本会議会議録


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令和4年9月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 09/21/2022
会派名:


○議長(藪田宏行君) 議事日程により、知事提出議案第百七号から第百三十四号まで及び令和三年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) おはようございます。ただいま提出いたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について所信並びに諸般の報告を申し述べます。
 初めに、牧之原市の認定こども園における事故についてであります。
 今月五日、牧之原市の認定こども園において送迎用バス内で発見された園児が亡くなるという大変痛ましい事故が発生いたしました。亡くなられましたお子様の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に対しまして衷心よりお悔やみを申し上げます。
 県では、昨年の福岡県での同様の事案を踏まえ県内の保育施設等に対し安全管理の徹底を求めるとともに指導を実施してきたところであるだけに今回の事態を大変重く受け止めております。
 事故発生後、直ちに市町を通じて保育施設等に対し安全管理の徹底などを再度求めるとともに、今月九日、当該施設の特別指導監査を開始いたしました。現在牧之原市と協力し事故当日の状況や安全管理体制などについて調査をしているところであります。一日も早い事故原因の究明と再発防止に取り組んでまいります。
 また、政令市とも連携し県内の認定こども園や保育所、幼稚園など送迎バスを運行している保育施設等約二百五十施設を対象に国の通知で示す安全管理事項に基づき安全管理の実施状況について調査を行いました。この結果などを踏まえ今月二十七日より現場への立入指導を実施してまいります。
 今後、二度とこのような事故が発生することのないよう国の再発防止に向けた緊急対応策などの状況も注視しながら市町と共に保育施設等における子供の安全管理の徹底に全力で取り組んでまいります。
 次に、物価高騰対策についてであります。
 食料、原材料、エネルギーの価格上昇など物価高騰による県民生活や社会経済活動の幅広い分野への影響が長期化しております。県議会各会派をはじめ県内の様々な皆様から頂いた御意見や御要望を踏まえ、事業者や県民の皆様が安心して暮らしていけるよう追加の対策を九月補正予算案に計上し本議会にお諮りしております。当初予算や五月、六月の補正予算と併せ一体として物価高騰対策を着実に推進してまいります。
 事業者に対しましては、物価高騰による影響を緩和し安定的に事業を継続できるよう幅広い分野への支援を実施いたします。中小企業による価格転嫁やコスト削減の取組に対して支援するほか農業者に対し国等と連携し肥料価格の上昇による負担を軽減してまいります。また林業経営体による県産木材の安定供給に向けた支援や県内の直売所等における農林水産物の消費喚起策などを展開してまいります。さらに運輸事業者や社会福祉施設、私立学校の事業継続が可能となるよう支援策を講じ社会経済活動を下支えしてまいります。
 生活者に対しましては、これまでの補正予算による取組と併せ生活福祉資金の特例貸付期間を延長したほか子供食堂などを通じて県産米を提供し生活に困窮する子育て世帯を支援してまいります。
 引き続き、物価高騰の影響を注視しつつ国の追加対策との連携を図り市町や関係者等と一体となって個々の実情に応じたきめ細かい支援に取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 オミクロン株BA.5等による感染拡大は先月下旬をピークに減少に転じましたが、新規感染者数は直近一週間の平均で一日当たり二千人程度となっており終息にはいまだ至っておりません。今回の感染拡大期では病床使用率が過去最高の八四・七%を記録し、中等症者や重症者の数もオミクロン株の流行後では最多となりました。
