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本会議会議録

議会補足文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用




平成27年2月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 02/13/2015
会派名:


○議長(多家一彦君) 議事日程により、知事提出議案第一号から第八十六号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 平成二十七年度の当初予算案並びにその他の議案を提出するに当たり、その概要を御説明申し上げ、あわせて当面する県政の課題について所信の一端を申し述べます。
 私は、国土のシンボルであり日本の中心に位置する富士山を擁するこの地に、「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」の日本の理想郷を築くべく、県政運営の基本理念に富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを掲げ、その実現に向けて全力で取り組んでおります。その道筋を示す総合計画後期アクションプランの進捗状況につきましては、今月十日に公表したふじのくにづくり白書にお示ししたとおり全ての施策が着実にスタートしております。常に柔軟に施策の改善を図りながら計画の実効性を高めてまいります。
 来年度は総合計画後期アクションプランの折り返しの年に当たりますことから、防災・減災と地域成長を両立する内陸のフロンティアを拓く取り組みや次世代産業の創出につなげる産業成長戦略の推進など八つの重点取り組みについて当初予算案に重点的に盛り込んだところであります。
 知事就任以来、本県の場の力を生かした世界水準の魅力づくりに全力を傾注して取り組んでまいりました。多くの方々の御協力のもとで、世界遺産富士山を初め世界農業遺産の茶草場、ユネスコエコパークの南アルプス、世界ジオパークを目指す伊豆半島、世界文化遺産候補の韮山反射炉等々、県内のさまざまな資源について世界水準の価値があるという評価を得ることができました。加えて天野浩教授の本県出身者初のノーベル賞受賞や、世界最大の電気電子学会IEEEマイルストーンに認定された浜松ホトニクス、ユネスコ創造都市の浜松市、かんがい施設遺産の深良用水など本県の持つヒト、モノ、地域の潜在力が世界的評価を得る形で次々に顕在化しております。今後とも県民の皆様と手を携えながら、世界の人々を引きつけ憧れを呼ぶふじのくにの魅力を一層高め、霊峰富士から導き出される多様な価値に立脚した、美を重んじ、和をたっとび、物心ともに豊かで品格のある日本の理想郷づくりに、常に善は急げ、仕事は前倒しでするという気概を持って取り組んでまいりますので、引き続き県議会の皆々様方の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 初めに、平成二十七年度当初予算案と組織定数の改編についてであります。
 平成二十七年度の県税収入は、企業収益の改善や地方消費税の税率引き上げの平年度化の影響などにより二十六年度当初予算額を上回っております。歳出については社会保障関係費、公債費などの義務的経費の増加が見込まれ、政策的経費に充てられる財源が限られる中にあって、総合計画の後期アクションプランの着実な推進を図りつつ健全財政を堅持するという二つの課題への対応が同時に求められる予算編成となりました。このため基本方針の二つの柱として、ふじのくにづくりの総仕上げに向けた重点的な取り組みと将来を見据えた戦略的な行政運営を掲げ、予算編成と組織定数の改編に取り組みました。行政的経費の効率化や投資的経費の重点化による歳出のスリム化と未利用財産の売却などによる歳入の確保に努め、百五十六億円の財源を捻出した上で二十八年度以降に活用可能な基金を三百五十五億円確保したところであります。その結果、一般会計の歳出予算総額につきましては一兆二千三百九十七億円、前年度当初予算比五百九十五億円、五・〇%の増となりました。執行に当たっては二十六年度二月補正予算に計上する国補正予算の地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用した事業などと一体的に進めることとしております。
 予算編成と組織定数改編の一つ目の基本方針であるふじのくにづくりの総仕上げに向けた重点的な取り組みについて、以下八つの重点取り組みに従い御説明いたします。
 第一は、大規模地震への万全な備えであります。
 地震・津波から県民の皆様の生命と財産を守ることが県政の最優先課題であります。本県は昭和五十一年に東海地震説が発表された以降、事前防災の考えに立ち、全国に先駆けて地震対策に取り組んできた自他ともに許す防災先進県であります。第四次地震被害想定において想定される犠牲者数の八割減を目標とした地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づく施策を着実かつ迅速に進めるため、四百八十六億円の予算を計上いたしました。先月公表いたしました国の新しいモデルに基づく相模トラフ沿いの地震・津波の想定結果も踏まえ、アクションプログラムの検証を行いながらソフトとハードの両面から地震・津波対策を講じてまいります。
 ソフト対策といたしましては、防災の専門家であるふじのくに防災フェローなど自助、共助、公助を担う防災人材を育成し、地域防災力の向上に努めます。またソーシャルネットワーキングサービス――SNSを活用した災害時情報伝達システムにより、多様な手段により災害情報を県民の皆様に迅速に伝達できる体制を整備してまいります。
 ハード対策としましては、引き続き緊急輸送路の整備や防潮堤の高さの確保、粘り強い構造への改良などを進めます。
 特に津波対策では東日本大震災の教訓を生かし、ふじのくに森の防潮堤づくりとして平時には県民に親しまれる憩いの場となり、有事には多重防御の一翼を担う、しなやかで粘り強い海岸防災林等の整備を積極的に推進してまいります。
 森の防潮堤づくりでは、山本敬三郎知事が既にお気づきで進められようとされていました潜在自然植生を生かす宮脇方式と各地域に息づく先人の知恵を最大限に活用し、三百七十万人の県民の皆様にもさまざまな形でこの森づくりに参加していただきたいと考えております。そうすることで地域の防災力の向上のみならず自然に対する畏敬の念を自然から学び自然を生かすという、森と共生する文化の創生にもつながると確信しております。ソフトとハードを組み合わせた取り組みにより、本県が日本中で最も安全で安心して暮らせる地域であることを全国に力強く発信してまいります。
