本会議会議録


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令和7年6月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 06/18/2025
会派名:


○議長(竹内良訓君) 議事日程により、知事提出議案第九十二号から第百二十四号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 鈴木康友知事。
       (知事 鈴木康友君登壇)
○知事(鈴木康友君) ただいま提出をいたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について所信並びに諸般の報告を申し述べます。
 初めに、米国の関税措置への対応についてであります。
 米国による自動車等への追加関税措置が発動されてから二か月半が経過をいたしました。現在、日米両政府による交渉が行われているものの、いまだ合意には至っておらず日本経済の先行きが不透明な状況となっております。
 これまで二回にわたり開催した米国関税対策連絡会議や県内企業への訪問調査において、価格高騰による売上げの減少や賃上げへの影響など今後の経済動向に危機感を抱く御意見を数多く頂いております。
 こうした状況を踏まえ、当面の対応として関税の影響を受ける県内事業者への対策をパッケージとして取りまとめました。
 まずは、県制度融資の融資枠の拡大や融資要件の緩和など資金繰り支援を強化いたします。また関税の影響を踏まえ業態転換や新事業展開等に取り組む事業者への支援や専門家派遣による相談対応のほか適切な価格転嫁に向けた働きかけを強化してまいります。
 国の電気・ガス料金の高騰対策の一環として実施するLPガス・特別高圧電力利用者への支援などと合わせ必要な経費を六月補正予算案に計上し本議会にお諮りをしております。引き続き事業者の不安解消を図り本県経済への影響を最小限にとどめるため、今後の国の対策などを注視しつつ必要な対策を機動的に講じてまいります。
 次に、人口減少社会への対応についてであります。
 このほど厚生労働省が発表した人口動態統計において、昨年の本県の合計特殊出生率は一・一九と過去最低となり少子化に歯止めがかからない状況であります。こうしたことから当面の間、人口減少は着実に進んでいくとの認識の下、人口減少への適応対策を進めていく必要があります。
 このため部局横断的なプロジェクトチームを設置をし、六十五歳以上の人口が最大となる二〇四〇年頃を見据え、子育て、教育、医療・介護、インフラなどの各政策分野の将来像と施策の基本的な方向性を示す二〇四〇基本指針を策定することといたしました。人口減少を前提として地域の持続可能性や県民の皆様のウェルビーイングの維持向上に向けて長期的な視野に立って施策の方向性を検討してまいります。
 次に、行財政改革についてであります。
 少子高齢化による人口減少、AI等を活用したDXの急速な普及など様々な時代の変化の中、行政経営の在り方を見直していくため本県の中長期的な行政経営の方向性を議論していただく静岡県行政経営戦略会議を新たに設置をいたしました。委員には自治体経営や公民連携、企業会計等の専門家、東部、中部、西部の県内各地域を代表する経営者の皆様に御参加頂き民間の視点から御意見を頂くこととしております。
 今月三日に開催した第一回会議では、今後の財政運営をテーマに討議をし本県の厳しい財政状況について県や関係機関、県民の皆様と認識を共有し中期財政計画に沿った着実な見直しを進めるべきとの御意見を頂きました。
 今後、資産経営の在り方や行政の生産性向上などを含めて年内に御提言を頂き、行財政改革を着実に進めてまいります。
 次に、地震・津波対策の推進についてであります。
 今年三月、国はこれまでの防災対策の進捗状況や最新の知見等を踏まえ南海トラフ巨大地震に対する新たな被害想定を公表し、これに対する対策については今後改定する国の防災対策推進基本計画に反映されると伺っております。
 これを踏まえ県においては、これまでの地震・津波対策の進捗状況等を反映した第五次地震被害想定を令和八年度中の公表を目指して策定してまいります。また被害想定の見直しと並行し国の防災対策推進基本計画の改正などを踏まえ、地震・津波対策アクションプログラムを常に見直すことで市町との連携の下、地震・津波対策を着実に推進してまいります。
 次に、産業活力の創出についてであります。
 将来、本県産業を支える企業の育成に当たっては国内外のスタートアップが持つ革新的な技術やアイデアを県内企業と融合させることが重要となります。このため過去最大規模となる百七十社を超える国内外のスタートアップと県内企業とのビジネスマッチング、TECH BEAT Shizuoka二〇二五を来月二十四日から二十六日までグランシップで開催いたします。当日は新技術やアイデアの紹介、県内企業との商談のほか静岡の未来を担う学生や子供たちが最先端のテクノロジーに触れる機会も提供してまいります。
 次に、次世代エアモビリティーについてであります。
 次世代エアモビリティーの先進導入地域を目指すため機体開発に必要となる実証フィールドの提供と利活用に向け、県内において試験飛行場六か所、試験飛行用航路三本を選定するとともに、県、市町、関連企業等を構成員とするコンソーシアムを新たに設置いたしました。
 今後は、機体開発に向けた実証実験や空飛ぶクルマの部品受注を後押しするビジネスマッチングの開催などにより地域企業の参入支援を図り、次世代エアモビリティー産業を中心とした関連産業の着実な発展につなげてまいります。
 次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。
 五月二十三日の県の生物多様性専門部会や六月二日の県の地質構造・水資源専門部会において、JR東海の対策において課題となっていた事項についての確認が行われるとともに、要対策土の処理についても対話に着手をいたしました。これにより主な対話項目二十八項目のうち十項目が完了し、水資源編については対話が完了いたしました。残る十八項目についても鋭意対話を進めてまいります。
 引き続き、リニア中央新幹線の建設と大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るためJR東海とスピード感を持ちつつも丁寧な対話を進めてまいります。
 次に、富士山の登山者への対応についてであります。
 富士山の価値の保全と登山者の安全確保を目的とした静岡県富士登山条例が先月九日に施行されました。今夏の新たな登山規制の実施に向け入山料の徴収や現地受入れ体制の整備、規制内容や事前登録システム静岡県FUJINAVIの周知広報など登山規制が円滑に導入できるよう準備を進めております。また富士山の閉山期における登山などルールを守らない登山者の遭難事故を契機とした山岳遭難の救助費用の有料化につきましては、山梨県と歩調を合わせながら検討を進めております。
 一方、こうした事案は全国的な問題でもあることから国において課題整理を行い費用負担を含めた救助の在り方を検討するよう知事会等を通じて国へ提案、要望してまいります。
 次に、中国との交流についてであります。
 今月の二日から五日にかけて知事就任後初めて浙江省を訪問いたしました。王浩書記と面会しトップ同士の関係を構築したほか、富士山静岡空港の就航促進に向け上海線を週四往復運航する中国東方航空本社を訪問しトップセールスを行ってまいりました。
 また、浙江省は中国有数のスタートアップ集積地であることからこの分野での交流を促進するため浙江大学と静岡大学、静岡県立大学とのスタートアップ交流等に関する覚書に調印をいたしました。
 今後は、二年後の友好提携四十五周年に向け両県省の交流を一層進めてまいります。
 次に、観光交流の拡大についてであります。
 本年一月から三月までの本県の外国人延べ宿泊客数は、前年同期比で一三・五%増加し順調に推移をしております。今後もさらなる需要拡大に向け外国人富裕層を対象としたガストロノミーツーリズムの強化やナイトコンテンツの充実、本県滞在の受皿となる高級ホテルの誘致などに注力し、旺盛なインバウンド需要を確実に取り込めるよう戦略的に取り組んでまいります。
 富士山静岡空港の令和六年度の搭乗者数は、前年度に比べて約十二万人増の六十三万三千人となり過去最高を記録した令和元年度の約八六%まで回復をいたしました。利活用拡大の鍵となる国際線はソウル線を運航するチェジュ航空が今月一日から便数を倍増して午前・午後各一往復となったことに加え、来月十七日から青島航空による青島線が週一往復で就航するなど路線が拡大をしております。
 今後は、中国、台湾などの運休路線の再開や東南アジアの新規路線の開設に取り組むなど富士山静岡空港株式会社や市町、関係団体等と連携して空港の利活用の拡大に努めてまいります。
