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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

桜井 勝郎 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/07/2021

会派名:

無所属


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢が及ぼすリニア中央新幹線トンネル工事における諸課題について
 (1)新旧丹那トンネル工事における水に係る諸問題
 (2)静岡工区の工事が中止となった場合の本県への影響


○副議長(竹内良訓君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、二十一番 桜井勝郎君。
(二十一番 桜井勝郎君登壇 拍手)
○二十一番(桜井勝郎君) 私は、静岡県議会議員として県政の諸課題について通告に従い一括質問方式にて知事、副知事、関係部局長に伺います。
 さて、今年一年の知事選挙、参議院補欠選挙、衆議院選挙、そして知事の政治姿勢を絡めてリニア問題の質問に入っていきたいと思います。
 リニア問題、特に大井川の命の水問題を前面に押し出して川勝知事の強力な支援の下に当選なさった元同僚議員であります山ア真之輔氏には、遅まきながらお祝いの言葉を申し上げたいと思います。その後、不幸にも国会議員になったために個人情報が露見してしまい当選の喜びに水を差すようなことになってしまいました。人ごとではないような気がしないでもありませんが同情を禁じ得ません。
 さて、そのときの応援弁士には相手候補に対する侮辱的な発言と地域差別そしてリニア問題を訴えた方がいらっしゃいました。何の政治的理念も持たないで相手を批判侮辱するだけの応援弁士川勝平太氏は果たして県民を代表する知事としての資格があるのでしょうか。
 公職選挙法二百三十五条第二項では、当選を得させない目的をもって公職の候補者、つまり参議院の候補者に関し虚偽の事実を公にし、または事実をゆがめて公にした者は四年以下の懲役または百万円以下の罰金に処することとされています。まさに公職選挙法違反です。これについては総務委員会でしっかりお聞きしたいと思っております。
 知事選、参議院補欠で勝利したためマスコミをはじめ中央では静岡ショックと報道され、応援弁士川勝平太氏の得意満面の姿が目に浮かぶようでした。川勝知事は命の水問題でJR東海を悪者のイメージにつくり上げ知事寄りの専門部会を立ち上げ、それを一部地方紙が知事側からの不安材料は大きな見出しで扱い一方の不安を解消するような国の情報はベタ記事で扱う報道姿勢によって大井川流域の住民、県民はコシヒカリと同様誤解をさせられ不安だけをあおられ、温厚で思慮深い県民性をうまく誘導した応援弁士川勝平太氏の言葉のポピュリズムの軍門に下ったのではないでしょうか。
 ある新聞の時評にこんな文章がありました。どれほど落ち着いた人、思考力のある人でも心の中に何かしらの不安を抱えています。そしてその不安をかき立てることができたリーダーは大きな人気を得ることができると言っております。
 現在のリニアトンネル工事、命の水問題を抱えて偏ったリーダーシップを発揮している知事にぴったり当てはまります。そのせいかどうかマスコミ等から知事の選挙に対する影響力を過大に評価され自らを県民党の党首と言い始めたのです。
 褒めたたえられることや自分が主役のパフォーマンスが大好きなあなたは、ますます調子に乗って今回の衆議院選挙でも相変わらずのうぬぼれが高じて自民党候補全員を落選させるようなことを言ってしまったのです。静岡県の知事たるものが景気対策や新型コロナ対策、医療福祉等諸課題が山積しているにもかかわらず、それらの政策はほとんど触れずリニア一本で有権者に訴え対立候補を侮辱するようなアジ演説を行うのが県民を代表する県知事のやることでしょうか。時には弁士だ、あるときは政務だ公務だと訳の分からん言い訳を言っているようです。
