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本会議会議録

議会補足文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用




平成28年9月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 09/20/2016
会派名:


○議長(鈴木洋佑君) 議事日程により、知事提出議案第百八号から第百三十三号まで及び平成二十七年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) おはようございます。
 ただいま提出いたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について、所信並びに諸般の報告を申し述べます。
 初めに、去る八月二十四日イタリア中部地方で発生した強い地震により約三百名の方が亡くなられ、また国内におきましては八月三十日に東北地方に上陸した台風十号により岩手県や北海道を中心に多くの方々が被害に遭われました。犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に対して衷心よりお見舞いを申し上げます。
 また、本日未明台風十六号が九州地方に上陸し、記録的な大雨により現在も広い範囲で被害をもたらしております。被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。明日にかけまして台風の予想進路に本県も含まれ被害も予想されますことから、県民の皆様には十分警戒していただくとともに、県としましては情報収集、事前の配備体制などに万全を期してまいります。
 続いて、県政の概要について御報告申し上げます。
 初めに、県政の基本理念についてであります。
 富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げに向けたラストスパートの段階を迎え、後期アクションプランの前倒しでの達成が視野に入ってまいりました。こうした中、本県の将来を見据え目指す姿を明確にするとともに、今後の政策の準備、立案を行っていく必要があると考えております。
 私は、県政の基本理念に富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを掲げ、県民幸福度の最大化に向けて、ポスト東京時代の新しい国づくりを目指してまいりました。今や本県には三十を優に超える世界クラスの資源群、人材群が備わるなどふじのくにの立ち姿があらわれつつあり、今やこの成果を国内にとどまらず世界に向けて発信する時期を迎えております。
 折しも世界は、覇権主義の台頭、テロの多発、難民の増加、格差の拡大など混迷を極めております。パクス・アメリカーナの時代が終わりを告げ、世界が多極化する中で人々の不安感は増しております。また新興国の経済成長に陰りも見える中、人々の価値観は物質的な豊かさを追求する経済至上主義から心の豊かさや多様な暮らし方へと変わりつつあります。戦後一貫して世界の人々が憧れ、求め続けたアメリカ的な生き方、アメリカン・ウエー・オブ・ライフ、それに基づくアメリカンドリームにも間違いなく陰りが見えております。
 これにかわるものとしてチャイナドリームが提唱されておりますが、未来を開く新しい生き方を世界に提示できる国があるとすれば、健康寿命が世界一で幾多の困難を克服し高い技術力や人材が蓄積する我が国日本をおいてはほかに見当たりません。何よりも日本には平和を愛する心ともったいないの心を持ち、物を大切にし、美しく豊かな国土を背景に培われてきた和や美を尊重する他に類を見ない誇るべき価値観があります。今や我が国日本が日本的な生き方――ジャパニーズ・ウエー・オブ・ライフを提示し、ジャパニーズドリームとして世界の憧れの対象となるときを迎えております。
 東京はアメリカに憧れアメリカの文化を受容してきた日本の中心であります。ジャパニーズ・ウエー・オブ・ライフを体現するのはポスト東京時代の新しい理想郷を築いてきた本県をおいてほかにありません。私は、国土のシンボルである富士山を擁し日本を代表する豊かな自然や文化に満ちあふれた本県こそジャパニーズドリームを実現する地としてふさわしく、その先頭に立ちたいと思っております。
 人々の幸福のもとは生活、暮らし方にあります。世界から憧れを呼ぶ富士山の人の心を喚起する力、夢を抱かせる力、いわばフジサンドリームとも称すべき、県民誰もが幸せに暮らす理想郷ふじのくにづくりの実現を目指して取り組みを進めてまいります。