 次に、医師確保に向けた大学との連携についてであります。
 医師の確保につきましては、医療関係者と協力して医学修学研修資金制度を活用した就業や定着を進めるとともに、偏在解消に向けた取組を加速いたします。
 地域の医療提供体制を確保するためには、医師の養成や派遣を行う大学との持続的な関係構築が重要となりますことから、まずは三月に浜松医科大学と地域医療提供体制の確保に向けた連携協定を締結いたしました。また東部地域の医療提供体制や医師確保に中心的な役割を担っている順天堂大学とも連携協定を締結すべく現在調整を進めております。協定の締結により大学との連携をこれまで以上に強固なものとすることで地域医療に貢献する医師の確保と人材育成を進め地域医療提供体制の確保につなげてまいります。
 次に、新県立中央図書館の整備についてであります。
 昨年十一月の入札不調の後、再入札に向けて準備を進めてまいりましたが、当初の計画から財源の見通しが大きく変わることが明らかとなりました。
 こうした状況を踏まえ一旦立ち止まって整備方針を見直すことにいたしました。東静岡地区にふさわしい施設を目指し、デジタル技術の進展などの社会情勢の変化や関係の皆様の御意見も踏まえながら年内を目途に方向性を示せるよう庁内に部局横断的なプロジェクトチームを立ち上げ検討を進めてまいります。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区の整備についてであります。
 野球場の規模、構造や県、浜松市、民間の役割分担を検討する遠州灘海浜公園(篠原地区)利活用推進協議会を今月十二日に開催をいたしました。協議会では民間事業者から利活用に関する提案を広く求めるための公募方針などが確認をされました。この方針について本議会の常任委員会において御議論を頂き公募を実施していきたいと考えております。
 引き続き、県議会や県民の皆様の御意見を伺いながら多くの県民の皆様に愛され県西部のスポーツの拠点としてふさわしい施設となるよう検討を進めてまいります。
 次に、決算の見通しについてであります。
 令和六年度の県税収入は、地方消費税の増収などにより最終予算額五千三百十二億円を二十五億円程度上回るものと見込んでおります。また予算の効率的な執行などの取組と併せて、財政調整のための基金の取崩しを百二十億円中止いたしました。この結果令和六年度の一般会計決算における実質収支は四十七億円程度の黒字を確保できる見込みであります。
 次に、六月補正予算案についてであります。
 六月補正予算案は、米国関税措置の影響を受ける中小企業等への支援や高等学校授業料等の実質無償化に要する経費など当初予算編成後の事情変化により必要となった経費について編成いたしました。この結果、一般会計補正予算の規模は三十億二千百万円で、これを加えました本年度の予算の累計額は一兆三千七百五十三億二千百万円となります。
 次に、議案のうち主な案件についてその概要を御説明申し上げます。
 第九十四号議案及び第九十五号議案は、地方公務員の育児休業法の改正に伴い部分休業制度の拡充等を行うための条例の改正であります。
 第九十九号議案から第百三号議案は、公の施設の利用料金の上限額等を改定するための条例の改正であります。
 第百八号議案から第百十五号議案は、土木工事の請負契約等についてお諮りをするものであります。
 第百十六号議案は、県有財産の取得についてお諮りをするものであります。
 第百二十三号議案及び第百二十四号議案は、任期満了に伴う人事委員会委員の選任及び公安委員会委員の任命について同意を求めるものであります。
 報告第十二号から報告第二十二号までは、令和六年度の一般会計、特別会計及び企業会計の繰越額が確定をいたしましたので報告するものであります。
 以上、適切なる御議決をお願い申し上げ説明を終わります。
○議長(竹内良訓君) 以上で説明は終わりました。

○議長(竹内良訓君) 休会についてお諮りします。
 議事の都合により、六月十九日及び二十日は休会とすることに御異議ありませんか。
       (「異議なし」と言う者あり)
○議長(竹内良訓君) 異議なしと認め、そのように決定しました。

○議長(竹内良訓君) 次会の議事日程を申し上げます。
 六月の二十三日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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