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本会議会議録

議会補足文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用




平成22年2月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 02/23/2010
会派名:



    ○議長(浜井卓男君) 議事日程により、知事提出議案第一号から第九十号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 提出議案の説明に先立ち、去る一月一日御逝去されました故山村利男議員に心から哀悼の意を表します。
     山村議員におかれましては二期七年にわたり、卓越した識見と行動力とをもって県勢の発展のために献身的な御尽力を賜りましたことに深く感謝を申し上げますとともに、御冥福を心からお祈り申し上げる次第であります。
     それでは、平成二十二年度の当初予算案並びにその他の議案を提出するに当たり、その概要を御説明申し上げ、あわせて当面する県政の課題について所信の一端を申し述べます。
     本日二月二十三日は本県にとって最初の富士山の日であります。山梨県と共同で定めました富士山憲章に基づき、改めて日本すなわちふじのくにのシンボル富士山に思いを寄せ、学び、そして考え、本日ばかりは富士山の自然、環境、伝統、文化を大切にし保存するために、何がしか自分のできることをなし、それを後世に引き継ぐことを期する大事な一日であります。
     皇太子殿下の誕生日でもあります。心からことほぎたく存じます。
     私はこの記念すべき日に当たって、ふじのくにの大地の発する声なき声に耳を傾けたく存じます。我らの大地は「富士山のような日本一高い志を持て」、そして「その傍らに屏風のごとく展ひろがる南アルプスのように絆を固めよ」、「富士川・安倍川・狩野川などがそそぐ駿河湾のごとき深い想いをいだけ」、「南にひろがる太平洋のように大きな夢を育てよ!」、まさにこのような大地の声なき声を現実の形にしていくことこそ、ふじのくに、すなわち東西の文化が交流し、東西の文明が調和する静岡県の持つ可能性であり使命ではありますまいか。
     「ふじ」と声を発すれば、そこに言霊が宿ります。それを漢字で表せば、物の豊かさと心の豊かさの両立を意味する「富士」、尽きることのない価値の源泉としての「不尽」、オンリーワンの「不二」など、多様な意味の深さと広がりを持ちます。
     ふじのくにの霊峰富士山は、縄文、弥生時代以来の日本の歴史の波に洗われながら信仰の対象となり、あこがれや美の対象として芸術の源泉となり、人生の充実感に深みを増す山登りの目標ともなってまいりました。
     そのような富士山を抱く静岡県の県政運営の基本理念は、富士山に恥じないように、「富国有徳の理想郷“ふじのくに”」づくりとするのがふさわしいと存じます。
     その理念を実現するために、「天災は忘れたころにやってくる」ということわざを忘れず、まず何よりも危機管理に万全を期さねばなりません。危機管理を怠らず、その上で有徳の人材を集め物心ともに豊かな社会を築き、地域主権に向けて自立の基礎を固めていくことを目指してまいりたく存じます。
     まず目を向けるべきは、ふじのくにの大地であります。足元の大地をしっかり見詰め、その秘めたる場の力――場力を引き出すことであります。場力を引き出す方法は、現場でよく見聞きし、現場で考え行動する現場主義であります。
     場力を最大限に引き出すためには出会いや交流が極めて大切です。
     そこで、交流を活発にいたしたく存じます。出会いや交流は創意工夫の源だからであります。創意工夫から生まれるイノベーション、それはさまざまな人・物・わざの新しい結合を生みます。すなわちシュンペーターの言う経済発展の根幹になる新結合であります。さまざまな新結合によって、我々が目指す社会は「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、「住んでよし 訪れてよし」の日本の理想郷であります。
     目下そのグランドデザインである今後十年程度の基本構想を描いているところであります。
     この基本構想につきましては、各界の有識者である“ふじのくに”づくりリーディング・アドバイザーからの御提言を取り入れつつ、去る二月十八日に本年度第三回の総合計画審議会で御審議いただいたところであります。今年度内に基本構想を取りまとめ、最初の四年間に行う具体的な取り組みである基本計画を盛り込み、県議会での御議論、御意見をいただいた上で年内に総合計画を策定してまいります。
