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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

山本 貴史 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/28/2011

会派名:

無所属


質疑・質問事項:

1 津波対策の計画的推進について
2 災害時における自治体病院等の連携と役割分担について
3 わが家の専門家耐震診断の対象拡大について
4 学校におけるお茶の利用について
5 職を求める若者の農業への就労促進について
6 売れる商品づくりに向けた六次産業化の取り組みについて



    ○副議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、五番 山本貴史君。
           (五番 山本貴史君登壇 拍手)
    ○五番(山本貴史君) 袋井市・周智郡から選出されました山本貴史でございます。
     諸先輩方も冒頭申し上げられましたが、質問の前に過日発生をいたしました天竜舟下りの事故、または台風の被害に遭われました多くの方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
     それでは、当面する県政の諸課題につきまして、知事、関係部局長、教育長に伺います。
     初めに、津波対策の計画的推進についてであります。
     東日本大震災がもたらした大津波襲来の様子は半年を経過した今も強烈に記憶され、その甚大な被害については、現地の被災者はもとより被災地以外の人々にも深い心の痛みとなって今も続いております。私も震災発生から間もないころ、陸前高田市へ炊き出しの支援に入らせていただきましたが、津波によるすさまじい被害や途方に暮れる被災者の皆さんを前に言葉を失ってしまいました。そんな私たちボランティアに、「本当にありがとうございます。静岡県で何かがあったら、そのときは僕たちがこの御恩を必ずお返しに行きますから」と笑顔で語ってくれた東北の若者たちの言葉を、これまで広く支援にかかわられてこられた県内の皆様にもお伝えしたいと思います。
     さて、今回の大津波のように何千年に一度といわれるような津波にはどんなに頑丈な防潮堤をつくっても限界があり、津波がその高さを超えてしまったら、人はとにかく逃げるしかないということを改めて認識いたしました。我が静岡県においては、東日本大震災での教訓を受け、例年七月に行われていた津波避難訓練を本年は五月に前倒しして実施したところであります。私も袋井市浅羽地区にてこの訓練に参加させていただきました。津波の記憶が生々しく残る時期ということもあり、多くの住民が真剣に取り組まれておりましたが、訓練後の感想では、「とても逃げ切れるとは思えない」、「高台がないのにどこまで走ればいいのか」など、恐怖ともあきらめともとれる声が大半を占めておりました。これは袋井市に限らず、県内沿岸部の多くの地域が抱える課題でもあります。
     これらの地域に住まう県民の切なる願いは、あす来るかもしれない東海地震に対し、津波への防御を確実なものにしてほしい、津波から迅速に避難できる仕組みをつくってほしいということではないでしょうか。今回の震災で明らかになったことは津波から身を守るためには、防潮堤の効果を過信することなく、地震発生後はとにかく迅速に高台や津波避難ビルへ避難しなければならないということであります。そのためには、ハード・ソフト両面からの津波対策が必要であります。行政、地域、住民、企業がともに連携して、より実践的で効果的な津波避難体制を構築しておかなければなりません。具体的には津波避難ビルの指定のほか、避難タワーや高台、避難道路や避難階段の整備、海岸への監視カメラの設置や、津波情報、警報など情報伝達の徹底から、避難方法の確立、学校における防災教育などさまざまな対策が必要です。今回の震災で八百人を超える住民を失った岩手県山田町では海岸付近の平たん部に丘があり、そこに逃げた人々は助かったということであります。また明治の津波被害を機に、「この下に家を建てるべからず」と石碑に記した事例もありました。本県の袋井市浅羽地区にも、その名の示すとおり命山と呼ばれる塚があり、洪水や高潮の際に避難する場所として江戸時代から活用されてまいりました。私は、この命山のような先人の知恵や教訓に再評価を与え現代に生かすことも大変重要だと考えております。
     東日本大震災から半年が経過し、本県の津波対策についてもハード・ソフト両面からさまざまな検討がされてきたと聞いております。県民の不安を考慮すれば、検討から実施へと具体的な行動を早急に展開していかなければなりません。ふじのくに津波対策アクションプログラムの策定も進められているということでありますが、その推進について県はどのように取り組まれていくのか、その方針を伺います。