 また、大規模な広域防災拠点となる富士山静岡空港につきましては、救出や救助活動等を行うヘリコプターが発災後切れ目なく活動ができるよう航空燃料タンクの増設を行うほか、大規模地震災害の発生時に自衛隊などの応援部隊が迅速に展開できるよう空港の西側隣接地を整備いたします。あわせて現在浜岡原子力発電所から五キロ圏内にあるオフサイトセンターと環境放射線監視センターも空港の西側隣接地に移転整備し、原子力災害の発生時の防災対策の拠点としての機能を強化してまいります。
 次に、富士山火山防災対策についてであります。
 御嶽山の噴火災害を教訓として、富士山の突発的噴火における登山者等の安全確保のため、防災行政無線や携帯電話など多様な手段を活用した避難情報の伝達方法の検証や避難シミュレーションの実施、避難ルートマップの作成、山小屋等の関係者と連携した避難対策等々を検討してまいります。
 次に、建築物の耐震化についてです。
 昨年十二月末までの木造住宅の耐震化助成実績は一万八千四百六十四戸となっております。平成二十七年度末までに二万戸という目標が達成できるよう、「TOUKAI―0」事業を一層推進してまいります。
 耐震診断の実施が義務化された大規模な建築物につきましては、所有者が県などの所管行政庁へ耐震診断の結果を報告する期限が本年十二月末に迫っており、現在、準備の整った施設から順次耐震診断を実施していただいているところであります。耐震診断の結果、耐震性が低いと判定された建築物の耐震補強に対する補助制度を昨年度創設したところでございますが、来年度からは中小企業が経営するホテル・旅館の耐震補強につきましても補助制度を充実いたします。引き続き早期の耐震診断及び耐震補強の実施を働きかけ、建築物の耐震化を促進してまいります。
 次に、下田総合庁舎の移転についてであります。
 下田総合庁舎のレベルツーの津波高に対応した浸水域外への移転については、防災拠点として最も重要である防災無線回線の接続調査を現在鋭意実施しているところでございます。最終的な調査結果が判明するのは今年度末になるものの、移転先の最有力候補である下田市敷根地区の下田市スポーツセンターにおきまして防災無線回線が確保できるめどが立ちました。このため来年度には庁舎建設の具体的な検討に必要な地質及び測量調査を実施することとし、できるだけ早い時期に整備方針を決定してまいります。
 重点項目の第二は、内陸のフロンティアを拓く取り組みであります。
 昨年末までに、新東名高速道路新富士インターチェンジに隣接する流通業務専用地の全てについて企業進出が決まるなど内陸高台部において企業の立地が順調に進展しております。安全・安心で魅力あるふじのくにを実現していくためには、内陸高台部に加え沿岸都市部での地域資源を活用した取り組みや新しいライフスタイルの実現をさらに加速することが重要です。
 そこで来年度は、これらの分野の先導的なモデルに取り組む市町に対して積極的に支援することで沿岸都市部と内陸高台部のそれぞれの特色を生かした発展を促してまいります。また中部横断自動車道の開通を見据え、山梨県と連携した企業立地セミナーの開催などにより内陸のフロンティアを拓く取り組みを積極的にPRし、企業誘致や清水港の利活用の促進等に努めてまいります。こうした取り組みにより新しい産業の創出と集積や自然と都市機能とが調和するガーデンシティーの形成を促進し、ポスト東京時代を担う日本の理想郷ふじのくにづくりを進めてまいります。
 次に、食の都、茶の都、花の都づくりについてであります。
 本県は、千百四十三品目にも及ぶ安全でかつ良質で芸術品とも言うべき農林水産物を生産する、まさに農芸大国と呼ぶにふさわしい場の力を有しており、これらの地域資源の魅力を最大限に発揮する食の都、茶の都、花の都づくりを進めております。
 食の都づくりでは、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを契機に和の食文化の視点を取り入れた食の都づくりを進めており、来月には有識者会議での議論を踏まえ推進方策を取りまとめることにしております。
 来年度は、和の食文化を次世代に継承し本県の多彩で高品質な農林水産物の消費拡大を図る食の都の祭典――仮称――を開催するほか、首都圏での販売を強化し県産品のブランド力の強化と販路拡大に取り組んでまいります。
 また、食をテーマとするミラノ国際博覧会の日本館イベント広場への参加や、ふじのくに和の食国際アカデミーの開催等を通じて食の都しずおかを国内外に発信してまいります。
 茶の都づくりでは、本県が有しているお茶に関する産業、文化、学術など多岐にわたる分野において豊富ですぐれた資源を世界に向けて発信し、茶の都しずおかとしての地位を確固たるものとしてまいります。
 このため、来年度島田市お茶の郷を県が取得し、茶の都の拠点としてこれまで以上に機能を発揮するよう施設の再整備や運営に関する計画策定に着手いたします。またJAグループと連携した新商品の開発や、首都圏を初め全国の主要都市での静岡茶商談会の開催、アメリカ及びEUでの海外サポートデスクの設置、商談会の開催等々、国内外への販路拡大を進め静岡茶の再生に向けた取り組みを推進してまいります。
 花の都づくりでは、浜名湖花博二〇一四の開催により醸成された県民の花と緑への関心をさらに高めるために三月までに県内三カ所において花博記念事業を実施することとしています。先月十九日に開催した県民大会では、世界的なガーデンデザイナー石原和幸氏の監修のもとグランシップ広場に整備した花博記念庭園桃源郷の完成を御披露申し上げました。今後は、しずおか花セレクション二〇一五として選定した魅力ある県産花卉を母の日などの記念日に合わせてPRするほか、県内花卉生産者と全国の流通、小売業者などが一堂に会する商談会を開催するなど県産花卉の新たな需要の創出や販路開拓を図ってまいります。
 次に、森林・林業の再生についてであります。
 本県の豊かな森林資源を活用するため、平成二十四年度から県産材の需要と供給を一体的に創造するふじのくに森林・林業再生プロジェクトに取り組んでいます。その成果として供給面では丸太の低コスト生産システムが広がり、加工面では富士市内に県内最大の丸太加工量を誇り環境配慮型の装置を備えた合板工場が新設され県産材合板の生産を開始したほか、利用面におきましても県、市町及び民間のさまざまな施設で県産材の利用が進むなど生産から利用まで一貫したシステムが整備されてまいりました。
