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本会議会議録

議会補足文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用




平成31年2月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 02/13/2019
会派名:


○議長(渥美泰一君) 議事日程により、知事提出議案第一号から第百三号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 本日は、県議会議員OBの懐かしい先生方がたくさん傍聴されておられます中、知事提案説明ができるのはまことに光栄でございます。
 平成三十一年度の当初予算案並びにその他の議案を提出するに当たりその概要を御説明申し上げ、あわせて当面する県政の課題について所信の一端を申し述べます。
 本年は、平成の世も改まり新しい時代の幕あけとなる節目の年であります。明治以降の日本は西洋文明を受容し、欧米に追いつき追い越すことを目指した中央集権体制の東京時代でございました。
 既に、我が国は西洋文明を模倣するのではなく海外から模倣される立場に変わりました。昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞された本庶佑先生を初め、米国に次ぐ多くのノーベル賞受賞者を輩出し訪日外国人が初めて三千万人を突破するなど、我が日本国は世界から憧れられる国になりつつあります。
 本県に目を向けますと、平成二十五年六月の富士山世界遺産登録を皮切りに六十六カ月で八十件を超える地域資源、人材群が次々と世界的な評価を得ております。また本県で暮らし、働く外国人の県民は八万人を優に超え着実に増加しております。
 先月十二日には、本年の幕あけにふさわしい日本最大級のファッションイベント、東京ガールズコレクションTGCしずおか二〇一九が開催され、県内外の多くの若者が訪れ大盛況のうちに終了しました。春には十九年ぶりとなる静岡デスティネーションキャンペーン、秋には世界最高峰の大会ラグビーワールドカップ二〇一九が開催されるなど国内外からの注目がますます高まり交流の拡大が期待されます。富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりを加速し若者、女性、高齢者、障害のある方、外国人県民など誰もが努力をすれば人生の夢がかなうドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点、すなわちドリカムランドとなることがふじのくにの将来像であります。
 世界から見た静岡県という視点に立ち、世界共通の目標であるSDGsのフロントランナーとして世界の人々が憧れる魅力ある地域を築くべくオール静岡で取り組んでまいります。その精神はワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンであります。引き続き県議会の皆様のさらなる御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 初めに、平成三十一年度当初予算案と組織定数の改編についてであります。
 基本理念は、富国有徳の美しい“ふじのくに”づくり、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンであります。新たな時代を迎える中、新ビジョンの取り組みを積極果敢に進め、本県をドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点とするため必要な予算を編成するとともに、これを推進する組織定数の改編を行いました。
 平成三十一年度の一般会計の歳出予算総額は一兆二千六十六億円で、前年度当初予算を百九十四億円、一・六%上回る予算を編成いたしました。幼児教育の無償化や防災・減災、国土強靱化のための緊急対策、目前に迫ったラグビーワールドカップ二〇一九、外国人県民が活躍できる社会づくり等々に積極的に対応いたしました。また組織定数につきましては、新ビジョンに掲げる政策を着実に実行するため喫緊の政策課題への対応とともに、効果的かつ迅速に政策を実現する組織体制の強化を行いました。
 予算編成と組織定数改編の基本方針の一つ目は、人づくり・富づくりを加速するための重点的な取り組みであります。以下新ビジョンの八つの政策体系に沿いまして御説明申し上げます。
 政策の第一の柱は、命を守る安全な地域づくりであります。
 初めに、危機管理体制の強化についてであります。
 昨年は、全国各地で地震や風水害が相次ぎ本県も大きな被害を受けました。想定される南海トラフ地震を初め、さまざまな災害から県民の皆様の命、財産を守ることは、県政の最優先課題であります。
 南海トラフ地震に関する新たな防災対応につきましては、昨年十二月国は、平時の生活の継続を原則とするが津波浸水域などの脆弱性が高い地域の住民は事前避難することなどを基本的な考え方とする新たな防災対応の方向性を示し、ガイドラインの策定に着手いたしました。本県はこれまでの地震対策の実績が評価され、平成二十九年九月に国のモデル地区の指定を受け新たな防災対応の検討を進めてまいりました。この知見を生かし国のガイドライン策定と並行いたしまして、本県の地域特性や防災先進性を踏まえた本県独自のガイドラインを来年度中に策定してまいります。
 地震・津波対策の根幹となる地震・津波対策アクションプログラム二〇一三につきましては、残すところあと四年になりました。これまでの取り組みにより昨年度末の時点で想定される犠牲者数は、第四次地震被害想定の十万五千人から六万五千八百人に約四割減少いたしました。目標とする想定犠牲者の八割減の達成に向け、津波避難施設や防潮堤の整備、防災訓練の実施などハードとソフトの両面から着実かつ迅速に対策を進めてまいります。
 防潮堤の整備につきましては、地域の特性や環境への配慮、住民参加の取り組みが評価され平成三十年九月に日本環境共生学会環境活動賞を受賞した、いわゆる静岡方式による整備を進めます。対策が必要な五十九カ所のうち十八カ所で工事が完成しております。来年度は十五海岸、二河川で整備を進め計画期間内の完了を目指して取り組んでまいります。特に平成二十六年の工事着手から五年にわたり、総延長十七・五キロメートルの整備を進めてきた浜松市沿岸域の防潮堤につきましては来年度中に完成させてまいります。