 こうした状況を受け七月二十九日には静岡県医療迫警報を発令いたしました。また先月九日から今月三十日まで国のBA.5対策強化地域の指定を受け、迫する医療提供体制や保健所業務を何としても維持できるよう注力してまいりました。
 医療提供体制につきましては、先月十七日に県医師会の紀平幸一会長と県病院協会の毛利博会長より大変厳しい状況にあるコロナ患者受入れ病院の迫解消策を検討するよう要請を頂きました。これを受け先月二十三日に、オール静岡で患者の受入れを進めるため全ての病院に対し感染症法に基づく協力要請を発出いたしました。また保健所業務につきましても、先月二日に新型コロナ療養者支援センターを設置し患者情報の登録処理の自動化やデータの一元化などを進め業務の省力化や集約化を図ってまいりました。
 国は、今月二十六日より医療機関から保健所に提出される発生届の対象を年齢が六十五歳以上であることなど四つの項目に該当する方に絞り込むとの方針を示しました。政令市や県医師会、県病院協会などの関係団体とも連携して準備を進めており、この仕組みの円滑な導入を図ってまいります。さらに今月からオミクロン株対応ワクチンの接種を開始いたします。市町の接種体制確保への支援や県の大規模接種会場の運営、SNSや動画サイトを活用した情報発信などを通じ接種を促進してまいります。
 今後も、社会経済活動の維持と医療迫の回避を両立するため入院病床の確保や検査体制の維持など医療提供体制の確保に万全を期してまいります。また県が医療機関等と病床や発熱外来の確保等に関する協定を締結する仕組みなどが盛り込まれた感染症法改正案につきましても、適時適切に対応できるよう準備を進めてまいります。
 県民の皆様には、引き続き会話や会食の際の適切なマスク着用など基本的な感染防止対策の徹底をお願いいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行に向けた対策についてであります。
 南半球のオーストラリアでは本年五月からインフルエンザが三年ぶりに流行いたしました。現在流行はおおむね終了いたしましたが、過去の傾向などから今後日本国内での流行が懸念されております。特に新型コロナウイルス感染症の流行後に生まれた三歳未満の乳幼児はインフルエンザの免疫がほとんどないため罹患しやすく大流行するおそれがあり、新型コロナウイルス感染症の再拡大と時期が重なるいわゆるツインデミックの可能性もあります。
 このため、三歳未満の乳幼児へのインフルエンザワクチン接種の促進に必要な経費を九月補正予算案に盛り込んだところであります。小児医療現場の迫を回避するため多くの方に接種をお願いいたします。
 引き続き、国、市町、医療関係者の皆様とも連携し新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行の防止に全力で取り組んでまいります。
 次に、地震・津波対策についてであります。
 本年度の総合防災訓練につきましては、先月三十日から今月五日までの防災週間を中心に県内全市町において約四十万人の県民の皆様の参加を得て実施いたしました。今月四日には島田市、牧之原市、吉田町、川根本町、富士山静岡空港などをメイン会場に三年ぶりに県総合防災訓練を実施いたしました。当日は警察、消防、自衛隊などの御協力を得て倒壊した住宅からの救出救助や航空機による負傷者の搬送、救援物資の輸送・受入れなどの訓練を実施いたしました。
 また、感染症流行下の災害を想定した避難所開設・運営訓練を併せて実施し受付における検温や発熱のある方の専用スペースへの誘導など感染拡大を防ぐための手順を確認いたしました。
 今後も、十一月の緊急消防援助隊全国合同訓練や十二月の地域防災訓練、来年三月の津波避難訓練などで実践的な訓練を積み重ね早期避難意識の向上を念頭に地域の防災力向上や災害対策本部の機能強化等を図ってまいります。
 東日本大震災を踏まえて策定した地震・津波対策アクションプログラム二〇一三につきましては、十年間の計画期間の最終年度を迎えております。これまで防潮堤や津波避難施設の整備、避難所の耐震化、資機材の整備、防災訓練の実施など市町と連携しハード・ソフト両面での対策に積極的に取り組んでまいりました。この結果昨年度末時点で想定犠牲者の八割減少に向けて取り組む百八十九のアクションのうち九五%が順調に進しております。
