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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中田 次城 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/29/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
 次期総合計画策定の方向性  
 総合計画の推進に向けた市町との連携  
2 新型コロナウイルス感染症対策について  
 医療体制の確保
 ワクチン接種加速化  
3 熱海市伊豆山地区土砂災害への対応について  
 土採取等規制条例改正の実効性を高める権限移譲の見直し  
 「盛り土一一〇番」 の開設  
4 再生可能エネルギー推進における課題について  
 「命の森」 を守るための大規模森林伐採を伴う太陽光発
 電施設設置に係る規制条例の制定  
 地域資源を活用した次期エネルギー総合戦略  
5 県内経済の再生に向けた取組について  
 事業継続のための経営支援  
 自動車産業の変革への対応  
6 観光産業の復活に向けた歴史・文化資源を活用した観光振
 興について  
7 戦略的な移住・定住策の立案について  
8 デジタル社会の実現に向けた取組について  
9 高校再編に向けた教育委員会の姿勢について  
10 警察官の人材確保について  


○議長 (宮沢正美君)  ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、 知事提出議案第百号から第百二十四号まで及び令和二年度静岡県一般会計、 特別会計、 公営企業決算全部を一括して議題とします。
 ここで後半グループの皆さんが退出をするため休憩をします。
   
○議長 (宮沢正美君)  ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、 四十六番 中田次城君。
        (四十六番 中田次城君登壇 拍手)
○四十六番 (中田次城君)  おはようございます。 質問に入る前に一言申し上げます。
 コロナ禍により日本中が暗い雰囲気に包まれる中で行われた東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックでは、 本県ゆかりの選手の活躍が相次ぎました。 オリンピックでは磐田市出身の水谷隼選手と伊藤美誠選手の静岡県コンビが卓球混合ダブルスで金メダルを獲得するなど大活躍をしたほか、 パラリンピックでは伊東市出身の杉村英孝選手がボッチャで念願の金メダルを獲得するなど私たちにとって久々に明るい話題を提供していただきました。 県民の皆様がコロナ禍の以前のようにまた明るく笑い合える生活を取り戻すことができるよう、 全ての英知を結集して対応していくことを改めて決意し質問に入らせていただきます。
 私は、 自民改革会議を代表して通告に従い当面する県政の諸課題について知事、 副知事、 関係部局長、 教育長並びに警察本部長に一括質問方式で質問をいたします。
 初めに、 知事の政治姿勢についてのうち、 次期総合計画策定の方向性について伺います。
 本年度は、 総合計画静岡県の新ビジョンの基本計画が最終年度を迎え、 県では現計画の進捗状況の評価を踏まえ来年度からの四年間を計画期間とする次期総合計画の策定を進めています。 現計画を策定した四年前と比べ本県を取り巻く社会経済状況は劇的に変化をしています。 その最も大きな要素は言うまでもなく新型コロナウイルス感染症であります。
 現計画においてもポスト東京時代の理想郷を拓くことを目標として掲げ東京一極集中の是正に向け取り組んできましたが、 残念ながら具体的な地方回帰の動きは鈍く目をみはるような進捗は見られていませんでした。 それが昨年来のコロナ禍により図らずも首都圏にとらわれない新しい働き方を強く認識させられることとなり、 地方回帰の大きなうねりが起こってきています。 また二〇五〇年までの脱炭素社会の実現に向けた取組の加速化やデジタルトランスフォーメーションの推進など社会の在り方がいや応なく転換された今、 これらの新たな課題に対し次期総合計画に対策を盛り込んでいく必要性があります。
 一方で、 地方回帰の動きが強まることは地域間の競争が強まるということでもあります。 これまでも地方創生の名の下、 人口減少の克服や地域の活性化に向けた取組が全国で競うように進められてきましたが、 今後も様々な自治体がなお一層の趣向を凝らした施策を展開し地域間競争を繰り広げていくことになります。
 これからの時代は政策立案能力と実行力の双方において自治体の力量が試されます。 次期総合計画は地域間競争に勝つための戦略書として計画期間中に県が取り組むべき課題、 県が目指すべき姿と政策の方向性を明らかにすることが重要であります。
 そこで、 静岡県を取り巻く現状に対する認識を踏まえ、 今後四年間静岡県をどのように導くかという羅針盤となる次期総合計画の策定に向けた知事の考えを改めてお伺いいたします。
 次に、 総合計画の推進に向けた市町との連携についてお伺いいたします。
 県の総合計画が目指す県民幸福度の最大化は同時に市民・町民幸福度の最大化であり、 その実現のためには総合計画に対する市町の理解が不可欠であります。 また地域づくりにおいても基礎自治体である市町との連携は、 総合計画に掲げる目標達成に向け施策を実行していく上で大変重要であります。
 このため県と市町は日頃から連絡調整を密にしておく必要があり、 これまで行ってきた人事交流による人的なつながりもさらに強化しながら県が実施する施策を市町に理解してもらう、 また県も市町が実施する施策を情報共有できるようお互い風通しのよい関係を構築した上で連携を進めていくことが必要であります。
 しかしながら、 近年その連携がうまく取れない場面もありました。 一例を挙げれば、 新型コロナウイルス感染症対策としての休業協力金の支払いやワクチンの接種業務などにおいて迅速性に欠ける場面があったことなど、 これらは県と市町の役割分担が明確でないために起きた弊害と言えるのかもしれません。 突発的に起きる政策課題への対応は大変難しい部分はありますが、 突発的な事案だからこそ住民もまた混乱するのです。
 そこで、 総合計画に位置づける地域づくりの基本方向の見直しに当たって県と市が一丸となってオール静岡で取り組んでいくことが求められています。 今後市町との連携をどのように強化していくつもりなのかをお伺いいたします。
 次に、 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、 医療体制の確保についてお伺いをいたします。
 県内において七月中旬から始まった第五波はこれまでにない急激な拡大を見せ、 一日の新規感染者数は八月十九日に過去最多の六百七十三人を記録し、 緊急事態宣言以降八月末までの間は一日平均五百人を超える感染者を出してきました。 感染症によりお亡くなりになった方々に対して心よりのお悔やみと、 今も懸命に感染症と闘われている皆様の一日も早い回復を願わずにはいられません。
 その後、 九月中旬からは感染状況が少し落ち着き延長されていた緊急事態宣言も明日をもってようやく解除されることとなりました。 この第五波においては全県下において病床使用率が七割を超え、 地域によっては八割を超えたところもありました。 病床の確保については、 これまで県内の医療機関の協力を得ながら取り組んできたと思われ今後大幅な病床数の増加には限界がある中、 自宅療養者を含めた中等症以下の患者さんに対する対応がとても重要であると考えております。
 新型コロナウイルスは常に進化を続け新しい形に変異しているとのことであり、 次なる新たな変異種による流行期がいつ来てもおかしくない状況です。 実際に感染力やワクチンへの抵抗力がさらに強いと言われるラムダ株やミュー株が既に国内で確認されておりますし、 ブレイクスルー感染も報告されていることから今後も十分な感染対策を継続していく必要性があります。
 県は、 八月補正予算により宿泊療養施設の増設や機能強化などの対策を打ち出したものの、 九月中旬時点でもなお約一千人の方が自宅で療養されていたことやこの第五波の中で四名もの方が自宅療養中に亡くなられるなど事態は深刻な状況でありました。 これらの結果から見ると対策が追いついていなかったのではないかと考えざるを得ません。
 コロナ対応は既に一年半以上となり、 患者を受け入れている病院の医療従事者や保健所の職員の方の疲弊は限界となっています。 しかし医療崩壊だけは何としても食い止めなければなりません。 これは県の使命であると考えます。
 そこで、 第五波におけるこれまでの対応の課題を踏まえ次の流行期に向けた県内医療体制の確保についてお伺いをいたします。
 次に、 ワクチン接種加速化についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を抑えるための効果的な取組はワクチン接種を進めていくことです。 今年の二月下旬から始まったワクチン接種は、 医療従事者から始まり高齢者そして一般住民へと移ってきています。 県内で二回のワクチン接種が終わった方は百八十万人を超え接種率にして五〇%を超えるところまで進んでおりますが、 県内三十五市町の状況を見ると六市町で接種率が七〇%を超える一方四〇%未満にとどまる市もあるなどその進捗に差が出ています。 この差を埋めるべく県は東部、 中部に大規模接種会場を設け約一万五千人分の接種を進めることとしており、 今月十七日から予約が始まっております。