     次に、災害時における自治体病院等の連携や役割分担について伺います。
     改めて東日本大震災における人的被害を振り返ってみますと、死者が約一万六千人、行方不明者はいまだ四千人余を数え、死者の九割以上が水死というものでした。倒壊した家屋や家具の下敷きによる圧死が死因の九割を占め、数多くの負傷者、重傷者を出した阪神・淡路大震災とは大きく異なっておりました。国では、新総理の指示のもと、被災県への支援など震災からの復興に全力を注ぐことと並行して、災害対策の見直し検討を進めていると聞いておりますが、こと医療救護の分野では阪神・淡路大震災の教訓を受け進めてきた防ぎ得た死を軽減させるための体制整備を津波や原子力事故対策等の新たな視点を加え、一層強化しなければならないものと思います。
     本県でも想定をはるかに超えた本震災を踏まえ、第三次被害想定を見直していくということでありますが、これまででさえ予知できなかった場合には死者が五千八百五十一人、重傷者が一万八千六百五十四人と死者数よりも重傷者数のほうがはるかに上回ることが想定されております。
     ところで、私の地元袋井市が位置する中東遠地域では各市町が公立病院を設置し地域医療の中核を担っており、現在、袋井、掛川両市民病院の統合を初め、家庭医の養成や地域医療のICT導入、消防の広域化など自治体間のより密接な協力関係、連携強化が進められているところであります。しかしながら、この地域は先ほども申し上げましたように津波の危険性のある沿岸部とともに、県下でも有数の軟弱地盤地域でもあります。また浜岡原子力発電所から二十キロから三十キロ圏内に位置しており、今回の東日本大震災の集約的な条件を有しているところでもあります。今回の震災からは多くの課題が示唆されておりますが、各医療機関も直接被災するという事実に加え、原発事故が重なった場合には立地場所によっては立ち入りができない地域となるなど、東海地震の発生状況によっては、まさに想定外の混乱が当然のように発生することが予想されます。その場合、自治体の枠を超え、医療提供可能な病院には能力をはるかに上回るほど多くの負傷者を運ばざるを得ない状況が生じることも想定しておくべきではないかと考えるところであります。私は大規模地震等の災害時に対応するためには、地域医療の中核となる自治体病院間との情報交換や役割分担を行う必要があると考えております。このことは、新たな被害想定がつくられる前からでも進めることが可能だと思いますが、今回の震災を踏まえた災害時の医療体制充実のため、県は自治体病院を中心とした医療機関の広域的な連携や役割分担をどのように進められていくのか伺います。
     次に、わが家の専門家耐震診断の対象拡大について伺います。
     東海地震対策の柱として行われてきたプロジェクト「TOUKAI―0」は、御案内のようにわが家の専門家診断事業、木造住宅補強計画事業、木造住宅耐震補強助成事業の三段階に分かれており、そのいずれもが昭和五十六年の新耐震設計基準以前の木造住宅を対象としてきました。この取り組みについては防災先進県と呼ばれるにふさわしい取り組みであると最大限の評価をさせていただいております。さらに今回の東日本大震災を受け、木造住宅の耐震診断の申し込み件数が増加しているということも仄聞しておりますが、私の周囲では昭和五十六年以前の家屋に住む方というのは比較的高齢者の方が多く、耐震診断を勧めても、助成金をもらっても工事をするだけの自己資金がない、地震が来たらそれまでだと割り切ってしまわれている方が多いように感じております。私は、県民の命と財産を守るためには、まずは従来どおり倒壊の危険性の最も高い昭和五十六年以前の木造住宅に対し、限りなく一〇〇%に近いところまで耐震診断や耐震工事を促進していくべきだと考えております。しかしながら、あえて今回の質問では昭和五十六年から平成十二年までに建設された木造住宅に対する耐震診断の必要性について、新たな問題提起をさせていただくものであります。
     実は、平成七年に発生した阪神・淡路大震災での調査、検証を経て、五年後の平成十二年には大きな建築基準法の改正がなされております。その理由は昭和五十六年の新耐震設計基準に従って建てられた木造住宅においても倒壊するという事例があったためであります。このことから設けられた新たな基準といたしまして、耐力壁の配置バランスの確認や筋交い、接合金物の規定などの要素が加えられました。また阪神・淡路大震災以前から検討されていた地盤の耐力に応じた基礎の構造についても、この平成十二年の改正時に加えられております。この改正は、言いかえれば昭和五十六年から平成十二年の改正までに建築された木造住宅にも倒壊の危険性がある程度存在するということを物語っております。私自身、NPO活動などを通じ、耐震工事について住民の御意見を数多く聞いてまいりました。昭和五十七年以降であれば安全であると信じ切っている方たちもいれば、その逆に昭和五十六年以降に建築された住宅でも古いものでは既に三十年を経過しようとしており、住宅の耐震性に不安を持つ方も多くおられます。私は平成十二年以前の木造住宅とそれ以降の住宅との違いについても県民に理解を深めていただき、耐震診断による安全確認を行うべきだと考えます。
