本会議会議録
議会補足文書
令和6年9月静岡県議会定例会
【 知事提案説明 】 発言日: 09/19/2024 会派名: |
○議長(落合愼悟君) 議事日程により、知事提出議案第百十三号から第百三十四号まで及び令和五年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とし、知事の説明を求めます。
鈴木知事。
(知事 鈴木康友君登壇)
○知事(鈴木康友君) 皆さんおはようございます。
それでは、ただいま提出をいたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題につきまして所信並びに諸般の報告を申し述べます。
初めに、防災・減災分野についてでございます。
まず、先月二十六日から今月一日にかけて続いた大雨等による被害への対応についてであります。
今回の記録的な大雨等により県内各地で家屋の浸水をはじめ道路、河川等の公共土木施設や農業施設、火葬場などに被害がもたらされました。被災された皆様に対しまして衷心よりお見舞いを申し上げます。被災箇所につきましては災害復旧事業等を最大限活用し一日も早い復旧に努めるとともに、今月三日に発動した融資制度により被災された中小企業者や農林漁業者の方々の事業の再開、継続を支援してまいります。
また先月二十九日、台風十号が本県へ接近する可能性が高まったことから県災害警戒本部をいち早く立ち上げました。私から職員に対して十分に被害情報等を収集するよう指示するとともに、本県では初めて災害が発生するおそれがある段階で災害救助法を全市町に適用し、必要な際はちゅうちょなく避難所を開設して避難指示を発出するよう市町に要請いたしました。今後も台風や大雨等への備えに万全を期すため国や市町、防災関係機関との緊密な連携の下、災害対応力の強化に取り組んでまいります。
次に、南海トラフ地震臨時情報についてでございます。
先月八日、宮崎県沖の日向灘を震源とする地震が発生をし気象庁の評価検討会で検討された結果、巨大地震注意の臨時情報が初めて発表をされました。大規模地震の発生可能性が平常時に比べて高まったことから、私から県民の皆様へ地震への備えの再確認や発災後の速やかな避難の準備について呼びかけたところであります。
今回は、その後本県に大きな被害を及ぼす地震は発生しませんでしたが、南海トラフ地震が今後三十年以内に発生する確率は引き続き高い状態であることに変わりはありません。平時から地震に備えることが重要であります。今回の臨時情報発表による県民の皆様の行動や意識の変化について県独自の意識調査の結果等も踏まえつつ、今後も地震・津波対策アクションプログラム二〇二三を着実に推進してまいります。
次に、緊急消防援助隊関東ブロックの合同訓練についてであります。
十一月十三日からの二日間、総務省消防庁との共催により伊豆市など県東部地域の十市七エリアにおいて実施いたします。自衛隊、警察、消防等の関係機関と連携して土砂災害を想定した救出訓練を行うとともに、能登半島地震において道路の寸断により孤立集落が発生したことを踏まえ空路による部隊進出訓練を行うなど、緊急消防援助隊の活動能力の向上や本県の受援体制の強化を図ってまいります。こうした訓練を積み重ね、県民の皆様や市町、防災関係機関と連携した地域防災力のさらなる強化につなげてまいります。
次に、孤立集落対策についてであります。
七月から各市町と連携し、これまでに把握した孤立予想集落についてアクセス道路の危険箇所や迂回路等の確認、通信手段のバックアップ体制等の実態調査を行っております。年内に集落ごとに調査結果を取りまとめ必要な対策を検討するとともに、調査結果を平時から自衛隊などの応援部隊等と共有することで災害発生時における円滑、迅速な救出救助や生活物資等の支援を行ってまいります。
次に、伊豆半島の道路強靱化についてであります。
七月二十六日、伊豆地域の首長や関係者の皆様と共に国に命の道となる伊豆縦貫自動車道の一日も早い全線開通の要望を行ってまいりました。堂故茂国土交通副大臣に対し事業推進といまだ事業化されていない区間の早期事業化などをお願いしたところであります。今後も私が先頭に立ち伊豆縦貫自動車道の整備促進を国に働きかけていくとともに、アクセス道路の強靱化にも取り組んでまいります。