 さて、 ワクチンの供給量は御存じのとおり七月以降市町が使用するファイザー製ワクチンの供給量が激減し県内の市町においても予約の一時停止、 計画の変更を余儀なくされたところであり、 県民からはワクチンが不足し接種ができないのではという不安の声も耳にいたしました。 このような状況を受けて、 福島県においてはワクチンバンクを設け市町へのワクチン供給を調整する取組を行ってきたと聞いております。
 政府は、 十月上旬までに対象者の八割が二回接種できる量のワクチンを供給するとしており、 さきに挙げたワクチン不足は生じないと考えますが、 供給されたワクチンを速やかに接種につなげるためには市町に対するワクチンの計画的な配布が欠かせません。 本県においても市町と県とが連携するワクチン接種加速の仕組みが欠かせないと思いますが、 県の取組をお伺いいたします。
 次に、 熱海市伊豆山地区土砂災害への対応についてのうち、 土採取等規制条例改正の実効性を高める権限移譲の見直しについてお伺いいたします。
 七月三日に発生しました熱海市伊豆山地区の土石流により二十六名の方が亡くなられ、 いまだ一名の方が行方不明となっています。 また去る二十五日には、 捜索活動に従事をされていた方が重機で作業中に逢初川に転落されてお亡くなりになるという何とも痛ましい事故が発生をしております。 本土砂災害により貴い命を落とされました方々の御冥福を心よりお祈りいたしますとともに、 行方不明の方が一日も早く発見されることを願ってやみません。
 現在、 被災地では避難者の方の公営住宅、 民間賃貸住宅への入居が進み復旧・復興が本格化してきています。 被災した方々が一日も早く日常生活を取り戻すことができるよう県のスピード感を持った対応が必要であります。 そのためには県と熱海市とがしっかりと連携し、 被災者の置かれた状況をきめ細かく把握し被災者に寄り添った対策を引き続き実行していただきたいと考えます。
 崩落した盛土に関する事故原因と行政手続につきましては、 現在県と市による事実確認の調査を進めており十月半ばまでにはその結果が公表されると伺っています。 今回の調査は確認すべき書類が多岐にわたり過去に遡って保有文書を精査する必要があることから、 一定の時間がかかってしまうことは理解しています。
 一方で犠牲者の遺族や被災者は自分たちの大切な家族や財産が突然奪われることになり、 行き場のない怒りを持ちつつも一日も早くその調査結果を知りたいと望んでおります。 これに応えるためにも県及び熱海市は迅速に対応し事実関係と責任の所在を明らかにしなければなりません。
 知事は、 本議会の冒頭の知事提案説明で、 「二度と同じような災害を発生させないためには、 静岡県土採取等規制条例を厳しく改めることが必要」、 「権限を移譲している市町の意向も確認しながら、 他県の条例を参考に、 本年度中に条例を改正し規制を強化して」 いくと条例改正に関する方向性について発言をされております。 今回の災害の反省を踏まえ条例改正に向けた検討を加速すべきと考えます。
 また、 我が会派では八月十六日に熱海市伊豆山地区土石流災害復旧復興支援及び類似災害防止のための提言を取りまとめ四項目からなる提言を行いました。 この中で今回の災害を機に盛土の規制について市町の対応能力の限界が露呈したことを踏まえ、 本県における権限移譲の在り方について市町が実体的に対応能力を有するかという観点から見直しをすべきであるということを提言したところであります。
 そこで、 県土採取等規制条例改正に向けた検討状況と条例の実効性を高める権限移譲の在り方について、 県の見解を伺います。
 次に、 盛土一一〇番の開設について伺います。
 今回の盛土崩壊箇所に隣接する場所には太陽光発電施設が設置されていますが、 そのすぐ南側の谷には違法に土砂が捨てられています。 現場は県も確認していると思いますが、 大雨等で土砂が流出した場合の危険性について地域住民説明会の場で県民から第二の盛土として強い懸念が示されています。
 過日森林保全課により現地調査が実施されていますが、 現状差し迫った危険性はないとの判断でありますが、 対象の盛土については熱海市が関係法令の手続を指導中とのことであります。
 また、 今回崩落した箇所の北西側に新たな第三の盛土も確認されたとのことであります。 この箇所は谷を埋める形で奥側に広がっており、 今後崩落の可能性を含めて県は速やかに調査と対策を行うことが求められます。
 そもそも盛土に関する許認可は大変複雑であり県土採取等規制条例、 宅地造成等規制法、 森林法などに基づく許可や届出が開発面積等により県所管と市町所管に分かれています。 縦割りとなっている県の行政組織や県が市町に行った権限移譲が結果的に今回の事案を発生させた要因の一つであったことを強く感ぜざるを得ません。
 熱海市伊豆山地区の土砂災害を受け県と市町では盛土造成行為に係る緊急点検を実施し、 現在行政指導等を継続中の箇所や過去に許可した案件のうち山間部の十五メーターを超える盛土の箇所の安全性について検証をしています。 一方で盛土が実施されている箇所はこれ以外にも数多く存在し、 今回点検を実施した箇所についても今後状況が変化することも十分に考えられます。
 このような状況の中で、 県民の皆様が自分の近隣にある盛土に危険を感じた際にその危険性をどこに対して伝えればよいのか分からない方が多いのが現実だと思われます。 我が会派では地域の住民が危険を感じる盛土について県が一義的に危険性を判断し、 モニタリングを行う盛土一一〇番の制度化についても提言を行っています。
 そこで、 地域住民が安心して暮らすことができるよう早急に県庁内に盛土一一〇番を開設し再発防止につなげていくべきだと考えますが、 県の考えを伺います。
 次に、 再生可能エネルギー推進における課題について伺います。
 地域と共生した再生可能エネルギーの推進は国際社会におけるプロジェクトであります。 国内における二〇三〇年新たな温室効果ガス削減目標値の設定や二〇五〇年カーボンニュートラル社会の実現に向けた再生可能エネルギーの最大限の導入拡大は不可欠である一方、 土砂崩れや景観の悪化その他様々な地域でのトラブルが顕在化しています。
 そこで、 まず第一点目として、 命の森を守るための大規模森林伐採を伴う太陽光発電施設設置に係る規制条例の制定についてお伺いをいたします。
 森林は地域の水源涵養を担いまた温室効果ガスの吸収源となるだけでなく、 一旦大雨が降ると水害から下流域の住民を守ってくれる命の森であります。 しかしながら森林の乱開発を伴う大規模メガソーラー計画は県内でも後を絶たず、 特に県東部地域や伊豆半島地域では住民による反対運動が展開されており大きな課題となっていることは知事も御承知のことと思います。 またメガソーラーの開発以外でも、 熱海市伊豆山の土石流災害が発生したことで地域住民はますます森林の乱開発に対して強い懸念を抱いています。
 一方、 森林法の規制にも限界があることも事実であり、 現行の許可基準を満たしていればたとえ地元の理解が得られていなくても許可をしなければならないとなっており、 また一旦下りた許可を取り消す条項も規定されていません。 この点今後国において現場の実態に即した法改正の必要性を強く感じております。
 こうした中、 山梨県では県独自の対策として山梨県太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例が令和三年六月議会で可決され本年十月一日から施行されることとなりました。 この条例は、 太陽光発電事業が地域環境に与える影響を鑑み地域との調和及び県民の安全で安心な生活を確保することを目的としています。
 静岡県においては平成三十年十二月、 太陽光発電設備の適正導入に向けたモデルガイドラインを作成し市町が独自でガイドラインや規制条例の制定をすることにつながっていることは一定の評価をしているところであります。 しかしガイドラインはあくまで強制力を伴わないものであり、 ここで改めて命の森である森林を守ること、 そして地域環境を保全し災害を防止していくという観点から静岡県がもう一段ギアを上げ県自らが規制条例を制定していくことが地域が望まない計画に対する抑止力になると考えますが、 知事の考えをお伺いいたします。
 次に、 地域資源を活用した次期エネルギー総合戦略について伺います。
 県は次期エネルギー総合戦略の策定を行っています。 国においては本年六月地球温暖化対策推進法を改正し、 その中で地域資源を活用した地域に貢献できる再生可能エネルギー導入の推進をすべく都道府県や市町が実行計画を作成することとしています。 そして今後五年間で全国に百か所の脱炭素先行地域をつくっていくことをロードマップに定めています。
 こうした中、 本県におけるエネルギー戦略も地域の特性を生かした小水力発電や地熱発電の導入促進に期待したいところであります。 ちなみに国は、 地熱発電については二〇三〇年までの目標値として現在の六十万キロワットから約二・五倍となる百五十万キロワットとしており、 そのために自然公園法や温泉法などの関係法令の改正や規制緩和を検討しています。
 日本は、 アメリカ、 インドネシアに続いて世界第三位の地熱資源量を有しており、 主に次の四点の利点があると言われています。
 一つ、 二酸化炭素排出量がほぼゼロかつ持続的な発電が可能。 二つ、 天候等の自然条件に左右されない安定的な発電が可能。 三つ、 燃料費がかからず長期的には発電コストが低い。 四つ、 ハウス栽培や養殖事業など発電後の熱水利用でエネルギーの多段階利用が可能などであります。 今後県として地熱発電などの可能性についても具体的に検討していくべきだと考えます。