 市町が実施する地震・津波対策につきましては、現行の緊急地震・津波対策等交付金にかわる新たな支援制度として地震・津波対策等減災交付金を創設いたします。自助、共助の実効性を高め津波による犠牲者防止や被災者の生活再建支援の強化を重点的に支援することとし、市町の計画に基づき来年度から四年間で百億円程度を交付するなど市町の取り組みを強力に支援してまいります。
 緊急輸送路等の沿道建築物の耐震化につきましては、巨大地震の発生時に住民の救助や避難等を担う防災上特に重要な道路の機能を確保するため、その沿道にある旧耐震基準の建築物等の所有者に対し二〇二二年三月までに耐震診断の実施と結果の報告を義務づけ、その建築物の耐震性を公表することとしております。来年度は対象となる建築物の耐震診断を所有者の負担がなく実施する制度を創設し、早期の耐震診断や耐震補強を促進してまいります。
 県土強靱化の推進につきましては、近年地球規模の気候変動などの影響により自然災害が頻発化、激甚化しておりその対策が喫緊の課題となっております。このため国の「防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策」に呼応し道路、河川、治山施設などの防災・減災対策を実施いたします。これに加え重要インフラの緊急点検に対応する緊急自然災害防止対策や県民に身近な生活環境基盤の整備に必要な予算を盛り込み、県土強靱化に集中的に取り組んでまいります。
 次に、安全な生活と交通の確保についてであります。
 県民の安全で安心な生活を守るため、官民協働による犯罪の起きにくい社会づくりを推進してまいります。
 県民に不安を与える犯罪や大規模イベントを狙ったテロの未然防止に努めるほか、警察活動の拠点となる湖西警察署、大仁警察署の整備を計画的に進めてまいります。平成三十年の交通事故発生件数は二万八千四百二件で前年に比べ一千八百四十二件減少いたしました。さらに交通事故の少ない安全な社会を実現するため信号機や標識等の交通安全施設の整備に取り組むとともに、高齢者の交通事故防止や増加する外国人サイクリストへの自転車マナーの周知など総合的な交通事故防止対策を推進してまいります。
 政策の第二の柱は、安心して暮らせる医療・福祉の充実であります。
 初めに、安心医療の確保・充実と健康寿命の延伸についてであります。
 医師の確保につきましては、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジの運営により現在三百六十五人の医学修学研修資金利用者が県内の病院に従事しております。加えて指導医を招聘し、研修環境の充実に取り組む病院を支援する新たな制度を創設し、県内で研修を行う専攻医の確保につなげてまいります。引き続き医師が魅力を感じる環境整備を進め、医師の確保と偏在の解消を図ってまいります。
 看護師や助産師などの医療人材につきましては、勤務環境の改善による離職防止や潜在看護師の再就業支援などに取り組んでまいります。また助産師不足に対応するため、県内唯一の県立養成機関静岡県立東部看護専門学校に本年四月から助産学科を開設いたします。この助産学科の新設を契機として名称を静岡県立看護専門学校に変更することとし、今議会に条例改正をお諮りしているところであります。
 社会健康医学の推進につきましては、県民の健康寿命の延伸に向けて県立総合病院先端医学棟のリサーチサポートセンター内に、仮称でありますが静岡県社会健康医学研究センターを設置し社会健康医学の研究を加速してまいります。
 先月二十三日、健康寿命延伸のための「社会健康医学」推進委員会の本庶佑委員長から、県民の健康寿命の延伸に資する大学院大学を速やかに設置するべきとの意見書をいただきました。委員会の御意見を踏まえ、科学的知見に基づく健康施策の推進に資する研究並びに人材育成の拠点となる大学院大学の設置にかかわる基本構想を本年度中に策定し、二年後となる二〇二一年四月の開学を目指して着実に準備を進めてまいります。
 望まない受動喫煙を防ぎ県民の健康寿命の延伸を図る静岡県受動喫煙防止条例につきましては、飲食店における禁煙、分煙、喫煙可の表示義務を本年四月一日から施行いたします。飲食店における表示を徹底するため、関係団体等と連携し制度を幅広く周知するとともに県内全域で巡回指導を行うなど受動喫煙防止対策に積極的に取り組んでまいります。
 がん患者の総合支援につきましては、これまでのがん患者の命を守る取り組みに加えて患者の生活の質を向上するための支援を強化してまいります。特に若い世代のがん患者が将来に希望を持ってがんと向き合い健やかな生活を送ることが重要であります。このためがん治療により妊娠する可能性が消失することを防ぐ、いわゆる妊孕性の温存やウイッグ――かつらでございますが――などの医療用補整具の購入に要する費用などを助成する制度を創設し、がん患者のクオリティー・オブ・ライフの向上を支援してまいります。
 次に、地域で支え合う長寿社会づくりについてであります。
 団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年には、本県で五人に一人が壮年熟期を超える世代に達すると予測されております。人生の最期まで住みなれた地域で自分らしい暮らしが続けられるよう医療・介護、生活支援などのサービスを一体的に提供する地域包括ケアシステムの実現を目指し、地域で支え合う長寿社会づくりを進めてまいります。
 介護の現場を支える人材の確保につきましては、介護職員の処遇改善や新たな人材の養成に取り組んでまいります。国が新たな在留資格、特定技能を創設するなど外国人を介護人材として受け入れる制度が拡充されました。このため海外にリクルートチームを派遣し、外国人介護人材の確保に努めるほか日本語の学習支援などの受け入れ支援を強化し、県内の介護事業所への就業や定着を促進いたします。また担い手の視野を拡大するため、介護職員を補助する介護サポーターを養成するなど介護を支える仕組みを構築してまいります。
 次に、障害のある人が分け隔てられない共生社会の実現についてであります。