次に、昭和五十五年度に施行されたいわゆる地震財特法についてであります。
これまで八回にわたって延長され国庫補助率のかさ上げなど財政上の特別措置が図られてまいりましたが、本年度末にその期限が到来をいたします。想定される南海トラフ地震などの大規模地震に備え県民の皆様の生命財産を守るためには、防災・減災対策を継続的に強化していくことが不可欠であります。県議会の皆様のお力添えを頂き県内市町や地震防災対策強化地域の七都県とも連携し地震財特法の延長を国に強く働きかけてまいります。
次に、産業分野についてであります。
初めに、スタートアップ先進県に向けた取組についてであります。
七月二十五日から二十七日まで、首都圏等のスタートアップと県内企業とのビジネスマッチングTECH BEAT Shizuokaをグランシップで開催いたしました。国内外から過去最多の百三十九社のスタートアップが出展し百三十件の商談が行われたほか、次代を担う学生や子供にも最先端の技術に触れる機会を提供するため初めて土曜日にも開催し、過去最多となる七千六百人を超える来場者があり大変大きな反響がありました。また六月から東京虎ノ門にある日本最大級のスタートアップ拠点CIC Tokyoに職員が駐在し、本県の情報発信やスタートアップ誘致に取り組んでおります。さらに十一月からは民間の専門人材二名を任期付職員として採用する予定であり、首都圏スタートアップの誘致や県内企業等とのマッチング支援などスタートアップの創出に向けた取組を一層強化してまいります。
加えて今月二日、和多屋別荘代表取締役の小原嘉元氏を地域資源活用アドバイザーとして委嘱をいたしました。小原氏は温泉旅館を拠点として地域資源の本来の価値を引き出し地域に還元したいという考えのもと、佐賀県嬉野温泉でインキュベーションセンターを開設し地域に根差したスタートアップの支援や地域文化の発信などを進めている先駆者であります。今後小原氏の知見を積極的に活用し、伊豆の温泉などを活用した新たな手法によるスタートアップ誘致に取り組んでまいります。
こうしたビジネスマッチングの取組や民間の知見、活力を最大限に活用することに加え、来年度に向けてスタートアップの資金調達のサポートや地域課題等の解決を図るための取組への支援などさらなる検討を進めスタートアップ先進県を目指してまいります。
次に、企業誘致についてであります。
本県のさらなる産業発展を目指すためには地域経済への波及効果の高い大規模投資を呼び込む必要があり、その需要に対応した産業用地の整備が大変重要となります。このため新たに七月に全庁的な企業誘致タスクフォースを設置したところであります。今後輸送用機械や医薬品など地域の産業特性に応じたゾーニングや用地の長期的な造成目標などを検討することで、これまでにない形で計画的な産業用地の創出を目指してまいります。
また、私自らが先頭に立ち首都圏でのトップセールスを精力的に実施してまいります。具体的には来月二十一日にICT・サービス関連企業やベンチャーキャピタル約八十社を招いて行うビジネスマッチングセミナーや、来年開催予定の製造業やスタートアップなどを対象とした企業立地セミナーなど様々な機会を捉え直接本県の魅力を積極的に発信してまいります。
次に、MaOIプロジェクトについてであります。
七月十七日からの二日間、本県海洋産業のポテンシャルの高さを国内外に発信するためBLUE ECONOMY EXPOを清水港において初めて開催いたしました。欧米や中東など六か国・地域の有識者など三十二名が参加した国際会議 海の未来会議では、笹川平和財団の角南篤理事長による海洋の課題と解決に向けた取組と題した基調講演などブルーエコノミーが創り出す未来について国内外の先進的な事例の紹介や議論が行われました。また海洋スタートアップ十二社をはじめ四十六社・団体が参加した展示会では二千五百人以上の皆様に御来場頂き県内企業や投資家等とのマッチングを図ったところであります。