 そこで、 静岡県の地域資源を生かし持続可能な再生可能エネルギーを推進していくためには県はどのような視点に重点を置くのか、 また地熱発電の可能性についてはどのような見解を持っているのかお伺いしたいと思います。
 次に、 県内経済の再生に向けた取組についてのうち、 事業継続のための経営支援について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が始まって一年半が経過しましたが、 いまだその収束は見通せません。 デルタ株の蔓延に伴い八月二十日から緊急事態宣言が再発令された影響で引き続き県内経済は大きな打撃を受けています。 中でも疲弊し回復が遅れているのは飲食、 観光関連産業であり日銀短観調査の結果を見ても苦境は明らかであります。
 県では昨年から各種制度融資による手厚い資金繰り支援を行ってきました。 併せて中小企業のデジタル化や業態転換等を後押しする補助制度を創設するなど本業支援にも努めています。 こうした取組が倒産件数の抑制に一定の効果を上げていることは確かですが、 コロナ禍が長期化する中売上げ減少や収益性の低下など業績悪化に苦しむ県内の中小零細企業は増加しており、 これまで何とか耐え忍んできたものの、 金融機関から追加の融資が受けられず新たな事業展開にも踏み出せないために事業継続を断念する中小零細企業が数多く存在します。 特に観光事業者の中では現在も続く緊急事態宣言により需要回復よりも先に経営体力が限界に達し、 経営再起への諦めが急速に広がっていると感じています。
 このような統計に表れない支援の枠組みからこぼれ落ちた企業の実態を的確に把握し、 必要な対策をきめ細かく実施することで本県経済の屋台骨である中小零細企業をしっかりと支えていくことが極めて重要であると考えております。
 県は、 これまでの支援策に加えコロナ禍で休廃業の危機に瀕している県内中小零細企業の今後の事業継続や再生を図るためどのように取り組んでいくのか、 所見をお伺いいたします。
 次に、 自動車産業における変革への対応について伺います。
 近年、 地球温暖化の進行による気候変動や大規模な自然災害が深刻な問題となり、 二〇一五年十二月のパリ協定採択以降世界では温室効果ガスの排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルに向けた動きが進展しております。 また世界各国は脱炭素社会の実現に向けガソリンを使用しない自動車の普及に向けた目標を示しており、 日本も二〇三五年までに軽自動車を含む乗用車の新車販売の全てを電動車とする目標が掲げられたところです。
 本県はスズキ、 ホンダ、 ヤマハなどの名だたる輸送機器メーカーの発祥の地であります。 また数多くの中小部品メーカーが長年培ってきた高い技術力を生かし屋台骨として本県自動車産業を支えております。 EV化に伴いエンジン関連部品を中心に約四割の部品が不要となるなど本県自動車関連企業への影響は深刻であり、 これら中小部品メーカーが事業を継続できるような必要な支援を講じることが重要だと思います。
 県では、 今年度こうした中小企業への支援策を検討するため次世代自動車の電動化・デジタル化等対応研究会を立ち上げこれまでに三回の会議を行っていますが、 委員からはこの変革期を乗り越えるために大手企業と中小企業の連携の強化や中小企業の新たな技術開発の重要性をはじめ多くの課題が提起されていると聞いております。
 この研究会での議論を踏まえて、 今後県は本県自動車産業が直面する大きな環境変化に対してどのように対応していくのかをお伺いいたします。
 次に、 観光産業の復活に向けた歴史・文化資源を活用した観光振興について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の急拡大の影響等によりこの夏の観光も当初の期待とかけ離れた結果に終わり、 加えて先ほど述べましたように緊急事態宣言が延長となったことで県内観光産業は極めて厳しい状況が続いています。 このままでは年内経営がもたないかもしれないとの悲痛な叫びが届いていますが、 観光に関わる事業者の皆さんが心折れることなく前向きに事業に取り組んでいくためには、 まずは目の前の危機的な状況に対する支援策でしっかりと下支えをし次の段階として来年度以降にも希望が持てる施策を打ち出していく必要があると考えます。
 こうした中、 来年、 再来年には本県ゆかりの大河ドラマ 「鎌倉殿の十三人」 と 「どうする家康」 が二年続けて放映をされます。 全国で誘致合戦が繰り広げられる中、 本県観光にとって大きなチャンスであり、 これを起爆剤とし観光産業の完全復活を成し遂げることが求められています。
 来年の 「鎌倉殿の十三人」 に関しては、 私の地元伊東市でも市の開祖とされ源頼朝の監視役でもあった伊東祐親をたたえる伊東祐親まつりや、 その娘八重姫と頼朝の逢瀬の地音無神社などの関連する芸能や史跡が受け継がれており、 放送開始が近づくにつれて期待も高まってきております。 この二つの大河ドラマに関する歴史・文化資源は県内各地域に数多く存在しております。 まずは感染状況を踏まえながらではありますが、 これらの地域資源を生かし本県への誘客を着実に進め観光産業回復を確かなものとするとともに地域の観光の持続的な発展につなげていく必要があります。 そのためには市町や団体、 観光関係事業者はもとより住民も含め地域一丸となって県内外からの誘客や観光地域づくりに取り組むことが重要であると考えます。
 そこで、 県内観光産業の完全復活に向け大河ドラマ放映を契機として歴史・文化資源を活用した観光振興をどう進めるのかをお伺いいたします。
 次に、 戦略的な移住・定住策の立案について伺います。
 コロナ禍を契機としたテレワークの浸透や地方回帰の動きなどと併せて移住に対する関心が高まっており、 東京圏から近い本県にとって人の流れを積極的に呼び込む絶好の機会となっています。
 これまで本県では、 県、 市町、 民間団体で構成するふじのくにに住みかえる推進本部が推進役となって移住の促進に取り組んできました。 また今年度から新たに県庁に移住コーディネーターを配置し相談から実際の移住まで切れ目のない寄り添った支援をしていることは承知しております。
 しかし、 こうした取組は他県でも実施しており目新しさがありません。 人々が移住し住み続けるためには住む、 働く、 教育の三つの環境がきちんと整うことが重要です。 持続的に富を産み出し働き続けられる雇用環境があること、 子育てしやすく老後も安心して暮らせる生活環境があることが特に若い世代を呼び込むために必要であり、 にぎわいのある活気がある地域につながると考えます。
 そうした地域をつくるためには自然環境や歴史、 産業構造、 学校、 交通、 子育て、 福祉、 人材など生活環境や企業活動に関するあらゆる項目を調査分析し、 強みと弱みを把握した上で持続可能な将来の姿、 未来像を描くことが重要であります。 そしてその未来像に向け移住者に一番近い存在である市町との連携はもとより県としても企業誘致や人材の育成、 子育てや福祉環境の整備など様々な施策を戦略的に構築、 実施していくべきではないでしょうか。
 二〇二〇年の移住希望地ランキングで初めて第一位となるなど本県への移住に対しての追い風が吹いているまさに今、 県だからこそ取り組むことができる施策として戦略的に進めていくべきではないかと考えます。 現在の担当組織を拡充し組織横断的な新体制を構築していく必要性を強く感じていますが、 県の所見をお伺いします。
 次に、 デジタル社会の実現に向けた取組について伺います。
 昨年来新型コロナウイルス感染症が拡大する中、 給付金の支給や医療体制の確保をめぐって我が国におけるデジタル化の遅れが顕著になっています。 現在国においては、 自治体DX推進計画や包括的データ戦略を策定するなど様々なデジタル施策を矢継ぎ早に打ち出すとともに、 これまでのIT基本法に代わる新たな法制度としてデジタル改革関連法を成立させデジタル化推進の姿勢を鮮明に打ち出しております。 今月一日には同法の目玉であるデジタル庁が発足したところであり、 デジタルトランスフォーメーションの推進に関する施策や取組がいよいよ本格化するものと大いに期待されています。
 一方で現実の社会は、 高齢や身体的なハンディのほか経済的にゆとりがないなど様々な事情を抱えた方がおられ、 誰もが同じようにデジタル技術に対応できるとは限りません。 デジタル化で日常の生活が便利になることはすばらしいことですが、 本県が描くデジタルトランスフォーメーションの目指す姿が果たして県民が望むものとずれてはいないか、 新たな格差につながる懸念はないかなどと心配しているのは私だけではないと思います。
 本年度は静岡県高度情報化基本計画ICT戦略二〇一八の最終年度に当たり、 県では新たなデジタル化の推進に関わる計画を策定すると聞いておりますが、 計画をどのような考え方で策定しそれにより県民の生活がどのように変わるのかをお伺いいたします。
 次に、 高校再編に向けた教育委員会の姿勢について伺います。
 近年の社会構造の大きな変化や急激な少子化の中で、 県では将来にわたって高校教育の学びの質を確保し社会ニーズの転換に対応するため公立高校の再編を進めています。 私の地元の伊東市でも伊東高校、 伊東高校城ヶ崎分校、 伊東商業高校の三校を再編し伊東地区新構想高校として再編する計画が議論されてきました。 またこの先も横須賀高校と池新田高校、 沼津城北高校と沼津西高校の再編が計画されています。
