• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 議会補足文書

ここから本文です。

本会議会議録

議会補足文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用




令和3年2月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 02/18/2021
会派名:


○議長(山田 誠君) 議事日程により、知事提出議案第一号から第七十八号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 令和三年度の当初予算案並びにその他の議案を提出するに当たりその概要を御説明申し上げ、あわせて当面する県政の課題について所信の一端を申し述べます。
 今月十三日に発生した福島県沖を震源とする最大震度六強を観測した地震により家屋の倒壊などの被害が生じ多くの方々が被害に遭われました。被害に遭われた方々に対しまして心からお見舞いを申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症との闘いは一年近く続いております。この国難とも言うべき危機を乗り越えるべく、感染防止対策の徹底により感染を抑え込み県民の皆様の命と生活を守っていく決意であります。
 医療従事者の皆様には強い使命感を持って患者と向き合い本県の医療を支えていただいており、深く感謝しております。医療は新型コロナウイルス感染症対策の最後のとりでであります。今後も全力で支援してまいります。
 県民の皆様には緊急事態宣言の発令などにより不要不急の外出自粛、休業要請、学校の長期休校等々日々の暮らしに多大な御負担をおかけしております。これまでの間、高い危機意識を持って三密の回避、マスクの着用、手洗いの励行、小まめな換気など新しい生活様式の実践に取り組んでいただいていることに改めて感謝申し上げます。御自身が感染しない、身近な人を感染させないことが医療従事者の皆様への支援ともなります。引き続き御協力をお願い申し上げます。
 私は、知事就任以来日本の国土の象徴であり人類共通の宝でもある霊峰富士のごとき高い志を持って、ポスト東京時代の新しい日本づくりの先導役を本県が担い誰もが努力をすれば人生の夢がかなうドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点となるべく、その実現に全力で取り組んでまいりました。
 オール静岡での取組により平成二十五年六月の富士山世界遺産登録を皮切りに地域資源、人材群が次々と世界的評価を得ている本県は、国内はもとより世界の人々が夢をかなえる徳のある豊かで自立した地域になりつつあります。令和三年度は県政運営の羅針盤である静岡県の新ビジョン富国有徳の美しいふじのくにの人づくり・富づくりの基本計画が最終年度を迎えます。これまで計画全体の進はおおむね順調に推移しております。新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、予断を許さない状況ではありますが総仕上げに向けて全力で取り組んでまいります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は人々の意識、価値観、行動、暮らし方、働き方に大きな影響を与え社会システム、ビジネスモデル、産業構造の転換が進みつつあります。新型コロナウイルスはこれまでの様々な仕組みを破壊いたしました。破壊の後に続くのが創造の時代の幕開けであります。静岡県が新しい時代の幕を開けるのだという気概を持ってウイズコロナ、アフターコロナ時代の先導的な地域づくりを進めてまいります。
 感染症で打撃を受けた経済の活性化、再生に向けて大都市圏とは格段に感染リスクの低い本県を含む地域において新しい広域経済圏を形成しデマンド、サプライの両面から地域主導型の経済政策フジノミクスを展開してまいります。
 デマンドサイドでは、山梨県、長野県、新潟県との山の洲くに広域経済圏において域内の財、サービスを域内の住民が買い支える取組を強力に進めます。これは生産者を助ける利他であると同時に買う人にとっても楽しい自利でもあります。人を幸せにして自分も幸せになると、幸せをつくる消費喚起策により県民幸福度を高めてまいります。
 私は、知事就任直後の平成二十一年六月県議会定例会の所信表明で、域外に開かれつつも域内で自己完結し得る地産地消を軸とした経済文化圏の形成を目指すと申し上げました。以来十年余りが経過し、この構想がさらに大きく実現に向けて動いていると実感しております。
 サプライサイドでは、本県のこれまでの医療健康産業の集積を生かし医薬品、医療機器産業、ライフサイエンス産業などの命を守る産業へのシフトを後押ししリーディング産業として育成してまいります。
 コロナ禍を契機に地方暮らしへの関心が高まっています。先日私が講師を務めた勉強会に参加した若いビジネスマンから静岡県へ移住したい旨のお話と移住に向けた御相談を頂きました。このように地方回帰の動きが目に見えて加速しております。この機会を逃さず仕事と暮らしを両立する場として本県が選択されるよう美しい自然環境、歴史に培われた文化、豊かな食材などの恵まれた自然を生かした多彩で魅力的なふじのくにライフスタイルが織りなす静岡ならではの生活様式を国内外に積極的に発信してまいります。地方回帰のフロントランナーとして帰りなんいざふるさとふじのくにへをキャッチフレーズにウイズコロナ、アフターコロナ時代の先導的な地域づくりに全身全霊で取り組んでまいりますので、引き続き県議会の皆様のさらなる御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 初めに、令和三年度当初予算案と組織定数の改編についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響により法人事業税、地方消費税、個人県民税などの県税収入の大幅な減収が見込まれる中、最優先の課題である感染症対策やウイズコロナ、アフターコロナを見据えた取組に限られた財源の配分を求められる極めて厳しい、難しい予算編成となりました。このため予算編成五箇条に基づき質、量の両面から歳出の見直しを徹底し、企業版ふるさと納税などの活用により財源確保を図りながらウイズコロナ、アフターコロナ時代の先導的な地域づくり並びに人づくり・富づくりの総仕上げに必要な予算編成と、これを推進する組織定数の改編を行いました。
