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本会議会議録

議会補足文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用




平成28年2月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 02/22/2016
会派名:


○議長(吉川雄二君) 議事日程により、知事提出議案第一号から第八十九号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 平成二十八年度の当初予算案並びにその他の議案を提出するに当たり、その概要を御説明申し上げ、あわせて当面する県政の課題について所信の一端を申し述べます。
 私は、県政運営の基本理念に富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを掲げ、国土のシンボルであり日本の中心に位置する富士山を仰ぐこの地に、「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」の理想郷を築くべく全力を傾注してまいりました。
 その道筋を示す総合計画後期アクションプランの進捗状況につきましては、今月十五日に公表した“ふじのくに”づくり白書にお示しいたしましたとおり、計画に掲げる施策は数値化した目標のもとで順調に推進が図られております。
 全国のモデルとも言える本県独自のPDCAサイクルをさらに徹底し、数値目標の推移におくれが見られる分野につきましては柔軟に施策の改善を図り、より一層のスピード感を持ってふじのくにづくりの総仕上げに向けて全県を挙げて取り組んでまいります。
 今後とも、後期アクションプランが目指す県民幸福度の最大化に向けて、ポスト東京時代における我が国の先導役を担うという強い気概を持って霊峰富士から導き出される多様な価値に立脚した地域づくり、人づくりに全力で邁進してまいりますので、引き続き県議会の皆様方の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 初めに、平成二十八年度当初予算案と組織定数の改編についてであります。
 平成二十八年度の県税と地方交付税などを合わせた一般財源総額は、国の地方財政対策等を踏まえ二十七年度とほぼ同額を見込んでおります。一方で社会保障関係費、公債費などの義務的経費の増加が見込まれますことから、政策的経費に充てられる財源が限られる中にあって総合計画の後期アクションプランの着実な推進と健全財政の堅持という二つの課題に対応するべき状況のもとでの予算編成となりました。このため基本方針としてふじのくにづくりの総仕上げに向けた重点的な取り組みと将来を見据えた戦略的な行政運営の二つの柱を掲げ、富国有徳の理想郷世界にはばたく“ふじのくに”を目指します。
 これを実現するため、喫緊の課題に対応する三つの戦略、一つ、スポーツを通じた交流の拡大とスポーツ王国しずおかの復活、一つ、新しい地域外交の展開、一つ、農林水産業の競争力の強化に注力するとともに、八つの重点取り組みを初めとして後期アクションプランを着実に推進することとし、予算編成と組織定数改編に臨みました。選択と集中による事業の優先化、重点化はもとより既存の事業の「やめる・へらす・かえる」の徹底による歳出のスリム化と未利用財産の売却などによる歳入確保に努め、百五十六億円の財源を捻出した上で二十九年度以降に活用可能な基金を三百六十億円確保したところでございます。その結果一般会計の歳出予算総額につきましては一兆二千四百十億円で前年度当初予算比十三億円、〇・一%の増となりました。
 予算編成と組織定数改編の一つ目の基本方針であるふじのくにづくりの総仕上げに向けた重点的な取り組みについて、三つの戦略と八つの重点取り組みに沿い御説明をいたします。
 初めは、三つの戦略についてであります。
 戦略の第一は、スポーツを通じた交流の拡大とスポーツ王国しずおかの復活についてであります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九、二〇二〇年東京オリンピック自転車競技の本県開催の決定などスポーツに関する県民の関心や期待が高まっております。スポーツが持つ力を通じた人間力の向上に努めるとともに、スポーツによる交流を拡大し本県の魅力を世界に発信してまいります。このため来年度知事部局にスポーツ局を新設いたします。学校教育の枠を超え地域振興や観光、福祉など関係部局と連携した総合的なスポーツ施策を展開してまいります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、昨年十二月九日スイスのローザンヌで開催されました国際オリンピック委員会理事会におきまして、オリンピック自転車競技のうちトラックレース競技及びマウンテンバイク競技の伊豆での開催が承認され、本県で初めてオリンピック競技が開催されることになりました。五十六年ぶりに日本で開催される夏季五輪の競技が世界遺産富士山を初めとする美しい自然環境を有し豊かな食や温泉に恵まれる本県で開催されますことは、大変意義深く光栄なことであります。今後さらに地元の開催機運を高めていくとともに、交通輸送や警備、選手や観客の宿泊先の確保など各種の課題を解決していく必要があります。このため全県を挙げた推進体制を早期に整え、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会や伊豆市を初めとする地元自治体等と連携し、大会の成功に向けて全力で取り組んでまいります。特に交通アクセスの改善につきましては早期の着手が必要でありますので、東京五輪会場アクセス道路整備事業を来年度当初予算案に盛り込んだところであり速やかに対応してまいります。