     そこで、県民の生命と財産を守るべき県の立場として、阪神・淡路大震災において被害があったことや建築基準法の改正等の経過を改めて御検討いただき、耐震診断事業の対象を平成十二年以前の建物にまで拡大することを提案させていただきますが、これに対する県のお考えを伺います。
     次に、学校におけるお茶の利用について伺います。
     本年八月、菊川市では市内の小学校全九校に給茶機を設置し、児童の健康増進と緑茶に親しむ環境づくりを図っているとの報道がありました。同様の取り組みは私の地元でもある袋井市や島田市など茶生産地を中心に幾つかの市町で行われております。私が小学生のころには給食も自校方式をとっていたこともあり、お昼の時間には大きなやかんで毎日緑茶が出されておりました。家庭や地域でも日常的に緑茶を飲んでおりましたので、ごく自然に緑茶を愛飲するという習慣が身についたと思います。大人になり他県の人々と交流するようになると、緑茶を飲むということ自体が必ずしも静岡県のようではないということに気がつき、軽いカルチャーショックを覚えたこともありました。ところが最近ではお茶といえばペットボトルという印象が浸透してきており、急須で入れたお茶を飲まない家庭がふえているばかりか、若い世代になると急須さえ持たないという世帯もふえているということも耳にいたします。
     県では、お茶の消費を拡大するためさまざまな努力をされてきましたが、私はお茶どころ静岡県だからこそ、学校におけるお茶の取り組みにはこだわりを持っていただきたいと考えるものです。小さなころから親しんだ食文化は一生忘れることはないばかりか、その子供の人生観にも大きな影響を与えます。国内や国外へ静岡茶をPRすることも大切ですが、まずは足元である静岡県の子供たちを静岡茶のファンにすべきであると考えます。また学校でお茶に親しむ環境があるというのは、子供たちの健康増進も期待でき大変すばらしいことだと思います。緑茶が体によいことは昔から体験的に知られていましたが、近年さまざまな研究成果によって緑茶と健康の関係が科学的に明らかになってまいりました。緑茶に含まれるカテキン類には強い抗酸化作用があり、がんの原因となる遺伝子の突然変異を抑えると考えられております。厚生労働省の研究班によれば約七万三千人を対象に追跡調査をした結果、女性では一日五杯以上緑茶を飲むグループは一杯未満のグループと比較して胃がんのリスクが三割程度低いことがわかっております。このほかにも昭和大学医学部教授である島村忠勝先生の研究にも見られますように、インフルエンザなどに対する抗ウイルス作用や、肥満、糖尿病など現代人がかかりやすいさまざまな病気と緑茶摂取との関係についても研究が進められ、その効果も認められてきております。
     このような効能のあるお茶ですが、本県の小中学校における学校給食での通年の飲用状況を見ますと、中部地区では七〇%と飲用率が高いのですが、県平均では約三〇%にとどまっております。本年度改定されたふじのくに食育推進計画でも、地場産物の活用率を平成二十五年度までに四五%以上にする目標を掲げられておりますので、本県の特産物であるお茶を積極的に学校給食にも取り入れていく必要があると考えます。静岡県の特産品であるお茶を子供のころから積極的に飲んだり親しんだりするために、学校においてどのような取り組みを行っているのか、教育長の所見を伺います。
     次に、職を求める若者の農業への就労促進について伺います。
     少子高齢化が急速に進む中で、これからの日本の社会・経済の発展は若者たちの活躍にかかっております。我々は社会を挙げて若者たちを社会の後継者として人材育成していかなければなりません。しかしながら七月の全国の完全失業率は四・七%と雇用情勢は依然厳しい状況であります。これをさらに年齢別に見てみますと、二十四歳未満が七・九%、二十五歳以上三十四歳未満が六・一%と若年層が最も高く、二つの世代で実に百十六万人が失業し、失業者全体の四割を占めているのが実態であります。さらに失業者には含まれない引きこもりや就労意欲が不足している、いわゆるニートと呼ばれる若者も平成二十二年の調査では全国で六十万人もいる上、正社員としての就職をせずアルバイトなどで生活をするフリーターと呼ばれる若者も全国で百八十三万人いるとのことです。さらに高校、大学等の新卒者の就職内定率は過去最低レベルとなり、超就職氷河期と言われるゆえんであります。
