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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中田 次城 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/26/2017

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 県政における伊豆半島の位置づけについて
2 世界から憧れられる伊豆半島について
 (1) 世界水準の景観の保全と継承                (2) 伊東市のメガソーラー建設計画における許認可等業務    
 (3) 改正FIT法を踏まえたガイドライン作成の必要性
3 移住・定住の促進について
4 伊豆半島における体験型観光の推進について


○副議長(山田 誠君) これで諸田洋之君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、二十四番 中田次城君。
       (二十四番 中田次城君登壇 拍手)
○二十四番(中田次城君) 私はふじのくに県民クラブ所属議員としまして、知事、副知事及び関係部局長に通告に基づき一括質問方式でお伺いをいたします。
 初めに、県政における伊豆半島の位置づけについてお伺いをいたします。
 「伊東発、伊豆半島」、これはさきの県議会議員補欠選挙で私が訴えたスローガンであります。伊豆半島の振興のために伊東市がその先頭に立って進んでいきたい、そんな思いを込めています。しかし現在伊豆半島地域は急速な人口減少や少子高齢化が進むとともに、県内の他の地域に比べて地域別総生産や一人当たり県民所得は非常に低い状況にあります。特に一人当たりの県民所得は伊豆半島十三市町のうち九市町が県下ワーストテンに入っている大変厳しい状況であり、またその産業構造は第三次産業の割合が高くなっているのが特徴的で古くからの基幹産業であります観光産業や中小零細の土木建設関連業が地域の経済や雇用を支えています。しかし近年は宿泊者数や建設関連の公共事業等が減少しているなどその落ち込みは顕著であって、伊豆半島地域を取り巻く厳しい状況が続いております。
 観光面で昭和六十三年当時と比較してみますと、観光交流客数は県内全体ではしっかりふえているものの伊豆半島地域は六〇%まで減少しており、一人負けの状態であり大変歯がゆい思いであります。こうした中、県は伊豆半島地域の振興に積極的に取り組み始めているとは感じております。
 例えば、平成二十七年には県政史上初めてとなる地域担当副知事を設置いたしました。また昨年度には伊豆観光局長を配置するなど支援体制を整備しております。さらに賀茂地域広域連携会議による事務の共同処理の実施や富士箱根伊豆交流圏構想を初めとする山梨、静岡、神奈川の県境を越えた取り組みなど、これまで以上に伊豆半島地域の広域連携のまとめ役として取り組もうとしている姿勢は大変評価をしております。
 また、今後JRグループ六社などと連携したデスティネーションキャンペーンの本県開催やオリンピック・パラリンピック自転車競技の開催など多くのマスコミや観光客が訪れることが想定されます。これからの数年はまさに伊豆半島の将来に向け大変重要な時期で、こうした状況を展望し地域圏の目指す姿を県と市町で共有していくことが必要であると考えております。
 伊豆の魅力は何と言っても自然豊かな環境であります。海、山そして温泉、これらの資源を最大限活用すること、そして発信すること、また伊豆半島の世界ジオパークの認定に向けた取り組みを進めることや観光とスポーツの連携なども効果的だと考えます。さらに温泉を活用した医療・介護分野での企業との連携を図っていくことも伊豆の可能性を広げていくものであると考えております。大切なのは県が伊豆半島というこの圏域を今後どのように捉え、そして仕掛け、伊豆半島の活性化を誘導し、そしてその結果をきちんと出していくのかが今真剣に求められていると考えます。
 本年度は新たな県の総合計画を策定する年であり、現在さまざまな検討がなされていると推察いたしますが、そこで、今後の県政においてすなわち新たな総合計画の中で伊豆半島という地域をどのように位置づけ取り組みを進められようとしているのかをお伺いしたいと思います。
 次に、世界から憧れられる伊豆半島についてのうち、世界水準の景観の保全と継承についてお伺いをいたします。