 障害者スポーツにつきましては、障害のある方の健康や生きがいづくりに加え社会参加や障害のある方への理解を促進する重要な役割を担っております。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催一年前を契機として、障害者スポーツへの関心を高めるため県内各地でさまざまなイベントやスポーツ体験会を開催いたします。また本県のパラサイクリングの選手の目標となる県レベルの自転車競技の大会を開催いたします。さらにリハビリテーションの一環として障害者スポーツを取り入れ早期の社会復帰を促進するとともに、パラアスリートの発掘にもつなげるなど障害者スポーツの裾野の拡大に取り組んでまいります。
 障害のある方の文化芸術の振興につきましては、昨年九月に開設した県障害者文化芸術活動支援センターみらーとの体制を拡充いたします。身近な場所での支援を強化するため東部、西部地域に支援コーディネーターを配置し障害のある方の文化芸術への参画を促進してまいります。また県民の皆様が障害のある方の芸術作品に至るところで触れることができるよう県内のオフィス、店舗などで作品を展示する仕組みを構築するなど、まちじゅうアートの取り組みを推進してまいります。
 発達障害のある方への支援につきましては、発達障害者支援センターの機能を強化するため二〇二〇年四月から東部地域と志太榛原・中東遠地域の二カ所体制にするとともに、運営を民間法人に委託しより身近な場所で専門的な支援を提供してまいります。来年度は委託法人を公募し新センターの開設準備を進めます。相談者一人一人の障害特性を踏まえた丁寧な引き継ぎを行い、新体制への円滑な移行を進めてまいります。
 政策の第三の柱は、子供が健やかに学び育つ社会の形成であります。
 初めに、安心して出産・子育てができる環境づくりについてであります。
 こども医療費助成につきましては、県民の皆様の利便性の向上と市町の事務負担の軽減を図るため本年四月から所得制限を撤廃いたします。また高校生世代への助成対象の拡大につきましては、これまで静岡市、浜松市と協議を重ねてまいりましたが来年度から両市も対象を拡大することで合意し、県内全ての子供がひとしく支援を受けられる体制が整いました。引き続き県と市町が足並みをそろえ子育て支援の充実に取り組んでまいります。
 少子化対策につきましては、待機児童ゼロの早期実現に向けて保育所等を整備する市町を支援いたします。来年度は二十八カ所、一千二百五人の定員増加を図ってまいります。必要となります保育人材を確保するため、ふじのくに型保育士キャリアアップ研修による処遇改善に加えICTの導入による保育士の業務効率化など保育所等の働き方改革を進めてまいります。また幼児教育の無償化につきましても、本年十月一日からの実施に向けて市町と連携し着実に準備を進めてまいります。
 次に、全ての子供が大切にされる社会づくりについてであります。
 本県の将来を担う子供たちは、社会に希望と活力をもたらす一番の宝でございます。子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることがないよう、全ての子供が大切にされる社会の実現を目指してまいります。
 児童心理治療施設である吉原林間学園につきましては、入所児童の生活環境の改善を図るため本年七月の移転を目指し改築整備を進めております。居室の小規模ユニット化に加えて外来診療所を設置し、入所児童に対する医療を含めた総合的な支援を実施するほか東部地域の発達障害のある子供に対する医療的支援にも取り組んでまいります。
 次に、文武芸三道鼎立の学びの場づくりについてであります。
 学校におけるきめ細かな指導の充実につきましては、外国人や発達障害のある子供など教育上の配慮を要する児童生徒は年々増加傾向にあり、一人一人に寄り添った学びの場を提供することが必要であります。日本語指導を必要とする児童生徒を支援するため、教職員に特別の教育課程の編成を指導する日本語指導コーディネーターの増員や補習などの個別指導の充実を図ってまいります。また発達障害など特別な教育的配慮を必要とする児童生徒を支援するため、小中学校に加え高等学校の通級指導の体制を強化いたします。
 全国に先駆けて実施いたしました静岡式三十五人学級編制につきましては、平成二十九年度から段階的に学級編制基準の下限の撤廃を進めてまいりました。来年度は中学一年から三年生の下限を撤廃し、これで小学生から中学生まで全学年で完成いたします。引き続き県独自の教員配置を充実し、子供の成長に応じたきめ細かな指導を実施してまいります。
 次に、県立学校の施設整備についてであります。
 県立学校の老朽化対策につきましては、建築から四十年を超える施設が四割以上を占めておりその対策が急務であります。子供たちの安全で快適な学習環境を確保するため計画的に老朽化対策を進めてまいります。来年度は優先度が高い四校五棟の建てかえに着手するとともに、施設の長期間の使用を可能とする長寿命化改修を実施してまいります。
 特別支援学校につきましては、既存校の狭隘化や通学負担を軽減するため三島・田方地区、浜松地区に二年後の開校を目指し新たな特別支援学校の整備を進めてまいります。
 空調設備につきましては、健康に不安がある児童生徒が安心して学習に取り組めるよう、ことしの夏までに整備を進めている普通教室に加えて三十五校百九十八室の特別教室につきましても二年後までに整備してまいります。
 政策の第四の柱は、誰もが活躍できる社会の実現であります。
 グローバル化が進展し社会構造が変化する中、社会のさまざまな場面で多様化が進んでおります。女性、高齢者、障害のある方、外国人県民など誰もが尊重され、努力をすれば活躍できる社会を実現してまいります。
 初めに、外国人県民が活躍できる社会の実現についてであります。
 国は、向こう五年間で最大三十五万人の外国人労働者の受け入れを目指しており、今後外国人県民のさらなる増加が見込まれます。外国人県民が安心して暮らし、活躍できる社会の実現に向けて全庁を挙げて取り組むため、吉林副知事を本部長とする多文化共生推進本部会議を中心に外国人県民の急増に伴う新たな課題に迅速に対応しスピード感を持って施策を展開してまいります。
 来年度は、外国人県民に対するきめ細かな支援を強化するため、情報提供や相談を一元的に行う多文化共生総合相談ワンストップセンターを新たに設置するほか日常生活に必要な地域日本語教育の支援に取り組んでまいります。さらにモンゴルやインドネシアなど日本語が堪能な海外高度人材の受け入れ促進や外国人技能実習生の日本語研修、受け入れ企業に対する支援の拡充等々さまざまな分野で外国人県民の誰もが安心して学び、働き、暮らしていくための環境づくりを進めてまいります。