     一方、本県の農業に目を転じますと、基幹的農業従事者の数が平成二十二年の農林業センサスによれば六万三千九百五十八人と二十年前の六三%にまで減少し、またその七六%が六十歳以上の方で占められております。その方々が引退される近い将来の本県農業を考えると大変不安を感じるところであります。
     このような中、県内では新たに農業経営を開始したり、農業法人等に就職する新規就農者は毎年二百名程度で推移し、その内訳は農家の後継者が年々減ってサラリーマン家庭などの非農家出身者が増加していると伺っております。農業の世代交代は、かつての農家の子弟がその家の農家を継ぐような時代から非農家の方が新たに農業に就労することが主流になりつつあるのではないでしょうか。このためニートや引きこもりなどを含め就職先の確保が困難な若年者を農業への就労に導くことは、若年層の就職支援と担い手が不足する農業への就労者確保の両面からの有効な手段といえるのではないでしょうか。このような若年者の農業への就労促進について、県はどのように取り組んでいくのかを伺います。
     次に、売れる商品づくりに向けた六次産業化の取り組みについて伺います。
     本県の農林業を取り巻く環境は、農産物価格の低迷や食生活の変化、海外からの輸入農産物の増加などから厳しい状況が続いており、その結果として生産農家の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加などさまざまな課題に直面しております。このような状況の中、農林業の持続的発展や農村地域の活性化の切り札として、農林漁業者みずからが加工や流通、販売の分野にまで挑戦をしたり、農林漁業者と食品加工業者などが連携し、新しい商品を開発する六次産業化の取り組みが県内各地で進められております。
     そもそも、この六次産業という言葉は東京大学の今村奈良臣名誉教授が提唱された造語でありまして、一次、二次、三次を掛け合わせて六次産業とするものであり、一次がゼロの状態では何を掛けてもゼロになってしまうため、基礎となる一次産業の部分を最も重要視しているものであります。以前私は広島県の世羅町を訪れ、今村教授がみずからの指導で進められてきた六次産業ネットワークの現場を視察させていただきました。そこに今村教授の提唱する六次産業に対する信条が直筆で掲げられておりましたので、一部を御紹介したいと思います。「多様性の中にこそ強靱な活力が育まれる。画一化の中からは弱体性しか生まれてこない。その多様性を生かすのが六次産業のネットワーク化である」というものであります。この言葉は六次産業化を行っていく上で大変意義深い言葉であると思いました。
     私の住んでいる袋井市内においても、農協のファーマーズマーケットなど直売施設の増加とともに、店頭に並ぶ農産加工品もふえてまいりました。また袋井市特産のクラウンメロンや地場産の米粉を使ったパンやお菓子など新しい商品も開発されております。しかしながら消費者の購買意欲をそそるほど多様性のある商品群がそろっているだろうか、画一的な商品や販売になっていないだろうか、さまざまな業種や販路とのネットワーク化が図れているだろうかという視点でこれらの取り組みを見てみますと、本来の六次産業と呼べるまでには、今はまだスタート地点に立ったに過ぎないといった感があります。それを物語るように農林業者や食品加工業者からは幾つかの課題が寄せられております。特に多いのが、どのような商品をつくったら売れるのかわからない、つくった製品をどこにどう売ったらよいかわからない、商品開発やデザイン、販促を行う予算がないといった商品開発やマーケティング、販路開拓などに関するものであります。
     本県は、食材の王国と言われるほどすばらしい食材や特産物を数多く有しており、六次産業を推進する上では最高の条件が整っていると思われます。時あたかも新東名の開通が来年初夏に迫っております。パーキングエリアやインターチェンジ周辺の地の利を最大限に生かし、全国各地からやってくる多くの通過客をそれぞれの地域に引き込むための戦略を進めていくべきであります。
     そこで、必要になるのは全国から注目を集めるほどの多様性と魅力あふれる特産物や商品群でありますが、中小の事業者にはマーケティングなどのノウハウが不足気味であります。まさにここを支援し、多くの事業者に売れる商品づくりに取り組んでいっていただきたい。県では鋭意六次産業化の取り組みを進めておりますが、特に売れる商品づくりに向けた県の支援の状況や、今後の取り組みについて伺います。
     とりあえずこれで一回目の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) ここで、あらかじめ会議時間を延長します。
     川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 山本議員にお答え申し上げます。
