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本会議会議録

答弁文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年6月静岡県議会定例会

中澤 通訓 議員(ふじのくに県民クラブ)の 一般質問 に対する答弁

(質問日:06/28/2018番目)
答 弁 者知事


○知事(川勝平太君) 中澤通訓議員にお答えいたします。
 清水港につきまして、長く輝かしい歴史に関して簡潔におまとめいただきまして大変勉強になりました。江戸時代以降についてお話だったわけですけれども、主に恐らく白村江の戦いに廬原君臣以下一万人の健児が中大兄皇子の命令によってはせ参じているわけですが、廬原のあの古墳はその廬原君臣ではないかといつぞや先生に案内していただきました。そのころからあの清水港というのはあったのではないかというふうに思います。したがって七世紀からではないかと思います。
 さて、この清水港のみなとまちづくりと将来像についてであります。
 私は十九年前、清水港で開催されました開港百周年記念式典にお招きにあずかり「美しい文明の港――清水」と題して記念講演をさせていただく光栄に浴しました。まさか講演録が残っているとは知りませんでした。私は講演をするときには講演録は残さないという条件でお引き受けをしております。というのは話し言葉と文章言葉は違うので一旦文章にするとなればそれを手直ししなくちゃいけませんが、それは大変手間がかかるのでお断りすると。恐らく話し言葉のままのものではないかと思いますので、出回っているとなれば直す機会を得たいと思っております。
 ともあれ、美しい文明の港ということでお話をいたしました。なぜ美しい文明と言ったかといいますと、それは力の文明と美の文明に対して力の文明というものを念頭に置いていたからです。日本は明治維新で開港したとき以降、清水港も発展するわけですけれども、ヨーロッパの文明をどう見たかといいますと、経済力と軍事力にたけたところだと、列強と見たわけですね。つまり力のある文明と見たわけでございます。それに対して向こうの方たちは日本をどう見たかといいますと、リサイクルをしておりますし海外への侵略もございませんので美しいところだということで、非常に美しいその日本の景観がヨーロッパにジャポニズムといういわゆる芸術、美術の運動を起こしていきます。したがって我々は意図したわけではありませんけれども、世界から見ると美しいというそういうものにかなった社会をつくり上げていたんだということであります。
 ちなみに、この文明という言葉を日本に広めたのは福沢諭吉という方ですが、「文明論之概略」というのを明治七年に書きました。大変に読まれたものであります。この文明は進歩していくもので、ヨーロッパの文明が一番進歩しているからそれを目指せと彼は言ったわけですが、この文明という言葉は実は彼はcivilizationという言葉を訳したわけです。このcivilizationという言葉は実はヨーロッパ起源のものではありませんで、もともとは中国の中華という世界の中心に中華があって周りに敵がいると、こういう中華という言葉を十八世紀に中国にいた宣教師たちがフランスを中心に送りまして、世界の中心は中国ではなくて自分たちだということで、しかも一番進歩していると、最高の進歩になっているのが自分たちで、それを文明というふうに自称したんですね。ヨーロッパ文明史とかイギリス文明史というのが書かれまして、ギゾーとかバックルが書いたものを実は福沢さんはベースにしてその本を書いたので、ですからあれはヨーロッパ文明というものを軸にしたもので限界があるということで私は本来の日本の文明を取り戻すべきだと。その拠点が富士山を借景にした清水にあると、そういう思いを込めてお話をしたのを覚えております。
 その後、富士山は世界文化遺産に登録されました。駿河湾は世界で最も美しい湾クラブにも認定されて加盟いたしました。そして南アルプスもエコパークもこれも一種の借景でございますね。さらに伊豆半島も清水を取り囲む借景の一つとしてジオパークになったということで、今やクルーズ船の寄港数が飛躍的に増加し先ほどおっしゃったようにさらにふえる可能性が出てきております。この清水港が人々を引きつけて人々がお越しになり美しい港だと、そういうことで十九年前の思いは今現実になりつつあると思っております。将来像としては、この美しい港として世界から憧れられ賞賛されて人々を引きつける港になると確信しています。
 昨年、フリウリ・ベネチア・ジュリア州という恐らく四、五年前には誰も聞いたことのないようなイタリアの州から姉妹関係をやってほしいということで、バイシクルを中心に相当進んでいるのは御案内のとおりです。そのフリウリ・ベネチア・ジュリア州の面積と静岡県の面積は全く一緒で、しかも一番この中東に近いところにありましてコーヒーの文化だとかさまざまな、当時一番進歩していたのはオスマントルコですけれども、その文化が入った入り口です。物すごくきれいな港です。トリエステという港。それがフリウリ・ベネチア・ジュリア州の州都になっているんです。そこからうちの清水港と。ほかではありません。横浜でも長崎でもない。清水港と姉妹港になりたいと。美しいからなんですね。
 ですから、私も本当にトリエステに参りまして何と美しい港だと思ってすごいなと思ったんですが、向こうも我々のほうをそう見たというのはこの清水港の持っているポテンシャルというのを示しているのではないかというふうに思います。
 ここで言う美しいというのは、もとよりその景観が美しいということにとどまるものではありませんで人と港のつながりが美しい、港とまちのつながりも美しいと、人の活動と自然の調和も美しい、おもてなし、サービスもきれいというか美しいと、物流システムがスマートだと、働く人々の技術とその思いも美しいということを指します。
 ちなみに、この美などというのは主観的だから余りこういうことを言うものじゃないというふうに言われるかもしれません。しかし人間の価値というのは真、善、美とあると思うんですけれども、例えば富士山が真か富士山は善だといっても成り立ちません。しかし富士山は美しいかと言えば成り立ちますですよ。ですから実は地球環境について寄って立つべき価値というのは美だと。これは主観的ですけれども、誰もが持っている感性ですので神様から与えられたものではないかと思いますが、こうした普遍的な価値に立脚できるところだとこういうふうに思うことからですね、あえてその言葉を使っているわけでございます。
 清水港を訪れた人がさまざまな面から何と美しい港かというふうに感動し、住んでいる人、働いている人たちは訪れた人のその好評価にまた誇りを持ってますます磨き上げていこうというように行動する。そして世界の人々から、いわば憧れられて自然に人が集まる港となると。このような美しい港町を実現するためには、この将来像を多くの方々に共感いただいて具体的な将来像を描きそれを地域ぐるみ、社会総がかりで取り組んでいくことが重要です。
 このため、県が静岡市や地元企業とともに本年四月、難波副知事が尽力いたしまして清水みなとまちづくり公民連携協議会というものが立ち上がったわけです。ですからこれも県市連携どころか、もう民間事業者、いろんな人がお入りになって協議会ができ上がったということ、大変喜んでおります。ここで多くの関係者の御意見を出していただいて、それを伺いながら港とまちの持つ価値を最大限活用する地域経営という視点を取り入れたグランドデザインを描いていきたいと考えているところです。
 また、海運や物流の分野におきましてはAIやIoTによる技術革新が急速に進んでおりますことから、清水港におきましても新技術を活用した物流機能の高度化を図り効率的でスマートな港となる将来像を描いてまいりたいと考えております。
 県としましては、清水港が開港百二十周年という節目を迎えると。これをきっかけに景観にすぐれ人や物が行き交い環境に優しく自然と共生する美しい文明の港として飛躍する礎を築くとともに、周辺地域が一体となって発展することによって世界の人々から憧れを集めるふじのくに静岡県の海の玄関口となるように取り組んでまいる所存でございます。以上であります。

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静岡県議会事務局議事課

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