現在、県内には交番二百九カ所、駐在所百二十三カ所、合計三百三十二カ所配置されております。県警察では交番・駐在所を生活安全センターと位置づけ要望把握、問題解決、情報発信の三つの活動を柱として地域の実態や住民の要望に即した活動を展開されていると承知をしております。
 現在、多くの交番・駐在所は一定の犯罪抑止効果等が認められ現在地が適地とされていることも承知をしておりますが、地域によっては宅地開発に伴う居住人口の急増、新規商業施設の誘致などに伴う人の参集や新規道路の開通に伴う交通流の変化などにより事件事故の発生が危惧される地域も新たに見受けられます。これまで県警察が優先的に進めてきた津波浸水区域にある交番・駐在所の移転は一定のめどが立ったとも伺っております。さきに述べたように社会情勢の変化により交番・駐在所の移転等が必要であればこれを検討することも重要であると考えます。
 そこで、交番・駐在所の移転、新設等にかかわる方針または住民からの要望や住民説明などへの対応状況について警察本部長に伺います。
 次に、医療・福祉の充実についてのうち、社会健康医学大学院大学と健康寿命の延伸に向けた取り組みについて伺います。
 本県の健康寿命は、県当局は直近三回の平均で全国第二位と述べておりますが、三回前は第一位、前々回は第二位、そして前回は第六位と発表のたびに全国順位が低下している状況にあります。また女性の健康寿命については前回の調査では延びるどころか縮んでしまっている状況にありました。
 本県は、日本一の健康づくりをスローガンに昭和六十二年度から健康増進対策を重点施策の一つとして積極的に取り組んできたと思います。現在では第三次ふじのくに健康増進計画に基づき取り組みを進めています。具体的には国民健康保険データを活用し六十八万人ものデータを分析し各地域ごとの健康状況を見える化するなど、全国に先駆けた取り組みを進めてきたと考えます。そうした中での健康寿命の全国順位の低下は驚きを禁じ得ません。
 このような状況の中、県は本年十月下旬に静岡社会健康医学大学院大学の設置認可申請を国に対して行いました。この大学院大学は従来の公衆衛生学にゲノム医学や医療ビッグデータなど新技術、ICTを活用した新たな視点に加えその枠組み、可能性を広げた社会健康医学を教える学府であり、本県の健康寿命の延伸を図るための人材育成と研究を行う知の拠点であると伺っております。
 そこで、知事はこの大学院大学で育成する人材、研究成果を生かし本県の健康寿命の延伸に向けどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、地域包括ケアシステムの推進について伺います。
 地域包括ケアシステムは、県民が住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう地域の実情に応じて医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供されるものであります。厚生労働省によれば、保険者である市町村や都道府県が地域の自主性や主体性に基づき地域の特性に応じてつくり上げていくことが必要とされております。しかしシステムの実現に向けた取り組みは市町によって進捗に差があるように見受けられ、県全体として上手に円滑に進められているのか懸念があります。
 団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年は間近となりました。地域包括ケアシステムの実現のためには医療と介護の一体的な提供体制の構築が必要であります。また医師や訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャー、介護サービス担当者、栄養士など幅広い専門職の人材確保が急務であり、各地域において市町とこうした多様な主体との連携強化も求められます。また地域において介護予防や生活支援を進める体制づくりも重要です。地域包括ケアシステムが真の意味で機能するため県が積極的に関与をし、これらの課題解決に取り組むことが重要と考えます。
 そこで、取り組みのおくれによる市町間格差を生むことなく実効性ある地域包括ケアシステムを構築するためどのように取り組むのか、県の所見をお伺いをいたします。
 次に、医師確保対策について伺います。
 この案件はこれまでも多くの先輩、同僚議員から質問がされておりますが、喫緊の課題であり改めて伺うものであります。
 本県は医師不足が叫ばれて久しく、国の調査結果でも平成二十八年十二月末現在の本県の人口十万人当たり医師数は二〇〇・八人と全国平均の二四〇・一人を大きく下回り全国第四十位にとどまっております。また本年国が定めた医師偏在指標でも本県は全国第三十九位の医師少数県であり、二次医療圏別にも西部と静岡が医師多数区域とされた一方で中東遠、富士、賀茂の三つの圏域は医師少数区域に位置づけられるなど本県の医師不足と地域偏在は依然として深刻な問題となっています。
 こうした中、県は従前より医学修学研修資金の貸与を中心とする医師確保の取り組みを推進しており県内で勤務を開始する利用者も順調に増加していると伺っております。一方でこの制度は貸与の一・五倍の期間県が指定する医療機関で勤務すれば返還が免除されるというものであり、そもそも貸与が短期間の場合返還免除のための勤務期間も短くなるという課題があります。医師不足解消のためには単なる医師確保のみならず、その定着促進が不可欠であります。
 こうした考えのもと、県は今議会に医学修学研修資金制度の改正案を提出したと承知しております。また医師確保と偏在解消のためには地域医療を支える医師会など関係機関との緊密な連携も必要です。県内への医師の呼び込みを図り医師が不足する医療機関と医師のマッチングを進めるなど関係機関と連携して、一歩踏み込んだ取り組みを進める必要があると考えます。
 そこで、医学修学研修資金の制度改正や医師会など関係機関との連携強化により今後の医師確保と県内定着促進、偏在解消にどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、公立・公的医療機関の再編統合について伺います。
 去る九月二十六日、厚生労働省から地域医療構想の実現に向けて公立・公的病院等の二〇二五年に担う医療機能の再検証を要請する全国で四百二十四病院の名称が公表されました。そのうち本県では十四の病院が対象とされました。今回の対象選定に当たっては、厚生労働省が各医療機関の受診診察実績データをもとに疾患の領域ごとに、診療実績が特に少ない、または診療実績が類似し所在地が近接しているという全国一律の基準で機械的にリストアップしたものです。これには個々の地域の事情は全く反映されていません。