 次に、地震・津波対策についてであります。
 本県では、県政の最重要課題として命を守る危機管理を掲げ、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を基本にハード・ソフトの両面から対策に取り組んでまいりました。熊本地震やイタリア中部で発生した地震など国内外で大規模な地震の発生が続いている中、改めて防災先進県としての気概を持ち新たな課題や知見に関する情報収集や改善などに努め、取り組みを加速してまいります。
 具体的には、熊本地震において避難所の運営のあり方が課題として大きくクローズアップされましたことから、避難所の衛生環境やWiFi等の通信環境、必要な資機材、車中泊への対応等々について調査を行い、今後の地震対策に反映させたいと考えております。
 また、東日本大震災や熊本地震では住宅の耐震化、家具の固定化等の住まいの安全性確保、津波からの避難などの自助や避難所運営などの共助の重要性を再認識させられました。想定される大規模地震からの被害をできる限り軽減するには関係者がこれまで以上に緊密に連携し一体となって大規模地震に対応することが不可欠でありますことから、県、市町、県民、自主防災組織、事業者などそれぞれが果たす責務や活動を静岡県地震対策推進条例に追加することとし、今議会にお諮りしたところであります。
 平成元年の開館以来百二十万人を超える多くの皆様に活用されてまいりました地震防災センターにつきましては、東日本大震災、熊本地震などの大規模地震、御嶽山の噴火災害、広島市の土砂災害など災害の様相も多様化している中、あらゆる災害への対応を見据えリニューアルを行うことにいたします。防災先進県にふさわしい防災力の創造発信拠点として、より一層魅力ある施設への変革を目指し基本構想、基本計画を策定してまいります。
 これらの施策の推進とあわせて、多様化する災害に対し現場に即した対応を迅速的確に行っていくため、土木、災害医療といった専門分野を統括する理事を新設するなど危機管理の体制の強化を図ってまいります。
 本年度の総合防災訓練につきましては、八月三十日から九月五日までの防災週間を中心に県内全市町において約八十六万人の県民の皆様の御参加を得て実施いたしました。今月四日には大規模な広域防災拠点である富士山静岡空港を活用した自衛隊、在日米軍等の応援部隊の進出訓練を実施いたしました。中央会場となった掛川市では、自衛隊、消防、警察の救助部隊による救出救助訓練や初動時救護所において住民みずからがトリアージを行う訓練などを行いました。熊本地震で課題とされた避難所の開設、運営につきましては、掛川市内の全ての避難所において自主防災組織が中心となって重点的に実施いたしました。
 今後は、十二月に行われる地域防災訓練や三月の津波避難訓練などにおいて県内各市町で住民による主体的で実践的な訓練が行われるよう、これらの訓練の成果を積極的に情報発信してまいります。
 次に、建築物の耐震化についてであります。
 熊本地震では、住宅を初め店舗などの建築物が倒壊するなど大きな被害を受け、建築物の安全性に対する県民の関心は高まっております。この機会を捉え、市町と連携して建築物の耐震化を加速化していく必要があります。
 このため住宅につきましては、平成二十九年度までの緊急措置として木造住宅の耐震化の必要性をPRしていただける耐震補強工事に対し現行の助成額に市町の助成も含めて最大三十万円を上乗せし、耐震化を強力に進めてまいります。また旅館・ホテル等の多くの方々が利用する建築物につきましても耐震化が急務でありますことから、中小企業者が行う建てかえ、改修等の耐震化工事に対する現行の支援制度について融資限度額を一億円から十億円へ拡大するとともに融資期間の延長を行います。
 これらの制度拡充に必要な経費を盛り込んだ補正予算案を本議会にお諮りしているところであり、今後、本制度の積極的な活用を促すことにより建築物の耐震化を促進してまいります。
 次に、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック大会についてであります。
 リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック大会におきまして、本県ゆかりの選手が大活躍をされ、県民に夢と希望と感動を与えていただきました。
 オリンピック大会では、卓球の水谷隼選手、伊藤美誠選手、陸上の飯塚翔太選手がメダルを獲得し、競泳の藤森太将選手、松本弥生選手が入賞を果たされました。パラリンピック大会では、陸上の佐藤友祈選手、山本篤選手、岡村正広選手、佐藤圭太選手、ボッチャの杉村英孝選手、ウィルチェアーラグビーの若山英史選手がメダルを獲得し、競泳の鈴木孝幸選手、柔道の米田真由美選手、自転車の川本翔太選手が入賞を果たされました。