 伊東市の三校の再編に当たってはどの学校も地域住民にとって愛着のあるものでありましたが、 生徒にとってよりよい学習環境が確保でき魅力的な学びの場を提供できると判断したからこそその再編計画を受け入れたものであります。 再編計画を進める際には地元の声をしっかりと聞き丁寧に進めることはもちろん、 新たな高校のビジョンを明らかにし地元住民が期待を持てるよう説明を尽くすことが重要であり、 地域と一体となって新たな高校をつくり上げなければなりません。 これは再編計画を進めるに当たって県教育委員会に求められる責務であると考えます。
 一方、 伊東地区新構想高校については計画を承認してから約一年半がたちますが、 県教育委員会は果たしてその責務を十分果たしているのでしょうか。 現状では県教育委員会からの情報発信が不足しているように見受けられ、 子供たちやその保護者に新たな学校の具体的な展望または魅力が十分に伝わっていないと感じているのは私だけではありません。
 先頃新高校の校名を公募したことは承知していますが、 三高校同窓会関係者をはじめ伊東市民の中でも新高校について話題となることは少なく現状ではわくわく感を実感することはありません。 少子化の流れの中で今後も県立高校の再編は避けて通れない問題でありますが、 再編後の新たな高校の魅力をその高校に関わる地域住民に理解してもらわなければその意義が問われます。
 県教育委員会は、 伊東地区に限らず高校再編に向けた地域との対話について再編案決定前以上に決定後の対話を重視していかなければならないはずです。 再編後の新高校への期待値がどこまで上がっていくのか非常に心配をしています。
 県教育委員会は、 今ここでもう一度原点に立ち返り合併を受け入れた地域住民の思いをしっかりと胸に刻んで地域住民を巻き込んだ新高校づくりをするべきであると強く思いますが、 現状の認識と今後の取組姿勢について教育長にお伺いいたします。
 次に、 警察官の人材確保について伺います。
 本年七月の熱海市伊豆山地区土砂災害では、 警察の部隊は発災直後から被災現場に駆けつけ捜索が長期化してからも過酷な条件の下粘り強く捜索を継続しており、 災害時において警察の果たす役割の重要性を再認識したところであります。 平時には県内それぞれの部署で地域を守る活動を行い、 今回の災害のような突発的な事態が起これば通常の業務体制を維持しつつ機動的に人員を結集して事態の対処に当たってくださっております。 今後もこのような組織体制を維持していくためには警察官としてふさわしい人材を確保していくことが非常に重要となりますが、 昨年度における警察官採用試験の競争倍率は約二・七倍で毎年減少傾向にあります。 この背景には災害現場のような過酷な条件下での仕事や時としてプライベートより仕事を優先しなければならない場面があるといったことが最近の若者の風潮に合わないという面もあると思います。
 私としては厳しい面もあるからこそやりがいのある職業であると思いますし、 子供の頃から警察官になることを夢とし就職適齢期になって実際に警察官を志望する若者はいつの時代でもいるのではないかと思っております。 もちろん採用倍率を増やしより多くの志望者の中から警察官にふさわしい人材を確保することは必要ですし理想ではあると思います。 しかし一方で、 あまり採用倍率だけにとらわれず自分たちの生まれ育った地域を守りたいという高い志を持った真に警察官にふさわしい人材を志望してきた者の中から適正に採用していくことも重要なのではないでしょうか。
 そこで、 警察官になるという志を持った真に警察官にふさわしい人材を確保するための取組について警察本部長にお伺いをいたします。 以上、 答弁を求めます。
○議長 (宮沢正美君)  川勝知事。
○知事 (川勝平太君)  中田議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、 次期総合計画策定の方向性についてであります。
 コロナ禍を契機に私たちは大きなパラダイムシフトに直面しております。 大都市の過密構造そのものが感染リスクを高めている現実がございます。 東京一極集中の是正は不可避であると考えます。 国民を疫病から守る防疫体制の脆弱性が明らかとなりました。
 一方、 人々の働き方やライフスタイルが劇的に変化いたしまして地方回帰の流れが始まりました。 また打撃を受けた経済の再生が喫緊の課題となる中、 人々の価値観の変化は例えば事業者を励まそうという利他的な消費を喚起したり、 また遠隔、 非接触のオンラインビジネスの拡大が社会経済のデジタル化を加速させております。
 さらに、 世界的な気候変動危機は激甚化する災害への対応強化を求めているとともに、 命の水や自然環境を保全することの重要性を再認識させるものとなっています。 経済も環境との調和が求められる二十一世紀、 循環型の経済社会の形成が大きな課題となっております。
 こうした現状認識また課題認識の下、 次期総合計画では富国有徳の美しいふじのくにづくりを基本理念にコロナ禍を契機とした時代の転換点に当たり、 東京一極集中の時代から地方活躍の静岡時代へと本県の進むべき方向を明らかにしてまいります。 その際富士山から導き出される価値すなわち自然への畏敬の念や和を尊ぶこと、 謙虚さを失わず全ての人の幸福に心を砕くことなどに立脚した人づくり、 富づくりを進め県民幸福度の最大化を目指してまいります。
 また、 世界から見た静岡県の視点で、 ドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点づくりを進め、 世界に輝くSDGsのモデル県として誰一人取り残さない社会を実現してまいろうと考えております。
 このための政策の方向性としては、 まず新しい感染症や再流行の感染症等に対する防疫体制の確立をすることが大事であります。 それとともに近年激甚化する災害対応の強化を図らねばなりません。 また持続的な発展に向けた新たな挑戦としてデジタル社会の形成や環境と経済が両立した社会の形成を掲げまして、 社会経済全体のDXの推進やカーボンニュートラルの実現などに着実に取り組んでまいろうと考えております。 さらに少子化突破戦略の羅針盤に基づく施策の充実を図るほか顕在化する困窮や孤独などの問題に対しましても社会全体で支え合う安心な社会の構築に取り組んでまいります。
 加えて、 富をつくる産業の展開といたしまして地域主導型の新たな経済政策フジノミクスを積極的に推進いたします。 また短期的には中小企業、 小規模企業の成長の支援、 中長期的にはリーディングセクターによる経済の牽引など経済再生に向けた経済対策に取り組みます。 それとともに人々の多様なライフスタイルを尊重しテレワークや二地域居住などの新しい働き方、 住まい方の支援や首都圏等からの移住者の受入れ体制を充実させてまいります。
 県といたしましては、 ポストコロナあるいはウイズコロナそしてまたポスト東京時代を見据え時代の転換点を大きな変革のチャンスと捉えまして、 将来にわたり本県の持続的発展の礎となるような総合計画の策定を進めてまいりますので中田議員をはじめ県議会の皆様の御支援、 御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、 医療体制の確保についてであります。
 現在、 新型コロナウイルス患者を受け入れる確保病床数は七百二十床程度まで拡充することができました。 これは、 命を守る戦いに使命感を持って御尽力頂いている医療機関と医療従事者の皆様の御協力のたまものでありまして感謝の念は尽きるところがありません。 しかし次の大流行期も見据えなければならず、 今回以上に病床を確保いたしますことは、 しかし現状としてはかなり厳しいと考えております。
 そのため、 今後のさらなる感染拡大の可能性を考慮して限られた病床をこれまで以上に有効に活用できる体制を整えていくことが重要な課題であると考えます。 医療機関の負担の軽減のため、 まずは宿泊療養施設に設置した臨時医療施設の機能を拡充いたします。 治療対象を宿泊療養者に限ることなく周辺の自宅療養者でも抗体療法や酸素投与が受けられるような仕組みを確立してまいります。
 加えまして、 医療機関において抗体療法を行った場合には軽症化し、 回復に向かわれている患者さんを宿泊療養施設へ移す確実な流れをつくり病床の効率的な運用を図ってまいります。
 また、 入院待機ステーションにつきましてはいまだ開設には至っておりませんけれども、 感染の急拡大に備え人材の確保などについて医療関係者とよく話し合い開設に向けた道筋をつけてまいります。
 これらのほか、 これまでの一年半にわたる対応について検証いたしまして新型コロナウイルス感染症対策専門家会議や重点医療機関等連絡調整会議の委員の皆様に御意見を承った上で今後の有効な対策に生かしてまいります。
 県といたしましては、 今後の感染拡大に備え医療機関の御協力を頂きながら病床の確保をはじめコロナ対策の核である命を守る医療提供体制の確保に最大限の努力をしてまいります。
 次に、 再生可能エネルギー推進における課題についてのうち、 地域資源を活用した次期エネルギーの総合戦略についてであります。
 国は、 二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言しその実現に向けて再生可能エネルギーを最大限導入することを打ち出しました。 本県も、 来年度からスタートする次期ふじのくにエネルギー総合戦略で再生可能エネルギーの積極的な導入促進を図るために有識者等で構成するふじのくに未来のエネルギー推進会議でその内容について検討しているところでございます。