     平成二十二年度当初予算編成は、国の地方財政対策における地方交付税の一兆円増額により、本県においても地方交付税は前年度当初予算額を上回る状況ではありますが、一昨年来の世界的な景気低迷の影響により法人二税を中心に県税の大幅な減収が見込まれています。加えて介護保険や高齢者医療を初めとする社会保障関係費等の増加が見込まれるなど、極めて厳しい財政環境下での予算編成となりました。
     このため、内部管理経費はもとより投資的経費、経常的経費にわたる事業の重点化や効率化、事業仕分けの結果を踏まえた見直しのほか、未利用財産の売却を初めとする歳入の確保などによる財源捻出を図りながら、「富国有徳の理想郷“ふじのくに”」づくりを県民の皆様とともに進めていくために必要な予算を編成いたしました。
     この結果、一般会計の歳出総額は一兆一千二百六十五億円で、前年度当初予算比〇・五%の減と前年度をやや下回る規模となりました。また特別会計は公債管理特別会計予算外十二会計で総額四千九十三億七千九百万円、前年度当初予算比一四・一%の減、企業会計は工業用水道事業会計予算外三会計で総額五百六十三億一千百万円、前年度当初予算比一二・四%の減であります。
     予算編成と組織定数改編の基本方針の第一は、県民生活を守る危機管理の充実と緊急雇用・経済対策であります。
     去る一月十二日のハイチにおける大地震では、想像を絶する死傷者や家屋の倒壊など甚大な被害が発生いたしました。犠牲になられた方々に哀悼の意をあらわすとともに、被災された皆様に対してお見舞いを申し上げます。
     危機管理はふじのくにづくりに最も大切な自立の基礎であります。県民の皆様が安心・安全に暮らすことができるよう新たに危機管理部を設置いたします。地震対策を初めとする危機管理対策に全庁を挙げて全力で取り組んでまいります。
     県有施設につきましては、平成二十三年度末を目途に耐震化を図るため計画を前倒しして取り組んでまいります。医療施設のうち災害拠点病院については平成二十五年度までに、障害者入所施設については平成二十三年度までに耐震化を図るとともに、引き続き私立学校の耐震化を支援してまいります。
     また、木造住宅の耐震補強につきましては、プロジェクト「TOUKAI―0」の推進により、一月末現在の累計で一万八百戸を超えたところであります。平成二十七年度末までに耐震化率九〇%の目標達成に向けて、市町や民間団体と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
     地震対策につきましては、近年の大規模災害の教訓から生存の可能性の高い発災後七十二時間に焦点を当て、この間の応急対策を効率よく迅速に実行するため、道路や救護所、ヘリポートなど発災時に必要となる情報をデータベース化し、防災関係機関等との情報の共有化に取り組んでまいります。
     また、発災直後の救助隊員の投入や負傷者の広域搬送等を行う上で、ヘリコプターの機動力の活用が大変有効であります。富士山静岡空港と自衛隊の静浜基地を拠点として、原則として各市町に拠点へリポートを一カ所選定し、地表面や散水設備等の必要な整備を促進し、県内全域を三十分以内でカバーする空のネットワーク化を進めてまいります。
     防災・原子力学術委員会につきましては、元文部科学大臣の有馬朗人氏の推薦をもとに委員の選任を進めてまいりましたが、有馬顧問、松井孝典会長ほか、地震、火山、防災情報、原子力など各分野の専門家九名で発足することとなりました。この会議により、原子力発電所に関する事案を初め想定される東海地震など本県にかかわる災害とその対策について、科学的、技術的観点から県の政策に適切な助言をいただくとともに、さまざまな情報を県民の皆様に伝えてまいります。あわせて地震、災害などを人間や社会、自然との関係といった観点からも考察していただけるものと考えております。
     次に、緊急雇用・経済対策であります。
     本県経済は、在庫調整の進捗や経済対策の効果等から景気は下げどまり、一部では持ち直しているものの十二月の有効求人倍率は〇・四一倍で依然として過去最低水準にあるなど、雇用情勢は冷え込んだ状態が続いていると考えております。
     県といたしましては、こうした経済情勢の中で現場や有識者からの意見を踏まえながら、緊急経済・雇用対策に取り組んできたところであります。さらに国の第二次補正に対応して、雇用創出や生活困窮者に対する住宅確保支援を行う緊急雇用創出事業臨時特例基金を積み増す経費などを二月補正予算案として今議会にお諮りしております。来年度は基金を活用して引き続き民間からのアイデアを積極的に募集し、介護や医療、農林水産などの分野を重点に雇用の創出や人材育成を行います。さらに市町が行う同様な事業に対して助成するなど、事業の規模を大幅に拡大し雇用機会の創出に取り組んでまいります。