 私が今さら申し上げるまでもなく、伊豆半島は美しい景観に恵まれ毎年四千万人を超える観光客が訪れるなど日本を代表する観光地の一つであります。また東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技の開催が決定するとともに、世界ジオパークの認定を控えるなど世界中から注目を集める大変重要な時期に来ております。多くの人々に愛され世界から注目を集める伊豆半島の美しい景観を守り、よりよくしながら継承し、今後さらに増大が見込まれる国内外からの来訪者を迎え入れるため県は市町等と連携してさらなる美しい伊豆半島を目指してさまざまな施策を展開していかなければなりません。
 こうした中、伊東市では知事も御承知のとおり大規模な林地開発を伴うメガソーラー建設が計画をされております。ここで当該メガソーラー建設計画の概要と経過について若干触れさせていただきます。
 事業計画地は、伊豆高原地区の風光明媚な別荘分譲地に隣接する森林地帯であり海まで約二キロメートル、背後に天城山を臨み地元の伝統ある神社の裏手となる鎮守の森の一帯です。地元住民はこの計画に大反対であり複数の団体で建設中止を求める署名活動が現在も行われており、過日伊東市長、静岡県知事、静岡県議会議長宛てに実に二万五千三百五十五名の反対署名と建設中止を求める要望書が提出をされております。またさきに行われました伊東市長選挙及び県議会議員補欠選挙において全ての候補者が本メガソーラー計画には反対であると公約をしており、もちろん私も断固反対の立場であります。
 選挙後の本年六月二十八日、小野伊東市長は事業者側に計画の白紙撤回を求め、続いて七月四日には伊東市議会で伊豆高原メガソーラー計画に反対する決議が全会一致で議決をされております。市長を初め市議会、地元反対住民の皆様はこの計画に伴う大規模な森林伐採による自然破壊と土砂災害のリスクまた海への環境汚染等を考えたとき、伊豆半島の命である美しい景観が台なしになってしまうのではないかと大変危惧しているところであります。
 そこで、こうした地域の課題や地元住民の懸念も踏まえ、伊豆半島全体の景観形成に関する川勝知事の思いとビジョンについてお伺いをいたします。
 次に、伊東市のメガソーラー建設計画における許認可等業務ついてお伺いをいたします。
 森林は、木材生産に加えて水源の涵養や山地災害の防止など公益的な機能を有しておりますが、伊東市のメガソーラー建設計画は当初の開発予定面積が四十九・七ヘクタール、実に東京ドーム十個分の広大な森林を伐採し十二万枚の太陽光パネルを設置するものであることから、森林の現に有する機能が低下することによって地域の環境に与える影響は看過できないと考えております。周辺の住民からも土砂流出など災害の発生リスクや環境への影響についてたくさんの不安の声が上がっております。
 このような状況の中、本計画に対する許認可等は伊東市の持つ宅地造成等規制法の許可と県が持つ森林法の林地開発許可の二つであり、加えて環境アセスメント調査もしくは自然環境保全条例に基づく希少野生生物調査であると理解をしております。審査をする側の県、市につきましては慎重な上にも慎重を期した対応が求められると考えております。
 私もこれまで、県の担当部署に対して森林法や自然環境保全条例に基づき客観的かつ慎重な審査等をお願いしているところですが、こうした許認可等業務の現在までの対応状況についてお伺いをいたします。
 また、当該計画を実施するためには前述しましたとおり県が持つ許認可等業務だけでなく、宅地造成等規制法や事業計画地内にある市道の廃止、つけかえなど各種法令に基づく全ての許認可等が必要であります。市道の廃止やつけかえのためには市議会の同意が必要とされています。この点伊東市議会は本計画には反対の決議をしていることから事業地内の市道の廃止やつけかえは困難であると確信をしておりますが、しからば現在の計画案は市道のつけかえを前提とした計画案でありますので、今後現在の計画案の取り下げもしくは大幅な計画変更を余儀なくされることが推察されます。
 県としましては、伊東市が権限を有する許認可等業務と相互に連携をとった取り組みが大変重要だと考えますが、現在どのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。
 次に、改正FIT法を踏まえたガイドライン作成の必要性についてお伺いをいたします。
 持続可能な社会の形成や環境の保全を考えた場合、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの推進は重要なことであることは私も十分承知をしております。平成二十四年七月に再生可能エネルギーの固定買い取り制度いわゆるFIT法が施行され、日本全国の日照条件のよいあらゆる地域で事業用の太陽光発電施設の建設計画がされるようになりました。しかしそれから五年が経過する中で、発電施設建設に伴う地域住民とのトラブルや、その建設工事が原因で発生する災害なども顕在化をしてまいります。また計画段階で取得した発電事業の権利、通称IDの売買だけが先行し実際の事業計画は進んでいないのにIDの転売だけが先行したり、それらにまつわる不動産売買のトラブルも急増しています。