 命を守る安全な地域づくりは今後とも県政の最優先課題であります。これまでのアクションプログラムの実績や近年の災害やコロナ禍で顕在化した課題を総括し市町との連携の下、県議会の皆様の御意見も承りながら次の十年間の指針となる新しいアクションプログラムを今年度中に策定してまいります。
 次に、盛土対策についてであります。
 熱海市逢初川源頭部に残っている土砂につきましては、静岡県盛土等の規制に関する条例に基づき先月一日、前土地所有者に対し土砂の撤去等を命令いたしました。その後定められた期間までに着手が確認できなかったため今月六日、静岡県盛土等対策会議を開催し県が行政代執行により土砂の撤去を行う方針を決定いたしました。準備が整い次第速やかに着手し一日も早く現地の安全を確保してまいります。
 熱海土石流災害に関する県を被告とする損害賠償請求訴訟につきましては、今月五日に静岡地方裁判所沼津支部に提起されました。御遺族、被害者の皆様のお気持ちを真摯に受け止め、今後到達する訴状の内容を精査した上で誠実かつ適切に対応してまいります。
 行政対応の改善につきましては、逢初川土石流災害に係る行政対応検証委員会の最終報告書を踏まえ全庁を挙げて取組を開始しております。このような災害が二度と起こらないよう全ての職員の意識改革や行動変容を促し組織文化そのものを改めます。
 このため、今月十三日に私から改めて幹部職員に対し四点にわたって訓示をいたしました。具体的には第一に現場主義を徹底し現場で何が起きているかをじかに把握すること、第二に職員の間での迅速な情報伝達を徹底すること、第三に関係部局、市町等との緊密な連携を図ること、第四にリーダーシップを発揮すること、これら四点を踏まえて県民の生命と財産を守り抜くという使命に立ち返りしっかりと業務に当たるよう指示いたしました。
 また先月から、管理監督者に期待される役割や一般職員に必要な心構えなどを改めて徹底するため全職員を対象に各所属で個別に説明を行うリレー方式の研修や県、市町職員の法務能力の向上を図るため実際の行政手続の失敗事例を用いた研修などを実施しております。市町に権限移譲した事務につきましても、土木、建築等の技術的判断を要し県民の生命財産の保護等に影響が大きい事務について市町の事務処理状況の点検を進めているところであります。
 今後も、こうした取組を一つ一つしっかりと積み重ね行政対応の改善を確実に進めてまいります。
 土石流の発生原因につきましては、今月八日の逢初川土石流の発生原因調査検証委員会での検証を経て災害発生当時に崩落に至ったメカニズムについて最終報告書を公表いたしました。これを基礎として仮に適切な工法で施工されていれば崩落が回避できたのかなど盛土の施工方法と崩落の関連性についてさらなる解析を進め、再発防止に向けた取組を加速してまいります。
 熱海市逢初川以外の緊急性の高い盛土への対応につきましては、昨年度実施した盛土総点検やその後の市町からの報告などにより確認された百九十五か所の不適切な盛土についてその危険度に応じて対策を進めてまいります。このうち人家や公共施設などに及ぼす危険性が高く早急に安全性の確保が必要となる不適切な盛土七か所につきましては、既に法令に基づく行政指導や現場への搬入防止などに着手しており、今年度内に全て応急対策を講じてまいります。その他の箇所につきましても、現場への巡回監視を継続し安全確保に万全を期してまいります。
 引き続き、不適切な盛土から県民の皆様の生命財産を守り抜く覚悟を持って国や市町など関係者と緊密に連携し全力で取り組んでまいります。
 次に、豊かな社会を支える水循環の保全についてであります。
 人間はもとより生物全てにとって水は命の源であります。健全な水循環の保全に関する施策を集中的かつ総合的に推進するため、静岡県水循環保全条例に基づき七月十九日に私を本部長とする第一回水循環保全本部会議を開催いたしました。本年度は土地取引や開発行為について事前の届出が必要となる水源保全地域を指定いたします。
 静岡県盛土等対策会議と連携して全庁横断的な監視指導体制を強化し、健全な水循環の保全と県民の生命と財産の保護に着実に取り組んでまいります。
 次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。
