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本会議会議録

議会補足文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用




令和3年6月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 06/30/2021
会派名:


○議長(宮沢正美君) 議事日程により、知事提出議案第八十三号から第九十五号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) おはようございます。初めに再任の御挨拶を申し上げます。
 このたび、多くの皆様の御支持を賜りまして再び静岡県知事に任ぜられました。誠に光栄なことであり皆様に深く感謝しております。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景に国難とも言うべき未曽有の危機の中、引き続き県政を担う重責に身の引き締まる思いであります。全ての県民の皆様の幸せのため、誰一人取り残さない静岡県を築き上げていくために私自ら先頭に立ちまして全力を尽くしてまいります。
 私は、三期十二年間で三千回以上現場に赴き、そこから学ぶ現場主義を基本姿勢として県民の皆様の声を政策の源としてまいりました。選挙期間中は県内各地の現場を広く、また集中的に訪れ多くの県民の皆様から様々な御意見を直接お伺いいたしました。感染症対策や経済・雇用対策の充実を求める声やリニア中央新幹線計画に関連して命の水の確保やかけがえのない自然環境、生態系を守り抜いてほしいという御意見、地震・津波対策等の一層の推進、医療・福祉政策の充実、女性、高齢者、障害のある方、外国人など誰もが活躍できる社会の実現など多くの御意見を頂きました。
 私は、こうした声の一つ一つに真摯に耳を傾ける中で「生まれてよし 老いてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、「住んでよし 訪れてよし」の富国有徳の理想郷ふじのくにづくりを着実に進めていくことが県民の皆様の負託に応える道であると改めて思いを定めております。
 今後も初心を忘れることなく現場主義を徹底し、広く会議を興し万機公論に決するという姿勢の下で県政運営に取り組んでまいりますので県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、今後の県政運営についてであります。
 新型コロナ危機は東京一極集中の是正を不可避なものといたしました。大都市の過密構造そのものが感染リスクを高めており、東京一極集中を是正し分散型の国土形成を進めていくことが必要であります。この歴史的な転換点は地方活躍時代への大きな変革のチャンスでもあります。東京時代から静岡時代へ、本県はそのポテンシャルを最大限に生かしポストコロナの新しい時代を先陣を切って切り開いてまいります。
 まず、最優先すべきは命を守る安全な地域づくりであります。
 新型コロナウイルスの克服に向けては、官民の強固な連携の下に対策の入り口とも言える検査体制の強化、医療体制の確保に引き続いて注力をするとともに、出口戦略としてのワクチン接種の完遂に全力を傾けてまいります。
 また、新型コロナ危機の課題と教訓を踏まえ検査・医療体制の充実など実効性のある感染症対策の確立を図るとともに、ワクチン・治療薬の国内開発の促進や国と連携した感染症専門病院の設置等についても検討を進めてまいります。
 地震・津波、風水害対策等につきましては、南海トラフ地震による想定犠牲者ゼロを目指すほか近年激甚化する豪雨災害への対策強化、老朽化する社会資本の長寿命化など危機管理体制のさらなる充実を図り揺るぎない防災先進県をつくり上げてまいります。
 次に、地球環境の世紀における自然環境の保全と経済活動の両立についてであります。
 リニア問題につきましては、コロナ禍による社会、生活の激変により従来の国土づくりの発想も見直されています。需要予測や危機管理などへの疑問が生じ建設費用が増加する中、リニアの進め方についても一度立ち止まって見直すべき時であると考えます。