     就職支援対策につきましては、高校や大学の新卒者が厳しい就職環境に置かれていますので、就職面接会の開催回数を十回から十五回にふやすほか、県下三カ所の就職相談センターでは十八人の就職サポーターにより相談、支援を行ってまいります。また障害者の雇用を促進するため、二十人の求人開拓員が積極的に企業を訪問するなど、きめ細やかな支援を行ってまいります。今後ともハローワークや関係機関と連携し、基金を活用した雇用機会の創出、就職支援対策の強化を図るなど、雇用対策に全力で取り組んでまいります。
     基本方針の第二は、ふじのくにづくりに向けた組織定数改編と行財政改革の推進であります。
     組織改編につきましては、危機管理部と文化・観光部を新設し八部体制といたします。地震災害などの非常時に備えた危機管理や、陸・海・空の交通ネットワークを活用した交流人口の拡大といった重要課題に取り組む体制を整えるとともに、知事の直下に置く部の名称を県民の皆様にわかりやすい名称に改めることといたします。
     行財政改革の推進につきましては、本県では無駄を徹底的に排除した見える県政を実現するため、事業仕分けを初め常に国より半歩先の行政改革を実践しております。今後も国や他の自治体の手本となる行政経営を行ってまいります。そのために有識者や経営者等から成る仮称ふじのくに行政革新戦略会議を設置し、県内外から幅広い御意見をいただきながら新しい地域経営のあり方について検討してまいります。この会議における意見や提言につきましては、本県のこれまでの行政改革の成果や課題を十分に踏まえた上で積極的に取り入れ、ふじのくにの行政経営の方針となる新しい行財政改革プランの策定に役立ててまいります。
     また、今年度実施した事業仕分けは、県の事業の根本的な見直しによる経費の節減、透明性の向上による県民参画の推進、職員の意識改革による行政の質の向上など多くの改革成果があり、本県を大きく変える第一歩であったと思います。来年度におきましても、実施方法や対象事業等を検討した上で引き続き事業仕分けを実施し、効率的で透明性の高い県政を実現してまいります。
     基本方針の第三は、ふじのくにづくりの重点施策の推進であります。
     県民生活の理想の姿である「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、「住んでよし 訪れてよし」の地域の実現を目指した施策を展開してまいります。以下、重点施策の概要及び県政の課題について御説明申し上げます。
     第一は、有徳の人づくりであります。
     有徳の人の育成につきましては、平成二十二年度に重点的に推進する施策の方向性と具体的な取り組みを理想の学校教育具現化二〇一〇としてまとめ実施してまいります。また県の総合計画の策定と連携して、平成二十三年度から十年先を見通した新しい静岡県教育振興基本計画の策定を進めてまいります。
     静岡式三十五人学級編制につきましては個に応じたきめ細かな指導の一層の充実を図るため、平成二十五年度を目途に国に先んじて県独自で全学年で実施してまいります。平成二十二年度は、まず静岡式三十五人学級編制を中学三年生及び小学六年生にも拡大するとともに、小学一年において実施しております支援員の配置を小学校二年にも拡大してまいります。
     また、中学校区単位で学校教育を支援する学校支援地域本部の設置をさらに進め、学校、地域、家庭が一体となって地域ぐるみで子供を育てる体制を整え、教員の子供と向き合う時間の拡充や地域の教育力の向上を図ってまいります。
     次に、青少年の健全育成についてであります。
     本年八月、富士宮市の朝霧高原で国内外から約二万人の関係者が参加して行われるボーイスカウトの祭典第十五回日本ジャンボリーの開催を支援してまいります。また中国浙江省と本県青少年との相互交流を通じ、多文化共生社会の中で地域に貢献できるふじの翼グローバルリーダーの養成を図るとともに、昨年台湾の四市縣と締結いたしました青少年の相互交流推進に関する協定に基づき、本県高校生の野球選抜チームを台湾に派遣いたします。
     次に、県立学校の施設整備についてであります。
     本年四月に、大仁高等学校と修善寺工業高等学校との再編により整備した伊豆総合高等学校が開校いたします。静岡南高等学校と静岡市立商業高等学校を再編整備する静岡地区新構想高等学校は、静岡市立商業高等学校の校地を設置場所として、平成二十五年度の開校を目指して準備を進めてまいります。二俣高等学校及び天竜林業高等学校を再編整備する天竜地区新構想高等学校は、天竜林業高等学校の校地及び二俣高等学校のグラウンドを設置場所として、平成二十六年度の開校を目指して準備を進めてまいります。