 今後は、プロジェクトの第二ステージとして丸太の安定供給の定着と増産を図るとともに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを契機とした需要の取り込みに向け県産材の販路を全国に拡大してまいります。
 次に、豊かな暮らし空間の実現についてであります。
 少子高齢化の進行や家族形態の変化、ライフスタイルの多様化が進む中、住む地域や住まいの形態、規模などについてさまざまな選択ができ、生活の中に緑を取り入れていくことがとても重要でございます。このため内陸のフロンティア推進区域内において生活と自然が調和し、地域のコミュニティーの形成や景観に配慮した豊かな暮らし空間創生に資する住宅地整備に対し、市町と連携し助成する制度を創設いたしました。ふじのくに型のウエイ・オブ・ライフとして自然との触れ合いや家族との団らん、地域とのつながりを大切にした、ゆとりある住まいづくりを推進してまいります。
 次に、富士山静岡空港についてであります。
 平成二十六年度の富士山静岡空港の利用者数は、上海―武漢線を初めとした国際線や福岡線などの国内線が堅調に推移しており一月末現在で約四十三万九千人、搭乗率は六五・四%となっております。昨年度の同時期に比べ利用者数が約五万九千人増加し、搭乗率も六・七ポイント上昇しております。中国からの訪日需要の高まりを受けて昨年五月から天津航空がチャーター便を運航してきた静岡―天津線が一月二十八日に定期便化するとともに、昨年十二月二十五日から浙江省の杭州と、来週十七日から同じく浙江省の寧波との間で定期便化に向けて連続チャーター便が就航し、さらに中国東方航空の上海―武漢線が夏ダイヤから毎日運航となるなど富士山静岡空港の航空ネットワークが着実に充実してきております。
 これらの動きをさらに加速するべく、二次交通の改善、運用時間の延長、旅客ターミナルビルの増改築など空港の利便性向上に取り組んでいるところであります。
 二次交通につきましては、浜松市市街地と空港を結ぶ予約制乗り合いタクシーを来月一日から運行するほか、アクセスバスの静岡線につきましては航空機の遅延にも対応した出発時間とするなど利用者の立場に立ったサービスの向上に努めてまいります。
 また、空港を活用した観光誘客を促進するための新たな取り組みとして、藤枝市では空港と藤枝駅を結ぶアクセスバスを運行することとなりました。市町のこうした取り組みにも積極的に支援してまいります。
 運用時間の延長につきましては、県民にとって利用しやすい飛行ダイヤを実現するため、地元の皆様の御理解をいただいた上で来年度のできるだけ早い時期に実現させたいと考えております。なお、運用時間が延長できますればフジドリームエアラインズが運航する福岡便について現在の一日三便から四便に増便されると伺っております。
 また、旅客ターミナルビルにつきましては現在増改築の設計を進めているところでございまして、ふじのくにの空の玄関口にふさわしい施設にしてまいります。さらに空港と地域との調和ある発展と空港周辺のにぎわいを創出するための新しい補助制度を創設し、地域の生活環境の整備とともに空港及び空港新駅周辺のにぎわいの創出や空港ティーガーデンシティ構想の具体化を図ってまいります。引き続き空港の機能や利便性を高め年間利用者数七十万人の早期達成とさらなる利用拡大に向けて全力で取り組むとともに、公共施設等運営権制度の導入に向けた具体的な検討を進め魅力的で競争力の高い富士山静岡空港を目指してまいります。
 次に、富士山静岡空港新幹線新駅についてであります。
 富士山静岡空港新幹線新駅につきましては、航空需要の増加が見込まれる二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに合わせた供用開始を目指しており、新駅と空港ターミナルビルを結ぶ連絡通路と駅前広場の位置や構造等の検討を進めております。来年度には東海旅客鉄道株式会社との協議に向け、あらかじめ県独自で検討可能な項目につきまして有識者から技術的な助言をいただくための検討委員会を開催することとしております。
 引き続き、県議会議員の皆様の御支援をいただくとともに関係市町、関係団体と連携して実現に向け取り組んでまいります。
 次に、沼津駅周辺総合整備事業についてであります。
 先月二十九日に栗原沼津市長と難波副知事が出席して、沼津駅並びに原地区周辺におけるこれからのまちづくりについての説明会を開催いたしました。会場となった総合コンベンション施設「プラサ ヴェルデ」には二百人を超える市民の皆様に足を運んでいただき、沼津市民のまちづくりに対する関心の高さが示されました。今後も沼津市とともに活力あるまちづくりを進めていく決意を新たにしたところであります。
 また、沼津市原地区におきましては、地元の皆様の御意見を踏まえてグリーンヴィレッジを柱とした桃源郷づくりを沼津市とともに進めるとともに、平時には基本的に待避線として機能し有事の際には貨物取り扱い機能が発揮される新ターミナルの整備に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、草薙総合運動場の整備についてであります。
 一昨年の硬式野球場のリニューアルオープンと屋内運動場の完成に引き続き今年度末には新体育館が完成し、四月五日にはこけら落としとして大相撲富士山静岡場所が開催されます。新体育館の愛称につきましては県内外より多数の御応募をいただき、応募作品の中からこのはなアリーナと決定いたしました。富士山の御祭神、木花咲耶姫にちなむこのはなアリーナの愛称が多くの県民の皆様に親しまれ、国内外からの注目を集めることを願っております。県内の屋内スポーツの拠点として、より多くの皆様にこの新しい体育館を御利用いただけるよう努めてまいります。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区の野球場構想についてであります。
 遠州灘海浜公園篠原地区における野球場構想につきましては、防災用避難施設機能を有するスポーツ施設の当地区への設置に関して浜松市から提案がありましたことから浜松市と一体となってこの構想の実現に取り組むこととし、昨年十一月に関係部局による勉強会を立ち上げたところであります。野球は二〇二〇年東京オリンピックの追加競技となる可能性があり、その競技会場とすることを視野に入れ実現に向けた環境を速やかに整えつつ基本構想の策定に取り組んでまいります。