     初めに、津波対策の計画的推進についてでございます。
     東日本大震災における津波がもたらした甚大な被害を目の当たりにされたとのことでございますが、本県といたしましても、改めてこれまで取り組んできた想定東海地震の津波対策を早急に見直さなければならないというように県全体で痛感しているところでございます。
     このため、これまでに取り組んでまいりました津波対策につきまして、ソフト・ハードの両面から再検討するために、県や市町の津波対策担当者などで構成する静岡県津波対策検討会議を四月に立ち上げました。また八月には静岡県防災・原子力学術会議の中に津波工学等の日本におけるトップクラスの専門家を集めまして、彼らで構成する津波対策分科会を設置いたしたところでございます。この会議と分科会を両輪といたしまして、これまでの県の対策で何が足りないのか、どう改善したらよいのかなどについて検討を行いまして、津波対策を短期的対策と中長期的対策とに分けまして、津波対策アクションプログラムを策定して、これを計画的に実行するということにいたしました。特に、短期的対策につきましてはスピード感を持って実施するように津波被害の軽減に寄与する実効性の高い施策を選びましたところ、その項目は二十六に達しました。
     袋井市の浅羽の命山にも、私、新聞記事でその存在を知りまして、去る八月に参りました。原田市長が案内してくださったのでございますが、その両者ともそれぞれ、一つには植栽がされておる。もう一つのところには小さなほこらがございまして、地元の方々がこれをもって、近くに高いところがございませんから、かつてそこへ逃げて助かるということがあったのだということで、当時といたしましては、「津波だ、さあ逃げろ」と、そこに逃げればよかったわけでございますが、この間五月に津波の訓練をしましたところ、従来にも増して――従来は七千人余りだったわけですが――八万二千人の方々がこの訓練に参加していただいた。それで避難経路、避難場所というものをしっかりと確認するという、そういうことをしていただいたわけでございますが、そうしたこと以外に、例えばですね、学校の津波避難対策の充実を図る、あるいは津波標識を設置する、あるいは津波避難施設をさらに拡充するとか、そうしたことを選びまして、かつそれぞれに数値目標とか達成時期を定めまして、九月二十日に津波対策アクションプログラム短期対策編を策定し、これを公表いたしましたので、ぜひ県民の多くの方々に御参観いただきたいというふうに思っております。この短期対策につきましても、引き続きさまざまな方々の御意見を伺いまして、必要な対策は随時そこに追加していく、あるいは見直しを行うというふうにしまして、市町や防災関係機関と連携して、この事業の着実かつ迅速な推進に努めてまいります。
     一方、中長期的対策が必要となりますのが、いわゆる「東海・東南海・南海」三連動地震でございます。現在、中央政府におきまして専門家による断層モデルの検討が始まっております。この中で、来年の夏までには揺れの強さや津波の高さなどの推定結果が取りまとめられ、想定される被害の全体像が明らかになるという予定でございます。
     県としましては、もちろんこうした中央政府の動きに並行して対策を進めるわけですけれども、一方、独自に建物や海岸、現況のデータ、そして過去の津波記録の収集など、国の想定を補完できるよう基本的、基礎的な調査に取り組むこととしています。先ほどの津波分科会におきましても、従来の過去の記録にとどまらず、現在はコンピューターを使ってシミュレーションができますので、そうしたものも活用しながら津波対策に取り組むという独自の方法を今構築しているところでございます。
     今後、こうしたものを踏まえまして、来年度後半のなるべく早い時期をめどに第四次地震被害想定を策定する予定でございます。その想定で示される津波による被害を少しでも軽減するために、ハード整備を中心とする津波対策アクションプログラム中・長期対策編を策定申し上げまして、目標年次を定め計画的に津波対策を推進してまいります。ちなみに現在第三次想定でやっておりますけれども、海岸線二百八十キロが必要とされる対策の距離でございますが、そのうち二百五十キロ余り、言いかえますと九割が対策を終えております。したがってそれなりの安心感があるということもあわせて御承知おき賜りたいと存じます。その第三次想定に必要な残り一〇〇%に向けて今鋭意努めておりまして、一方でこの第四次想定を策定して、それに基づいた対策をとるという、そのような、今、状況にあります。
     続きまして、売れる商品づくりに向けた六次産業化の取り組みについてでございます。
