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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

盛月 寿美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/27/2016

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 地方創生の取り組み
 (2) 産業成長戦略の取り組み
 (3) 有徳の人づくり
2 女性の活躍推進について
 (1) 県庁における女性の活躍推進
 (2) 企業における女性が働きやすい環境整備の支援
3 ふるさと納税のあり方について
4 環境政策について
 (1) 環境先進県としての取り組み
 (2) 富士山の外来植物対策
5 文化施設の魅力の発信について
6 健康福祉政策について
 (1) 不育症治療への支援
 (2) 新生児聴覚検査
 (3) 静岡県立こころの医療センターの機能の充実
 (4) 動物愛護の取り組み
7 清水港の利用促進について
8 行政職員の防災に対するスキルアップについて
9 静岡県埋蔵文化財センターの今後の展開について
10 特殊詐欺未然防止対策の推進について


○出 席 議 員(六十九名)

○欠 席 議 員(な  し)

○議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百八号から第百三十三号まで及び平成二十七年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、二十六番 盛月寿美君。
       (二十六番 盛月寿美君登壇 拍手)
○二十六番(盛月寿美君) 私は公明党静岡県議団を代表して県政の直面する諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式で質問いたします。
 最初に、知事の政治姿勢についてのうち、地方創生の取り組みについて伺います。
 人口減少、少子高齢化やグローバル化という大きな時代の流れの中で、本県は防災・減災、経済・雇用、医療・福祉の充実、出産・子育て支援、本県の成長を支える人づくり、観光振興など喫緊の課題を多く抱えています。
 こうした中、昨年十月に美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定され、県を挙げて地方創生に取り組んでいます。八月十日に美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生県民会議が開催され、私も傍聴させていただきました。各界を代表する委員の方々からは若い世代の女性の県外流出が激しいことに着目する声が多く上がりました。また少子化に歯どめをかけるには、男性の働き方を見直す必要があるといった意見や地元から県外大学への通学を促すような施策、県内に戻ってくることを条件とした返済不要の奨学金制度の創設を望む声もありました。
 九月七日から九日には地方創生推進特別委員会で島根県を訪れ、移住・定住促進策を初め地域活性化のための教育環境の整備の状況や産業振興、人材育成の取り組みを調査させていただきました。地方創生を確かなものにするためには、みずからの地域を客観的な視点で見詰め進むべき軌道を確認し力強く前進する、それが大事だと実感いたしました。
 地方創生は地域から広がっていくものであり、主役は県民一人一人です。そうした意味においても県は市町の取り組みと県全体での広域的な取り組みへの支援をしっかりと行うことが重要です。
 そこで、現時点までの取り組み内容をどう評価し、今後、人口減少克服、地方創生に向けてどのように取り組んでいく考えか、川勝県政二期目の総仕上げ段階に入るこのときに、地方創生に向けての知事の御決意を改めてお聞かせください。
 次に、産業成長戦略の取り組みについて伺います。
 政府は、希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障の実現を目的とする一億総活躍社会の実現に向けて取り組んでいます。去る八月二日には経済対策が閣議決定され、それを実行するための第二次補正予算の編成も進められています。経済対策では、長年続いたデフレからの完全脱却と着実な経済成長の道筋をつけ高齢化社会を乗り越えるための潜在成長力を向上させる構造改革を進めるとしており、子育て・介護の環境整備、ものづくり補助金など中小企業の経営力強化や生産性向上支援など公明党の主張が大きく反映されています。
 本県の経済状況を見ますと、製造品出荷額は平成十九年に過去最高となる十九・四兆円でありましたが、リーマンショックや円高の影響を受けて主要産業である輸送機器等が大きく減少し平成二十三年には十四・九兆円まで落ち込みました。近年は緩やかに回復しているとはいえ、経済成長を実感できるまでには至っていません。
 総合戦略では、産業の振興と雇用の創出を大きな柱の一つに掲げ平成二十七年二月に本県独自の産業成長戦略を策定し、本年二月にはこれに新たな施策を反映させて産業成長戦略二〇一六を策定しました。平成二十七年四月に産業成長戦略の実動組織として産業戦略推進センターオープンイノベーション静岡を設置し約一年半が経過しました。センターを中心に官民一体での各種施策が軌道に乗ってきたと思います。
 本県経済の力強い発展に向け、県が進める産業成長戦略の成果と課題、今後の取り組みについて伺います。
 次に、有徳の人づくりについて伺います。
 平成二十七年四月に施行された地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により昨年度静岡県総合教育会議が設置され、知事と教育委員会が連携し本県の教育施策の充実に取り組んでいます。さらに本県では、総合教育会議における協議をより社会全体の意見を反映したものにするため独自に地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会を設置し、さまざまな分野の有識者から御意見をいただく体制となっています。
 総合教育会議における協議の成果として、本年二月に策定されたふじのくに「有徳の人」づくり大綱が挙げられます。この大綱では、個人として自立し人とのかかわり合いを大切にしながらよりよい社会づくりに参画し行動する人を徳のある人、すなわち有徳の人と捉え、ふじのくにの未来を担う有徳の人を育成していくことを目標に掲げています。
 重点取り組み方針は、有徳の人づくりのために幼児期から大学、社会人までを見据えて家庭、学校、地域、行政など地域社会の大人が一丸となって社会総がかりで子供たちを育てるという決意のもと、八つの取り組みが示されています。大綱で示す教育の基本理念を県民一人一人が自分のものとして捉え、それぞれの立場で役割を自覚して積極的に有徳の人の育成に参画していけるようにするべきです。
 将来にわたって静岡に生まれ育ち住んで働いてよかったと県民が実感できる静岡県を実現するためには、全ての基盤である人づくりにおいて教育が担う役割は大きいと思います。知事は総合計画の実現に向けて前倒しで進めるという意欲で取り組んでおられます。教育・人づくりに係る取り組みについてもぜひ前倒しで進めていただきたいと思います。
 そこで、知事はこの大綱を実践し有徳の人づくりをさらに進めていくための取り組みを今後どのように展開していかれるのか伺います。
 次に、女性の活躍推進について伺います。
 平成二十七年の労働力調査によれば、生産年齢人口における女性の就業率が六四・六%と過去最高となりました。人口減少、少子高齢化が進み全体の労働力人口が減少している社会において、今後ますます女性の活躍が期待されます。女性が安心して子供を産み育て、そして働き続けられる、そう実感できる社会が構築されれば今の社会の流れが変わるのではないでしょうか。しかし実際には第一子出産を機に約六割の女性が離職するなど女性が十分に活躍できているとは言えないのが現状です。
 本年四月に施行された女性活躍推進法は、国や地方公共団体及び民間事業主のそれぞれの責務を定め女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し豊かで活力ある社会を実現することを目的としています。女性が持てる力を十分に発揮し活躍できる静岡県にしていくため、二点伺います。
 初めに、県庁における女性の活躍推進について伺います。
 平成二十八年三月に改定されたふじのくにワーク・ライフ・バランス推進計画は、女性があらゆる分野で活躍できる環境づくりを通じて、男女を問わず職員がその個性と能力を十分に発揮できるよう支援するための行動計画となっています。県では推進法の施行を受け女性職員の活躍に向けた取り組みを計画に盛り込みました。育児休暇制度の充実や乳幼児一時預かり施設の設置など県庁内における女性が働きやすい職場づくりに向けた取り組みも進めています。
 現在、本県職員の男女の構成比は男性職員六九・八%、女性職員が三〇・二%、管理職における女性職員の比率は本年四月時点で九・一%となっています。静岡県行政改革大綱に掲げられた平成三十年四月までに女性管理職の割合を一〇%にするという目標は、国が社会のあらゆる分野において二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度にするというのに比べると低い目標と感じますが、確実に達成できるよう取り組んでいただきたいと思います。