 令和三年度の一般会計の歳出予算総額は一兆三千九十四億円で、前年度当初予算を三百二億円、二・四%上回る予算を編成いたしました。
 予算編成と組織定数改編の基本方針の一つ目はウイズコロナ、アフターコロナ時代の先導的な地域づくりであります。三つの重点テーマに沿って御説明申し上げます。
 第一の重点テーマは、感染拡大防止とリスクへの備えであります。
 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 イギリスで報告された変異した新型コロナウイルスいわゆる変異株が本県でも確認されました。これまでよりも感染力が強いことが報告されております。現時点における感染事例は限定的でありますが、県民の皆様にはさらなる感染症の拡大防止に御協力をお願いいたします
 検査体制につきましては、変異株の確認を受け重症化リスクの高い高齢者福祉施設等における感染拡大を防ぐため今月上旬から東部保健所管内の施設を対象に抗原定量検査を実施した結果、感染の拡大は確認されませんでした。
 なお、今月三日から県環境衛生科学研究所において県内で発生した陽性検体のうち一部について変異株PCR検査を開始いたしました。感染拡大地域においては引き続き集中的かつ大規模な検査を速やかに行うことにより感染拡大を防止してまいります。
 医療体制の確保につきましては、さらに厳しい感染流行期を想定した病床数を確保する必要があります。感染患者を受け入れる医療機関を拡大するため静岡県病院協会と共にさらなる病床の確保を要請するほか、症状が治った段階での早期転院を促進するための制度を創設し中等症以上の患者の病床確保を進めてまいります。
 また、重症患者への対応には多くの人員が必要となりますことから、人工呼吸器等の集中治療が必要な患者さんを受け入れた医療機関に対しまして患者お一人当たり一日十万円を基本に支援し病床の確保を図ってまいります。
 地域医療の確保につきましては、地域に欠かせない救急医療体制等の維持、継続を図るためクラスターが発生した医療機関に対しまして病床数等に応じて最大五千万円の支援金を交付いたします。
 ワクチンの接種につきましては、国におきまして安全性と有効性の確認を最優先としつつ今年前半までに全国民への接種を可能とするよう準備を進めております。本県におきましても国のスケジュールに則した速やかな接種を行えるよう市町と連携を密にして進めてまいります。
 こうした感染症対策を迅速かつ機動的に実施するため、健康福祉部に感染症対策局を設置し感染拡大防止に万全の対応を図ってまいります。
 次に、リスクへの備えについてであります。
 市町と一体となった地域経済対策につきましては、首都圏等における緊急事態宣言の再発令やゴー・トゥー・トラベル事業の一時停止、県内での変異株の確認等の影響により飲食、宿泊、観光をはじめとした多くの事業者の皆様が大変厳しい経営状況に置かれております。こうした地域経済の厳しい状況につきましては市長会、町村会、業界団体、県議会各会派の皆様からも切実な声が届けられました。深刻な影響を受けている地域経済の一刻も早い回復に向け市町と一緒になって対策を考え直ちに実行に移してまいります。
 そこで、事業者への給付金の支給や地域振興券の発行、販売促進支援など市町が地域の実情を踏まえて取り組む地域経済対策への支援制度を新たに創設し市町と一体となって地域経済を支えてまいります。
 中小企業の事業継続につきましては、国による政府系金融機関での特別貸付けや民間金融機関を活用した資金繰り支援と歩調を合わせ県制度融資新型コロナウイルス感染症対応枠を継続し、引き続き中小企業の資金繰りに万全を期してまいります。また地域企業の経営状況に精通している金融機関との連携を強化し売上回復に向けた経営改善の取組を支援するとともに、第三者への承継も含めた事業承継も促進してまいります。
 さらに、オンラインサービスの提供やECサイトの構築などデジタル技術の活用により新たなビジネスモデルに挑戦する事業者を切れ目なく支援してまいります。
雇用の維持につきましては、昨年十二月の有効求人倍率は〇・九六倍と七か月連続で一倍を下回り雇用情勢は引き続き厳しい状況となっております。こうした中、 厳しい就職環境に置かれている大学生に対しましてはインターンシップへの参加促進や静岡U・Iターン就職サポートセンターの相談体制についてオンラインの活用を強化し就職活動を支援してまいります。
 高校、特別支援学校の就職支援につきましては、外部人材を活用した職場開拓や面接指導を行うなど希望の就職先に就けるようにきめ細かな支援をしてまいります。また離職を余儀なくされた方々に対しましては失業・求職者向けの職業訓練を着実に実施し早期の再就職支援に注力してまいります。
 鉄道、 バスなどの地域公共交通につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による利用者の大幅な減少により大変厳しい経営状況にあります。地域の公共交通機関は県民の皆様の日常生活や経済活動を支える重要な社会インフラでありますので、利用者の減少にもかかわらず運行本数を維持していただいている取組や非接触のキャッシュレスシステム導入などに対する支援を行い、コロナ禍にあっても安心して通勤・通学、買物などに利用できる地域交通を確保してまいります。
