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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大池 幸男 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/26/2013

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 世界農業遺産に認定された静岡の茶草場農法の活用について                                
2 農業用水を利用した小水力発電の推進について           
3 富士山の世界文化遺産登録を生かした大型クルーズ船の誘致促進について                          
4 JR東海道線のダイヤについて                 
5 大井川青部のつり橋について                   
6 子供の規範意識の醸成について 


○議長(中谷多加二君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十五番 大池幸男君。
       (三十五番 大池幸男君登壇 拍手)
○三十五番(大池幸男君) 私は民主党・ふじのくに県議団の一員といたしまして、知事並びに関係部局長、そして教育長に質問をさせていただきます。
 初めに、世界農業遺産に認定された静岡の茶草場農法の活用について伺います。
 本県の茶産業は、八百年前に聖一国師が中国からお茶を持ち込んで以来多くの先人の不断の努力により今日の本県茶産業の地位が築かれたものであり、おいしいお茶づくりへの熱い思いや努力は多くの茶産業にかかわる方々に受け継がれ、現在も静岡茶のブランドは高い評価を受けております。
 この先人のおいしく品質の高いお茶づくりの取り組みの一つである茶園周辺のススキやササを秋冬季に刈り取り、乾燥した後に細かく刻んで茶園の畝の間に敷き、有機肥料として活用する農業システムが静岡の茶草場農法として、五月に国連の食糧農業機関により世界農業遺産に認定されました。とりわけ川勝知事におかれましては、認定実現に向け関係機関に対して精力的に働きかけをいただいた結果が認定の実現につながったと大変感謝をしております。そして伝統的茶草場農法の認定は、おいしいお茶づくりへの取り組みだけではなく、ススキなどが育つ採草地である茶草場には多様な植物や昆虫が生息するなど豊かな生態系が維持されていることなども評価されたと聞いております。このようなおいしいお茶づくりのための取り組みが世界農業遺産に認定されたことは、今回の認定地域となった掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町の五市町だけではなく、静岡茶全体を広く国内外に発信する機会としていくことが必要であると考えております。
 そのような中認定地の掛川市では、世界農業遺産を観光資源として生かそうと地元のタクシー会社が茶草場農法をめぐる観光ルートの認可を受け、八月から観光タクシーの運行を開始し交流人口の拡大に意欲を示しております。
 このような認定地域の前向きな取り組みを受け、県は今回の静岡の茶草場農法の世界農業遺産認定を茶業の振興や地域の振興策にどのようにつなげて生かしていくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、農業用水を利用した小水力発電の推進について伺います。
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まって、この七月一日で一年が経過いたしました。設備の調達が容易で規制も少ない太陽光発電は、大企業によるメガソーラー施設や一般家庭での設置など順調に拡大をしておりますが、小水力発電などの他の自然エネルギーの利用はまだまだ普及が進んでいないのが現状であります。中でも小水力発電は、水量や落差などいろいろな現場の条件に応じて多様な技術の活用が見込まれることから、地域経済の活性化を担う成長産業として大きな可能性を秘めているものと考えております。とりわけ農業用水を利用した小水力発電は、県内くまなく張りめぐらされた農業水路を活用するため、地域の企業の中には小水力発電への参入を新しいビジネスチャンスと捉え、発電事業への参入や製品の開発や事業化に大きな期待を寄せている人々が多いと実感をしております。