 女性が活躍していくための経験を積み、能力を最大限に発揮できる環境づくりが必要と考えますが、県庁における女性の活躍推進について県は具体的にどう取り組んでいくのか伺います。
 次に、企業における女性が働きやすい環境整備の支援について伺います。
 女性の活躍が社会を変革するための推進力として期待されている今こそ、企業は経営戦略として女性の活躍促進に取り組んでいく必要があります。推進法では従業員三百一人以上の企業には行動計画の策定や情報公開が義務づけられ、女性の働く環境の見える化が求められています。企業の取り組みを支援し官民一体となって女性の採用や昇進の機会をふやし仕事と子育ての両立など働きやすい環境整備を進めることが県に求められています。
 福井県では、女性の活躍を推進する企業の登録制度を創設し、行動計画を策定した企業が県の中小企業育成資金の融資制度を利用する場合保証料を県が補給するなど官民が連携した取り組みも見られます。企業の計画策定を支援する意味においても本県における今後の取り組みの参考になるのではないでしょうか。
 本県において女性が働きやすいと実感できる企業をふやすことは、女性の離職防止だけでなく若い女性の県外流出に歯どめをかけ、県外に進学した女性のUターン就職など人材の確保にもつながります。県としては企業が女性の活躍を加速化させることができるように法律の目指すところの意義を周知し女性が働きやすい環境づくりを促していく必要があります。女性の活躍推進に取り組む企業を県内外に情報発信していくことも大事な支援であると考えます。
 そこで、企業における女性が働きやすい環境整備の支援のため県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、ふるさと納税のあり方について伺います。
 ふるさとや応援したい自治体に寄附ができるふるさと納税への関心が高まっています。総務省によりますと平成二十七年度に全国の自治体が受け取った寄附額は前年度の三百八十九億円の四倍を上回る一千六百五十三億円となりました。県内の市町においても顕著な伸びを見せており、特に焼津市は三十八億円の寄附を受け全国二位の寄附額でした。本県は二千五百万円と金額は多くはありませんがやはり毎年寄附額は伸びています。全国的に見るとふるさと納税寄附額の上位はその返礼品が注目を集めた自治体が多く、返礼品の豪華さを競い合ってアピールしている傾向があるように感じます。
 一方、寄附金を活用して特色ある取り組みを進める自治体がふえています。例えば兵庫県は使い道を具体的に子犬子猫の飼い主捜しプロジェクト、小児筋電義手バンクへの応援プロジェクト、児童養護施設や里親のもとで育つ子ども応援プロジェクトなどの応援メニューとして発信しています。
 本県においては、芸術・文化の振興、観光振興の推進、安心の健康福祉の実現などの九項目ですが、寄附金が何に使われるのか、実際に何に使われたのか、通常の予算の中で実施している事業との違いなどがわかりません。もっと個性的で魅力的な使い道を用意し、使途を明確に寄附金があったからできたという特色ある取り組みをしていくべきではないでしょうか。寄附は行政の手が届かない社会課題の解決に向けた活動を支える方法の一つであり、寄附者にとっては思いを託すことで社会貢献に参加できるといった意義があります。
 ふるさと納税の納税先に選んでもらうにふさわしい地域となるよう、使い道について見直すなど静岡県らしさを全国の方に伝える工夫が必要と考えますが、県の所見を伺います。
 次に、環境政策についてのうち、初めに環境先進県としての取り組みについて伺います。
 自然環境は、一度壊したらその修復は極めて困難であり、自然の恵みの中で暮らしている私たちは地球規模で起きている環境問題から目を離すことができなくなっています。ことしも既に多くの台風が発生、上陸し、全国各地で水の被害、土砂災害による人的被害や家屋の流出などの被害をもたらしています。異常気象による環境変化が生命財産への脅威となって迫っています。国際的な環境に関する会議であるCOP21では、都市・自治体みずからの気候アクションのアピール、自治体リーダー四百人以上が集結して首長による気候サミットの開催など非国家主体である自治体への期待が高まっています。少し前のデータになりますが、地球温暖化対策実行計画で基準年度となる平成十七年度と比較して平成二十五年度の静岡県の最終エネルギー消費量の削減率が全国一位であったことは、環境先進県として日本をリードし国際社会にアピールできる潜在力のあらわれであると考えます。
 本県においては、東日本大震災やさまざまな社会環境の変化を踏まえ本年三月に環境基本計画の見直しを行い、環境に関する情報発信の強化、環境教育を提供できる人材の育成など低炭素社会、循環型社会に向け進み始めました。本県は多様な自然環境に恵まれていることから都市や農山漁村など多様な環境と知恵を有し世界に環境対策のモデルを発信できる力があると考えます。基本計画の実効性を担保するためには環境への取り組みがビジネスとして成立するシステムを構築しなくてはなりません。民間企業の環境技術やノウハウの環境技術会議などの開催や本県の友好都市、地域外交でつながりのある地域への環境技術の提供など具体的な成果へと結びつけていくことが必要ではないでしょうか。また人づくりの面でもCOPなどの国際会議へ高校生、大学生、職員などを派遣し世界の環境への取り組みを肌で感じることができる機会の提供も必要と考えます。
 環境先進県として世界から認められるような取り組みを今後どのように推進していくのか、県の考えを伺います。
 次に、富士山の外来植物対策について伺います。
 世界の宝である富士山を守り未来へと引き継いでいくことがふじのくにである本県の使命であり誇りでもあります。平成二十五年六月の富士山の世界文化遺産への登録を機に利用者の増大による自然環境への影響が懸念された中、平成二十五年から昨年までの登山者数は毎年減少していましたが、さきに環境省が公表した本年七月及び八月の登山者数は富士山全体では四年ぶりに増加に転じました。改めて自然環境に対する人為的な影響が懸念されています。
 平成二十六年度から二十七年度にかけて行われた県の外来植物調査によりますと、富士山の周遊観光等の圏域を超えた交流の拡大を背景に、生態系へ被害を及ぼすことから移動等が規制されている特定外来生物は確認されなかったものの悪影響を及ぼす可能性のある重点対策外来種に位置づけられたセイヨウタンポポなどが多数確認されました。外来植物は繁殖力が強いものが多く在来の植物を駆逐する被害が懸念される中、広い範囲で繁茂することによる景観への影響も心配されます。
 石川県、岐阜県、福井県にまたがる白山国立公園では、近年の登山者の増加等に伴い外来植物の分布が高山帯へ拡大するなど全国的にも問題となっています。富士山の普遍的な価値を高め保存していくためには本来の富士山の姿を守らなければなりません。富士山にとっても外来植物は非常に脅威となるものであり、一刻も早い対応が求められます。
 そこで、県として富士山の外来植物問題にどう取り組むのか所見を伺います。
 次に、文化施設の魅力の発信について伺います。
 いよいよ来年秋、待望の富士山世界遺産センター――仮称――が完成します。富士山の普遍的価値を次世代に継承し観光、学術、芸術など富士山を通じた交流の拠点として、また富士山の調査研究を進め学術的知見を深め富士山学を体系化する拠点として期待が寄せられています。県立美術館や本年三月にオープンしたふじのくに地球環境史ミュージアムなど本県の文化施設の多くはコンセプトの中心に富士山を置き、富士山とともに築かれた風土や歴史的、文化的資料の保存や展示が行われています。
 四年後の東京オリンピック・パラリンピックでは、国内外から多くのお客様を観光施設はもとより本県のすばらしい文化の発信拠点となる文化施設にもお迎えすることが重要と考えます。先月会派で視察した北海道立博物館は平成二十四年度の来館者五万三千人、外国人一千七百十四人であったところリニューアルオープンした昨年度は十五万人と三倍にふえ、外国人も二倍増の三千人、ことしは八月時点で既に五万六千人、外国人は一千七百人に上りリピーターもふえているとのことでした。外国人の増加はポケット学芸員というガイドアプリを導入したことが大きな要因と伺いました。これは選択した言語で施設概要や展示内容一つ一つ説明が自分のスマホに表示されるものです。施設内だけでなく離れてからも繰り返し閲覧ができ、また行ってみたいなと思わせることもガイドアプリの効果です。アプリやSNSの活用は若者や外国人を初め多くの方が情報収集のツールとして必須の時代となりました。
 本県の文化施設の魅力を多くの方に知っていただくためには、アプリの活用やWiFiの整備を初め時代に則した情報発信を積極的に行っていくべきと考えますが、今後の県の取り組みを伺います。
 次に、健康福祉政策についてのうち、初めに不育症治療への支援について伺います。
 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」によると、二〇一〇年から二〇四〇年にかけて出産の可能性が比較的高い年代である二十歳から三十九歳の女性人口は四十七都道府県全てで減少すると見られています。一方で晩婚化を背景として不妊で悩む夫婦の数、不妊治療を選択する夫婦の数は年々ふえています。こうした状況において安心して子供を産み育てられる環境整備を進め、同時に妊娠・出産に向けた健康づくりに関する啓発や不妊に悩む方々への支援が大変重要です。