 次に、リニア中央新幹線建設への対応についてであります。
 東海旅客鉄道株式会社は、昨年の十二月十七日、品川駅と名古屋駅においてリニア中央新幹線の工事安全祈願式を開催し総工費九兆円の巨大プロジェクトに着手いたしました。南アルプスにつきましては地質構造等が明らかになっていないことから、トンネル本体の工事は環境等への影響を慎重かつ徹底的に調査した上で着手されるべきものであると考えます。また工事用道路や作業員宿舎などの関連施設の整備に係る工事は今後個別の法令の手続を経て実施されます。静岡県では工事の進捗状況の把握や環境影響の継続的な確認に努め、工事による自然環境等への影響が少しでも懸念される場合には東海旅客鉄道株式会社に実効的な対策を講じるよう断固たる姿勢で要請してまいります。
 重点項目の第三は、人口減少社会への挑戦であります。
 初めに、人口減少を克服する地方創生についてであります。
 地方が成長する活力を取り戻し人口減少を克服することを目指す地方創生は、我が国における喫緊の課題であります。本県は国に先駆けて人口減少問題に関する有識者会議を立ち上げ、既に昨年十二月二十五日には具体的な対策の方向性などについて御提言をいただいております。この提言を踏まえ、社会が安定する静止人口状態の緩やかな実現に向けた人口減少の抑制戦略とともに人口が減っても快適で安全な社会の創造を目指す人口減少社会への適応戦略、この両面から県として直ちに取り組むべき人口減少対策を取りまとめ、二月補正予算案及び来年度当初予算案に盛り込んだところでございます。
 さらに、今月十七日、庁内に静岡県まち・ひと・しごと創生本部会議を設置し、地方版総合戦略の素案を取りまとめてまいります。来る三月二十五日には県内の産業界、行政関係、大学、金融機関、労働団体等の代表者で構成する仮称静岡県・まち・ひと・しごと創生県民会議を、また来年度には県内五つの圏域ごとに地域会議を設置いたします。今後、県議会議員の皆様に御審議をいただくとともに県民会議や地域会議の皆様方から幅広く御意見を承りながら、本県独自の地方人口ビジョン及び地方版総合戦略の策定を進め本年秋を目途に成案を得てまいります。
 次に、移住の促進についてであります。
 人口減少対策や首都圏在住者の地方への回帰ニーズを踏まえ、中山間地から市街地に至る県内全域を対象に首都圏から本県への移住を促進する必要がございます。このため快適な住宅環境や雇用環境など移住先としての本県の暮らしの魅力の向上に努めつつ、首都圏からの移住希望者を本県に呼び込むため東京都有楽町駅前の東京交通会館内に相談窓口を開設し、さまざまなニーズに対応したワンストップサービスを提供してまいります。
 また、市町や関係団体とも連携し、住まい、就職、教育、福祉・医療といった本県の魅力的な情報を総合的かつ効果的に発信することにより本県への移住を促進してまいります。
 次に、待機児童ゼロの実現についてであります。
 県では、今月策定した来年度から五年間を計画期間とするふじさんっこ応援プランにより、子ども・子育て支援新制度の円滑な実施に努めることとしております。初年度である平成二十七年度は待機児童ゼロの実現を目指し保育所や認定こども園の整備を強力に進めることで、三千九十三人の入所定員の増加を見込んでおります。また年度途中に入所を希望する児童の受け入れを促進するため、保育士をあらかじめ増員配置している保育所を支援する入所サポート事業については、これまでゼロ歳児のみとしてきた対象を来年度から一歳児及び二歳児にまで拡大いたします。
 次に、全ての子供が自立できる社会の実現に向けた取り組みについてです。
 情緒障害児短期治療施設である吉原林間学園につきましては、被虐待児の受け入れが増加している現状や建設から三十四年が経過し施設が老朽化していることを踏まえ医療的ケアの充実や居室環境の改善を進めるため改築することとし、施設の設計に着手いたします。また児童養護施設や里親のもとで暮らす子供たちが大学や専門学校などに進学することができるよう、施設や里親による養育が途切れてしまう二十を超えても継続して養育が受けられるよう、県独自の支援制度を創設し大学卒業時までの学習機会を確保してまいります。さらに経済的に厳しい状況にあるひとり親家庭に対しましては、新たに小学校入学時のランドセルなどの購入費用を市町とともに助成するなどきめ細かな施策に取り組み、ひとり親家庭への支援の充実を図ってまいります。
 次に、女性の活躍推進についてであります。
 本県の社会経済の活力を維持向上させるためには、最大の潜在力である女性の持つ力を発揮できる環境づくりが極めて重要です。このため政策や方針決定過程への女性の参画を拡大し、仕事と家庭を両立するよう支援し、防災分野での女性の活躍を促進するなどあらゆる分野において女性が活躍できる環境整備を推進してまいります。
 また、県全体での女性の活躍に向けた機運を醸成するため、市町及び経済界等と連携し官民一体となった女性の活躍を推進する組織を新たに構築いたします。
 県におきましても、来庁者や職員を対象とした庁内乳幼児一時預かり施設――愛称ふじさんっこクラブを設置し、女性の社会参加と子育ての両立を支援する取り組みを率先して進めます。
 また、職員がふじさんっこクラブの育児サポーターを務めることなどを通じて子育てはとうとい仕事であるという理念を浸透させてまいります。
 重点項目の第四は、富士山を生かした地域の魅力づくりであります。
 初めに、サミット――主要国首脳会議等の誘致についてであります。
 二〇一六年のサミット及び関係閣僚会合の本県での開催を実現するため、県内各界各層の代表者で構成する二〇一六ふじのくに静岡県サミット誘致推進会議の皆様と協力しながら誘致の実現に向け取り組んでいるところであります。サミットの開催地はこの春ころに内定し、六月のドイツサミットで正式発表される見込みであります。本県開催の決定に向け誘致活動を強力に展開してまいります。開催が決定いたしましたならば、現在の誘致推進会議の構成員の皆様に加えてさらに幅広い方々に参加をいただく仮称二〇一六ふじのくに静岡県サミット推進協議会に改組し、サミットを成功に導く万全の体制を整えてまいります。二〇一六年サミットの本県への誘致を実現し、最高のおもてなしにより国内外の賓客をお迎えすることができますよう、オール静岡での取り組みを積極的に推進してまいります。
 次に、世界遺産富士山についてであります。