 また、県内への事前キャンプ誘致につきましては、ことし開催されるリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックに各国関係者が集まりますことから、県内関係市町とともに私が現地に出向き事前キャンプ地の視察や事前キャンプ候補地としての本県の魅力を発信してまいります。また大会終了後には各国の事前キャンプ地の選定作業が本格化してまいります。本県で事前キャンプが実施されるよう市町と連携し誘致活動を積極的に展開してまいります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九につきましては、今シーズンのラグビートップリーグの入場者数が四十九万一千七百十五人と歴代最多を記録いたしました。子供たちの間ではラグビースクールへの加入申し込みがふえるなどラグビー人気が非常に高まっております。こうした追い風を二〇一九年大会の本県開催の成功に結びつけていくよう機運の盛り上げに取り組んでまいります。具体的には全県一丸の推進体制を構築するためスポーツ、教育を初め運輸、医療、報道、観光など幅広い分野の関係者によるラグビーワールドカップ二〇一九静岡県開催推進委員会を三月下旬に設立し、関係者の力を結集し機運醸成や大会の成功に向けた準備を進めてまいります。
 本県スポーツ選手の競技力の向上につきましては、国民体育大会の天皇杯、皇后杯の成績が近年低迷している状況を打開するため、競技団体が実施する強化合宿への支援の充実、競技人口の少ない競技の底辺拡大のためのスポーツ教室を開催してまいります。また国民体育大会の成績の向上はもとより二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに数多くの本県選手が出場することを目標に選手強化に取り組んでまいります。
 地域の人材を活用したスポーツの振興につきましては、社会総がかりの教育に向けて地域の人材を活用するため人材バンクを構築してまいります。来年度はまずはスポーツの分野におきまして、中学校や高等学校の部活動から少年団活動など地域のスポーツ活動まで幅広く活用することができる体制を整えてまいります。また県民誰もがスポーツに親しむ機会を提供する仕組みづくりの取りかかりとして地域と学校とが連携したスポーツクラブを設置し、中学生や高校生がスポーツに取り組む機会を確保する事業を磐田市において実施いたします。
 次に、イタリア国フリウリ・ベネチア・ジュリア州とのスポーツを通じた交流についてであります。
 昨年十月に取り交わしたサイクリング大会への相互参加などスポーツ交流の推進を趣旨とした協定を踏まえ、来年度は本県で開催されるサイクリング大会に同州からサイクリストが来訪する意向が示されております。富士山などを見晴らす美しい景観の中でサイクリングを楽しんでいただくとともに、本県の誇る豊かな食やおもてなしなどで両県・州の交流がさらに進むよう支援してまいります。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区の基本計画についてであります。
 遠州灘海浜公園は、都市計画決定以降県営球技場、浜松市総合水泳場トビオ、緑地公園等が整備されておりますが、いまだ多くが未利用地となっております。このため本年度浜松市とともに篠原地区を中心として公園基本構想の策定を進めているところであります。その中で本公園は県西部地域のスポーツ振興の拠点として今後中核施設となる野球場を整備することとしております。来年度は野球場を含めた公園施設の具体的な配置等を検討する公園基本計画を策定するとともに、県と市の役割分担について調整してまいります。
 戦略の第二は、新しい地域外交の展開についてであります。
 平成二十四年度に、地域外交の展開先として中国、韓国、モンゴル、台湾、東南アジア、米国、この六つの重点国・地域を定めるとともに、観光交流、経済交流、教育・文化交流を柱とする基本方針を策定し積極的に地域間交流を展開してまいりました。策定から三年が経過いたしましたので地域外交の基本方針を見直し、経済交流から通商へと一段レベルを上げてまいります。そのため来年度は地域外交施策の全庁的な総合調整を担う地域外交監を設置するなど組織体制を強化し、通商などの促進を図り経済的にも相互に実のある関係づくりに積極的に取り組んでまいります。
 中国につきましては、浙江省への県産品の販路拡大のほか平成二十九年度に浙江省との友好提携三十五周年を迎えますことから、記念事業に向けた準備を進めるとともにプレイベントの開催を通じて県民の機運の醸成を図ってまいります。
 韓国につきましては、十月の食と農業をテーマとした東アジア「食と農」地域フォーラム――仮称――の開催に合わせ、忠清南道との友好協定締結三周年記念事業等を開催し地域間交流を進めてまいります。
 モンゴルにつきましては、八月に教育や経済分野などの交流のためモンゴル教育・文化・科学省覚書調印一周年を記念して訪問団を派遣するほか、秋にはドルノゴビ県との友好協定締結五周年を記念した式典等を本県で開催するなど交流を強化してまいります。
 次に、日中韓三カ国環境大臣会合についてであります。
 県と静岡市が共同で開催を誘致しておりました第十八回日中韓三カ国環境大臣会合が静岡市内で開催されることが決定いたしました。本県は世界文化遺産富士山を初めとして世界で最も美しい湾クラブへの加盟を目指す駿河湾、ユネスコエコパークに登録された南アルプス等々世界に誇る美しい自然環境を有しており、両国の環境大臣をお迎えするにふさわしい都市として開催地に選ばれたものと考えております。この会合を契機といたしまして美しく恵み豊かな自然環境を初めとした本県の魅力を世界へ発信してまいります。
 次に、外国人観光客の誘客促進についてであります。
 昨年一月から十一月までの県内への外国人延べ宿泊者数は、前年同時期の七十二万人に比較し二倍を超える百六十五万人となり過去最高を記録しております。外国人旅行者の消費額は国内宿泊旅行者の約三倍と大きく地域経済への波及効果も高いことから、この流れを一過性に終わらせることなく県下全域にわたり訪日外国人を呼び込んでいくことが必要であります。このため訪日外国人の受け入れ対応を専門に担当する部門を県観光協会内に設け、外国人観光客の動態を踏まえたきめ細かなプロモーションを推進するなど訪日外国人の受け入れ体制の強化を図ってまいります。
 戦略の第三は、農林水産業の競争力の強化であります。