 新たな避難先の確保と避難所の生活環境の改善につきましては、新型コロナウイルス感染拡大により避難時の密集を避けるため避難所の増設や避難スペースの確保が課題となっております。このため身近で安心感のある地域の公民館を防災機能と生活環境を備えた防災コミュニティーセンターとして整備し地域の避難所としても活用できるよう、地震・津波対策等減災交付金に新たな支援メニューを設け市町の取組を重点的に支援してまいります。
 また、避難所の生活環境の改善も急務でありますことからトイレトラックやシャワーシステム、簡易ベッドなどの資機材整備を積極的に支援し被災者のプライバシーに配慮した避難環境の充実に努めてまいります。加えて住み慣れた自宅で避難生活を送ることの重要性が増していることから、より高い耐震性を確保するため住宅の耐震補強に対する支援を充実いたします。
 第二の重点テーマは、フジノミクスによる経済の拡大であります。
 バイ・シズオカにつきましては、感染症の影響を受けている茶業関係者、花卉生産者を支援するため教育委員会や関係団体と連携して県内の小学校、中学校に静岡茶や県産花卉を提供し愛飲、食育、花育に活用し需要拡大を図ってまいります。また長期的な需要の減少等の影響を受けております養殖魚等の県産水産物を学校給食に提供し漁業者を支援してまいります。
 バイ・山の洲くにによる財とサービスの消費喚起につきましては、本年全線開通が予定されている中部横断自動車道を活用した新たな物流網による量販店への販路拡大等により農林水産品の域内完結型サプライチェーンを構築し、利他と自利で支え合う新しい消費スタイルを目指してまいります。官民連携による鮮魚の高鮮度供給モデルの構築により新たな経済圏における県産水産物の需要確保、拡大に取り組んでまいります。
 リーディング産業の基盤強化につきましては、医療健康産業分野ではファルマバレープロジェクトを中核に医薬品、医療機器の合計生産金額が十年連続一位という本県の場の力を生かし光・電子技術の活用や山梨県との連携等によりさらなる産業集積を促進してまいります。また新型コロナウイルスの感染が拡大する中、国内外で人工呼吸器、マスク、医療用ガウンなど医療関係物資が不足したことを踏まえ感染症対策などに関わる技術開発を重点的に支援いたしまして医療物資や機器の国産化、輸出産業化を推進いたします。
 さらに、県内企業の競争力を高めるため従来のビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの導入を促進しリーディング産業の育成を加速化してまいります。
 デジタル技術やECサイトを活用した販路拡大につきましては、国内外のバイヤーと県内の生産者を結びつける食のデジタルカタログを活用したオンライン取引の推進や、JA静岡経済連のしずおか手しお屋などの御当地ECサイトの育成による県産品の販売を促進してまいります。
 観光産業の振興につきましては、早期回復に向け昨年六月以降地域や関係団体、事業者の皆様と連携し本県独自の観光促進キャンペーンを展開してまいりました。この結果県内延べ宿泊客は対前年同月比で昨年五月の一八・六%から十一月には七九・五%まで上昇するなど一定程度の回復が図られてきたところでありますが、その後の感染拡大に伴う観光需要の大幅な減少により再び深刻な打撃を受けております。
 このため、今後の感染状況を踏まえながら旅行者と受入れ施設双方の感染防止対策を徹底した上で、県民の皆様等を対象とした観光需要喚起策を展開することにより観光産業の早期回復に全力で取り組んでまいります。また観光デジタル情報プラットフォームを最大限活用し多様化する旅行者ニーズに応じた情報発信と観光事業者のマーケティング支援を行い、持続可能な観光地域づくりを推進してまいります。
 第三の重点テーマは、ふじのくにライフスタイルの創出であります。
 初めに、新しい働き方や暮らし方に対応した多様なライフスタイルを選択できる環境の整備についてであります。
 テレワークオフィスのある暮らしにつきましては、コロナ禍を契機にリモートワークやテレワークが新しい日常となり働く場所と住む場所の垣根が低くなっております。仕事を変えずに住まいだけを変える、あるいは二地域居住といった新しい形の暮らし方も生まれています。
 こうした変化を的確に捉え静岡らしい自然豊かでゆとりのある職住一体の住まいの創出と本県への移住を促進するため、自宅でのテレワークスペースの導入支援や県外からの移住者が行う庭などの緑化に対する助成制度を創設し、テレワークオフィスのある暮らしプラスオーの住まいの実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 新しい働き方として注目されているワーケーションにつきましては、観光産業への経済効果にとどまらず都市から地方への新しい人の流れが生まれることで多くの効果をもたらす可能性があります。来年度は宿泊施設のワークスペース改修、Wi―Fi等の通信環境整備等への助成を新たに実施いたします。また企業と地域のマッチング体制を構築し、首都圏企業への営業活動を強化するなど平日の観光需要を拡大し県内へのワーケーション誘致を促進してまいります。
 新しい富士山登山につきましては、毎年国内外から多くの登山客や観光客が訪れておりましたが昨年の夏は新型コロナウイルス感染症の影響で安全確保が難しくなったことから、やむを得ず開山を見送りました。今年の夏に向けましては山小屋や関係団体の皆様と共に医療の専門家の助言を得ながら、ウイズコロナ時代に対応した新しい富士登山の在り方として山小屋での感染症対策ガイドライン、新しい登山者マナー、行政等が取り組む登山道における感染症対策を取りまとめております。これらに基づき山小屋の定員の見直しやパーティションの導入、宿泊予約制の徹底、入山前の検温など多くの皆様が安心して登山を楽しむための万全の体制を整えてまいります。