 例えば、本県の対象病院には災害拠点病院などに指定され地域医療を確保するためになくてはならない病院も含まれており、現場の状況を踏まえていない乱暴なやり方であると感じます。また厚生労働省は分析の内容や妥当性について都道府県や該当医療機関に対し事前の十分な説明もなく唐突に公表したということによりこれらの病院を統廃合するかのようなイメージを与え、入院患者や周辺住民、働く医療従事者に大きな不安を与えることとなりました。県民の誰もが安心して医療サービスを受けられる体制を確保するためには地域の実情を踏まえた丁寧な議論が必要であり、地方としても国に対して主張すべきは主張していく必要があると考えます。
 そこで、地域の医療提供体制の現状を踏まえ公立・公的病院等の具体的対応方針の再検証要請に対して今後どのように取り組みを進められていくのか、県の考えを伺います。
 次に、教育・人づくりの充実についてのうち、地域と密着した県立高校の運営について伺います。
 本年四月、県立高校入学者数は約二万一千人で十年前に比べ二千人減少しております。このような中で私立高校の授業料無償化の対象が拡大され入学者の動向が注目されるほか、全国的に通信制高校の生徒数が年々ふえているなど学び方の多様化が進んでいると感じます。将来の夢に向かって学び続ける子供たちにとって進学先の選択肢が多くなることはよいことですが、これまでも多くの生徒を受け入れてきた県立高校の責務は引き続き大きく、さらに魅力向上に不断の努力が求められます。
 私は、県立高校の強みは歴史と伝統、それに伴う人脈、そして文化の磨き上げであると考えます。この強みを生かし魅力を高めるためには地域のかかわりが不可欠であると思います。
 県立高校では各校特色を生かした学校づくりに取り組んでおりますが、地域の一般住民の方々には余り知られていないのが現状です。地元の小中学校や地域企業、市町行政との連携をさらに進め、多くの住民を巻き込んで県立高校を地域の資源として地域が一体となった学校運営を進めることにより地域の子供が入学し、卒業して地元で働く流れをつくることが重要だと考えます。
 そこで、地域と密着した県立高校の運営によりさらなる魅力の向上を図る取り組みをどのように進めるのか、教育長の考えを伺います。
 次に、教育現場におけるいじめやハラスメントへの対応について伺います。
 教員が教員をいじめるという前代未聞の事態が兵庫県の小学校で発生しました。いじめは許されないということを指導する立場の教員が何をやっているのかという批判も巻き起こっております。この事件では校長が問題を把握していたにもかかわらず被害教員からの訴えを軽視し、加害教員には口頭での注意にとどめ市の教育委員会に詳しい報告をしていなかったと報道されております。学校内での問題解決の体制が機能していないのが原因と考えられます。
 学校の常識は世間の非常識という言葉があるように、一般社会と比べ学校は閉鎖的な環境に置かれていると言わざるを得ません。教育評論家の尾木直樹氏は学校は閉鎖的な村社会だとも論じております。同様の事態を防ぐためにも学校内の問題が隠蔽されることなく解決できる仕組みを構築すべきだと考えます。
 あわせて、教員の人権意識の希薄化もこの事件に関係していると思われます。あらゆる場において個人の尊厳を認め合う人間を育成するために人権教育も必要だと思います。
 そこで、教育現場におけるいじめやハラスメントの対応について県教育委員会としてどのように取り組んでいるのか、また今後のさらなる取り組みをどのようにしていくのか、教育長の考えを伺います。
 次に、次世代産業の創出と競争力の強化についてのうち、ファルマバレープロジェクトにおける地域企業の参入促進について伺います。
 本県は、日本屈指のがん専門病院である静岡がんセンターを中心として医療健康産業の集積を図るファルマバレープロジェクトを推進しており、医薬品、医療機器の合計生産額が全国一位となるなど目覚ましい成果を上げております。
 一方で、地元中小企業にとって医療健康産業分野は薬事関連の法規制により参入障壁や研究開発費が高額など敷居が高く感じられ、参入にちゅうちょするといった話を聞くこともあります。プロジェクトをさらに拡大していくためには地元企業の参入促進を強化することが重要であると考えます。
 浜松にある次世代自動車センターでは、地元中小部品メーカー等に対し自社の固有技術を認識、活用することにより取引先に対する提案力を高める支援を行っていると聞いてきました。ファルマバレープロジェクトにおいても、例えば点滴用の支柱やワゴンなど比較的参入がしやすい医薬用品や介護・福祉分野も含め幅広い製品の開発支援、さらにはネットワークの強化などによりビジネスチャンスを広げこれまで以上の地元中小企業の医療健康産業への参入を促す必要があると感じております。
 プロジェクトの第三次戦略計画においても、地域企業が元気になり地域経済の持続的な発展を描き、取り組みの方向として地域企業の参入や研究成果を活用した製品化、世界市場を含めた販売支援を行うことがうたわれております。医療健康産業が地域にしっかりと浸透して根づくことがこのプロジェクトの真の成功と言えると考えます。
 そこで、地域企業の医療健康産業への参入促進に向けてどのように取り組むのか伺います。
 次に、CSF対策について伺います。
 CSF、いわゆる豚コレラは昨年九月岐阜県の養豚農場で発生して以来現在までに全国で約十五万頭の豚が処分される事態となっております。去る十月十八日、本県でも藤枝市内の野生イノシシにCSFウイルスの感染が初めて確認されました。これに伴い本県はワクチン接種推奨地域に指定され、十一月三日より県内飼養豚へのワクチン接種が実施されました。県や関係者の速やかな対応により必要な対策が迅速に進められたことについては大いに評価するものであります。
 しかし、これでCSFを根絶できたわけではなく養豚農場での衛生管理の徹底、野生イノシシ対策など引き続き緊張感を持って感染拡大防止対策に取り組む必要があります。また今後生まれてくる豚へのワクチン接種や抗体検査などは継続して行う必要があり、実施体制の構築も重要な課題であります。
 そこで、養豚農場へのウイルス侵入防止や野生イノシシによる蔓延防止、今後のワクチン接種等の実施体制の構築について県はどのように取り組むのか伺います。
 次に、本県の魅力を生かした観光・交流の促進についてのうち、ラグビーワールドカップ二〇一九の総括について伺います。
 先月二日、ラグビーワールドカップ二〇一九が大盛況のうちに閉幕しました。本県開催の四試合では約十七万六千人もの方々が観戦し、中でも九月二十八日には日本が世界ランキング二位のアイルランドに劇的な勝利を飾り全国民が歓喜に沸いたのは既に御承知のとおりであります。一方でそれが全てが順調にいったわけではなく想定外のこともありました。
 全国に甚大な被害をもたらした台風十九号の襲来により釜石などでの三試合が中止を余儀なくされたほか、本県でもファンゾーン静岡会場が中止になるなど影響が出ました。来年の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けて、このような想定外の事態にも的確に対応できる体制の構築が望まれます。また今ワールドカップによる本県経済への波及効果を検証し得られた経験値を今後にしっかりとつなげていくべきと考えます。