 具体的には四つのテーマを設定しております。 第一に再生可能エネルギーの導入拡大、 第二に産業活動の脱炭素化、 第三に二酸化炭素の吸収源対策、 第四に省エネの推進であります。 これら四つのテーマに沿って議論を進めております。 会議では再生可能エネルギーを利用した水素の活用促進が鍵を握るという御意見のほか、 再生可能エネルギーの導入には県民の御理解と協力が不可欠であるという御指摘も頂いております。
 私どもといたしましては、 こうした視点も踏まえまして新たなエネルギー総合戦略の策定を進め、 太陽光発電をはじめ小水力、 バイオマスなど本県の豊かな自然資源を生かした多様な再生可能エネルギーの一層の導入を図ってまいります。 またこれらを蓄電池と遠隔制御で組み合わせて地域内での有効活用や電源の安定化を図る仮想発電所ふじのくにバーチャルパワープラントの構築を通じてエネルギーの地産地消も促進してまいります。
 地熱を活用したエネルギー施設につきましては、 現在温泉熱を活用したものも含めて東北や九州を中心に全国で六十か所以上稼働しております。 県内でも約十年前から実証事業が進められて温泉保護地域における掘削についての規制やコスト、 地域との合意形成などの課題を克服して二件が稼働に至っているというのが現状であります。
 国は、 地熱エネルギーについて安定性などの特性から将来のベースロード電源になり得るとしています。 本県におきましても、 今後の技術的進展を踏まえ次期のエネルギー戦略に成長が期待されるエネルギー源として位置づけるとともに、 地元関係者との意見交換を通じて地熱の導入可能性について研究を進めてまいります。
 次に、 県内経済の再生に向けた取組についてのうち、 事業継続のための経営支援についてであります。
 県は、 新型コロナウイルス感染症の発生後直ちに中小企業の資金繰り支援に注力し事業の継続が図られるよう努めてまいりました。 しかし感染症の影響が長期化いたしまして、 直近ではまん延防止等重点措置や緊急事態措置の適用により事業活動の制約を受けておられる中小企業の経営は一段と厳しさを増しているという認識を持っております。
 このため、 県では中小企業の事業継続を下支えする緊急措置として国の月次支援金制度に沿う形で業種や地域を問わず給付を行う応援金制度を創設いたしました。 企業経営が厳しくなっている中まずはこの月次支援金や応援金を速やかにお手元にお届けすることが重要でありまして、 申請受付から給付までの手続を迅速に行えるよう事務局体制の強化を図るとともに、 市町や商工団体、 各業界団体に対し制度の周知や相談対応等の協力をお願いしているところであります。
 また県では、 感染症の影響下での中小企業の事業継続を支えるために信用保証協会と連携した資金繰り支援や本業の支援につながる各種補助制度を拡充しております。 今後とも各企業の実情をよく知る商工会、 商工会議所、 金融機関等と連携を取りながらそれぞれの企業がこうした制度を円滑に利用できるようこれまで以上に企業に寄り添ったきめ細かな支援に取り組んでまいります。
 加えて、 特に大きな打撃を受けている観光事業者につきましては、 今後の県内観光促進事業に万全を期す上でも県の安全・安心認証を受けた宿泊事業者に対して感染防止対策に必要な経費の助成のほかマイクロツーリズム等の新たな需要の取り込みを後押ししてまいります。
 政府は、 今後ワクチン接種や陰性証明を条件に行動制限の段階的な緩和を目指すこととしており、 経済活動にブレーキをかけるこれまでの政策から出口戦略への転換が図られようとしております。 県としましてもこうした動きを踏まえ万全の感染防止対策を講じながら、 きめ細かな支援と需要の喚起を通じ飲食・観光関連産業をはじめとする中小企業の事業継続や再生を全力で支えてまいります。
 次に、 デジタル社会の実現に向けた取組についてであります。
 人口減少、 少子高齢化等深刻な社会問題を抱える我が国におきまして生産性を向上させ経済再生を図るにはデジタル技術を最大限に活用することが不可欠です。 また昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大によりこうした課題が一層顕著になっていることは、 議員御指摘のとおりであります。
 県では現在、 来年度から四年間を計画期間とするふじのくにDX推進計画の策定を進めております。 この計画では誰にも優しく、 誰もが便利に、 安全・安心、 そして豊かにを基本理念に据えまして三つの基本方針、 第一に地域社会におけるデジタル化の牽引、 第二に市町DXの推進への支援、 第三に県庁DXの推進と新たな価値の創造というこの三つの基本方針を定めることとしております。
 計画の策定に当たりましては、 市町や経済団体などと意見交換を行い様々な分野の現状と課題、 今後の動向等の把握を行ってまいりました。 こうした結果を基に本県が十年後に目指す姿をイメージし、 その実現に向けた具体的計画の策定を進めてまいります。
 また、 基本理念の冒頭に掲げる誰にも優しくという言葉でございますが、 これはデジタル機器が不得意な方を取り残さない、 あるいはまた誰もがデジタル化の恩恵を受ける社会の実現等を念頭に構成しているものでありましてSDGsが目指す誰一人取り残さない社会の実現にもつながる考え方を念頭に置いております。 本県ではこの部分に重点を置きまして誰もが使いやすいデジタル技術の導入や活用を進め、 そのための様々な事業の展開また支援を行ってまいります。
 なお、 計画の策定と並行し本年度から各部局の抱える課題をデジタル技術の活用で解決を図るふじのくにのデジタル化事業を実施しているところであります。 現在図書館のデジタル化や浄水場における薬剤注入の自動化など六つの取組を進めておりまして、 得られた結果を基に次年度以降の本格的な事業展開につなげてまいります。
 県といたしましては、 県議会をはじめ様々な機会を通じて県民の皆様の御意見を承りながら計画を策定し、 ウイズコロナ望むべくはポストコロナの新しい時代のライフスタイルの下で誰もがデジタル化の恩恵を享受し豊かさを実感できる新しい静岡時代の創造を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては、 副知事、 関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長 (宮沢正美君)  難波副知事。
○副知事 (難波喬司君)  熱海市伊豆山地区土砂災害への対応についてのうち、 土採取等規制条例改正の実効性を高める権限移譲の見直しについてお答えをいたします。
 今回の土砂災害につきましては、 県条例に基づき熱海市に届け出された盛土箇所において不適切な工事が行われ土石流被害を拡大させたと推測しています。 県では現行の条例では抑止効果が十分ではなかったとの反省から条例の抜本的な見直しを行うこととし作業を進めています。 見直しに当たっては、 盛土の構築物としての安全性、 安定性の観点と盛土材料の健康被害等についての安全性の観点、 この両方の規制強化が必要と認識しています。 全国の条例を分析しこの二つの観点の規制を定めている三重県の条例を参考に、 盛土に特化した新たな条例の制定と現行の土採取等規制条例の改正を行うこととし検討を進めています。
 新条例においては一定規模以上の盛土行為を許可制とし罰則には懲役刑も入れる予定です。 罰則に関する検察庁との協議やパブリックコメントによる県民意見の反映などの手続が必要となることからこれらを着実に進め、 令和四年二月議会での条例制定と周知期間三か月を経た令和四年七月一日からの条例施行を目指しています。
 市町の権限移譲につきましては、 新たな条例に基づき盛土行為者に対して厳格に指導していくためには県が統一的に運用していくことが不可欠であると考えています。 このため新条例については市町への権限移譲は行わない方針です。
 県といたしましては、 二度と同じような災害を発生させないとの強い決意の下、 実効性のある新たな条例を制定し県が直接運用する体制を構築し、 併せて無許可や不適切な工法の盛土を監視するシステムを構築することで県民生活のより一層の安全確保を図ってまいります。
 次に、 盛土一一〇番の開設についてであります。
 盛土については総合的に規制する法律が整備されていないことから、 現状では森林法や土採取等規制条例などの関係法令を所管する部局が権限を移譲されている市町とも情報共有しながら指導等を行っています。
 議員御指摘の県民の皆様は自分の近隣にある盛土に危険を感じた際にその危険性をどこに対して伝えればよいのか分からない方が多いのが現実だと思われますという点ですが、 確かに県民の皆様は盛土がどういう法令により規制されているのか、 あるいは担当は県なのか市なのか分からないというのが現実だと思います。 よって議員から御提案のありました盛土一一〇番の開設については県民の皆様の通報・相談の利便性という観点からは大変よい御提案と思います。
 その一方、 その通報に行政としてどう対応していくかという観点も大変重要です。 盛土は土採取等規制条例だけではなくて森林法、 宅地造成等規制法等の関係で行政手続が行われます。 現時点ではこれらの法律、 条例に基づくもので、 一定規模以下の行為についての行政権限は市町に移譲されています。 現在国からの依頼により盛土による災害防止のための総点検を実施中ですが、 点検対象とする盛土の件数は千八百五十七か所です。 そのうちの六〇・七%、 千百二十七件の許可等の行政権限は市町が持っています。