 このたびの環太平洋連携協定――TPPの合意を踏まえ、本県農林水産業も新しい時代に向けた革新を進め競争力を高めていく必要があります。このため新年度から一次産業部門の組織を再編するとともに、その業務を統括する農林水産戦略監を設置するなど一次産業の競争力強化に取り組んでまいります。
 農業につきましては、情報技術を活用した熟練技術の形式知化による農芸品の栽培技術の継承や本県の強みであるものづくりの技術を農業分野に活用し、革新的な農業ロボットの開発に取り組んでまいります。また産学官連携による農作物の先端研究拠点を沼津市の旧東海大学敷地に設け、科学的に立証された農作物の健康増進機能を向上させる技術の開発を目指してまいります。さらに農地中間管理機構を活用した農地集積や農業生産基盤整備により農業の生産性向上を図ってまいります。こうした取り組みを通じ多彩で高品質な本県の農芸品の付加価値をさらに高めることにより、本県農業が魅力ある成長産業となるよう取り組んでまいります。
 林業につきましては、県産材の需要と供給を一体的に創造するふじのくに森林・林業再生プロジェクトの第二ステージとして丸太の増産と富士市内で稼働した合板工場等への供給体制の確立などに取り組んでいるところであります。現在生産体制の強化に向け利用間伐の一層の促進に加え、コンテナ苗を活用し皆伐後の植栽コストなどを抑える造林システムの実証を進めております。また来年度からは国の新しい補助制度を活用して木材生産量の拡大を図り合板工場等への安定供給につなげてまいります。さらに二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要の高まりの中で森林認証材の利用拡大が見込まれます。県産材の競争力強化と国内外への販路拡大の好機と捉え、世界水準の森林認証の取得促進や県産材製品の大量受注に対応可能な地域の製材工場等の連携を進め、森林・林業の再生に取り組んでまいります。
 水産業につきましては、高度な衛生管理が可能となるよう魚市場等の拠点施設を整備し水産物の付加価値向上を図るほか、水産団体と連携して静岡県TPP水産対策協議会に水産物・水産加工品輸出促進部会を立ち上げ海外への販路拡大に取り組むなど本県水産物の競争力強化に努めてまいります。
 次に、マーケティング・ブランディング戦略についてであります。
 農林水産物の海外への輸出拡大等が期待される中、本県におきましても県産品の競争力の強化を図り国内外への販路拡大につなげる必要があります。そのためには市場動向を見極めて商品開発や販売戦略に生かすマーケティング力の向上と高品質な県産品の価値をさらに高めるための地域ブランドの確立が重要です。こうしたことから来年度は本県の農林水産業や商工業を代表する方々の御意見もいただきながらマーケティング・ブランディング戦略を新しく策定し、オール静岡の取り組みを進めてまいります。
 以下、総合計画後期アクションプランの八つの重点取り組みに沿って御説明を申し上げます。
 その第一は、大規模地震への万全の備えであります。
 未曽有の大災害となった東日本大震災から五年を迎える本年は、東海地震説の発表から四十年となる節目の年でもあります。本県はこの間、全国に先駆けて地震・津波対策に取り組んできた防災先進県であります。現在の対策のかなめとなる地震・津波対策アクションプログラム二〇一三につきましては全体百六十二のアクションのうち既に二十七のアクションが完了するなど順調に進んでおります。策定からおおむね三年が経過しますことから、これまでの施策の達成状況や昨年六月に公表した駿河・南海トラフ沿いで発生するレベルワンのマグニチュード八クラスの地震の津波想定などを踏まえて防潮堤の整備高や整備区域の見直し、静岡県ふじのくに防災士等の養成、活用人数などの数値目標を上方修正いたします。平成二十八年度当初予算案ではアクションプログラムの推進のための経費として四百五十億円の予算を計上したところであり、ソフトとハードの両面から着実かつ迅速に進めてまいります。
 ソフト対策につきましては、改めて原点に立ち返り自助については家具の固定や食料・飲料水の備蓄など家庭内対策を推進いたします。また共助では地域防災リーダーの育成や地域防災の担い手として活躍が期待される中高生の地域防災訓練への参加促進など自主防災組織を強化してまいります。
 ハード対策につきましては、引き続き緊急輸送路や防潮堤の整備、液状化対策など県民の皆様の命と財産を守るための基盤となる施設の地震・津波対策を積極的に進めてまいります。特に津波対策ではこれまで浜松市、磐田市、袋井市、掛川市等が沿岸部で進めている防災林のかさ上げなどのレベルワンを超える津波に対して被害の軽減を図る静岡モデルの取り組みを市町とともにさらに進めてまいります。またいわゆる潜在自然植生、先人の知恵、地域の人々という地域の場の力を活用した全国の先導的モデルとなるふじのくに森の防潮堤づくりを市町や地域住民の皆様との協働により推進してまいります。
 浜松市の篠原地区に計画する野球場につきましては、遠州灘の防潮堤に隣接して整備することにより平時には県民スポーツ、憩いの場として、有事には発災直後では津波避難施設として、復旧段階では支援活動の拠点として機能することとなります。
 市町が実施する地震・津波対策につきましては、現行の緊急地震・津波対策交付金に火山対策などのメニューを加えた新しい支援制度として平成二十八年度から平成三十年度までの三年間で九十億円程度を市町の計画に基づき交付することとし、来年度は三十億円の予算を計上し引き続き強力に支援してまいります。
 今後も、市町と連携いたしまして地震・津波対策を推進し、本県が日本中で最も安全で安心して暮らせる地域であることを全国に発信してまいります。
 次に、原子力安全対策についてであります。
 これまで、浜岡原子力発電所から三十一キロメートル圏内の十一市町を対象に浜岡地域原子力災害広域避難計画の策定を進めてまいりました。先月、市町原子力防災対策研究会において計画案を公表して市町等の関係者から御意見を伺いました。今月九日には静岡県防災・原子力学術会議原子力分科会におきまして専門的な見地から御助言をいただきました。これらの御意見等を踏まえ国の支援、周辺都県の協力のもと、関係市町と連携し今年度中に計画を策定してまいります。