 さらには、九月定例会における我が会派の木内議員の代表質問に対する答弁で掲げていた大会成功への定義についても成果をしっかりと検証し評価を知らせるべきと考えます。
 そこで、今大会で得られた成果や課題を踏まえ来年の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックにつなげていくためにも、県としてもこのラグビーワールドカップ二〇一九本県開催をどのように総括しているのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 坪内議員の力強い代表質問、ありがとうございました。
 まず、私の政治姿勢についてのうち、令和二年度当初予算編成についてお答えいたします。
 来年度当初予算につきましては新ビジョンの取り組みの加速を基本に編成いたします。特に取り組むべき重要かつ横断的テーマとして第一に誰もが活躍できる社会の形成、第二に人口減少や超高齢化に適応した持続可能な社会の形成、第三に最先端技術の活用による豊かさを実感できる社会の形成を設定いたしまして、これらに対応する取り組みにつきましては優先的に財源を配分いたします。
 まず、具体的には第一の誰もが活躍できる社会の形成でございますけれども、技芸を磨き才と徳とを兼備するいわゆる才徳兼備の子供を育み障害の有無、性別、国籍、年齢などにかかわらず誰もが意欲を持って活躍するための施策の充実を図ります。
 また、第二の人口減少・超高齢化に対応しましては、安全で安心して快適に暮らすことができるように激甚化する災害に対応した地域防災力の強化や健康寿命の延伸、医療・福祉体制の充実を図ります。
 第三の最先端技術に関しましては、ICT  インフォメーション、コミュニケーション、テクノロジー、この最先端技術を危機管理、医療・福祉、教育、産業などさまざまな分野での課題解決に活用いたしまして、またあわせて地域企業などの生産性向上にもつなげてまいります。
 これらの取り組みを進めるためには多額の財源が必要となります。海外景気の減速など県内経済を取り巻く状況は不透明さを増しているのは県議御指摘のとおりであります。このためこれまで以上に徹底した事業の見直しと歳入の確保に取り組みまして、県民の皆様にとって真に必要な施策に集中的に財源を投入いたします。
 来年度当初予算は令和の時代になって最初の当初予算となります。これまで進めてまいりました健全財政を堅持しつつ、誰一人取り残さない社会を理念に掲げるSDGsのフロントランナーといたしましてその自覚と誇りを持って新しい時代にふさわしい富国有徳の美しいふじのくにの人づくり・富づくりに向けた予算を編成いたします。
 次に、次期総合戦略の策定についてであります。
 本県の美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略は本年度が計画の最終年度となりますことから、総括の仕方が新しい出発の仕方を決めるという考えのもとでこれまでの取り組みを総括し次期総合戦略の策定につなげてまいります。計画全体としては順調に進捗しているとの御評価をいただいておりますが、一方合計特殊出生率の向上とか若者を中心とする転出超過の是正に向けた取り組みを強化すべきであるという御意見もいただいております。
 少子化対策につきましては、子育ての不安感また負担感の軽減や家計の経済的支援などにより未婚化あるいは晩婚化といった社会の大きな潮流を変えていく取り組みでございまして継続的な取り組みの積み重ねが重要です。
 このため、市町と一体となりましてふじのくに少子化突破戦略の羅針盤を活用した好事例の横展開を図ります。また結婚を希望される若者への出会いの場の提供、待機児童の解消を初めとする子育て環境のさらなる充実などによりまして県民の皆様が望む数の子供を産み育てられる社会を実現してまいります。
 転出超過につきましては、若者へのアンケート調査をいたしましたところ就職時に本県へ戻らない理由として、やってみたい仕事や勤め先がない、給与水準の高い仕事がない等々といった意見が寄せられております。また県民会議では若者の代表者から魅力ある県内企業の情報が学生に届いていないことが課題だという御指摘もいただきました。
 このため、新産業集積クラスターなどの先端産業創出プロジェクト間の新結合  両者を結びつけるということでございますが  あるいは新たなサービス産業の振興などにより魅力ある雇用の場の創出に取り組みます。またふじのくにパスポート  カードでございますけれども  そこにQRコードが組み込まれており静岡県の情報が更新されながら発信されます。そうした形での情報提供の充実や若者が主体的に本県の魅力を発信する仕組みを構築いたします。
 議員から御指摘いただきました合計特殊出生率、あるいは人口の社会移動率というのは社会情勢や国の政策の影響を大きく受けるものであります。従って中長期的に捉える必要があります。
 このため、次期総合戦略では目指すべき具体的イメージとして位置づけましてその向上を図るための施策と現実的な重要業績評価指標、いわゆるKPIを掲げ着実に成果を積み上げてまいります。
 目指す将来の方向を県民の皆様と共有することが大切です。ともに未来を拓くための礎となる次期総合戦略の策定に向け真に実効性の高い施策を構築するべく全力を傾注いたしますので県議会の議員の皆様の御支援、御協力を賜りますように改めてお願いを申し上げます。
 次に、リニア中央新幹線整備への対応についてであります。
 リニア中央新幹線は、我が国日本の大都市間の高速かつ安定的な旅客輸送を実現し災害時の防災力強化にもつながりますことで整備の意義には私は一貫して賛同してまいりました。
 一方、命の水である大井川の水資源、またユネスコエコパークに登録された南アルプスの貴重な自然環境へ悪影響が生じるようなことがあってはなりません。これは許されることではないと考えております。リニア中央新幹線の整備と大井川の水資源、南アルプスの自然環境の保全、これらをどう両立させるか、両立させるというのが大目標でありまして、この大きな課題に信念を持って臨んでいるところであります。
 九月三十日には、昨年十一月以降の静岡県中央新幹線環境保全連絡会議内に専門部会を二つ設置いたしました。その専門部会におけるJR東海さんとの対話を踏まえトンネル湧水の全量戻しや中下流域の地下水への影響、水が減る減水に伴う生態系への影響などいまだ検討が不十分である項目が四十七項目にも達しております。こうした四十七項目を引き続き対話を要する事項として取りまとめてJR東海に対応を求めました。
 十月二十四日、国交省の藤田事務次官がこちらのほうにお越しくださいまして面談いたしました際、国交省鉄道局が交通整理役となる新たな枠組みを構築したいという御提案をいただいたところであります。