 七月二十日に県の第八回地質構造・水資源専門部会を開催いたしました。その中でJR東海がトンネル湧水の全量戻しの代替案として公表した田代ダムの取水抑制案につきましては、前回の専門部会で渇水期における実現性を検証し次回報告するよう指摘をしていたにもかかわらずJR東海からは科学的、工学的に実現性を検証できる内容の説明はありませんでした。また河川法上の課題についても説明がなかったことから委員の厳しい指摘が相次ぎ、次回の専門部会で検証されることとなりました。これらを含めて、専門部会で十分な回答を得ていない六十四項目の意見等について先月二十五日にJR東海に対し文書での回答を要請したところであります。
 また、JR東海は田代ダムの取水抑制案について本県に事前の説明がない形で報道発表し、さらに検証途中であるこの案について実施することが可能と記載した冊子も配布しております。JR東海は本県に対して十分なコミュニケーションを取りお互いに納得感を持って検討を進めていくべきであります。
 県といたしましては、国の有識者会議が中間報告で求めた双方向のコミュニケーションとなるようJR東海に対し真摯な対応を求めてまいります。
 また、先月十日には大井川流域八市二町の市町長と私との意見交換会が開催されJR東海との対話や国の有識者会議の状況、本県のリニア中央新幹線建設促進期成同盟会への加盟に対する考え方などについて意見交換を行いました。私からはリニア中央新幹線の早期実現と大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立を図るという基本姿勢は全く変わっていないことなどを説明し、市町長からは県の専門部会委員と情報交換の場を持ちたい、また頻繁に意見交換を行い意思疎通を図っていきたいとの御意見がありました。引き続き流域市町や利水者とも情報共有を図りながら一体となって取り組んでまいります。
 先月二日に開催された国の第二回環境保全有識者会議では、県からJR東海との対話の状況、論点、課題等を説明し、三十一日に開催された第三回会議では静岡市がユネスコエコパークに対する活動、リニア中央新幹線建設に関する発生土の処理に課題があるとの認識等を説明しました。JR東海の発生土処理計画については、これまで県専門部会からも三百六十万立方メートルもの土砂を周辺の脆弱な地質状況が懸念される箇所にまとめて盛土することや重金属を含む十万立方メートルの要対策土を処理することなどには課題があると指摘されております。県としても現在の要対策土の処理計画では静岡県盛土等の規制に関する条例により認められない旨を国の有識者会議の場で明確に説明したところであります。
 今後も、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の発生土処理については県条例等に基づき適正に対応してまいります。
 リニア中央新幹線建設促進期成同盟会につきましては、七月十四日に全会一致の了承が得られ本県の加盟が認められました。期成同盟会の規約では会の目的達成のため建設促進に関する調査研究及び広報啓発を行うことが明記されております。また先月九日の臨時総会では沿線各地の工事の進状況の正確な把握とその共有の重要性が確認されたところであります。またJR東海が二〇一〇年五月の国の交通政策審議会第三回中央新幹線小委員会に提出した資料では、リニア中央新幹線の建設工事は実験線の延伸完成から間断なく着手することが重要とされており、この進状況を確認することが重要であります。
 このため、まずは今月七日、山梨リニア実験線から近い距離にある神奈川県駅  仮称  や藤野トンネルの大洞非常口の工事現場を視察いたしました。JR東海からは現状などの説明を受け、これらの建設はおおむね順調であることが分かりました。
 一方、視察の移動途中で関東車両基地の整備予定地を通過した際、現時点で用地取得が完了していないこと、仮に用地取得が今年度中に完了してもJR東海の現計画では基地整備に十一年を要するとされており、このままでは竣工は二〇三三年頃になると考えられることなどが分かりました。
 期成同盟会におきましては工事の進状況の正確な把握とその共有が重要でありますことから、この現状を文書として取りまとめ今月九日会長の愛知県をはじめ構成都府県に送付したところであります。