 一方、FIT法では国民が負担する電気料金に上乗せされた賦課金によって制度が成り立つとされていますから、メガソーラーのような大型事業用発電施設がふえればふえるほどこの再エネ賦課金はふえていくことになります。資源エネルギー庁の資料によりますと、標準家庭の再エネ賦課金の負担額は平成二十四年が月額六十六円だったものが平成二十九年では月額七百九十二円と実に十二倍に膨れ上がっております。地域住民とのトラブル、建設工事に伴う災害そして悪質な事業者の横行と国民負担の増加、再生可能エネルギーを推進する国や地方自治体にとっても非常に頭の痛いところだと考えます。
 そこで、国はこれらの諸課題を解決すべく本年四月にFIT法を改正し、全ての再生可能エネルギー発電事業者に対し事業計画の策定を義務づける新たな認定制度として改正FIT法を施行いたしました。その改正にあわせて太陽光発電事業者が事業計画を策定する際に遵守すべき事業計画策定ガイドラインについても平成二十九年三月に策定、公表されたところであります。
 そして、お隣の山梨県ではいち早く太陽光発電施設の適正導入ガイドラインを平成二十七年十一月に策定しており、FIT法の改正を踏まえ富士山景観配慮地区へのメガソーラー立地を避けることや市町村と連携した指導体制の強化を盛り込んだ改定をこの三月に行っております。過日私も山梨県庁にお伺いをし、担当者の方から直接レクチャーを受けその効果等を伺ってまいりました。また他の県からの視察も大変多く、今後山梨県の取り組みに続く県が出てくると思われます。災害の防止、景観への配慮、自然環境の保全、地域住民との合意形成などは地域によってさまざまな事情があることから、自治体においてもガイドラインをつくるべきではないかと改めて感じた次第でございます。
 本年二月末現在の静岡県におけるメガソーラーの認定発電容量は百十・五万キロワットでありますが、そのうち稼働済みは三十三・五万キロワットでおよそ三分の一程度であります。今後事業を計画し実施していく事業者には、その事業計画地の適正な選択及び地域住民との共生を基本としていただかなければなりません。
 そこで、山梨県の事例を参考に本県でも改正FIT法を踏まえた太陽光発電施設導入のガイドラインを早急に策定すべきであると考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、移住・定住の促進についてお伺いをいたします。
 県が、平成二十七年四月にふじのくにに住みかえる推進本部を設置し、また東京に静岡県移住相談センターを開設する等移住・定住の促進に本格的に取り組み始めてから二年半が経過いたしました。この間県や各市町等では移住希望者の相談に応じるほかホームページによる移住情報の発信等の活動を積み重ねた結果、平成二十八年度の相談件数は五千七百五十五件、県外からの移住者数は七百八十七人と、ともに前年度の約二倍となる等相談件数、移住者数ともに順調に伸びており、その取り組みに一定の評価をしております。
 本県は、NPO法人ふるさと回帰支援センターが実施している移住希望先ランキングでは平成二十九年は山梨県、長野県に次いで三位に入るなど移住先としての人気は常に上位でありますが、今後さらにステップアップするために移住受け入れ先進県等と宣言をすれば移住希望者へのメッセージとなりますし、移住・定住に取り組む市町への刺激になるのではないかと考えております。
 特に、私の地元である伊豆地域は人口減少が県全体よりも急速に進んでおり、人口減少対策は喫緊の課題となっております。伊豆地域は首都圏に近いことに加え地元の方々の尽力もあり、テレビ番組等で取り上げられる機会が多々あります。また来春には伊豆半島ジオパークの世界ジオパークへの認定が期待されており、県外から人々を呼び込む絶好の機会だと考えております。移住・定住の促進については各市町における受け入れ体制づくりがとても重要であり、その取り組みは徐々に進んでいると承知していますが、移住の実現に当たり鍵となる仕事の問題や市町の枠を超えた広域的な案内等市町だけでは対応が難しい課題もあります。
 このような中、私が移住・定住促進に関して県の役割として今後期待することは、各市町の行政の取り組みに加えて民間企業の取り組み等の情報を収集してネットワーク化し現在各市町に点在している全ての窓口においてワンストップで御案内ができる体制をつくることや、移住・定住促進の情報発信のその手段として特に伊豆地域で言えば観光情報の発信とリンクさせていくことが非常に効果的だと考えております。