     特別支援学校につきましては、本年四月に清水特別支援学校及び袋井特別支援学校磐田見付分校を開校いたします。また平成二十三年度の松崎高等学校、富士宮北高等学校、浜松城北工業高等学校内への分校設置に向けて準備を進めてまいります。
     次に、静岡文化芸術大学につきましては四月一日の公立大学法人化に向け準備を進めておりますが、去る一月八日には総務省及び文部科学省に法人設立認可申請し、三月中旬にも認可を受ける予定となっております。静岡文化芸術大学は、理事長をお引き受けいただいた有馬朗人先生、引き続き学長をお願いする熊倉功夫先生、文化・芸術研究センター長にお迎えした作曲家三枝成彰さんを中心に新たな体制のもとで運営されていきますが、公立大学法人化により、法人の運営の安定性が確保されるとともに継続的な業務改善が図られるなど、さらに魅力ある大学となっていくものと確信しております。
     第二は、憧れを呼ぶふじのくにづくりであります。
     初めに、観光交流の促進についてであります。
     富士山静岡空港を活用した東アジア地域等との交流拡大を図るため、現地の旅行会社に対するセールス活動や旅行会社、メディアの招聘等により、本県を訪問する旅行商品の開発、販売を促進し、国際観光地を形成してまいります。
     また、富士山と食をテーマとした観光キャンペーンのほか、観光圏の整備を初めとした魅力ある観光地づくりへの支援、夏山登山期間における富士山への観光案内人の配置、食や宿のガイドブック作成等を行い世界に誇れる観光ブランドの確立を図ってまいります。さらに本県の豊かな自然、文化、産業などの地域資源を活用したニューツーリズムやジオパーク構想を推進し、新たな観光の魅力を創出してまいります。
     このほか、交流人口の拡大による地域経済の活性化を図るため、国際会議や展示会などの誘致にも積極的に取り組み観光交流の一層の拡大を図ってまいります。
     次に、富士山静岡空港についてであります。
     昨年六月四日の開港から八カ月が経過いたしましたが、世界的な景気の低迷や新型インフルエンザの影響で全国的に航空需要が低迷する中、約四十三万人の方々に御利用いただき心から感謝申し上げます。
     県では、富士山静岡空港利活用戦略本部会議や有識者で構成する富士山静岡空港の魅力を高める有識者会議を設置し、空港の利便性向上や利活用促進策の検討と実施に全力で取り組んでいるところであります。
     本年は中国上海便の需要拡大と浙江省との友好交流促進による交流人口増加を図るため、習近平中国国家副主席との会談でも話題になりました、富士山の標高にちなむ三千七百七十六人規模のふじのくに三七七六友好訪中団を、五月一日から六カ月間開催される上海万国博覧会の会期を中心に派遣いたします。
     また、ソウル線につきましても引き続き利用拡大に取り組むとともに、台湾、香港、タイなどへのチャーター便の就航により富士山静岡空港の魅力をさらに高めてまいります。
     空港の整備につきましては、航空機の離発着が混雑する時間帯の円滑な駐機スポットの運用やビジネスジェット等の受け入れ促進、リージョナル航空事業の拠点化等に対応するため、平成二十三年度中の供用開始を目指し既存の駐機場の西側に新たな駐機場を整備してまいります。
     日本航空撤退後の札幌線、福岡線につきましては、フジドリームエアラインズによる両路線の就航が決定し、現在のサービスの水準を維持できるものと心強く思っております。
     今後も富士山静岡空港利用促進協議会、旅行会社、観光団体等の関係機関と連携し、さまざまな利用促進策を適時適切に講じながら、空港需要の拡大と路線の維持、充実に努めてまいります。
     また、日本航空と運航支援に係る覚書を締結している福岡線につきましては、開港以来あらゆる方策を講じて目標搭乗率の達成に向けて取り組んでまいりました。そのような中、日本航空が平成二十二年四月からの撤退を表明しながら本県に運航支援金を請求することは、覚書の趣旨に反する信義則違反に当たるものと考えておりますので、今後同社から運航支援金の支払いを求められましても応じることはできないと考えております。
     次に、大学と連携したまちづくり構想についてであります。
     学術を中心として文化芸術等との連携を進め、学生を初めとする若者が集いにぎわう学住一体のまちづくりを図るため、東静岡駅から有度山に至る地域のグランドデザインや、ふじのくににふさわしい大学コンソーシアムなどについて調査研究を進めてまいります。
     次に、ふじのくに芸術街道についてであります。
     昨年の国民文化祭を契機としました文化芸術活動の盛り上がりを維持し地域の文化力を高めていくため、県に期待されている役割は県民の自主的な文化活動を支える機能の充実であります。