 また、今月十四日には山梨県駅  仮称  予定地や周辺の工事現場を視察いたしました。JR東海から説明を受け、二〇二七年開業に向け順調に進んでいることを確認いたしました。
 この前日にはJR東海の金子慎社長からの申入れを受け約二年ぶりに直接面談いたしました。
 JR東海の計画によれば山梨工区と長野工区には本県内の区間が含まれており、このまま工事が進めば本県内の水が県外に流出することになります。このためJR東海が現計画の工区を設定した理由の説明、工事をいつ止めるのかについての協議の開始などを要請いたしました。このほか現在の進状況や発生土処理の問題について直接コミュニケーションを取ることができました。
 県といたしましては、今後ともリニア中央新幹線の建設と大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため国と協力してJR東海との対話を推進してまいります。
 次に、国際バカロレア教育の推進についてであります。
 世界に貢献できる人材の育成を目指し探究的学習を特色とする国際バカロレア教育につきましては、金谷高校所在地に開校予定の志榛地区新構想高等学校に県内の公立高校として初めて導入することを決定いたしました。令和八年度のカリキュラム導入を目指し国際バカロレア機構への申請や教員養成などの準備を進めてまいります。
 県内のグローバル教育や探究的学習の推進拠点として国際バカロレア教育を軸に多様性や自由を尊重する全く新しい学校づくりを推進し、真に国際社会で活躍できる人材を育成してまいります。
 次に、静岡社会健康医学大学院大学についてであります。
 県民の皆様の健康寿命のさらなる延伸に向け科学的な知見に基づく健康づくりを一層推進することが求められている中、静岡社会健康医学大学院大学に博士課程を設置することについて先月三十一日、文部科学大臣から認可されました。本県の健康寿命延伸の中核的役割を担う知と人材の拠点として、さらなる高度な学識と研究能力を身につけた人材を養成するべく令和五年四月の設置に向けた準備を着実に推進してまいります。
 次に、県内企業のイノベーション促進についてであります。
 社会全体のデジタル化の急速な進展により産業構造が大きく転換する中、県内企業にデジタル技術を取り込み新たな価値を生み出すビジネススタイルを確立することが急務となっております。
 県内企業と首都圏を中心としたスタートアップとの協業を促進するTECH BEAT Shizuokaにつきましては、この二年間コロナ禍でオンライン開催となりましたが、場所等の制約がなくなったことにより新たな出展企業、参加者が拡大するとともに、医療版や農林水産業版など多様な分野に展開したことで一層取組の裾野が拡大いたしました。今年度は七月二十日、二十一日にグランシップを会場に実地とオンラインを併用するハイブリッド形式で開催いたしました。スタートアップや県内企業七十六社が出展する中、オンライン参加も含めますとコロナ禍前と同程度の三千五人の参加者があり百件を超える対面商談が行われたところであります。
 今後も、こうした企業間のマッチングに加え市町等と連携したICT関連企業の誘致や高度なデジタル人材が集う交流拠点の整備などにより県内企業のイノベーションの創出を強力に促してまいります。
 次に、茶業振興についてであります。
 世界お茶まつりにつきましては、春に続き秋の祭典を来月二十日から二十三日までグランシップを拠点に開催いたします。初日には藪田県議会議長をはじめとする県議会議員の皆様、韓国、タイ、ミャンマー三か国の大使、茶業関係者など約二百人の皆様に御出席頂き開会式を執り行います。
 主要プログラムであるワールドO―CHAマーケットでは、約百二十事業者が参加し会場内で展示販売を行うほか初の試みとして世界のバイヤーと県内茶業者とを結ぶオンライン商談サイトを秋の祭典の前後二か月間にわたって開設いたします。品質に優れた静岡茶を世界に向けてPRし新たな販路を開拓してまいります。
 このほか、国内外のお茶愛好家が各国の喫茶習慣やお茶の楽しみ方を披露する世界大茶会や全国の小中学生がお茶の知識や技能を競うCha―1グランプリ、各界の専門家が茶業の歴史や茶文化の変遷、健康づくりなどを議論するシンポジウムなどO―CHAで元気な笑顔!をテーマに十六か国の関係者の参加を得て産業、文化、学術に関する二十のプログラムを展開してまいります。