 ユネスコ世界遺産委員会から平成二十八年二月一日までに提出を求められている保全状況報告書につきましては、昨年の十二月二十四日に開催した富士山世界文化遺産協議会におきまして資産の全体構想や来訪者管理戦略、情報提供戦略等々が採択されました。またこれらに掲げた取り組みをより実効性あるものとするため、世界遺産富士山の顕著な普遍的価値を後世に引き継ぐための条例の制定について今議会にお諮りしているところであり、これを契機として県及び県民、民間団体、来訪者等が連携して富士山の保全に向けた取り組みを一層進めてまいります。
 今年度から本格的に導入した富士山保全協力金につきましては、来年度はインターネット等による受付開始時期を早めることとし、また登山口五合目の現地における受付時間も延長いたします。御協力いただいた協力金につきましては五合目以上の環境保全対策、安全対策等に活用してまいりますが、県が行う事業だけでなく市町や山小屋、非営利団体等が行う保全活動などに対する新しい補助制度にも活用することで、より幅広い活動の展開を図ってまいります。
 富士山世界遺産センター――仮称――の整備につきましては、平成二十八年度中の開館を目指し世界遺産富士山を「守る」、「伝える」、「交わる」、「究める」、この四つを柱とする拠点施設として建築界のノーベル賞とも呼ばれるプリツカー賞の受賞者、坂茂氏による設計が順調に進んでいるところでございます。来年度は建築工事と展示物製作に着手するとともに、古文書などのデータ化や巡礼路の特定に関する調査研究を実施するなどセンターの事業実施体制の構築を進めてまいります。
 三保松原の景観改善につきましては、世界遺産の構成資産にふさわしい景観を創出するため、今月三日に開催いたしました第四回三保松原白砂青松保全技術会議で現在の消波堤にかわるL型突堤の構造や配置等について御承認いただきました。来年度は養浜工事により砂浜の回復を促進するとともに、L型突堤の構造及びデザインの細部を決定して景観の改善を着実に進めてまいります。
 富士山周辺の自然環境保全対策につきましては、富士山クリーンアップ登山大作戦、六カ国語によるマナーガイドブックの作成配布、車両等乗り入れ規制地域におけるオフロード車乗り入れ防止対策等々を進めてまいります。また山梨県との連携を強化して、絶滅危惧種保護や外来植物撲滅対策に取り組むほか、来訪者による植生への影響について経年的に評価するためのモニタリング調査を新たに実施してまいります。
 次に、日本平山頂へのシンボル施設の整備についてであります。
 東京オリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップの開催などにより、本県を訪れる国内外の観光客の大幅な増加が見込まれる中、富士山を初めとする本県の美しい景観を眺望でき、おもてなしの心にあふれた施設の整備が早急に望まれております。このため富士山を仰ぎ見、本県の中心に位置する日本平の山頂部に本県のシンボルとなる施設の整備を進めてまいります。建物の機能や規模等につきましては、今後有識者の御意見を賜りながら基本構想として取りまとめ、できる限り早期の完成を目指してまいります。
 次に、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の世界文化遺産登録についてです。
 韮山反射炉を含む「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」につきましては、五月ころにユネスコの諮問機関イコモスから昨年秋の現地調査の結果などを踏まえた評価結果の勧告がなされ、ことしの夏にドイツのボンで開催される第三十九回世界遺産委員会におきまして登録の可否が審議される予定でございます。引き続き関係省庁や伊豆の国市と連携を密にし、登録の実現に向けて万全を期してまいります。
 次に、伊豆半島ジオパークについてであります。
 昨年十二月、県とジオサイトが存在する七市八町及び観光関係団体等で構成する伊豆半島ジオパーク推進協議会が世界ジオパークネットワークへの加盟申請を行いました。ことしの夏までに世界ジオパークネットワークによる現地審査が行われ、九月に兵庫県及び鳥取県で開催されるアジア太平洋ジオパークネットワークシンポジウムにおきまして加盟の可否が審議される予定になっております。
 このため、来年度推進協議会が伊豆市の修善寺総合会館内に整備を予定しているジオパークの中央拠点施設や統一誘導案内看板の整備等に対し助成することを通して、ジオパークとしての伊豆半島の一体感の醸成を図ってまいります。また来月開催する伊豆半島ジオパーク国際県民学術シンポジウムに世界ジオパーク活動のキーパーソンであるパトリック・マッキーバー・ユネスコ地球科学部長を招聘し、伊豆半島の魅力と価値を再認識していただくなど世界認定の実現に向けて万全を期してまいります。
 次に、ふじのくに地球環境史ミュージアムについてであります。
 本県には、世界遺産富士山、南アルプス、駿河湾等々、世界の宝とも言える恵まれた自然環境のもと多種多様な動植物が生息・生育しております。こうした恵まれた自然を生かし、自然史を基本に環境史に広がる分野を研究領域とする博物館ふじのくに地球環境史ミュージアムを、旧静岡南高等学校校舎を活用してこの四月に開設いたします。全国初となる地球環境史の博物館として、すぐれた研究者が集い調査研究や資料の収集、保管、教育普及、展示、情報発信を行い、地域を愛し自然への畏敬の念を育み地球環境の保全を担う知の拠点となるよう博物館機能の充実に努めてまいります。
 次に、スポーツを活用した交流の促進についてです。
 ラグビーワールドカップ二〇一九につきましては、開催地選定手続の一環として、一月十三日に主催者及び公益財団法人ラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会がエコパスタジアムを視察なさいました。全国屈指の観客収容能力、富士山静岡空港の活用、世界水準の観光資源の存在など本県の優位性を御理解いただくことができたと確信しております。三月に開催都市として選定された暁には、二〇一五年のラグビーワールドカップ・イングランド大会の状況を参考に組織委員会と協議をしながらラグビーワールドカップの成功に向け全県を挙げて取り組む体制を整えてまいります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、同組織委員会における国内事前キャンプ地の募集が四月一日から始まります。国内各地での誘致活動が一気に加速することが予想されます。本県もこの三月までに誘致対象国や競技を取りまとめた誘致戦略を策定し、各候補地の強みを生かしスピード感を持って誘致活動に取り組んでまいります。