 ふじのくにのフロンティアを拓く取組につきましては、ICT等の新しい技術を活用しながらこれまで整備を進めてきた推進区域や新たな拠点等が相互に連携、 補完し合うふじのくにフロンティア推進エリアの形成に取り組んでおります。今年度は賀茂地域の一市五町によるワーケーションや地域交通の強化等によって、地域ならではのライフスタイルを提供する取組など十三市町による六つの推進エリア計画を認定いたしました。来年度は推進エリアの形成を加速させるため計画づくりへの支援に加えサテライトオフィスの整備や地域交通の強化、にぎわい施設の整備等への支援制度を創設いたします。多彩なライフスタイルが選択できる先導モデルを県内各地に創出することにより選ばれる地域づくりを進めてまいります。
 ふじのくにのデジタル化につきましては、現在デジタルトランスフォーメーション推進プロジェクトチームにおきましてふじのくにのデジタル化への道筋をつける新しい戦略の骨子案を作成しております。来年度は知事直轄組織に設置するデジタル戦略局を中心に専門家の知見を加え県民の皆様からも幅広く御意見を頂きながら、年内をめどに新しい戦略を策定してまいります。本県におけるデジタル化の流れを加速するため、戦略策定と並行してデジタル技術の本県社会への実装に向けた取組も積極的に進めてまいります。防災、産業、教育、医療、文化、交通など幅広い分野においてデジタルトランスフォーメーションを強力に推進してまいります。
 次に、人や企業の流れの創出についてであります。
 移住・定住の促進につきましては、首都圏をはじめ大都市圏では若者を中心に地方移住への関心が高まっております。より簡単に情報を入手することができるSNSを活用することにより情報発信を強化するとともに、オンラインを活用して移住フェアの開催回数を増加させることで移住を検討する機会を増やしてまいります。 またふじのくにに住みかえる静岡県移住相談センターの機能を強化するため県庁内に移住コーディネーターを配置し、市町及び地域団体等と連携したきめ細かな伴走支援を行うなど受入れ体制の充実も図ってまいります。
 首都圏企業等への働きかけの強化につきましては、ICT企業等のサテライトオフィスの誘致やコワーキングスペースの開設促進のほか移住希望者と県内企業とのマッチング支援等に取り組んでまいります。またSNS等を活用した多様なターゲットへの情報発信やきめ細かな相談対応に加え、中間支援組織との連携を強化し地域づくりや社会貢献活動に参画したいという関係人口の拡大を図ってまいります。
 首都圏との近接性や豊かな自然、歴史、文化などの本県の強みを生かしつつ多彩なライフスタイルを選択できるふじのくにライフスタイルを創出し広く発信していくことで首都圏等からの人、企業の流れを呼び込んでまいります。
 基本方針の二つ目は、人づくり・富づくりの総仕上げであります。
 新ビジョンの八つの政策体系に沿って御説明を申し上げます
 政策の第一の柱は、命を守る安全な地域づくりであります。
 県土強靱化の推進につきましては近年相次ぐ風水害や災害の激甚化を踏まえ万全の対応を図ってまいります。国では昨年末、事業規模十五兆円の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を決定しました。本県ではこれに呼応し二月補正予算案に約四百九十五億円を計上し今議会にお諮りしております。道路、河川、港湾施設等の機能強化、老朽化対策など県土の強靱化に集中的に取り組み県民の皆様の生命と財産を守ってまいります。
 県単独の取組として国の五か年加速化対策と連携した緊急自然災害防止対策に取り組むほか、歩行空間のバリアフリー化、生活道路、観光道路の防草対策など新しい生活様式に対応した道路環境の整備、洪水浸水想定区域内に高齢者施設や緊急輸送路等がある河川、砂防施設の整備を緊急に実施してまいります。
 早期避難の意識醸成につきましては、地震や津波はもとより昨今激甚化する風水害などの多様な災害から県民の皆様の命を守るための基本であり早急に取り組むべき課題です。
 このため、多様な災害において発生の前後にどう行動するべきかを県民の皆様一人一人が自分のこととして検討するわたしの避難計画の策定に向け市町と連携して取り組んでまいります。また各市町がわたしの避難計画を活用して住民の避難行動を把握し、避難所運営や被災者の支援の充実等につなげるよう働きかけてまいります。こうした取組を通じ地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の目標である犠牲者の八割減少を二〇二二年度末までに達成するとともに、風水害や土砂災害などに対しましても早期に避難できるよう意識醸成を図ってまいります。
 安全な生活と交通の確保につきましては、県民の皆様の安全で安心な生活を守るため地域の犯罪情勢に即した効果的な犯罪抑止対策と地域との協働による自主防犯活動に加え、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けたテロ対策を推進してまいります。また警察活動の拠点となる大仁警察署の整備を進めてまいります。
 令和二年の暦年ベースの交通事故発生状況につきましては、人身事故件数は二万六百六十七件と前年に比べ四千四百三十五件減少となりましたが、死者数は百八人と前年を七人上回り五年ぶりの増加となりました。交通事故のない安全な社会の実現を目指し信号機、標識等の交通安全施設の整備に取り組むとともに、高齢者と子供の交通事故防止を重点として横断歩行者保護に関する活動の推進や交通指導取締りの強化など総合的な交通事故防止対策を推進してまいります。
 政策の第二の柱は、安心して暮らせる医療・福祉の充実であります。