 その栄誉をたたえ、今月二十六日と来月十四日にこれらの選手に知事特別表彰を贈ることにしております。
 次に、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックについてであります。
 自転車競技の開催県として競技の運営状況を視察、情報収集のほか、各国選手団の県内への事前キャンプ誘致を促進するためリオデジャネイロオリンピック大会に地域外交監を団長とする調査団を派遣いたしました。国際自転車競技連合のブライアン・クックソン会長と面会し、本県の取り組み状況の説明や意見交換を行ったところ非常に大きな期待感が示されたとのことでございました。その期待に応えるべく開催準備に万全を期してまいります。
 このほか、イタリアのオリンピック委員会、ブラジルのアーチェリー協会、フェンシング協会の幹部と相次いで面談し県内への事前キャンプ誘致活動を行いました。いずれの団体も本県の立地条件のよさ、世界水準の競技施設に関心を示されるなど手応えをつかんだところであり、この成果を市町、関係者と共有し事前キャンプ誘致の実現につなげてまいります。
 自転車競技大会へのアクセス道路につきましては、早期の完成を目指し本年度から整備に着手しておりますが、一部の路線において前倒しでの用地取得、工事等が可能となりました。また国内外から観戦に訪れる多くのお客様には、伊豆の豊かな森を眺めながら競技会場まで足を運んでいただくためアクセス道路沿線の森林整備に着手いたします。このため、これらのアクセス道路関連の整備に必要な経費につきまして補正予算案に計上したところであります。
 次に、イタリア国フリウリ・ベネチア・ジュリア州とのスポーツを通じた交流についてであります。
 昨年十月に締結したスポーツ交流協定に基づき、同州から訪れるサイクリスト約二十人が十月一日に小山町のふじあざみラインで開催されるヒルクライム大会、翌二日の伊豆半島一周サイクリングに参加いたします。大会期間中は、コース沿線の市町の協力により地元の特産品を休憩所で提供するなど本県ならではのおもてなしで本場のサイクリストをお迎えし、国内のサイクリストや地元の方々と交流することとしております。サイクルスポーツの聖地を目指す本県のサイクリングの魅力を存分に発信してまいります。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九についてであります。
 会場となるエコパスタジアムにおいて準々決勝、日本代表戦等の好カードが組まれますよう、平成二十九年秋の試合会場決定に向け国際マッチなど本番に近い形で運営実績を積み国内外にアピールしていく必要があります。このためゴールポスト、電光掲示板、音響設備等の設備の国際基準への対応を前倒しで図ることとし、改修に必要な経費を補正予算案に計上いたしました。早期に改修を進めワールドカップ開催に万全を期してまいります。
 次に、地域外交についてであります。
 本年度は、モンゴル国ドルノゴビ県との友好協定締結五周年、韓国忠清南道との友好協定締結三周年、静岡県台湾事務所の開設三周年、静岡県東南アジア事務所の単独設置三周年、また来年は中国浙江省との友好交流協定締結三十五周年など節目の年を迎えています。これまで積み重ねてきた交流の成果により、本県の地域外交は新たなステージに進んだと感じております。
 今後は、人的な交流に加えて通商の一層の促進を図るなど、本県との交流を実施するそれぞれの国・地域にとってともに実のある交流となるように努めてまいります。
 モンゴルにつきましては教育分野等の協力に関する覚書調印一周年を記念して、先月県議会日本・モンゴル友好議員連盟の皆様、県内企業関係者による経済団、県内大学の学長などによる大学団、県内各地から選抜された高校生団、教育調査団、私学調査団、農業調査団、下水道施設支援等のインフラ団、伊豆の国市長を初めとした伊豆の国市民の皆様など総勢百四十人の県民の皆様とともにモンゴルを訪問いたしました。モンゴルでは六月二十九日に国政と地方選挙が行われ、大きく政権が交代した直後でございました。その中で新しい首相や就任されたばかりの閣僚など要人との面談が国や地方政府の公式訪問団としては初めて実現し、大変な歓迎を受けました。