     東大の今村先生が、この六次産業化の背景にある一番大切なコンセプトは多様性であるというふうに言われたということです。本県も山あり、川あり、森あり、里あり、そしてすばらしい海がございます。そうした中で、自然が多様でございますので当然に食材も多様であろうと。皆様方は経験的に御存じだったわけですけれども、その数を勘定すると、何と二百十九品目、日本一であったということでございまして、これは自然の多様性が生んだたまものであると、これを大切にしなくちゃいけないということで、議員御指摘のとおり、まさに六次産業化は今始まったばかりですが、始まったということが大切です。今までやってなかったんですから……。その意味で、大きくこの成果が期待できると私は考えておりまして、本県は議員の言われましたとおり食材の王国でございますので、これを食の都にしていこうということで、それを実現するために、六次産業化、言いかえますと、生産、加工、販売といった産業の枠を超えた融合化を図るという試みに今乗り出しているところでございます。
     既に、県を代表する農芸品にクラウンメロンがございます。袋井がその名産地でございますが、クラウンメロンシャーベット、これが安くて同じ味がしているということでございまして、こうしたものができております。あるいは横須賀はサトウキビで有名ですが、あそこでラム酒をつくっているとか、さらに掛川の緑茶と大手の化粧品会社、ここが一緒に組みまして香水をつくっております。こうした、今、多様な商品が生まれつつあります。しかしまだ幼稚な段階でございまして、これからしっかりとした、これを産業に育てていかなくちゃならないと。しかし我々のやっているのを見ながら、例えば韓国の済州島で本県の「やぶきた」を使い、本県のような防霜ファンをもっとしゃれたものにして、そしてそこで化粧品を売っているんです、お茶の。売り方も残念ながらうちより上手ですね。後ろから追いかけられている者は、後ろから追いかけている者に抜かれます。一方、我々は抜き返せばいいわけです。ですから、ぜひそうしたところに出かけていくことも大事でございまして、県では今、六次産業化に意欲のある事業者に対してマーケティング等の専門家を延べ百二十一回派遣し、魅力ある商品づくりを支援してまいりました。さらに全国から量販店などのバイヤー六百三十七社を招いた商談会も開催いたしまして、そのうち四十七件の商談が成立しております。こうした販路開拓の支援にも取り組んでいるところでございます。
     今年度は、これらに加えまして、ものづくりとものづかい、このものづかいの視点をより重視すると。使う側の気持ちに立つ、あるいは使い方を考えるという、そうした視点を重視しまして商品化する前の段階で、消費者やバイヤーから評価、改善提案を受ける試作品評価会というのを七つの農林事務所で開催しています。加えまして試作品の開発や販路開拓に対しましては農商工連携基金事業などによる助成を行うなど、売れる商品づくりを進めているところでございます。
     議員御指摘のように、新東名高速道路が来春、初夏までに開通することになっております。そこに六つのサービスエリアがございます。七つのパーキングエリアがございます。それぞれ西から東まで内陸側を通りますので、農芸品を産出する地域がそこにそれぞれ個性を競うことができる条件が整ったということでございますので、自分たちのものと他のものとがどう違うか、例えばそれを売る建物も含めてですけれども、そうしたことを開通する前に、あるいは建物を建てる前に、お互い見ていただきまして情報交換をし、お互いの個性を競い合っていただきたいというふうに思っております。そうした中で、特産品の販売などのビジネスチャンスが生まれるであろうと思いますので、本県の多彩な地域資源を新しい視点で組み合わせるという六次産業化、ないし新しい価値を創造するニューコンビネーション――新結合の発想に基づきまして、あまたの新商品を生み出す六次産業化の取り組みをさらに加速させてまいります。
     ちなみに、本県の農業以外の業種で、農業に参入したいというのが相当数ございます。そのうち、今六百二十三社の回答のうち一番多いのは建設業でした。一八%。その次、二番目が食品飲料関係、言いかえますと、自分たちは既に食品を持っている、あるいは売っている、ここのところが農業に参入したいというふうに言われていまして、今こういう、実際にお客様に一番身近なところがつくるほうに入ろうとしているということで、一次産業への動きといいますか、ベクトルがそちらの方向に向かっていると、大地への回帰が始まっている。これは非常にいい傾向でございまして、今村先生が一番の基礎が一次産業だと言われたのは、そのとおりであると存じます。こうした動きをさらに加速させてまいる予定でございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 災害時における自治体病院等の連携と役割分担についてお答えをいたします。