 ところが、これまでの対話の中でJR東海は工事の一定期間トンネル湧水を大井川水系に戻せない工法で進めようとしていることが判明いたしました。大井川中下流域における住民の皆様の生活や産業などさまざまな分野に深刻かつ重大な悪影響、取り返しのつかない悪影響を及ぼしかねない事態であります。
 こうした不測の事態に対応していくためには、水資源の確保や自然環境の保全について所管をしていない国交省鉄道局だけの知見では不十分であります。それゆえ環境省や農林水産省など水資源、自然環境に関連するさまざまな省庁が、いわば国を挙げて対処しなければならないと考えております。
 先月、大井川流域の複数の市長さん町長さんが国交省の江口技術審議官の訪問をお受けになった際に環境省や農林水産省も新たな枠組みに加わってほしいとの意見を伝えられたと承知しております。また本県選出の国会議員の皆様へリニア中央新幹線工事における静岡県の状況について御説明をいたしましたところ、その際にも関係する省庁には加わっていただいて協議すべきであるという御意見もいただきました。
 今後、関係する、また関連する省庁が参加する新たな枠組みにおいて交通整理をしていただいた上で専門部会において引き続き対話を要するさきの四十七事項についてJR東海と科学的根拠に基づいた対話を進めます。
 リニア中央新幹線整備と大井川の水資源、南アルプスの自然環境の保全との両立に向けまして県議会議員の皆様のお力添えも賜りながら県民の皆様の不安を払拭できるように全力で取り組んでまいります。
 次に、文化力の拠点の整備についてであります。
 東静岡からは名勝日本平、さらには三保松原に広がる地域の陸の玄関口が東静岡駅南口であります。その県有地における文化力の拠点の形成に向けましては基本構想や基本計画案を尊重するのは言うまでもありません。
 しかし、不測の事態が生じました。それは県立中央図書館にひびが見つかりましてこのままでは使えない危険であるということで、そこで全面建てかえという結論と相なりました。そこで同じ場所で建てかえるのか、それとも全館を違った場所に移転するのかということで衆議一致いたしましたのは東静岡に新たな新県立中央図書館を全館移転してそこに建築するべきであると。これは極めて大きな事案の変更ということになったわけであります。しからばどれぐらいの規模にするのか、何冊ぐらい収容することのできる図書館にするのか、現代二十一世紀に応じた中央図書館はどういう役割を持つべきか等々の議論が新たに生じたというわけであります。
 もとより、旧来の計画案におきましても研究図書につきましては県立の図書館の中にあって学習図書といいますか普通の人々が気楽に訪れられる図書館というものは持てると、持とうということになっておりましたけれども、研究図書も含めて全部この新県立中央図書館に持ってくるということになりましたのでここはやはり慎重に、しかしこれは極めて重大な、知的なこの拠点でございますから英知を結集して議論をしなくちゃならないということになったということが、これに要した時間は私は決して無駄であったとは思っておりません。十分に納得ずくめで衆議一致して、いわば万機公論に決して図書館はつくるべきであるというふうに考えておりました。
 そうした中で、平成二十九年九月にお示しした県立中央図書館を中心とした施設を先行整備するという方針になりまして今日に至っております。今回老朽化によって緊急な建てかえ、また移転が必要となりました県立中央図書館などの施設を県が主体となってこれは整備をいたします。
 整備に当たりましては、設計、管理運営までコスト管理の視点を重視いたしまして県負担が増加することのないように努めるのは言うまでもありません。図書館につきましては人口約百九十万の岡山県で年間来館者が百万人です。また人口約八十万人、お隣の山梨県において九十万人を達成しております。本県の人口は三百六十万台であります。この本県におきまして魅力ある図書館を整備すれば、それに応じた集客を生むことは十分に可能であるというふうに考えております。
 食・茶・花の都につきましては、さてどれが一番大切でしょうか。私は学生時代昼食、夕食の食費を削って本を買って勉強した思いがありますが、腹が減っては戦ができぬという言葉がありますが腹が減って勉強するのはなかなかにつらいものであります。腹が減っては勉強ができません。花を見てても気力は出てきません。お茶をがぶ飲みしても勉強意欲は腹の足しにはなりません。従って食の都が一番重要であると。しかもただいま農業担い手サミットが全国からリーダーを集めて行われておりますけれども、静岡県が四百三十九の食材がある食材の王国であり、また食の都の仕事人が今四百九十名を超えております。西・中・東それぞれすばらしいものがあり、そこでこの少なくともワンフロア全てが食の都、そしてさまざまな食を楽しめる空間になるというのは、これは必要であるというふうに思っております。図書館に来なくても食を楽しむために来られる方もあっていいというふうに思うわけであります。
 こうした中で、県内各地の特色ある食の都を中心にして県内各地の特色ある食材の活用、また食の都づくり仕事人などにより静岡の食の魅力を発信いたしまして体感できる施設の整備を進めていこうということでございます。
 さらに、百年に一度と言われる産業構造の大転換を迎えている今、経済の持続的発展を支える基盤技術がAIあるいはICTでございますからこうした専門技術者や先端企業の集積を図る必要はやはり考えておかねばなりません。こうしたことからAI、ICT人材の技術力向上やベンチャー企業、起業家などが交流できるスペースを設置するということでAI、ICT関連人材、企業の確保・育成に向けた拠点も整備しなければならないと考えております。
 今後につきましては、施設整備計画について県議会の皆様の御意見を十分に承りまして県民の皆様の御意見を反映した上で年度内を目途に策定してまいりたいと考えております。その後、令和二年度以降に設計、工事に着手して令和六年度の施設完成を目指してまいります。
 県といたしましては、この文化力の拠点が本県の高い文化力の発信や新たな文化の創造、若者を中心とした県民の学び、交流を創出する、多様な人々を引きつける施設となるように県議会の皆様の御意見を十分に伺いながら取り組みを進めてまいります。
 次に、医療・福祉の充実についてのうち、社会健康医学大学院大学と健康寿命の延伸に向けた取り組みについてであります。
 本県では、これまで日本一の健康県を目指しましてふじ三三プログラムあるいは減塩五五プログラム等々他県に見られない先進的取り組みを行ってまいりました。御案内のとおりであります。近年全国的な健康志向の高まりとともに、他県におきましても健康増進施策が積極的に展開され全国で健康寿命の上昇が顕著となっております。御同慶の至りであると、こう思っておりますが若干順位が下がったというのはやはりなかなか残念ではありますので、これは一位をキープするのは難しいと思いますけれどもそれを常になさないといけないという考えであります。