 外国人留学生の受け入れにつきましては、ふじのくに地域・大学コンソーシアムに留学コーディネーターを配置し、海外の大学等に対する直接的な留学の働きかけや留学生の滞在支援を強化してまいります。また外国人留学生の受け入れ体制を充実し、グローバルな人材育成の環境を整備するため外国人留学生と日本人学生の相互交流を促進する混住型の国際学生寮のあり方を検討してまいります。
 次に、産業人材の確保・育成についてであります。
 雇用情勢につきましては、昨年十二月の有効求人倍率は一・六五倍で二十二カ月連続で全国平均を上回っております。こうした中、多くの産業分野で人材不足が顕在化しております。産業を支える人材の確保と育成が急務であります。
 このため、社会総がかりで産業人材確保・育成プランを推進し高度産業人材の育成やUIJターン就職、女性や高齢者、障害のある方などの多様な人材の活躍の促進などに取り組んでまいります。
 産業競争力の源泉となるICT人材につきましては、AIやIoT、ビッグデータなどのICT技術の急速な高度化、多様化に伴いこれに対応した専門的な知識や技能を有する人材の確保・育成が喫緊の課題であります。このため将来を見据えたICT人材の確保・育成戦略を策定し、ICTにかかわるトップレベルの人材から各企業の中核的人材、次世代を担う人材まで総合的な施策を展開してまいります。ICTのトップベンチャーと県内企業とのマッチングを初め、企業によるICT拠点の形成に対する支援、大学生等を対象とした課題解決型ゼミの開催などに取り組んでまいります。
 進学などで首都圏等に転出した若者のUIJターンにつきましては、「三十歳になったら静岡県!」をキャッチフレーズにみずからの人生を見詰め直す時期である三十歳前後の若者の再挑戦の第一歩を応援いたします。高校卒業時に全員にふじのくにパスポートを配布し、本県で活躍しようとする意欲のある若者の増加につなげてまいります。
 技術者育成の中核となる職業能力開発短期大学校につきましては、二年後となる二〇二一年四月の開学に向け建築工事に着手いたします。現場に立ってみずから考え行動できる人材を育成するため、教育カリキュラムの検討や産業界との連携を進め日本一の実学の府を目指してまいります。
 政策の第五の柱は、富をつくる産業の展開であります。
 初めに、静岡新産業集積クラスターの推進についてであります。
 富士山麓の医療城下町を目指すファルマバレープロジェクトにつきましては、中核支援機関ふじのくに医療城下町推進機構の公益法人化に当たりその機能を強化するため県の出資金を十億円に増額いたします。また人生百年時代の超高齢社会を見据え、新たに健康寿命延伸・自立支援プロジェクトをスタートさせます。これまで培った医療分野の開発支援のノウハウやネットワークを最大限活用し、福祉・介護分野にも重点的に取り組んでまいります。
 食品や化成品産業等の集積を目指すフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトにつきましては、先月、中国上海で開催した静岡県産化粧品展に本県企業六社が出展し高品質な化粧品をアピールしてまいりました。引き続きフーズ・サイエンスセンターや静岡県立大学などと連携し、県内農林水産物を活用した化粧品素材の開発に官民で取り組み輸出や生産の拡大につなげてまいります。
 あらゆる産業の基盤技術として必要不可欠な光・電子技術を活用し、産業競争力の強化を目指すフォトンバレープロジェクトにつきましては、来年度、浜松版アクトファスト、アクセス・センター・フォー・イノベーション・ソリューション、アクションンズ・アンド・プロフェッショナルズ(Access center for innovation Solutions,Actions and Professionals)――通称A−SAPを拡充いたします。先進地域であるヨーロッパの企業支援策アクトファストをモデルにし、大学等の専門家チームが光・電子技術を活用して中小企業の課題解決に集中的に取り組み、企業の試作品開発の高度化や開発期間の短縮につなげていくのがA−SAPであります。
 次に、新たな成長産業の育成についてであります。
 世界的に進む自動車産業の変革への対応につきましては、大聖泰弘早稲田大学研究院特任研究教授を委員長とし二十一の企業や団体で構成する静岡県EVシフト・自動運転化等対応研究会の提言を踏まえ、スピード感を持って施策を展開してまいります。次世代自動車センターを中心とした産学官連携による新たなプラットホームの構築や企業間の協調領域における共同研究開発への支援、自動運転の実証フィールドの形成などに取り組み本県産業の基幹である自動車産業の持続的発展を目指してまいります。
 新素材として市場の拡大が期待されるCNF――セルロースナノファイバーにつきましては、富士工業技術支援センターに静岡大学や企業が研究開発を行うふじのくにCNF研究開発センターを設置いたします。産学官連携によるプラットホームを強化するためであります。そのことにより知の集積と研究開発機能の拠点化を進めてまいります。
 駿河湾等の海洋資源を活用したマリンバイオ産業の振興につきましては、清水マリンビルにプロジェクトの拠点となるマリンオープンイノベーションパーク、通称MaOI−PARCを整備いたします。またプロジェクトの中核となるマリンオープンイノベーション機構――仮称――を立ち上げ、県内外の大学や研究機関のシーズと地域企業のニーズを結びつけるプラットホームを構築し、マリンバイオを核としたイノベーションによる富の創出を進めてまいります。
 次に、富を支える地域産業の振興についてであります。
 県内企業の九九・八%を占める中小企業は本県経済の活力の源であり、地域の産業や雇用を支える重要な役割を担っております。本県経済の活性化に向けて地域経済を牽引する企業の経営力向上や経営基盤の強化、事業承継の促進などに取り組んでまいります。
 本県経済の新たな活力となるベンチャー企業の創出につきましては、産学官金が連携して持続的にベンチャーを発掘、育成する体制を構築いたします。県内大学の有望な研究や技術を発掘して事業化につなげる大学発ベンチャーの創出を進めてまいります。
