本会議会議録
答弁文書
令和元年12月静岡県議会定例会
廣田 直美 議員(ふじのくに県民クラブ)の 代表質問 に対する答弁
(質問日:12/06/2019番目)
答 弁 者 | : | 知事 |
○知事(川勝平太君) 腹が減っては戦ができぬと言いますが、腹が減ると元気なしっかりとした代表質問もできませんが、しっかりとしたランチをおとりになったとみえて元気のいい代表質問ありがとうございました。私もしっかりとお答えしたく存じます。
まず、私の政治姿勢についてのうち、次期総合戦略の策定についてであります。
私は、志の高い若者が県外あるいは海外に出て挑戦したいという意思は尊重するべきであると考えております。ひとり立ちをするという時期は必ずどの人にもやってくるでしょう。したがって県外に出ていくということを足を引っ張る必要はないという考えであります。
その上で、知識や経験を蓄積した若者がその力を発揮し活躍する場として選択される地域をつくることが重要です。こういう視点に立って次期総合戦略でも新たな人の流れを呼び込む施策を総動員し、全県を挙げて取り組んでいるところであります。
八月に開催しました県民会議では、住みやすい本県で就職する学生がいる一方で自分が望む活躍の場を求めて県外での就職を希望する女子学生も大勢いらっしゃいました。このため静岡産業集積クラスターの推進、グローバルに活躍できる観光産業の振興、ヘルスケアあるいはデザインといったサービス産業の振興など女性にとって、特に若い女性にとって魅力ある産業の振興と雇用の創出に注力いたします。
県内の多くの若者は、結婚をし働きながら二人ないし三人の子供を産み育てたいという希望をお持ちです。一方で性別にかかわりなく個性と能力が発揮できる機会が確保されていると思う県民は女性ではわずか二五%にとどまっています。結婚、出産、子育てと社会で活躍したいという希望を両立することができる地域づくりが望まれております。
このため、子育て環境の充実に向け公的保育サービスの拡充とそれを支える保育人材の処遇向上の取り組みを強化いたします。さらに地域の実情に応じた施策の拡充を図るため、市町レベルでの合計特殊出生率に影響を与える要因を再検証いたしまして若い世代の結婚、出産、子育ての希望がかなう施策を強力に推進いたします。
また、テレワーク、フレックスタイム制の導入などライフスタイルに応じた働き方支援、ワーク・ライフ・バランスの実現、女性登用に向けた企業の計画策定支援による働きやすい職場づくりなど働き方改革を官民一体となって進めまして、性別にかかわりなく活躍できる社会の実現に向けた経営者の意識改革と現場の改善を図ってまいります。
若者の皆様の声に真摯に耳を傾け、女性を初めとする若者に選択される魅力ある地域の実現に向けまして意欲的な施策を盛り込んだ次期総合戦略を策定するべく全力で取り組んでまいりますので、県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
次に、令和二年度当初予算編成についてであります。
本県では、新ビジョンに掲げる令和三年度の収支均衡の達成を目指して取り組んでいます。本年度当初予算編成におきましても、政策評価に基づく事業の見直しや未利用財産の積極的な売却などにより六十八億円の財源を生み出しました。来年度の当初予算編成に先立って行った収支試算では、本年度当初予算時の試算に比べ財源不足額が拡大することが残念ながら見込まれております。本県の直面する課題に対応する新しい施策を実施するためには既存事業を抜本的に見直し、財源を捻出することが不可欠であります。
このため、予算編成の指針として新たに明示した予算編成五箇条 これは佐藤理事が考案したものでそれを皆が享受しているのでありますが それに基づき事業を徹底検証し真に必要な事業を選択してまいります。特にシュンペーターの言う創造的破壊 クリエイティブディストラクションの考えは従来からも取り入れておりますけれども、この考え方に基づきまして優先度の高い事業をビルド・アンド・スクラップで選択してまいります。
現在、各部局が中心となり施策・事業ごとにエビデンスに重点を置いた政策評価また事業評価を行い、最先端技術の活用による事業手法の改善、多様な主体との連携による推進体制の見直しなどを進めているところです。今後私自身が各部局長から御説明を受けまして内容を精査し、検証しさらなる事業の優先化、重点化を指示するなど徹底した見直しに取り組んでまいります。
来年度当初予算では、世界のモデルとなる安全・安心で美しいふじのくにづくりを加速化するとともに健全財政の枠組みを堅持し、新ビジョンの目標である収支均衡への確かな道筋をつけてまいります。
次に、JR東海が事業者として進められているリニア中央新幹線整備に関する静岡県の立場についてであります。
JR東海と静岡県があたかもけんかしているかのごとく思われているのは全くの誤解です。昨年のデスティネーションキャンペーン、プレキャンペーンでございました。成功に終わりました。ことしも四月から六月、DCキャンペーンお互いに協力をして成功に終えました。あるいは昨日、ェ仁親王妃信子殿下がお成りになりましたが、その際静岡駅長中村さんからは鈴木議長とともに格段の御高配をかたじけなくしたほどであります。
また、リニア中央新幹線についてでもありますけれども、私は一九九〇年代から国土審議会の委員をつい最近まで務めておりました。また一九九〇年代に既に大月―甲府間の実験線にも乗せていただいております。さらに個人的にはつい数カ月前、JR東海の広報部 ウエッジといいますけれども そこから私の本まで出してくださっております。「日本の中の地球史」という本ですがそういう関係を見てもすぐおわかりのように、いわゆるけんかというのはよく見ればわかる、していないということがわかるはずです。いかにしてウイン・ウインの関係をつくり上げるかということがポイントであります。
リニア中央新幹線につきましては、私は一度とすら反対したことはありません。むしろ推進する立場でございます。ただし大井川の源流部であり、豊かな生態系また生物多様性が保全されたユネスコのエコパークとも認定されたこの南アルプスの地に十分な水保全対策を実施することなくトンネル工事を行うことは、大井川水系の水が減少し自然環境だけでなく地域住民の皆様の生活、産業などさまざまな分野に深刻かつ取り返しのつかない重大な悪影響を及ぼすことになります。このことは決して看過されるべきことではありません。
この懸念は、私個人というよりもむしろ大井川流域八市二町の首長の皆様方、議会の皆様方、さらに利水関係者の御懸念でもあります。その方たちのむしろ要請を受けてJR東海と向き合っているというのが実態です。
大井川水系の水資源の確保及び水質保全等について、流域の関係者が一体となって対応するために昨年八月に大井川利水関係協議会を設置いたしました。この協議会と連携しながら環境保全連絡会議の専門部会におきまして、JR東海との科学的エビデンスに基づく対話を積み重ねているところであります。
この十月には、流域の市町議会、商工会議所、商工会から、引き続きJR東海との調整にリーダーシップをとっていただきたいとの意見書が届けられております。実に多くの方々からエールをいただいております。先月には県内東部、西部、直接この大井川には恩恵に浴されていない環境団体のリーダーからもエールを頂戴いたしました。流域六十二万人の命の水である大井川の水資源及び世界に誇る日本の宝である南アルプスの自然環境を守るという本県の立場についての理解が広がってきたという実感を持っているところであります。
本県の立場をさらに理解していただくために、引き続きいわば五箇条の御誓文の第三条と、おのおの志を遂げ人心をしてうまざらしめんことを要すというこの精神にのっとりまして全ての会議は公開で行う、会議資料や議事録につきましても公表するという方針でおります。県の広報媒体を通じた情報発信も強化いたします。
難波副知事が九月には常葉大学で、今月三日には掛川市が主催するシンポジウムで大井川の水問題に関する科学的根拠に基づいた対話の状況を講演いたしました。またシンポジウムにも参加いたしました。このように県民の皆様に直接御説明する機会もふやしてまいります。来年の二月には南アルプスの生物多様性に関するシンポジウムを開催いたします。そして南アルプスの自然環境の大切さを訴えてまいります。
こうした活動は、いわば法律に準拠して行っているのを御理解賜りたいと存じますが、平成二十六年 二〇一四年三月二十日参議院本会議、同二十七日衆議院本会議で水循環基本法というのが全会一致で可決成立し七月一日に施行されました。我が国が初めて制定した水の基本法であります。そこでは健全な水循環を維持し、または回復するための施策を包括的に推進するよう求めております。
これを受けまして、静岡県では平成三十年 昨年静岡県地下水の採取に関する条例の一部を改正いたしました。その第二条におきまして地下水は県民共有の貴重な財産であると明確にうたっております。
上流で表面を流れる川の水を採取すれば下流の水量が減るのは明白の理であります。同じように上流の地下水を傷めますと下流に流れてくる地下水が減るのも明白な理でございます。
こうした観点に立ちまして、地下水は共有財産、共有水であるという認識に立っております。県議会議員の皆様のお力もいただきながら、引き続き流域や県民の皆様の切実な思いである本県の立場をより多くの方に理解していただけるように取り組んでまいります。以上でございます。ありがとうございました。
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