また、七月に新たに採択された国の地方大学・地域産業創生交付金を活用し、静岡市や県内大学等と連携して研究開発や事業化の取組を拡大してまいります。国内外から海洋スタートアップの誘致等を進め、海洋産業の振興と海洋環境の保全に関する世界的拠点の形成に向けた取組をより一層加速してまいります。
次に、リノベーションによるまちづくりについてであります。
人口減少や経営者の高齢化等により空き店舗が増加する中、これらをまちづくりの視点から再生しエリア全体の価値の向上につなげる取組が重要であります。今月十一日、県内各地で空き店舗の再生等によりまちづくりに取り組む十五団体の実践者交流会を浜松市内で開催し、スタートアップを前提としたまちづくりの方策の具体的事例を紹介していただきました。今後は市町や商店街、学生に加えスタートアップなどが参加するまちづくりの推進体制を構築し、新たな視点を取り入れたリノベーションによるまちづくりの仕組みを広く県内に展開してまいります。
次に、静岡茶の海外販路拡大についてであります。
今年の県内一番茶の生産量は前年から増加しましたが、取引価格が過去最安値を記録するなど厳しい状況が続いております。一方欧米、東南アジアを中心に海外の需要は伸び続けており、輸出向けの抹茶や有機茶は高値で取引されております。この流れをつかみ静岡茶の海外販路拡大とより競争力の高い茶業者の育成を図るため、新たに静岡茶海外戦略展開支援事業に取り組んでまいります。茶業関係団体や金融機関等で構成するコンソーシアムが金融機関の海外ネットワークやジェトロの支援を活用して米国とEUにおける茶の物流拠点であるドイツでの展示会へ出展する取組を支援することとし、必要な経費を補正予算に盛り込み本議会にお諮りしております。
次に、環境・エネルギー分野についてであります。
初めに、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。
七月二十三日、大井川中下流域の八市二町の首長の皆様との意見交換会を開催しました。私からは、リニア中央新幹線の必要性は理解し推進する立場ではあるものの大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立を堅持するという基本姿勢をお伝えをいたしました。首長の皆様からは、県からのさらなる情報提供や国との連携を求める意見が出たことに加え、大井川中下流域の水資源の利用に影響が出た場合の補償等の対応についてJR東海はもとより国にもしっかりと関与を求めるよう意見がありました。まずは主な意見について先月国土交通省に伝え認識を共有したところであり、今後県としても流域市町の意見を踏まえた対応を進めてまいります。流域市町の皆様との情報共有は大変重要であります。今後時期を適切に捉えしっかりと意見交換をしてまいります。
先月五日の県の生物多様性専門部会では、沢の流量変化、代償措置の基本的な考え方及び順応的管理のシナリオ等についてJR東海と対話をいたしました。回避、低減措置を最大限実施することが前提ですが、リニア工事による影響が出た時点で自然環境を元どおりに復元することは極めて困難であり、また検討に時間を要することから回避、低減措置と並行して代償措置について検討する必要があります。そこで専門部会から、自然環境への影響の評価には不確実性があること等を踏まえリニア工事により損なわれる南アルプスの自然環境と同等以上の代償措置を事業者の責務として実施することなどの基本的な考え方を提案いたしました。JR東海は専門部会から提案された基本的な考え方に合意した上で次回以降具体的な代償措置等を提案することとなりました。
また、今月六日の県の地質構造・水資源専門部会ではトンネル工事に伴う発生土置場について対話を行いました。今回、ツバクロ発生土置き場に関して平成二十二年にJR東海が直下に断層がある可能性を認識していながらこれまで専門部会に説明してこなかった事実が判明いたしました。これは県民の皆様の安全・安心に関わるものであり看過できない問題であります。