     本県では、軽症患者は市町が設置する救護所で、中等症患者は地域の救護病院で、重症患者は県内十九カ所の災害拠点病院で治療を行い、さらに災害拠点病院で対応が困難な重症患者につきましては県外の医療機関に航空機で搬送し治療する広域体制を整備するなど、医療機関等の役割分担と連携により災害時の限られた医療資源で多数の傷病者に対応する医療体制を構築してまいりました。しかしながら今回の東日本大震災の被災状況をかんがみますと、自治体病院が被災し通信手段も途絶え、さらに孤立している情報すら伝わらずに、数日間にわたり医療機能を失った病院に支援が届かないという事態が発生しており、情報伝達や他の医療機関等による相互支援の重要性が再認識されたところです。
     県といたしましては、こうした状況を踏まえまして、災害拠点病院を中心とした各地域の医療機関の連携体制について地域の関係者による協議会等で改めて検証をし、情報伝達の手段や指揮系統の見直しを行うとともに、被災した医療機関への県外の医療支援チームの速やかな派遣等の支援システムを構築するなど、災害時における医療救護体制の充実強化を図ってまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) わが家の専門家耐震診断の対象拡大についてお答えいたします。
     木造住宅の耐震性を確保するためには、筋交い等の耐力壁の必要量を充足させるとともに、その配置バランスも大変重要であり、建築基準法において必要量については昭和五十六年に現行基準に改正され、配置バランスを確認する具体的基準については平成十二年に制定されております。
     東海地震発生の切迫性が指摘されてきました本県では、昭和五十八年に建築基準法の構造規定を補完する木造建築物構造設計施工指針を独自に策定しました。その中で、筋交い等の配置バランスの基準を定めたほか、接合部を金物で補強することや、基礎は鉄筋入りの布基礎とすることなどを盛り込み、平成十二年の法改正前まで指針の周知、指導に努めてまいりました。また平成十二年度に、学識経験者等で構成する静岡県住宅耐震改修等促進方策検討委員会から、阪神・淡路大震災において被害が集中した昭和五十六年以前の旧耐震基準による木造住宅の耐震性の確保を早急に進める必要があるとの意見をいただき、平成十三年度からプロジェクト「TOUKAI―0」をスタートしました。
     県では、昭和五十六年以前の建築で耐震性が低い木造住宅が平成二十年度には約二十六万戸あると推計しており、これらの耐震性の向上が緊急の課題であるため、わが家の専門家診断の対象につきましては、平成二十七年度までの静岡県耐震改修促進計画により昭和五十六年以前の木造住宅に集中して実施してまいります。しかしながら木造住宅の耐震性を確保するためには、平成十二年に改正されました現行基準の耐震性能を満たすことが理想でありますことから、平成十二年以前の木造住宅への対象の拡大については学識経験者等の意見を広く伺いながら研究してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 学校におけるお茶の利用についてお答えいたします。
     お茶にはさまざまな効能があり、子供のころからお茶に親しむ環境を整えることは茶どころであります静岡県の食育を推進する上で非常に大切であると考えております。昨年度学校給食におきまして、緑茶入りパン、ニジマスのお茶揚げ、お茶ゼリー等のお茶を活用した献立がすべての市町で提供されました。また県教育委員会で開催しております親子でつくる学校給食メニューコンクールにおきましても、お茶とサクラエビを上手に利用した作品が入選し、学校給食で実際に献立として提供されております。さらに総合的な学習の時間を活用して茶摘みや茶工場の体験学習、お茶の入れ方教室を実施したり、子供たちに家庭からお茶を持参させ、飲んだりうがいをさせたりするなど、お茶の効用を活用した健康対策を行っている学校もあります。
     県教育委員会といたしましては、今後ともこのような子供たちがお茶に親しむさまざまな取り組みを学校及び市町に広く情報発信するとともに、引き続き関係機関と連携しながらお茶を活用した食育を推進してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 職を求める若者の農業への就労促進についてお答えいたします。
     農業従事者が高齢化し担い手が減少する中、農業の担い手を確保するとともに、職を求める若者に就業の場を提供するという両面から、県におきましては、若者の新規就農支援に取り組んでいるところであります。具体的には十日間程度の農業体験や六カ月程度の短期雇用事業を実施し、農業経験のない若者に対し農業の理解促進を図っております。また本格的に農業法人への就職や自立就農を目指す方につきましては、農林大学校における九カ月間の職業訓練や先進的な農家での一年間の実践研修を実施することによりまして、就農に必要な知識や技術の習得を支援しております。