 妊娠は可能でも二回以上の流産、死産あるいは早期新生児死亡の既往症、いわゆる不育症の患者は、厚生労働省研究班の調査では国内に百四十万人いると推計されています。不育症は早期に適切な治療や相談を受ければ八割の方が出産に結びつくという結果が出ておりますが、授かった命を失った経験は心に大きな傷となってしまうことや検査や治療には保険適用外のものもあり、精神的負担と経済的な負担が大きいのが現状です。平成二十四年度から厚生労働省は自治体が相談員を配置する場合国が費用の半分を補助しています。また全国的には不妊治療と不育症治療の両方を助成する自治体もふえてきています。
 本県は、平成二十四年度に不妊・不育専門相談センターを設置しきめ細かな相談体制を整え、さらに不育症について県内の実態調査も進めてきました。今後は検査や治療に係る経済的な負担を軽減し、安心して治療を受けられる環境を整えることが必要と考えます。
 そこで県は、不育症治療への支援について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 また、現在県内では九つの市が独自に治療費助成制度を設けていますが、県内の全ての市町を支援するため県として不育症治療費の助成制度を創設すべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、新生児聴覚検査について伺います。
 聴覚障害は、早期に発見され適切な支援が行われた場合には聴覚障害による音声言語発達等への影響が最小限に抑えられることから、早期発見、早期療育を図るために全ての新生児を対象として聴覚検査を実施することが重要です。国立成育医療研究センターの守本倫子耳鼻咽喉科医長は、検査を受けた子供は早期療育に至る確率が受けていない子供より二十倍も高くなりコミュニケーション能力は三倍以上も上昇するという研究結果が出ている、人とのコミュニケーションは孤立を防ぎ、その後の人生を大きく左右するとおっしゃっています。
 本県の昨年度の検査実施率は八二%で、検査費用については国が地方交付税措置をしておりますが、県内三十五市町のうち公費助成を行っている市町は一つもありません。検査を受けられない子供たちがいる実態を踏まえ、原因を把握し対策を講じる必要があります。先日県立総合病院副院長の高木明先生からお話を聞いたところ、検査を行う医療機関数に地域差があると伺いました。これも要因の一つと考えられます。県は市町に対し新生児聴覚検査について地方交付税措置がされていることの周知啓発を行い、公費助成を導入し受診を促すことと医療機関の体制を整備する対応を行い検査実施率一〇〇%を目指して取り組むべきと考えます。
 難聴は、早期に適切な支援がなされれば唯一先天性の障害の中で治る病気で、一歳前後での人工内耳手術をしてその後適切に耳の訓練を行うことが重要とお聞きしました。子供たちの可能性を無限に広げるために治療後の適切な療育、教育の環境を整えることが大人の責務です。特別支援教育の現場で人工内耳を想定した教育のあり方を教育委員会と連携して検討していくことも重要だと考えます。
 新生児聴覚検査の実施率向上に向けて、県はどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、静岡県立こころの医療センターの機能の充実について伺います。
 厚生労働省の統計である患者調査によると、鬱病等で精神及び行動に障害のある患者が平成二十六年には全国で三百十七万五千人に上ると推計されています。本県の推計患者も平成十一年の四万人から平成二十六年には二・二三倍の八万九千人と急激な増加を示し深刻な状態です。心の病を持つ方々に適切な医療を提供し一日も早い回復を図っていくことは重要な課題であると考えます。
 本県の精神科医療において中核的な役割を担っているのが、本年で設立六十周年の節目を迎える静岡県立こころの医療センターです。平成二十一年からは地方独立行政法人静岡県立病院機構による運営に移行し、引き続き高度な医療を提供することはもとより、県内唯一の医療観察法指定入院医療機関の指定を受け罪を犯した精神障害者に対する医療を提供してきた一方、患者・家族への支援のため電話での相談を受けるよろず相談センターを開設するなど本県の精神科医療に大きく貢献しています。
 先日、同センターを訪問しました。地域では精神科や心療内科の診療所がふえているが、よろず相談への相談がふえているとのお話や、病院での治療に加え訪問看護を行い日々献身的に患者さんや御家族に接しておられる医師や看護師の方の姿に触れることができました。今後も県内精神科医療の中核施設として静岡県立こころの医療センターが民間病院では担えない大きな役割を果たしていくためにはさらなる機能の充実強化を図る必要があると実感しました。
 そこで、県民の期待に応えるため静岡県立こころの医療センターに対して今後どのように機能充実が図られるよう支援していくのか、県の所見を伺います。
 次に、動物愛護の取り組みについて伺います。
 七月、静岡県動物管理指導センターを訪問しました。駐車場に車をとめて外に出た瞬間とても胸騒ぎがして息苦しくなりました。その日、犬の火葬が行われているところだったのです。このセンターが殺処分をする施設であってほしくないと心の底から思いました。
 平成二十六年度に全国で犬や猫が殺処分された頭数は十万一千三百三十八頭、本県では平成二十七年度は一千九百三十九頭でした。
 本県では、人と動物とが共生する社会の実現を目指し動物愛護管理推進計画を策定し、動物愛護団体と連携して犬や猫の譲渡会の開催や県ホームページに迷い犬情報を提供して飼い主を探すなどの取り組みを行い、犬猫の殺処分頭数を減らす努力をしています。この計画では平成三十五年度までに二千五百頭以下にする目標ですので現状の数字を見れば前倒しで達成できる見込みのようですが、やはり目標はゼロを目指して取り組むべきと強く思います。
 先月、昨年度殺処分ゼロを実現した神奈川県の動物保護センターを訪問しました。殺処分をさせないという強い思いで職員、ボランティア団体等の関係の方々が一丸となって取り組んだ結果、ゼロを実現できたと伺いました。このセンターでは定期的に犬や猫の譲渡で大きな力となっているボランティアの方々と意見交換の場を持って連携を密にしているとのことでした。
 本県も県内五カ所でボランティア団体との意見交換会を開催しておりますが、さらに活動を前進させるために、例えば動物愛護団体連絡協議会を設置し協力体制を深めていったらどうでしょうか。
 また、静岡県動物管理指導センターは、浜松市の市街地から遠い場所にあり、かなり老朽化が進んでいます。災害時には被災ペットを受け入れる拠点にもなる施設でありますが、それを担うにはさらなる整備が必要と考えます。
 動物愛護の機運が高まっている今こそ、動物の殺処分から保護、譲渡への完全な転換を図り、センターを動物愛護への県民の関心を高める拠点として再整備をしたらどうかと考えます。犬や猫の譲渡施設としての機能充実や動物愛護教室などを開き愛好者や家族連れ、多くの人たちが憩える場所として、例えば富士山を望める場所に移転することも検討されてはどうでしょうか。
 本県の動物との共生社会の実現に向け、殺処分ゼロに向けた取り組みとセンターの再整備に対する県の所見を伺います。
 次に、清水港の利用促進について伺います。
 日本でも有数の国際拠点港湾である清水港は、県内産業の物流拠点としてものづくり県である本県産業の発展に重要な役割を果たしています。平成二十年の世界同時不況の影響で取扱貨物量が落ち込みましたが現在はほぼ横ばい状況で推移しており、特に平成二十五年十月から新興津国際海上コンテナターミナル第二バースが供用開始されたことの効果もあり、平成二十六年、二十七年のコンテナ取扱量は五十万TEUを超え全国順位は八位となっています。
 また、清水港は世界遺産富士山を眺望でき周辺の施設や企業が統一した色彩の日本屈指の美しい港です。清水港・みなと色彩計画推進協議会の二十五周年記念の行事が九月三日に開催され出席させていただきました。来賓で挨拶に立たれた難波副知事は、現在県が進めている防潮堤の新設やかさ上げ等の津波対策を紹介され、景観に配慮して取り組むことはもちろん清水港は物流、産業活動を支える中心としてまだまだ大きく発展できるポテンシャルがあると語られました。清水港の物流機能の強化、美しい景観を守りながら人々の交流する憩いとにぎわいの空間をつくり上げていくことが地域経済の発展に欠かせないと実感しています。
 さて、本年二月議会の本会議で物流を核とした新たな地域づくりについて取り上げたところ、知事は平成二十八年十月から清水港と大分港との間で貨物を積んだトラックなどをそのまま運ぶことのできるRORO船が新たに就航する予定であると答弁されました。平成二十九年度に開通が見込まれていた中部横断自動車道は残念ながら事業のおくれが懸念されますが、このたびのRORO船の新規航路開設は広域的な物流拠点としてのポテンシャルをさらに高める契機となることは間違いありません。既に御前崎港に就航しているRORO船の関東、九州航路との相乗効果など駿河湾港の港湾利用にも好影響が期待できるものと考えています。
 そこで、今回のRORO船定期航路開設を踏まえた清水港の利用促進の取り組み状況と今後の方向性について伺います。
 次に、行政職員の防災に対するスキルアップについて伺います。
 八月四日、五日に熊本県で行われた全国防災士会地方議員連絡会が主催する研修に参加し、熊本地震発災直後の対応などをお聞きする貴重な機会を得ました。特に印象に残ったことは避難所の運営や現場対応が行政任せであり、本来運営を担うべき自主防災組織との連携がうまく機能しなかったということでした。