 このため従来の、先ほど御指摘のございました公衆衛生学を発展させた社会健康医学、これを活用することとし知と人材の集積拠点  知というのはインテリジェンスのことでありますが  知と人材の集積拠点として仮称ではありますけれども静岡社会健康医学大学院大学を設立することといたしました。これまでの健康増進施策をさらに発展させ、科学的根拠に基づいた新しい取り組みに挑むことによって健康寿命の延伸につなげていこうということでございます。
 この大学院大学につきましては、医療ビッグデータあるいはゲノム医学などの最新の学問を取り入れます。こうした研究を行って、その成果として得られる科学的知見を健康長寿に役立つ具体的知識や知恵として県の施策に反映するというこういう段取りを考えております。これらのことは県民の皆様にわかりやすく提示してまいります。
 例えば、人間の行動を科学的に理解し具体的な行動へ導く行動医科学というのもございます。あるいは健診、医療、介護データを中心とした医療ビッグデータというのもございまして、こうした領域における研究成果を踏まえて県民お一人お一人が望ましい生活習慣を知らず知らずのうちに継続して取り組める新しい手法、これを施策に生かしていきたいと考えています。
 また、大学院大学では地域医療のリーダーや県民の健康づくりを支える健康づくり実務者など健康寿命延伸の取り組みにおいて中核となる人材を養成いたします。これらの人材が健康情報学、ヘルスコミュニケーションなどの領域における研究成果を踏まえた情報伝達手法を身につけることで健康に無関心な方々にも効果的に情報をお伝えし、健康増進のための具体的行動へとつなげていくことで健康寿命のさらなる延伸が目指せると考えております。
 県といたしましては、大学院大学による科学的知見に基づく健康増進施策を進めましてオール静岡で健康寿命日本一、いや世界一の奪還に向けまして全力で取り組んでまいる所存であります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木利幸君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 県民の生命財産を守る危機管理体制の強化についてのうち、台風十九号被害への対応について、お答えをいたします。
 災害対策の強化についてでありますが、台風十九号では県内各地で多数の住家に浸水被害が発生しました。主な原因といたしましては記録的な大雨が降ったことや降雨と高潮が重なったことなどにより萩間川や木屋川など本川が氾濫したり、堂川や宗光寺川など支流の水が狩野川など本川に流入できず氾濫したことなどが挙げられます。今後も風水害が頻発化、激甚化するおそれがありますことから、県ではこれまでも進めてきた河川改修や河道掘削などの緊急対策を一層推進するとともに、今回浸水被害が発生した地区ごとの要因分析を進め効果的なハード対策を検討してまいります。
 また、これまで水防法の対象となる四十六河川につきまして洪水ハザードマップの基礎資料となる洪水浸水想定区域の設定を本年五月に完了しておりますが、台風十九号では水防法の対象となっていない河川でも浸水被害が発生をしており、こうした河川で洪水浸水想定区域を設定する必要性を改めて認識したところです。このため洪水浸水想定区域を設定しない四百七十三の全ての県管理河川につきまして来年度末を目途に区域設定をする方針とします。本議会でお諮りしている補正予算により、まずは浸水被害のあった河川を含む百三十六河川において着手をしてまいります。
 さらに、本年六月に運用を開始した総合防災アプリ「静岡県防災」では気象情報や避難に必要な緊急情報等のほか洪水ハザードマップもスマートフォン等で確認できることから、出前講座などで積極的な活用を呼びかけ避難の実効性向上を図ってまいります。また市町があらかじめ想定した避難者数を上回る方々が避難所に避難し受け入れが困難になった市町がありました。国の避難勧告等に関するガイドラインを踏まえ、避難所への避難に加えて近隣の安全な場所への避難や建物内のより安全な部屋への移動等についても周知してまいります。
 さらに、市町に対しましては住民に身近で安全が確保された地区の公民館等も避難所として活用することを推奨するなど避難所の確保と運営体制の強化を図ってまいります。
 県といたしましては、ハード・ソフト一体となった災害対策を強化するため必要な事業費の確保に努め安全・安心な地域づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 県民の生命財産を守る危機管理体制の強化についてのうち、台風十九号被害への対応についてお答えをいたします。
 被災した事業者への支援についてでありますが、このたびの台風十九号は河川の増水による農作物、農業用ハウスの冠水や工場の浸水、強風による漁港施設の破損など県内産業に甚大な被害をもたらしました。このため県では被災者の当面の資金繰りとして運転資金等として活用できる低利融資制度の農林水産業災害対策資金や中小企業災害対策資金を発動したところであります。
 また、国は今後の本格的な復旧、再建に向け被災した農林水産業者や中小企業に対する支援策を打ち出しました。県ではこれら国の施策も取り込みながら被災した農業用ハウスの撤去や復旧、農業用機械の修繕等に対する県と市町による上乗せ助成やワサビ種苗の購入費への助成など復旧、再建に向けた取り組みを加速化するための補正予算案を本議会でお諮りしているところであります。
 このほか、農地・農業用施設及び森林・林業分野につきましては農地や林道ののり面崩壊などの被害に対し激甚災害の指定により国の補助率のかさ上げが適用される災害復旧事業等を活用し迅速に事業を実施していくほか、水産業につきましても共同施設の破損などの被害に対し施設の復旧及びリニューアルに係る経費の助成や農業者、水産加工業者等への資金融通の迅速化に努めてまいります。
 さらに、商工業につきましては工場の浸水などの被害に対し国の中小企業への支援策と連携して施設や機械設備等の復旧対策を速やかに実施することで被災した中小企業等の再建を強力に支援してまいります。
 県といたしましては、被災された事業者の皆様が安心して事業活動を継続できるように施設設備の再建等に対する支援をスピード感を持って実行してまいります。また国や経済団体など関係機関とともに支援施策の情報発信をきめ細かく行うなど被災された事業者の方々に寄り添い一刻も早い復旧を目指してまいります。
 次に、次世代産業の創出と競争力の強化についてのうち、ファルマバレープロジェクトにおける地域企業の参入促進についてであります。
 ファルマバレープロジェクトは、平成十四年の事業開始以来企業の医療健康産業への挑戦を積極的に支援してまいりました。これまでに約五十の地域企業が新規参入を果たし百二十件以上の製品の事業化に成功しております。また医薬品、医療機器の合計生産金額は九年連続で全国一位となるなどプロジェクトは着実に進展しております。