 次に、農林水産業の競争力の強化についてであります。
 TPPイレブンや日EU・EPAなどの発効を契機と捉え、農芸品とも呼べる高品質な本県の農林水産物の生産拡大や基盤整備、販路開拓を進め本県農林水産業を国際競争力のある産業に転換し、本県経済を力強くリードする攻めの農林水産業を創出してまいります。
 農業につきましては、AOI−PARCを拠点とした産学官金の多様な参画を得たオープンイノベーションにより、農業の飛躍的な生産性向上と農業を軸とした関連産業のビジネス展開を促進いたします。またロボット、AI、IoT等の先端技術を活用したスマート農業の速やかな現場への普及を進めるため、実証農場において最適な技術体系を構築してまいります。
 お茶につきましては、茶業を取り巻く課題に対応した茶業振興を図るため静岡県製茶指導取締条例を廃止するとともに、新たな茶業振興策とお茶に対するいわゆる着味着色の規制を盛り込んだ静岡県茶業振興条例を制定することとし、今議会にお諮りしているところでございます。今後この条例に基づき新しいお茶振興施策を展開するとともに、静岡茶の評価の維持向上や信頼の確保に努めてまいります。また建設から五十一年が経過した茶業研究センターにつきましては、日本一の茶の都しずおかの研究拠点としてふさわしい機能を検討し、新たな整備に向けた基本計画を来年度中に策定してまいります。
 農林業経営に革新を起こす人材を養成する農林環境専門職大学――仮称――につきましては、来年四月の開学まであと一年となりました。国の大学設置・学校法人審議会の審査への対応や施設の整備、学生の募集など開学に向けた準備を着実に進めてまいります。
 林業につきましては、新ビジョンの目標である木材生産量五十万立米の達成に向けて切って植えて育てるという林業本来のサイクルを再構築し、本県林業の成長産業化を加速してまいります。木材の生産性の向上や低コスト主伐、再造林を進めるとともに一般住宅に加えて公共施設やオフィスなどの非住宅分野の県産材利用を促進するなど、供給と需要の両面から施策を展開してまいります。
 また、来年度から豊かな森林を国民一人一人が支える仕組みとして新たに森林環境譲与税が配分されます。森林管理の主体となる市町の支援を行うとともに、きめ細かな就労促進や技術支援に取り組み林業人材の確保・育成を進めてまいります。
 水産業につきましては、水産業の振興、資源管理、人材確保を総合的に推進していくことが重要であります。このため業界横断型の総合支援体制の構築や漁業者等の新たなアイデアの実現を支援する助成制度の創設、漁業高等学園を核とした海技士確保対策の強化などに取り組み、水産王国静岡の持続的な発展を目指してまいります。
 政策の第六の柱は、多彩なライフスタイルの提案であります。
 初めに、“ふじのくに“のフロンティアを拓く取り組みについてであります。
 昨年十二月、国が公表した総合特区の評価におきましてふじのくに防災減災・地域成長モデル総合特区は、まちづくり等の分野で三回目となる全国第一位の高い評価をいただきました。これは防災・減災と地域成長の両立を図る本県独自の取り組みが順調に進捗し、先進的モデルとして高く評価されたものと受けとめております。来年度はフロンティア推進区域の早期完了に加えて新たな産業、文化等の拠点の形成を図り、推進区域と相互に連携、補完し合う広域的な圏域づくりを推進してまいります。
 次に、スマートガーデンカントリーふじのくにの形成についてであります。
 人口減少や少子高齢化が進行する中、AIやIoTなどの先端技術を産業や社会生活に取り入れ、快適で活力に満ちた持続可能な社会を実現する必要があります。このため東部、伊豆半島をモデルエリアとして次世代の交通、物流、観光などへの活用が期待される三次元点群データを集積し、さまざまな分野における社会実装に向けて未来を見据えた基盤の整備を進めてまいります。
 美しく品格があり、誰もが安全・安心で利便性が高く快適に暮らせるスマートガーデンカントリーふじのくにの形成に向けて全県を挙げて取り組んでまいります。
 次に、移住・定住の促進についてであります。
 新しい人の流れをつくり人口減少に歯どめをかけるため、本県への移住・定住を積極的に進めてまいります。東京有楽町の“ふじのくにに住みかえる”静岡県移住相談センターにつきましては就職相談員の配置を週二日から六日に拡充するほか、新たに不動産団体と連携した住まいの情報提供を行うなど相談機能を充実いたします。また東京都内の在住者等の県内への移住・就職を促進するため、市町と連携して最大百万円を支給する移住支援金を創設いたします。加えて移住先で起業される方を初め、県内で地域課題の解決に取り組む意欲のある起業者に対しましては最大二百万円の起業支援金を支給する制度を創設するとともに、きめ細かな伴走支援を行ってまいります。引き続き住まい、就職、教育、福祉・医療といった本県の暮らしの魅力を総合的かつ効果的に発信し本県への移住・定住を促進してまいります。
 次に、ふじのくにの景観づくりについてであります。
 本県は、海と山の風景の画廊とも形容できる世界レベルの魅力ある自然と景観を有する極めて美しい地域であり、県土の景観全体が一つのパブリックガーデンであります。伊豆半島、霊峰富士、駿河湾、南アルプス、浜名湖など県土全体を回遊できるふじのくに回遊式庭園を目指し、世界の憧れを呼ぶ自然と暮らしに根差した個性豊かな景観形成を進めてまいります。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けて、伊豆半島に加え自転車競技ロードレースが行われる御殿場市、裾野市、小山町でコース沿線の違反広告物の是正指導を開始いたしました。また本県の玄関口となるインターチェンジの周辺や聖火リレーのコースなどを中心に県内全市町に違反広告物対策の取り組みを拡大しております。来年度は伊豆半島に加え、大井川流域・牧之原大茶園、浜名湖エリアにおいて移動計測車による屋外広告物の現況調査に着手いたします。引き続き県と関係市町が一体となって広域景観の形成に取り組んでまいります。
 次に、豊かな暮らし空間の実現についてであります。
 緑にあふれた美しい町並みは、安らぎと潤いのある良好な住環境を創出します。通学路等の沿道の住宅等を対象に危険なブロック塀の撤去を進めながら、生け垣や植樹などにより安全で美しいいえなみを形成する新たな支援制度を創設いたします。市町や関係団体、地域が一体となって豊かな暮らし空間を実現してまいります。
 次に、人々を引きつける食、茶、花を活用した都づくりについてであります。
 食の都づくりにつきましては、本県が目指す食の都はさまざまな食を足し合わす和の食の都であります。世界的なスポーツイベントの開催等に合わせて、国内外から来訪する多様な食文化を持つ方々に対して和の食を提供してまいります。和食ではなく全ての食文化を足したものとしての和の食の都、その中での和の食を提供するということでございます。
 特に、年々増加しているイスラム教徒、いわゆるムスリムの食文化であるハラールにつきましては個々の飲食店へのコンサルティングや商品開発の支援、ハラール対応可能な飲食店の情報発信などを行い、ムスリムの方々が安心して本県の農芸品を用いた食を楽しむことができる食の都しずおかを実現してまいります。
 茶の都づくりにつきましては、お茶の持つ魅力を磨き県民がお茶で心や体が健やかになり多くの方が集う茶の都しずおかを目指してまいります。来年度は「つなごうO−CHA」をテーマとして第七回世界お茶まつりを開催いたします。春はふじのくに茶の都ミュージアム、秋はグランシップを主会場として新たな茶文化に触れる機会の創出や国内外に向けた静岡茶の魅力の発信に取り組んでまいります。
 花の都づくりにつきましては、来年度は平成十六年に開催した浜名湖花博から十五年目の節目の年となります。このため本年四月から六月に実施される静岡デスティネーションキャンペーンに合わせて、県西部地域の花を特色とする観光地が連携した〜浜名湖花博十五年目の春〜浜名湖花フェスタ二〇一九を開催いたします。会場の一つとなる花の都の拠点浜名湖ガーデンパークでは、新しい時代の幕あけにふさわしい花の展示やワークショップによる県民参加の花壇づくりなどを実施いたします。
 また、本年六月には中国北京で開催される北京国際園芸博覧会の日本政府屋内出展に参加いたします。高品質な県産花卉を用いて花の都しずおかの魅力や奥深さを表現してまいります。
 政策の第七の柱は、ふじのくにの魅力の向上と発信であります。
 目前に迫った世界的なイベント、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催は世界が本県に注目する絶好の機会であります。両大会の成功に向けてスポーツ局を十六人増員し七十四人体制とするなど、組織体制を大幅に強化し万全の準備を進めてまいります。
 初めに、スポーツの聖地づくりについてであります。
 スポーツの聖地づくりの具現化に向けて、現在部局横断的なプロジェクトチームにおいてアクションプランの策定を進めているところであります。来年度は全庁を挙げてアクションプランを推進するとともに競技力向上に向けたIT技術やスポーツ医・科学の活用などにも対応し、スポーツが人生を豊かにし地域を元気にするスポーツの聖地づくりを加速してまいります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九につきましては、いよいよワールドカップイヤーを迎えました。大会本番に向けて交通輸送、警備、ファンゾーンなどの実施計画に基づき開催準備の総仕上げに万全を期してまいります。また試合当日にはJR愛野駅からエコパスタジアムに至るラストマイルにおきまして本県ならではの最高のおもてなしでお迎えし、ふじのくに静岡県の魅力を国内外からの観戦客の皆様に体感していただきます。
 さらに、四月からはラグビー教本の学校教育への活用もスタートいたします。ヤマハ発動機のジュビロの選手を交えた授業や交流を行う重点校として、七十二校を指定いたしました。県内の小中学生にワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンに代表されるラグビーの精神を学んでいただき、人間としての成長につなげてまいります。一生に一度と言われる世界最高峰のプレーをできるだけ多くの皆様にエコパスタジアムで観戦していただき、本県で開催されたワールドカップを記憶にとどめレガシーとして継承されるように努めてまいります。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックにつきましては、昨年十一月大会組織委員会から自転車競技テストイベントの概要が発表され本県で開催されるロードレース、マウンテンバイク、トラックレースについても日程と会場が決定いたしました。このテストイベントに合わせて交通輸送対策や都市ボランティアの実地研修などの実践的な準備を行います。また五百日前、一年前の節目に記念イベントを開催し大会の機運を盛り上げてまいります。
 さらに、聖火リレーにつきましては東京二〇二〇オリンピック聖火リレー静岡県実行委員会において県内のリレールートを検討しております。本年夏の公表に向けて大会組織委員会と調整を進めてまいります。大会の成功に向けて組織委員会、地元市町、経済界などと一体となって万全の準備を進めてまいります。
 次に、文化芸術の振興についてであります。
 オリンピック・パラリンピック文化プログラムにつきましては、二〇二〇年の本番を目指しラグビーワールドカップが開催される来年度から本格的にスタートいたします。オリンピック・パラリンピックを文化の祭典としても大いに盛り上げ、国内外からの誘客を促進してまいります。
 来月三十日に開催する五百日前イベントを皮切りに、現代舞踊や大茶会など本県ならではの文化資源を生かした県域プログラムや裾野を広げる多様な担い手による地域密着プログラムを実施いたします。また全国的プログラムとして組織委員会と共催で実施する東京二〇二〇Nipponフェスティバルへの参加準備を進めるなど、多彩で魅力的なプログラムを県内各地で重層的に展開してまいります。
 今後、文化プログラムの推進を通じて自発的な文化活動を支援するプラットフォームを構築し、二〇二〇年以降も地域の文化資源や新たな担い手を掘り起こし、訪れる人がいつでも本県の多彩で魅力的な文化芸術に触れることができる環境づくりを進めてまいります。
 子供が文化と出会う機会の創出につきましては、将来を担う子供たちの感性を豊かにするためオーケストラや演劇など本物の芸術に触れる機会をこれまで以上に創出してまいります。来年度は県内全域の小中学校や高校、地域のホールなどを訪問するアウトリーチ型の公演回数を大幅に増加するほか未就学児が親子で楽しむことができるコンサートなどを新たに実施してまいります。
 東静岡駅南口県有地に整備する文化力の拠点の形成につきましては、新たな県立中央図書館を中心とした知の拠点として整備する方針のもと導入機能や規模、事業手法などを盛り込んだ施設整備計画を取りまとめてまいります。またより魅力的で実現性の高い事業スキームを構築するため官民連携のあり方などについて民間事業者から自由で具体的な提案を求める事業計画案公募を実施するとともに、県立中央図書館を含めた施設の管理運営計画を策定するなど事業者選定に向けた具体的な準備を進めてまいります。引き続き東静岡駅周辺の施設と一体となって舞台芸術、音楽、食文化などの本県の高い文化力を発信し多くの県民の皆様が学び、にぎわいや交流により新たな文化を創造する魅力ある拠点の早期実現に向けて取り組んでまいります。
 日本の国土統合のシンボルであり日本人の心のふるさと、静岡県民の誇りである世界遺産富士山につきましては国内外の皆様に愛され末永く後世に継承されるよう国、山梨県や関係自治体、地域の皆様と一体となって適切な保存管理を進めてまいります。
 開館二年目を迎えた富士山世界遺産センターは、開館からの来訪者が五十六万人を超えました。富士山の日である今月二月二十三日からは全国各地の富士の名のつくふるさと富士の写真コンテストの入賞作品と写真家、白籏史朗審査委員長が撮影した富士山の写真を公開するなど魅力あふれる企画展を実施してまいります。
 三保松原の保全につきましては、本年四月県、静岡市、民間事業者が協働して松林の継続的な保全を担う一般財団法人三保松原保全研究機構を設立いたします。今後この法人の活動を通じて地域の皆様とともに世界遺産富士山の構成資産である三保松原の松林を保全し次世代に継承してまいります。
 政策の第八の柱は、世界の人々との交流の拡大であります。
 初めに、世界クラスの資源を生かした観光交流の拡大についてであります。
 平成二十九年度の本県の観光交流客数は一億五千六百四十八万人で、五年連続過去最高を記録しております。来年度はデスティネーションキャンペーン、ラグビーワールドカップ二〇一九などにより国内外からさらに多くの来訪が期待されております。この機を生かした効果的な誘客促進を図るためDMOを核とした観光地域づくりを推進してまいります。
 JRグループ、関係自治体、観光事業者などが一体となって取り組む国内最大級の観光キャンペーン静岡デスティネーションキャンペーンにつきましては、本年四月一日の開幕が目前に迫ってまいりました。あす十四日には私とJR東海静岡支社長、JR東日本横浜支社長が県庁で共同記者会見を開催しデスティネーションキャンペーン本番の取り組みを発表いたします。これを皮切りに本県への誘客拡大に向けて大々的なプロモーション活動を開始いたします。またキャンペーン期間中の春だけでなく国内外の観光客が四季折々に楽しめる旅行商品に磨き上げ、ラグビーワールドカップやアフターDCに向けた誘客につなげるとともにキャンペーン終了後も戦略的な取り組みを継続できるよう、地域の人材育成や体制づくりに取り組んでまいります。
 国内外からの来訪者の受け入れ環境の整備につきましては、安心して快適に本県の魅力を楽しんでいただくため多言語化やユニバーサルデザインによる受け入れ環境の整備を進めてまいります。英語を初め七カ国語対応可能なコールセンターを設置するとともに高齢者、障害のある方などが安心して過ごせるよう、可動式スロープや浴室用車いすなどのユニバーサルデザイン対応の備品を整備する宿泊施設などを支援する制度を創設いたします。本県を訪れる観光客の満足度を高め、再来訪や滞在期間の長期化につなげてまいります。
 駿河湾フェリーにつきましては、世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾から世界文化遺産富士山の姿を仰ぎ見ることのできるかけがえのない宝であります。またフェリーを活用した人や物の交流は本県の観光振興や経済にとって大きな役割を果たしており、その経済波及効果は年間二十一億円程度と推計されております。
 フェリーの継続運航に向けた体制につきましては、これまで財務や経営の専門的な見地から分析を行うとともに環駿河湾地域三市三町と協議を重ねてまいりました。その結果当面は県と三市三町で一般社団法人を設立し駿河湾フェリーを共同運航していくことで合意いたしました。今後法人の設立準備を着実に進め、本年六月一日から新体制による運航開始を目指してまいります。
 また、フェリー事業の収支につきましては年間輸送人員二十万人を達成すれば全ての経費を料金収入で補うことが可能であります。このため当面の目標を年間輸送人員二十万とし県、三市三町、関係団体などが連携して利用促進に取り組み地域一丸となって駿河湾フェリーの運航を支えてまいります。
 次に、地域外交の深化についてであります。
 三十年にわたる平成の世が終わります。平成が意味する、国の内外、天地とも平和が達成されるは本県の地域外交にも通じるものであります。新しい時代の幕あけとともに本県の地域外交のさらなる深化を図ってまいります。
 中国につきましては、長年にわたる浙江省との友好関係を軸とする幅広い交流と通商の促進に加え、近年は中国全土への影響力が大きい首都北京において中央政府関係機関とのネットワークを強化してまいりました。来年度は北京国際園芸博覧会への出展を通じ一層の情報発信を行い、富士山などの世界的な地域資源を有する本県の知名度向上を図ってまいります。
 米国につきましては、日米間の地域レベルの経済交流を促進する日米カウンシル知事会議が本年八月にカリフォルニア州シリコンバレーで開催されます。企業や大学、研究機関など異業種、異分野の組織が有機的に結びつき新たな製品やサービスを次々に生み出しているこの地において本県の魅力を発信するとともに、参加企業のネットワーキングを通じたビジネス展開を支援してまいります。
 新たな重点国に位置づけたインドにつきましては、昨年十一月本県調査団をテランガナ州に派遣しIT、医薬品、バイオなどのすぐれた分野を視察したほかインド工科大学を軸とした人的・知的交流の可能性を確認いたしました。今後はテランガナ州からの訪問団を受け入れるとともに人的・知的交流、経済交流にかかわる覚書の調印に向けて交流を深めてまいります。引き続き友好的互恵・互助の精神に基づく揺るぎない信頼関係の構築により、県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受できますよう積極的に地域外交を推進してまいります。
 次に、交流を支える交通ネットワークの充実についてであります。
 ふじのくにの空の玄関口富士山静岡空港につきましては、平成三十年の暦年ベースの搭乗者数が七十万四千二百九十八人となり初めて七十万人を超え開港以来最高となりました。国内線が過去最高、国際線も過去二番目となる搭乗者数を記録いたしました。
 昨年十二月二十二日、旅客ターミナルビルがリニューアルオープンいたしました。このリニューアル以降、就航路線の開設が相次いで決定しております。中国聯合航空が煙台線を開設し週三回の往復運航をしております。また韓国のLCCであるチェジュ航空もソウル線の開設を表明しております。さらに夏ダイヤが始まる来月三十一日にフジドリームエアラインズが北九州線を開設し毎日一往復運航するとともに、出雲線の運航時刻が県民の皆様が利用しやすい時間に改善される予定であります。
 本年四月一日からは新しい空港運営体制がスタートいたします。富士山静岡空港は新しいステージに移ります。運営権者と連携し就航促進や利用促進に積極的に取り組み、国内外の皆様に選ばれる魅力あふれる空港を目指してまいります。
 世界遺産霊峰富士を仰ぐふじのくにの海の玄関口清水港につきましては、明治三十二年八月四日に開港し今年で開港百二十周年の節目となります。この節目の年を県民の皆様とことほぎ清水港のさらなる発展のスタートとするため清水港開港百二十周年記念事業を実施いたします。また清水港の二十年後の将来像を描く長期構想につきましては、今月六日、須野原豊日本港湾協会理事長を委員長とする第二回検討委員会を開催いたしました。技術革新を見据えた物流機能の高度化や快適で美しい水辺空間の創出など、清水港の具体的な将来の姿を委員の皆様にお示ししたところであります。日本を代表する国際拠点港湾にふさわしい将来像を本年度内に取りまとめ、清水港が将来にわたり景観にすぐれ本県産業を支える国際物流拠点としてさらに飛躍を遂げるよう取り組んでまいります。
 基本方針の二つ目は、生産性の高い持続可能な行財政運営であります。
 初めに、政策の推進に向けた組織体制の強化についてであります。
 組織定数につきましては、県政の重要課題に迅速かつ的確に対応できるよう見直しを行いました。外国人県民と共生する環境整備を推進するため、その司令塔となる多文化共生課をくらし・環境部に移管し多文化共生施策を総括する理事を設置いたします。また文化財保護業務を教育委員会から文化・観光部に移管し、文化財を観光やまちづくりに生かしつつ社会総がかりでその継承に取り組む体制を整備いたします。
 このほか、ラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催や社会健康医学の推進、次世代産業の創出、革新的技術開発に向けた体制強化など誰もが努力すれば夢がかない幸せになれる地域の実現に向けた施策を着実に推進する体制を整備いたします。
 次に、働き方改革についてであります。
 仕事に働きがいを、生活に生きがいを感じられる組織風土を実現するため、業務の効率化に向けた新世代ICTの導入や業務プロセスを根本的に見直す新たな業務改善活動を進めます。また働く時間と場所を多様化するため、時差勤務やサテライトオフィスに加え新たな在宅勤務の導入にも取り組んでまいります。引き続き県庁における働き方改革を推進し、行政の生産性を一層向上させ県民の皆様へのサービス向上を目指してまいります。
 次に特別会計及び企業会計についてでありますが、特別会計は公債管理特別会計予算ほか十会計で総額八千二百八十五億二千八百万円、昨年度当初予算比一・五%の増となりました。また企業会計は工業用水道事業会計予算ほか四会計で、新たに流域下水道事業を加え総額八百三十七億四千七百万円、前年度当初予算比一九・三%ほどの増であります。
 次に、予算議案を除く平成三十一年度関係のその他の議案のうち、主な案件について概要を御説明申し上げます。
 第十八号議案は、本庁に置く部の分掌事務の見直しに伴う条例の改正であります。
 第二十一号議案は、静岡県立東部看護専門学校の名称を変更するための条例の改正であります。
 第二十五号議案は、富士山麓山の村の廃止に伴う条例の廃止であります。
 第二十六号議案は、文化財保護に関する事務を知事部局が所掌することに伴う条例の改正であります。
 第二十七号議案及び第二十八号議案は、静岡がんセンター職員、教職員の定数等の改正を行うための条例の改正であります。
 第三十号議案は、森林環境譲与税を原資とする基金を創設するための条例の制定であります。
 第三十一号議案から第六十一号議案までは、使用料・手数料、利用料金の上限額の設定、改定などを行うための条例の改正であります。
 第六十五号議案は、茶業の健全な発展を図るための条例の制定であります。
 次に、平成三十年度関係の議案につきましてその概要を御説明申し上げます。
 一般会計の二月補正予算額は六十億五千九百万円の増額であり、この結果平成三十年度の最終予算額は一兆二千八億九千二百万円となります。防災・減災、国土強靱化やTPP協定の早期発効に対応するための農林水産業の強化策など国の補正予算に伴う二百十三億五千五百万円の増額補正を行うとともに、災害復旧費などの減額をあわせて行うものであります。
 特別会計及び企業会計の補正は事業費、財源の確定等に伴うものであります。
 三十年度関係の予算以外の議案につきまして、主な案件について概要を御説明申し上げます。
 第八十九号議案は、静岡空港の新たな運営体制への移行に伴い基金の使途の追加などに伴う条例の改正であります。
 第九十三号議案から第九十五号議案までは、建設事業、土地改良事業及び流域下水道事業に対する市町の負担額の変更についてお諮りするものであります。
 第百号議案は、損害賠償請求事件の提訴についてお諮りするものであります。
 第百三号議案は、任期満了に伴う収用委員会委員の任命について同意を求めるものであります。
 以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
○議長(渥美泰一君) 以上で説明は終わりました。

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