     このため、文化に関する情報の提供やアートマネジメントができる人材の育成、古典芸能や祭りなどの文化資源の継承、活用などに取り組んでまいります。こうした取り組みを通じ、県内各地で四季折々に多彩な文化芸術活動が展開されるふじのくに芸術街道の実現を目指してまいります。
     第三は、一流のものづくりとものづかいの創造であります。
     高度なものづくりの技術や人材、多彩な農林水産物など本県が有する資源を最大限に活用しつつ、生産と消費を一体的にとらえ、ものづくりとものづかいの結合による本県の産業構造の転換を促進してまいります。
     一次産業を基本とした食と農の改革につきましては、ふじのくにグリーンニューディールとして取り組んでまいります。具体的には、ふじのくにの食文化の創造に貢献する人材の表彰や、料理に合わせ本県の歴史や文化、自然などを学ぶ講座の開設、本県のすぐれた農林水産物などをふじのくにブランドと位置づけた販路拡大、生産者と食品メーカーのマッチングによる六次産業の創出支援などにより、新たな食の文化や産業興しによる食の都づくりに取り組んでまいります。
     さらに、体験、研修を通じた新たな担い手やビジネス経営体など農林業を支える人づくりや、二千ヘクタールの耕作放棄地解消、農業者の経営規模の拡大、新たな産地の育成などにも取り組んでまいります。
     次に、ふじのくに新産業創出プロジェクトの推進についてであります。
     地域資源や産業基盤の特性を生かした静岡新産業集積クラスターや、市場規模の拡大が見込まれる医療・福祉機器、ロボット、航空宇宙など新たな成長分野への中小企業の進出を促進してまいります。また県内各地での技術セミナーの開催や国内外における展示会への県内企業の出展支援、試作品等の開発費に対する助成など、国の新成長戦略の中で我が国の強みを生かす成長分野として示された環境分野や健康分野などへの中小企業の積極的な参入を支援してまいります。
     次に、中小企業対策の推進についてであります。
     厳しい経済環境下における資金需要に対応するため、中小企業に向けて前年度当初予算と同額の二千億円の融資枠を確保いたします。また既往債務の返済負担の軽減を図るため借換制度の拡充を行うなど資金調達の円滑化を図るほか、中小企業の経営革新や新商品等の開発、販路開拓に対する支援を行うなど中小企業対策に積極的に取り組んでまいります。
     次に、本県茶業の振興についてであります。
     消費者の嗜好の多様化に対応するため、中山間地域の特色を生かした一〇〇銘茶づくりを推進するとともに、静岡茶の輸出促進を図るため、アメリカなどに対して静岡の茶文化や食文化を生かした新たな消費スタイルを提案してまいります。また本年十月に開催する第四回世界お茶まつりにつきましては、茶産業の創出と拡大、茶文化の普及と創造などを目指して、世界各国からお茶に関する産業、文化、学術が集結する総合イベントとして、お茶の魅力を世界に発信してまいります。
     次に、県産材の安定供給についてであります。
     森林の適正な管理を実現するため、伐採適期に達している森林の利用間伐の促進が必要であります。このため森林施業の集約化や林内路網の整備、林業機械を活用した作業のシステム化などを推進し、低コストで安定的な生産体制を構築してまいります。
     第四は、和を尊重する暮らしの形成についてであります。
     初めに、地球温暖化対策についてであります。
     国は、今後十年間で温室効果ガス排出量を平成二年度比二五%削減するため、あらゆる政策を総動員してチャレンジ25に取り組んでいくこととしています。
     県といたしましては、地球温暖化の防止に向け、これまで以上に積極的な取り組みが必要となります。平成二十二年度末までに温室効果ガス排出量を一二%削減することを目標に取り組んできたストップ温暖化しずおか行動計画にかわり、平成二十三年度を開始年度とする新たな実行計画の策定準備を進めてまいります。
     また、本県の豊かな自然のエネルギーを活用した新エネルギーの導入を進め、エネルギーの地産地消を目指し、産学官の連携による新エネルギーの開発と導入の促進策を検討するとともに、中小企業や一般家庭の太陽光発電施設等の新エネルギーや省エネ設備の導入を支援してまいります。
     次に、ふじのくに定住促進についてであります。
     一人一人の住スペースの拡充や自然を感じられる環境を整えて、それぞれの家族がライフスタイルに応じて都市的生活や田園生活を楽しめるよう、家、庭――家庭を営む場として家と庭の一体感が実感できる住空間づくりに取り組んでまいります。都市部にない生活様式や自然、空間を楽しめる住まいづくりを進め県内外からの定住化を図ることにより、都市と農山漁村の往来を活発にし地域のコミュニティーを活性化してまいります。
