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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

東堂 陽一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/01/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 今後の地球温暖化対策について
2 リニア中央新幹線整備による水量減少問題について
3 新型コロナウイルス対策について
(1) 感染者情報の公表の在り方
(2) お茶の感染防止効果の研究状況
4 オンライン化の推進について
(1) 行政のデジタル化推進
(2) オンライン学習の充実
5 原野谷川における河川整備について


○副議長(良知淳行君)  次に、三十六番 東堂陽一君。
       (三十六番 東堂陽一君登壇 拍手)
○三十六番(東堂陽一君) 私は、自民改革会議の所属議員として通告に従い一括質問方式で知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に当面する県政の諸課題について伺います。
 最初に、今後の地球温暖化対策について伺います。
 近年、地球温暖化に起因すると考えられる大型化した台風や集中豪雨による風水害が多発し多くの方の貴い命が失われるなど甚大な被害に見舞われています。また猛暑日の日数が年々増加しかつての常識が通用しなくなってきています。記憶に新しいところですが今年の八月には浜松市において日本歴代一位に並ぶ最高気温四十一・一度を記録しました。熱中症などの健康への影響、学校の授業などへの影響、経済活動や農業への影響など私たちの生活全般に大きな悪影響を与えています。
 地球温暖化は我々が直面している最も深刻な環境問題であるといっても過言ではありません。このままではこれからの静岡県、日本、世界がどうなってしまうのか大変心配をしています。
 地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの中で最も多いのは二酸化炭素ですが、その多くが石油や天然ガスなどの化石燃料の直接利用やそれらによって作られる電力を使用することで排出されるものです。EU欧州委員会は昨年十二月に域内の温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに実質ゼロにするための新たな政策である欧州グリーンディールの概要を公表するとともに、今年の三月には欧州気候法案を公表しました。欧州では技術革新によって脱炭素化と経済成長の両立を図ろうとする動きが活発になってきています。国内では経済産業省が発電効率が低く二酸化炭素を多く排出する旧式の石炭火力発電所を二〇三〇年度までに休廃止する方針を表明し、石炭火力発電所の輸出については原則として公的支援を行わない方針を決めました。さらに脱炭素技術の確立を目指す司令塔として、国はグリーンイノベーション戦略推進会議を今年の七月に設置しました。このように国内外で地球温暖化対策として脱炭素社会に向けての方針が打ち出されている一方で、静岡県における対策はどのようになっているのでしょうか。
 私は、地球温暖化対策で静岡県が日本をリードする存在になってほしいと考えていますが、今後どのように地球温暖化対策に取り組んでいくのか伺います。
 次に、リニア中央新幹線整備による水量減少問題について伺います。
 リニア中央新幹線整備で計画されている南アルプストンネルは、大井川の源流部に当たりトンネル工事における大井川の水資源への悪影響が懸念されています。私の地元である掛川市は昔から水不足に悩まされてきた地域ですが、現在飲料水などの生活用水、農業用水、工業用水など地域住民の生活、経済活動に必要な水のほとんどを大井川の水に頼っている状況なのは繰り返し訴えているところです。住民にとって大井川の水量減少はまさに地域の死活問題であり、住民は大きな不安を抱いています。
 大井川の水量減少問題は、リニア中央新幹線静岡工区の南アルプストンネル掘削によって湧水が発生することが原因であり、これによって大井川の表流水及び地下水の減少など大井川流域を含むこの地域の水循環に変化が生じるおそれがあるという問題です。
 JR東海は、この四月から行われている国の有識者会議においてトンネル湧水による大井川の表流水及び中下流域の地下水への影響は軽微と主張しており、その根拠として自社で行った水収支解析を挙げていました。JR東海が用いるこの水収支解析の精度や手法の確からしさについては大井川の水量減少問題を検証する上で基礎的な資料であることから、これまでの県の専門部会においても繰り返し議論が行われてきました。
 しかし、国の有識者会議においてJR東海がまた同じ主張をしてきたことは進展がないと言わざるを得ません。少なくともこの説明は流域住民には分かりにくく納得できるものではありません。影響は軽微と主張されていますが流域住民の不安は全く解消されていないのが現状です。水収支解析の不確実性については現在行われている国の有識者会議において十分に検証、議論されているのでしょうか。疑問が残ります。
 そこで、水収支解析について県の見解、今後国の有識者会議においてどのような議論がされることを期待するのか伺います。
 次に、新型コロナウイルス対策についてのうち、感染者情報の公表の在り方について伺います。
 国内における新型コロナウイルスの新規感染者数が第二波を思わせる増加を続け、本県においても七月中旬以降複数の感染者集団、いわゆるクラスターが発生しこのところは多少落ち着きを取り戻しているように感じられますが、断続的に感染者が発生していることから引き続き危機感を抱いています。新規感染者が判明した際には県はその都度個人情報の保護を基本としつつ、県民や市町等関係機関に対しての感染者情報の公表について適切に対応していただいていると思います。しかし当初居住市町や年代、性別等が明記されていた感染者情報は公表を望まないとされるケースが増え、居住市町の記載も管轄保健所名とする例が多くなるなど曖昧なものになっていったように感じられました。感染者本人のプライバシーの保護などの配慮をすることは必要であると理解できます。
 しかし、未知の感染症に感染してしまうのではないかという不安から、例えば感染者の居住地公表が曖昧なものであればその地域や周辺にお住まいの皆さんは一体どこで発生したのか非常に心配に思われるのではないでしょうか。市町からも住民に対する情報提供のため県に対してさらなる情報の公表を求める声が多く寄せられており、これを受けて県は感染者を確認した場合の居住地の公表などについてこれまでの方針を見直したと伺っています。
 そこで、県は感染者情報の公表の在り方をどのように考え県内市町と情報を共有していくのかを伺います。
 次に、新型コロナウイルス対策についてのうち、お茶の感染防止効果の研究状況について伺います。
 お茶が新型コロナウイルスの感染を阻害するなどの効果があるのかについては、六月の定例会における増田享大県議の質疑に対して志村農林水産担当部長より県では感染を抑える緑茶の効能研究に着手したところであり、本年度中をめどに感染阻害効果とそのメカニズムを明らかにしていく、また予防効果が得られることを期待しているという非常に希望が持てる御答弁を頂きましたが、いまだに感染拡大の収束が見えない中私もこの研究成果については大変期待をしているところです。
 さて、先般八月末に鹿児島県で開催された第七十四回全国茶品評会深蒸し煎茶の部門で掛川市が通算二十二回目の産地賞一位を獲得するなど明るい話題もありましたが、本県の茶業界の状況はどうでしょうか。長引く茶の価格低迷に加え今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各種イベントが軒並み中止となり、大口注文がストップするなど相場の下げが止まらず販売額にも大きな影響が出ています。また生産量についても、農林水産省の統計によりますと今年の本県の一番茶の生産量は九千四百二十トンと統計が確認できる昭和四十年以降過去最低の記録であり、二番茶についてもコロナ禍の影響で需要が限定的となり早めに生産を打ち切る生産者も多かったということであります。
 このように記録的な減産、深刻な価格低迷と茶業を取り巻く情勢が大変厳しい中、現在県が行っている緑茶の効能研究において新型コロナウイルスに対するカテキンの感染防止効果が立証されれば、お茶が持つ効能が改めて見直されお茶の消費拡大にもつながりひいては生産者の経営の向上に結びつくものと確信しますが、現在の研究の進展状況について伺います。
 次に、オンライン化の推進についてのうち、行政のデジタル化推進について伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策においては、県民が密閉、密集、密接のいわゆる三密を避けソーシャルディスタンスを保ちながら生活を送らなければなりません。こうした中で行政機関に対して行う申請等の手続におきましても、自宅などからオンラインによって非対面で行えることの必要性が従来よりもさらに増してきています。
 一方で、報道によりますと国の給付金の申請手続においてはマイナンバーカードを活用したオンライン申請を導入したものの、システムの不具合や受付側の確認作業の負担増加などにより結果的に支給の遅れが生じオンラインでの申請を取りやめる自治体が出てくるなどの事態が発生しました。これにより現在の行政におけるデジタル化がまだまだ十分とは言えないという状況が図らずも露呈した格好となってしまいました。オンラインによる申請システムが国民の利便性を向上させるという視点において十分に機能していなかったということであります。
 このような状況を踏まえ、国は経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇、いわゆる骨太の方針においてポストコロナ時代を見据えた新たな日常の構築のための原動力としてデジタル化の強力な推進を掲げ、その中でもデジタルガバメントを最優先政策課題として位置づけています。この中で具体的な取組として行政手続のオンライン化とワンストップ・ワンスオンリー化を抜本的に進め、手続の簡素化、迅速化を図ることとしています。
 こうした中、静岡県としてもポストコロナ時代を見据え県民にとって安心して簡便に利用することができるICTを活用した利便性の高い行政サービスの提供に取り組む必要があると考えますが、今後の対応について伺います。
 次に、オンライン化の推進についてのうち、オンライン学習の充実について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、県内の学校は昨年度末から年度初めの四月、五月までという長期間にわたり臨時休業を余儀なくされました。その間各学校では教科書や紙の教材を活用して家庭学習を行っておりましたが、掛川工業高校や掛川西高校などでは生徒の学習活動を保障するため若手の先生方が中心となってインターネットを利用した双方向の情報伝達手段を確保、いわゆるオンラインでの学習指導が実施されたことは既に宮城県議から紹介されたところです。
 今回は緊急時の対応としての利活用でしたが、平常時においても児童生徒がそれぞれの習熟度に応じて家庭学習を進めるなど今後オンライン学習は大変有効な手段になると考えます。
 しかし、GIGAスクール構想によって一人一台のタブレット端末が整備されるのは義務教育段階の児童生徒に限られています。構想の対象となっていない高等学校ではオンライン学習への対応が十分にできないのではないかと懸念しています。
 また、オンライン学習を行うためにはまず授業動画やデジタル教材を配信する学校側の環境が重要ですが、現状は学校の回線でウェブ会議用のアプリ等を使うと止まってしまうことが多いとの声も現場から聞こえてきます。これについては他の議員の質問で今後回線の増強を行っていくとの答弁がありましたが、それらを受信する家庭の側の通信環境が整っていることも非常に重要になります。家庭の通信環境の違いによって学習の進捗に格差が生じることがあってはなりません。全ての家庭で等しく学習ができるよう配慮しながらオンライン化の推進に向けた環境整備を行う必要があると考えます。掛川工業高校の調査でも家庭がWi−Fi環境にない生徒が若干名いたことが分かりました。
 そこで、県立高等学校におけるオンライン学習に必須となる家庭と学校での通信環境の整備について県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、原野谷川における河川整備について伺います。
 本年七月の記録的な長雨は日本各地に被害をもたらし令和二年七月豪雨と命名されました。九州地方では、七月三日から十一日の間に線状降水帯が長時間にわたり停滞したため記録的な降水量となりました。特に甚大な被害に見舞われた熊本県の球磨川流域では十一時間半も停滞したと聞いています。この熊本県の災害をはじめ毎年全国各地で豪雨災害が頻繁化し、その規模は激甚化の一途をたどっていると思われます。
 さて、私の地元である掛川市においても近年では平成二十六年十月の台風十八号の豪雨により市内各所で浸水被害が発生したことなどから、毎年全国各地で発生している激甚災害を目の当たりにして地域住民の河川氾濫に対する不安の声は年々大きくなってきています。
 掛川市における河川整備は、昭和五十七年九月洪水による逆川の堤防が決壊したことを契機に大規模な河川改修が進められました。一方本市を代表する原野谷川におきましては県が平成十三年に策定した河川整備計画に基づき下流から整備を進めていることは承知していますが、中上流域においても河川内の堆積土砂の撤去や樹木伐採のほか強固な堤防の整備を望む声が毎年各地区から多数寄せられています。原野谷川の中上流域は優良農地が広がり美しい緑と水が自慢の自然豊かな地域である一方、今後新東名と連携した広域幹線道路の構想があるなど新たなまちづくりが期待される地域でもあります。住民の不安を解消し新しいまちづくりを推進していくためには、河川の整備を早期に進めていく必要があると考えています。
 そこで、原野谷川の中上流域における河川整備について今後どのように進めていくのか伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(良知淳行君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 東堂議員にお答えいたします。
 今後の地球温暖化対策についてであります。
 今年の世界全体の二酸化炭素排出量は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞などによりまして前年比で八%の減少が見込まれております。パリ協定の努力目標である気温上昇を工業化以前から一・五度以内に抑えるためには、温室効果ガス排出量を毎年七・六%削減する必要があるとの報告もございます。経済活動を維持しながら地球温暖化対策を進めることは大変困難な課題であると改めて認識したところであります。
 県内の二〇一七年度の温室効果ガス排出量は二〇〇五年度比で一五%減少しており、二〇二一年度までに二一%削減という目標の達成に向け着実に削減が進んでおります。県では全国一位の登録数を誇る企業の環境マネジメントシステム、いわゆるエコアクション21の導入促進やスマートフォンのアプリを活用した県民運動ふじのくにCOOLチャレンジ等、他県に先駆けた取組を進めております。
 本年六月に全国知事会に設置されたゼロカーボン社会構築推進プロジェクトチームに他の三十三都道府県と共に本県も参加いたしました。本年八月に開催された第一回会議では小泉環境大臣との意見交換の場で私のほうから本県の取組を全国に発信したところであります。
 一方、国内における本年四月の家庭の電力消費量は前年と比べ五・八%増加しているため在宅勤務の普及や新しい生活様式への対応などのウイズコロナ、アフターコロナを見据えた新たな対策が必要と考えまして、県は家庭部門の二酸化炭素排出削減の取組強化を目指しております。動画による環境に配慮した新たなライフスタイルの提案やテレワークスペースの確保に併せて既存住宅の省エネルギー性能を向上させる改修へ助成をする、その助成に要する経費を補正予算案として本議会でお諮りしているところであります。
 長期的な目標である脱炭素社会の実現には、産業構造や県民のライフスタイルの大きな変革を伴うほどの化石燃料消費量の大幅な削減が必要であります。県内ではENEOS株式会社による清水港内における最新の蓄電池技術等を活用した次世代型エネルギー供給拠点の構築やトヨタ自動車株式会社が裾野市で進める太陽光発電や燃料電池などを活用する環境と調和したまちづくり、いわゆる「コネクティッド・シティ」プロジェクト等民間企業による先進的な取組が進展しております。
 県としましては、こうした取組が持続可能な地域づくりのモデルとなることを期待いたします。それとともに来年度新たな地球温暖化対策実行計画を策定いたしまして、本県の地域特性を踏まえた地球温暖化対策を静岡県地球温暖化防止県民会議や企業の皆様の御意見をお伺いしながら着実に推進してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○副議長(良知淳行君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) リニア中央新幹線整備による水量減少問題についてお答えをいたします。
 水収支解析につきましては、JR東海はこれまで解析モデルの精度は高いとして水収支解析結果によればという説明を続けてきました。しかしこれまでの県の専門部会や国土交通省が設置した有識者会議の議論から、県ではJR東海が用いる水収支解析モデルには多くの問題点があると考えております。
 最も基礎的な問題は解析の目的とモデルの解析方法が合っていないことです。すなわち何を知りたいのか、それを知るためにどういう解析モデルが適切かを考えることが極めて重要です。
 今回の解析の目的はトンネル掘削による河川水や地下水への影響を推定することです。その目的のためにはモデルによって地中の地下水の動きを再現することが必要です。しかしながらJR東海の水収支解析モデルにおいては地下水の動きをモデルとして再現性ができるかどうかという検証はされておりません。JR東海のモデルは降雨と河川流量の関係を概括的に把握するためには有効ですが、トンネル掘削による地下水の動きの変化を再現するには限界があります。
 さらに、モデルに入力する地盤条件や境界条件などにも様々な問題があります。例えば地形・地盤モデルの単位は縦横百メートル、高さ二十五メートルに分割した単純なブロックで計算をしていますが、百メートルとして同じ地質はないと言われる極めて複雑な南アルプスにおいて湧水量の推定に重要な断層の広がりも考慮されておりません。このような単純な計算単位では地質の変化に十分対応ができていません。
 また、土の中での水の移動のしやすさを表す透水係数においてJR東海は水が移動しやすい側の一部のデータを外れ値として根拠なく除外しております。仮にこの除外した透水係数を用いればJR東海の試算よりより多くの値、そしてより速くトンネル上部の沢の流量低下が起こりかねません。
 さらに解析で用いる降水量ですが、これは全ての表流水と地下水の源ですので最も重要な解析データと言えます。JR東海は上流部の一か所の観測所データのみを参考にし、その値を計算に合わせるために再度修正した結果、年間降水量を平年値で四千二百ミリメートルと推定をしております。この数値には地元関係者からも現実と違うという疑問の声が聞かれます。
 このような少ない現地観測データを用いた、解析目的に合わない解析方法による机上の計算のみにより結論を導こうとする方法は、県の専門部会においてもあまりにも恣意的ではないかという指摘をされております。このように多くの問題があると言わざるを得ません。
 このようなことから、これまで県及び専門部会はJR東海の水収支解析は上流域の水収支の概略を把握するために使うのはよいけれども、トンネル掘削によるトンネル湧水量の推定や河川流量の変化の精度の推定には限界があると繰り返し述べてきました。しかしながら国の有識者会議でのJR東海の説明は基本的に専門部会のときと変わりませんでした。
 このことから、JR東海がモデルの精度は高いとして解析結果が確定値であるかのような説明をこれ以上続けることのないよう、八月十三日付で私から国土交通省鉄道局長宛てに水収支解析に関する静岡県の考察を提出しました。この中でこれ以上の不毛な議論は望まないということも申し上げました。
 今後の有識者会議においては、この静岡県の考察を踏まえた上で大井川の水利用と南アルプスの自然環境の特殊性を考慮して、地質データや地下水の水質分析といった化学的なデータを用いて、工事による中下流域の地下水や生態系への影響等について多方面から実態に即した議論が行われて地域住民の皆様にも分かりやすく示されるということを期待をしております。以上です。
○副議長(良知淳行君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 新型コロナウイルス対策についてのうち、感染者情報の公表の在り方についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染者の情報につきましては、対象者のプライバシーの保護と公衆衛生上の必要性を勘案し適切な範囲内で公表することとしております。市町におきましては県が公表した感染者情報を基に住民の皆様に感染拡大防止のための適切な行動を促すとともに、デマの発生や拡散の防止に努め地域の安心・安全を守っていただいていると認識しております。
 先般市町から、より適切な感染防止の行動を住民に促すためには居住市町名の公表が必要との御意見を頂きましたので公表の方針を改めることといたしました。県では新たな公表基準により原則として居住市町名を公表するほか本人の同意に基づき年代、性別、推定感染経路等を公表しております。またクラスターに対応するため、利用者の特定ができない場合などには同意の有無にかかわらず感染拡大防止を進める上で必要となる店舗名等の情報を速やかに公表しております。
 県といたしましては、感染拡大の防止を第一義として感染者情報の公表を行い市町と十分な連携をとって新型コロナウイルス感染症に的確かつ迅速に対応してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 新型コロナウイルス対策についてのうち、お茶の感染防止効果の研究状況についてお答えいたします。
 本県の茶業につきましては、リーフ茶需要の減少などの構造的な要因に加えまして新型コロナウイルスの影響が重なったことなどにより生産量、価格がともに低迷しており非常に厳しい局面を迎えております。こうした状況の中で、議員御指摘のとおり茶カテキンの新型コロナウイルスに対する有効性が認められればお茶の生産振興につながるものと考えております。
 このため、県は本年五月から緑茶の新型コロナウイルスに対する感染阻害効果の科学的エビデンスを創出する研究を開始いたしました。現在新型コロナウイルスを扱うことができる高度な実験設備を備えた環境衛生科学研究所におきまして、茶業研究センターが選定した四種類の茶カテキンを濃度を変えてウイルス液と混合して培養細胞に接種し細胞の変化を確認することで感染阻害効果を検証しております。この研究により効果が認められた場合には、静岡県立大学が中心となって研究結果を精査しウイルスの感染を阻害するメカニズムの解析結果を取りまとめ速やかに海外の学術専門誌に論文の投稿を行っていくこととしております。
 県といたしましては、科学的エビデンスを有する正確な研究成果として情報発信できるよう引き続き研究に注力してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 杉山経営管理部長。
       (経営管理部長 杉山浩一君登壇)
○経営管理部長(杉山浩一君) オンライン化の推進についてのうち、行政のデジタル化推進についてお答えいたします。
 国が策定したデジタル・ガバメント実行計画では、すぐに使えて簡単で便利な行政サービスの実現を目指すこととしており、本県でも個々の手続やサービスを一貫してデジタルで完結するデジタルファーストの考え方を静岡県高度情報化基本計画に盛り込みデジタル県庁、デジタル行政の推進に取り組んでいるところであります。
 オンライン手続につきましては、県税の申告、公金収納、電子入札など個別のシステムを構築しているもののほか汎用的に利用できるふじのくに電子申請サービスを運用しており、新型コロナウイルス感染症拡大防止の協力金の交付申請手続もこれを利用して対応したところであります。
 しかしながら、いまだにオンライン化できていない多くの手続が残されておりますことからその原因を分析するための調査に着手したところであり、本年度末までに解決策をまとめてまいります。
 県といたしましては、引き続き県民の皆様のニーズに沿った利便性の高い行政サービスの提供に向け国の動向も注視しつつ、さらなる行政のデジタル化を推進してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 長澤教育部長。
       (教育部長 長澤由哉君登壇)
○教育部長(長澤由哉君) オンライン化の推進についてのうち、オンライン学習の充実についてお答えいたします。
 現在、県立高校におきましてはクラス単位で日常的にインターネットへ接続できるようタブレット端末の整備や回線の増強を進めております。オンライン学習をより充実させ学習指導の質の向上を図るためには、学校側の配信用の回線整備と併せて家庭における通信環境を確保することが重要と考えております。
 家庭への対応といたしましては、高校生等のいる非課税世帯に通信費相当額を支援しておりますが、今後Wi−Fi環境がない、あるいは通信量に制限がある家庭への対応につきまして公平性に配慮し他県の状況も参考にしながら検討してまいります。
 なお、当面の対応といたしまして学校が保有するタブレットの貸与に関する運用ルールを定め、教材データを保存した端末の持ち帰りを行うなど家庭の状況に応じた代替手段の確保に努めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、全ての生徒が等しく学ぶことができるよう学校及び家庭におけるICTを活用した学習に必要な通信環境の整備を進めオンライン学習の充実に努めてまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 長繩交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長繩知行君登壇)
○交通基盤部長(長繩知行君) 原野谷川における河川整備についてお答えいたします。
 原野谷川では、平成十三年に策定した河川整備計画におきまして袋井市睦実地先のJR東海道線の橋梁から同市広岡地先までの下流区間と掛川市吉岡地先の上流区間の改修を位置づけており、下流区間におきましては流下能力を向上させる河道掘削等がおおむね完了しております。現在は国土強靱化の三か年緊急対策により、上流区間を含む東名高速道路の橋梁から県道掛川天竜線の原谷大橋付近までの間を、流下能力が低い箇所における河床掘削や樹木の除去を実施しております。今後は上流区間において計画に位置づけた河道の拡幅とこれに伴う取水堰の改修に向け掛川市や利水関係者と調整を進めてまいります。
 また、現在の計画が策定からおおむね二十年経過することから近年の浸水被害の発生状況等を踏まえた新たな整備目標や中上流域も含めた整備箇所の検討を進め、今後の計画の見直しに反映させてまいります。
 県といたしましては、原野谷川の中上流域におきまして現行の計画で位置づけた河川改修の早期完了を目指すとともに、ますます激化する豪雨に対して関係機関と連携して防災・減災対策に取り組み安全で安心な地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 三十六番 東堂陽一君。
       (三十六番 東堂陽一君登壇)
○三十六番(東堂陽一君) 御答弁ありがとうございました。
 三項目について要望と意見、一項目について再質問を行います。
 まず、今後の地球温暖化対策についてでありますけれども、地球環境の悪化への期間を世界の研究者たちに尋ねて時刻で表す環境危機時計というものがありますけれども、今年は過去最悪の九時四十七分だったそうです。ちなみに日本は昨年より七分と大きく進み世界平均とほぼ同じ九時四十六分だったという新聞記事を見ました。その要因は地球温暖化に関連すると見られる異常気象が相次いだことが大きいと分析されています。九時を過ぎると極めて不安な状態を示すそうであります。
 現代ももちろんですけれども、私たちの子供や孫の時代がどうなってしまうか大変心配をしています。地球温暖化問題は私たち一人一人の課題ですが世界全体の課題でもあります。その解決には政治リーダーの姿勢や行政の力が不可欠と考えます。来年には新しい実行計画がつくられるとの回答を頂きました。ありきたりではない、ぜひ日本をリードするような計画になることを期待いたします。
 要望の二点目ですけれども、お茶の感染防止効果の研究状況であります。志村担当部長から御答弁を頂きましたけれども、お茶の感染防止の研究結果には大いに期待をしています。この研究の予算としては五百五十万円が計上されておりますけれどもこの金額で大丈夫かという心配もあります。必要ならば素早い対応をお願いしたいというふうにも思います。
 私はこれまでに一般質問において、お茶の販売拡大については機能性や効能をうたいながらマスメディアを利用したCMなどのPRを検討してほしいということを度々要望してまいりました。お茶が新型コロナウイルス対策に効果があることが分かれば、放っておいてもまさにこのことが実現できるわけであります。朗報をお待ちしたいというふうに思います。