 こうした視点に立ちつつ、JR東海と科学的根拠に基づいた対話を尽くすことで県民の命の水と南アルプスの自然環境をしっかりと守り抜いてまいります。なおこの命の水と自然環境保全の問題は、富士川流域に堆積する泥の中に化学物質が含まれているとの報道や特に伊豆地域におけるメガソーラー建設計画と地域の自然環境や生活環境との関係などでも顕在化しておりますことから、地域の理解と協力を得ながら令和の時代に求められている環境と経済の両立を図ってまいります。
 また、脱炭素社会の実現につきましては、本年四月に開催された気候サミットにおきまして我が国は二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で四六%減らすと国際社会に宣言いたしました。この実現には徹底した省エネをはじめ電源構成の見直しや産業構造の転換など広範な領域で大きな変革が求められます。県においても本年二月に脱炭素社会の実現を目指す旨を表明いたしましたが、脱炭素は環境、エネルギー問題にとどまらず国際的な産業競争力に関わる問題であり、今後はより実効性のある取組を促進していく必要があります。
 このため、本県の地球温暖化対策推進本部を中心に国などと連携しつつ二〇五〇年の脱炭素社会の実現を長期目標とする新たな実行計画を本年度中に策定してまいります。こうした自然環境の保全と経済活動の両立や脱炭素社会の実現に向け真摯に取り組んでいくことで本県を持続可能な開発目標  SDGsのモデル県としてまいります。
 新しい静岡時代の創造につきましては、浜名湖を中心とする西部地域でレイクハマナ未来都市構想を立ち上げスタートアップ等の革新的技術を活用し新たな循環共生圏を創出してまいります。浜松市や湖西市等と連携をしてMaaSなどの新交通移動システムの構築や環境重視型の工業エリアの形成など自然と共生し資源を循環させる域内循環型の地域づくりに取り組んでまいります。
 また、観光業が地域経済を支える伊豆地域では豊富な温泉資源の持つポテンシャルに着目し産学官連携の下、新たなオープンイノベーションプロジェクトとして様々な温泉成分などが人々の健康増進に寄与するメカニズムを科学的に明らかにし、その観光資源としての付加価値を一層高めてまいります。様々な効能を持つ温泉資源のエビデンスを明確化することで急速に浸透するワーケーションなどの新たな観光需要を確実に取り込んでいく仕組みづくりを伊豆半島全体で構築してまいります。
 さらに、県庁や出先機関の建物の老朽化が進み今後各庁舎の在り方が検討の俎上に上がってまいります。コロナ禍で社会全体にDX  デジタルトランスフォーメーションの導入が進む中、県民サービスの在り方や職員の働き方についてもいや応なく変化に直面してまいります。このため県が担う役割や機能はもとより各県庁舎の在り方やネット・ゼロ・エネルギー・ビル化なども含め見直し作業に着手してまいります。
 人口減少問題への対応と誰もが活躍できる社会の実現につきましては、コロナ禍により人々の意識や生活様式が大きく変化しております。二〇二〇年移住希望地ランキングで本県が全国第一位となりました。昨年度の本県への移住者数は一千三百九十八人、移住相談件数も一万千六百四件でともに過去最高を記録し移住した世帯主は二十歳から四十歳代までの子育て世代が八割強を占めております。引き続き本県の魅力の発信に注力するとともに、多彩な産業集積による雇用の場の確保や本県出身者の多い三十二の県外大学との就職支援協定、若い世代のU・Iターンを促進する「三十歳になったら静岡県!」などの施策を積極的に展開し子育て世代の移住促進を図ってまいります。特に県外大学との就職支援協定に関しましては、若い女性の県外転出が多いことやものづくり県である本県において理工系人材の確保が求められていることから、今後はさらにターゲットを女子大学並びに理工系大学に絞った効果的なU・Iターンの支援策に取り組んでまいります。
 また、ふじのくに少子化突破戦略の新・羅針盤に基づき地域特性に応じた少子化対策を市町と連携してきめ細かく展開していくほか、仕事と子育ての両立支援や保育所の整備支援など安心して子育てができる地域づくりを進めてまいります。加えて障害、性別、国籍などの多様性を認め合い誰もが活躍できる社会、誰一人取り残さない社会を実現してまいります。
 人材の育成につきましては、子供たちの教育環境と実学のレベルの一層の向上を図ってまいります。県立高校の普通科改革や農商工、スポーツ、芸術分野などの実学の奨励、ICTを活用した教育の推進のほか特別支援教育の充実、県立夜間中学  ナイトスクールプログラムの整備などを進めてまいります。
 医療福祉につきましては、新型コロナ対策に万全を期するとともに、着実に成果が現れつつあるふじのくにバーチャルメディカルカレッジ運営事業を中心に医師の確保と地域偏在の解消を図ってまいります。またこの四月に開学した静岡社会健康医学大学院大学における研究成果の地域への還元と高度医療人材等の育成などにより県民の皆様の健康寿命の延伸につなげてまいります。
 県内経済の再生につきましては、新型コロナ危機の教訓を踏まえ地域主導型の経済政策  フジノミクスを推進してまいります。山梨県、長野県、新潟県と連携した新しい広域経済圏を形成することでバイ・ふじのくに、バイ・山の洲くにの施策を積極的に展開しGDPの五割以上を占める個人消費を喚起してまいります。また経済のDXを官民を挙げて推進し中小企業、小規模事業者の生産性向上に向けた支援を強化するとともに、医薬品・医療機器産業や次世代自動車産業など経済成長を牽引するリーディング産業の育成を推進してまいります。さらに第一次産業の生産現場へのAIあるいはICTなどの先端技術の導入を促進することで生産性の革新を図り農林水産業のルネサンスを実現してまいります。
 スポーツの聖地づくりにつきましては、ラグビーワールドカップ二〇一九に続き東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの本県開催を成功させスポーツ王国、スポーツ立県としての地位を確立してまいります。県内全域をサイクリストの憧れを呼ぶサイクルスポーツの聖地として環境づくりを進め、あわせてスポーツツーリズムの充実などを図ってまいります。以上の今後の県政運営の主な柱立てを基本に年度内に新しい総合計画を策定してまいります。
 ふじのくにづくりの指針であり県民の県民による県民のためのマニフェストである静岡県の新ビジョンは二〇一八年度から二〇二七年度までの十年間を計画期間としており、今年度が最初の四年間の基本計画の最終年度となります。これまでの取組を総括的に評価した上で残りの期間六年間を私の四期目の四年間に前倒しをして完遂するべく新たな基本計画を策定し、ふじのくにづくりの総仕上げへの道筋を明確なものとしてまいります。
 続きまして、今回提出いたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について所信並びに諸般の報告を申し述べます。
 初めに、命を守る危機管理についてであります。
 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、東京都、愛知県など十都道府県に発令されていた緊急事態宣言は沖縄県を除いてまん延防止等重点措置等に移行されました。本県におきましても県民の皆様の御協力により感染者数が減少し、県西部地域を中心に続いていた厳しい病床の迫が緩和されましたことから県の警戒レベルを五の特別警戒から四の県内警戒、県外警戒に引き下げたところであります。しかしデルタ株など新たな変異株の流行が懸念されていることに加え、今後夏休みなどにより人流が拡大する機会が増加することで再び感染が拡大局面を迎えるおそれがあるなど依然として予断を許さない状況であります。
 県民の皆様には、手指消毒やマスクの着用、三密はもちろん一密であっても避けていただくなど新しい生活様式の励行のほか職場の休憩室や寮などの共同生活、学生同士の会食など最近の感染拡大の事例を踏まえた感染防止対策の徹底をお願いしているところであります。今後も県内外の感染状況や医療提供体制等を常時把握、分析し県民の皆様に分かりやすい情報提供、注意喚起を行うことで感染拡大の抑止に努めてまいります。
 ワクチン接種につきましては、医療従事者への接種がほぼ完了し市町において高齢者への接種が本格化しております。県では高齢者への接種に対する支援を強化するため県内四か所、具体的には伊豆の国市の順天堂大学医学部附属静岡病院、富士市のふじさんめっせ、吉田町の吉田町総合体育館、掛川市の掛川B&G海洋センターに県が運営する広域接種会場を開設いたしました。四会場で七月末までに合計五万五千八百回の接種を実施してまいります。
 各市町の精力的な取組と医療従事者の皆様の多大なる御協力の結果、県下の三十五市町全てにおいて七月末までに六十五歳以上の希望する高齢者へのワクチン接種が完了する見込みとなりました。今後は六十五歳未満の県民への接種に向けた準備が本格化してまいります。これまでのワクチン接種における課題を踏まえ、その改善を図りながら私が先頭に立ちまして市町や関係機関、職域接種を行う企業などと共に円滑なワクチン接種を進めてまいります。
 病床の確保につきましては、県内の医療機関に御協力を頂き四月末に策定した新たな病床確保計画を上回る五百八十二床を受入れ可能な病床として確保いたしました。しかし五月の大型連休後に感染が再拡大して以降病床の占有率が注意すべき水準で推移してきたことから、宿泊療養施設や後方支援病院の確保を進め入院治療が必要な患者への医療提供体制の充実を図ってまいります。
 軽症者等の宿泊療養施設につきましては、富士市で新たに一施設を確保し今月二十一日から運用を開始いたしました。これにより県全体で五施設、六百三十室程度の体制が整備されました。後方支援病院につきましては各医療機関、福祉施設の御協力により九十七施設、三百五十六床を確保しておりまして感染症患者を受け入れている病院からの転院を円滑に行うことで病床迫の緩和に努めてまいります。
 地震・津波対策につきましては、令和四年度が計画の最終年度となる地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の総仕上げに取り組みます。そして最終的には南海トラフ地震による想定犠牲者ゼロを目指してまいります。
 昨年三月には総延長十七・五キロメートルに及ぶ浜松市沿岸域の防潮堤の本体工事が完成し、本年五月からは浜松市を流れる馬込川の水門建設工事に着手いたしました。この整備により宅地の浸水面積を約八割減らすとともに、木造家屋が倒壊する目安となる浸水の深さ二メートル以上の範囲が九八%低減することとなります。引き続き防潮堤の整備、防災訓練の実施などハード・ソフトの両面から着実に対策を進め命を守る危機管理に全力で取り組んでまいります。
 総合防災訓練につきましては、「高めよう防災力、命と地域を守る行動力!〜みんなで取り組もう自助・共助・公助〜」をテーマに九月五日に御前崎市、菊川市をメイン会場に実施いたします。昨年度の訓練は新型コロナウイルスの感染拡大により延期となりましたが、今年度は感染症対策を徹底した上で二年ぶりの開催となります。大規模地震により甚大な被害が発生した事態を想定し、御前崎港での船舶を使用した救出救助訓練や富士山静岡空港での航空機の受入れ訓練のほか感染症対策に配慮した避難所の開設・運営訓練などを通して防災力のさらなる強化を図ってまいります。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについてであります。
 先週二十三日から二十五日に県民の皆様並びに関係者の皆様の安全・安心を最優先に万全の感染防止対策を講じながらオリンピック聖火リレーが県内で行われました。湖西市から富士宮市までの二十二市町二十五区間で希望の光をつなぎました。大会開催の一年延期という近代オリンピック始まって以来の事態の中、オリンピック開幕まで二十三日、パラリンピック開幕まで五十五日となりました。本県ゆかりの選手も富士スピードウェイや伊豆ベロドローム等で開催される自転車競技をはじめ陸上競技、卓球、水泳など各種競技に出場が決まっており、その活躍が大いに期待されるところであります。
 この難局を乗り越え全ての方々の心に残る大会となりますよう、国や大会組織委員会をはじめ関係者一丸となって成功に向けた準備の総仕上げに万全を期してまいります。さらに大会後はレガシーの継承を図りサイクルスポーツの聖地づくりを市町、関係団体等と一体となって進めてまいります。
 太平洋岸自転車道につきましては、去る五月三十一日、国の自転車活用推進本部において日本を代表し世界に誇るナショナルサイクルルートとして指定されました。千葉県銚子市から神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県和歌山市に至る全長一千四百八十七キロメートルのサイクルルートのうち静岡県内のルートは富士山、駿河湾、浜名湖などの本県が誇る多彩な景観を楽しみながらサイクリングの醍醐味を堪能できる四百六十八キロメートルのコースとなっております。このルートは本県のサイクルスポーツの聖地づくりの核となるものであり、今後国内外のサイクリストに安全・安心で快適なサイクリングを楽しんでいただけるよう関係機関と連携してサイクリング環境のさらなる充実を図ってまいります。
 次に、リニア中央新幹線の建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。
 私は、今回の選挙戦で県内をくまなく回り、大井川の命の水やエコパークである南アルプスの自然を守ってほしいという切実な声を大井川流域市町はもちろん流域以外の市町でも数多く伺いました。私は何としてもこのような県民の皆様の声に応えなければならないとの思いを新たにしたところであります。
 国土交通省がJR東海に対し指導すべく設置したリニア中央新幹線静岡工区有識者会議につきましては、昨年四月からこれまでに計十一回開催されました。まず開催方法につきましては、国土交通省との有識者会議設置の合意事項の第一である全面公開で実施されることが一度もありませんでした。このことは流域住民をはじめ県民の皆様の命の水を守るため科学的、工学的に議論している内容を正確に知りたいという切実な思いを裏切るものであり大変遺憾であります。
 次に、有識者会議における議論の内容につきましては、JR東海が約束されたトンネル湧水の全量戻しを守らないでトンネルを掘削することを前提としており到底納得できるものではありません。代替案として、トンネルを掘削した後にトンネルから湧出する水を二十年以上の年月をかけて大井川へ戻す方策が示されているのみであります。さらにトンネル掘削により懸念される水質悪化、生態系への影響、発生土処理の問題については納得できる議論は行われておりません。これは水資源や自然環境に影響を与えないでほしいという流域住民の皆様の切実な思いに応えていないものであります。県が何度も国土交通省に提出した意見書を踏まえ流域住民の皆様にとって分かりやすく理解の得られるような議論をしていただくことを切に期待しております。
 生物多様性につきましては、四月二十七日にJR東海に提出した中央新幹線建設工事静岡工区の自然環境の保全等に向けた取組に対する意見書への回答があり次第、県の生物多様性専門部会を開催したいと考えております。
 引き続き、リニア中央新幹線トンネル工事により大井川の貴重な水資源と世界が認める南アルプスの豊かな生態系や生物多様性が失われることがないよう県民の皆様の不安の払拭に全力で取り組んでまいります。
 次に、経済の再生と次世代産業の育成についてであります。
 昨年末から始まった感染拡大の第四波の影響で特に宿泊・観光業、飲食サービス業などは依然として大きな打撃を被っております。このため県では、五月補正予算で国の臨時交付金等を活用し約八十八億円を措置し感染防止対策に取り組む飲食店や宿泊施設を認証するふじのくに安全・安心認証制度を創設するとともに、この認証制度と連動した感染防止のための設備投資等への重点的な支援を行っています。また四月補正予算で約六十九億円を予算化した県内観光を促進する地域観光支援事業につきましても、県内の感染終息状況等により再開が可能となった場合には迅速に事業に着手できるよう万全の準備を整えてまいります。なおこれら二事業に観光庁からの新たな補助金の内示額を加えますとその額は約百九十九億円に上ります。この額は観光で生きる熱海市の当初予算規模に匹敵する莫大なものであります。さらに中小企業や小規模事業者などによるデジタル化や業態転換への取組に対する助成につきましても、昨年度から累計で七百九十六件、約十三億円の事業を採択し危機克服など新たな取組への支援を強化しております。
 経済成長を牽引するリーディング産業の育成につきましては、特に医薬品・医療機器産業と並んで本県経済を大きく支えている自動車産業が世界的に進んでいるEV  電気自動車化の影響を受け産業構造の転換を迫られております。このため今月九日に自動車メーカーや部品関連企業、大学、国などから成る次世代自動車の電動化・デジタル化等対応研究会を立ち上げました。第一回研究会では各委員から直面する課題や今後の対応策などについて御意見を頂きました。年内に四回の会議を開催して電動化、デジタル化に取り組む地域企業への具体的な支援策を取りまとめ本県自動車産業の新たなステージへの飛躍を後押ししてまいります。