 安心医療の確保、充実につきましては、複数の医療機関により設立される地域医療連携推進法人制度を活用し、病床過剰地域における病床の再編や医師の相互派遣等を進める医療機関に対する支援制度を創設し地域医療構想の実現につなげてまいります。また飛行回数が全国トップクラスの東部ドクターヘリなどへの支援を強化し安定的な運航と救急医療体制を確保いたします。
 医療を支える人材確保は、引き続きふじのくにバーチャルメディカルカレッジにおける専門医研修プログラムの充実などによる医師の確保や勤務環境改善の促進による看護師の確保などに取り組んでまいります。
 健康寿命の延伸につきましては、いよいよ本年四月一日に開学を迎える静岡社会健康医学大学院大学を活用し新たなステージへ取組を深化させてまいります。大学院大学におきましては第一期生として定員を大幅に上回る応募がありました。優秀な学生を確保し、社会健康医学修士マスター・オブ・パブリック・ヘルスにふさわしい、本県の健康寿命の延伸に資する有為な人材として育成してまいります。
 研究におきましては、新たな知見を生み出せるよう賀茂地域の一市五町の御協力を得て来年度から長期間にわたり健康課題の究明を行うゲノムコホート研究に着手いたします。加えてこれらの人材や知見を活用する体制を市町や関係団体などと構築し、具体的かつ効果的な施策を展開してまいります。県民誰もが人生の最期まで生き生きと過ごせる健康長寿県を目指してまいります。
 また、高度な医療を支える人材の確保は最重要課題でありますことから、静岡がんセンターを活用し大学院大学の設立を視野に入れてがん専門の医療人材や創薬・医療機器開発の産業人材の育成についても検討を進めてまいります。
 障害のある人が分け隔てられない共生社会の実現につきましては、障害のある方の経済的自立を目指し、県民の皆様にふじのくに福産品の継続的な購入を呼びかける一人一品運動を引き続き推進してまいります。来年度はコロナ禍における新しい生活様式に対応したオンライン販売を導入する障害福祉業所を支援し工賃の向上につなげてまいります。
 また、知的障害児の入所施設である磐田学園につきましては新園舎の建築工事が完了し来月から新しい園舎での生活が始まります。居室の個室化や小規模ユニット制の導入により障害特性に応じた個別支援や家庭的な支援を充実し児童の自立を促進してまいります。
 政策の第三の柱は、子どもが健やかに学び育つ社会の形成であります。
 少子化対策につきましては、今年度市町と協力して合計特殊出生率に影響を及ぼす要因を分析したふじのくに少子化突破戦略の羅針盤を改定いたします。来年度はこの新しい羅針盤を活用して地域の特性に応じた少子化対策に取り組む市町を支援してまいります。
 また、少子化の主な要因の一つが未婚化、晩婚化であります。結婚を希望する県民の皆様を支援するため、ふじのくに出会いサポートセンターを設置しAIを活用した仲介システムにより出会いの機会を提供するとともに、新生活の開始に当たっては住まいを確保する際の経済的負担を軽減するなど市町等と連携して総合的に支援してまいります。
 子供の居場所づくりにつきましては、子供食堂や学習支援など身近な地域における取組を一層促進するため活動を支援するサポーターの募集、担い手に対する相談支援に取り組んでまいります。さらに来年度からは静岡県社会福祉協議会と連携して、子供の居場所づくりに取り組む団体等に対しふるさと納税やクラウドファンディングを活用した助成を行うなど安定的な運営が可能となるように積極的に支援してまいります。
 魅力ある高等学校の実現につきましては、就業構造の変化、グローバル化、技術革新の進展、高校生の適性、興味関心、進路の多様化など高等学校を取り巻く状況の大きな変化に対応するために普通科の特色化と新学科の設置、実学の奨励に取り組んでまいります。
 普通科の特色化につきましては、国の普通科改革を先取りし国内外の大学等と連携した高度かつ多様な学びの提供、地域社会や企業との連携、中山間地域の生徒の学びの機会の保障を進めてまいります。
 新学科の設置につきましては、スポーツ、演劇などの各分野においてモデル校を指定するなどカリキュラム等の検討を進めてまいります。
 実学の奨励につきましては、産業界との連携をこれまで以上に進めまして専門高校の教育の充実を図り未来のスペシャリストを育成してまいります。
 県立学校の老朽化対策につきましては、子供たちの安全で快適な学習環境を確保するために計画的に老朽化対策を進めており、来年度は新たに五校五棟の設計に着手いたします。また災害級とも言われる近年の猛暑の中、生徒及び教職員が安全かつ安心して学校生活を送れるよう現在空調設備の整備を進めており、本年六月末までに全ての高等学校の普通教室への整備が完了する予定であります。
 特別支援学校につきましては、知的障害を対象とする特別支援学校の施設の狭隘化解消や児童生徒の通学負担の軽減を図るため、令和八年度の開校を目指し静岡地区には静岡視覚特別支援学校へ併置する形で新たな特別支援学校の整備を、また令和五年度の開校を目指し富士富士宮地区には富士東高等学校内に特別支援学校高等部分校の整備を進めてまいります。
 政策の第四の柱は、誰もが活躍できる社会の実現であります。
 ICT人材の確保・育成につきましては、県内企業とスタートアップの協業を促すTECH BEAT Shizuokaをリアルとオンラインの融合型とし、バーチャルリアリティーなどの臨場感を高める技術を積極的に取り入れるなどマッチング効果をこれまで以上に高める工夫をしてまいります。また東京事務所や県内市町と連携し高度情報処理人材を擁するICT企業誘致の取組を強化するほか、小中高校生向けのプログラミングコンテストやキャンプを開催しまして次世代人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。