 昨年、県が中心となり設立いたしました静岡県農業水利施設を活用した小水力等利用推進協議会には、現在百二十を超える民間企業や団体等が参加しておりまして、この数からも関係者の関心の高さがうかがえます。
 こうした中今月から、県内初となる農業用水を利用した小水力発電が私の地元でございます島田市の伊太発電所において始まり、本県の主要農業用水の一つである大井川用水を利用した取り組みが着々と進んでいることを大変喜ばしく思っております。ただ残念ながら、この発電施設への県内企業の技術や製品の採用や工事の施工への参画ができなかったとお伺いしております。卓越したものづくり技術を有する本県にありながら、将来有望なビジネスチャンスである小水力発電の関連技術や製品開発がなかなか進んでいない現状に私としては大変寂しく思うところでございます。県内企業を育て技術開発を加速し製品化するためには、水利権等の手続に煩わされることなく容易に技術開発や実証実験に取り組むことができる環境づくりが重要であると考えております。
 そこで、水資源に恵まれた本県の地域特性を最大限に生かした県内のものづくり企業や大学や工業高校などで新たな技術開発に積極的に取り組むことができるよう支援していくことが最も重要であると考えますが、県の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、富士山の世界文化遺産登録を生かした大型クルーズ船の誘致促進について伺います。
 富士山の世界文化遺産への登録が正式に決定されたことは、国と静岡・山梨両県が一体となった登録活動の成果であります。今後は富士山を人類の宝として後世に継承していくとともに、いかに富士山の魅力を地域の振興に生かしていくかが重要であります。富士山は日本一の高さを誇る山として、登山の対象だけではなく山麓の自然や歴史・文化、さらには日本平や伊豆などの景勝地からの雄大な姿などいろいろな魅力を有しております。特に静岡県側の富士山の前面には駿河湾の美しい海が広がっており、この美しい富士山を海側から眺める情景は世界にアピールするには絶好の観光資源でございます。
 この観光資源を生かす方法の一つとして今後大きく期待ができるのではないかと思われるのが、大型クルーズ船の清水港への誘致であります。清水港の周辺には、世界遺産の構成資産となった三保松原を初め日本を代表する景勝地である日本平や国宝となった久能山東照宮があります。これらの観光資源を生かして、乗客の皆様のニーズに合った観光コースを設定することができます。世界のクルーズのメッカである地中海クルーズでの寄港地のほとんどは、世界遺産に隣接する港に寄港しております。港で下船した乗客は、バスに乗りかえて短時間の世界遺産観光を満喫し船に戻ります。したがって清水港は、富士山の世界遺産観光に最適な港であることが明らかなのであります。近年我が国へのクルーズ船の寄港回数は年々増加してきており、東日本大震災による落ち込みはあったものの、現在では乗客定員が二千人以上の大型クルーズ船が寄港するまでになっておりますし昨年の国内の港に寄港したクルーズ船は千百回を上回り、年々確実に増加しております。したがって大型客船によるクルーズ旅行は今後の国内旅行の大きな柱になり得ると想定されております。
 事実、クルーズ船での旅行の概念が少しずつ変わってきています。かつては世界一周を数カ月かけて数百万円の旅行代金にて特別な人たちのための旅行だった感のあるクルーズ旅行が、今やカジュアルな雰囲気の大型クルーズ船が出現し料金も少し頑張れば手が届くものとなり、横浜や神戸を起点とした低価格で参加できる国内クルーズや韓国の釜山や台湾と国内の景勝地を組み合わせたコースなど今後クルーズ旅行は大きな広がりが確実なものとなってまいりました。国内や海外からの大型クルーズ船の誘致に至るまでには、三年以上前からの働きかけといろいろな調整が必要とされており、富士山が世界文化遺産となったことを機に誘致を強化していく必要があると考えます。
 そこで、富士山の世界文化遺産登録を生かした大型クルーズ船の誘致について、県の認識と今後どのように誘致を促進していくのかお伺いをいたします。
 次に、JR東海道線のダイヤについて伺います。
 JR東海道線は、沿線の住民の通勤通学や高齢者などの日常生活の足として、また観光や地域の交流のための交通ネットワークとして重要な交通手段であります。昭和五十九年二月のダイヤ改正において興津から島田駅の間を十分から十五分間隔で運行する「するがシャトル」が運行されるようになってからは、沿線地域住民の皆様やこの地域を訪れる方にとって利便性は大きく向上いたしました。特に駅の新設が実現いたしました西焼津駅や東静岡駅、六合駅の周辺の地域の発展は目覚ましく、「するがシャトル」の短時間間隔での運行の効果がもたらした成果であると断言できます。