     次に、多文化共生の推進についてであります。
     多文化共生施策の総合的、計画的な推進を図るため、これまでアンケート調査や在住外国人の方々との意見交換会の結果などを踏まえて、ふじのくに静岡多文化共生推進基本計画の骨子案を策定し多文化共生審議会において御意見を伺ってまいりました。今後は総合計画とも整合性を持たせつつ、県民にとって理解しやすく実効性を備えた計画をことし秋を目途に策定してまいります。
     第五は、安心の健康福祉の実現であります。
     初めに、安心して子供を産み育てられる環境の整備についてであります。
     若い世代の二人から三人は子供を産みたいという希望を実現できるよう、民間企業、団体、市町及び県が一体となって、しずおか「富2(じ)、3(さん)っ子」応援プロジェクトに取り組んでまいります。
     具体的には、民間の自由な発想と実践力を生かした子育てを支援する助成制度を創設するとともに、地域の実情に応じて市町が創意工夫し実施する支援策への助成を拡大してまいります。さらに子育て経験者の活用を図るため、保育ママの増員のほか新たに子育て経験者の団体による保育ママモデル事業に取り組んでまいります。
     さらに、保育所入所待機児童の解消を図るため市町と連携して保育所や認定こども園の整備を大幅に推進するとともに、公立幼稚園の空き教室を活用した認定こども園や保育所分園の設置への支援など幼保一元化に向けた取り組みを進めてまいります。
     救急医療につきましては小児を持つ母親などの不安を軽減するため、これまで夜の十一時までであった小児救急電話相談の利用を翌朝まで延長し、保護者の不安の軽減や軽症患者の救急医療機関受診などによる勤務医の負担軽減に取り組んでまいります。
     また、周産期医療体制の充実を図るため、二十四時間体制でハイリスクの妊婦や新生児に高度な医療を提供する総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターへの助成を拡充してまいります。
     なお、こども医療費助成につきましては、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るため、新たに小学一年生から中学三年生までの入院医療費を助成対象に加えることとし、政令市を含む市町を支援してまいります。
     次に、高齢社会対策についてであります。
     昨年三月に策定した第五次高齢者保健福祉計画に基づき総合的な施策の展開に取り組んでおりますが、特に今後増加が予想される認知症につきましては、医療、介護、福祉が連携し、認知症の方とその家族を地域社会全体で支援していく体制づくりに努めてまいります。
     高齢化の一層の進行により福祉、介護の人材確保がますます重要となっております。介護職員処遇改善基金を活用した介護従事者の賃金の改善や、新たに雇用された職員が働きながら資格を取得する制度などにより福祉、介護従事者への支援を充実強化してまいります。
     また、特別養護老人ホームを中心とする介護基盤の整備につきましては、介護基盤緊急整備基金を最大限に活用いたしまして積極的な整備促進を図ってまいります。
     次に、障害のある方の自立と社会参加の実現についてであります。
     障害のある方が住みなれた地域で、その人らしく暮らすことのできる社会を実現することは極めて重要であります。障害のある方の働くことに関する情報提供やサポートを一元的に行い、福祉と産業界をつなぐ拠点として、静岡市葵区にある5風来館に、仮称でございますが障害者働く幸せ創出センターを設置いたします。このセンターでは、新たに設立されるNPO団体が主体となって障害のある方や作業所、企業の相談に応じるとともに、作業所と企業との間をコーディネートしてまいります。
     また、重症心身障害のある方が、日常通っている身近な施設において宿泊や訪問等の必要なサービスを受け安心して在宅生活を続けられるよう、地域におけるきめ細かな在宅生活支援サービスの充実を図ってまいります。
     次に、医療体制の確保についてであります。
     これまで公的病院への県立病院医師の派遣や奨学金制度等により医師の確保に努めてまいりましたが、地域の医療課題を解決するため新たに地域医療再生基金を活用し、医師確保などを専門に実施する組織の設置や米国ミシガン大学との提携による家庭医養成プログラムの実施など、さらに積極的な医師確保対策を展開してまいります。
     新型インフルエンザ対策につきましては、抗インフルエンザウイルス薬の追加備蓄を行うとともに、重症化リスクの高い患者の診療を行う医療機関に対する設備整備の支援など着実に取り組んでまいります。