 多文化共生の推進につきましては、県内の十万人を超える外国人県民に生活に不可欠な情報を届け安心して快適に暮らせる環境をつくることが必要であります。 このため外国人県民への情報提供に関するガイドラインに基づき必要な情報が確実に届くよう新たに設ける多言語情報ポータルサイトに集約して発信してまいります。またコロナ禍においてもブラジル人学校に通う生徒が正規雇用されるよう採用の鍵となる日本語教育やキャリア教育を実施するとともに、企業との連携を強化するなどプログラムの充実を図り地域企業で活躍できる人材を育成してまいります。
 夜間中学の設置につきましては、これまで複数回のニーズ調査や市町教育委員会を対象とした研修会、設置意向調査を行うなど設置に向けた検討を行ってまいりました。多数の県民の方々から設置を求める声を頂き設置に向けた環境も整ったことから、誰もが学び活躍することができる新たな学びの場、学び直しの場として県立の夜間中学、ナイトスクールプログラムを設置することといたしました。令和五年四月の開校を目指し規模や設置場所等を含めた基本方針を策定してまいります。
 新しい県立中央図書館につきましては、今後百年にわたり活用される図書館、二十二世紀にわたって使い続ける図書館であります。専門的な蔵書と専門性の高い機能を拡充しつつ、県民の皆様に開かれた親しみのある全国に先駆けたウイズコロナ、アフターコロナ時代の新しい総合図書館を目指し整備を進めてまいります。 現在アイデアコンペに応募を頂きました多くの御提案を踏まえ整備計画を策定しており、来年度には整備計画に基づき設計に着手してまいります。
 政策の第五の柱は、富をつくる産業の展開であります。
 次世代自動車につきましては、脱炭素社会の実現に向け我が国を含めた世界の主要各国が脱ガソリン車の方針を表明しEVシフトが加速している状況を踏まえ次世代自動車センター浜松を中心に中小企業の技術開発、研究開発に対する支援を強化してまいります。また今年四月に開校する静岡県立工科短期大学校でデジタル人材の育成を進めるとともに、デジタル機器による三次元設計の導入などを促進し県内自動車産業の国際競争力を高めてまいります。
 家畜の防疫対策につきましては、昨年十一月に香川県の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが確認された後、国内で発生が続いております。本県におきましても全ての養鶏場における緊急消毒の実施や野鳥の侵入防止対策の徹底を指導するなど防疫対策を強化しております。また養豚農場での豚熱発生を防ぐため豚へのワクチン接種や野生イノシシの捕獲、検査などの対策を引き続き実施してまいります。
 食肉センターの再編整備につきましては、菊川市と浜松市に立地する二つの食肉センターの老朽化が進み稼働率も低下しておりますことから、市町や生産者団体等と今後の施設の在り方について協議を重ね小笠食肉センターを再編整備することといたしました。 今後は市町や生産者団体等と十分に連携を図り、県民の皆様に新鮮で安全安心な食肉を安定供給できるよう新しい食肉センターの早期整備に取り組んでまいります。
 林業につきましては、県産材の県内消費のさらなる拡大に向けて住宅に加え店舗や社屋などの非住宅建築物において県産材による木造化、木質化の促進に取り組んでまいります。またオリンピック・パラリンピック関連施設での環境に配慮した木材利用などにより森林認証材の認知度が向上し、今後新たな木材需要が期待されております。このため主伐した木材の効率的な運搬に必要となる基幹的作業道などの基盤整備を促進し、森林認証材の安定供給体制の強化に取り組んでまいります。
 政策の第六の柱は、多彩なライフスタイルの提案であります。
 次世代を見据えた環境政策につきましては、菅総理大臣が二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し脱炭素社会の実現に向けて大きな一歩を踏み出したところであり、本県としても国と歩調を合わせていく必要があると考えております。
 本県の環境政策の大綱である静岡県環境基本計画は令和三年度末で計画期間が終了します。今後地球温暖化対策をはじめ、資源環境と経済成長を同時に達成することを目指す循環経済の構築や世界に誇る本県の自然環境の保全などに向けた基本計画の策定作業を着実に進めてまいります。環境と生命の世紀と言われる二十一世紀にふさわしい環境政策の方向性を示し、恵み豊かで活力ある持続可能な社会の実現に全力で取り組んでまいります。
 エネルギーの地産地消につきましては、来年度ふじのくにエネルギー総合戦略の改定作業を進めます。域内での効率的な電力需給を実現するバーチャルパワープラントや水素エネルギー等の導入推進に向けた基礎調査を実施し具体的な取組を次期総合戦略に盛り込んでまいります。東日本大震災後のエネルギーを取り巻く環境の変化を踏まえ、エネルギー供給体制を従来の一極集中型から災害に強い再生可能エネルギーや水素等を活用した地域の自立分散型システムへの転換を進めてまいります。
 政策の第七の柱は、ふじのくにの魅力の向上と発信であります。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックにつきましては、近代オリンピック史上前例のない一年の延期となりましたが交通輸送対策、都市ボランティアの管理育成、 事前キャンプの受入れ支援など大会に向けた準備を加速してまいります。
 七月の開幕に先立ち、六月二十三日から二十五日にかけてオリンピック聖火リレーが県内で実施されます。本県ゆかりの聖火ランナーが富士山静岡空港、富士山世界遺産センター、世界文化遺産韮山反射炉など本県が世界に誇る地域資源を巡り世界中に本県の魅力を発信する予定であります。コロナ禍の難局を乗り越え聖火リレーや自転車競技大会を成功させ皆様の心に残るすばらしい大会となるよう大会組織委員会、市町、関係団体等とワンチームになって準備の総仕上げに万全を期してまいります。