 世論調査によると、当選者に力を入れてほしいのは景気経済が三三%、その次がコロナ対策、医療福祉、消費税と続きリニアの水問題は僅か四・六%と七番目にすぎないのです。ばかの一つ覚えみたいに他の政策はそっちのけでリニア、水だけを問題にし、特に大井川流域に関わる二区、三区の立憲民主党候補を強力に応援したにもかかわらずあなたの大嫌いな自民党は比例区を含めて候補者全員ともう一方が当選しました。それにもかかわらずリニア問題で自民党におきゅうを据えることができたと平然と言っていますが、命の水に一番関係の深い大井川流域の二区の選挙区では知事がリニアや命の水問題を絡めて相手候補を誹謗中傷し、その地域の市長まで動員させて熱烈に応援した立憲民主党侯補は自民党候補に大差で負けて比例区でも復活できなかったのです。何を勘違いしているのでしょうか。
 過去にJALへの搭乗率補償でも県が補償するという契約を交わしたにもかかわらず、一億五千三百万円を払わんと言って訴えられ、裁判所の和解勧告で僅か三百万円だけまけてもらって我々の言い分が認められて勝った勝ったと言い張ってあれから十二年、あなたは何も変わっていません。そのぶれない暴言、失言あるいは詭弁、そしてその後の言い訳、発言撤回、謝罪、二度と不適切な発言はしないと反省するも毎年ワンパターンの繰り返しであなたの学習能力はゼロです。
 業を煮やした議会も辞職勧告決議がなされましたが、権力に執着するあなたは辞める意思もなく今議会冒頭の謝罪発言ではあなたのお得意な我々を煙に巻くような歴史上の名文を連ねて陳謝しましたが、相も変わらず言い訳じみてうんざりしてしまいました。その謝罪の言葉に万機公論に決すべしと言っていますが、それが本心であるならば議会の決定に従うべきであります。いろいろな人の意見を聞くにとどめて会議の結論に従うという重要な部分を無視したことは川勝平太という人物の教養のレベルが図らずも露見してしまったのです。しょせん辞職勧告決議など平気の平太、まあ平気の平左ですな。馬耳東風なのです。議員の一部は撤回して反省しているのだから辞職勧告決議案に反対しましたが反省なら猿でもできる、その程度の反省にしか聞こえてきません。猿は一回反省すれば治ります。あなたは何回反省すれば治るのでしょうか、永久に無理です。じゃあどうしたらいいのでしょうか。解決方法はただ一つ。静岡県から去ることです。
 さて、毎年静岡県の各分野における著名人を公表していますが、静岡生まれ静岡育ちの静岡県民ならまだしも、僅か数年在籍しただけでも静岡県出身の著名人だとこじつけて静岡県の名を高めようと力を入れるのは何でしょうか。著名人をたくさん出している静岡県のトップにいるのは俺だと言わんばかりの自己顕示欲、皮肉にも全国的に静岡県が有名になったのは静岡県知事川勝平太の暴言、失言、詭弁からくるものです。あなたのそういう言動がリニア問題でも静岡県はリニア中央新幹線の工事を邪魔している、嫌がらせをしているというイメージがついてしまうのです。その誤解はコシヒカリの誤解と同じでそれを解こうとしても一度ついてしまったものはあなたの汗と同じで消すことも戻すこともできないのです。今年の選挙応援でのあなたの発言はSNSで拡散してどれだけ静岡県のイメージが傷ついたのか分かっているのでしょうか。謙虚さも奥ゆかしさも懐の深さもないあなたの責任は重大であります。
 知事は自らリニア推進派と公言し推進していると言いながら、着地点について聞かれると考えるところはあるが意思決定権限がないとうやむやにし着地点を専門部会に出した四十七項目の議論になすりつけ、国の有識者会議の出す見解が気に入らなければ烈火のごとく怒ってみせるパフォーマンスの嫌らしさ。それが彼の本性を知らない温厚なる県民は国家権力に立ち向かう勇気ある男に映るのでしょうか、残念なことです。挙げ句の果て形勢が悪くなれば四十七項目の中に入ってないものを取り上げ何の科学的根拠もない材料を持ち出して住民の不安を増幅させているのです。
 例えば、飛翔体が単体で音速を超えたら衝撃波が発生すると言われているのにリニアカーが最高速度六百キロですれ違ったら、すれ違い速度が千二百キロメートルになって音速を超え衝撃波が発生して人体に被害を及ぼすと言ってますが、リニアモーターカーの最高速度はこれは五百五キロです。すれ 違っても千二百キロにはならないです。単体物が時速千二百二十五キロメートルの音速を超えれば衝撃波は起こるのです。