 要望、意見の三点目はオンライン化の推進についてのうちのオンライン学習の充実についてであります。
 県立高等学校のオンライン学習の充実については、生徒が自己所有する端末を学校の授業で利用する方法や公費による整備など今後整備方針を検討していくとお聞きしましたけれども、現場の先生からはタブレット端末では限界がある、パソコンがいいとの声も聞いておりますのでぜひ現場の先生や生徒の声にも耳を傾けて導入方針を決定していっていただきたいと思います。
 もう一点、オンライン学習の推進をするように申し上げましたけれども、ネットに#先生死ぬかも・てん・てん・てん、SNSで教師が悲鳴、オンライン授業で負担増、これ以上は地獄との記事を見ました。教員の多忙化解消が言われる中でオンライン学習の推進がこれと逆行することになってはなりません。このことに関する工夫がされている事例もありました。持続可能なオンライン学習、授業の推進にも配慮するようお願いを付け加えます。
 再質問は、リニア中央新幹線整備による水量減少問題についてであります。
 水収支解析は水問題を議論する上で基礎的な重要資料です。その信頼性は議論の結果に大きく関係をします。
 質問の一番目は、水収支解析において静岡県が国土交通省と環境省に提出した静岡県の考察意見書を読みますと、今難波副知事からも御回答頂きましたけれども透水係数を安易に調整している、また許容限界を超えた過程の設定や調整方法が恣意的で方法論としては許容限界を超えているなどの意見が述べられています。この意見書に関して国土交通省や環境省から回答などはあったのでしょうか。お伺いをいたします。
 質問の二番目は、この水収支解析が信頼できないとすれば昨日の西原議員の質問の回答、あるいは今も少し触れられましたけれども対案をどうするのか、県としてはJRの水収支解析に対してどんな対案を申し出るのか、具体的な提案をしているのか、あるのかということを再度伺います。以上、再質問といたします。
○副議長(良知淳行君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) リニアに関する再質問にお答えいたします。
 まず、国土交通省や環境省から回答があったのかにつきましてです。
 もともと、国土交通省に提出いたします水収支解析についての考察につきましては回答をお願いしたものではございませんので、国土交通省からは回答は頂いておりません。ただしこの内容は有識者会議の委員の皆様にも共有されたというふうには伺っております。
 もう一つ環境省からは、南アルプス国立公園に指定されユネスコエコパークとしての利用を見込まれる当該地域の自然環境を保全することの重要性の認識は今も変わっておりませんと。有識者会議には環境省もオブザーバーとして参加しているところであり、今後の議論を見守っていくとの回答を頂いております。
 次に、水収支解析についての提案に関する再質問です。
 対話の初期の段階から昨日も難波副知事から御答弁申し上げましたとおりJR東海が環境予測のよりどころとしている水収支解析につきまして、トンネル湧水や地下水の動きを推定するには精度が低いのでこれをよりどころにするのはやめてほしいという内容の提案を何度もしてきたところでございます。今後は国の有識者会議においてリスク評価についての検討が進み、事業によって影響を与える側であるJR東海から県民の皆様が納得できるような説明を行っていただくような状況に至りましたら具体的な提案も行ってまいります。以上です。
○副議長(良知淳行君) 三十六番 東堂陽一君。
       (三十六番 東堂陽一君登壇)
○三十六番(東堂陽一君) 最後に、リニア中央新幹線整備による水量減少問題についての意見、要望を申し上げたいというふうに思います。
 水量減少問題は大丈夫という結論を早く得て住民の不安を早く解消したいと考えていますけれども、現在の有識者会議などの議論は同じところをぐるぐる回っているような印象を受けています。なかなか前に進まないように見えます。その原因の一つに議論をする上での資料の不足、資料の信頼性に問題があること、さらには公表されていない重要と考えられる資料が存在しているとの報道もありました。JR東海には資料をしっかりと公表していただいて、静岡県が提出している四十七項目の質問にしっかりと答えることが結局は早道だと思います。急がば回れだと思います。急いで回りながら住民が安心できる結論が少しでも早く得られることを期待しております。以上、要望、意見を申し上げまして私の質問を終わります。(拍手)
○副議長(良知淳行君) これで東堂陽一君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

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