 しかしながら、「するがシャトル」の半数が島田駅発着のために運行本数が半減する金谷駅以西の菊川駅などでは、隣接する島田駅に比較いたしますと利便性が大きく低下いたします。そのような状況を踏まえて地域の皆さんからは、増発の要望がこれまでにも多く、何度も出されております。富士山が世界文化遺産に登録され、富士山静岡空港を利用し多くの観光客が県内を訪れることが予想されております。空港に最も近接する金谷駅との間にアクセスバスのシャトル運行が実現され、空港と金谷駅のアクセスが向上すれば観光客の皆様の利便性の向上と地域の交流人口の拡大や活性化とともに、東海道線の利用増にもつながると期待をしております。
 このため県は、主要都市間である静岡駅から浜松駅の間の増発などに積極的に取り組むべきであると考えますけれども、県の考え方をお伺いをいたします。
 次に、大井川の青部のつり橋について伺います。
 豊かな自然に恵まれた大井川流域には数多くのつり橋があり、日本有数のつり橋の名所となっております。大井川にかかるつり橋は、長年にわたり流域に暮らす方々の生活や産業用通路として役割を果たしてまいりましたが、現在ではつり橋の揺れを体感しながら奥大井の絶景を楽しむスリル満点の観光スポットとなっており、寸又峡温泉の夢のつり橋などは死ぬまでに渡りたい世界の徒歩つり橋十選に選定され、世界的にも知られております。
 このような中、川根本町青部地区と崎平地区を結ぶ青部のつり橋は、大井川発電所の建設の際に資材の運搬及び作業員の通行のために昭和九年に建設されたもので、以来七十九年の間にわたって発電所関係者のみならず青部地区や多くの観光客の方々に親しまれてまいりました。ところがつり橋を管理する電力会社は、同つり橋を撤去する意向を示しております。大井川上流域は、堆積土砂による河床の上昇への対策や堤防の補強や護岸の整備などの治水対策が喫緊の課題となっておりますが、県が行う大井川の河川改修工事において同つり橋が工事施工上の支障になる可能性が指摘されております。一方で青部のつり橋は景観情緒が豊かで自然と一体化しており、映画のロケ地として使われたこともあるため、地域の方々から地域の貴重な文化資産として存続を求める意見も寄せられております。
 そのような中私たちは、南アルプスと大井川の流域をユネスコのエコパークの登録を目指しております。今後ユネスコに対して、エコパークの理念である自然と共生する持続的社会の世界的モデルであることを証明しなければなりません。登録を受けるためには、緩衝地域や移行地域で自然と文化を守りながら地域社会の発展を目指しているという活動が現実に行われているかが大きなポイントになってまいります。自然環境と一体となり人々の生活の一部となってきた青部のつり橋をいとも簡単に撤去してしまうという決断は、ユネスコのエコパークの理念に大いに反するのではないでしょうか。エコパークの登録を真剣に考えるのであれば、自然と一体となって人々の生活に溶け込んできた地域の財産である青部のつり橋を私たちの世代で消滅させてはいけないと私は考えます。青部のつり橋の存続については、電力会社、県及び地元の川根本町が一体となった取り組みが必要であると思います。
 そこで、青部のつり橋の今後のあり方について、県はどのように考えているのかお伺いをいたします。
 最後に、子供の規範意識の醸成について、教育長の所感と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 静岡県総合計画によれば、いじめ、非行等の問題行動の件数は、平成二十年度から平成二十三年度にかけて小学校は三千四百五十九件から二千八百三十六件へ、高等学校は千五百十三件から千三百九十四件へと減少傾向にあるものの、依然として高い値で推移をしております。中学校におきましては四千三百六十四件から五千六百四十四件とここ数年増加傾向であり、憂慮すべき状況であります。
 児童生徒の生徒指導上の問題行動の中で万引きは刑法に触れる犯罪であり、子供たちが将来より重大な犯罪へと手を染める契機とならないように適切な指導や対策が必要であります。高校生の集団万引きが新聞で報道された平成二十三年度においては万引きを含む窃盗をした児童生徒の状況は、高校生では二百三十三人、中学生では七百十人、小学生では八百三十三人であり、万引きの手口よりも子供が窃盗をした人数の多さに危機感を抱くところであります。子供が窃盗や万引きをする背景はいろいろであると思いますが、その行為に至る子供の人数の多さから子供の規範意識の低下を懸念せざるを得ません。