 トンネルの中で停電が起きたら凍え死ぬだとか電磁石で走るから電磁波が出て脳に障害が起こるだとか、こんなたわいのないことを信じたらトンネルを通る電車も怖くて乗れませんし事故を恐れたら車にも飛行機にも船にも乗れない、電磁波を出す携帯電話も不安で使えません。今の時代、日常生活や経済活動においてリスクは付きもんであります。先ほども申したようにどれほど落ち着いた人でも思考力のある人でも何かしらの不安を抱えているのであります。そんな県民にリニアの不安材料だけを誇張して不安をあおるのはいかがなものでしょうか。それがあなたの付け目なのでしょうか。
 あなたの言動は、不確実な事実をいかにも真実であるかのように言って県民に間違った判断をさせているのです。いわゆる詭弁です。県民の安心・安全を願うのでなくあなたの過去の言動を集約すればJR東海に対する個人的な恨みからリニア問題を取り上げているにすぎないのです。
 大井川流域の住民、県民は国策であるリニア新幹線そのものを反対しているのではありません。純粋な気持ちで大井川の水を守ってもらいたいと切実に願っているから知事選では仕方なくあなたに一票を投じた人はたくさんおります。しかし当選後のあなたの言動は身勝手でただうそを交えて相手側を追い詰めているだけです。
 大井川流域の主な農産物はコシヒカリではなくお茶です。そのお茶は生産量も落ち価格も低迷し担い手不足と三重苦に見舞われ耕作放棄地がどんどん増えております。皮肉にもあなたの暴言で御殿場コシヒカリの引き合いが増えたそうですが、大井川の水がなくなると知事が言えば県内外から同情を呼んでお茶の売れ行きがよくなるのでしょうか。
 茶業だけでなく地域経済界は国の施策を頼りとする一面があります。うまく着地点を見つけてもらいたいと思っているはずです。あなたのように命の水だ、一滴たりとも渡さないと国やJR東海にけんか腰になって相手を追い詰めて妥協の余地すら与えない、あなたはそれでいい気持ち、いい気分かもしれませんが関連する住民、経済界にとってははた迷惑です。
 先般、大惨事となった熱海市の土石流被害についても数年前に土留め工事を請け負った建設業者や東部地区の組長さんもその危険性を県に訴えたにもかかわらず県側は何の対応も取らなかったと聞いております。数年前からトンネル工事に関わる大井川流域住民六十万人の命の水を守るという大儀で行政を主導して残された三百万人余の命を守ることをおろそかにした県知事側の隙が今回の熱海のような重大な事故を起こした要因の一つになっているのではないでしょうか。
 県の行政上のミスがあったのかなかったのか第三者委員会を設立して真相を究明すると言っていますが、信頼のなくなった川勝体制の下での人選で果たして中立性が保たれるのでしょうか。議会側も調査委員会を設置すべきだと私は思います。
 南アルプスリニアトンネル工事から排出される土砂は熱海市の崩落土砂の六十七倍、三百七十万立方メートルが大井川の私有地に盛土されると強調し熱海の土砂災害と同じ土俵に乗せて危機感、不安をあおって盛土条例を見直しして規制を強めると言ってます。これが制定されればリニアトンネル工事で生じる残土処理の盛土はほとんど認められなくなりトンネル工事ができなくなると自慢気に言う知事発言がありました。熱海のような大災害を二度と起こさないために適正な条例見直しをするのであればよろしいのですが、ただリニア工事阻止のために熱海の土砂災害を利用する不純な考えが見え隠れしているように思われます。