 エルベグドルジ大統領とは、フレルバータル駐日大使御同席のもと面会し、大統領から政権はかわったが日本の地方自治体との関係構築は大変重要なものであり、静岡県がドルノゴビ県と進めてきたこれまでの五年間の交流を高く評価している、さらに発展させてほしいとじきじきのお言葉をいただきました。一層の使命感を新たに自覚するとともに、今後本県とモンゴル国、ドルノゴビ県との交流が一層成熟し揺るぎない関係を築いていけるとの思いを強くいたしました。
 その後、新しく就任されたエルデネバト首相にも親しく面会いたしました。首相は農業の盛んなセレンゲ県の元知事でもあったことから、本県との農業分野での関係づくりについて御提案をいただきました。この提案を受け、今後セレンゲ県から農業調査員を受け入れ、農業分野における通商の拡大を図ってまいりたいと考えております。
 また、バトボルド、新しくウランバートル市の市長になられた方からも会議の強い申し出があり面談いたしました。その際市長からは、既に交流を進めている伊豆の国市とウランバートル市のソンギノハイラハン区の交流事例と同様にウランバートル市内全ての区――全体で九つございますが――全ての区と静岡県の市町と交流を進めたいので協力してほしいとの御提案をいただきました。このため、今後ウランバートル市の全区長をお招きし、本県市町との交流会の実施などを考えております。
 青少年交流の分野では、モンゴルから本県への大学生の留学拡大を目指して教育・文化・科学・スポーツ省と静岡大学が交わす確認書の調印に立ち会いました。モンゴル国立大学で開催されたフォーラムではモンゴル国立大学、教育大学、科学技術大学、農牧業大学の学長や副学長と本県の静岡大学、県立大学の学長や副学長のほか、モンゴルの大学生も参加した熱心な意見交換を目の当たりにし、本県への留学に対する意気込みや熱意を肌で感じてまいりました。
 経済分野では、食糧・農牧・軽工業省との共催によりモンゴルの企業関係者約百人の参加を得て静岡貿易セミナーを開催したほか、本県の経済団体等とモンゴル企業との商談会を開催し今後も商談の継続合意がなされるなど、経済交流から一段レベルを上げた通商の拡大に取り組んだところであります。
 また、モンゴル建設・都市開発省から、現在ドルノゴビ県で実施している下水道運営能力向上プロジェクトにつきましてモンゴルの国土に広がる全二十一県からドルノゴビ県に技術者を結集して参加させたい旨の要望を受けるなど、その取り組みはモンゴル政府からも注目され高い評価をいただきました。
 友好協定締結五周年となるドルノゴビ県では、新しく就任されたエンフトゥヴシン知事やトゥメンバヤル県議会議長などと会談いたしました。これまでの五年間の実績を評価し、高校生等の青少年や技術研修員等の交流について今後さらに充実していくことを確認いたしました。
 今回の訪問では、人口六万人のドルノゴビ県から始まったモンゴルとの交流が県同士の交流にとどまらず本県三百七十万人県民とモンゴル国三百万人国民との交流に広がりつつあることを実感いたしました。これまでのドルノゴビ県との五年間にわたる交流実績やモンゴル政府関係機関との交流の成果を踏まえ地域外交が新たな高み、いわば第二ステージに入ったとの自覚のもとにモンゴル政府要人との関係強化を図るなど、さらにモンゴルとの関係を深化させ、スピード感を持ってモンゴルとの交流を促進してまいります。
 ブラジルにつきましては、新たな成長産業と位置づけられる航空産業の振興を図るため、リオデジャネイロオリンピック大会の視察等にあわせ地域外交監ほか県幹部が県内大学関係者とともにサンパウロにあるブラジルを中心に世界の航空産業界に人材を輩出してきたブラジル航空技術大学――ITAと航空機メーカーのエンブラエル社を訪問いたしました。これは昨年私がブラジルを訪問し、世界的な航空機メーカーのエンブラエル社の創業社長であるオジーレス・シルバ氏と本県在住のブラジル人が誇りを持って暮らせるようエンブラエル社と協力していくということで思いが一致したことによるものであります。このことはジョゼ・アントニオ・ゴメス・ピラス在浜松ブラジル総領事も大いに賛同され、今回の訪問の成功に向けて御尽力をいただきました。この思いを実現させるため、エンブラエル社の技術者の母体となっているITAと静岡理工科大学、東海大学との間で交流に関する覚書が調印されました。
 今後、航空宇宙工学等の分野においてブラジルの工学教育の中心に位置づけられているITAとの共同研究などの学術交流が始まることは画期的な取り組みであり、大変喜ばしく将来大きな成果があるということを期待しております。この覚書に基づく交流を拡大することにより、本県の航空機産業に携わる人材の育成につなげてまいります。