 昨年度教育委員会では、窃盗や万引き防止のためにきまりを守る子ども育成協議会を開催し、協議会において窃盗や万引きの防止の対策について協議し、協議した内容をきまりを守る子どもを育てる十の提言にまとめました。提言は、社会総がかりで規範意識を醸成することを中心とした内容であると伺っております。子供たちに決まりの意識の重要性を気づかせ、規範意識を育むことは必要であり、そのためには保護者、地域、学校などが連携して社会総がかりでその対策に取り組んでいかなければならないと考えます。
 そこで、教育委員会ではこの提言をどのように受けとめ、規範意識の醸成に向けて今後どのような取り組みを行っていくのか、教育長の所見をお伺いいたしまして、一旦質問を終わります。(拍手)
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 大池議員にお答えいたします。
 初めに、世界農業遺産に認定された静岡の茶草場農法の活用についてであります。
 このたび、静岡の茶草場農法が世界農業遺産に認定され、富士山の世界文化遺産と並び本県に二つの世界遺産が誕生いたしましたことはまことに喜ばしい限りであります。世界農業遺産は、今回の新規認定六地域を含め、これまでに世界十一カ国でわずか二十五地域、日本では五地域の認定がされている世界レベルの貴重で重要な農業の資産でございます。
 静岡の茶草場農法は、長年行われてきた良質なお茶づくりが絶滅危惧種七種を含む三百種以上の植物などの生物多様性の保全につながっていること、茶園と茶草場が一体となって美しい景観を形成していることなどが高く評価されたものと考えております。
 茶草場農法を行われております県議の御地元の島田市、また近隣の掛川市、菊川市、牧之原市、川根本町というところは良質なお茶で知られています。このいいお茶をつくるということが、結果的によい景観を生んできたということでございまして、ここの順序を間違ってはいけないと。やはり人に褒めてもらうための景観をつくってきたのではなくて、いいお茶をつくって人に喜んでいただくと。これが結果的に生物の多様性を維持する形になっていたということがすばらしいと存じます。その仕事自体は、極めて大変な作業を伴うものであるということは十分に承知しているわけであります。今回また四市一町と県とが互いに協力ができたということも大きいと存じます。実際五月二十九日の世界農業遺産の国際会議におきまして、四市一町を代表された掛川市長さんと私とで上手に分担をいたしましてプレゼンテーションを行いましたことが、関係者の心に触れたというふうに感じております。
 そこで我々は、この茶草場のある四市一町と県とが連携をいたしまして、今回の認定を契機に茶業の振興につなげていきたいということでマーケティングの専門家の御助言を賜りながらこれまでの多くの先人たちの茶草場農法によるおいしいお茶づくりへの熱い思いを伝える商品をブランド化するという戦略を立てたいと存じます。あわせて茶業研究センターが、茶草場農法のお茶を科学的に分析することでその品質のよさを発信していきたいと考えております。さらに地域の振興にもつなげるために、観光や商工業者の方々とも連携して現地ガイドの配置やPRパンフレットの作成などグリーンティーツーリズムの受け入れ体制の整備等を支援してまいります。
 議員も御指摘のとおり、これはただに四市一町の茶草場農法が行われているところだけでなくて、八百年の歴史を持つ静岡県の茶園全体が、それぞれ品質を高めるためにそれぞれの地域に応じて品種改良をされてきた歴史がございます。したがってこれは静岡県全体の茶園が評価されたものだという認識を共有したいと存じます。
 「山は富士 お茶は静岡 日本一」と言われますように、富士山を背景とした茶園は、日本を代表する景観でございます。今回の二つの世界遺産の誕生は、静岡のお茶の魅力を伝える絶好の機会でありますことから本年秋に開催される世界お茶まつりを初めあらゆる機会を通じ、その魅力を国内外に発信してまいりたいと思っております。ちょうど秋葉原のCHABARAという、さまざまな県並びに本県の「おいしず」が入っておりますところなども活用することができると考えております。