 例えば、既に発信している観光情報や地域をPRする映像、動画の中で伊豆での暮らし方や移住した場合のイメージなどを連想させる記事、写真、問い合わせ先等を紹介する取り組みはいかがでしょうか。また各道の駅や観光案内所、サービスエリアなどに移住・定住促進のパンフレットを置くなどして観光に訪れた来遊客の皆様に観光情報を提供しつつ移住促進の案内も同時に行っていく、まさに一石二鳥の取り組みであると考えます。
 これまでの縦割りの情報発信でなく、観光と移住・定住をしっかりリンクさせた情報発信をすべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。また伊豆地域における県の移住・定住施策の展開についてお伺いをいたします。
 次に、伊豆半島における体験型観光の推進についてお伺いをいたします。
 先日テレビを見ていたところ、ある番組で偶然伊豆半島の豊かな自然と美しい風景が映し出されているのを目にいたしました。そのドローンから撮影された映像には海の青、山の緑が織りなす自然の造形が輝きを放ち、私は心を奪われ思わず時間を忘れて見入ってしまったほどです。地元の自然のすばらしさを再確認した瞬間でありました。私が住む伊豆地域の豊かな自然と美しい風景は日本トップクラス、世界水準のものであり世界中の多くの人々を引きつける力があると改めて感じました。このようにテレビなどで取り上げてもらうことは伊豆半島のPRに非常に効果的でありますが、メディアへの売り込みだけでは伊豆の観光再生は不十分であるとも考えます。
 長く観光に携わる地元の事業者の方のお話ですが、首都圏の方がどれだけ自然を欲しているか、伊豆の自然に喜びどれだけ感動しているか。海を見て泣きそうな、うれしい気持ちになる方もたくさんいると話されています。確かにそうかもしれません。都会では土も草も踏まない生活、星も見ることができない大自然とは全く無縁の日常生活です。伊豆半島にはそんな都市生活者の気持ちを受け入れることのできる大自然という観光資源があります。
 現在は観光客の嗜好も変化しており、これまでの貸し切りバスに乗り決められた行程を回るかつてのマスツーリズムの時代とは違い、来訪客の多くはみずからの価値観で行き先を選択しておりそのニーズは多様化しています。しかし残念ながらこの伊豆でもまだまだ大自然の観光資源を生かし切れていないのが現状だと思います。伊豆地域の主要な産業は観光関連産業であり、地域の活性化に向けて私は恵まれた自然環境が育むさまざまな食文化、海を使ったダイビングやシュノーケリング、サーフィン、海岸ウオーキングから山を使ったトレッキング、ロッククライミング、トレイルランなどのアクティビティー、また幼児から大学生まで行う自然体験教育、農業、漁業体験など多彩な魅力を十分に生かしながら地域における観光消費を増大させていく必要があると考えております。
 伊豆はハワイのような自然資源を存分に生かした観光都市になり得るのではないでしょうか。首都圏からの近さ、インバウンドの取り込みも含め巨大なマーケットが想像されます。まさに可能性は無限大です。世界ジオパークの認定を目指している伊豆半島の地質遺産やそこから派生した自然景観、生態系、まさに南から来た火山の贈りものを体感できる体験型の観光地づくりを強力に推進することが今、確実に求められていると思います。
 そこで、県は伊豆半島の観光振興を図るため自然を生かした体験型観光の推進について今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 以上、今回の質問は伊豆地域の課題と将来展望にテーマを絞り質問させていただきました。川勝知事並びに当局側の答弁者の皆様には積極的な御答弁をぜひともお願い申し上げます。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中田議員にお答えいたします。
 世界から憧れられる伊豆半島についてのうち、世界水準の景観の保全と継承についてであります。
 本県は極めて美しい地域であるという認識を持っております。全県的な景観全体が一つのパブリックガーデンになっていると存じます。このガーデンを楽しむ観光理念といたしまして、ふじのくに回遊式庭園というコンセプトを掲げております。伊豆半島、霊峰富士、駿河湾、南アルプス、浜名湖等々これら県土全体を回遊できる回遊式庭園といたしまして世界の憧れを呼ぶ豊かな暮らしの実現に向けさまざまな取り組みを始めているところであります。