 サイクルスポーツの聖地づくりにつきましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック終了後も本県がアジアの自転車競技の中心地としてサイクリストの憧れを呼ぶ聖地となるよう大会レガシーの創出と自転車文化の醸成に努めてまいります。オリンピックのロードレースコースを活用したサイクルイベントの開催をはじめ本県ならではの景観を楽しめるサイクリングルートのPR、訪れた方へのおもてなしの充実など県内全域でサイクルツーリズムを推進してまいります。また競技会場である日本サイクルスポーツセンターについて、初心者からトップ選手まで集う自転車トレーニングヴィレッジとしての活用を関係団体と共に検討してまいります。
 ラグビーの聖地化につきましては、ラグビーワールドカップ二〇一九の感動を後世に継承するため品位――インテグリティー、情熱――パッション、結束――ソリダリティー、規律――ディシプリン、尊重――リスペクトの五つのラグビー精神を学ぶ体験授業やトップレベルの試合の観戦によりラグビーの普及、定着に引き続き取り組んでまいります。小笠山総合運動公園の芝生広場にラグビーポールを整備し同時に五面使用できる環境を実現いたします。全国トップクラスとなったラグビー環境を積極的にPRし大規模大会や合宿の誘致を実現しエコパスタジアムのラグビーの聖地化を進めてまいります。
 アーツカウンシルしずおかにつきましては、昨年リスタートした文化プログラムの成果を継承し多分野協働のプラットフォーム、住民主体の創造活動の推進エンジンとして先月県文化財団内に設置いたしました。今後はこのアーツカウンシルを中心に専門家による人材の育成を進め福祉、教育、産業、観光などの幅広い分野の担い手の皆様とアーティストとの連携を促進するなど本県の地域資源を生かした住民主体の創造的な活動を支援してまいります。
 県立劇団SPACを核とした演劇の都づくりにつきましては、演劇に深い興味を持ち意欲的な高校生を対象とした演劇アカデミーを開校いたします。アカデミーでは本県が世界に誇るSPACの俳優等による講義や舞台芸術公園等の施設を活用したプログラムにより将来の演劇の都を担う人材の育成を図ってまいります。
 南アルプスの自然環境保全につきましては、日本の屋根と呼ばれる南アルプスは降水量が多くその雨は大井川に流れ込むとともに、山梨県側に降れば早川を経て富士川へ、長野県側に降れば三峰川を経て天竜川へ流れており、県民の皆様の命を育み産業を支える源となっております。ユネスコエコパークにも登録されている南アルプスの豊かな自然環境を守るためには県内だけでなく国内外の皆様にこの豊かさを御理解頂き、より多くの方々に環境保全の取組に御参加頂く必要があります。
 このため、南アルプスの自然環境の保全と魅力の発信を目的とした新たな基金を創設し、ボランティアの皆様との協働による希少な動植物の保護等を進めることにより世界の宝、南アルプスを後世に引き継いでまいります。来年度は南アルプスの環境保全施策を着実に実行するため組織体制を強化いたします。
 リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源、南アルプスの自然環境の保全につきましては、今月七日に第八回リニア中央新幹線静岡工区有識者会議が開催されJR東海から工事期間中における山梨県側へのトンネル湧水の流出量の試算が示されました。資料では三百万トンないし五百万トンのトンネル湧水が発生し山梨県側へ流出することが当然のごとく示されております。しかし実際には想定外の湧水の発生が懸念されることから、JR東海は山梨県側から上向きに掘りトンネル湧水を自然に流すこととしています。
 トンネル湧水の全量を大井川水系に戻すことはJR東海の金子社長が明言した約束であります。この約束は県がJR東海と対話を進める前提であります。JR東海には約束どおりトンネル湧水の全量を戻していただかなければなりません。
 また、会議終了後には、工事期間中の椹島より下流側の河川流量は導水路トンネル等で大井川に戻される量を考慮すると平均的にはトンネル掘削前の河川流量を下回らないことが示された、これにより静岡市及びJR東海の解析モデルの予測結果としてトンネル湧水が当該期間中に山梨県側に流出した場合においても椹島より下流側では河川流量は維持されるとしたJR東海から示された事項を有識者会議として確認したとの座長コメントが、非公開で取りまとめられ公表されました。 しかしながら座長コメントは有識者会議がJR東海からの説明を検証・評価したものではありません。それを追認したかのような誤解を県民の皆様に与えるだけのものであり、全く座長コメントは必要はありません。
 国土交通省は、県民の皆様に不信感を与えるような、このような座長コメントの取りまとめではなく合意五項目の第一である会議の透明性を遵守し有識者会議における議論の状況を全面公開するべきであります。
 また、八日に開催した生物多様性専門部会において南アルプスの環境保全に関する対話が行われ、トンネル工事による自然環境への影響に関するJR東海の認識が不十分であることも明らかになりました。委員からは、南アルプスの保全を確実に行うことがユネスコエコパークとして引き続き認められるポイントであり、しっかりと説明できるよう必要な対策を進めてほしいとの発言がありました。まさしくそのとおりであります。JR東海にはこのことを重く受け止めて南アルプスの自然環境保全等に向けた取組へ反映していただくよう強く求めてまいります。
 環境影響評価書に対する国土交通大臣意見として、本事業を円滑に実施するためには地元の理解と協力を得ることが不可欠と明記されているとおり、トンネル工事の着工には流域住民の皆様の理解が不可欠であります。流域住民の皆様の理解を得ることなく着工することはあり得ません。流域住民の皆様の不安を払拭し安心感を持っていただくためにも金子社長にじきじきにお会いして、現地の状況を把握した上で大井川の水資源や南アルプスの自然環境を守るために何ができるのかできないのか科学的根拠に基づく分かりやすい説明を有識者会議で行い、流域住民の皆様の理解がなければ工事に着手しないことを明言していただくようにお伝えしたいと考えております。