 熊本地震では、熊本県内の五つの市町の庁舎が損壊し緊急に対応すべき応急対策業務が停滞するとともに、行政機能そのものが大きく低下しました。業務継続計画――BCP――を策定していなかった市町村では職員が物資の仕分けや避難所の運営、瓦れきの除去など目の前の仕事に追われてしまった結果、被害状況の調査や罹災証明の発行等の本来業務が滞ったことが大きな課題とされました。災害からの復旧・復興を迅速かつ円滑に進めていく上でも、自治体のBCPで優先的に実施すべき業務などを事前に定めておくことの重要性を再認識しました。
 本県においては、既にBCPが策定され、職員それぞれが発災後にとるべき行動を明確にし、年間を通じて総合防災訓練を初めとしたさまざまな訓練を実施し、危機管理対応能力の向上を図っていると思います。今回の熊本地震の教訓から既存の訓練に加えBCPにのっとった訓練または研修を行っていくことが大変重要と考えますが、県の所見を伺います。
 また、地震発生の危機に直面したとき、迅速的確に対応できるかどうかが災害対応の成否に大きくかかわってきます。地域住民以上に県職員は発災直後から復旧・復興への具体的なイメージを想定し対応できるようにするとともに、行政職員として果たすべき役割を遂行できるようにしておくことが重要です。日常からさらなるスキルアップを目指し確実に県民の命と生活を守る最前線に立てる人材に育成すべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、静岡県埋蔵文化財センターの今後の展開について伺います。
 静岡県は本州のほぼ中央に位置し、古くから陸・海の交通の要衝として我が国の歴史と文化の発展に大きな役割を果たしてきました。その様相を伝えるふじのくにの文化財――宝を守り、育て、つなげるために現在静岡市駿河区に所在する静岡県埋蔵文化財センターを拠点として埋蔵文化財の発掘調査と記録保存調査、出土文化財の保管、整理、展示等が行われてきました。
 施設や設備の老朽化や出土遺物が六カ所に分散保管されている等の現状を踏まえ、十月、旧県立庵原高校跡地に静岡県埋蔵文化財センターがリニューアルオープンします。リニューアルされるセンターには展示のためのスペースが新たに整備されることになり、収蔵物の積極的な公開や活用が図られ充実した活動が展開されるものと期待しています。
 埋蔵文化財は、地域の豊かな歴史と文化を今に伝える貴重な財産であり、歴史や文化を学習するための資源としても丁寧に保存し次世代に継承すべきものです。私は今回のリニューアルを機に、本県の宝であるこれら歴史資産についてもっと内外にPRし観光や地域振興にも積極的に活用すべきと考えます。同時に県民の関心を高め、県民を巻き込んで本県の文化財行政を盛り上げていく絶好のチャンスだと思っています。
 そこで、静岡県埋蔵文化財センターにおいて本県の歴史資産である出土文化財について情報発信し積極的に活用していくため、今後どのような取り組みを展開していくのか教育長に伺います。
 最後に、特殊詐欺未然防止対策の推進について伺います。
 平成二十八年八月末における本県の特殊詐欺被害は、認知件数が二百三十六件、被害額は約五億九千万円といずれも昨年を二〇%上回り被害の増加に歯どめがかからない状況にあります。八月に着任された筋警察本部長は着任の記者会見において県警察が取り組むべき課題の一つとして特殊詐欺対策を挙げられました。
 県警察は、金融機関と連携して預金小切手の活用により水際で被害の防止を図る、いわゆる預手プランを全国に先駆けて導入し、平成二十七年にはこれまで増加し続けてきた特殊詐欺被害を減少に転じさせることができました。戸別訪問、ATMへの警戒、振り込め詐欺撲滅指導員制度の創設など官民が連携した被害防止に向けた取り組みにも力を入れています。しかしこうした取り組みにもかかわらず被害が拡大しているのが現状です。
 金融機関の協力で預手プランで多くの被害を防止できているのは確かですが、金融機関に足を運んでいるときには既にだまされている状況です。私は犯人側が被害者に最初のアプローチとなる詐欺電話、この入り口段階で犯人側からの接点を遮断することが多くの高齢者の被害防止につながると繰り返し対策の必要性を申し上げてきました。
 県警察では、平成二十六年十月から藤枝市をモデル地域に定め詐欺電話対策の一環として詐欺電話防止機器の実証実験を進めてきています。また三千台近い警告機能つき自動録音機を住民に配付した御殿場市玉穂地区、希望者に詐欺電話防止機器の貸し出しを始めた焼津市など一部の地域で取り組みが見られますが、県内どの地域でも詐欺電話防止対策が講じられるべきであると考えます。
 そこで、県警察が行っている詐欺電話防止機器の実証実験でどのような結果が出ているのか、またその結果を踏まえ、今後どのように特殊詐欺未然防止対策を進めていくのか警察本部長に伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 盛月議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、地方創生の取り組みについてであります。
 議員御指摘のとおり、昨年度美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定いたしました。目的は県民の暮らしをよくすることでございます。そこで安全・安心、仕事、暮らし、子育て、地域づくりの五つの柱を立てまして、それにかかわる施策を掲げました。
 また、県民の皆様のお声を聞かねばなりません。現場主義に徹しまして市町や各界各層の皆様に御参画いただく県民会議、地域会議等を通じ地方創生の主役を担う市町等の連携や広域的な施策展開に全力で取り組んでいるところであります。
 特に、若い世代への結婚、出産、子育ての各ステージにおけるきめ細かな支援や元気な高齢者がはつらつと活躍できる環境の整備、障害のある人も外国人県民も誰もが能力を発揮し活躍できる社会の形成など人を大切に人が生きる地方創生に沿った施策を実行しているところであります。
 また、本県では後期アクションの重点取り組みに人口減少社会への挑戦を掲げ、国に先駆けて地方創生にオール静岡で全力を傾注して取り組んでまいったところであります。その成果が次々と顕在化いたしまして今や世界的評価を受ける地域資源、人材が、富士山が世界文化遺産になった三年余り前から去る八月まで三十八件、今月まで既に三十九件にも上っております。まさに世界に羽ばたくふじのくにの立ち姿があらわれてきたものというように評価をしておるところであります。
 昨年の七月に公明党静岡県議団を代表して前林先生のほうから、そこに住む県民の幸福度が最大化されることが静岡版地方創生であると考えるという御見識をいただいております。そのとおりであると存じます。私は、真の地方創生の実現には県民一人一人が物心ともに豊かに暮らすことができる環境を整備することだと思います。
 では、物心ともに豊かというのはどういうことでしょうか。常に物が足りないと思う、あるいは常にお金が足りないと思うと、もっとお金が欲しい、もっと物が欲しいというのは心に渇望感があるわけですから、したがって心が必ずしも豊かとはいえません。しかし心の豊かさというのは無限なものがあります。物やお金には限度があると思います。したがってどこかで足るを知るということが大切で、自分が生きていく上にどれくらいの物が必要か、どれくらいのお金が必要かということは常に問わなければ物心ともにバランスのとれた豊かさというものを達成できないというふうに存じます。
 そうした、それぞれ個々のライフスタイルというものがございますから、多様なライフスタイルが実現できる暮らし、満足度の高い地域づくりを進めることが重要であると考えております。今後とも県議会や県民の皆様と手を携えて静岡県が日本の地方創生の先導役を担うのであるという気概と使命感とを持って、これまで以上に本県の中心力といいますか、中心性を高め、全国の範となる取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 国土の象徴、国土の統合のシンボルである富士山を擁し日本を代表する豊かな自然や文化に満ちあふれた本県でございますので、この地こそアメリカンドリーム、あるいはチャイナドリームにかわるジャパニーズドリームと、世界から海外から憧れを呼ぶ県民誰もが幸せを享受できる理想郷を築くべく全力で邁進してまいります。
 次に、産業成長戦略の取り組みについてであります。
 何といいましても、人が働くところがなければなりません。有効求人倍率は私が知事に就任しました平成二十一年九月には〇・四を切りました。その年全体で〇・四ぐらいだったわけです。今は一・四弱にまで回復いたしまして人が足りないという状況になっております。しかしながらミスマッチというのもございまして、また新しい成長産業というものも出てきております。
 そうした観点で産業成長戦略を着実に実行していきたいと思っておりますが、官民共同で運営する産業戦略推進センターオープンイノベーション静岡を設置いたしまして、毎月アドバイザリーボードを御開催いただき地域企業の事業活動を集中的に支援しているところであります。そこでは現場主義を基本にしていただき、市町とも連携して年間二百社を超える地域企業を訪問しています。これら地域企業の中から県内経済の牽引役として大きく飛躍することが期待される企業の経営者に対して、目ききの役割を担うアドバイザーの方々から新規事業や販路拡大について具体的なアドバイスを頂戴しているのであります。
 これまで助言を受けた地域企業では、マーケットインの考え方を踏まえた新製品の開発や経営戦略の再構築への取り組みがふえるなど成果が出てきております。また企業訪問やアドバイザリーボードでの議論を通じて県内企業の抱えている現場の生の声を聞くことができ、これを政策に生かしてまいろうと考えております。