 中でも、伊豆半島はとりわけ美しい地域であり世界で最も美しい半島と言っても過言ではありません。実際戦前にあって文豪川端康成さんは「伊豆序説」の冒頭で、伊豆半島をもって詩の国である、日本歴史の縮図である、南国の模型である、海山のあらゆる風景の画廊である、半島全体が一つの大きい公園であるというふうに喝破されまして、さらに至るところに自然の恵みがあり美しさの変化があるとたたえられました。このような美しい自然に加え伊豆半島は豊かな農林漁業、歴史、文化、伊豆文学の原風景といったさまざまなすばらしい景観を彩る資源に恵まれております。これまでも国内外から数多くのお客様を引きつけてまいりました。
 しかし一方、近年空き家の増加、農地の荒廃、派手な屋外広告物などによる景観の影響を懸念する声もありますので、美しい景観をしっかりと守り、磨き、次代へと引き継いでいくとともに、伊豆半島の市町、住民、事業者等が一体となって景観形成に取り組むよう牽引していくことが県民の、また県の大きな使命であると考えます。
 このため、平成二十八年四月市町等と伊豆半島景観協議会を立ち上げました。広域景観形成の指針となる伊豆半島景観形成行動計画を平成二十九年三月に策定いたしました。現在県、市町、各団体等がそれぞれ違反広告物の是正や樹木の修景、伐採などさまざまな施策を展開しているところであります。
 伊東市のメガソーラー建設計画につきましては、多くの地域住民やこの地域を愛する県外の方々も含めて土砂の流出による川や海への影響、景観への悪影響などを懸念し明確に反対されており、伊東市の小野市長も事業の白紙撤回を求められているところであります。伊東市は県外から多くの方々が訪れられ、自然環境や文化を楽しむ場所でございます。自然環境や景観を守ろうとする地元内外の反対の意向は重要であると考えております。静岡県知事としての権限の有無は別にいたしまして、伊東市におけるメガソーラーの建設計画につきましては川勝平太は断固反対であります。この件につきましては土屋副知事を含め、さらに伊東市の小野市長から要請せられました副市長として佐野博之君を派遣しておりますが、その派遣に際しましてはこの件については県の意向を呈して粉骨砕身するように指示を出しております。佐野君はこの六月から副市長として活躍しておりますけれども、彼の経歴は環境森林部そして平成二十二年以降は文化・観光部観光政策課でございます。したがいましてこの方面に通暁しているエキスパートでありまして、そうしたことからおわかりのように何としてでもこの件につきましては県の力を尽くしまして、市民そしてまた伊東市を愛される方々の御意向に沿った形で解決が見られますように尽力してまいりたいと存じます。
 今後も、伊豆半島全体が世界から賞賛され続け、この地域に暮らす人々が誇りを持って住み続けることができ、そのことが実は県外の方々、伊東市外の方たちに魅力を発信するベースになるわけでございます。この海に開かれた美しい半島まさにガーデンアイランドの実現を目指して、地域の皆様とともに取り組んでまいりたいと存じます。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(山田 誠君) 土屋副知事。
       (副知事 土屋優行君登壇)
○副知事(土屋優行君) 県政における伊豆半島の位置づけについてお答えいたします。
 伊豆半島地域は、議員御指摘のとおり深刻な人口減少と少子高齢化に直面しております。ただその一方で恵まれた自然景観や温泉、歴史・文化、豊かな食材など多彩な地域資源を有し国内外の人々を引きつける魅力にあふれた地域であります。
 御紹介いただきました二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の伊豆開催、二〇一八年にはユネスコグローバルジオパークの認定が期待されるなど全世界に伊豆の魅力を発信できるまたとないチャンスが到来しております。また地域の念願でありました伊豆縦貫自動車道も、平成三十年度には天城北道路の開通が予定されるなど全線開通に向けて着実な整備が図られております。
 さらに、県境を越えた連携といたしまして民間が主導しております神奈川・静岡県境地方創生連絡会による観光誘客を推進する取り組みに加えまして、箱根八里街道資源の観光化に向けた社会実験も来月から開始されます。このような好機を捉え、この地域の魅力をより顕在化させさらなる飛躍に向けて県、市町、民間企業、NPOなどさまざまな主体が一丸となって世界に誇る伊豆を実現することが重要であります。
 そのためには、伊豆半島地域七市六町が一体となって設立いたしました美しい伊豆創造センターや東部地域二十市町を範囲とする東部地域スポーツ産業振興協議会などと連携し、サイクリストの聖地づくりの取り組みや国内外からの来訪者に誇れる美しい景観づくりなどに重点的に取り組んでいかなければなりません。