 政策の第八の柱は、世界の人々との交流の拡大であります。
 駿河湾フェリーの利活用促進につきましては現在感染症の影響により厳しい経営環境に置かれておりますが、美しい富士山の姿を海上から望むことのできる公共空間としての大きな役割を果たし地域経済に多大な効果をもたらす重要な社会資本でありますことから、引き続き運航を継続していく必要があります。このため一般社団法人ふじさん駿河湾フェリーと県、環駿河湾地域の三市三町が検討を重ね今月末までに経営改善戦略を策定いたします。
 今後より多くの方々にフェリー乗船そのものを主目的として御活用、御利用頂けるよう地域企業と携した船内限定品の開発や県内大学等と連携した船上教育プログラムの充実などによりフェリーの魅力向上を図ってまいります。また利便性を高めるためのアクセス改善、収入確保、費用縮減を進め安定的な運航継続に向け関係者と一体となって取り組んでまいります。
 地域外交の推進につきましては、顔と顔を合わせ相互理解を深め信頼関係を構築する対面による交流が基本でありますが、今後はより一層ウェブを活用して交流を進め対面とウェブを併用するツイン外交により交流先の国・地域とのネットワークの維持発展につなげてまいります。また海外に設置している駐在員事務所の優位性を生かし、これまで築いた重点国・地域等との友好関係の維持、深化や県民の皆様、県内企業に向けた海外現地情報の発信に努めてまいります。
 加えて、海外の人材や外国企業の取り込みにより本県の活力を維持することも地域外交の重要な役割でありますことから、コロナ禍の現状を踏まえ国内の大都市圏に集住している外国人の活力の取組にも力を入れてまいります。
 ふじのくにの空の玄関口富士山静岡空港につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動や観光交流の停滞、訪日外国人の減少により令和二年の暦年ベースの搭乗者は昨年に比べ七二%減の二十一万九千六百四十五人となりました。令和二年十二月の搭乗者は六か月連続で一万人を超えたものの、搭乗率は五割を下回り依然として厳しい状況が続いております。
 このため、着陸料やグランドハンドリング経費など航空会社の運航コストの軽減を図るとともに、中部横断自動車道の開通を見据え富士山静岡空港株式会社や関係団体等と緊密に連携し山梨県との観光交流やビジネス利用、教育旅行などによる需要喚起策を展開し航空路線の維持確保に取り組んでまいります。
 基本方針の三つ目は、生産性が高く持続可能な行財政運営であります。
 組織定数につきましては、県政の重要課題に迅速かつ的確に対応できるよう見直しを行いました。新型コロナウイルス感染症への対策を強化するため健康福祉部に感染症対策局を設置し、感染症対策の企画立案や施策の実行を一元化し迅速化を図ります。また本県行政のデジタル化や各分野のデジタル施策を推進するため知事直轄組織にデジタル戦略局を設置いたします。このほか静岡社会健康医学大学院大学の開学や静岡県立工科短期大学校の開校など、誰もが努力をすれば夢を実現し幸せを感じることのできる地域の実現に向けた施策を着実に推進する体制を整備いたします。
 次に、特別会計及び企業会計についてでありますが、特別会計は公債管理特別会計予算ほか十会計で総額七千九百八十七億九千四百万円、前年度当初予算比二・八%の減となりました。また企業会計は工業用水道事業会計予算ほか四会計で総額八百九億一千百万円、前年度当初予算比一・〇%の増であります。
次に、予算議案を除く令和三年度関係のその他の議案のうち主な案件について概要を御説明申し上げます。
 第十八号議案は、本庁に置く部の分掌事務の見直しに伴う条例の改正であります。
 第二十一号議案及び第二十二号議案は、静岡がんセンター職員及び教職員の定数の改正を行うための条例の改正であります。
 第四十号議案は、木苗直秀教育長の任期満了に伴い再び同氏を任命することについて同意を求めるものであります。
 次に、令和二年度関係の議案につきましてその概要を御説明申し上げます。
 一般会計の二月補正予算額は二百十四億一千二百万円の増額であり、この結果令和二年度の最終予算額は一兆四千二百三十四億四百万円となります。防災・減災、国土強靱化の推進、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現など国の補正予算に伴う経費や新型コロナウイルス感染症対策に要する経費として七百九十二億三千二百万円の増額補正を行うとともに、人件費、税収関連法定経費、災害復旧費等の減額などを併せて行うものであります。
 特別会計及び企業会計の補正は、流域下水道事業で国の補正予算に対応した増額補正を行うほか事業費、財源の確定等に伴うものであります。
 令和二年度関係の予算以外の議案につきまして、主な案件について概要を御説明申し上げます。
 第六十四号議案は、南アルプスの環境保全に関する知識の普及、活動の促進等に関する経費に充てる基金を創設するための条例の制定であります。
 第六十八号議案及び第六十九号議案は、建設事業、土地改良事業に対する市町の負担額の変更についてお諮りするものであります。
 第七十号議案から第七十三号議案までは、土木工事等の契約及び変更契約についてお諮りするものであります。
 以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
○議長(山田 誠君) 以上で説明は終わりました。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp