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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

河原崎 聖 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/28/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 リニア中央新幹線について
(1)残土処理
(2)合意形成に向けた取組
2 世界情勢の激変を受けた今後の地域外交について
3 島田市内の採石場跡地からの土砂流出について
4 中山間地域における茶業振興について
5 河川における水難事故防止に向けた取組について


○副議長(和田篤夫君) 次に、四十八番 河原崎 聖君。
       (四十八番 河原崎 聖君登壇 拍手)
○四十八番(河原崎 聖君) 質問に先立ちまして、さきの台風十五号により亡くなられた方の御冥福と行方不明者の早期発見をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての皆様にお見舞い申し上げます。
 では、通告に従い当面する県政の諸課題について知事、副知事、関係部局長に対し一括質問方式にて質問させていただきます。
 まず、リニア中央新幹線について伺います。
 リニア中央新幹線の工事による県内への影響については、私も初当選以来流域住民の生活に必要な水を守るという立場からこの議場での質問をはじめ様々な議員活動の場で取り上げてまいりました。今のところこの問題について結果として具体的な進展はありませんが、これまでの間県の専門部会や国の有識者会議などで専門的な知見が積み上げられ、まだ不十分かもしれませんが関係者の間でこの問題に対する認識が深まってきたものと思います。
 特に、昨年暮れに国土交通省のリニア中央新幹線静岡工区有識者会議が取りまとめた大井川水資源問題に関する中間報告が出されたことにより新たな局面を迎えた感があります。報告の内容については最終的に工事はやってみないと分からないという側面がぬぐえないものの、一流の研究者たちが良識的な立場から取り組まれた成果であるという評価が一般的であり、私もそのように捉えていいものと受け止めています。
 また、年明けから国土交通省鉄道局が流域の市町に対しこの報告について直接説明を行うなど着工に向けての機運を高めようとする動きを見せ、流域市町からも現実的な対応を取り国と協力して解決策を探ってほしいとして具体的な進展を求める声も出始めております。
 その後、JR東海からはトンネル工事期間中県外に流出する水への対策として田代ダムの取水抑制案を含む二つの案が示され、一方県もリニア沿線の都府県で構成されるリニア中央新幹線建設促進期成同盟会に加盟するなど早期着工に向けての進展と受け止められるような出来事が続きました。
 その一方で、最近知事からは部分開業案ですとか他県の工事の遅れについての指摘に関する発言があり真意をはかりかねるとして他県の知事からの不信を招いているのではないかと危惧しております。初めて参加された期成同盟会において知事が発言されたとおり、現行ルートを前提にスピード感を持って県内の課題解決に取り組むのであれば静岡県として前向きな姿勢を示す必要があると思います。ただ現在重点的に検討されている自然環境保全の問題をはじめクリアしなければならない課題が残っていることも事実です。
 それに加え、近年クローズアップされてきたのが一の一の残土処理の問題です。リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事静岡工区に伴って発生する残土の処理方法については様々な問題が指摘されています。先般行われた国の有識者会議では、静岡市から三百六十万立方メートルもの大量の土砂を燕沢付近の一つの場所に盛土することについて危惧する意見が出されています。
 それと同時に懸念されるのは自然由来の重金属等を含む要対策土の問題です。これについて現在、JR東海は二重の遮水シートをした上で現地の藤島沢付近に盛土する計画になっています。これに対し難波県理事は、事あるごとに藤島に盛土するJR東海の計画は県盛土規制条例により認められないとの判断を繰り返し示されております。
 一方、JR東海側は条例の原則と適用除外がある、具体的な条件を出して県と話していきたいと発言しているとの報道がなされています。流域住民からは、大井川上流部に有害な物質を含む土砂が盛土されることに対しては飲料水・農業用水・工業用水の安全性の確保に加え環境の悪化、さらには農業や食品関連をはじめとする諸産業への風評被害を懸念する声も聞かれますがそれも無理のないことと思います。
 ただその一方で、なぜ県とJR東海の主張がかみ合わないのかについてこれまで十分に説明がなされてきたという印象がありません。こうした点も含め改めて整理した形で県の見解を示すべきと考えます。
 これについての所見を伺うとともに、それに基づき今後どのようにJR東海と交渉する考えか伺います。
 次に、一の二として合意形成に向けた取組について伺います。
 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事静岡工区についてはこれまで紆余曲折がありましたが、前段でも触れましたように県が現行ルートを前提とした品川―名古屋間の二〇二七年開業を目指す立場を共有するとの姿勢を示した以上着工に向けて具体的な取組を進める必要があるものと思います。今後工事を始めるに当たってはJR東海と県及び流域自治体、利水団体などとの間で何らかの合意形成が行われる必要があります。ただこうした水に絡む事案で合意形成を図るには非常に難しい利害調整を余儀なくされることが予想されます。必要な水の確保を大前提としながら水の維持に一定のリスクが生じることを考えますと、それ以外の様々な要望が流域自治体や関連団体から出されてくる可能性が高いためです。それらを全て実現することは難しいでしょうし、一つの成案にまとめ上げるにはかなりの時間とエネルギーを要することになるでしょう。
 これまで、県は専門部会での検討などを通して専門的な知見を蓄積してきました。また流域自治体とも様々な意見交換を行ってきたものと思います。そうしたものを踏まえて合意形成に向けた取組として現在具体的に行われているものはあるのでしょうか。また今後どのように取り組む考えか伺います。
 次に、二として世界情勢の激変を受けた今後の地域外交について伺います。
 国際情勢は近年アメリカと中国の覇権争いを軸に展開されるようになりました。さらに今年二月のロシアのウクライナ侵略により世界はブロック化の様相が深まり、一層困難かつ複雑なものとなりました。
 東アジアにおいても、先月のアメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に対し中国軍が台湾近海において大規模な軍事演習を展開し東シナ海における軍事的緊張が一気に高まりました。世界的に台湾有事を懸念する声は強くこの問題は今や米中対立の象徴となっています。
 その台湾に近い位置にある日本は、地政学的に見て海を隔てているとはいえ周辺に中国、ロシアのような武力による国境変更を行いかねない国々と国境を接し、加えて北朝鮮のような日本を敵視する国もあって常に軍事的な脅威にさらされています。我が国は平和と経済的な繁栄を維持するためにこれまで以上に難しい外交上のかじ取りを迫られていると言えます。
 中でも、特に難しくなってくるのは中国との関係ではないかと思います。経済面では最大の貿易相手国であり切っても切れない関係となっている一方で、政治面、軍事面では利害が相反することが多くなってきているからです。それについては静岡県も他人事ではありません。
 残念なことに、先日の台湾周辺の軍事演習で日本の排他的経済水域  EEZに打ち込まれたミサイルは友好提携している浙江省から発射されたものであったことが確認されています。地方自治体の海外との友好提携は国と全て同じでなくてもいいだろうと思います。国同士の関係が難しい時こそ地方同士の関係を友好に保つことが大切だという考え方は充分尊重されるべきです。ただし無条件にこれまでと同じようにやっていこうというのも広く県民から支持されるかは慎重に考える必要があるのではないでしょうか。
 実際に、県内でもロシアのウクライナ侵略を受け下田市で先月予定されていたロシア関係のイベントである軍艦ディアナ号乗組員の慰霊祭が中止されております。今年県内では浙江省との友好提携四十周年記念行事が予定されています。私はその開催そのものを否定するものではありませんが、現在の国際情勢を全く無視できるものと考えていいものでしょうか。県としてはその点をどう捉えて行事の内容を決めていく考えなのでしょうか。
 また、地域外交の在り方を考える際にこれまでは圧倒的に中国の比重が高かったと思います。これからの国益ならぬ県益、県の利益のためにはより戦略的な観点から対象国を広げ相対的に中国の占める割合を下げるべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、三として島田市内の採石場跡地からの土砂流出について伺います。
 昨年七月三日の熱海土石流災害の発生以来危険な違法盛土に対する県民の関心は非常に高まっております。全国的な規模で行われた国の盛土総点検では千八十九か所の違法盛土が発見され、県内でも昨年度末時点で百九十三か所、その後の市町からの報告等により確認されたものを含めると百九十六か所が見つかっています。今後それらについて危険度の高さに応じ早急な対策が求められておりますが、そんな中、熱海以外の場所で最初に具体的な対策が行われることになったのは島田市内福用地区にある採石場跡地から流れ出る土砂に対してです。
 この採石場は数年前に閉鎖されており運営していた会社も既に倒産しています。閉鎖に当たって一定の土砂流出対策は取られていたようで当初は大きな問題が起きることはありませんでしたが、跡地の中の水の流れが変わったことなどにより下の方の調整池兼沈砂池に土砂がたまり、昨年くらいからその土砂が大雨の後に国道四百七十三号やその下の大井川鐵道の線路にまで流れ出ることになりました。このため国道四百七十三号は度々通行止めとなり近隣の住民や事業者に影響が出ています。これまでのところ人命に関わるような大きな被害は出ておりませんが、跡地の上の方には大量の土砂が投棄されていると見られそれが崩れた場合には大惨事となる危険性もはらんでいます。
 県では、応急処置として国道四百七十三号に土砂が流れ出るのを防ぐために九月十五日から行政代執行で下の調整池兼沈砂池の土砂の撤去を始め、それと併せ盛土の全体像を把握するための調査を行う方針であると聞いております。地元ではこうした県の取組を歓迎しておりますが、さきの台風十五号の影響もありこれから具体的にどのような形で事業が進められるのかについて関心が高まっています。
 現在行われている調査の結果次第ということもあろうかと思いますが、現時点での県の方針を伺います。また全県的な視点でこのような事案を増やさないために県として今後どのように取り組むか、お考えを伺います。
 次に、四として中山間地域における茶業振興について伺います。
 先般八月に行われた第七十六回全国茶品評会において、川根本町の自園自製農家が普通煎茶四キログラム、掛川の共同茶工場が深蒸し煎茶の部でそれぞれ農林水産大臣賞を受賞し産地賞でも掛川市が一位、川根本町が二位になるなど本県産の茶の品質の高さを改めて認識したところであります。
 一九六〇年代の高度経済成長期には、国内で急須で入れて飲むリーフ茶いわゆる煎茶の需要が急増しお中元やお歳暮などに高級煎茶が選ばれていたためお茶の価格も高く、その恩恵もあって静岡県は日本一の茶産地を形成してまいりました。しかしながら近年全世帯数のうち一人及び二人世帯が半数を超え、生活様式の洋風化が進むにつれて急須を持たない家庭が増え日常飲むお茶がペットボトル飲料に切り替わったことも相まって年々リーフ茶需要が減少しております。煎茶需要の減少に伴い価格が低下し、最近の燃油や肥料など生産資材の高騰もあり単位面積当たりの収益性が著しく悪化しております。平坦地であれば乗用型茶園管理機を活用し経営規模を拡大して所得を確保するという手段を取ることもできますが、中山間地域は乗用型機械が使用できない傾斜地の茶園が多く規模拡大も難しいため中山間地の茶業は経営の継続が非常に困難な状況に追い込まれています。
 ただその一方で、中山間地域の傾斜茶園は高級茶の生産に適し都会の人から見ると大変美しい景観に感じられることから自園自製農家のこだわりを紹介するなど中山間地域の強みを生かした生産、販売を展開することで活路を見出す可能性があります。
 また、海外に目を向けますと全世界のお茶の消費量は年々増加しております。世界の緑茶生産量は二〇一一年の百三十七万一千トンから二〇二〇年には二百七万三千トンに増え、年平均で七万八千トン増加しております。ちなみに令和三年の日本全体の荒茶生産量が七万八千百トンですので、世界では日本と同じ生産量の産地が毎年誕生している計算になります。
 こうした状況を受けて日本からの緑茶輸出も拡大しています。輸出を行うためには各国の残留農薬基準をクリアする必要がありますが、中山間地域は平坦地に比べて農薬散布量が少なく輸出に向いているという一面があります。確かにお茶を輸出するためには海外展開をするためのスキルが必要であり茶生産者が簡単にできることではないかもしれませんが、生き残りのための数少ない選択肢としてチャレンジしていく必要があると思います。
 以上のように、中山間地域において茶業を継続していくためにはいろいろな課題はありますが、地域経済における茶業の位置づけは平坦地に比べて非常に大きく茶業の衰退は中山間地域そのものの存続にも関わる大きな問題であります。
 そこで、本県の中山間地茶業をどのように振興していくのか、県の所見を伺います。
 最後に、五として河川における水難事故防止に向けた取組について伺います。
 残念ながら今年も県内で幾つかの水難事故が発生し貴重な人命が失われました。改めて犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。
 本年五月ゴールデンウィーク期間中、島田市川根町の大井川の主流である家山川で女児が水遊び中に溺れ死亡するという痛ましい事故が起きたことに私をはじめ多くの県民が大きな衝撃を受けました。本県には川遊びなどができる清らかな流れの河川が数多く存在し、コロナ禍で屋内における密を避けるためにという理由も相まってこの夏場にも多くの人が川遊びなどに親しんだものと承知しております。
 そんな中、八月にも天竜川の支流である阿多古川において同様の水難事故で男児が死亡しました。河川は遊園地などのレジャースポットとは異なりそもそも危険が潜在しているものであり、河川利用者においては自らの安全を自らが守ることが基本であるということは理解されているところだと思いますが、毎年繰り返されるこうした痛ましい事故が今後再発しないための努力をさらに踏み込んだ形で行う必要があると考えます。
 また、阿多古川の事故では男児が家族や友人がバーベキューの準備をしていてちょっと目を離した隙に一人で川遊びを始めて事故に遭ったといいます。そもそも子供には河川は危険が潜在しているものであるとの認識が不十分と思われ、単に看板などによる注意喚起を現場で行うだけでは効果が期待できないのではないでしょうか。
 そこで、今回の事故を受け河川を管理する立場として県は水難事故防止にどのように取り組む考えか伺います。また事故防止のためには地元の方だけでなく県内外の方に広く注意喚起や啓発を行うことが重要だと考えますが、県としてどのように取り組むのか併せて伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 河原崎議員にお答えいたします。
 リニア中央新幹線についてのうち、残土処理についてであります。
 静岡県盛土等の規制に関する条例では、災害の防止とともに盛土等を行うことによる環境汚染の拡散を防止するためその第八条に「何人も、土砂基準に適合しない土砂等を用いて盛土等を行ってはならない」と規定しております。ただし環境汚染の拡散を防止するという条例の趣旨に反しないものとして大きく分けて次の二つの場合を適用除外としております。
 一つ目は、法令によって認められた汚染土壌処理施設等で行う盛土等です。
 二つ目は、自然由来の基準不適合土砂等の盛土で許認可等の手続により認められた事業の区域内において採取された土砂等のみを用いてその事業の区域内で適切な措置を講じた上で行う場合の盛土等です。
 この二つ目について改めて申し上げますと、同一事業区域の土砂を封じ込め等の措置を行った上で同じ区域内に移動し継続的に管理されるのであれば適用除外となるという考えです。
 JR東海が現在お示しになっている計画では、藤島に自然由来の重金属等を含むいわゆる要対策土の盛土を行うこととされています。藤島は南アルプストンネルとは離れた場所にございます。同じ区域内の移動とは言えません。それゆえこの盛土は適用除外にはなりません。藤島で要対策土による盛土が認められないことは国の有識者会議の場などにおきまして難波県理事が明確に説明しております。先日私からもJR東海の金子社長に直接御説明を申し上げました。
 南アルプストンネル工事により生ずる要対策土につきましては、県の地質構造・水資源専門部会においてかねてより無害化処理などの必要性が議論されておりました。今後もJR東海に対しこうした意見に真摯に向き合い検討するように求めてまいります。
 県民の皆様が抱かれている不安、懸念を払拭することが何より重要であります。懸念、不安、これを払拭するためにJR東海との科学的根拠に基づく対話を尽くし要対策土を含む残土処理の安全性の確保に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○副議長(和田篤夫君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) 島田市内の採石場跡地からの土砂流出についてお答えいたします。
 採石場跡地からの土砂流出の主な原因は、事業区域の中腹部にある違法な盛土の一部が降雨により侵食されて流下し調整池兼沈砂池が満杯になりあふれ出したことによります。
 土砂流出の防止につきましては、緊急的な措置が必要な応急対策工事と恒久的な安全性を確保する本復旧工事に分けて段階的に対応してまいります。
 応急対策工事においては、盛土の侵食が進行した場合でも事業区域外に流出させないために調整池兼沈砂池のしゅんせつと仮設排水路の整備を来年十月末の完了を目途に去る九月十五日に着手したところであります。
 本復旧工事につきましては、現在事業区域全体の地形や盛土の形状、土量などの調査を行っており、今回の台風十五号の被害の発生状況も踏まえ同様の大雨にも対応できる全体計画を年度内に策定してまいります。具体的な対策としては盛土の崩落を防ぐ土留工や盛土の一部を除去する排土工、地下水の排除や表流水を安全に流す排水施設などを検討しております。令和五年度から工事に着手する予定であります。
 こうした事案の再発防止につきましては、県の森林法と採石法の担当部局が連携した定期査察においてドローンを活用して広大な採石場の状況を適切に把握するなど監視体制を強化してまいります。あわせて複数の市町に係る案件や担当部局を越える対応が求められる案件等につきましては、静岡県盛土等対策会議において情報共有し連携して対応してまいります。
 県といたしましては、早急に島田市内の採石場跡地の安全確保を図るとともに、同様な事案の再発防止に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 難波静岡県理事。
○静岡県理事(難波喬司君) リニア中央新幹線についてのうち、合意形成に向けた取組についてお答えをいたします。
 リニア中央新幹線南アルプストンネルの静岡県内区間の着工には、地域の皆様の理解を得てJR東海の間で合意形成を図ることが前提であることは言うまでもありません。国土交通大臣も二〇一四年七月JR東海の環境影響評価書に対する大臣意見の中で、地元の理解と協力を得ることが不可欠であると明確に述べています。
 これまで、大井川流域八市二町や利水者から構成される大井川利水関係協議会を通じ地域の方々との意見交換を重ねてまいりました。その中で私は、地域が真に求めているのは純粋に命の水である大井川の水資源を保全してほしいということであると理解をしております。
 議員御指摘のとおり、最終的には工事はやってみないと分からないでは地域の皆様の理解を得ることは到底できませんので想定されるリスクへの対応をJR東海と対話していく必要があります。しかしリスクをゼロにすることはできませんので完全な保全策というものはありません。
 また、水利用についての事情や影響についての考え方は人により異なります。そのような中で地域の皆様がこれなら安心と納得できるようなものとなるよう調整をし合意形成を図ることが必要になります。そのような合意形成のための対話には困難が伴い多くの時間とエネルギーを要するものと考えております。現状においてJR東海の説明は影響を受ける地域住民の思いを踏まえたものではなく、直ちに合意形成が図られるものとなっておりません。
 県といたしましては、大井川利水関係協議会や流域八市二町首長との意見交換などを通じ地域の思いを受け止め、地域が求める大井川の水資源と南アルプスの自然環境の保全についてJR東海との間で合意形成が図られるようJR東海との対話を着実に進めてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 山本地域外交担当部長。
○地域外交担当部長(山本 東君) 世界情勢の激変を受けた今後の地域外交についてお答えいたします。
 本県と浙江省は昭和五十七年に友好協定を締結し本年四十周年を迎えております。この間、日中関係が厳しい時期にあっても浙江省との交流を継続したことにより富士山静岡空港と中国との定期便就航をはじめ教育・文化、経済等幅広い分野において中国との関係が深まってきております。
 友好提携四十周年行事につきましては、地域間の継続した交流が平和構築に寄与するという基本的な考え方に基づき八月には両県省の共通課題である介護をテーマにしたフォーラムを実施しました。またさらなる信頼の構築に向けてオンラインによる記念式典を年内に開催する予定でございます。引き続き今後の国際情勢や国の対応等に十分配慮し記念行事の内容を決定してまいります。
 交流対象国につきましては、県民の皆様がより恩恵を享受できるよう中国以外の国や地域に対しても戦略的に交流を進めることとしております。例えば世界最多の人口数となることが見込まれるインドや交流五年目となるインドネシアの西ジャワ州から高度なスキルを持つ人材を呼び込み、経済発展が著しい国・地域から本県への活力の取り込みを図ってまいります。
 今後も、こうした地域間交流に対する県の考え方を県民の皆様に対して丁寧に説明し御理解を得ながら互いの国や地域の文化の違いを踏まえた上で相互にメリットのある地域外交を展開してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 中山間地域における茶業振興についてお答えいたします。
 小規模で分散した傾斜地茶園が多く生産効率が低い中山間地域の茶業を振興するためには、収益性の高い高級茶の販路拡大と海外ニーズが高まっている有機抹茶の生産拡大が重要であると考えております。
 高級茶の販路拡大につきましては、新たな販売ルートの開拓と付加価値の創出が必要であることから日本橋の有名料理店でのメニュー化や生産者が高級旅館に出向いて行う呈茶サービスなどの取組を支援しております。加えて世界お茶まつりにおいて新たな海外バイヤーと茶業者を結ぶオンライン商談サイトの開設や山のお茶百選の高級茶を堪能する茶席の提供などに取り組んでまいります。
 有機抹茶の生産拡大につきましては、平坦地に比べて害虫の発生が少ないなど中山間地域の優位性を生かし輸出事業者と連携したてん茶加工施設の整備や地形条件に応じた小規模な基盤整備、有機栽培に適した品種への転換等を支援してまいります。
 県といたしましては、高級茶の販路拡大と有機抹茶の生産拡大を推進し中山間地域の茶業振興に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 河川における水難事故防止に向けた取組についてお答えいたします。
 県では、関係行政機関と民間団体で構成する水難事故防止対策協議会において事故が多発する夏季に水難事故防止キャンペーンを展開しSNSを活用した情報発信、テレビ等による広報、ポスターの配布など様々な手段を活用した啓発に努めているところであります。
 河川は野外活動や自然体験の場として多くの人々に利用されておりますが、一方で日常的に水辺に接する機会が少なくなり河川に潜在する危険性の認識が薄れていることが懸念されております。このため危険な場所や急な増水などの注意事項を川の利用の心得として県のホームページに掲載し啓発に努めてまいりました。
 今回の痛ましい事故を受け、河川管理者として水辺に親しむことができる親水公園などの護岸施設を中心にパトロールを実施するとともに、新たに過去の水難事故の発生箇所や概要、川に出かける際の準備事項を川の利用の心得に追加し情報の充実を図りました。今後関係者等と連携して安全な川遊びのために必要な知識と行動を分かりやすく解説するチラシや動画を作成し、毎年七月に始まる水難事故防止強化月間などに併せて県内外へ積極的に発信してまいります。
 県といたしましては、水難事故により幼い命が失われることがないよう河川に対する意識啓発を進め多くの方々が安全に利用できる環境づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 河原崎 聖君。
       (四十八番 河原崎 聖君登壇)
○四十八番(河原崎 聖君) それぞれ御答弁頂きありがとうございました。
 要望を数点、それから再質問、国際地域外交に関してさせていただきたいと思います。
 まず、リニアの残土処理の問題ですが、今の県のお考えというか分かりました。何が正解というのはこれからということになろうかと思いますが、お互いの不信感を高めない形でしっかりとした内容に基づいた話合いをしていただきたい、それをお願いしておきたいと思います。
 それから、合意形成についてなんですが、これについてはなかなか本会議の議場にふさわしい問題ばかりではないということも感じております。そういった意味では全てのことをお聞きすることはできないとは思いますけれども、やはり今までの流れの中でこういうところにまで手が回ってない、そういうことがあってはいけないんじゃないかということを非常に危惧しております。その点を強調したいがために今日取り上げさせていただいたということでございます。着実にこの辺のことも進めていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいと思います。
 それから福用の件なんですが、私も昨日ちょっと現場を見てきました。上も崩れて道も崩れているという状況の中で、もしかしたら上から落ちてきた土砂もあるかもしれないです。そういった意味じゃ、もしかしたらちょっと間に合わなかったのかなと思うと非常に残念でならないところであります。今後しっかりと実情を調べていただくのが先になろうかと思いますが、一刻も早いまた事業の再開をお願いをしておきたいと思います。
 それからお茶についてですが、お茶が売れないというその販売のほうの問題もあると同時に、また作るほうの生産者の高齢化、人口減少、その衰退が大きな要因になっています。そういった中では共同の茶工場が次々と閉鎖、解散しているという状況でありまして、そういった中で茶畑を維持していくには今小規模でやっている方々、こういう方への支援というものも考える必要があるんじゃないかなと。自園自製でありますとか小規模の農家、組織ですね。そういったところも対象として考えるべきじゃないかなというふうに思います。県単でもできる予算規模じゃないかなと思いますのでその点の御検討をお願いしたいと思います。
 それとやはり移住・定住の関係でも若い人を呼び込む一つの要素として農業もあろうかと思います。そうした生産組織の育成といったようなことについても取り組んでいただきたいと思います。これはお茶だけに限らず、また中山間地に限らない問題でありますけれども、その点についてのさらなる取組をお願いしたいと思います。
 地域外交のほうなんですけれども、中国のお話、今伺って別に中国のほうを縮小しろと言っているわけじゃなくて相対的に割合を下げるべきじゃないかというようなことを申し上げました。実際これだけ経済がブロック化していきますと今ももろもろの資源が入ってこないとかですね。やはりその枠から外れているところとの経済交流というのは非常に制約がかかってくるというふうに思います。その一方で今の円安がどれだけ続くか分かりませんが、この円安によって製造業の国内回帰といったような兆候も見え始めているということでございます。そういった中で静岡県の地域外交を考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
 そういった中で、先ほどまたインドのお話もありましたけれども、それ以外の東南アジアですとか欧米そしてまたオセアニアといったようなところとの交流ということも考えるべきなんじゃないかなと。すみませんこれは再質問です。東南アジアや欧米、オセアニアとの関係といったようなことも考えるべきじゃないかなと思いますが、その点についてが一点。
 それから、もっとその地域外交を行う上、ただの友好提携と違うのであればこの県の利益がどういうものなのかというものをもっと分かりやすく県民に示すべきであるし、県としてもそれを基に戦略を立てるべきというふうに思いますけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 山本地域外交担当部長。
○地域外交担当部長(山本 東君) 世界情勢の激変を受けた今後の地域外交についての再質問についてお答えします。
 まず、東南アジアに加え欧米やオセアニアとの関係を強化したらどうかということについてでございます。
 現状、先ほどの答弁でもインド、インドネシア、東南アジアのほうをこれから重点的に一応進めていくということを申し上げました。経済ではありませんけれども、ヨーロッパとかにつきましては二〇一九年のラグビーのワールドカップでアイルランドチームが静岡県内で試合したこと、これをきっかけに今の経済ではありませんけれどもスポーツ、ラグビーという分野で地元を通じてこれからスポーツ分野の交流が進んでいくというふうに考えてございます。
 これからオセアニアとそれ以外の国々とということについてでございますけれども、やはり交流先となる国・地域、こことどういう分野で交流ができるのか、こういったことを調査研究した上でお互いに相互のメリットが期待できるということで私ども判断すれば当該国々・地域と関係強化を一応図っていきたいというふうに思っています。
 次に、その地域外交を行う上での圏域のお話でございます。基本的に私ども一応交流国の相手国との信頼関係に基づいて交流を展開するということが互いの一応国家関係を改善し、ひいては世界の平和の構築に貢献すべきものというふうに考えています。ただ一応地域外交の主体はやはり県民の皆様、自分もそうですけれども一人一人がやはり中心であるというふうに考えています。したがいまして県民の皆様の日々の生活において諸外国あるいは異なる文化、価値観を持つ人々との交流を促進することによってこれが豊かな暮らしにつながり、また静岡空港の国際路線の就航でインバウンドが増加するとかそういった県民の皆様や県内企業の経済活動にこれ結びついているんだと思います。
 今後も、海外との交流を行うことで県民の皆様の豊かな暮らしを支えることができるよう地域外交を展開していきたいと思っています。以上です。
○副議長(和田篤夫君) 河原崎 聖君。
       (四十八番 河原崎 聖君登壇)
○四十八番(河原崎 聖君) それでは、時間がありませんので最後一点だけ要望をさせていただきます。
 台湾なんですが、今までも県のメニューにも入っているんですけれども、今回のこういう事態を受けて民主主義を守るという意味でも、また半導体など先端産業もありますのでまた台湾との関係を強化していただくことをお願いして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(和田篤夫君) これで河原崎聖君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 九月二十九日午後一時会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会いたします。

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