 熱海の土砂災害が県の責任問題と浮上しつつある時期に盛土規制条例を厳しく見直すのはまさか自分にかかってくる批判を県民からそらすためにやるのではないでしょうね。命の水を守るフレーズから今度はトンネル工事阻止のための土砂災害から県民の命を守るという大義名分をつくり上げるのでしょうか。あらゆる不安材料を想定してトンネル工事を止めようとする県の厳しいリスク管理がリニア並みに熱海伊豆山にも行われていたなら、この数年の知事発言に見受けられるやくざごろつき発言、図書館周辺整備反対の議員資格、菅総理の教養レベル問題、自民党におきゅうを据え落選させる等の発言や人口の大小やコシヒカリ、女性蔑視、このような露骨な地域差別、職業差別や性差別など挙げれば切りがないほどの言動でマスコミが飛びつくパフォーマンスやスタンドプレーに熱心なあまり県の通常業務に目が届かなかった、それが原因でこういう問題が起きたのではないでしょうか。限られた地域だけに夢中になり県民全体の命を守ろうとする配慮が欠けていたのが今回の熱海伊豆山のような大惨事を招いた要因の一つではないのでしょうか。リニア工事による大井川の水問題で異常なまでにリスク管理に集中するあまり、あなたの近視眼的な政策が他地域のリスク管理をおろそかにしたと言わざるを得ません。
 以上を踏まえて、そろそろ質問に入ります。
 最初に、知事の政治姿勢が及ぼすリニア中央新幹線トンネル工事における諸課題についてのうち、新旧丹那トンネル工事における水に係る諸問題であります。
 県は、最近約百年も前のまだ地質学も土木技術も進化してない丹那トンネル工事の水がれを持ち出してきました。県知事お得意のリニア工事反対のためのキャンペーンであります。何を今さらの感じです。丹那トンネルの上にある丹那盆地は突然の水がれで農業に重大な打撃を受けました。しかし水がれのマイナス面だけを強調し当時の函南町長のお金で解決せずトンネルの湧水をポンプアップして丹那に戻す方法を講ずべきだったという談話を持ち出しています。その方は既にお亡くなりになっています。死人に口なしでございますけれどもそういうことを持ち出してこれが事実だと言わんばかりに大井川流域住民、県民にマイナス面だけをメディアを使って情報を流すのは静岡県という公的機関がなさることでしょうか。確かに丹那地区は農業で大打撃を受けましたが、その後箱根山水系から水を引いて水がれの問題は解決したのです。同じ水でありながら町長談話のように箱根の水に不満があるのでしょうか。
 新聞によると補償されたが水は戻らずと報道されていますが、確かにトンネル工事の湧水は丹那地区には戻ってきませんでした。しかし水がれがきっかけで道路整備がなされ、以前よりも増して水田や酪農が栄え観光農園として脚光を浴びて見学者が訪れるようになったこと、トンネル工事以前の渇水期には水に困ったことがありましたが箱根山水系から水を引いて以降水に関する心配はほとんどなくなったこと、丹那トンネルの湧水は水質が極めてよく水量も豊富で湧水全量が函南町に一日六万トン、熱海市に一日四万トンが命の水として分配、利用されていること、水がなかったために住宅地として向かない台地や傾斜地の開発はこのトンネル湧水のおかげで促進されまちの発展に大きく寄与したことなど、そういうことは一切公表せずトンネル工事による水がれのダメージだけを大きく公表するのはいかがなものでしょうか。
 そこでお聞きします。約三十年後に丹那トンネルの五十メートル隣に新丹那トンネル工事が行われましたが、その工事では丹那盆地を含むその地域に深刻な水がれがあったのでしょうか。東海道線丹那トンネルでは深刻な水がれが起こったにもかかわらず新幹線の新丹那トンネル工事に地元の反対はあったのでしょうか。あなたのなさっていることはあまりにも恣意的で反対のための反対にしか見えないのです。良識があり温厚で争いごとを好まない県民であると全国から認知されている静岡県の代表がやることでしょうか。
 このように、事業の功罪を公平に分析せず悪い部分だけを情報発信しているのはなぜなのか、お伺いします。
 最後に、静岡工区の工事が中止になった場合の本県への影響について伺います。
 リニアトンネル工事につきましては、知事のことですから命の水だけでなく盛土問題、重金属、生態系、いろいろな難問が出てきます。そのたびに新たな不安材料をつくり上げ県民にあなたの存在感を知らしめていくでしょう。あなたの一歩も譲らない発言でJR東海、国に対して妥協の余地もないし落としどころもなく、工事中止を岸田総理に提言するあなた一流のスタンドプレーもありましたが受け入れてくれなかったのですから、この際大井川上流の許認可権を持っているあなた自身が大井川に係るトンネル工事は許可しないと一言言えば南アルプスの静岡工区の工事はできなくなります。そうすれば命の水も盛土による土砂災害の心配も重金属も生態系も全て現状のままですから大井川流域住民は安堵するでしょう。それが一番いい無策の策ではないでしょうか。