 その推進力となるファルマバレーセンターは、医療現場のニーズと地域企業の技術シーズを結びつけ研究開発から事業化、販路開拓まで一貫した支援を行っております。議員御指摘のとおり医療機器開発には薬事関連の法規制による参入障壁が存在し、人体へのリスクが高くなるほど開発の過程は長く厳しいものとなります。
 そこで、ファルマバレーセンターでは参入を希望する企業が比較的容易な製品開発から着手できるように患者用枕など医療用品のニーズの提供や参入リスクを軽減するための大学や研究機関などと連携した試作品の製作などきめ細かな支援を行っております。また超高齢社会を踏まえ介護・福祉関連製品の需要が高まっておりますことから、これまで培った医療機器開発のノウハウを高齢者の自立に向けた製品の開発に生かす健康長寿・自立支援プロジェクトを開始いたしました。介護・福祉現場の多様なニーズを幅広い産業分野の地域企業に結びつけることでさらなる参入の促進を図ってまいります。
 このほか、ネットワークの強化に向けましては本県が進める先端産業創出プロジェクトの相互連携を進めてまいります。コーディネーター間の緊密な連携体制を構築するとともに、各プロジェクトの関連企業の技術情報をデータベース化して公開し効果的なマッチングを後押しすることで、例えば次世代自動車の精密加工技術を生かした医療機器の開発など異分野の融合による新たな製品開発を促してまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みによりまして地域企業のすぐれた技術を生かした製品開発をこれまで以上に力強く支援し地域企業の医療健康産業への一層の参入促進に注力をしてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 小嶋警察本部長。
       (警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) 県民の生命財産を守る危機管理体制の強化についてのうち、地域の安全を守る交番、駐在所の整備についてお答えします。
 初めに、交番・駐在所の移転、新設等に係る方針についてであります。
 交番・駐在所の移転や新設に当たりましては、人口動態や世帯数、事件事故の発生状況、道路の開通による交通流の変化や周辺の開発状況など地域におけるさまざまな実情を総合的に勘案し移転や新設の必要性を検討しております。その上で地域住民の利便性や犯罪の抑止効果、周辺の交番・駐在所との警戒力のバランス、第四次地震被害想定等の災害による影響などを考慮して適地の選定に努め施設の建てかえ時期などを捉えて整備を推進しております。
 次に、交番等の設置に係る住民からの要望や住民説明などへの対応状況についてであります。
 交番等の設置要望は県下各地から数多く寄せられており、警察活動に対する県民の期待のあらわれとして受けとめております。要望を受けた際には設置の必要性について検討を行うとともに、災害による影響や地域住民の利便性などを考慮して適地性の検証を行い警戒力のバランスなどにも配慮しながら対応しているところであります。また交番等を整備する際にはさまざまな機会を通じて地域住民への説明を行うとともに交番速報やミニ広報紙を活用して周知に努めているほか、地元自治体を初めとした関係機関に説明を行うなど地域の方々の御理解を得ることに努めております。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 医療・福祉の充実についてのうち、地域包括ケアシステムの推進についてお答えいたします。
 高齢化が急速に進行する中、全ての地域において医療や介護などの必要なサービスが一体的に提供される地域包括ケアシステムの実現は大変重要であり、県ではこれまでも市町と協力してその構築に取り組んでまいりました。
 しかしながら、地域ごとに医療や介護のサービス提供体制等が異なっているため、市町における地域包括ケアシステムの進捗に格差が生じないよう県では毎年全市町にヒアリングを行い、課題を共有した上で関係団体等とも連携し市町単独では解決が困難な課題につきまして重点的に取り組んでおります。
 地域包括ケアシステムの実現には多様な主体による連携強化が欠かせないことから、患者情報等を効率的に共有することのできる静岡県医療・介護連携情報システム「シズケア*かけはし」を活用し多職種が協力して課題解決に取り組むモデル事業を県内十四地域で実施するとともに、成果報告会等を通じて他の地域への好事例の横展開を図ることで各地域の実情に応じた取り組みを促進しております。
 また、事業者の少ない市町におきましても必要な介護予防サービスや生活支援サービスが提供されるよう今年度高齢者の移動支援や買い物支援、通いの場づくりなどについて民間事業者等と市町のマッチングに取り組み全県的にサービスを提供できる体制づくりに努めております。
 今後も、県民の皆様が住みなれた地域で安心して暮らせる社会を実現するため関係団体との連携を強化し県内くまなく地域包括ケアシステムが構築できるよう積極的に市町を支援してまいります。
 次に、医師確保対策についてであります。
 医師確保は県民の皆様が健やかな生活を送るための最重要施策であると認識しております。このため全国最大規模の実績を誇る医学修学研修資金の貸与や県外七大学を含む全国最多の地域枠の設置など各種の取り組みに注力してまいりました。
 特に、医学修学研修資金につきましては本年四月一日現在の利用者が累計で一千名を超え県内勤務者も四百六十一名を数えるなど着実に成果を上げております。一方で昨年度の新専門医制度の開始に伴い首都圏等に専攻医が集中する傾向が顕著となっており、返還免除勤務終了後県外へ流出してしまう利用者の増加が懸念されております。
 このため、来年度から医学修学研修資金の貸与期間を原則六年間とすることで利用者のキャリア形成を長期にわたり支援しその県内定着を促進するとともに、医師不足地域への効果的な配置による地域偏在の解消を図ってまいります。
 また、現在医師確保に係る基本方針や具体的施策等を内容とする医師確保計画の策定を進めているところであります。策定に当たりましては、医療対策協議会等を通じ関係団体の皆様から専攻医の確保や高齢医師の活躍促進等に向けた取り組みの強化が必要であるなどの御意見をいただいております。このため県内での就業を希望する医師と病院、診療所などの医療機関の双方のニーズを丁寧に把握して結びつける仕組みの構築など県内への医師の確保と地域偏在の解消につながる新たな取り組みについても検討を進めてまいります。
 県といたしましては、県医師会、県病院協会等の関係団体を初め浜松医科大学などの県内外の大学、病院、市町とも密接に連携しながら医師の確保と偏在解消に努め県民の誰もが必要なときに必要な医療を受けることができる安心・安全な地域づくりを進めてまいります。
 次に、公立・公的医療機関の再編統合についてであります。
