本会議会議録
議会補足文書
令和5年5月静岡県議会臨時会
【 知事提案説明 】 発言日: 05/19/2023 会派名: |
○知事(川勝平太君) 提出いたしました議案等の説明に先立ち、一言御挨拶を申し上げます。
さきに行われました統一地方選挙におきまして、めでたく当選されました議員各位に心からお喜びを申し上げます。おめでとうございます。
議員となられました皆様には、本県の一層の発展を図るため格段の御尽力を賜りますようにお願いを申し上げます。
現在、本県は様々な課題に直面しております。食料、原材料などの価格高騰の長期化や感染症法上の位置づけが見直された新型コロナウイルス感染症への対応、また昨年本県を襲った台風十五号をはじめとする自然災害の激甚化への対応など迅速に取り組まなければなりません。県民の皆様の命と生活を守り抜き未来ある子供たちに静岡県をしっかりと引き継いでいけるよう、これらの課題の克服に向けまして全力で立ち向かってまいります。
また、本県は富士山の世界文化遺産登録十周年の節目を迎える本年、東アジア文化都市に選定されました。日本の言わば文化首都として本県そして日本の文化の力を存分に発揮し、その魅力を世界に発信してまいります。
本県がポスト東京時代の新しい日本づくりの先導役を担う気概を持って、誰もが幸福に生きられる理想郷ふじのくにをつくり上げるため全力で邁進してまいりますので、引き続き県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
続きまして、県政の概要について御報告申し上げます。
初めに、物価高騰対策についてであります。
食料、原材料、エネルギーなどの価格高騰が長期化し地域経済は厳しい状況が続いております。こうした状況を踏まえ国は、本年三月にエネルギー、食料品を柱に物価高克服に向けた追加策を取りまとめ物価高の負担感の大きい低所得者層への支援や地域の実情に応じた取組への支援を決定いたしました。
県では、これまで生活困窮世帯への支援や農業者、漁業者、医療機関の光熱費等の負担軽減、中小企業の価格転嫁の取組への支援など約三百十億円を確保し幅広く支援を行ってまいりました。引き続き県民や事業者の皆様の生活や事業活動をしっかり支えていくため国の追加策に呼応したさらなる対策を機動的に講じてまいります。
まず、先月二十五日には低所得の子育て世代への支援金を速やかに支給するため補正予算一億一千八百万円を専決処分いたしました。このほか地域の実情に応じた取組を促す国の価格高騰重点支援交付金を活用した事業者等への支援など、実態の把握や制度設計に時間を要するものにつきましては改めて補正予算案を編成し六月県議会にお諮りしてまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
新型コロナウイルス感染症は、今月八日から感染症法上の五類感染症に位置づけられ我が国の新型コロナ対応は一つの区切りを迎えました。コロナ患者が県内で初めて確認されてから三年余り、医療・福祉関係者の皆様の多大な御尽力はもとより県民、事業者、関係団体など多くの皆様に感染拡大防止対策への御協力を賜りこの危機を乗り越えることができました。ここに厚く感謝を申し上げます。
新型コロナが五類感染症に位置づけられた後も県民の皆様が安心して適切な医療を受けられるように、県医師会、県病院協会、市町など関係機関の皆様と連携しコロナ患者を特定の医療機関だけでなく幅広い医療機関で受け入れる体制へと移行してまいります。特に入院医療につきましては全ての病院でコロナ患者を受け入れる体制を構築いたします。また円滑な移行を図るため当面の間は重症患者等を受け入れる病床を最大四百五十床程度確保してまいります。引き続き新型コロナの感染再拡大の傾向が見られる場合には速やかに情報発信するなど万全を期してまいります。
また、これまでのコロナ対策を踏まえ今後の新たな感染症等の発生に備えるため、ふじのくに感染症管理センターを本年四月に三島に開設いたしました。感染症対策の司令塔として対応力を強化してまいります。
次に、盛土対策についてであります。
先月二十八日、関係法令に基づく手続がなされていないなどの不適切な盛土百六十三か所について位置、形状、行政の対応状況などの情報を公表いたしました。この情報を県民の皆様の非常時における警戒態勢や避難体制の構築に役立てていただくとともに、不適切な盛土の拡大防止等につなげてまいります。
これらの盛土のうち静岡市葵区杉尾・日向地区の不適切盛土につきましては、先月三日に盛土行為者への原状回復命令を行い本日までに工事に着手するよう求めております。盛土行為者が対策工事に着手しない場合は速やかに行政代執行の手続を進めてまいります。
今後も不適切な盛土の情報を公表していくとともに、市町や関係機関と緊密な連携の下、厳格かつ的確な監視、指導を行い県民の皆様の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源、南アルプスの自然環境の保全についてであります。
先月二十六日の県地質構造・水資源専門部会ではJR東海が山梨県側から本県に向けて進めている高速長尺先進ボーリングについて対話が行われました。委員から、山梨県側へ流出する水の戻し方をあらかじめ決めてから削孔するべきであるとの指摘に対して、JR東海からは、懸念が払拭できるよう努めていきたいという説明のみでございました。また委員から、山梨県内のボーリングで発生する湧水が静岡県の地下水である根拠を科学的に示すことは可能であるという見解に対しても、やり方も含めて考えていきたいという説明にとどまっております。