 先ほど申し上げた論評の続きにこういう言葉がありました。不安から逃れる方法を教えてくれるリーダーは不安をかき立てあおるのがうまい人。まさしくあなた自身のことです。権力者であるあなたが許可しないと言えば不安から逃れられる、なんです。川勝平太知事の見解をお伺いします。
 ただし、それによってリニアに関連する近隣県との関係、国、特に国交省との関係は静岡県にとってどういう影響を被るのか、リニアに関して県民にあらゆる不安材料を想定してきた知事、今度は中止が静岡県の発展にどのような悪影響を及ぼすのか、不安材料を想定するのがお得意な知事にお尋ねします。以上、答弁を求めます。
○副議長(竹内良訓君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 桜井議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢が及ぼすリニア中央新幹線トンネル工事における諸課題についてのうち、新旧丹那トンネル工事における水に係る諸問題についてであります。
 初めに、新丹那トンネルについてであります。
 まず、工事による水がれの有無につきましては昭和三十六年頃のことですが丹那部落の上水の水源が枯渇した事実が確認できます。その水がれに対しまして揚水設備を応急的に設置する協定が成立したことは記録に残っております。しかし最終的にどのような補償がなされたのかは記録が確認できておりません。また新丹那トンネルに対する地元の反対の有無につきましては記録が確認できておりません。
 次に、丹那トンネルの事例の公表の経緯についてでありますが、丹那トンネルでは工事が先行し水資源への影響への備えが後回しになり、流域外に大量の水が流出し多くの方が渇水の被害を受けました。丹那盆地はトンネル工事前は豊かな水に恵まれ稲作やワサビ栽培が盛んであったところであります。その丹那盆地に関係農民六千人と言われる渇水被害が発生したことも事実であります。
 記録によれば、渇水被害の兆候が現れたのは着工から六年を経過した大正十三年で、その後トンネル工事の進に従い被害は拡大していきました。時には五百人を超える大衆が鉄道省の事務所に押し寄せるなど、原因究明と被害救済を求める数百回の陳情が繰り返されました。鉄道省は陳情を受け昭和二年から原因調査と給水設備設置や減収補といった応急救済を始めました。県も昭和五年には鉄道省との交渉を開始し、着工から十五年後の昭和八年には県のあっせんにより見舞金、かんがい施設等を内容とする根本的な救済がなされました。
 当時、被害を受けた方々に対し後によくなったから何も問題がないというようなことが言えるのでしょうか。私は被害者の痛みに対し思いを至らせたく存じます。その後の地域の復興も多くの方々の懸命の努力で実現されたものであり、その御努力に対しても思いを至らせたいと存じます。
 命の水を守ることは危機管理であります。危機管理の基本は最悪の事態の想定と初動全力であります。最も避けなければならないのは甘い想定と後手対応であります。丹那トンネルの際に後で何とかなったなどという姿勢で大井川の水問題に対応することは危機管理上最も避けるべき姿勢であります。
 このような渇水被害への対応が遅れ多くの人が苦しんだ丹那トンネルの事例を教訓とし、同じことを県内で繰り返すことのないよう工事着工前に影響回避策について事業者が十分対話を行う必要性は言うまでもないことであります。静岡県及び県民がしっかり事業者と対話することを県民の皆様に御理解頂くため、丹那トンネルの事例を記者会見で公表し県ウェブサイト等でも発信しているものであります。
 県といたしましては、トンネル掘削により想定される影響の回避、低減及びその対策を行ってもなお残る水資源や自然環境の保全へのリスクと対処方法について工事着工前にJR東海と十分対話を進め、流域住民をはじめ県民の皆様の不安払拭に努めてまいります。
 もう一つの御質問につきましては、副知事から御答弁を申し上げます。