 県では、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年の医療需要に対応した医療提供体制を確保するため、平成二十七年度に地域医療構想を策定し八つの構想区域ごとに市町や医師会、病院等で構成する地域医療構想調整会議において構想の実現に向けた協議を進めてまいりました。
 しかし、厚生労働省は全国的に病床の削減や病床機能の転換などが進んでいないとの認識から九月下旬に二〇二五年に担う医療機能の再検証を要請する医療機関名を公表いたしました。今回の選定方法につきましては区域ごとに病院の数や病床数、役割分担が異なることを考慮していない上、既に医療機能を転換した病院も含まれるなど数多くの問題点があると考えております。
 このため、県では十一月二十二日に厚生労働省の担当官を招いて該当病院や関係機関が参加した意見交換会を開催いたしました。該当病院などからは唐突な公表への不満や地域の合意に基づいて確立された連携体制の尊重など本県の実情を訴えたところであります。
 県といたしましては、該当病院を初め関係者の皆様に区域の総意となる方針を策定いただき、その具体化に向けた支援を通じて県民の皆様が住みなれた地域で安心して暮らしていける地域医療の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 教育・人づくりの充実についてのうち、地域と密着した県立高校の運営についてお答えいたします。
 時代とともに変化する社会のニーズに対応して魅力ある学校づくりを推進するためには、議員御指摘のとおり地域と連携協働しながら県立高校を運営することが極めて重要であると考えております。
 令和四年度から実施される高校の新学習指導要領におきましても、社会に開かれた教育課程が重要な教育理念としてうたわれており、県教育委員会ではこれまでの地域との連携協力をさらに進化させ地域の方々が学校運営に参画する取り組みを進めております。
 具体的には、熱海高校や榛原高校が地元企業、小中学校、自治体等とコンソーシアムを構築し地域課題の解決に向けた体系的なカリキュラムを組むことによりコミュニティーを支えるリーダーの育成に取り組んでおります。県立高校におきましては地域の方々が参画する学校運営協議会を設置し、学校運営に地域の意見を反映させるコミュニティ・スクールの導入を進めております。本年度は松崎高校、静岡城北高校、天竜高校をモデル校に指定し各学校の設置学科や立地条件等に応じた研究を進めております。
 今後は、全ての県立高校につきましてコミュニティ・スクールを計画的に導入し、地域と密着した学校運営により学校の特色を明確にすることで地元の中学生や保護者に選ばれるよう県立高校の魅力化の向上に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木教育部長。
       (教育部長 鈴木一吉君登壇)
○教育部長(鈴木一吉君) 教育・人づくりの充実についてのうち、教育現場におけるいじめやハラスメントへの対応についてお答えいたします。
 いじめやハラスメントは決して許されない人権侵害であり、議員御指摘のとおり教職員一人一人の人権意識の醸成と早期に相談できる仕組みづくりが大変重要であると考えております。
 県教育委員会では、教員を対象に人権教育研修会や年次別研修でのグループワーク等を開催しているほか人権教育の具体的な学習例等をまとめた人権教育の手引を各学校に配布しており、このような取り組みを通じて教職員の人権感覚の向上に努めております。
 相談体制といたしましては、各学校において養護教諭等を相談員に指名しハラスメントなどの相談に対応しているほか、匿名でも通報できる窓口として県教育委員会事務局に加え外部の弁護士を窓口とした通報制度を整備しており、問題の芽をいち早く発見し早期に解決できるよう充実を図っております。
 今後は、国におきまして労働施策総合推進法が改正され、いわゆるパワハラ対策が事業主の義務として規定されたことから本年度中に学校におけるパワハラ対策の強化に向けた指針を策定することとしております。子供たちにいじめは許されないと指導する学校において教職員間のいじめやハラスメントはあってはならないことであります。
 県教育委員会といたしましては、人権に関する研修会の開催や早期発見、未然防止につながる相談体制のさらなる充実によりいじめやハラスメントのない学校の実現に向け積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 次世代産業の創出と競争力の強化についてのうち、CSF対策についてお答えいたします。
 十月十八日、藤枝市の死亡野生イノシシから県内で初めてCSFの感染が確認されました。これを受け県では十月二十四日に静岡県CSF防疫対策本部を立ち上げ、養豚農場への侵入を全力で阻止するため全庁を挙げてCSF対策に取り組んでいるところであります。
 まず、養豚農場へのウイルス侵入防止対策を徹底するため家畜伝染病予防法第三十条に基づき県内全ての農場に緊急消毒用石灰を配布し養豚農場の一斉消毒を行いました。また野生イノシシの侵入を防止する防護柵の設置を促進するため国の助成制度に県が上乗せ助成することとし、そのための経費を本議会にお諮りしているところでございます。加えて消毒用の動力噴霧器や畜舎等への防鳥ネットの設置も促してまいります。
 野生イノシシでのCSFウイルスの蔓延防止対策につきましては、藤枝市で感染イノシシが確認された地点からおおむね半径十キロメートル圏内で捕獲を強化するとともに、十一月十三日からその外側で経口ワクチンの散布を実施しております。また山梨県韮崎市の養豚農場でのCSFの発生を踏まえ今月からは富士宮市、小山町などでも新たに経口ワクチンの散布を実施してまいります。
 豚への予防的ワクチン接種につきましては、県内で飼養されている約七万九千頭の豚への初回接種を十一月十八日に完了し、哺乳中のため接種できなかった約一万四千頭の子豚につきましても十一月二十六日から離乳後に接種を実施しております。初回接種の豚につきましては免疫付与が十分でない豚が認められた場合は追加接種を行ってまいります。
 今後も、生まれてくる子豚へ継続的にワクチンを接種していく必要がありますことから、県職員の家畜防疫員に加えまして民間の獣医師を非常勤家畜防疫員として採用しワクチン接種に支障が生じないよう実施体制を構築してまいります。
 CSF対策につきましては、ワクチンを接種してもウイルス感染のリスクが残ることやウイルスに感染した野生イノシシを完全には排除できず養豚農場へのウイルスの侵入リスクが残りますことから、県といたしましては今後とも緊張感を持って国、市町、関係団体等と連携しながら養豚農場への感染防止に万全を期してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 植田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 植田基靖君登壇)
○文化・観光部長(植田基靖君) 本県の魅力を生かした観光交流の促進についてお答えいたします。