     静岡がんセンターにつきましては、外来患者数が開院時の想定を上回り今後も増加が見込まれますことから、平成二十三年度末の完成に向けて、外来化学療法を行う通院治療センターの拡充など病院本棟の改修に取り組んでまいります。昨年十一月に事務管理部門が病院本棟から新しい管理棟に移転したことから、平成二十二年度は診療への影響を最小限に抑えながら外来部門の改修工事を行うなど、引き続き診療体制の充実強化を図ってまいります。
     第六は、人、物、地域を結ぶ基盤づくりであります。
     初めに、都市基盤の整備についてであります。
     草薙総合運動場につきましては、平成十九年度に策定した再整備基本構想に基づき整備を進めております。これまでに公園区域の拡張として学校法人第二静岡学園用地を取得するための契約を締結し、硬式野球場における内野スタンドの耐震改修及びグラウンドの拡張に伴う外野席の設計に取り組んでおります。
     体育館につきましては、耐震診断の結果、耐震補強対策が必要との判断が示されており、その対策や建てかえを含めた整備方針決定に向けての課題整理や必要な手続を進めてまいります。
     沼津駅付近鉄道高架事業につきましては、事業工程において最初に移転が必要な新貨物駅の用地買収が難航していることから、事業推進・反対両派に呼びかけを行い、去る一月二十三日、両派の代表と沼津市内で意見交換会を実施いたしました。意見交換会では双方の意見の一端を伺ったことにより、膠着状態を打開するきっかけを提供できたものと考えております。県といたしましては、鉄道事業者の動向も踏まえつつ、引き続き地元沼津市と連携し事業の推進に努めてまいります。
     次に、道路ネットワークの整備についてであります。
     新東名高速道路の御殿場ジャンクションから引佐ジャンクションまでの区間につきましては、全線にわたり舗装工事が発注されるなど平成二十四年度の完成に向けて順調に整備が進められており、また御殿場ジャンクション以東の区間につきましても、用地幅の確定に向けて地元との設計協議が進められております。
     地域高規格道路金谷御前崎連絡道路につきましては、富士山静岡空港や御前崎港などとの陸・海・空の総合交通ネットワークの形成に向けて、東名相良牧之原インターチェンジから西萩間インターチェンジまでの約四キロメートル区間について、平成二十二年内の完成を目途に整備を進めております。
     県といたしましては、高規格幹線道路の早期供用に向けて引き続き国などと連携していくとともに、関連道路の整備に努め県土発展の基盤となる道路ネットワークづくりを進めてまいります。
     次に、道路施設長寿命化緊急対策についてであります。
     高度経済成長期の集中投資により建設された橋梁、トンネルなどの道路施設が老朽化し、今後見込まれる更新費用や維持管理費用の増大が大きな課題となっております。このため安全な利用を確保しつつトータルコストの縮減を図る道路施設の長寿命化が必要であり、劣化の著しい橋梁、舗装、トンネル設備を対象とした緊急修繕を今後七年間で実施してまいります。
     次に、安心・安全な生活環境等の整備についてであります。
     これまで交通の円滑化や歩行者の安全確保、近年の局所的な集中豪雨等による自然災害の防止対策に取り組んでまいりました。これらに加え国の第二次補正予算による交付金を活用し、観光地に向かう道路の整備や維持補修、公共土木施設の小規模修繕など防災対策を実施し、観光交流の拡大や地域の安心・安全の確保に加え、雇用の創出や地域経済の活性化を図ってまいります。
     第七は、安全な生活と交通の確保であります。
     県民の皆様と力を合わせ安全で安心できる生活を確保するため、住民みずから行う防犯活動等を積極的に支援し、警察による街頭活動を強化して犯罪が起きにくい社会環境を整備するとともに、総合的な交通事故防止対策を推進してまいります。
     交通事故につきましては、昨年の県内における発生件数は三万五千八百七十八件、負傷者数は四万六千三百二十九人と五年連続で減少するとともに、死者数は前年と比べ三十一人減の百七十九人と、昭和二十八年以来最も少ない数字となりました。
     しかし、死者数に占める高齢者の割合は四七・五%と非常に高く、高齢者が関係する事故件数は過去最悪を記録しております。来年度策定する第九次静岡県交通安全計画などにおいて、高齢者の事故防止を最優先課題と位置づけ、市町や関係団体等と連携し県民総ぐるみで交通安全意識の向上に取り組んでまいります。
     第八は、地域主権をひらく行政経営であります。
     初めに、地域主権の推進についてであります。