 また、魅力的な雇用の場を創出し地域に愛着を持つ子供たちが安心して住み続けることができ、一旦進学等で故郷を離れても戻ってくることができる地域としていくこと、あるいは都会にない仕事と生活が調和したライフスタイルを提案し伊豆半島地域での暮らしを希望する人々を積極的に受け入れていくことも重要であります。
 次期総合計画では、伊豆半島地域の目指す姿を明示しその実現に向けた施策をしっかりと位置づけ推進してまいります。その際には知事と市長、町長が直接意見交換を行う地域サミットを初めさまざまな機会を通じ県と市町との間で十分に連携を行い、議論を行い、地域発展のイメージの共有化を図ってまいります。
 これまで以上に市町を初め各界各層の皆様との連携協働を深め、関係部局が一体となり伊豆半島地域が世界レベルの魅力あふれる自然を生かした観光交流圏としてさらなる発展を遂げるよう全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 吉田農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 吉田 茂君登壇)
○農林水産戦略監(吉田 茂君) 世界から憧れられる伊豆半島についてのうち、伊東市のメガソーラー建設計画における許認可等業務についてお答えいたします。
 伊東市八幡野のメガソーラー建設計画につきましては、開発行為者から森林法に基づき平成二十九年三月三十一日付で県に林地開発許可申請書が提出されております。現在この申請書は、審査基準に適合していないことから補正を求めるなど内容審査を行っている状況であります。またこの建設計画が五ヘクタール以上の開発行為であることから、自然環境保全条例に基づき希少種と緑地の保全等のために県は開発行為者と自然環境保全協定を締結することとなっております。現在開発行為者が静岡県版レッドデータブック掲載種を中心とした調査を進めているところであります。
 県といたしましては、所管する許認可の審査において宅地造成等規制法や事業計画地内にある市道の廃止、つけかえの審査状況について伊東市と情報共有をしながら必要に応じて開発行為者に適切な対応を求めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 渡辺経済産業部長。
       (経済産業部長 渡辺吉章君登壇)
○経済産業部長(渡辺吉章君) 世界から憧れられる伊豆半島についてのうち、改正FIT法を踏まえたガイドライン作成の必要性についてお答えいたします。
 平成二十四年七月のFIT法に基づく再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の開始に伴い、全国各地で大規模な太陽光発電施設の設置が行われ、一部の地域で防災、環境、景観上の懸念等をめぐり地域住民との関係が悪化するなどの事例が顕在化しております。議員御指摘のとおり国は本年四月の改正FIT法に合わせて新たに事業計画策定ガイドラインを策定し、地域との関係構築を含め設計施工から運用管理、撤去及び処分の各段階で事業者が遵守すべき事項等を定め適切な事業実施の確保を図っているところであります。既に山梨県や茨城県などでは災害の防止、景観との調和、自然環境の保全等の観点から大規模太陽光発電施設の立地を避けるべきエリアを示すなど独自のガイドラインを策定し事業者の自主的な取り組みを促しており、本県の富士宮市でも平成二十七年に条例を制定し大規模な太陽光発電設備の設置を抑制する区域を設けているところであります。
 県といたしましては、こうした状況を踏まえ全県の統一的なガイドラインの必要性について先行する他県の事例や県内市町の意向等を確認しながら研究してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 移住・定住の促進についてお答えいたします。
 市町や企業、地域団体など約九十団体から成りますふじのくにに住みかえる推進本部は、賀茂、東部、中部及び西部の四つのチームを編成し地域の実情に応じて移住・定住の促進に取り組んでおります。チーム賀茂では去る九月二十四日、東京有楽町で「伊豆で暮らす・働く」をテーマに地域の魅力の紹介や先輩移住者によるトークセッション等を開催したほか、チーム東部では東部支援局管内の十市四町ごとに住みやすさのアピールポイントや子育て、住宅支援施策等を取りまとめた移住・定住ガイドブックを作成するなど効果的に情報発信する取り組みを進めております。伊豆地域は別荘などを活用した二地域居住や新幹線によるゆとりある首都圏通勤、海山の自然に抱かれた田舎暮らしなど多様なライフスタイルを実現できることが魅力であるとともに、首都圏を初め全国から多くの観光客が訪れる本県を代表する観光地でありますことから、観光情報と連携して移住を促進することが効果的であると考えております。
 そのため、東京有楽町の観光案内所におきましてパンフレットの配架による移住情報の提供等を行っているほか県内の観光施設や道の駅などにおきまして移住促進キャンペーンの開催や観光情報サイトと移住情報サイトとの相互活用を行っており、今後も観光情報と連携した移住情報の発信を拡充してまいります。
 伊豆地域における移住・定住を進めていくためには、観光情報を含めた地域の魅力を首都圏の移住希望者に効果的に発信していくとともに地域の受け入れ体制の充実を図っていくことが重要であります。現在伊豆箱根鉄道沿線三市一町が連携した東京での移住セミナーの開催やチーム賀茂で移住相談の一元化が検討されておりますので、これらの取り組みを一層進めてまいります。
 県といたしましては、このような地域の特色を生かした移住施策を各地域で展開することにより移住受け入れ先進県を目指してまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 伊豆半島における体験型観光の推進についてお答えいたします。
 伊豆半島は、豊かな自然や歴史・文化、温泉や多彩な食材など観光資源に恵まれた国内有数の観光地であり、今後宿泊者を一層ふやしていくためには、議員御指摘のとおり滞在期間の長期化が期待できるアウトドアでのアクティビティーなど近年人気の高い自然を生かした体験型観光の推進が有効であると認識しております。
 このため、県では本年度地域資源を活用したアウトドアツーリズムを推進する団体に対する補助制度を創設し、現在伊豆半島地域においては下田市、河津町及び松崎町の一市二町が民間アウトドア事業者と連携して行う誘客促進の取り組みを支援しております。また世界認定を目指す伊豆半島ジオパークのジオサイトと県の遊歩道を組み合わせたウオーキングやトレッキングのモデルコースづくりを進めており、七月に行われたユネスコの審査員による現地審査の際に好評であった伊東市城ヶ崎海岸のコースについては、ウオーキングイベントを年内に開催し伊豆半島の大自然の魅力を体感していただくとともにメディアを活用して広く情報発信してまいります。
 さらに、今議会において補正予算案をお諮りしておりますが、サイクルスポーツの聖地づくりの加速化を図るため伊豆の景観や自然など地域資源を活用したサイクリングルートの開発や商品化などに取り組んでいくこととしております。また県域DMO静岡ツーリズムビューローが実施するマーケティング講座を通じ旅行者のニーズを捉えた体験型旅行商品を企画できる観光人材を育成するとともに、伊豆半島ジオパーク推進協議会によるジオガイドの養成や資質向上が図られることで旅行者により高い満足感を与えることができる環境を整えてまいります。
 県といたしましては、こうした体験型観光の推進を通じて伊豆半島の持つ豊かな自然を初めとしたさまざまな魅力を提供し、旅行者が深い体験や新鮮な感動を味わい、何度も訪れていただけるよう伊豆半島地域の一層の観光振興を図ってまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 中田次城君。
       (二十四番 中田次城君登壇)
○二十四番(中田次城君) 御答弁いろいろありがとうございました。
 今回七年ぶりに質問させていただく機会がありまして、本当に先ほども壇上で申し上げましたが、私たちが五月、六月とやった伊東での選挙というのがたまたま私が勝たせていただいてここでお話しさせていただいていますけれども、全ての候補者がメガソーラーのことに関しては思いを持って取り組んだ、伊東の中では本当に今大きなテーマでございます。そのことにつきまして知事からも今思いのたけを述べていただいて、県としてもしっかり地元の皆さんの気持ちを酌んで取り組んでいくという心強い力強いお答えをいただきました。本当に感謝します。それでまたそのことをですね、知事のその意を呈した行政の担当者の皆さんにそのことをしっかり、やっぱり取り組んでいただきたいと思います。
 私、今回――済みません、今要望というか感想を言っちゃってますけれども――いろいろ担当の方とお話しさせていただいています。みんな一生懸命やっています。ただやっぱりどうしても縦割りですよね、いろんな情報の連携も。だからもったいない。非常に私はですね、そういった部分ではその縦割りになっている部分をもう少し連携をとっていけば、それは伊東市ともそうなんですが、そういったことはぜひ今知事のお言葉ふまえて行政の皆さん、県の皆さんにはぜひ取り組んでいただきたいと思います。その点については要望させていただきたいと思います。
 それと、あと二点ほど質問をさせていただきたいと思いますが、自然環境保全条例に基づいて今いろいろな調査を業者さんがされているという御答弁がございました。今回この事業者は四十九・七ヘクタールでスタートして、要は五十ヘクタールを切るというアセスにかからないというスタートラインで出ているわけですね。ここがやっぱり一つのみそで、アセスにかかるとかからない、これは大違いなわけですよ。そうしますと自然環境保全条例でいろいろなことを業者さんに求めていても、それはアセスメントにかけるやっぱり報告書とは全く質が違ったものになってきます。私はそういう意味では、自然環境保全の担当の方に実は地元の伊豆野鳥の会の皆さんが現地で生息状況を確認した、まさに静岡県の先ほどもおっしゃった絶滅危惧種のデータブックに載っている鳥の情報も事前にお伝えしてあります。要は事業者さんが報告書として出してくるものと地元の現場の先生方から上がってくるものに、本当はきちっとそのことも踏まえて事業者の報告が上がってくるならそれは一つの評価ができるものだと思いますが、しかしながら必ずしもそうでない場合もあるかもしれません。
 私は何が言いたいかというと、そういった地元の皆さんの報告をやっぱりしっかり大事に受けとめてもらって、仮に業者さんの報告書の中にそういったものが漏れていたらやっぱりこれは県としてきちんと追加調査をさせていく。もう環境調査、要はアセスメントにかからないというところでスタートしていくということであればそういう貴重な情報をないがしろにはしない。しっかりそれを指導していく。あんまり何か業者も一生懸命やっているから言いにくいよなんて遠慮する必要はないと思います。そのことについて御答弁いただきたいと思います。
 それと公道のつけかえの問題、私、今壇上でも触れました。実はこれ伊東市議会のほうでも反対決議をしている中で、公道のつけかえはもうほぼ一〇〇%無理なんですね。市議会の同意が要るから。そうしますと、平たく言うと今出ている計画というのは計画でなくなっちゃうんですね。私はそう判断します。そこらあたりの先ほど市と連携してそういったことをやっていくとおっしゃっていますが、そういう認識で、これがもし仮につけかえができないということであれば今出ている計画は計画ではなくなるというこういう認識でよろしいのか、その二点だけ御答弁いただきたいと思います。
○副議長(山田 誠君) 木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(木利夫君) メガソーラーの建設関係につきましての再質問にお答えいたします。
 自然環境の保全協定についてでございますけれども、現在私どものほうで先ほど答弁にありましたようにレッドデータブックをもとにしまして業者さんのほうに今調査をお願いをしております。また先ほど議員のほうから話がありましたように、新たに鳥類でございますか、追加があったということでそれについてもしっかり調査するように働きかけているところでございます。
 当然、希少動植物でございますのでそれをしっかり保全するという形の中で協定を結びます。しっかりと確認した上で我々としても事業を進めてまいりますので御理解のほどをお願いします。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 吉田農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(吉田 茂君) 伊東市のメガソーラー建設計画における許認可等業務について再質問、公道のつけかえについてお答えいたします。
 許認可、つまり許可を出すためには公道のつけかえについて伊東市との協議が調っていること、これが必要になりますので協議が調っていないということになるとその段階では当然許可は出せないと。そこを今現在の計画の中には公道が入っていますので、そこを外してということになれば今の計画と変わったものになるというのは議員御指摘のとおりというふうに考えてございます。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 中田次城君。
       (二十四番 中田次城君登壇)
○二十四番(中田次城君) 以上質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田 誠君) 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

○副議長(山田 誠君) 次会の議事日程を申し上げます。
 九月二十七日午後一時会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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