 深く豊かな味わいを誇る静岡茶の魅力や日本の茶文化の奥深さ、茶農家の高い生産技術などを世界中の人々に発信し静岡茶の需要拡大を図ることにより本県茶業のさらなる発展に取り組んでまいります。
 次に、東アジア文化都市についてであります。
 先月二十六日に開催された日中韓文化大臣会合におきまして、東アジア文化都市の来年の開催都市に本県が選定されました。同日に行われた宣布式には私も出席し永岡桂子文部科学大臣から選定証書を受領いたしました。
 東アジア文化都市は欧州文化首都の制度をモデルとしております。欧州文化首都はヨーロッパにおいて各国のアイデンティティーの源である文化を相互に理解し欧州内を結びつけることを目指し、毎年文化の首都を定めて交流を行うものであります。東アジア文化都市も東アジア域内の文化の相互理解と連帯感の促進を目指すものであり、本県は日本における文化首都として本県をはじめとした日本の文化芸術を世界に発信する名誉ある地域に選ばれたものであります。
 来年は、本県に加え世界文化遺産の都江堰水利施設により水を引き入れ文明の礎を築いた中国四川省の省都成都市や中国広東省の梅州市、後百済の都であり朝鮮王朝の発祥の地である韓国の全州市の四都市が一年間にわたり都市間交流や様々な文化芸術事業を実施いたします。
 日本のシンボルである霊峰富士を擁する本県では、多彩な文化が花開くガーデンシアターというコンセプトの下、二月二十三日の富士山の日を皮切りにゴールデンウイークには中国、韓国の各都市の代表をお招きし本県において華々しく開幕式典を行うのをはじめ本県独自の文化芸術イベントを切れ目なく開催してまいります。
 来年は富士山の世界文化遺産登録から十年の節目の年となります。本県が日本の文化首都としてスポーツ文化、食文化、ファッションも含め本県をはじめとした日本の文化芸術の魅力や価値を世界に発信してまいります。
 次に、ガストロノミーツーリズムの推進についてであります。
 本県では、ガストロノミーツーリズムとして多彩で高品質な食材と自然や景観、歴史・文化などの観光資源を融合し来訪者に感動体験を提供する取組を推進しているところであります。
 去る七月には、ふじのくに地球環境史ミュージアムにおきまして料理関係者等六十人を対象に一流シェフによる県産食材を使用した調理の実演や食材の生産が盛んになった歴史、食文化が育まれた自然環境や文化的背景などへの理解を深めるワークショップを開催いたしました。また本年十一月からはカツオの水揚げ量日本一を誇る焼津を舞台にカツオ漁や鰹節作りの歴史、地域に伝わる食文化を学びだしのうまみを生かした旬の料理を味わう旅など地域の特性を生かした先導的なモデルツアーをスタートいたします。本県が世界に誇る多彩で個性豊かな食と食文化をさらに磨き上げ、国内外の人々を引きつける新しいツーリズムを生産、料理、観光など各分野の関係者と連携して強力に推進してまいります。
 次に、富士山静岡空港についてであります。
 本年四月から先月までの国内線の搭乗者数は約十四万五千人で、前年同期の約二・三倍となるなど確実に回復してまいりました。一方全便の欠航、運休が続いている国際線につきましては受入れ再開の遅れが県内経済回復の遅れにつながりかねないと県内経済界から早期受入れ再開の要望を頂いております。現在国は国管理の主要七空港に加え仙台、広島、高松の各空港で国際線の受入れ再開方針を示していることから七月に国土交通省に対し富士山静岡空港における早期受入れ再開を要望したところであります。
 また、先月三日には出野副知事が韓国を訪問し現地航空会社と意見交換を行いました。その結果、今後の航空需要の喚起に向けた共同プロモーションの実施など就航再開に向け緊密に連携していくことに合意いたしました。本議会にお諮りしている九月補正予算案に就航先での本県の認知度向上や需要喚起を図るための経費を計上したところであります。
 国際線の運航に伴うインバウンドの増加は、本県経済に大きな波及効果を生み地域の活性化をもたらすものであります。引き続き国への働きかけや航空会社や旅行会社と連携した需要喚起策などを強力に進め、十二月中の国際線運航再開を目指し全力で取り組んでまいります。