 次世代産業の創出を図るクラスタープロジェクトでは、海外との連携が大きなテーマとなっております。ファルマバレーでは今月一日に新拠点、静岡県医療健康産業研究開発センター――愛称はファルマバレーセンターでございますが――これが全体開所をいたしました。春に部分開所したのでありますが、全体、全てがオープンになりました。見違えるような姿になりました。前の長泉高等学校を知ってらっしゃる方が行かれますと驚くほど美しいセンターに生まれ変わっております。そこにテルモ株式会社、東海部品工業株式会社など入居した企業十二社の多くがこの拠点を足場に世界展開を進めていきたいという決意を表明されておりますし、その熱気たるやすごいものがあります。
 また、フーズ・サイエンスヒルズ、これは静岡のこのど真ん中でございますが、ことし二月に韓国の国家食品クラスター、フードポリスと連携のための覚書が締結されまして、さらに台湾トップの研究所、台湾工業技術研究院と県内企業との間で機能性食品等の研究開発に向けたビジネスマッチングが今進行中であります。
 さらに、今後のものづくりにおいて重要である新素材やIT技術についても力を入れております。新素材ではセルロースナノファイバー――CNFに着目いたしまして、地域企業により新たな製品開発などを企業局の力も生かして進めております。既に島根県では年間三十億円の製品をこれからCNFでつくっていくということでございますので、私たちも負けてはいられないという思いでございます。
 現在、民間企業など百五十社が参加する静岡県IoT活用研究会は、先月県内中小企業が実際にIoTを導入するための実践セミナーを開催したところであります。今後の県内産業の成長におきましては人材の確保や育成が喫緊の課題でございますことから、本県ならではの人材確保、人材育成施策を示す産業人材確保育成プラン――仮称でございますが――これを新たに策定することとし関連予算案を今議会にお諮りしております。
 県といたしましては、リーマンショックや東日本大震災の影響から回復基調にある静岡県の経済をさらに発展基調に乗せるため、現場の声を聞き官民一体となって新産業の創出や生産性の向上、人材の確保、人材の育成などの施策に全力を尽くして取り組んでまいります。
 次に、有徳の人づくりであります。
 私は、知事に就任して以来一貫して富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを進めてまいりましたが、その礎は何といいましても人材です。その人材を育成するための柱は言うまでもなく教育であります。ふじのくににおける教育の基本理念は、霊峰富士山の姿のように気品をたたえ、調和した人格を持った有徳の人の育成であります。学校だけでなく家庭、地域、職場が連携し、地域総ぐるみ、社会総がかかりで有徳の人づくりに取り組むことが大切です。
 文武芸三道鼎立というのは、知的なものだけに偏らない、あるいはスポーツだけできてもだめですよということで、これはそれぞれ文というのは知性が高いということが求められます。武というのはスポーツで、身体が強健であるということが求められます。そして芸術は感性が豊かであるということで、知は高く、情けは深く、意は強くと、心を磨き、身を鍛ふべしという詠み人知らずの歌がございますけれども、こういう知性も感性も、そしてやる気、意欲、意志、こうしたものを鍛えなければなかなかに人から尊敬される有徳な人になることができません。
 そこで、本年二月に策定いたしましたふじのくに「有徳の人」づくり大綱では、有徳の人の育成に向け確かな学力の育成、教職員及び高校生の国際化の推進、地域人材の活用、高等教育の充実など八つの重点取り組み事項を掲げ実践を図っていくこととしております。
 このうち、確かな学力の育成につきましては、静岡式三十五人学級編制として国に先駆けた少人数学級編制を小中学校の全学年で実現、既にしておりますが、それはきめ細かな学習指導が実現できるようにとの思いからでございます。
 教職員及び高校生の国際化の推進につきましては、総合教育会議での議論を踏まえまして今年度からふじのくにグローバル人材育成基金を活用した教員及び高校生の海外渡航への支援に取り組んでおります。そのほか新たに台湾への教育力を促進するための事業経費について今議会の補正予算案に計上したところであります。このふじのくにグローバル人材育成基金につきましては教育長――木苗先生、あるいは地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会の委員長の矢野さんなどが相当に尽力していただいて、しかるべく基金が積み重なっているところであります。
 また、地域人材の活用につきましては、スポーツ分野において学校等に指導者を派遣できるよう新たに人材バンクを構築するとともに、磐田市をモデル地域として地元企業などと連携した地域スポーツクラブを設置するなど社会総がかりによる支援に取り組んでおります。
 さらに、高等教育の充実につきましても、県立大学における観光人材の育成やふじのくに地域・大学コンソーシアムが行う海外留学促進の取り組みに対する支援などについて前倒しで実施するべく同じく補正予算をお諮りしているところでございます。
 先ほど、総合教育会議あるいは地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会というふうに言いましたけれども、総合教育会議は国の法律によりまして首長が出席をし御一緒に議論をして教育の方針を決めて、またそれを実施していくというものでありますが、その総合教育会議に出席する首長が教育の中立性、安定性あるいは継続性にもとるようなことをしてはいけないと、そのために社会総がかり、地域総ぐるみを体現するようなものとしてこの地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会というのがあります。ここでは委員長が民間人である、民間人としての経歴の長い矢野さんがなっていただいて、そこには芸術家やスポーツ関係や農業経営士あるいは水産の方、さまざまな方が入っていただいておりまして、それを私は体現して総合教育会議に出るということを通しまして、教育における中立性ということをしっかり保ちつつ全体の意見が教育委員会に反映されるようにと、しかしそれを今度はまた社会に還元していかねばなりませんし、皆様方の御協力がなければできないわけでございます。
 私は、この総合教育会議で議論を深めて速やかに具現化を図ることを通しまして、大綱に掲げる富士山を擁するこの豊かな大地によく人材が集い、この大地からすぐれた人材が輩出するふじのくにの実現に邁進してまいろうと考えております。
 次に、環境政策についてのうち、環境先進県としての取り組みについてであります。
 静岡県は、平成二十五年度の最終エネルギー消費量の削減率が平成十七年度と比較して約一七%であることや、中小企業向け環境マネジメントシステムエコアクション21の認証件数が平成二十七年度末で九百六十件と、ともに全国一位であります。まさに日本をリードする環境先進県であるものと自負しているところであります。環境というのは目に見えるものでありますから、したがって環境先進県であるということは美しい景観を持つ景観先進県であるということが伴うものでございます。
 さて、既に友好提携している中国浙江省とは、平成二十二年に環境分野における友好協力協定を締結いたしました。それに基づきましてこれまでに両県省職員の交流や育成などに取り組んでいるところです。ことし十一月には杭州市――きへんの「くいしゅう」――杭州市において環境ビジネスをテーマとしてフォーラムの開催を予定しておりまして、両県省における通商の拡大を目指してまいります。
 さらに、大気や水質の改善、廃棄物処理などの環境対策の需要が拡大しております東南アジアをターゲットに海外進出に意欲のある県内企業への個別コンサルティングを行うなど静岡県のすぐれた環境技術を海外にビジネス展開してまいります。
 人材育成につきましては、友好協定を締結したモンゴル国ドルノゴビ県とは平成二十四年度から水環境の交流に関する交流事業として上下水道や水環境にかかわる現地調査を実施しておりますが、そのことがモンゴル国政府の目にとまりまして全県からその模様について学びたいという動きがあったことは既に村松交通基盤部長から御報告したとおりでございますが、現在では下水道の運営や技術力の向上のため県職員の現地派遣や現地技術者の受け入れ研修をも実施して技術支援を進めているところであります。
 また、若い世代におきましては、ハワイなどの海外とのこども環境大使の相互派遣や日中韓三カ国環境ユースフォーラムなどの国際イベントを通じて地球レベルで環境問題を考える機会の提供にも努めております。
 ことし四月に日本平で日中韓三カ国環境大臣会議が開催されました。時の環境大臣は丸川さんでしたけれども、日中韓三カ国環境大臣会合が開催されるに当たりましては本県の元環境大臣望月義夫先生の御尽力によるところが多大でございました。この大臣会合に望月先生も御出席になりまして、燃料電池を活用した全国初のマンション内のスマートコミュニティーシステムや富士山麓の地下水が持つエネルギーによる熱交換システムなどの先進的な環境技術のほか、本県の美しく恵み豊かな自然環境、景観などの魅力を国内外に情報発信したところであります。
 かつて、この県議会で議員でいらした望月先生が質問し、時の斉藤知事が清水港のところに火力発電所をつくると、その玄関口にかまどをつくるとは何事かと答弁された。そうしたエピソードが残っております。環境、景観を大事にされるという望月義夫先生の姿勢が示されたその帰結がこの大臣会合だったと思いますが、隔世の感を覚えます。