事前にこの報告があったことから、私から森副知事に対し、専門部会においてJR東海がこのような事態に至った理由、経緯や再発防止策を説明し今後安全・安心に関する全ての情報を示すことが明確になるよう指示いたしました。専門部会ではJR東海から県民の皆様へのおわびと反省、今後の議論に必要な全ての情報を適切に示すことを固く約束する旨の会社としての文書が提出されるとともに、県が求めた事項に対する一定程度理解のできる説明があったことから対話自体は継続することといたしました。次回以降、ツバクロ発生土置き場の直下の断層についてその特性を確認し影響を予測した上で立地の妥当性について対話をしてまいります。
その他の発生土置場については、まず専門部会から生態系全体の景観への影響も考慮しできる限り回避、低減を努めるべきであるとの基本認識を示したことに対し、JR東海はこれを受け入れ今後の対策を検討することとなりました。
次に、JR東海から現在計画している発生土置場について、トンネルからの距離や環境負荷の回避、低減等を考慮した選定理由及び経緯について説明がありました。専門部会において、候補地として一定の妥当性があると認められることからこれらの候補地を前提として今後設計やモニタリング等について対話を進めていくこととなりました。
こうした対話により、今後の主な対話項目二十八項目のうち十五項目の対話が進捗し二項目が対話完了となりました。引き続き残された課題の解決に向けてJR東海との対話をしっかりと進めてまいります。
先月二十二日、国の第四回モニタリング会議が開催されました。本県とJR東海の対話の状況等が報告されたところ、矢野座長から、JR東海と静岡県の協議は着実に進んでいる印象を強く受けたとの総括がありました。
山梨県側から県境に向けた高速長尺先進ボーリングにつきましては、JR東海から今月十日に、県境を越えて静岡県内へ進めることについて大井川利水関係協議会の意向を確認するよう要請がありました。JR東海のボーリング計画は、五月に開催された県地質構造・水資源専門部会において科学的、工学的な観点から一定のリスク管理がなされることが確認され、また岐阜県の地下水位低下の事象を踏まえた追加のリスク対策についても専門部会でより一層リスク管理が強化されると技術的に確認を頂きました。
こうしたことを踏まえ協議会に意向を確認した結果、計画で示されたリスク管理を確実に実施することなどを前提に県境を越えてボーリングを進めることについて了解する旨の報告がありました。これを受け県としても了解できる旨を今月十七日本県からJR東海に回答するとともに、計画に示した湧水管理とモニタリングを適切かつ確実に実施することを改めて要請したところであります。引き続きリニア中央新幹線の建設と大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため、国と協力してJR東海との対話を進めてまいります。
次に、再生可能エネルギーの導入拡大についてであります。
昨年十二月の第二十八回気候変動枠組条約締約国会議いわゆるCOP28では、二〇三〇年までに世界の再生可能エネルギーの発電容量を三倍にする目標が掲げられ、世界各国でGX実現に向けた動きが加速をしております。国では現在次期エネルギー基本計画の策定に向けて議論を進めており、本県においても再生可能エネルギーの導入拡大に向けた方策を速やかに検討する必要があります。
このため、環境との調和や地域との共生を前提に発電容量の大きい太陽光や風力さらに新たなエネルギー源である水素について導入可能性等を調査することとし、必要な経費を九月補正予算案に計上し本議会にお諮りをしております。調査結果を基に来年度県エネルギー総合戦略の見直しを行い、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を図ってまいります。
次に、観光交流分野についてであります。
初めに、観光交流の拡大についてであります。
本年一月から六月までの県内への外国人延べ宿泊客数は、コロナ前の約八割まで回復し、特にヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアからの宿泊者数がコロナ前の二倍に増加をしております。