 次に、スポーツの聖地づくりについてであります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技大会の貴重な経験は静岡県民の大いなる財産であります。これを発展的に継承していくため本年一月に設置したスポーツコミッション推進本部を核として県内各地で様々な取組を進めてまいります。
 ラグビーにつきましてはシズオカ・ショックの舞台  エコパスタジアムに誘致した女子日本代表とアイルランド代表とのテストマッチが先月二十日に開催され、来月のワールドカップ本大会を見据え白熱した試合が展開されました。
 サイクルスポーツにつきましては、来月二十八日から三日間、東京二〇二〇大会の会場  日本サイクルスポーツセンター伊豆マウンテンバイクコースにおきまして国内外のトップレベルの選手が集うジャパン・マウンテンバイク・カップを開催いたします。こうした大会の誘致などに加えジュニアアスリートの育成や健康づくりプログラムの開催などを積み重ね、スポーツを核とした持続可能な地域経済の活性化モデルを構築してまいります。
 本県が得たレガシーを確実に後世に継承していくため市町や競技団体、経済、観光、教育、医療など様々な関係者と連携をいたしましてスポーツの聖地づくりを推進してまいります。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区の公園基本計画の策定についてであります。
 遠州灘海浜公園篠原地区につきましては、先月五日に浜松商工会議所から、二十二日には浜松市長から、今月九日には静岡県野球協議会からそれぞれ野球場や公園整備に関する御要望を頂きました。地域の皆様の熱い思いを受け止め、将来にわたり末永く県民に愛され利用される施設となるよう公園基本計画の策定作業を進めております。本議会中には中間報告として施設配置計画、野球場の規模、構造などをまとめた複数の整備案とそれぞれの概算事業費や経済波及効果等を公表いたします。
 今後は、アカウミガメに対する環境影響評価調査の結果も踏まえ県議会や県民の皆様の御意見も伺いながら県西部のスポーツの拠点としてふさわしい公園の実現に向け着実に取り組んでまいります。
 続きまして、九月補正予算案の概要についてであります。
 今回の九月補正予算案は、物価高騰対策、後期アクションプランの推進など当初予算編成後の事情変化により必要となった経費について編成いたしました。その結果一般会計補正予算の規模は八十五億六千四百万円で、これを加えました本年度の予算の累計額は一兆三千八百六十一億七千五百二万六千円となります。
 次に、予算以外の議案のうち主な案件につきましてその概要を御説明申し上げます。
 第百八号議案から第百十号議案は、地方公務員法の一部を改正する法律の施行に伴い職員の定年年齢等を改めるための条例の改正等であります。
 第百十四号議案から第百十七号議案までは、県が行う道路整備事業、土地改良事業等に対する市町の負担額を定めるものであります。
 第百十八号議案から第百二十八号議案までは、農業土木工事等の契約についてお諮りするものであります。
 第百三十二号議案は、任期満了に伴う教育委員会委員の任命について同意を求めるものであります。
 また、令和三年度の一般会計、特別会計、企業会計合わせて十七会計の決算につきましては、監査委員の審査を経ましたので議会の認定に付するものであります。
 以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。よろしくお願いいたします。
○議長(藪田宏行君) 以上で説明は終わりました。

○議長(藪田宏行君) 休会についてお諮りします。
 議事の都合により、九月二十二日は休会とすることに御異議ありませんか。
       (「異議なし」と言う者あり)
○議長(藪田宏行君) 異議なしと認め、そのように決定しました。

○議長(藪田宏行君) 次会の議事日程を申し上げます。
 九月二十六日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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