 台湾につきましては、先月浜松市長や天竜浜名湖鉄道社長、県内経済団体などの関係者とともに訪問いたしました。台湾の誇る美しい湖、日月潭への観光鉄道として名高い国営の集集線が走る南投県におきまして、県及び天竜浜名湖鉄道、台湾鉄路管理局との姉妹鉄道協定締結書に署名いたしました。また日本、台湾をそれぞれ代表する湖である浜名湖と日月潭との包括協定及び分野ごとの個別協定にも立ち会いました。
 日月潭では、協定を締結したロープウエーと遊覧船に試乗し視察を行いました。ロープウエーからは雨上がりの後、湖を取り囲む山々から立ち上る霧に浮かぶ日月潭を一望することができ、水墨画の中に入り込んだかのような見事な景色に遭遇いたしました。「晴れてよし 雨もまたよし 日月潭 もとの姿は変わらざりけり」とうたわれているように台湾で最も美しい湖との友好提携は浜名湖にとりましてもかけがえのない財産になると確信したところであります。
 また、今回姉妹鉄道協定を締結した台湾鉄路管理局の周永暉局長は、近く観光局長に御就任とのことであり、鉄道と観光、両面からの支援をお願いしてまいりました。このほか五月の蔡英文新政権の発足に伴い政府機関や企業のトップが交代したことから、今回亜東関係協会の邱義仁会長やチャイナエアラインの謝世謙新社長など新しい代表との面談も和やかなものとなり、これまでと同様に本県と台湾との交流に対する支援と協力を依頼してまいりました。
 いずれの訪問先でも台湾、日本間の訪問者数のインバランスが話題となり、台湾への訪問者数の拡大に努力してほしいとの要望がありました。これまで多くの台湾の皆様に本県を訪れていただくためインバウンドの促進を中心に取り組んでまいりましたが、今後はアウトバウンド促進施策についても積極的に取り組むことにしてまいります。
 教育分野におきましては、台湾国際教育旅行連盟総会の薛光豊総会長との面会が実現し、教育旅行の促進などに関する意見交換を大変活発に行うことができました。初対面とは思えぬほどに話に花が咲きまして、学ぶことも多く互いに心を通わせることができました。薛総会長を初め同総会加盟校の校長先生方の御努力により、台湾から本県への修学旅行を実施する高校が昨年度は三十校にもなったことから、これまでの御尽力に対し感謝状を贈呈いたしました。
 一方、本県から台湾への修学旅行を行っている公立高校の数はわずか八校、来年度にようやく十六校になる見込みであります。薛総会長との会談の中で私は、本県高校生全員のパスポート取得を提唱してきたことや、日本との時差が一時間と小さく富士山静岡空港から三時間半で到着できること、極めて親日的で治安がよいこと等々の理由から、初めての海外旅行先として台湾を強く推薦してきたことをお伝えいたしました。本県から台湾への修学旅行実施校の増加について今後とも働きかけていくことをお約束したところであります。
 台湾との青少年交流は着実に進展をしており、今後も同総会と連携し本県高校生の台湾への教育旅行の拡大に向け本県と台湾の教育関係者同士の情報交換を一層密にするなど相互の交流促進を図ってまいります。まずは今回築いた新たな関係をより強固なものとし、相互に実のある関係を構築するための交流を推進してまいります。
 中国につきましては、十月に二〇一九年北京国際園芸博覧会の開催地である北京市や中国商務部、中国人民対外友好協会等を訪問しトップセールスを行い本県の魅力をじかに伝え関係を強化してまいります。
 また、中国の大学では最高峰とされる北京大学では、日本語学科創設七十周年を記念した行事に出席し、同大学の名誉教授であり毛沢東元中国国家主席の日本語通訳も務めた劉徳有氏との公開対談も行います。対談を通じまして世界遺産富士山を初めとする世界クラスの資源群を有する本県の魅力を紹介し、首都北京から中国全土への本県の知名度向上を図ってまいります。
 次に、先端農業推進プロジェクトについてであります。
 本県の農業生産額は、近年二千百億円程度で推移する堅調な動きを示しており、今後予定される環太平洋連携協定――TPPも踏まえ豊かな県土から生み出される農芸品ともいうべき農産物の競争力、生産性をさらに高め、世界に打って出る強靭な体質に変えていかなければなりません。
 現在、先端農業推進プロジェクトとして、慶應義塾大学や理化学研究所が有するICTや光技術を活用し篤農家のイチゴやミカンの栽培技術を見える化する学習システムや、植物が出す微量なガスの計測により病害虫を早期に検出するシステムの研究開発などに取り組んでおります。
 この取り組みを発展させるため、沼津市の東海大学旧校舎を活用した農業版オープンイノベーションの拠点設置を進めております。このたび実施設計が完了したことから、工事費等の必要な経費を補正予算案に盛り込み平成二十九年夏のオープンを目指して整備を進めてまいります。