 昨年私は、全国知事会におきましてロンドンオリンピック・パラリンピックでのカルチュラル・オリンピアードの成功に倣い全国で文化的なイベントを開催することにより、大会を盛り上げつつ世界各国から訪れた皆様をおもてなしすることを提案いたしました。まずは本県が率先して仕組みづくりを進めることとし、民間団体との連携によるオリンピック文化プログラム推進委員会を設置し静岡らしさを生かした文化プログラムの構築に向けた体制づくりに取り組むとともに、オーケストラを活用した音楽文化の新しい展開につきましても検討してまいります。
 次に、地域外交についてです。
 地域外交の推進につきましては、交流人口の拡大、経済交流の促進、将来の交流を担う人材育成という三つの柱のもとに徳のある豊かで自立した国際的に存在感のある地域を目指し、これまでの重点国及び重点地域との交流実績を生かしながら、さらなる地域間交流の深化、拡大に取り組んでまいります。
 東南アジアにつきましては、来月十二日から私を代表としてタイを訪問しトッププロモーションを実施いたします。一昨年十一月に交わした観光振興策の相互協力に係る趣意書に基づきタイ国政府観光庁を訪問するほか、観光及び静岡茶のPRイベントやメディアを活用した情報発信を通じて本県の認知度を高め経済交流の拡大に努めてまいります。
 モンゴルにつきましては、日本の自治体に学びたいというモンゴル政府の申し出により、去る一月二十九日、モンゴルの十九県の知事等から成る訪問団を全国知事会と連携して本県にお迎え申し上げ日本とモンゴルの各県同士の交流の機会を設けたところであります。本県がモンゴル知事団の訪問先として選ばれたことは名誉なことであり、本県を広くPRする機会になったところであります。またモンゴルとの交流を一層拡大するため、八月には工業・農牧業省との経済分野に関する覚書調印一周年を記念して県民訪問団を派遣したいと考えています。
 台湾につきましては、台湾事務所の駐在員を二名に増員し現地での活動体制を強化し、観光誘客と民間交流の促進による交流人口の一層の拡大や本県企業の経済活動の支援、海外販路の開拓に取り組んでまいります。
 次に、安全な生活と交通の確保についてであります。
 県民が安全で安心できる暮らしを実現するために、地域の犯罪情勢に即した効果的な犯罪抑止対策を推進するとともに、関係機関や地域の防犯ボランティア等と連携し県民の犯罪予防意識を向上させるなど犯罪の起きにくい社会づくりを進めてまいります。安全な交通社会の実現を目指して信号機や標識などの交通安全施設の整備や高齢者に対する効果的な交通安全教育、交通事故の実態に即した交通指導取り締まりなど総合的な交通事故防止対策を推進してまいります。
 重点項目の第五は、健康寿命日本一の延伸であります。
 初めに、医療人材の育成と確保対策の充実強化についてです。
 超高齢社会の進行に伴う医療需要の増大に的確に対応していくには、医師を初め看護師、助産師などの人材の育成と確保が急務です。医師につきましては本年度、将来の本県の医療を支える志を持つ医学生の育成や県内病院における指導医確保への支援などに取り組むため、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジを創設いたしました。引き続きカレッジの機能の強化や充実に取り組み若手医師の確保と県内への定着を図ってまいります。
 とりわけ、厳しい勤務環境にある産科医につきましては処遇等の改善や産科医療への理解促進などによる負担軽減を通じて確保に努め、次世代を担う子供を安心して出産できる環境を整備してまいります。
 次に、いきいき長寿社会の実現についてです。
 本県では、二〇二五年には七十五歳以上が五人に一人となることが予測されております。超高齢社会の進行に対応するため、今後三年間の長寿施策の方向を示す第七次静岡県長寿者保健福祉計画を三月中に策定し、各市町の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築に取り組み長寿者が健やかに安心して暮らせる社会の実現に努めてまいります。
 この計画に基づき、特別養護老人ホームを初めとする高齢者介護施設の整備を積極的に進め入所待機者の解消を図ります。また若手介護職員を介護の未来ナビゲーターとして委嘱し、介護職の魅力の発信や介護現場におけるすぐれた取り組みの発掘に努め、介護の仕事の社会的評価の向上に取り組み介護人材の育成や定着の促進に努めてまいります。
 次に、危険ドラッグ対策についてであります。
 危険ドラッグ対策については、さきの十二月議会定例会におきまして本県独自の取り組みを盛り込んだ静岡県薬物の濫用の防止に関する条例を制定し、県警察本部や国との合同立入調査の強化に努め、これまで県内にあった危険ドラッグ販売店を全て排除いたしました。
 今後も、危険ドラッグ通報・相談窓口に寄せられる情報や関係団体からの不審情報をもとに立入調査や製品検査の実施など危険ドラッグ対策の強化を図り、県、県警察本部及び関係団体が一丸となって根絶に努め、県民の健康、安全を守り安心な社会を実現してまいります。
 重点項目の第六は、新成長産業の育成と雇用創造であります。 
 初めに、産業成長戦略の推進についてであります。
 本県の景気は緩やかに回復しつつあるものの、消費税率引き上げの影響の長期化や円安の影響などにより個人消費や生産面などは弱い動きとなっています。雇用情勢につきましては、昨年十二月の有効求人倍率は一・一三倍となり三カ月連続して一・一倍台で推移するなど改善の動きを続けており、企業の人手不足感が高まりつつあります。
 こうした中、本県の経済回復に向けた動きを確実なものとし次世代産業の創出を進めるため、静岡県産業成長戦略会議におきまして官民一体となった産業成長戦略の検討を進めてまいりました。
 会議で決定いたしました四つの戦略に沿いまして、早期に取り組むべき施策として企業の誘致及び定着を推進するための方策や企業を支える人材を確保するためのU・Iターン就職の促進などを着実に実行してきたところであります。
 さらに、中長期的な戦略として中小企業はもとより中堅、大企業も含めた地域企業の事業活動を活発化し、次世代産業の創出を加速するための本県独自の産業成長戦略を今月十二日の会議において取りまとめたところでございます。