 こういった実態を踏まえて盛土一一〇番を県に設置した場合にどのようなことが予想されるかですが、 現在のところ市町の権限となっている盛土については届出等がされた行政手続について県は十分な情報を持っていません。 したがって県に通報された案件が県の権限なのか否かを県庁の関係各課に照会し、 該当しない場合は市町に問い合わせることになります。 その後、 その権限に基づいてですが、 県または市町の担当者が現場に行って現物を見て現実を知るということになります。 これは権限のある者が行うべき行為になります。 届出が県に出されるものより市町に出されるものが多い現実を考えると、 県が一元的に通報を受け対応するというシステムでは現場、 現物、 現状に即した対応という観点からは事務が混乱し対応が遅れる可能性が高いと言えます。
 総括すると県が一義的に危険性を判断しモニタリングを行う盛土一一〇番の制度化については県民の通報・相談の利便性の観点からは優れているものの、 その後の行政対応という点では事務の効率性、 対応の迅速性という点で課題があると考えます。
 現在、 盛土を規制する新条例の制定に向け内容を検討していますが、 併せて県と市町の権限についても検討しています。 これらの権限の問題の整理や無届けや法令違反の盛土の存在を監視するシステムの構築についての方向性が出た段階で県民の皆様に日頃から監視頂き通報頂く盛土一一〇番の制度設計を行ってまいります。
 県といたしましては、 引き続き関係部局及び市町と連携して危険な盛土の把握と情報共有に努めつつまずは県、 市町の問合せ等の窓口を明確にして迅速に対応する体制すなわち県が一元的にやる盛土一一〇番ではなく県・市町連携の盛土一一〇番の仕組みをまず整えます。 その後、 権限の移譲の整理や不法行為の監視システム等を考慮して改めて盛土一一〇番の制度設計をしてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  杉山経営管理部長。
○経営管理部長 (杉山浩一君)  知事の政治姿勢についてのうち、 総合計画の推進に向けた市町との連携についてお答えいたします。
 県は、 市町村を包括する広域の地方公共団体であり、 市町間及び県と市町との間の連絡調整を円滑に進める役割を担っております。 今後人口減少が進む中、 地域の行政体制を確保していくためには県と市町との連携が一層重要性を増していくものと考えております。
 その上で今回、 総合計画の地域づくりの基本方向の見直しに当たりましては、 地域サミットや地域政策会議において県と市町との間で十分な意見交換を行い地域の目指す姿をしっかりと共有してまいります。
 また、 総合計画に掲げる施策を着実に実施するため、 行政課題解決に向けたトップ同士の対話の場として市長会、 町村会との意見交換や臨時地域サミットの機動的な開催などのほか特に事務レベルでは行政経営研究会を活用するなど迅速な対応を図ってまいります。 さらに県と市町の相互理解や信頼関係を一層強化させるには職員同士が顔の見える関係を築くことが必要であるということから、 従来の若手職員中心であった人事交流について幹部職員を含めてその充実を図ってまいりたいと考えております。
 これらの取組を通じ、 県と市町との連携強化を進め県民幸福度の最大化を目指した地域づくりを全力で進めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  石田健康福祉部長。
○健康福祉部長 (石田 貴君)  新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、 ワクチン接種加速化についてお答えいたします。
 市町の接種に使用されるワクチンにつきましては、 八月上旬に国から対象人口の八割に相当する量を十月上旬までに配布することが示されました。 そこで必要となるワクチンを過不足なく配布するため全市町から接種計画を提出していただき県で調整することといたしました。 配付に当たっては、 市町の計画と国配分量の差を県調整分として留保し、 各市町の接種スピードに合わせて計画的に配付することとして八月中旬に配付の時期と数量を各市町にお示ししたところであります。
 これにより接種スピードに合わせた効率的な接種が可能となり、 十月末以降を完了時期としていた九市町におきまして最大四週間の前倒しがされるなど円滑に接種が進んでおります。
 県といたしましては、 市町と情報を常に共有しワクチンを融通し合う仕組みを運用することで、 希望する県民の皆様全てが十一月末までに接種できるよう取り組んでまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  三須経済産業部長。
○経済産業部長 (三須敏郎君)  再生可能エネルギー推進における課題についてのうち、 命の森を守るための大規模森林伐採を伴う太陽光発電施設設置に係る規制条例の制定についてお答えいたします。
 国が、 脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギー特に太陽光発電を最大限導入する方針を打ち出す一方、 全国的にメガソーラーの建設による災害の発生や環境破壊等が懸念される事例が増加しております。 県内では、 平成三十年に大規模太陽光発電施設の設置に関して半数を超える市町が条例またはガイドラインにより無秩序な開発を抑制する方針を示したことから、 県として市町の参考となるようモデルガイドラインを作成いたしました。 その結果現在までに二十の市町が条例を制定し、 ガイドラインまで含めれば八割が独自の規制を実施しており地域の実情に応じた対応がなされているものと認識をしております。
 一方、 森林の開発については法律による規制が最も有効であることから、 事業者が森林法に基づく手続を行う前に事業計画に関する住民説明会の開催を法律上の要件とするなど法の趣旨を尊重しつつ、 住民との合意形成を図るための法改正を国に提案しているところであります。 今後も同じ状況にある他県とも連携して全国知事会を通じて国に働きかけてまいります。
 現在、 多くの市町が独自の条例やガイドラインに基づいて災害防止や環境保全に取り組んでおり、 県といたしましては引き続き国に対して法律改正を求めていくとともに、 地域の実情に精通した市町の取組を支援しながら地域と共生した再生可能エネルギーの適正な導入を促進してまいります。
 次に、 県内経済の再生に向けた取組についてのうち、 自動車産業の変革への対応についてであります。
 県では、 次世代自動車センター浜松等と協力して中小部品メーカーが自らの固有技術を見極め新たな製品開発に挑戦する動きを支援しているところでありますが、 脱炭素社会の実現に向けて世界的に脱ガソリン車の動きが加速する中さらに一歩踏み込んだ対策が必要と考えております。 六月に立ち上げた研究会では、 カーボンニュートラルへの対応やデジタル人材の育成のほか喫緊の課題としてサプライチェーン全体としての製品開発力や開発スピードの向上、 大手サプライヤーと中小部品メーカーとの連携強化の重要性等について御意見を頂いております。
 このため、 県では大手サプライヤーや中小部品メーカー等をメンバーとする四つのワークショップを立ち上げることとし、 中小部品メーカー単独では困難な系列や業態を超えた企業同士の連携を促進いたします。 具体的には材料の軽量化など強化すべき技術分野や開発のスピード化につながる生産現場でのデジタル化等の方策について課題を整理して、 今後の道筋を描いてまいります。 試作品の共同製作にも取り組むことで中小部品メーカーの製品開発力や提案力の向上につなげ、 新製品の共同開発の流れもつくり出してまいります。
 また、 中小部品メーカーの取引に影響を与える脱炭素経営への支援や次世代自動車のソフトウエア化に向けたIT企業とのマッチングの場の創出などについても研究会での議論を深め、 県の施策に反映させてまいります。
 県といたしましては、 次世代自動車センター浜松を拠点に国や大学、 産業支援機関と連携して中小部品メーカーの事業継続を支えていくとともに、 この変革期を成長のチャンスと捉え県内企業による新たなイノベーションを創出して本県産業の柱である自動車産業の持続的発展を目指してまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長 (植田基靖君)  観光産業の復活に向けた歴史・文化資源を活用した観光振興についてお答えいたします。
 平成二十九年放映の大河ドラマ 「おんな城主直虎」 による経済波及効果は、 浜松市の発表では二百四十八億円と地域に大きな効果をもたらしました。 厳しい状況が続く本県観光産業の本格的な回復に向け、 二年連続で本県が大河ドラマの舞台となるこの絶好の機会を逃すことなく歴史・文化資源を活用した県内外からの誘客を進めてまいります。
  「鎌倉殿の十三人」 では、 県や伊豆半島、 富士山周辺地域の二十市町、 観光団体等が協議会を設置し源氏や北条氏ゆかりの地やその周辺の見どころなどを楽しむ旅行商品の造成、 地域の史跡を巡るスタンプラリー、 神奈川県と連携した広域的な周遊の促進等に取り組むことでその効果を地域全体に波及させてまいります。 また大河ドラマの放映効果を県内全域に広げるため、 今月二十七日に県と県観光協会、 北条義時の生誕地である伊豆の国市、 徳川家康が幼少期や壮年期を過ごした静岡市、 浜松市との連絡会を開催し関係者が一体となって誘客等の取組を進めることを確認したところであります。
 さらに、 大河ドラマに関連する資源のさらなる掘り起こし調査やしずおか文化財ナビによる動画の発信に取り組むなど歴史・文化資源を活用した持続可能な観光地域づくりを進めることにより、 県内観光産業の回復に全力で取り組んでまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長 (市川敏之君)  戦略的な移住・定住策の立案についてお答えいたします。