 ラグビーワールドカップ二〇一九の総括についてでありますが、日本列島を、そして世界中を熱狂と興奮の渦に巻き込んだラグビーワールドカップ二〇一九が大盛況のうちに幕を閉じました。静岡県開催に当たりましては多くの方々に多大なお力添えをいただきました。改めまして御尽力いただきました関係の皆様方に感謝申し上げます。
 県では、大会の開催に当たり主に三つの目標を掲げて取り組んでまいりました。
 第一に、チケットの販売促進や交通輸送などの開催都市としての責務遂行でありますが、本県開催四試合の観客数は首都圏を除く地方開催の三十一試合の中でベストフォーを独占いたしました。また交通輸送や警備に大きな混乱はなくボランティアの活動も含めて円滑に大会を運営することができたほか、ファンゾーンも連日大変にぎわうなど多くの県民の皆様に一生に一度のラグビーワールドカップを心から楽しんでいただくことができ、本県の役割を果たせたものと考えております。
 第二に、本県の国際的なプレゼンスの向上でありますが、JR愛野駅前おもてなしエリアやファンゾーン等におきまして観光や県産品等の情報を積極的にPRしたほか、九月二十八日に日本が世界ランキング二位のアイルランドに勝利した歴史的快挙はシズオカ・ショックとして世界中に報じられ、静岡の国際的な存在感やエコパの知名度を飛躍的に向上させることになりました。
 第三に、ラグビーが持つ道徳的価値の学校教育への活用でありますが、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンなどのラグビー精神を子供たちの人格形成に生かすためラグビー授業を実施したほか、小中高生等を対象とした観戦招待では二万五千人もの子供たちに世界最高峰の熱戦の感動と興奮を体感いただき、子供たちの心からの声援や楽しそうな笑顔が大会の価値を大きく高めてくれました。
 一方で幾つかの課題もありました。ファンゾーンが東部地域に設けられなかったこともあり大会の盛り上がりが県中西部に偏在しておりました。また来場した外国人へアンケート調査を行ったところ七割近くの人が県内に宿泊した一方、本県への滞在日数は多くの人が一日から二日と短期間であったほか飲食や買い物での多言語表記の不足を指摘する声もありました。
 今後、こうした課題を整理するとともに経済波及効果等も検証した上で来年の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向け着実にバトンをつないでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君)  十四番 坪内秀樹君。
       (十四番 坪内秀樹君登壇)
○十四番(坪内秀樹君) さまざまに御答弁いただきましてありがとうございました。
 それでは、一問要望させていただき一つ再質問させていただきます。
 まず初めに、リニア新幹線整備への対応についてであります。
 久しぶりに新聞や記者会見の知事の発言を見た中で初めて私は、リニアと自然環境の両立ということをしっかりと明言された、全く思いは一緒であります。しかしながらその今までに至るまでの手法が少し違ったのかなというふうに思っているところでございます。
 先ほど質問でも述べましたが、協議や交渉はお互いの信頼関係のもとに行われるべきだと思います。知事は信頼関係が損なわれるような行動は慎んでいただきながら、問題の解決に向けて議論する入り口での駆け引きだけではなくてお互いの信頼関係のもとしっかりと真正面から意見を主張して両立の可能性を見出していただきたいというふうに要望をしておきます。
 もう一つは、文化力の拠点整備について再質問をさせていただきます。
 知事の図書館への思いは重々伝わってまいりました。しかしながら県が民間提案によるホテルなどの整備を白紙とする判断に至った具体的な理由が何だったのか余りよく聞き取れなかったので、改めてお伺いしたいと思います。答弁求めます。
○議長(鈴木利幸君) 植田文化・観光部長。
○文化・観光部長(植田基靖君) 文化力の拠点整備についてお答えいたします。
 民間の事業の参入についてですけれども、計画自体は基本計画を尊重してそちらに沿った整備を進めてまいります。ただこの整備の段階としてまずは図書館を中心とした施設を整備するということで、どこまで民間の整備と一緒にできるかということで民間の方々に事業計画案公募ということで行いました。そのときに民間の業者の方々から提案をいただいたんです。中身については非常に積極的なものもありました。ただなかなか初期投資が過大になるということ。またその過大になるということと、あと図書館のにぎわいについてまだまだ現実化していないということでその辺のところを危惧し、なかなか民間の方々のリスクというのがとるのが難しいというところもありましてその辺が折り合いがつかないところがありました。
 ということで、図書館を中心にした整備についてまずは整備を進めまして、にぎわいを創造してから二期に移りたいということで計画しております。以上でございます。
○議長(鈴木利幸君)  十四番 坪内秀樹君。
       (十四番 坪内秀樹君登壇)
○十四番(坪内秀樹君) ありがとうございます。
 それでは、最後に要望を一点申し上げます。
 今、文化力の拠点の件に関しまして御説明いただきましたが、今まで民間の方たちが参加してくれるということを見誤っていたということになると思います。そして県はこの二百三十億から二百七十億というこの額の件に関しましても、県内各地で私どもも要望を聞く活動をしておりますけれども、身近な生活環境の整備などに県直轄で二百八十億円ぐらい使っていただいておりますけれどもそれでも地域の方々はまだまだ足りない、切実な御要望がありそれに全てにお答えできているわけではないのであります。
 そうした中で、たった一つの施設にこの二百三十億から二百七十億とも言われる費用を投資するのはやはり十分な議論がされないままですとよろしくないと思います。県民の皆様が理解していただけるようにしっかりと説明すべきだと思います。
 そして、そうそうたる有識者と皆さんと議論をして基本計画をつくった。その中に民間活力を積極的に導入し、最適な事業スキームを構築した上で整備を行うということが前提でありました。この方針転換をする以上さきの有識者の方々や全県民の皆様に御意見を丁寧に聞き皆様が納得、理解できるような整備計画となるよう十分な検討をしていただくことを要望いたします。
 そして、私たち議員としましては委員会等でしっかりと議論させていただきますのでよろしくお願いを申し上げます。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
○議長(鈴木利幸君) これで坪内秀樹君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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