 また、来年度は原子力災害発生時における住民の甲状腺被曝を防ぐため、国の指針に基づき発電所から五キロメートル圏内の住民約四万七千人に対しまして県が備蓄している安定ヨウ素剤を事前配布いたします。さらに即時避難が困難な要配慮者等の屋内退避のため社会福祉施設等における放射線防護設備の整備を進めるなど原子力災害に備えた対策を充実してまいります。
 次に、住宅・建築物の耐震化についてであります。
 これまで、平成二十七年度末を計画期間とする耐震改修促進計画に基づき住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化率をそれぞれ九〇%とすることを目標に掲げ、耐震化を促進してまいりました。このうち住宅につきましては目標の達成が厳しい状況となっております。一方多数の者が利用する建築物につきましては目標の達成が見込まれております。
 第四次地震被害想定において想定される犠牲者を八割減少させるには、住宅・建築物の耐震化のさらなる促進が必要です。このため平成三十二年度末までに、ともに耐震化率を九五%とすることを目標とした新しい計画を策定し、引き続き「TOUKAI―0」総合支援事業により耐震化を促進してまいります。特に住宅につきましては高齢者のみの世帯が耐震化に取り組みやすくするために相談体制を強化するとともに、補強計画を策定するための専門家を派遣するなどきめ細かな対応を図ってまいります。
 重点取り組みの第二は、内陸のフロンティアを拓く取り組みであります。
 昨年十二月に国による総合特区の評価結果が公表され、ふじのくに防災減災・地域成長モデル総合特区は全国の地域活性化総合特区五十三地域の中で二番目に高い評価を受けました。これは総合特区事業に加え本県が独自に内陸フロンティア推進区域制度を設け全県的に事業展開をしている点や重点的な支援により着実な進捗が図られていることが評価されたものであります。
 今後も、内陸フロンティア推進コンソーシアムと連携した官民一体の取り組みにより推進区域における事業の早期具体化を支援し、防災・減災と地域成長とを両立させる地域づくりを進めてまいります。
 次に、美しいふじのくにの景観形成についてであります。
 富士山や韮山反射炉の世界文化遺産登録、二〇二〇年東京オリンピック自転車競技の開催、全県下で展開するカルチュラル・オリンピアードの開催など今後ますます本県への来訪者の増加が見込まれます。本県を訪れる皆様におもてなしの心をお伝えするためには地域それぞれの歴史や文化とともに、その土地の自然と調和する美しい景観を創造、保全していくことが必要であります。
 このため、来る三月十八日に県内の景観形成のさまざまな主体が一堂に会する美しい静岡景観づくり推進大会を開催し、美しい静岡景観づくり宣言を採択いたします。この大会を契機に社会総がかりの景観づくり県民運動をスタートしてまいります。平成二十八年度は県土全体の景観形成の指針であるふじのくに景観形成計画を策定するとともに、全庁一体的な景観推進体制を強化し世界に誇れるふじのくにの景観形成を実現してまいります。
 次に、茶の都づくりの推進についてであります。
 来年度は、島田市から取得するお茶の郷をふじのくに茶の都ミュージアム――仮称――として整備するための設計に着手いたします。また第六回世界お茶まつりを春と秋の二回開催し、五月十三日から始まる春の祭典では茶摘み体験やさまざまな趣向を凝らした茶会を開催し魅力ある茶文化の創造と発信に取り組んでまいります。
 なお、三月十八日から台湾の嘉義県を訪問し嘉義県が開催する世界お茶博覧会に参加し、台湾の茶業関係者などに本県で開催する世界お茶まつりへの参加を呼びかけてまいります。
 さらに、全国主要都市での多彩な静岡茶の商談会の開催や海外の見本市への本県ブースの設置、輸出を支援する海外サポートデスクの開設などにより国内外への販路拡大に取り組むほか、海外で需要が急増している抹茶の生産拡大を支援し茶業者の経営安定を図ってまいります。これらに加え中山間地域に広がる茶園の景観の魅力を生かして茶業の活性化と地域の振興を図るプロジェクトを進めてまいります。
 こうした取り組みを通じて、引き続き「山は富士 お茶は静岡 日本一」の茶の都であり続けるよう本県茶業の振興を図ってまいります。
 次に、富士山静岡空港についてであります。
 平成二十七年の富士山静岡空港の利用者数は、国内線、国際線を合わせて六十九万九千四百六十七人となりまして、後期アクションプランの目標である年間利用者数七十万人の達成が視野に入ってまいりました。
 国際線は、中国からの訪日需要が持続する中、友好協定を締結する浙江省の省都杭州との間に北京首都航空に続きまして中国東方航空が一月十日から新しく週二往復の運航を開始いたしました。国内線におきましてもフジドリームエアラインズが平成二十八年夏ダイヤにおきまして五年ぶりに鹿児島線を一日一往復の運航とするとともに、札幌線も週四往復から週五往復へ増便するなど富士山静岡空港の航空ネットワークは着実に充実してきております。引き続き一層の利用拡大に向け積極的に取り組んでまいります。
 空港機能や利便性の向上につきましては、旅客ターミナルビルの改修及び増築工事に来年度から着手し、国内線は平成二十九年度、国際線は平成三十年度中の供用開始を目指してまいります。また空港利用者のニーズが高い宿泊、物販施設等のサービス産業施設や格納庫の立地促進を図るため空港ターミナル地区西側用地の造成等の基盤整備を進め、早期に事業者の公募を実施してまいります。さらに空港へのアクセス機能の向上を図るため新たに空港と掛川駅間において乗り合いタクシーの運行を開始いたします。
 新しい空港運営体制の構築につきましては、全国の地方管理空港に先駆けて公共施設等運営権制度導入に向けた実施方針を策定するなど具体的な手続を進めてまいります。行政による管理から民間による経営に転換することにより、より効率的で利便性の高い空港運営を実現し、県民の皆様を初めとした国内外の皆様に選んでいただける魅力あふれる空港を目指して取り組んでまいります。
 次に、富士山静岡空港新幹線新駅についてであります。
 首都圏並びに中部、東海圏の空港機能を補完し、大規模災害時の防災拠点となる富士山静岡空港への新幹線新駅の実現に向け、本年度はトンネル技術の専門家で構成する技術検討委員会を立ち上げ新駅の位置や構造について検討を進め、今月二日に検討結果をとりまとめたところであります。
 来年度は、この検討結果をもとに新幹線新駅の設置について東海旅客鉄道株式会社との合意形成を目指してまいります。なお合意形成が整った際には速やかに調査、設計等に着手する必要がありますことから、機動的に対応するため当初予算案に県単独事業予備費を計上いたしました。県議会の皆様の御了承をいただいた上で執行してまいります。引き続き県議会議員の皆様の御支援をいただくとともに、関係市町、関係団体と連携して早期実現に向けて取り組んでまいります。
 重点取り組みの第三は、新成長産業の育成と雇用創造であります。
 初めに、産業成長戦略の推進についてであります。
 本県の景気は、個人消費や生産面などで弱めの動きが見られるものの、緩やかに回復しつつあります。雇用情勢につきましては昨年十二月の有効求人倍率が一・二八倍となり、三カ月連続で一・二倍台となるなど改善の動きを続けております。
 こうした動きをより確実なものとするため、本県の産業成長戦略に基づき産業戦略推進センターオープンイノベーション静岡を中心に官民が一体となって地域企業の事業活動を活発化し次世代産業の創出を加速するための取り組みを進めております。今月十五日に開催いたしました静岡県産業成長戦略会議では付加価値の高い製品、サービスを生み出す環境整備や地域企業のマーケティング力の向上、新しい成長産業への果敢な挑戦などに今後重点的に取り組んでいくことを確認いたしました。
 具体的には、製造業等へのインターネット・オブ・シングス――IoTの導入を促進するほか、新素材として期待されるセルロースナノファイバー――CNFを活用した製品開発の促進、デザインを活用した産業振興などに取り組んでまいります。
 今後とも、本県経済の競争力を高め多極的な産業構造を構築していくため産業界、金融界と一体となって産業成長戦略を推進してまいります。
 次に、地域企業の人材確保・育成についてであります。
 景気回復に伴う求人数の増加などにより企業の人手不足が厳しさを増す中、本県経済の持続的な成長のためには地域企業における人材の確保と企業ニーズや技術革新に対応できる人材の育成が喫緊の課題となっております。
 このため、県内外の新規学卒者や大都市圏に在住するプロフェッショナル人材の県内企業への就職支援を拡充いたします。また女性や高齢者、障害者等の活躍を促進するために人材データベースを構築するなど企業とのマッチング支援に努めてまいります。さらに成長産業分野などの時代に即応した職業訓練や静岡新産業集積クラスターに参画する企業等の中核を担う技術者の人材育成に取り組んでまいります。
 次に、耕作放棄地対策についてであります。
 本県は、これまで約二千六百ヘクタールの耕作放棄地を解消してまいりました。しかし新たな発生により県内の耕作放棄地はいまだ一万二千九百ヘクタール存在し、これまでの再生利用の促進に加えて耕作放棄地の発生防止や農業利用が困難な耕作放棄地の対策が重要となっております。
 このため、茶園の耕作放棄地化を防止するため担い手が農地中間管理機構から借り受けた茶園につきまして畝の方向を統一するなど機械化に適した茶園への改良を支援してまいります。また農業利用が困難な耕作放棄地のうち、周辺の営農や景観等に支障を及ぼす土地につきましては景観の保全や林地化等を進めることで耕作放棄地の解消を図る事業に新しく取り組んでまいります。
 次に、ニホンジカ対策についてであります。
 県内に生息しているニホンジカは適正生息数の五倍を超える四万頭以上と推計されており、森林の下層植生の衰退や農林業被害が年間一億四千万円に及ぶなど県内全域で自然植生や農林業等に深刻な影響を与えております。これに対応するため平成二十八年度は総捕獲頭数を伊豆地域では七千七百頭から九千六百頭に、富士地域では四千六百頭から五千四百頭に拡大して個体数の削減を進めてまいります。特に被害の深刻な伊豆地域におきましては大型囲いわなによる鹿の一斉捕獲を実施するほか、里山において捕獲従事者の育成を兼ねた捕獲を試行するなど体制の強化を目指してまいります。
 重点取り組みの第四は、エネルギーの地産地消であります。
 ふじのくに新エネルギー等導入倍増プランにつきまして、計画の中間年となる今年度、目標の達成状況などを踏まえ見直しを進めております。地域におけるエネルギー需給を一体的に捉えエネルギーの地産地消を進めるため新しく策定する静岡県エネルギー地産地消推進計画とあわせ、三月末までに成案を得てまいります。
 太陽光発電につきましては、住宅用太陽光発電の普及率の向上を目指し引き続き導入を促進するとともに、小水力、バイオマス、温泉熱など本県の特性を生かした地産エネルギーの創出を支援してまいります。あわせてエネルギーの地産地消の推進による新しいエネルギー産業の振興を図るため、エネルギー産業戦略会議を設置し産業振興につなげる戦略を立案してまいります。さらに水素社会の到来を見据え民間事業者による水素ステーションの整備に対する支援を行い水素エネルギーの利活用を進めるなど、地域経済の活性化を図りながら分散型エネルギーの導入と省エネルギー社会の形成を同時かつ強力に進めてまいります。
 重点取り組みの第五は、人口減少社会への挑戦であります。
 初めに、地方創生についてであります。
 昨年十月二十六日に策定した美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョン及び総合戦略は、県議会を初め県内の産官学金労言等の各界各層の皆様に御参画いただき、県民の英知を結集して策定した本県の地方創生実現への道筋を示す羅針盤であります。この総合戦略が目指す若い世代の子供を二人以上持ちたいとする希望、本県で働き住みたいとする希望等の実現に向け、さまざまな対策をとりまとめ二月補正予算案及び来年度当初予算案に盛り込んだところであります。
 美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生県民会議を初め、五つの圏域ごとの地域会議など幅広い県民の皆様との連携協働により美しく、強く、しなやかな静岡型地方創生の取り組みをオール静岡で強力に推進してまいります。
 次に、賀茂地域における広域連携の推進についてであります。
 賀茂地域における広域連携のあり方につきましては、今年度一市五町の首長で構成する賀茂地域広域連携会議等において議論を積み重ねてまいりました。その結果来年度から消費生活センターを共同で設置するとともに、市町村税の滞納事案を共同で処理いたします。またこの地域で取り組みがおくれている地籍調査の共同実施に向けて全体事業計画の策定を支援してまいります。これらの取り組みの効果を検証しつつ、行政経営研究会で検討を進めている教育委員会の共同設置、監査事務の共同化などについて来年度以降具体化してまいります。
 次に、移住・定住の促進についてであります。
 本県への新しい人の流れをつくり人口減少に歯どめをかけるためには、本県で実現できる暮らしの魅力を高め積極的にその魅力を発信して本県への移住・定住を着実に進めていく必要があります。このため来年度は我が国有数の観光地で首都圏住民にとってなじみが深い伊豆半島地域をモデルとして、国が推進する生涯活躍のまち構想――日本版CCRC構想に基づき地域活性化の可能性や戦略を地域の市町等と一体となって検討し、全県への普及モデルを構築してまいります。
 また、都内の“ふじのくにに住みかえる”静岡県移住相談センターに広報担当を新たに設け情報発信を強化するほか、新潟県、長野県、山梨県との合同相談会を開催するなど首都圏プロモーションを拡充いたします。さらに県内各地で広域的な移住体験ツアーを実施してまいります。引き続き市町や団体、企業等と連携いたしまして本県への移住・定住の促進を図ってまいります。
 次に、空き家対策についてであります。
 少子高齢化や本格的な人口減少社会を迎える中で、空き家が全国的に増加しております。本県におきましても平成二十五年の住宅・土地統計調査によれば別荘や賃貸、売却用を除く一般の空き家が約八万戸存在しており、発生の抑制と適正な管理が課題となっております。特に適正に管理されていない老朽化した空き家は防災、防犯、景観の観点から周辺地域へ悪影響を及ぼすことが懸念されます。
 空き家対策は、実施主体である市町や民間の関係団体などと連携した取り組みが必要であります。このため来年度空き家所有者などのニーズに対応するため不動産、税務、法律などの各分野の専門家によるワンストップの広域相談会を県内各地で開催し、官民一体となって空き家対策に取り組んでまいります。
 次に、少子化対策についてであります。
 保育所等の待機児童ゼロの早期実現に向けて、ふじさんっこ応援プランに基づき保育所や認定こども園を整備する市町を支援してまいります。来年度は昨年四月一日時点の保育所等利用待機児童数である七百八十人を上回る二千百四十八人の定員増加を図ってまいります。また保護者の就労形態の多様化等により利用者のニーズが高まっている放課後児童クラブにつきましては新しく五十三カ所の整備を進めてまいります。
 若い世代がよき相手にめぐり会い、結婚、妊娠、出産、子育てを仕事と両立しながら実現できる夢のあるライフデザインを描けるよう、企業等と連携した結婚支援等の取り組みや妊娠や出産に関する正しい知識の普及を行う出前講座を全県で展開いたします。また妊娠期から子育て期までのさまざまなニーズに対応する妊娠・出産包括支援員を養成するほか子育て世代包括支援センターの設置を促進するなど、安心して子供を産み育てられる環境整備に取り組んでまいります。
 次に、全ての子供が自立できる社会の実現に向けた取り組みについてであります。
 子供の貧困対策として、本年度中に静岡県子どもの貧困対策計画を策定いたします。子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることのない社会、また貧困が世代を超えて連鎖することのない社会の実現を目指してまいります。
 来年度は、生活困窮世帯の子供への生活指導や学習指導を集中して行う合宿の開催や学習支援の場の拡充など子供たちを支えるきめ細かな事業を実施してまいります。また児童養護施設や里親のもとから就職や大学等へ進学する子供に対する自立支援資金を貸し付ける制度の創設や施設退所後に離職した者の再自立を支援するなど全ての子供がみずから希望する将来を実現することができるように取り組んでまいります。
 重点取り組みの第六は、多彩な人材を生む学びの場づくりであります。
 初めに、総合教育会議についてであります。
 今月五日に開催した総合教育会議におきまして、本県教育の基本目標や施策の方針を示すふじのくに「有徳の人」づくり大綱をとりまとめました。大綱では基本目標を有徳の人の育成と定め、そのための基本姿勢として文武芸三道鼎立の実現、生涯にわたって自己を高める学びの場を提供し多様な人材を育む教育環境の実現、地域ぐるみ、社会総がかりの教育の実現の三点を掲げております。また重点的な取り組みとして今年度の総合教育会議の協議事項である教職員及び高校生の国際化の推進、新しい実学の奨励、地域人材の活用などを位置づけ、これらにつきましては着実に具体化を進めてまいります。
 今後も引き続き、総合教育会議におきまして教育長及び教育委員の皆様と積極的に意思疎通を図るとともに、地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会からも御意見をいただきながら本県の未来を担う有徳の人づくりに社会総がかりで取り組んでまいります。
 次に、グローバル人材の育成についてであります。
 国際感覚豊かな生徒を育成するためには、海外渡航を促進し社会総がかりでグローバル教育を充実させていくことが重要であります。このため県民の皆様や民間企業、関係団体などから広く御協力を賜りグローバル人材の育成を進めるための基金を創設することとし、今議会に関係予算案と条例をお諮りしているところであります。この基金を活用して高校生の海外留学や海外インターンシップ、教職員の海外研修等を支援することにより高校教育における国際化を一層推進してまいります。
 次に、静岡式三十五人学級編制についてであります。