 この戦略を実効性のあるものとするため、成長産業への進出など新たな事業展開に積極的に挑む地域企業をサポートする産業戦略推進センター――仮称――の設置や中堅、大企業による設備投資を促進するための利子補給制度の創設、中小企業向け制度融資のうち成長産業分野資金の融資枠の拡大、成長産業を牽引していく地域企業の研究開発や事業化を促進するための支援策などを実施してまいります。
 今後は、産業界、金融界、行政が一体となりまして産業成長戦略を推進することにより、本県産業の力強い再生と一層の活性化を図り次世代産業の創出につなげてまいります。
 次に、静岡新産業集積クラスターの推進についてです。
 ファルマバレープロジェクトでは、旧長泉高等学校敷地で研究開発等のための新しい拠点施設の整備を進めています。プロジェクト協力企業の開発、生産拠点であるリーディングパートナーゾーン及び地域企業の成長を支援するための地域企業開発生産ゾーンについては入居候補者が既に決定しており、先行いたしまして来年三月に開所できるよう整備してまいります。
 フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトでは、平成二十七年度から三十一年度までを計画期間とし、サイエンスの確立及びマーケットの獲得をコンセプトとする第二次戦略計画の策定を進めています。今後、地域企業の機能性食品の開発を促進するため、静岡県立大学と連携したヒト介入試験の実施体制の充実などに取り組んでまいります。
 フォトンバレープロジェクトでは、引き続き国の事業を活用して先端光・電子技術を基盤とする新しい製品開発を促進するとともに、本年度浜松工業技術支援センターに設置した光・電子技術関連産業支援員を活用し光関連の中小企業やベンチャー企業を育成してまいります。
 次に、水産業の振興についてであります。
 本県水産業の発展のためには、水産物の一層の付加価値向上が必要です。このため漁業者及び流通加工業者が一体となって高鮮度で高品質な水産物を消費者に提供する仕組みづくりを進めてまいります。
 また、高度な衛生管理が求められるため、これまで我が国から水産物輸出が少なかったヨーロッパへの輸出拡大も念頭に置き、焼津漁港における衛生管理型水揚げ施設の整備や水産加工業者などの衛生管理の向上を支援いたします。さらに水産資源の安定と増大を図るため今年度中に新しい静岡県栽培漁業基本計画を策定し、地元市町や地域の漁業者と連携を図りながら種苗の安定供給の確保に努めてまいります。
 重点項目の第七は、エネルギーの地産地消であります。
 太陽を初め水、森林、温泉など本県の自然資源を活用した再生可能エネルギーの導入促進に重点的に取り組んでいますが、太陽光発電につきましては設置を誘導するため新築及び既築の住宅を対象に助成してまいりましたが、再生可能エネルギーの導入に対する県民の皆様や住宅メーカーの意識の高まりを受けまして、新築住宅には太陽光発電設備がおおむね標準的に設置される状況となっております。それを受けて既築の住宅への設置に対する支援に重点化を図りまして普及をさらに進め、平成二十九年度までに太陽光発電の導入量百万キロワットとする目標を前倒しで達成することを目指してまいります。
 また、バイオマス、小水力や温泉熱による小規模分散型エネルギーの導入や域内でエネルギーの有効利用を図る取り組みを促進するため、民間事業者や市町による導入のための可能性調査や設備設置に対する支援を行うなど取り組みを強化いたします。さらに、伊豆半島地域内で温泉熱を活用した発電など自然資源を生かしたエネルギーの有効利用に取り組み、環境に優しい地域として魅力を発信してまいります。
 こうした新エネルギーの導入とともに、中小企業のエコアクション21の取得促進などによるエネルギー消費量の抑制に取り組み、エネルギーの地産地消を推進してまいります。
 重点項目の第八は、多彩な人材を生む学びの場づくりであります。 
 初めに、総合教育会議についてであります。
 地域の子供の教育は、文部科学省や教育委員会、学校だけに任せておくのではなく、地域の子供は地域の大人が責任を持って地域で育てるという決意を持って、社会総がかり、地域ぐるみで行うことが教育における地方創生につながるものだと確信しております。
 こうした中、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、来年度、知事と教育委員会で構成する総合教育会議を知事部局に設置いたします。本県では今回の制度改正に先立ち、昨年の六月に元中日本高速道路株式会社会長の矢野弘典氏を座長とする地域とともにある学校づくり検討委員会を設置いたしました。
 来年度は、検討会における議論を検討段階から実践段階に進めるため、この委員会を知事部局に移管した上で新たな分野の有識者、専門家の皆様を委員にお迎えし、地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会――仮称――に改組いたします。
 私は、地域ぐるみの子供の育て方についてこの実践委員会の御意見を尊重し、それを承った上で地域全体の代表者として総合教育会議の場で発言してまいります。総合教育会議が新しい実学の奨励や社会総がかりの取り組み等について積極的に議論する場となり、静岡県が目指す富士山のような人、有徳の人づくりに向けまして、子供にとってよりよい教育環境を実現できるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、静岡式三十五人学級編制についてです。
 小学校及び中学校の全学年で実施しております静岡式三十五人学級編制を堅持することとし、引き続き県独自の予算で教員を配置してまいります。あわせて学び方支援非常勤講師及び学び方支援サポーターの増員や小規模学校に非常勤講師を配置するなど先生が児童と向き合う時間を確保することにより、きめ細かな指導を充実してまいります。
 次に、コミュニティスクールについてであります。
 今年度、地域とともにある学校づくり検討委員会におきまして、教育を社会総がかりで取り組み学校を地域活性化の中心として活用すること、また文武芸の素養を身につけ豊かな徳を兼ね備えた有徳の人の育成を目指すことが検討され、その具体的取り組みとしてコミュニティスクールの導入促進と部活動における外部指導者の導入など地域人材の活用が挙げられております。
 これらを具現化するため、保護者や地域住民が学校運営に参画する学校運営協議会と学校支援活動や家庭教育支援活動を担う学校支援地域本部の設置を市町に促してまいります。また部活動指導の質的向上を図るため、学校に派遣する外部指導者を一層充実することで地域との連携を促進しながらスポーツと文化と、この両方の部活動を強化してまいります。