このため、今月十一日私からJR東海の丹羽俊介社長に対し、本年一月三十一日付で本県から文書で要請していたボーリングにより山梨県側へ流出する水の戻し方等について対話を加速するよう、またこの対話による合意がないまま一方的にボーリングを進めることのないよう、改めて強く要請したところであります。本県の地下水が流出する懸念の解消に向け引き続き対話を進めてまいります。
また、先月十四日大井川利水関係協議会は田代ダム取水抑制案についてJR東海が示した東京電力リニューアブルパワーとの協議開始の前提条件に対し一定の修正があれば了解することとし、その旨を県からJR東海に通知いたしました。その後JR東海から修正内容について照会があったことなどから速やかに対応しているところであります。引き続き流域市町や利水者と情報共有を図りながら一体となって取り組んでまいります。
生態系への影響につきましては、本年二月及び四月に開催された国の環境保全有識者会議の中で大井川上流部の地下水位変化による水生生物への影響などについてJR東海から具体的な調査方法などが示されました。しかしながらこれまでの県からの意見や生物の生息に影響する沢の流量の解析手法など委員から指摘のあった重要な点が十分反映されておりません。特に発生土置場につきましては、ツバクロにおきましては専門家等により深層崩壊による影響を受けるおそれがあると指摘されており、また要対策土を処分する藤島は本県の盛土規制条例上認められないものであり、これを前提とした議論を進めることは不適当であります。
このため、県は専門部会委員の意見を伺い、今月十二日に国土交通省に対して議論を進める上での留意点や課題等について意見書を提出したところであります。今月十六日に開催された国の環境保全有識者会議では沢にいる水生生物への影響など引き続き議論が行われました。県の意見が一定反映されたものの、水質、水温の生態系への影響分析等については十分反映されておりません。本県における生態系への影響の回避、低減に向け今後も必要な意見をしっかりと主張してまいります。
引き続きリニア中央新幹線の建設と大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため国と協力してJR東海との対話を進めてまいります。
次に、東アジア文化都市についてであります。
本年一月に開幕した東アジア文化都市二〇二三静岡県につきましては、先月二十六日韓国全州市での開幕式典に出野副知事を団長とする行政団、芸術団、総勢二十七名を派遣いたしました。また今月二日には中国梅州市の趙東副市長や韓国全州市の金仁泰副市長をはじめ関係者六百人余りをお招きしグランシップで春の式典を盛大に開催いたしました。式典では文化やスポーツなど様々な分野で具体的な交流をしていくことを確認したほか、全州市の舞踊団による太鼓と巨大な旗を使った迫力のあるパフォーマンスや梅州市、成都市による美しい伝統芸能の映像などが披露され参加者を魅了いたしました。
さらに、その後のゴールデンウイークにはSPACの「天守物語」の公演をはじめ駿府城公園などを舞台にふじのくに世界演劇祭を開催するなど文化交流が本格的にスタートいたしました。
今後、閉幕までの七か月間本県の文化芸術の資源を存分に生かし多彩な文化を切れ目なく発信して県全体を盛り上げてまいります。特に芸術の秋である九月から三か月間をコア期間として位置づけるなど、静岡国際オペラコンクールや富士山世界遺産登録十周年記念国際シンポジウム、伊豆文学祭など県内の各地域で核となる文化・交流事業を集中的に開催いたします。
また、地域伝統のお祭りや食のイベントなど市町や民間団体が実施する文化事業を東アジア文化都市二〇二三静岡県事業として認証する取組も開始し、既に四月末時点の認証数は約百二十件に達しております。引き続き県民総がかりで事業の裾野を拡大し重層的に文化・交流活動を展開してまいります。
こうした取組により観光交流人口の拡大を図り、目標とする過去開催の最高の来場者数三百六十万人と経済波及効果百億円以上を目指してまいります。本県が多くの人々を引きつけ内外に広く感動を呼ぶ一年となるよう、引き続き県民の皆様と共に総力を挙げて取り組んでまいります。
次に、今回提出いたしました議案の概要を御説明申し上げます。
第七十五号議案は、県議会議員のうちから選任いたしました監査委員鈴木澄美氏及び佐地茂人氏の両氏の任期満了に伴い、その後任として竹内良訓氏及び四本康久氏の両氏を選任することについて同意を求めるものであります。
報告第九号は、低所得の独り親世帯に対する特別給付金に関する一般会計補正予算について専決処分いたしましたので御報告するものであります。
報告第十号は、損害賠償事件の損害賠償額の決定及び和解について専決処分いたしましたので御報告するものであります。
以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
○議長(中沢公彦君) 以上で説明は終わりました。
知事の説明に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と言う者あり)
○議長(中沢公彦君) 質疑はないものと認めます。
お諮りします。
本案は委員会付託を省略することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と言う者あり)
○議長(中沢公彦君) 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
討論については通告がありませんので、討論はなしと認めます。
(除 斥 議 員 退 場)
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