     こうした取り組みによりまして、昨年度の新規就農者二百二十二人のうち体験や研修等の事業に参加した方が六十七人と約三分の一を占め、県の就農支援策が一定の成果を上げているものと認識をしております。しかしながら県経済産業ビジョンの目標であります毎年三百人の新規就農者を確保するためには、若者の新規就農を一層促進する必要があります。このため六カ月間の短期雇用事業の雇用者数を百九十人から二百四十五人へ拡充いたしますとともに、新たに若者の就農事例を見学するツアーや就農に関するセミナー、個別相談会を開催する事業を今議会にお諮りしているところでございます。さらに策定を進めております雇用創造アクションプランの目標であります三万人の新たな雇用の受け皿となるべく、ビジネス経営体の育成や企業の農業参入への支援などに取り組みまして、農業分野での雇用機会を創出することによりまして、ニートを含む若者の農業への就労を一層支援してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 五番 山本貴史君。
           (五番 山本貴史君登壇)
    ○五番(山本貴史君) 知事におかれましては、大変丁寧な御答弁ありがとうございました。時間がありませんので、幾つか質問と要望をさせていただきたいと思います。
     まずは、耐震診断の対象拡大についてでありますけれども、御答弁では学識経験者などの意見を踏まえ検討していただけるということでございました。これは私も今現在調査中でありまして、実際に耐震診断を行っている現場の方々の声というものを集めさせていただいておりますが、診断をやられる方によりましては、かなりやり方に開きもあるようなことを伺っております。ですので、その質問といたしまして、今学識経験者ということがございましたけれども、現場で従事されている方々の意見も伺っていただけるのかどうか、それを一つ質問させていただきたいと思います。
     次に、教育長にお伺いいたしますけれども、お茶の拡大ということで、お茶の利用についてでございます。御答弁には、パンに入れたりとかゼリーというようなお話がございましたけれども、私は、要は学校の中で、やはり温かいお茶をきちんとした形で飲んでいただきたいと。食育という部分に関しましては、とにかく食べればいいということではなくて、食べるに当たって、やはり日本人としての伝統的な文化であるとか、それを背景とした地域の歴史というものも踏まえた上での食育だと考えておりますので。今、とにかく県内の若い世帯でも急須を持たないという家庭がふえているという現実を踏まえられた上で、本当に私自身は、総合計画の中で正しいお茶の入れ方なんかというのもぜひ取り組んでいただきたいと思っているくらいでございまして、そういったことを踏まえまして県内での拡大をお願いしたいと思いますし、教育委員会の予算だけではなかなかお茶の推進というのは難しいかもしれません。経済産業部等にもぜひ要望して、お茶を子供たちが飲めるような形を図れるようにお願いをしたいと思います。
     時間がまいりましたので、以上で私からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) わが家の専門家診断の再質問についてお答えいたします。
     先ほど、「これから学識経験者等の意見を広く聞きながら研究してまいります」と御答弁申し上げました。その「等」の中には、現場でそういった関係に携わっている方も含めまして、広く意見を伺いながら研究してまいります。以上でございます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 先ほどお茶を使ったいろいろな利用の状況を御紹介いたしましたけれども、山本議員からはお茶を飲むことについてもというようなお話でございました。確かに給食でお茶を飲む、飲用としての給食時の使用の学校数というのは地区ごとにちょっと違っておりまして、中部は非常にいいんですけれども、特に東部についてはなかなか十分な学校数を得ていないというところがありますので、お茶を入れる場合には大きなやかんで入れる、あるいは学校によっては自動の給茶機を設置してお茶を入れているという学校もございます。またそのお茶につきましてはJAからのお茶の提供等というような状況もございますので、総合的に、そういうものを含めまして、各学校に飲用としてお茶を使っている場合の実践状況というんでしょうか、そういうものを各学校に照会する中で、また経済産業部と連携しながら、お茶をたくさんいただけるような対応も図っていきたいなというふうに思っております。以上であります。

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