 小学校及び中学校の全学年で実施している静岡式三十五人学級編制を、引き続き県独自の予算で教員を配置することで継続いたします。あわせて学び方支援非常勤講師や学び方支援サポーターの設置、小規模学校への非常勤講師の配置など教員が子供と向き合う時間を確保することによりきめ細かな指導を充実してまいります。
 次に、チーム学校についてであります。
 学校に求められる役割の多様化や教科指導の充実、複雑化する生徒指導への対応など小中学校が抱える課題は多様化しております。このため小中学校に専門性を持った外部人材を配置し、教職員と専門性を持つ職員が一つのチームとして最も効果的な方法で早期解決を図っていく体制を整えてまいります。あわせて有識者による検討委員会を開催し外部人材の効果的な活用の検証や検討を行い学校の組織力や教育力のさらなる向上を図ってまいります。
 重点取り組みの第七は、健康寿命日本一の延伸であります。
 初めに、医療人材の育成確保対策の推進についてであります。
 医療の高度化や機能分化など、医療需要の変化や増大に適切に対応していくためには医師や看護職員などの人材の育成確保が急務であります。
 医師確保につきましては、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジの運営によりこれまでに百二十一人の医学修学研修資金利用者が県内病院に従事しております。引き続き平成二十九年度から始まる新専門医制度に対応した研修プログラムなどを充実しバーチャルメディカルカレッジの魅力を高めてまいります。また浜松医科大学と一層の連携を図り寄附講座の設置などにより地域の課題に応える医師の養成に努め、医師の確保と県内への定着を図ってまいります。
 看護職員の確保につきましては、質の高い教育を確保するため養成施設に対する支援を行うほか、勤務環境改善に向けた取り組み支援による離職防止、県ナースセンターによる潜在看護職員の再就業支援など幅広くきめ細かな取り組みを進めてまいります。
 誰もが住みなれた地域で安心して生活できるように、各地域が必要とする医療を提供できる体制を整備してまいります。
 次に、健康寿命日本一の推進についてであります。
 平成二十四年に国が公表した本県の健康寿命は、男性が全国第二位、女性が全国第一位であり男女計で全国第一位でありましたが、昨年十二月に公表した新しい健康寿命では男性が全国第三位、女性が全国第二位となり男女計で全国第二位という結果となりました。
 今後は、本県の健康寿命を延ばす上で大きな課題となっております脳血管疾患を予防するための減塩対策や特定健診結果の図示化等により地域の健康状況を把握して保健指導を充実させてまいります。また運動、食生活、社会参加の健康長寿の三要素を県民に広く普及することにより望ましい生活習慣の定着を進め、健康寿命日本一を目指してまいります。
 また、健康寿命のさらなる延伸と世界一の健康長寿県を実現し不動のものとするため、科学的な知見に基づき健康づくりの取り組みを体系化し、効果的に実践する仕組みや県民の健康と福祉の向上に資する研究や人材の育成など社会健康医学を推進する基本構想の策定に取り組んでまいります。
 次に、環境衛生科学研究所の移転整備についてであります。
 環境衛生科学研究所は、本県の環境と県民の健康を守るための科学的、技術的中核機関としての役割を担っております。昭和五十七年四月に設置した現在の施設は老朽化が進む一方、PM二・五などの大気汚染や新しい感染症の発見など今日的な課題に迅速かつ的確な対応を図るため研究体制の強化が求められております。このため施設の改築を検討してまいりましたが敷地の制約上、現有地での建てかえが困難なことから複数の候補地を検討した結果、藤枝市内に用地を確保した上で移転整備することとし、来年度予算案に設計費などを計上いたしました。
 重点取り組みの第八は、富士山を生かした地域の魅力づくりであります。
 初めに、世界遺産富士山についてであります。
 ユネスコ世界遺産委員会から平成二十八年二月一日までに提出を求められていた保全状況報告書につきましては、一月二十七日に国からユネスコに提出され本年七月にトルコのイスタンブールで開催される第四十回世界遺産委員会において審査される予定であります。引き続き関係機関との連携を密にして、保全状況報告書に基づき世界遺産富士山の保存管理を適切に進め、日本の国土の統合のシンボルであり人類共通の宝物となりました富士山を末永く後世に継承してまいります。
 富士山世界遺産センター――仮称――につきましては、国内外の関係機関と連携を図りながら富士山の文化や歴史などの調査研究を進め、その成果を展示機能の充実に生かしてまいります。また山梨県と連携して富士山に関する絵はがきのデジタルアーカイブを整備するなどセンターが担う「守る」、「伝える」、「交わる」、「究める」機能の充実に努めてまいります。
 三保松原の景観改善につきましては、世界遺産の構成資産にふさわしい景観を創出するため、三保松原白砂青松保全技術会議におきまして消波堤にかわる施設として決定したL型突堤の工事契約議案について今議会にお諮りしております。平成三十年度末の完成を目指して速やかに詳細設計に取りかかり、来年度後半には工事に着手し景観の改善を着実に進めてまいります。
 自然環境保全対策につきましては、引き続き富士山クリーンアップ登山大作戦や六カ国語によるマナーガイドブックの配布を通して来訪者の意識啓発に努めてまいります。また富士山本来の植生を保全するため外来植物の侵入を防ぐためのマット等を設置するほか、五合目以上の登山道周辺において山梨県と連携して植生調査を実施してまいります。
 次に、ふじのくに地球環境史ミュージアムについてであります。
 旧静岡南高等学校の校舎を活用し準備を進めてまいりましたふじのくに地球環境史ミュージアムが、いよいよ三月二十六日に開館いたします。自然に関する資料の展示や調査研究成果の発信などを通じて人と自然の共生を目指し、過去から現在を見通し未来のあり方に示唆を与える全国初の地球環境史の博物館として多くの県民の皆様に御来館いただけるよう、魅力ある施設づくりに努めてまいります。
 次に、県立美術館開館三十周年についてであります。
 昭和六十一年四月に開館した県立美術館が、来年度に開館三十周年を迎えますことから所蔵する風景画の名品を一堂に展示する東西の絶景展や江戸期の日本の美と英知をテーマとした徳川の平和展、講演会などの記念事業を実施いたします。多くの来場者にごらんいただき県立美術館の魅力を国内外へ情報発信してまいります。
 次に、安全・安心な生活の確保と交通安全の推進についてであります。
 県民が安全で安心できる暮らしを実現するため、地域の犯罪情勢に即した効果的な犯罪抑止対策を推進いたします。また犯罪発生状況の迅速な情報発信や関係機関等との連携により県民の犯罪予防意識を向上させるなど犯罪の起きにくい社会づくりを進めてまいります。
 このため、警察官を増員するとともに警察署再編整備計画に基づき仮称浜松西警察署の整備を進めてまいります。さらに安全な交通社会の実現を目指して信号機や標識等の交通安全施設の整備や高齢者事故を減少させるための効果的な交通安全教育、交通事故実態に即した厳正な交通指導取り締まりなど総合的な交通事故防止対策を推進してまいります。
 次に、予算編成と組織定数改編の二つ目の基本方針である将来を見据えた戦略的な行政運営につきまして御説明いたします。
 初めに、時代のニーズに的確に対応する機動的かつ能率的な組織づくりについてであります。
 組織定数につきましては、県政の重要課題に迅速かつ的確に対応できるよう見直しを行いました。具体的には知事公室と地域外交局を知事直轄の組織とし、地域外交を初めとする重要課題に対してスピード感を持った機動的な対応が可能となる体制を整備いたします。あわせて県と市町が一体となった施策展開を一層促進するため企画広報部を政策企画部として再編いたします。また地域振興や観光などと連携しスポーツ施策を総合的に展開するため文化・観光部にスポーツ局を設置しスポーツ振興業務を教育委員会から移管するとともに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた準備体制を強化いたします。さらに本県の第一次産業について攻めの農業施策を推進するため農林業局を再編して農業局を設置するとともに、県産材の安定供給と需要拡大に一体的に取り組むため森林局を交通基盤部から経済産業部へ移管して森林・林業局を設置いたします。
 次に、行財政改革の推進についてであります。
 本年度は、外部有識者による静岡県行財政改革推進委員会で行財政改革に関する個別の課題の検討を行いました。特に昨年度のふじのくに士民協働事業レビューで明らかになった課題への対応として、安全・安心な学校給食を提供するための仕組みについて熱心に御議論をいただきました。本日委員会から提出される意見書に基づき透明性、競争性、公平性及び公正性に関して県民の皆様の御不信を招かない学校給食の仕組みの構築に向けた改革が速やかに行われるように取り組んでまいります。
 また、本年度のふじのくに士民協働事業レビューにつきましては本県の喫緊の課題である人口減少対策をテーマに実施し、多くの若者を含む県民の評価者の皆様からいただいた御意見の約七割について事業の見直しに反映いたしました。さらに県及び県内三十五市町で構成する行政経営研究会におきまして行政評価における指標の共有化や賀茂地域における消費生活センターの共同設置など連携の具体化に取り組んでおります。
 今後とも、県と市町とで共通する具体的な行政課題の解決に努めてまいります。
 次に、特別会計及び企業会計についてでありますが、特別会計は公債管理特別会計予算外十一会計で総額四千五百二億九千五百万円、前年度当初予算比一〇・六%減、また企業会計は工業用水道事業会計予算外三会計で総額五百六十三億五千九百万円、前年度当初予算比〇・〇一%の増であります。
 次に、予算議案を除く平成二十八年度関係のその他の議案のうち主な案件について概要を御説明申し上げます。
 第十八号議案は、本庁に置く部の再編に伴う条例の改正であります。
 第二十号議案は、スポーツ施策を総合的に展開するため、学校における体育に関することを除き知事がスポーツに関する事務を管理及び執行するための条例の改正であります。
 第二十一号議案は、西遠流域下水道の浜松市への移管に伴う条例の改正であります。
 第二十三号議案から第二十六号議案までは、職員及び教職員並びに警察職員の定数改正を行うための条例の改正であります。
 第二十七号議案は、地方公務員法の一部改正に伴い適正に職員の退職管理を行うための条例の制定であります。
 第四十二号議案及び第四十三号議案は、静岡県監査委員及び静岡県収用委員会委員の任期が満了するため、新たな委員等の選任及び任命についてお諮りするものであります。
 次に、平成二十七年度関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 一般会計の二月補正予算額は二百五十一億七千五百万円の減額であり、この結果平成二十七年度の最終予算額は一兆二千百五十億五千百万円となります。国が創設した地方創生加速化交付金や環太平洋連携協定――TPP――対策に伴う公共事業など国の補正予算に伴う百五十四億八千万円の増額補正及び給与改定に伴う増額補正を行うとともに、災害復旧費等の減額をあわせて行うものであります。
 特別会計及び企業会計の補正は、事業費、財源の確定等に伴うものであります。
 二十七年度関係の予算以外の議案につきまして、主な案件について概要を御説明申し上げます。
 第六十二号議案から第六十六号議案までは、職員等の給与改定を行うための条例の改正であります。
 第七十一号議案から第七十三号議案は、建設事業、土地改良事業及び流域下水道事業に対する市町の負担額の変更についてお諮りするものであります。
 第七十四号議案から第八十六号議案までは、土木工事等の契約及び変更契約についてお諮りするものであります。
 第八十七号議案は、島田市お茶の郷を取得することについてお諮りするものであります。
 以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
○議長(吉川雄二君) 以上で説明は終わりました。

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