 ただ、FAOの世界農業遺産委員会は、手放しで評価したのではないということもあわせて知っておく必要があります。それは、防霜ファンの存在は目ざわりだということをはっきりと言われていました。しかし我々には、凍霜害の被害で大きな打撃をこうむった記憶が新しいことです。一方あの防霜ファンを活用して、それをデートコースあるいは家族の遠足コースにしている済州島がございます。はるかに格好いいものをつくって機能は同じなんですけれども、そこをいわば観光の名所にしているわけですね。うちの静岡県で学んだ方が向こうに行って、それを観光の名所にすることを通して防霜ファンも少しくスマートなものにしたということで私どもは、その機能とあわせて人に見られたときにどう見えるかということも、これからはですね、そういうデザイン性というものもあわせて考えていくことを通して、このFAOには報告義務がございますのでその点の改良もあわせてやっていかねばならぬのではないかというふうに存じます。
 私どもといたしましては、茶業団体や市町などと連携しこうした取り組みを通じて、伝統的な茶草場農法を後世に伝えられるよう維持保全に努めるとともに、茶の都しずおかづくりの貴重な資産として、茶業や地域の振興に生かしてまいります。
 次に、富士山の世界文化遺産登録を生かした大型クルーズ船の誘致促進についてであります。
 我が国における平成二十四年のクルーズ船の寄港回数は、国全体で一千百五回ということで五年前の二〇〇七年が八百三回でございましたから、この間に一・四倍に拡大をいたしました。そして船舶が大型化し寄港先も多様化する傾向にございます。クルーズ船を利用した観光は、今後ますます発展が期待されるところです。清水港における大型クルーズ船の誘致につきましては、静岡市を中心に国、県、民間団体で客船誘致委員会を組織しております。そしてこれまでも積極的な誘致活動に取り組んできました。最近では、本年三月にドイツ船の「アマデア」と日本船の「ふじ丸」が同時寄港して注目を集めたところです。
 こうした中、三保松原を構成資産として富士山が世界文化遺産に登録されましたので、清水港を大型クルーズ船の寄港地として世界にアピールする上では大変有効であるということで、本県の観光振興の面において大きなチャンスであると認識しております。
 富士山と駿河湾が織りなす風景は、江戸時代の浮世絵にも描かれ、国内外に広く知られております。大型クルーズ船のなかった江戸時代におきまして、海越えで見る富士山の姿、あるいは船と一体になった富士山の姿というのがあります。そこには、日本が津々浦々の国柄であるということがおのずと示されていると存じます。大型クルーズ船にかかわらず、例えば駿河湾をあるいは伊豆半島を上手に活用した津々浦々で結んだそういう観光もあわせて振興していくということを考えていいのではないかと。我々は今のところ内陸の道路というものに目を奪われがちです。それはそれとして極めて近代のものとして重要ですけれども、一方で本来の日本にしかない四字熟語、津々浦々。韓国にも中国大陸にもありません。日本の国柄が津々浦々で示されているということは、実は船と人と景観というものとが一体になっている、そうしたものを生かせるということでもございます。
 こうした特性を生かしまして、世界文化遺産に登録された富士山の絶景や三保松原、白糸の滝を初めとする自然景観とサクラエビやシラスなどグルメを組み合わせた周遊観光ルートなどをセールスポイントとしてまいりたいと思っています。官民一体となって大型クルーズ船の誘致を一層促進してまいるという決意でおります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 農業用水を利用した小水力発電の推進についてお答えいたします。
 小水力発電は、天候に左右されず安定的に電力を供給できる環境に優しい再生可能エネルギーであることから、身近な農業用水を利用した小水力発電の普及拡大に積極的に取り組んでいるところであります。
 県では技術開発に関心の高い企業等による小水力発電事業への参入を促進するため、これらの企業、NPO、行政等で構成する官民が一体となった協議会での意見を踏まえ、小水力発電の導入に関するガイドラインの策定や実用化の事例を学ぶセミナーの開催等に取り組んでまいりました。
 また、工業系の学校や協議会の参加企業から実証実験の場や発電設備のPRの場として農業水利施設の活用を望む声が高まっているため、本年度、企業等が利用可能な施設の構造や流量等の情報を登録した小水力発電フィールドバンクを協議会に設置し、技術開発のための環境づくりや需要の喚起に努めることとしております。