今後は夜間を活用して観光を楽しむナイトコンテンツの造成や、スマートフォンをかざすと多言語で観光案内がされるシステムの構築など特定の分野に強みを持つスタートアップと県内の市町、DMOとの連携を進め、さらなるインバウンド需要の拡大に取り組んでまいります。具体的には、国内最大級のスタートアップとの協業実績を持つ企業や金融機関を先月選定したところであります。今後これらの企業と連携してインバウンド誘客に向けた市町等の課題ごとに専門のスタートアップと協業し、課題解決に向けた実証実験を進めてまいります。
また先月五日、タイ王国観光・スポーツ省のフォンプーム副大臣など官民の関係者二十一名をお招きし、落合愼悟議長をはじめ県議会議員の皆様も御出席を頂いた中、本県の豊富な温泉資源や美容大国タイの多彩なスパ文化など互いの特徴を生かした交流を進めるため、温泉を活用した経済、観光分野での協力に関する覚書を取り交わしました。今後、タイ王国と本県のそれぞれの強みを生かし温泉を活用した様々な分野の交流を進めてまいります。
次に、世界遺産富士山の登山者への対応についてであります。
今月十日に閉山した富士山につきましては、本県側において昨年と同水準の約八万五千人の登山者が訪れました。今シーズンは新たにウェブを活用した事前登録システムを試行し、登山者の七割を超える約六万人の方に御利用頂くなど夜間登山者数の減少等に一定の成果がありました。しかしながら任意の自粛要請のみでは夜通しの弾丸登山や軽装登山などのルール・マナー違反が引き続き散見されたところであります。そのため登山者の安全確保と快適な登山環境の実現に向け、より強い対策が必要であると判断をいたしました。
このため、来年の夏には山梨県と足並みをそろえ夜間の入山制限や通行料の徴収等の登山規制を実施することとし準備作業に着手したところであります。来年二月議会で本県の実情も踏まえた登山規制条例を制定することを目指し、今後必要な調査を、国、山梨県、地元関係者との調整を進めてまいります。
次に、地域交通のリデザインについてであります。
日常生活において公共交通での移動を確保できない地域では、地元住民による共助型交通など公共ライドシェアの導入が日常の足を確保する有効な対策であります。まずは制度や活用事例を周知することが重要であるため、七月三十日、二十九市町や公共交通事業者等十二社が参加した上で説明会を開催しました。さらに今月十一日、県地域公共交通活性化協議会の下に全市町と国、バス協会及びタクシー協会で構成する専門部会を設置いたしました。今後、公共ライドシェアの県内全域への普及に向けて全国の先行事例等を情報共有するとともに、地域ニーズに応じ市町等を積極的に支援してまいります。
また、今年四月に創設された日本版ライドシェアにつきましても国の動向を注視しながら活用を検討するなど、持続可能で地域の実情に応じた最適な交通手段の導入により地域交通のリデザインを進めてまいります。
次に、富士山静岡空港の国際線についてであります。
来月からの冬ダイヤにおきまして、チェジュ航空のソウル線が現行の週七往復に加え初めて週四往復が増便され合計で週十一往復の運航が決定をいたしました。また台北線の運航再開に向けてチャイナエアラインと粘り強い交渉を行う中、まずは年末年始に台北との三往復のチャーター便が運航されることとなりました。来月には森副知事が台湾を訪問し、航空会社の幹部に対し定期便の計画的な運航再開を強く働きかけるなど国際線のさらなる充実に取り組んでまいります。
次に、子育て・教育分野についてであります。
初めに、静岡県こども計画の策定についてであります。
国のこども大綱を踏まえ、結婚から妊娠、出産そして幼少期から青年期まで切れ目ない施策を網羅する仮称静岡県こども計画を今年度新たに策定をいたします。計画の策定に当たっては、子供第一主義の視点に立ち子供、若者の意見にしっかりと耳を傾けてまいります。アンケート調査やワークショップの開催等に加え、場所や時間の制約がなく匿名で意見を伝えることができる全国でも先進的なオンラインプラットフォーム「こえのもりしずおか」を開設し幅広く意見の募集を行ってまいります。