 県といたしましては、パリ協定が目指す持続可能な社会の実現の一助となるよう本県の先進的な環境技術に一層の磨きをかけ、グローバルな視点を持つ人材の育成に積極的に取り組み、世界に誇れる、そして美しい景観を誇る環境先進県を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木洋佑君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 清水港の利用促進についてお答えをいたします。
 清水港は、本県を初め周辺地域の経済活動を支える港として発展を続けてまいりました。今また新たな発展のチャンスを迎えていると思っています。新東名高速道路や圏央道の延伸、中部横断自動車道の全線開通などによって広く関東から甲信までをカバーする交通ネットワークの要衝として、そして国際クルーズの拠点としてさらに発展すると思っていますし、そうしていかなければならないと思っております。
 来年三月からの大分との間のRORO船ですが、これはその形が実際にあらわれたものと思っています。これによりまして清水港のこれまでのサービスでありますコンテナあるいはばら貨物、そういったものに加えましてRORO船というサービスが加わるわけであります。これはですね、社会問題の解決にもつながるというふうに思っています。RORO船ではドライバーは当然乗船をいたしませんけれども、トラックのヘッド部分を除いてトレーラー部分を輸送しますので、今問題となっておりますトラックドライバーの厳しい労働条件あるいは担い手不足、こういった社会問題の解決にもつながるわけであります。このRORO船でありますけれども定期航路のこの利用というのは長距離トラック輸送から海上輸送プラス近距離のトラック輸送、こちらに転換をしていくと、これを促進することによりまして物流の効率化などさまざまな問題解決につながると思っております。
 このため県では、清水港の新規航路及び御前崎港の既設の航路の利用促進するためのRORO船定期航路利用者説明会を今年度県内外の九カ所で予定をしております。これまで県内三カ所で実施した説明会では合計百五十名を超える方々の参加をいただきました。その中で船会社や国土交通省、大分県、福岡県、港の利用促進団体等と連携をいたしまして荷主企業や物流事業者に対しまして航路サービスの情報を提供したところであります。来場者のアンケートではRORO船の活用について多くの回答者からぜひ検討したい、利用したいと、そういう積極的な回答をいただいております。十分なマーケットニーズを確認をしたところであります。
 県といたしましては、就航後の利用状況を調査分析し、新たな顧客獲得に向け具体的なRORO船の活用方法を提案するなどによりまして、週三便で運航を予定しています清水港の新規航路、週四便で運航している御前崎港の既設航路、これのさらなる便数の増加を実現をしたいというふうに思っています。またこの両港サービスの相乗効果を高めてまいります。
 これによりまして、北関東や名古屋圏までがRORO船利用の圏域となり、本県が我が国の経済活動を支える重要な物流拠点となり、経済の活性化につながるよう官民一体となって取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 伊藤経営管理部長。
       (経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) 女性の活躍推進についてのうち、県庁における女性の活躍推進についてお答えいたします。
 女性の管理職をふやし女性の視点をさまざまな施策の企画や推進に生かしていくことは、行政サービスの質の向上につながるものと考えており、議員からも御紹介がありましたが、本県では管理職に占める女性の割合を平成三十年四月までに一〇%とすることを目標として取り組んでおります。毎年度の人事異動に当たりましては女性の職員の登用を考慮するとともに、女性職員のキャリアの形成のためにその初期段階から計画策定や重点施策を担当するポストに積極的に配置し、管理職候補となる人材の育成に努めております。
 一方、女性職員は依然として家事や育児、介護などの中心となっている場合が多く、育児休業等により職場を離れざるを得ないこともあります。その対応として仕事と家庭の両立支援や施策立案などのさまざまな職務経験を積む機会を補完することも必要であります。このため子育て、介護を行う職員を対象とした早出遅出出勤制度の導入等による仕事と家庭生活を両立しやすい環境の整備、施策立案能力の向上を目指す女性職員ステップアップ応援講座、先輩が後輩の成長をサポートするメンター制度などを通じて能力発揮支援とキャリア形成意識の醸成に取り組んでまいりました。
 本年度は、新たな取り組みとして仕事にやりがいを持ち安心して働ける職場づくりのため、女性職員がライフステージに応じた悩みなどを先輩の女性職員に相談できる女性よろずサポーター制度を来月十月から導入いたします。
 さらに、人事異動に当たりましては、将来の管理職につながる第二の長である班長に積極的に登用し上位職を目指す女性をふやすとともに、今後勤務条件などにおきまして働く時間と場所を柔軟にするテレワークなど働き方自体を思い切って見直すことにも取り組み女性職員の活躍を支援してまいります。
 次に、ふるさと納税のあり方についてであります。
 ふるさと納税は、納税者の思い入れのある都道府県や市町村を応援したいという思いを実現するために平成二十年度に創設されました。平成二十七年度からは税額控除限度額の引き上げと確定申告が不要となるワンストップ特例制度が導入され、より納税しやすい制度へと拡充されたところです。
 本県では、ふじのくに応援寄附金と名づけ、インターネットを利用した寄附の申し込みやクレジットカードによる支払いの導入など納税環境の向上に努めております。またふるさと納税制度の趣旨を踏まえた上で、食の都を身近に感じていただくためにメロンやトマトなど静岡食セレクション等の認定品をお礼の品として送るなど本県の魅力発信やPRにつながるよう実施しております。
 寄附金の活用先につきましては、平成二十三年度からメニュー化した取り組みとして寄附される方に選択していただく方式を導入しております。多様な思いに応えるため芸術文化の振興、安心の健康福祉の実現など分野別の取り組みに加えまして世界遺産富士山の保全管理や津波対策の推進のように使途が明確でわかりやすく静岡県らしい取り組みも用意しております。
 これらの取り組みにつきましては毎年度見直しを行っており、教育分野につきましては今年度から高校生の海外留学等を支援するグローバル教育の充実に見直し、使途を具体化したところです。
 ふるさと納税は、本県の施策を広くPRするとともに、新たに静岡県を応援してくれる方をふやす機会でもありますことから、その使い道を具体的にイメージできるよう工夫するほか実績につきましても丁寧にお伝えし多くの方々に寄附していただけるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 篠原経済産業部長。
       (経済産業部長 篠原清志君登壇)
○経済産業部長(篠原清志君) 女性の活躍推進についてのうち、企業における女性が働きやすい環境整備の支援についてお答えいたします。
 平成二十七年の勤労統計調査によると、本県の年間総実労働時間は千八百二十六時間となっておりOECD加盟国と比べても多い状況にあります。男性を含め企業における働き方の改革を進めることが求められ、政府は現在労働時間の短縮を中心に検討に入っておりますが、特に女性の活躍については経営者や人事担当者の意識を改革し女性の活躍が企業価値を高めるという認識をしていただくことが必要であると考えております。
 このため県は、これまで企業に専門家を派遣し勤務時間や休暇制度の見直しや中小企業における女性活躍行動計画の策定を支援しております。さらに女性が活躍することで企業価値が高まっている現場を企業経営者や人事担当者に実際に見ていただく事業を実施し、これまでに八十社を超える企業に参加いただいております。企業の中には企業内託児所の設置、テレワーク、在宅勤務制度や中途退職者の職場復帰制度の導入あるいは女性の管理職登用などを進め女性が生き生きと働いて企業価値を高めている事例もありますことから、議員御提案のとおりこうした好事例の情報発信にも努めてまいります。
 さらに、先ほど知事から御答弁いたしましたように、今後本県ならではの人材確保・育成のためのプランを策定することとしております。今年度中に県内企業三千社を対象としたアンケートと二百社の企業訪問を行って女性の働く環境についても調査し、企業における女性が活躍できる環境整備の取り組みを支援してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 環境政策についてのうち、富士山の外来植物対策についてお答えいたします。
 平成二十六年、二十七年に実施した県の調査では、富士山スカイラインやふじあざみラインの沿線を初めとした約五千地点を調べセイヨウタンポポを初め二十種、三万個体以上の外来植物が確認されたところであります。
 外来植物の侵入は、富士山における絶滅危惧種を初めとした貴重な在来植物を駆逐し植生を変えさせるおそれがあることから、県といたしましても深刻な課題と認識しており、駆除と予防の両面から対策を進めております。外来植物の駆除については、平成二十六年度から公募したボランティアにより繁殖力の強い種を中心に除去しておりますが、今年度から新たに侵入予防対策として七月十日から二カ月間の開山期間に合わせ富士宮口、須走口登山道の入り口など七カ所に防除マットとブラシを設置し入山者の靴底や衣服に付着した種子を、種を回収したところでございます。