 県といたしましては、こうした取り組みに加え大学や工業高校等の協議会への参加を促すことによって産学官の連携強化に努め、誰もが技術開発を積極的に行うことができるよう支援し小水力発電の普及拡大を図ってまいります。
 次に、大井川青部のつり橋についてであります。
 青部地区は、過去に大井川の洪水による浸水被害を受けていることから、県では大井川中流域浸水対策により治水対策を進めているところであります。大井川青部のつり橋については、長年にわたり青部地区内外の皆様に親しまれてきましたが、老朽化により修繕の必要が生じてきております。また平成二十三年に襲来した台風十二号及び十五号の洪水時には、流水を阻害する状況が確認され治水上の安全確保も課題となってきております。
 しかしながら青部のつり橋は、現在発電所の維持管理のための通路として利用されることはありませんがハイキングや散策等の利用があり、青部地区の景観を構成する貴重な観光資源となっていることから治水上の安全確保と地域振興の観点から管理体制のあり方を含めて、利活用策の方策を検討すべきと考えております。
 県といたしましては、つり橋の管理者である電力会社と地元川根本町が連携して地域の皆様とともに青部のつり橋のあり方を検討していく中で、河川管理者として必要な支援を行ってまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) JR東海道線のダイヤについてお答えいたします。
 JR東海道線は、県民の日常生活を支え観光振興など沿線地域の活性化に大きな役割を果たしており、特に富士山静岡空港に近接する金谷駅の運行本数の増加は、空港アクセスの向上による空港の利便性向上にもつながるものと考えております。
 しかしながら東海道線の一時間当たりの運行本数は、興津駅―島田駅間の六本程度、掛川駅以西の四本程度に対して、その中間の金谷駅と菊川駅では三本程度となっております。これまでのJR東海に対する増便の要望は、金谷駅の乗降者数が島田駅の四割程度にとどまるということで実現に至っていない経緯があり、運行本数を増加させるためにはまずは金谷駅の乗降者数の増加を図ることが重要であります。
 このため県といたしましては、幅広い方々に金谷駅を利用していただけるようエレベーターの設置など鉄道駅のユニバーサルデザイン化事業に対して助成し、平成二十六年度完成を目指しております。
 さらに、金谷駅を起点としてSLや温泉を楽しむ奥大井への観光モデルコースなどへの誘客を沿線市町や関係団体と連携して進めるとともに、住民の皆様の通勤や買い物などでの利用を促進する取り組みを沿線各市町が設置する地域公共交通会議などで提案してまいります。
 このように、金谷駅の利用者拡大に向けた取り組みを進めることで、JR東海道線の運行本数の増加と利便性の向上につなげてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 子供の規範意識の醸成についてお答えいたします。
 昨年度末にきまりを守る子ども育成協議会からいただいた十の提言は、保護者への提言を初め地域社会や学校、公的機関に向けた提言で構成されており、本県が社会総がかりで子供に向き合うことを再認識するよい機会であったと受けとめております。
 提言では、「保護者は自ら子どもの手本となり、信念と責任を持って子どもをしつけることを自覚し、実践する」など、特に保護者の役割が大切であることが確認されました。そして時に叱り時に励まし子供を一人の自立した人間として育てている保護者を地域社会や学校等が連携して支えていくことが大切であると考えております。
 このため本年度は、市町教育委員会や私学協会の生徒指導担当者で構成するきまりを守る子どもを育てる十の提言具現化委員会を立ち上げ、商店主など地域の方を外部講師として学校に招き、万引きなどの被害者の立場からの話を聞く機会を設けることや保護者の意識を高めるリーフレットの配布など具体的な取り組みを検討し実践してまいります。
 今後は、問題行動や犯罪行為の裏に潜む子供の叫びをしっかりと受けとめるという視点にも立ちながら、規範意識の醸成に社会総がかりで取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 三十五番 大池幸男君。
       (三十五番 大池幸男君登壇)
○三十五番(大池幸男君) 再質問をさせていただきます。