また、これまでに頂いた意見を反映した計画の骨子案を昨日県子供・若者施策推進協議会においてお示しをし、有識者の皆様から福祉、教育などの専門的知見に基づき貴重な御意見を頂いたところであります。次代を担う全ての子供が健やかに成長し幸せを感じることができる社会の実現を目指し、子供施策を総合的に推進してまいります。
次に、新県立中央図書館の整備についてであります。
令和九年度の完成を目指す新県立中央図書館につきましては、来月実施設計が完了する予定であります。蔵書数を約二百万冊とするなど県民の知のインフラとして図書館機能を充実するほか、低層階には交流スペースや各種ラボを配置し、県民が集い学びを深める空間づくりを進めてまいります。
こうした機能を最大限発揮するため、入居を予定しているふじのくに地域・大学コンソーシアムや産業界との連携による探求活動やリカレント教育に取り組むとともに、学生以外にもスタートアップなどのイノベーティブな人材や多様な活動を行う人材などが広く集い知的創造に向けたコラボレーションを誘発するなどこれまでの図書館の枠を超えて子供から大人までが学び、交流し、創造する新たな知の発信拠点を目指してまいります。
今後本体工事に速やかに着手するため、必要な債務負担行為の設定を補正予算案に盛り込み本議会にお諮りをしております。
次に、健康福祉分野についてであります。
まず、感染症対策についてであります。
昨年度策定した県の感染症予防計画に基づき、新たな感染症発生に備えて平時から医療提供体制を確保するため、病床の確保や発熱外来の実施に関して医療機関等と県との医療措置協定の締結を今年度進めております。現時点では、流行初期の目標値について病床数は九四%以上を、発熱外来施設数は八二%以上を確保しております。また協定を締結した医療機関等が感染症にしっかりと対応できるようPCR検査装置や簡易ベッドなど必要な資機材の整備を支援することとし、関連する経費を九月補正予算案に計上し本議会にお諮りをしております。
次に、医療DXの取組についてであります。
医療分野でのDXを通じたサービスの効率化、質の向上を図るため、国は電子カルテを含む患者情報の共有基盤となる全国医療情報プラットフォームの構築を推進しております。来年度からのプラットフォームの運用開始に向けて国は県内五病院の取組をモデル事業として指定したところであり、県としても国と連携し医療圏を越えた効果的な情報共有など取組を促進してまいります。
また、薬の重複投与の防止などを図るため電子処方箋を導入する医療機関等を支援することとし、これらに必要な経費を九月補正予算案に計上し本議会にお諮りをしております。国の医療DXの進展に合わせ県内の体制構築を着実に進めてまいります。
次に、暮らし・文化分野についてであります。
初めに、パリ二〇二四オリンピック・パラリンピックについてであります。
フランスのパリで開かれた両大会では、本県ゆかりの選手がその実力を存分に発揮し好成績を挙げ多くの県民の皆様に夢と希望と感動を与えてくれました。県では競技団体を通じて強化活動費の一部を支援しており、今回も多くの選手がメダルの獲得や入賞を果たしたところであります。
オリンピックにおきましては、柔道の橋本壮市選手が個人で銅メダル、混合団体で銀メダル、セーリングの岡田奎樹選手が銀メダル、卓球の平野美宇選手が女子団体で銀メダルを獲得いたしました。
また、パラリンピックにおきましては、水泳の鈴木孝幸選手が金メダルを含む合計四つのメダル、車椅子ラグビーの若山英史選手と自転車の杉浦佳子選手が金メダル、陸上車椅子の佐藤友祈選手が銀メダルと銅メダル、ボッチャの杉村英孝選手が混合チームで銅メダルを獲得いたしました。その栄誉をたたえ、メダリストや入賞者の皆様に県民栄誉賞等の表彰を行いたいと考えております。
オリンピック、パラリンピックを契機として高まったスポーツへの関心が幅広い世代の県民のスポーツ参加につながるよう、県民誰もがスポーツを楽しむことができる環境づくりに取り組んでまいります。