 九月上旬から企業等がこの拠点を活用して取り組む研究テーマの公募を行うなど、この拠点を中心とするプロジェクトが始動をいたしました。先端科学技術を持つ県内外の研究機関やものづくり技術に卓越した企業などさまざまなプレーヤーとの連携により絶え間なくイノベーションが創出されるシステムを構築し、本県農業の革新に取り組み攻めの農業を推進してまいります。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてであります。
 三十三市町六十六区域を指定する内陸フロンティア推進区域におきましては、沿岸から内陸まで県内全域にわたって多彩な取り組みが目に見える形であらわれてきております。
 小山町湯船原地区や清水町久米田地区では、企業局により企業進出の受け皿となる工業用地の整備が着実に進められております。また小山町南藤曲地区では職住近接の住宅団地の分譲が順調に進んでいるほか、吉田町では商業施設と一体となった防災公園が十月に供用を開始する予定であります。
 十一月には三十五市町全てが推進区域に指定される予定であり、県全体で新しい産業の創出と集積、自然と都市機能が調和したガーデンシティーが形成されるよう引き続き事業の具体化を支援してまいります。
 これらの施策を効果的に推進するためには、工業用地の造成や企業誘致等について部局の垣根を越えて取り組む必要があります。このため企業局に国内産業振興プロジェクトチームを設置し内陸フロンティアを所管する政策企画部と企業誘致等を所管する経済産業部とともに、一体となって県内産業の振興を図るよう体制を強化してまいります。
 次に、富士山静岡空港についてであります。
 十月からアシアナ航空にかわり富士山静岡空港では初のローコストキャリア――LCCとなるエアソウルが就航いたします。これに伴いソウル路線につきましては週三往復から週五往復へ増便され県民の皆様の利便性が高まるほか、韓国からの観光客の増加にもつながるものと期待しております。
 旅客ターミナルビルにつきましては、増築、改修にかかわる建築工事等の契約議案を今議会にお諮りしております。国際線については航空会社が希望する時間帯に就航できるよう一時間に三便受け入れられる機能を確保するほか、飲食・物販店の拡充など利用者の利便性の大幅な向上を図ってまいります。平成三十年十月の完成を目指し着実に工事を進めてまいります。
 また、空港ターミナル地区西側用地では、空港機能を補完、強化する施設の立地促進に向け、先月格納庫の整備、運営を行う民間事業者を選定いたしました。宿泊施設につきましては現在公募を行っており、十月下旬を目途に事業者を選定してまいります。
 また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた航空需要の高まりを着実に取り込むため、引き続き増便した路線など既存路線の利用拡大や新しい路線の開拓に全力で取り組んでまいります。
 次に、富士山静岡空港新幹線新駅についてであります。
 新幹線新駅につきましては、首都圏の空港機能を補完し防災拠点として有事の活動を支える富士山静岡空港の機能強化に寄与するなど国家的見地からも重要な社会的基盤となるものであります。
 事業者である東海旅客鉄道株式会社は、新駅設置により新幹線の有する高速性が発揮できなくなるという意見も表明しておりますが、この新駅が持つ社会的意義について丁寧な説明を行い一日も早い新駅の実現を目指してまいります。
 引き続き、県議会議員の皆様の御支援もいただき関係市町、関係団体と連携し全県を挙げて取り組んでまいります。
 次に、中部横断自動車道についてであります。
 先月十九日、事業者である国土交通省と中日本高速道路株式会社から、工事の難航により平成二十九年度に予定した全線開通につきまして検討が必要な状況にあるとの報告がありました。
 中部横断自動車道は、中央自動車道と新東名、東名の両高速道路を結び国際拠点港湾清水港さらには富士山静岡空港と一体となって本県の陸・海・空の総合ネットワークを形成し地域活性化の基盤となる重要な路線であります。また公表されている開通時期を見据えて既に民間の投資開発が進んでいる状況もありますことから、事業者は工事の進捗管理に重要な責務を負っていると考えております。
 県といたしましては、早期開通に向け必要な調整に協力していくとともに、崩落や重金属の発生などによるトンネル工事の難航箇所が中日本高速道路株式会社施工区間よりも国土交通省施工区間に多いことから中日本高速道路株式会社に対しては進捗管理の徹底を、国土交通省に対しては必要な事業費確保と工程の精査を強く要請し一日も早い開通を目指してまいります。