○副議長(竹内良訓君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 知事の政治姿勢が及ぼすリニア中央新幹線トンネル工事における諸課題についてのうち、静岡工区の工事が中止になった場合の本県への影響についてお答えをいたします。
 本県は、リニア中央新幹線整備の必要性につきましては十分認識をしております。その上で本事業における県とJR東海との対話は環境影響評価法及び静岡県環境影響評価条例の手続に基づき、南アルプスの自然環境の特殊性や大井川の水利用の特殊性を十分に考慮した環境影響評価が重要であると認識をして進めているところであります。
 JR東海との対話につきましては、決して円滑に進んでいる状況にはありません。二〇一八年の十月に県の専門部会の場で対話を始めた頃には事業のリスクについてのJR東海の認識が甘く、またJR東海から十分な資料が提出されず対話がなかなか進みませんでした。
二〇二〇年四月に国土交通省が設置した有識者会議の指導により有識者会議への資料の提出内容と説明方法が改善され、またトンネル掘削により想定されるリスクについても資料が作成されました。最近の報道によれば記者会見でJR東海社長からトンネル湧水の全量戻しについて県の要請にお応えしたい気持ちはあるとの発言があったとのことです。
 県といたしましては、このようなJR東海の変化に期待しつつ自らは明確な論拠を持って対話を進めてまいります。
 静岡工区の工事が本当に中止になった場合についての本県に及ぼす影響についての想定についての御質問ですが、現在対話を進めているところであり中止になるということは想定しておりません。仮にという前提でお答えすれば、JR東海が中止するという判断を行う場合はJR東海として株主や社会に対し説明でき得る理由に基づき判断を行うものと想定をいたします。よって議員御指摘のような県と国との関係悪化など本県に及ぼす影響はないと考えております。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 二十一番。桜井勝郎君
(二十一番 桜井勝郎君 登壇)
○二十一番(桜井勝郎君) 再質問というか、今までの経過を見ますとね、知事さん、さんってつけることも必要かどうか、解任決議案が通ってるんですから川勝さんと言ったほうがいいのかもしれないですけども、百年前のね、もうあの当時の丹那トンネル掘るときにはね、地質調査もいいかげんでそしてまた土木技術も今ほど進歩してないしやみくもに掘ったがために鉄砲水が出て大きな水がれが起こったというふうに私は承知してます。それを今の丹那トンネルと同じような程度でね、水準でね、リニア新幹線南アルプス工事のことと同じように同等に扱うという自体がね、これはもう嫌がらせだか何て言いますかね、世論操作と言いますかね、そういう形でやってるように感じてならないのです。
 それで副知事が今おっしゃったように中止は考えてないっていってもですね、最近は何だかこれがリニア工事やったって経営的にもうからないか破綻するだなんだ人の会社のことまで心配し始めてるんですけどもね。だったらある程度違った形で妥協というかね、さっきも言ったように大井川流域の住民は水は守りたいけども知事のやり方では承服しかねると。このままじゃ昨日のあの木内先生のお話もあったようにこんなやり方してたら絶対に水は守れません。
 ましてやね、こういうことをずっとやってたら幾ら中止しないって言ってもね、最終的には国から管理権を取り上げられるおそれもありますよ。ですからかえってあなた方が入るとかえって邪魔になる場合もある。だからそういうことをよく念頭に置いてですね、やっぱり妥協することは妥協してやらないと、水は一滴も外へやらさないとかそんなことを言ってたらこれは始まらない。
 そういうことで、ぜひこの水についてはですね、大井川流域の表面的なことばっかり言わずに本当は言いたいけど言えないというのが住民の考えでございますので、その点よろしくお願いしまして質問を終わります。以上です。(拍手)
○副議長(竹内良訓君) これで桜井勝郎君の質問は終わりました。

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