 本県への移住・定住をさらに促進させるためには産業の振興と雇用の創出、 豊かな住環境や安心して子供を産み育てられる支援策、 教育環境の充実など様々な施策により本県の総合的な暮らしの魅力を向上させ本県の魅力を移住を検討している方に伝え暮らしの場として憧れと期待を持って選択していただくことが重要と考えております。 これは、 富国有徳の美しいふじのくにづくりを基本理念とする総合計画や地方創生総合戦略に県を挙げて取り組むことそのものであります。
 そのため、 出野副知事を本部長とする国、 県、 市町、 地域団体、 企業で構成するふじのくにに住みかえる推進本部を設置して相互の連携を強化するとともに、 関係部局が参画する庁内会議を設け移住・定住施策の推進に一体的に取り組んできたところであります。 昨年度は、 美しい自然環境をはじめとする本県の魅力に加え、 コロナ禍における地方回帰の機運の高まりやオンラインによる相談体制の構築などにより本県の移住者数と相談件数は過去最高となりました。 今後も移住先としてより多くの方に本県を選んでいただくため、 移住施策の柱である情報発信、 相談体制、 受入れ体制の一層の充実強化に取り組んでまいります。
 県といたしましては、 ウイズコロナ、 アフターコロナ時代の趨勢を的確に捉えて例えば、 新しい働き方をテーマとした部局横断的なプロジェクトチームの設置といったさらなる庁内連携の強化とともに、 組織体制についても検討しより戦略的に移住・定住施策を推進してまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  木苗教育長。
○教育長 (木苗直秀君)  高校再編に向けた教育委員会の姿勢についてお答えいたします。
 新構想高校につきましては、 ふじのくに魅力ある学校づくり推進計画に基づき地域の実情に配慮しつつ、 地域の方々の御理解と御支援を得ながら推進することとしております。 伊東地区におきましても、 計画の公表以降学校関係者や伊東市教育委員会と協議、 検討を進める中で改めて新構想高校への期待の大きさを強く認識したところであります。
 このため、 新構想高校の整備に当たりましては地域ニーズの把握に最大限努めることとし、 伊東市内の中学生や保護者へのアンケート結果を踏まえ地域社会の創生に貢献する人材の育成を理念に掲げ、 学科や学習内容等を示した基本計画を令和二年度末に策定いたしました。 また地域から頂いた御提案によりゆとりのある教室や県立高校最大規模の体育館、 併置する特別支援学校分校に配慮した動線の確保、 エレベーターや相談室の配置など施設面の充実を図っているところであります。
 議員御指摘のとおり、 開校に向けての情報発信は大変重要でありますことから地域へ積極的に足を運び、 基本計画を基に作成したリーフレットや動画を用いて生徒の多様な進路希望に対応した学科や類型などを中学生や保護者、 地域の方々に対して分かりやすくPRしてまいります。 今後伊東市内において十月から十一月にかけて県教育委員会と各高校が合同で新構想高校の説明会を四回開催するとともに、 小中学校の校長会やPTA連絡協議会にも引き続き新構想高校の周知を図ってまいります。
 現在、 伊東の地で新たに開校する高校が地域に親しまれるよう新構想高校の校名募集を行っているところであり、 引き続き地域に寄り添い一体となって開校に向けた準備を進め開校後においても教育内容の充実に取り組んでまいります。
 県教育委員会といたしましては、 伊東地区新構想高校が新たな学校づくりの先駆けとなるよう整備を進め、 今後の新構想高校計画においても地域と共に魅力ある学校づくりに邁進してまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  山本警察本部長。
○警察本部長 (山本和毅君)  警察官の人材確保についてお答えをいたします。
 県警察の採用情勢でありますが、 警察官の採用試験は大学卒業者を対象とした試験と主に高校卒業者を対象とした試験を行っておりまして、 昨年の大学卒業者については受験者数四百三十九人、 競争倍率は二・五倍であります。 近年は受験者数、 競争倍率ともに減少、 低下傾向にあります。 今後も就職適齢人口が減少することが見込まれていることに加え、 民間企業の採用意欲が旺盛であることなどを踏まえますと引き続き厳しい採用情勢が継続すると考えられるところであります。
 このため、 県警察では厳しい採用情勢の下、 真に警察官にふさわしい人材を確保するため採用試験において人物重視の試験を実施をしております。 特に面接試験では合計点の約七割を配点し、 厳しい現場に遭遇することがあっても任務を全うし得るような成長が期待できるかなど警察官としての適性を慎重に判断しているところであります。
 また、 試験制度では平成二十八年度からいわゆる一芸採用に分類をされます自己推薦の試験区分を導入したほか、 令和元年度から大卒の受験資格を三十五歳までに引き上げるとともに令和二年度から体格基準を撤廃をいたしました。 このほか生まれ育った地域を守りたいという志を持った人材を確保するため、 県内在住者はもとより県外進学者に対し地元で働く魅力をアピールし、 その志望意欲を高めていくことが重要であります。 また県外出身者であっても、 本県警察の魅力を感じ受験してもらえるような仕掛けも必要であると考えております。
 そこで、 県外在住者も参加しやすいオンライン採用説明会の開催や若手警察職員を中心としたリクルーターによるSNSの発信など若者の志向を踏まえた様々な募集活動に取り組んでいるところでございます。
 県警察では、 今後とも時代が変わろうとも素朴な正義感を持った真に警察官としてふさわしい人材を確保するための取組を積極的に進めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  中田次城君。
        (四十六番 中田次城君登壇)
○四十六番 (中田次城君)  いろいろ御答弁ありがとうございました。
 まず、 要望を一点先にさせていただきたいと思いますが、 高校のね、 新高校。 私は伊東、 地元ですから地元のことを例を出して述べましたが今回のこの伊東高校のですね、 伊東の新しい高校がこれから進めていく県の再編計画のやっぱり先駆けになるわけですね。 ここでやはり地域と一体となってですね新高校をつくるということに盛り上がる機運、 高めていかないと次につながらないという心配を私はしてますよ。 ですから教育長はまあいろいろやってらっしゃること答弁は聞きましたが、 しかし実態としてね、 やっぱりまだまだ地域の中でこういった新しい高校に対する期待感とかわくわく感がないというのはこれ事実なんですね。 だからそういったことは決定をする前よりももっと決定した後に力を入れて今後の再編計画もあることですから、 ぜひそこは改めて原点に返っていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 それでは再質問を三点させていただきたいと思います。
 まず第一点目は土採取の条例の改正、 難波副知事からるるいろんなポイントを含めてですね、 これまで以上のやっぱり御説明を頂いたと思って、 ぜひこの熱海の災害をやはり教訓として静岡県がすばらしい、 やっぱり再発防止につながる条例を私はつくっていっていただきたい、 つくらなければいけない使命があると思ってますね。 そういった中で副知事もその御答弁の中で市町への権限の移譲はしていかない、 原則県が権限を持っていくというお話の中で一方で、 即座にそういうふうにするわけにもなかなか混乱が乗じていかないので、 市町とですね権限についていろいろ検討していかなきゃならないというようなくだりもあるわけですね。
 要はどういうことなのかね。 要は権限は最終的に県が持つんですよと。 終点はそこだと。 しかしそこにたどり着くまでの間にそれを整理していく段階でいろいろなそれぞれの権限を、 権限というか今の立場を調整していく、 そういう意味なのかね。 それとも最終的に県が窓口や権限、 許可の権限やもしくは指導の権限は持つけれどもその後の法律の運用、 条例の運用の中でも市町とのその権限というかその役割分担みたいなものが残っていく、 そういうふうな理解をするべきなのかね。 そこが御答弁を聞いてて少し分かりづらい。 その辺を今、 現状のお考えをお聞きしておきたいと思います。
 続きまして再生可能エネルギー、 命の森これはできれば私は知事に御答弁を本当は頂きたかったですが。 なぜならば太陽光発電もね全て悪いわけじゃない。 ただ森を伐採して災害につながるようなしかもそれが地域の住民から望まないような太陽光発電の開発というものは、 これはもうこれまでの知事も反対をしてきてくれてるわけ。 これは私、 伊東のことでずっとよく分かってるんですよ。 今回も函南がまだこういうことがあったり伊豆半島というのは狙われているわけだ、 いろんな意味で。 そういう意味ではこの森林伐採、 大規模森林伐採を伴う太陽光発電、 開発、 太陽光発電に限らず開発というものが地域住民の生活に危険を及ぼす可能性があるという観点で、 私はまずいるわけですよ。 だから国がどうの市町がどうのということとは全く別にね、 県ができることはないんだろうかということを質問しているわけですよ。 だから山梨県の例も出している。
 そこで聞きたいのが森林伐採を伴うこの開発、 大規模開発による住民が今抱えている不安とかそういったものが私は強くあると思ってるんですよ、 全国的にもある。 この認識についてまず改めてお聞きしたいのが一つ。