 次に、産業人材の確保と育成についてであります。
 豊かさを生む産業力を維持向上させ本県が将来にわたって持続的な発展を図っていくため、オール静岡で産業を支える人材の確保と育成に取り組むことが必要です。少子化や人口の社会減などにより本県の産業を支える労働力人口の減少が進み人手不足が多くの産業で課題となる中、従来の失業者対策中心の雇用対策から人材確保対策へかじを切り、本県ならではの人材の確保・育成施策の方向性を示す産業人材確保・育成プランの策定に向けて取り組んでまいります。
 また、ものづくりを支える人材には時代のニーズに即した確かな技術、高度な専門性、豊かな創造性が求められております。このため企業の現場において即戦力となる人材を養成している技術専門校の機能をさらに高め、より高度な内容の訓練を行う短期大学校化について検討してまいります。
 次に、ファルマバレーの新拠点の整備についてであります。
 ファルマバレープロジェクトの新拠点施設である静岡県医療健康産業研究開発センター、愛称ファルマバレーセンターが九月一日に全面開所いたしました。ファルマバレーセンターにはリーディングパートナーであるテルモ株式会社を初め東海部品工業株式会社、オリンパステルモバイオマテリアル株式会社等の企業に加え知的財産のコンサルタントなど十二社が入居いたします。この施設から県民の健康長寿に貢献する多くの製品が生まれてくることを大いに期待しております。
 今後、静岡がんセンターを初めとする医療機関や入居企業、地域企業との連携を強化しながらプロジェクトのさらなるステップアップを図り、いわば医療城下町として地域経済の発展につなげてまいります。
 次に、子育て支援についてであります。
 分娩の介助、妊婦健診、産前産後の母体ケア、さらには子育てに不安を感じる母親への寄り添いまで幅広い役割を担う助産師が、東部地域においてとりわけ不足しておりますことから県立東部看護専門学校に助産師養成学科を新設いたします。平成三十一年四月の開設を目指して準備を進めるため教育理念やカリキュラムを検討する経費を補正予算案に計上し、市町や関係団体の協力を得ながらスピード感を持って早期の学科設置に向けて取り組んでまいります。
 次に、県立大学における観光人材の育成についてであります。
 訪日外国人観光客の急増や体験型旅行に対する需要の増加、観光地経営の視点に立った観光地域づくりを進めるDMOの取り組みの進展など観光を取り巻く環境が大きく変化しております。こうした中、選ばれる観光地となるためには国際的視野を持ち観光産業をリードする人材の育成、いわば観光の頭脳づくりが急務であります。
 このため、静岡県立大学に社会人向けの観光基礎講座を開設することとし、必要な経費を補正予算案に盛り込んだところであります。現在静岡県立大学及び静岡文化芸術大学におきまして観光にかかわる学科等の設置に向けた検討を進めており、今後県としてもその取り組みを支援してまいります。
 次に、健康寿命日本一の延伸についてであります。
 健康寿命のさらなる延伸に向け、本年度設置した本庶佑静岡県公立大学法人理事長を委員長とする「社会健康医学」基本構想検討委員会において科学的な視点から検討を重ねているところであります。七月二十七日に開催した第二回委員会では、本県が今後ともトップクラスの健康長寿県であり続けるためには公衆衛生学の知見を地域の健康施策に反映する仕組みの構築や社会健康医学の研究を行う人材の育成及びその推進拠点が必要であることなどの意見をいただきました。今後委員会での議論を踏まえ、本県の社会健康医学研究のあり方に関する基本構想を本年度中に策定してまいります。
 次に、世界遺産富士山についてであります。
 本年の夏山期間における富士山の登山者数は、県内三つの登山口の八月末現在での合計八万二千二百三十人、山梨県側と合わせると二十一万三千八百九人となり、昨年度と比較して一万一千人余りの増加となりました。富士山保全協力金につきましては七月十日から今月十日までの六十三日間、登山者の方々から四千六百二十万円余の御協力をいただきました。多くの方々の御協力を賜りましたことに感謝申し上げます。いただいた協力金は富士山の環境保全や登山者の安全対策などを一層充実するために活用してまいります。
 また、保全状況報告書につきましては、今年七月にトルコ・イスタンブールで開催されました第四十回世界遺産委員会の審議におきまして他の世界遺産の模範とされるなど高い評価をいただきました。またユネスコの諮問機関であるイコモスのみならず世界遺産委員会においても資産の保存管理の優良事例として共有するため、二〇一九年の第四十三回世界遺産委員会において審査を行うこととされました。