 今後は、富士山の在来植物を守るためマナーガイドブックや専用ホームページにより外来植物の生態系への影響を注意喚起し、地元市町や企業・団体等で組織されるふじさんネットワークと連携し会員による自主的な駆除活動の推進を図るとともに、山梨県と共同し全登山道への防除マットの設置など富士山全域で外来植物の侵入や分布拡大の防止に取り組んでまいります。
 県といたしましては、富士山憲章に基づき世界の宝である美しい富士山の自然環境を次の世代に継承していくため、外来植物対策を初めとする環境保全対策に万全を期してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 文化施設の魅力の発信についてお答えいたします。
 文化施設においてアプリ、SNS等の情報ツールを活用することは、多くの方々に来館していただく契機となるとともに、来館者へのサービス向上につながる有効な手段でもありますことから積極的に対応していく必要があります。
 このため県立美術館におきましては、ロダン館の彫刻作品をより興味深く鑑賞していただけるようスマートフォンを用いた作品解説のアプリを静岡県立大学と共同で開発し、再来月十一月一日から始まるロダンウイークに合わせて運用を開始いたします。これによりこれまで美術館内で実施していた音声ガイドによる作品解説に加え館外においてもスマートフォンの画面上で解説を見ることができるようになります。またあわせてフリーWiFiを館内に導入いたしますので、来館者の方々に鑑賞後の感想をその場でSNS等で発信していただくことも期待しております。
 ことし三月にオープンしたふじのくに地球環境史ミュージアムにおきましても、フェイスブック等のSNSを活用し展示内容や各種イベントの開催などの最新情報を随時発信しており、また来年度開館予定の富士山世界遺産センター――仮称――も既にSNS等により工事の進捗状況やセミナーの案内等の情報発信を行っております。
 今後とも、本県の文化施設の持つ魅力を多くの方々に知っていただき来館していただけるようフリーWiFiの拡充、アプリの充実、ツイッターやフェイスブックの利用など最新のさまざまな情報ツールを用いた情報発信に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 健康福祉政策についてのうち、不育症治療への支援についてお答えいたします。
 不育症は、原因不明の偶発的な流産が多く、特別な治療を行わなくても次回の妊娠では出産に至る場合が多いと言われております。しかし流産を経験した母親は深い悲しみを抱え妊娠に対して不安を感じるなど精神面での影響が大きいと言われており、当事者の気持ちに寄り添って精神的な負担を取り払い治療に前向きになれる支援が必要でございます。
 県では、不育症への支援として不妊・不育専門相談センターにおける当事者へのきめ細かな相談を初め不育症についての正しい知識の普及のための広報活動やシンポジウムの開催などを行ってまいりました。
 今年度は、不育症で悩んでいる方や治療に踏み切れない方が集い話し合ったり、専門家を交えて当事者同士が悩みを共有できる場を提供することにより不育症で悩む方の心理的負担の軽減を図り、一人でも多くの方が治療に臨めるように支援をしてまいります。
 今後は、今年度の実施を予定しております当事者交流の場での意見や要望を踏まえ、県民の身近な相談窓口である市町と連携しきめ細かな相談体制の充実や当事者交流の場の提供など当事者に寄り添った支援策について取り組んでまいります。
 県といたしましては、子供を持つことを希望するより多くの県民の願いがかなうよう「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりの実現に取り組んでまいります。
 次に、新生児聴覚検査についてであります。
 本県では、新生児聴覚検査の受検率向上と難聴児の早期療育支援のため平成二十二年度に乳幼児聴覚支援センターを設置し、県民に対する新生児聴覚検査の有益性の広報を初め医療関係者に対する検査や治療に関する助言指導を行ってまいりました。その結果、新生児聴覚検査の受検率は乳幼児聴覚支援センターの設置前の平成二十一年度から二十七年度までの六年間で六七%から八二%へと増加いたしました。
 また、一層の受検率向上のため、県では今年度聴覚検査機器の整備に関する本県独自の助成制度を創設しほぼ全ての産科医療機関で検査機器が設置されました。このことにより静岡県内どこで出産しても新生児が聴覚スクリーニング検査が受けられ、早期に発見でき、早期の治療につながる環境が整備されました。
 今後も、市町における検査費用の公費助成の導入の推奨なども含め行政と医療機関が連携し、県民に対し検査の理解を深めるための啓発や受検の勧奨により新生児聴覚検査の受検率向上に努め、全ての子供の健やかな成長を支援してまいります。
 次に、静岡県立こころの医療センターの機能の充実についてであります。
 こころの医療センターは、県が示した中期目標に従い精神科救急と急性期医療を重点に県内全域の精神科救急患者に二十四時間対応し、ほかでは対応困難な精神患者の受け入れや医療観察法の入院医療機関に県内で唯一指定されるなど県の精神科医療の中核病院としての役割を果たしております。
 精神科医療は、本県におきましても社会の複雑化に伴い患者数は増加し症例が複雑化してきております。また治療法の進歩に伴い入院中心から地域生活中心の医療へと移行しております。こころの医療センターではこうした状況に的確に対応していくため、複雑な症例に対応できる高度な医療の提供と患者の在宅治療への移行や社会復帰の支援に積極的に取り組むこととしております。
 このため、精神科医療に係る高い技術や知識を有する認定看護師の育成を推進し水準の高い看護体制を整えるほか、医師や看護師、精神保健福祉士等の連携による在宅医療の充実を初め退院支援や就労支援なども積極的に進め、地域生活中心に対応をした患者にとって最適な医療の提供だけでなく生活への支援にも積極的に取り組んでおります。また二十四時間体制で県内全域からの相談に応じられる精神科救急ダイヤルを設置し、精神障害を持つ方や家族が地域で安心して暮らせるようにしております。
 今後も、こころの医療センターにおける精神医療機能の充実強化が図られ、県立病院として民間では困難な医療に取り組み、県民に安心の医療を提供する本県の精神科医療の中核病院としての使命を果たせるよう、地方独立行政法人静岡県立病院機構と連携して取り組んでまいります。
 次に、動物愛護の取り組みについてであります。
 本県では、動物愛護管理推進計画を平成二十五年度に策定し、飼い主責任の徹底や人と動物の安全と健康の確保などの方針のもと動物の愛護に取り組み、殺処分頭数を平成三十五年度までに二千五百頭以下とし既に目標を達成しているところであります。
 今後、さらに殺処分頭数を減らしていくためには、処分頭数の九五%を占める猫への対策が重要であります。県では飼い主のいない猫をふやさないため終生飼養の啓発活動や不妊去勢を施すなどの地域猫対策への支援等に積極的に取り組んでまいりました。今年度からは各保健所において関係団体やボランティアとの連携を強め地域全体でより効果的に地域猫対策の活動を行う体制をつくり殺処分の解消に努めております。
 また、犬につきましては、平成二十七年度の殺処分頭数は全県で約百頭にまで減少しておりますことから、飼い主への返還や身近な地域での譲渡を推奨するなど今までの取り組みを一層強化し殺処分ゼロの実現を目指してまいります。
 県動物管理指導センターでは、動物愛護教室やしつけ教室の開催により県民の皆様への動物愛護精神の向上と適正飼養の普及啓発に努めております。今後も飼い主のいない動物を譲渡するまで飼育する動物愛護センターとしての機能の充実に努め、動物の命が尊重され人と動物とが共生できる社会を実現するための施設としての体制を維持強化してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 行政職員の防災に対するスキルアップについてお答えいたします。
 県では、地震・津波を初めとした危機事象発生時に応急業務や継続性の必要が高い業務について適切に業務を行うため、県組織全体に加えて所属単位においても業務継続計画を策定しております。
 危機管理部では、今年度は十四回に及ぶ各種の訓練を計画し実施しており、いずれも事象発生後に投入できる人員や交通、通信などが制約されることなどを考慮して行っております。各所属においても総合防災訓練などの際に災害時の事務分掌や所属の業務継続計画を踏まえた点検や確認を実施することにより職員の熟度の向上を図っております。
 市町においては、業務継続計画が策定されていない、あるいは策定されてはいるものの内容が十分ではないものも見受けられますことから、策定や内容の充実を働きかけております。
 県では、本年の熊本地震において県と市町が合同で嘉島町の行政支援を行った経験をさきの総合防災訓練の内容に反映させたところであり、市町においても嘉島町へ派遣された職員による報告会や講習などによりノウハウを共有しスキルアップへつなげる取り組みも進んでおります。
 県といたしましては、新規採用職員に対する防災研修や新たに防災業務を担うこととなった職員に対する研修の内容を充実させるとともに、行政職員を対象に災害時の行政業務に関する研修を企画するなど引き続き職員の災害時における対応力の向上に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 静岡県埋蔵文化財センターの今後の展開についてお答えいたします。