 青部のつり橋について再質問いたしますけれども、長島部長からは存続の含みを残した検討というお話だったと思います。この青部のつり橋はですね、約八十年前にできて電力会社の管理に置かれて本当に丁寧に管理もされて今も若干老朽化という話がございましたが、そんなことはございません。本当に立派な橋で地域の景観の中に溶け込んでいるすてきな橋です。この橋はですね、絶対私は後世に残さなければいけない。こういう質問をして残していただければ本当に私は、人生一つの大きな役に立つ仕事ができるのではないのかなというぐらいに思っている橋でございます。
 この橋がですね、昨年撤去しろという、これは行政命令ですね。静岡県、強いて言うと島田土木事務所から出されたわけです。これはなぜ出されたかというと三つ理由がございまして、一つは河川占用が取ってない。これは八十年前にできまして河川法ができたのは随分後でございますので、その手続上のつなぎができていなかったという件もあるかもしれないけど手続がなされていないというのと、もっと大きな理由は一昨年に大水が出て流木がこのつり橋の下にかかっているワイヤにひっかかって、これが危ないということで多分取らなければいけないという判断になったと思います。
 じゃ、なぜ八十年間ですね、長島ダムがない時期からもっと大きな水が出ていたのに初めて流木がひっかかったという原因は、大井川の上流域は河床がどんどん今上がっておりまして橋と川の面とのクリアランスがどんどん縮まってきたからひっかかったわけでございますね。この河床を下げるという仕事は、やっぱり県の仕事であるわけです。
 同時にもう一点はこの青部地区、先ほどお話がございましたように大雨が出て堤防を乗り越えてということがございました。ですので堤防をつくりかえるというときにこの青部のつり橋が邪魔なんですね、工事の。そういう三点から取るという話になって、これは地元はもうびっくりしまして、ぜひ残していただきたいと、地元の皆さんは署名をしましてほぼ地区の全員の方が署名をして川根本町に出したという経緯があります。
 それでその後住民のある方が、知事にもお手紙を出して、ぜひ残してくださいということがあった中で実はことしの六月までに撤去しろという指示が出ておりました。ただ知事にもお話が行っている中で、判断がつかないという中で、今現在残っているわけでございますけれどもぜひですね、知事は――これはうわさといいますか、又聞きでございますけれども――住民はどう考えているんだと。それを知りたいという指示が出ていて、多分じきに職員の方が住民の皆様はこの存続を望んでいないという結論が多分知事のお耳に入ると思います。
 それで今住民の人たちは何を言われているかというと、堤防をつくってもらいたいんですね。つくる場合に青部のつり橋があるとできないと言われると、堤防をとるのか青部のつり橋をとるのかという判断上、これは堤防をとろうと。つり橋はその後必要ないという形になっちゃうんですけど、実は工法的にですね、つり橋を残しつつ堤防を改修するという手が残っておりまして、そういう条件を出せば、住民の皆さんは全員残してくれという判断をなさると思います。
 ぜひ知事におかれましては、現地に赴いていただいて現地の皆様のお声を聞いてそれ以降、青部のつり橋の存続に対する御判断をやっていただくべきであると思いますけれども、知事のお考えをお聞きいたしまして再質問を終わります。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 青部のつり橋にかかわる再質問ありがとうございました。
 私、本当に恥ずかしながらまだ出向いておりません。そして一昨年の大雨で流木がひっかかって、その状況を撮った写真を見ました。一方で反対運動があることも知っています。また住民の意見が割れているというようにも承知しておりまして、そしてとりあえず中電とお話をして、これを撤去しない状況のまま現在になっていると。先ほど交通基盤部長が答えましたように、支援をしていくという言葉でございました。私はなるべく早く現場に赴きまして、そして下に垂れ下がっているワイヤを上に上げる工法もあるということなので、住民の安全を図るという観点を最重点にしながら大切にされてこられたこのつり橋、これをどうすれば残せるか。また一方で堤防をかさ上げすることを通して安全をどのように確保できるかと。こうした皆さんが悩んでいらっしゃる問題について御一緒に考えながら、よい解決方法にたどり着き全員合意のもとでどうするかを決めたいというふうに思っております。
 近々そこに出向くことをお約束いたします。以上でございます。

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