     政府は、地域主権の確立を政権の一丁目一番地と位置づけ、昨年十二月十四日に地域主権戦略会議の初会合を開き、この夏までに地域主権戦略大綱をまとめるなど改革の工程表案を示しました。さらに地方分権改革推進委員会の第三次勧告のうち、特に地方から要望があった項目を中心に、国が地方を法律で細かく縛るいわゆる義務づけ、枠づけの見直しなどを盛り込んだ地方分権改革推進計画を閣議決定し、今国会に地域主権推進一括法案を提出することとしています。
     県といたしましては、こうした国の地域主権改革への取り組みを注視していくとともに、県内におきましては市町への権限、財源、人材の三位一体の権限移譲などを通じて、地域主権型社会の実現を目指してまいります。
     次に、地域サミットについてであります。
     県と地域の市町との共通理解を深め連携した地域づくりを推進するため、トップ同士が一堂に会す地域サミットを開催しております。
     十二月二十五日は、志太榛原・中東遠地域の十二市町の首長と富士山静岡空港を生かした地域づくり等について、また二月四日には東部地域十一市町の首長と交流拡大や地域医療等の諸課題について直接意見交換を行いました。また二月十二日には、地域が主催する伊豆半島六市六町首長会議に出席し、ジオパークを初めとする地域振興施策について意見交換したところでございます。
     今後も地域の市町と緊密な連携を図りながら、協働による地域づくりに取り組んでまいります。
     次に、財政健全化についてであります。
     平成二十二年度当初予算編成は厳しい財政環境ではありましたが、平成二十一年度二月補正予算において確保できた基金を活用し財源不足の解消を図るとともに、平成二十三年度以降の財政需要に活用できる基金を四十七億円確保いたしました。
     健全化の指標につきましては、実質公債費比率、県債残高、将来負担比率は、その目標の範囲内を堅持しておりますが、経常収支比率は税収の減や義務的経費の増加等に伴い上昇が見込まれる状況にございます。これまで以上に健全財政の取り組みを進めるとともに、国に対して地域主権の実現や持続可能性の高い地方税財政の再構築を提言してまいります。
     次は、予算議案を除く平成二十二年度関係のその他の議案二十七件のうち、主な案件について概要を御説明申し上げます。
     第二十三号議案は、文化振興施策の執行体制を一元化するため、知事が文化に関する事務を執行等するための条例の制定であります。
     第二十四号議案から第二十七号議案までは、職員、教職員及び警察職員の定数改正を行うための条例の改正であります。
     第二十八号議案は、行政委員会の委員の報酬の支給方法等を変更するための条例の改正であります。
     第二十九号議案から第三十一号議案までは、職員、教職員及び警察職員の給与改定を行うための条例の改正であります。
     第三十二号議案及び第三十三号議案は、職員及び警察職員の特殊勤務手当の一部廃止及び支給額の改定に伴う条例の改正であります。
     第三十七号議案は、受益者負担の適正化を図るため、手数料を設定等するための条例の改正であります。
     第三十八号議案は、県立美術館の常設展示の観覧料を無料とする対象に大学生を加えるための条例の改正であります。
     次に、平成二十一年度関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
     一般会計の二月補正予算額は百八十二億一千七百万円の減額であり、この結果二十一年度の最終予算額は一兆二千二百三十八億二千七百万円となります。雇用対策や地域医療再生など国の補正予算に伴う二百三十八億九千百万円の増額補正を行うとともに、人件費、災害復旧費や公共事業費等の減額をあわせて行うものであります。
     特別会計及び企業会計の補正は、事業費及び財源の確定等に伴うものでございます。
     二十一年度関係の予算以外の議案は、条例改正等二十六件でございます。
     第六十五号議案から第六十九号議案までは、国の交付金を原資とする基金を創設するための条例の制定などでございます。
     第七十三号議案及び第七十四号議案は、建設事業に対する市町の負担額の変更などについてお諮りするものでございます。
     第八十三号議案は、県有財産の処分についてお諮りするものであります。
     第八十四号議案から第八十六号議案までは、公の施設の指定管理者の指定についてお諮りするものであります。
     第九十号議案は、任期満了に伴う収用委員会委員の任命について同意を求めるものであります。
     以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
    ○議長(浜井卓男君) 以上で説明は終わりました。

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