 出土文化財は、本県の歴史を物語る貴重な財産であり、これらを有効に活用しその価値について情報発信することは県民の皆様が地域の歴史や文化に誇りと愛着を持っていただくために大切であると考えております。
 このため、移転後のセンターにおいてはこれまで実施してきた出前授業、考古学をテーマとしたセミナー、市町との協働による巡回展示に加えふじのくに地球環境史ミュージアムや今後開館が予定の仮称富士山世界遺産センターと連携し当センター所蔵の文化財を展示する機会をふやすことにより本県の出土文化財にかかわる魅力を積極的に発信してまいります。
 また、新たに展示室を設置するとともに、実物の土器に触れたり発掘された文化財の修復作業等を見学できるようにしたことから、こうした特色を生かしたさまざまな体験学習を実施してまいります。
 さらに、蒲原地区には旧東海道蒲原宿の町並みが残っており、地元自治会とも連携しこれらの文化財を活用した学習プログラムを用意するなど多くの皆様が楽しみながら地域の歴史や文化を学べる機会を提供してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 特殊詐欺未然防止対策の推進についてお答えいたします。
 特殊詐欺未然防止対策の一つとして、平成二十六年十月から藤枝警察署管内をモデル地区に迷惑電話チェッカーを活用した実証実験を行ってきたところであります。迷惑電話チェッカー取扱業者からのデータによりますとモデル地区の協力をいただいた百九十世帯で本年七月末までに不審電話番号からの着信が累計約二万九千回確認されており、一世帯当たりで毎月平均約七回こうした電話の応答を自動的に拒否しているとのことであります。実証実験期間中これまでに機器を設置したお宅における詐欺被害は把握されておらず、特殊詐欺の被害防止及び機器の設置に伴う防犯意識の向上に効果を上げているものと認められます。
 次に、実証実験を踏まえた今後の未然防止対策についてであります。
 迷惑電話チェッカーの設置箇所から被害が発生していない状況を踏まえますと、犯人側との接点となる詐欺電話を遮断することが被害の防止に大きな効果を発揮することは明らかであります。県警察ではこれまでも特殊詐欺未然防止対策として迷惑電話チェッカーや警告機能つき自動録音機などの詐欺電話防止機器の普及を促してまいりましたが、既に幾つかの市町や関係機関等でこうした機器の無償貸し出しや無償配付を開始したとの報告を受けております。
 また、県内の一部の警察署でも地区防犯協会の協力を得て警告機能つき自動録音機を管内の高齢者に貸し出す取り組みを推進するなど、徐々にではありますが詐欺電話対策機器の普及が進んでいるところであります。
 引き続き、被害者となりやすい高齢者宅への戸別訪問指導や広報啓発活動等の推進に加え、詐欺電話防止機器の一層の普及促進に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 盛月寿美君。
       (二十六番 盛月寿美君登壇)
○二十六番(盛月寿美君) 御答弁ありがとうございました。
 再質問をさせていただきます。
 何点かさせていただきますが、まず初めに不育症の支援について再質問させていただきたいんですけれども、私、先ほど二点お伺いをさせていただきまして、そのうち治療費助成制度、県として治療費の助成制度を創設していくことに対して一言もそれには触れなかった御答弁だったなと思っているので、その辺を再度お聞きしたいと思います。
 それから、動物愛護の取り組みについてですけれども、平成三十五年までに殺処分頭数二千五百頭にするということで、目標はもう既に達成しているということでさらに減らしていく。そしてゼロを目指すということで、先ほど部長のほうからゼロを目指すというそういう意気込みで御答弁をいただきました。この動物愛護推進計画で目標が平成三十五年度までに二千五百頭以下というふうになっているんですけれども、この計画、目標を立て直すというか見直して明確に殺処分頭数はゼロという目標を掲げるべきではないかというふうに考えているんですが、その点についてお伺いいたします。
 それから、清水港の利活用促進について難波副知事から御答弁いただきました。先ほど私の聞き間違いかもしれないですが、RORO船の就航、来年三月とおっしゃったのは言い間違いだと思うんです。来月三日ということですかね、と思いますが、いいですね。RORO船の就航を機にさらなる利活用促進を図っていただける、いくということでございました。私も聞いておりますところ、現在月・水・金の運行というふうに聞いておりますけれども、今後さらにこのRORO船の活用方法を皆さんにお知らせしていって顧客をふやしていくということを取り組みされていくと思うんですが、やはり港湾関係の方々からは一日も早くデーリー運航を目指してほしいというお声もございますので、その点について県としてデーリー就航を目指しての働きかけについてどのようにお考えか、御所見を伺います。
 それから最後ですが、特殊詐欺未然防止対策について警察本部長から御答弁いただきまして、迷惑電話チェッカーの実証実験で大きな効果が出ている。大きな効果どころか被害が出ていないということ。これほどの効果はないと思っています。できる限りの全県に、全体に普及をしていってほしいなと思うんですが、市町とも連携して特に被害が多く発生しているところに重点的に推進していくとか、そういう具体的にこれから電話、この防止のための電話機器を普及していくためにどういう方針で進めていって、全県的にどこの地域でもこの電話の、詐欺防止の防止対策の機器が普及されていくことを目指して取り組んでいかれるのか、再度お聞きしたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 不育症治療への再質問についてお答えします。
 不育症治療は、支援のこの対象が個人であるため、また経済的負担や精神的負担が非常に大きなところがそれらをなくすことが非常に大切であるため、助成は地域住民に身近な市町が行うことが適切だと考えております。もちろん県も市町と連携して取り組むことが適切であります。
 県としましては、今年度行うシンポジウムで当事者の意見を十分に聞いて、そしてまた市町ともその結果なども踏まえて十分に連絡をとり合い、この助成制度も含めましてさまざまな面から精神的な負担を取り計らう支援も含めまして、さまざまな面から検討させていただきまして取り組んでいきたいと思っております。
 静岡県は、特殊出生率二を目指しておる県でございますので、この不育症治療も入れましてさまざまな先駆的な積極的な取り組みはしっかりと県市町とも連携しながらやっていく所存でございます。
 続きまして、動物殺処分ゼロを目指すということでございますが、処分についての再質問でございますが、殺処分ゼロを動物愛護管理推進計画にのせるべきではないかという御意見でございましたが、現在、答弁でも答えましたように猫の処分を減らすことにつきましてさまざまな取り組みを行っております。その取り組みの中には関係団体三百五十一グループ、また関係する千九十六名のボランティアの方々も積極的に取り組んでいるところでございます。それらの成果、今大分いろんな成果が出てきております。かなりいい成果が出てきておりますので、それらの成果を踏まえまして、次の動物愛護管理推進計画を見直す際に殺処分ゼロに近い数字を入れていきたいと考えております。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) まず、日付を間違えましたので、最初にそれをおわびしなければなりません。十月三日でございます。大変失礼いたしました。
 それで、さらなる便数の増便ということでありますけれども、船の運航で大分から清水まで二十時間というのは非常に有利でありまして、四時間荷物を積みおろしてまたそのまま行くということになりますと、今一隻で運航をするわけですけれども、それが来て帰る、来て帰るというので週三便ということになります。これが二隻で運航すると週六便ということで船会社としても大変効率的な運航ができるというので大変有望なサービスです。そして利用者も毎日同じ時間に船が出るということですからこれも非常に利便性が高いということであります。
 それで、その実現のためですけれども、単にこういう航路がありますよではなくて、今特徴的なのは県職員みずから提案営業をしております。おたくはこういう荷物を扱うんであればこういう使い方ができるんではないでしょうかというふうな提案をしてるというような状況でありますので、必ず結果が出るというふうに思っております。以上です。
○議長(鈴木洋佑君) 筋警察本部長。
○警察本部長(筋 伊知朗君) 再質問にお答えいたします。
 こうした機器の有効性については、答弁で申し上げたとおりでございまして、幾つかの市町や関係機関等で無償貸し出し、無償配付が開始されており、県内の一部の警察署でも地区防犯協会の協力を得て管内の高齢者に貸し出す取り組みを推進するなどしております。
 御指摘のとおり、今後とも発生状況等をよく踏まえまして一層の普及促進に努めてまいりたいと、このように考えております。以上です。
○議長(鈴木洋佑君) これで盛月寿美君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。再開は十五時といたします。

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