 次に、県立学校の施設整備についてです。
 高等学校再編整備につきましては、本年四月に引佐地区で浜松湖北高等学校を開校することにより現行の計画は完了いたします。今後は建築年数が経過し老朽化した校舎の改修等を県産材を使って進めていくこととし、来年度は清水西高等学校など七校につきまして設計を行ってまいります。
 特別支援学校につきましては、狭隘化などを解消するため本年四月には掛川特別支援学校及び吉田特別支援学校をそれぞれ開校いたします。また老朽化に伴い平成二十九年度を目標に西部特別支援学校を、平成三十年度を目標に東部特別支援学校をそれぞれ移転改築いたします。
 予算編成と組織定数改編の二つ目の基本方針である将来を見据えた戦略的な行政運営につきまして御説明いたします。
 初めに、地域主権の時代にふさわしい新たな組織の運営についてであります。
 組織定数につきましては、県政の重要課題に迅速かつ的確に対応できるよう見直しを行いました。
 賀茂地域におきましては、ジオパークを初めとした観光振興や人口減少対策、危機管理体制の強化について一市五町が一体となって施策を推進することが課題です。このため賀茂地域政策局と賀茂危機管理局を統合し賀茂振興局を新設した上で部長級の局長を配置し、地域の課題解決に取り組みながら、賀茂は一つという理念を具現化してまいります。
 また、教育、学術及び文化の振興に関し知事部局と教育委員会が一体となって社会総がかりの教育施策を推進するため、文化・観光部に総合教育局及び総合教育課を新設し総合教育会議を所管いたします。これに伴い地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会――仮称――を知事部局に置くことといたします。
 次に、行財政改革の推進についてであります。
 県全体の行財政運営の効率化、最適化と市町や民間との連携の推進につきましては、静岡県行財政改革大綱の方針として掲げ積極的に進めてまいりました。本年度、市町と県の総意で設置した行政経営研究会におきましては、ファシリティマネジメントの一環として公共施設の最適な管理のための計画策定や施設情報の共有化に向けた準備を進めるとともに、ICTの利活用による自治体クラウドの導入検討や公共データを民間に開放するオープンデータの拡充等に取り組んでおります。
 また、外部有識者による静岡県行財政改革推進委員会におきましては、今年度は事業レビューで示された市町や民間との連携に関する課題について御議論をいただき、提案された御意見、御提言を踏まえて連携のさらなる充実に向け施策や事業の見直しに取り組んでまいりました。
 特に、補助教材に係る課題につきましては、副知事をトップとする補助教材に関する調査チームが把握した実態や課題をもとに委員会において熱心に御議論いただきました。今後委員会から提出される意見に基づきまして、長年にわたる慣習にとらわれることなく県民の不信を招かないシステムの構築に向けて公平性、公正性、透明性、競争性を確保する観点から補助教材の作成及び選定並びに評価方法の速やかな改革につなげてまいります。
 次に、特別会計及び企業会計についてでありますが、特別会計は公債管理特別会計予算外十二会計で総額五千三十五億四千二百万円、前年度当初予算比二・二%の増、また企業会計は工業用水道事業会計予算外三会計で総額五百六十三億五千二百万円、前年度当初予算比四・八%の減であります。
 次に、予算議案を除く平成二十七年度関係のその他の議案三十件のうち主な案件につきまして概要を御説明申し上げます。
 第二十一号議案から第二十四号議案までは、職員及び教職員並びに警察職員の定数改正を行うための条例の改正であります。
 第二十五号議案から第二十八号議案までは、職員及び教職員並びに警察職員の給与改定及び退職手当の調整額の変更を行うための条例の改正であります。
 第三十二号議案は、静岡県教育長の勤務時間等を定めるための条例の制定であります。
 第三十四号議案は、静岡県土地開発基金につきまして、所期の目的を達成したことから廃止するための条例の制定であります。
 第四十三号議案は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、静岡県職員定数条例等の改正を行うための条例の制定であります。
 次に、平成二十六年度関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 一般会計の二月補正予算額は二十七億一千七百万円の増額であり、この結果、平成二十六年度の最終予算額は一兆一千九百五十八億三千二百万円となります。国が創設した地域住民生活等緊急支援のための交付金や公共事業などの国の補正予算に伴い百五十一億七千三百万円余の増額補正を行うとともに、災害復旧費等の減額をあわせて行うものであります。
 特別会計及び企業会計の補正は、事業費、財源の確定等に伴うものであります。
 平成二十六年度会計予算以外の議案は、条例改正等二十件であります。
 第六十七号議案から第六十九号議案は、国の交付金等を原資とする基金の設置期間の延長等に伴う条例の改正であります。
 第七十号議案は、富士山の保全に関する施策を総合的に推進するための条例の制定であります。
 第七十二号議案から第七十四号議案までは、建設事業、土地改良事業及び流域下水道事業に対する市町の負担額の変更についてお諮りするものであります。
 第七十五号議案から第八十三号議案までは、土木工事等の契約及び変更契約についてお諮りするものであります。
 第八十五号議案は、補助金返還請求事件の提訴についてお諮りするものであります。
 以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
○議長(多家一彦君) 以上で説明は終わりました。

○議長(多家一彦君) 休会についてお諮りします。
 議事の都合により、二月十六日及び十七日は休会とすることに御異議ありませんか。
       (「異議なし」と言う者あり)
○議長(多家一彦君) 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○議長(多家一彦君) 次会の議事日程を申し上げます。
 二月十八日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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