 今後も、関係機関と連携を密にし保全状況報告書に記載した取り組みを着実に進め、第四十三回世界遺産委員会におきましても高い評価が得られるよう、世界遺産富士山の適切な保存管理を進めてまいります。
 次に、世界で最も美しい湾クラブ駿河湾の取り組みについてであります。
 駿河湾が加盟を目指している世界で最も美しい湾クラブにつきましては、役員会において加盟受け入れが決定され、十月三十日から十一月二日にかけてメキシコのプエルト・バヤルタ市で開催される総会において加盟が承認される見通しであります。本クラブへの加盟により本県が誇る世界クラスの資源群に新たな資源が加わります。これまでの富士山南アルプス、伊豆半島などの陸の資源に海が加わることで、山と海の風景の画廊という本県の特徴がさらに際立つことになります。この機会を逃さず世界で最も美しい駿河湾の魅力を国内外へ積極的にアピールし、駿河湾沿岸ひいては本県への誘客を図ってまいります。
 また、清水港を中心にクルーズ船の誘致活動を強化するため清水港における多言語案内看板やWiFi環境の整備を図るとともに、湾クラブのブランド力を活用したマーケティング活動を展開するための経費について補正予算案に盛り込んだところであります。
 次に、伊豆半島地域の振興についてであります。
 他の地域圏と比較して早いペースで人口減少が進む伊豆半島地域に担当副知事を置いて一年余りが経過いたしました。この間、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の伊豆での開催決定など追い風が吹く中、この好機を生かそうとホテル・旅館の若手経営者やNPOなどから伊豆半島地域の活性化に向けた具体的な提案や取り組みが出始めつつあります。このため地域の課題や要望等にきめ細かく、かつ迅速に対応するための経費を補正予算案に盛り込み伊豆半島地域の活性化に向けた取り組みを後押しすることといたしました。
 世界で最も美しい伊豆半島を世界に発信し世界から称賛され続ける地域となるよう、各市町が参画する美しい伊豆創造センターと連携しながら伊豆半島地域の振興を加速化してまいります。
 続きまして、九月補正予算案についてであります。
 今回の九月補正予算は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げを加速化する取り組みに必要な経費のほか、国の経済対策に呼応し予算措置が必要な経費などについて編成いたしました。一般会計補正予算の規模は四十三億四千七百万円で、これを加えました本年度予算の累計額は一兆二千四百五十九億百九十万円となります。
 具体的には、先ほど御説明いたしました東京オリンピック・パラリンピック自転車競技会場のアクセス道路を前倒しで整備するための経費、ラグビーワールドカップ二〇一九会場の小笠山総合運動公園の設備を改修するための経費、先端農業推進プロジェクトの拠点施設を整備するための経費などであります。
 企業会計の補正は一件で三億一千八百万円の増額であります。
 次に、予算以外の議案のうち主な案件についてその概要を御説明申し上げます。
 第百十一号議案は、警察法施行令の改正に伴う静岡県警察の組織に関する条例の改正であります。
 第百十三号議案は、東日本大震災及び熊本地震の教訓を踏まえ地震対策を充実強化するための条例の改正であります。
 第百十四号議案及び第百十五号議案は、県が行う道路整備事業、都市計画事業、土地改良事業等に対する市町の負担額を定めるものであります。
 第百十六号議案から第百二十七号議案までは、土木工事等の契約についてお諮りするものであります。
 第百二十八号議案は、公の施設の指定管理者の指定についてお諮りするものであります。
 第百二十九号議案は、建物の収去及び土地の明け渡し等請求事件の提訴についてお諮りするものであります。
 第百三十号議案及び第百三十一号議案は、県営住宅の明け渡し等請求事件の提訴及び滞納家賃の支払いに関する和解の申し立てについてお諮りするものであります。
 第百三十二号議案及び第百三十三号議案は、任期満了に伴う教育委員会委員の任命及び監査委員の選任について同意を求めるものであります。
 また、平成二十七年度の一般会計、特別会計、工業用水道事業、水道事業、地域振興整備事業及び県立静岡がんセンター事業の十八会計の決算につきまして、監査委員の審査を経ましたので、議会の認定に付するものであります。
 以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。

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