 それと条例を私はつくったらいかがですかという提案をさせてもらいました。 しかしガイドラインに基づいて各市町が二十市町が条例つくったり、 いろんなことやってるから県としてはまあそこまでやる必要はないじゃないのかというような御答弁に私は聞こえるわけですが、 しからばそういった今の現状を維持することで今地域の住民が不安に思っているようなことが解決するんでしょうか。 そうお考えなんでしょうか。 私はそこを聞きたいです、 改めて。 その二点をお答え頂きたい。
 それと県内経済再生の事業継続のための経営支援、 これについてお伺いしたいわけですけれどもコロナによってもう本当にずたずたにされているわけですよね、 経済が。 中小零細企業もそうですし個人商店や個人事業主もみんなそうですよ。 大手ももちろんそうですがね。 これは大変な思いをみんなしてやっている。 だからその中で県ができることは何ですかという話をしていろんな御答弁を頂いた、 それもよく分かっています。
 しかしそこでやっぱり考えていっていただきたいのは、 例えばコロナによって留保されている予算、 予算の例えば執行の弾力的な運用とかね。 例えば御答弁の中にもあったけれども協力金だとか例えば応援金、 こういったものの支給を速やかにするべきだ、 こういう御答弁された、 まさにそのとおりですよ。
 しかし一方でね、 例えば観光施設の観光の旅館宿泊者がやる感染対策にやられる助成金、 これが例えば五十万円あっても審査全部通ってもまだ執行されていない。 一か月もほったらかされているという現状があったり、 今で言えば知事御存じかどうか分かりませんが、 協力金の支払いも大幅に遅れてるんですね。 九月一日に協力金の申請をしました。 今現在七千五百ぐらいの事業者が昨日時点でしてますよ。 これは九月一日時点で書類が完全にそろっていればですよ、 二十一日、 要は三週間後に支給をしていくというスキームで目指してやってきたわけだ。 ところが二十一日に支給された額は本当にごく僅かですよ。 もう二桁の前半ですよ。 現実に七千五百の申請がされているけれども、 例えば今日も支給日だ、 一週間空けての支給になっているらしいんですがこれもよく分からないんですけどね。 どんどんやればいいとは思いますが、 この今日の支給日だって本当に微々たるものだというふうに私は聞いた。
 そうすると七千五百の申請事業者に対して県や国が事業を休んでくれと、 その代わり払いますよといった協力金の支給が大幅に遅れている、 もしくはいつ払えるか分からないような実態の支給実態というのは一体どういうことなんだということになるわけですよ。
 私の事務所でも私の市内の身の回りの人、 三十件も四十件も九月の一日に支給、 絶対もう不備がないようにということでやっているわけですよ。 もう何回も書類をチェックして。 だから恐らく一応検証をやってるから書類の不備なんかないんですよ。 だけどそういったところにはおたくの書類不備ですよなんて一言も連絡もないし二十一日をずっと楽しみに待ってた。 だけど結局どこも振り込まれてない。 聞いてみたらもう本当にごく僅かなものしか支給されてない。 こういった実態に対して県はどういうふうに把握されていてどのようにこの対応をしていこうと思っているのか、 これはきっちりとお答え頂きたいと思います。
○議長 (宮沢正美君)  難波副知事。
○副知事 (難波喬司君)  盛土に関する新条例についての再質問についてお答えをいたします。
 新条例について権限移譲するかどうかということですが、 これについては権限移譲はいたしません、 それは明確です。 そういうことで今検討を進めております。
 その一方で、 その盛土等につきましては多数の法律、 条例が絡んでいてそれが権限移譲されているというものもあります。 したがってこれからその実際にその盛土等について規制を行うときにはその新条例だけではなくて、 ほかの条例も組み合わせてそれらについては権限が移譲されているという状況にあります。 それらをうまく組み合わせて、 実効性のある規制をしていく必要があるのでそのあたりのやり方について、 これから市町ともしっかり協議をしていかないといけないというふうに思っています。
 それから通報との関連も大変大事で、 その通報は、 やはり県が盛土一一〇番の制度をつくったとしてもやはり地域の方は地元の市町に連絡をするということが十分あり得るというふうに思います。 そういうときに今度は市が県に回すというようなことではいけませんので、 そうするとやはり県と市の中で情報をしっかり共有をしてですね、 それで権限もどうかということも整理をしてやっていくというのが実効性を高めるために大事だと思いますのでこれから新条例だけではなくて既存の法律、 条例も含めそれから通報も含め市町と密接なといいますか意見交換をしっかりやっていく必要があるというふうに思っております。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  三須経済産業部長。
○経済産業部長 (三須敏郎君)  命の森を守るための大規模森林伐採に伴う条例の制定についての再質問についてお答えをいたします。
 議員から御質問がございました住民からの不安についての認識でございますが、 議員からもお話がございましたように伊豆半島を中心にメガソーラーの計画が進んでいる地域の皆様から、 県に対しても大きな不安の声は頂いております。 私どもといたしましてこういった声に的確に対応するためには、 まず法律による規制が最も効果が高いというふうに考えております。 先ほど答弁で申し上げましたように農林水産省に対しまして森林法の改正を求めているわけでございますが、 具体的な内容といたしましては住民との合意形成を得るための手続を森林法の中に盛り込んでいただきたいという趣旨の要望を提案をさせていただいているところであります。 引き続き他県とも連携をしながら国のほうに働きかけをしていきたいというふうに思っております。
 それから条例の問題でございますが、 先ほど答弁をさせていただきましたように現在二十の市町が条例を制定し、 残り八市町がガイドラインを制定して合計二十八市町という形になっております。 まずは各市町が現在の条例を見てみますと再エネの種類ですとかそれから出力規模についてかなりそれぞれの対応が条例の中ではばらついているという状況がございます。 まずは各市町の独自の考え方、 規制を尊重をしていきたいというふうには考えております。
 残りの市町につきまして我々のほうから状況を照会をさせていただいておりますが、 幾つかの市町からは条例の制定も検討しているということでございますので、 その点について我々としてその条例制定についてのサポートをしていきたいというふうには考えております。 以上であります。
 続きまして、 事業継続のための経営支援の再質問のうち、 応援金のお話が出ましたので一部触れさせていただきたいと思います。
 応援金につきましてはこの受付を八月分については九月十五日から開催をし、 昨日九月二十八日からは電子申請での受付を開始しました、 昨日からです。 昨日から大変大きな申請が増えてまいりました。 現在この応援金の事務につきましては外部の事業者に委託をしておりますが、 この事業者は実は他県でも我々の制度と同じような事務処理をやっているところでございまして多くのノウハウがございますので、 そういった事業者ともやりとりをしながら今後増加してくるだろう申請に着実に対応して迅速な支払いのほうにつなげていきたいというふうに考えております。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  藤原危機管理監。
○危機管理監 (藤原 学君)  まん延防止等重点措置に係る協力金の支払いについてお答えいたします。
 今回のまん延防止等重点措置に係る協力金につきましては、 実は八月中に県とそれから市町、 それから商工会議所、 商工会、 県の相談窓口だけじゃなくてそちらにも相談がいくだろうなという想定をしまして、 いろいろ会議をしまして申請から支払いまでに至るこういったものを注意してくださいということをやりました。 それで初動期に備えたつもりなんですけれども、 御指摘のとおり例えば九月一日の申請については九月二十一日が最初の支払日と、 これ三週間かかったんですけれどもなりました。 その際には非常に少なく二十件にも及ばない数字となってしまいました。 その理由は、 やはり申請いろいろ手を尽くしたつもりなんですけれども申請書類の確認、 それから場合によっては訂正そのための電話連絡等にやっぱり日時を要してしまいまして手間取ったものでございます。
 このため、 現在審査体制を五十人でやっておるんですけれどもこれを今後大幅に拡充する予定でございます。 さらには県の申請それに対する交付決定、 交付確定それから請求に対する支払い、 資金計画そうしたものの計画を大幅に見直しましてもっときめ細かく支払いをできるように改めてまいります。 これによって加速化して手元になるべく早くお届けしたいと思っています。
 さらに言えば、 緊急事態宣言につきましては申請書類も半減するようになりますのでさらにまた迅速化できると思っております。 以上でございます。
○議長 (宮沢正美君)  中田次城君。
        (四十六番 中田次城君登壇)
○四十六番 (中田次城君)  いろいろ質問しましたが、 ぜひ県民の皆様のために頑張っていただきたいと思います。 以上で質問を終わります。 ありがとうございました。 (拍手)
○議長 (宮沢正美君)  これで中田次城君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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