次に、遠州灘海浜公園篠原地区の整備についてであります。
七月十九日に、県民の皆様から頂戴しましたパブリックコメントの意見などを踏まえた公園基本計画を取りまとめ公表いたしました。公園を含む全体的な利活用の構想については協議会の設置に先立ち、まずは公園基本計画をベースとして課題や論点を整理するよう担当部局に指示したところであります。これを踏まえ、現在浜松市等と事務レベルで調整を進めております。引き続き県議会や県民の皆様の御意見を伺いながら、遠州灘海浜公園篠原地区が県西部のスポーツ拠点としてふさわしく多くの県民の皆様に愛され利用される施設となるよう浜松市と連携して丁寧に検討を進めてまいります。
続きまして、令和七年度に向けた政策検討についてであります。
次期総合計画や令和七年度当初予算等に向け具体的な事業の検討を進めるため、七月二十三日に私から各部局長に対し三点について指示をいたしました。
まず一つ目は、幸福度日本一の静岡県の実現に向けた取組をトップダウンで進めてまいります。具体的には人口減少対策、本県産業を牽引する活力の創造、全ての県民が安心・安全に暮らせる静岡県づくりの三つのテーマを示し、新たな施策や事業の立案を指示いたしました。
二つ目は、未来を拓く積極的なチャレンジをボトムアップで進めてまいります。時代の先を読み先駆的でチャレンジ性のある事業について、現場を熟知する各部局の発想により積極的に提案することを指示いたしました。
三つ目は、こうした取組に必要な財源をしっかりと確保するため徹底した行財政改革を推進してまいります。税金は一円たりとも無駄にしないという考えのもと、歳入歳出の見直しの徹底を指示いたしました。
現在各部局におきまして検討を進めているところであり、来月以降に私と協議を行った上で次期総合計画等へ反映をしてまいります。
次に、九月補正予算案の概要についてであります。
これまで御説明してきたとおり、私は知事就任以来既定の予算を積極的に活用することでスピード感をもって様々な施策を進めてきたところであります。このため今回の九月補正予算案は、当初予算編成後の事情変化により必要となった経費等について編成をいたしました。その結果一般会計補正予算の規模は三十七億二千万円で、これを加えました本年度の予算の累計額は一兆三千二百十二億六千八百万円となります。特別会計の補正は国民健康保険事業特別会計外一件であります。企業会計の補正は流域下水道事業会計であります。
次に、予算以外の議案のうち主な案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第百十九号議案は、手数料の改定をするための条例の改正であります。
第百二十二号議案から第百二十五号議案までは、県が行う道路整備事業、土地改良事業等に対する市町の負担額を定めるものであります。
第百二十六号議案から第百三十一号議案までは、土木工事等の契約についてお諮りをするものであります。
第百三十二号議案から第百三十四号議案までは、任期満了に伴う教育委員会委員及び公害審査会委員の任命並びに監査委員の選任についてそれぞれ同意を求めるものであります。
また、令和五年度の一般会計、特別会計、企業会計合わせて十七会計の決算につきまして、監査委員の審査を経ましたので議会の認定に付するものであります。
以上、適切なる御議決をお願い申し上げ、私の説明を終わります。
○議長(落合愼悟君) 以上で説明は終わりました。
○議長(落合愼悟君) 休会についてお諮りします。
議事の都合により、九月二十日及び二十四日は休会とすることに御異議ありませんか。
(「異議なし」と言う者あり)
○議長(落合愼悟君) 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○議長(落合愼悟君) 次会の議事日程を申し上げます。
九月二十五日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
本日はこれで散会いたします。
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