 次に、世界遺産富士山の開山準備についてであります。
 昨年は新型コロナウイルス感染症の影響により来訪者の皆様の安全を確保することが難しいと判断し富士山の開山、五合目観光を断念いたしました。今年の夏の開山を実現するため昨年九月、地元市町、山小屋組合、交通事業者等で構成する検討会議を設置し、医療の専門家の御助言も得ながら本年三月にウイズコロナ時代の新しい富士登山マナーを取りまとめました。本年度はこの方針に基づき登山前と登山中の両面から対策を進めます。
 登山前の対策としましては、山小屋の事前予約の徹底や混雑予想カレンダーの活用などにより密を避ける対策を講じてまいります。登山中の対策としましては二合目の乗換え駐車場や五合目登山口での検温と健康チェック、登山道でのソーシャルディスタンスの確保、保全協力金のキャッシュレス化などに取り組んでまいります。
 今年の夏は、多くの皆様に安全・安心な富士登山を楽しんでいただけますよう地元市町や関係団体等とも十分に連携し開山準備に万全を期してまいります。
 次に、富士山静岡空港についてであります。
 今月四日、富士山静岡空港は開港十二周年を迎え開港以来の利用者は六百五十万人に達しました。しかし新型コロナウイルス感染症の影響により令和二年度の利用者は前年度比八四・一%減の約十一万七千人にとどまり厳しい状況が続いております。
 こうした中、フジドリームエアラインズが熊本線を七月十六日から毎日一往復で運航開始することを表明しました。今後は熊本線の利用促進に全力を挙げて取り組むとともに、九州三路線を組み合わせた旅行商品づくりやプロモーションの展開を強化するなど九州地域との交流人口の拡大を図ってまいります。
 次に、デジタル化の推進についてであります。
 社会全体のデジタル化の推進に向けた動きが急速に進む中、本県では情報化統括責任者である出野副知事の下、本年四月にデジタル戦略推進本部を立ち上げ外部の専門家で構成するデジタル戦略顧問団を設置し行政手続のオンライン化やスマートワークの推進など全庁を挙げて取組を進めております。先月から開始した職員へのモバイルパソコンの導入を機にペーパーレス化やモバイルワーク、オンラインミーティングなど新しい働き方を積極的に実践することで生産性や県民サービスの一層の向上に努めてまいります。
 今後は、年内を目途にふじのくにDX推進計画  仮称  の策定を進めてまいります。また県内市町におけるICTの共同利用を支援するモデル事業や、各部局が抱える課題を分野横断的に解決するための実証事業などをスピード感を持って実行し、行政はもとより社会全体のデジタル化を推進してまいります。
 次に、行財政改革の推進についてであります。
 人口減少やコロナ禍などにより社会経済情勢が大きく変化する中、限られた財源や人員を最大限に活用し生産性の高い行政経営に取り組んでおります。
 平成三十年三月に策定した静岡県行政経営革新プログラムは本年度が計画期間の最終年度となることから数値目標の達成状況や取組実績等について総括評価を行い、それらを踏まえて働き方改革や県庁のデジタル化の推進など今後の行政経営の具体的な方針や取組を盛り込んだ次期行政経営革新プログラムを策定してまいります。
 次に、決算の見通しについてであります。
 令和二年度の県税収入は法人二税の増収などにより最終予算額を約五十一億円上回る四千五百六十九億円程度と見込んでおります。また予算の効率的な執行による不用残などにより財政調整のための基金の取崩しを百億円中止し来年度以降の財源を確保いたしました。この結果令和二年度の一般会計決算につきましては実質収支三十七億円程度の黒字を確保できる見込みであります。
 次に、議案のうち主な案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第八十三号議案は、新たにがんセンター局に一般職の任期付職員を採用するための条例の制定であります。
 第八十五号議案は、手数料の改定をするための条例の改正であります。
 第八十八号議案は、県営住宅佐鳴湖団地の建て替え整備業務等の特定事業契約についてお諮りするものであります。
 第九十一号議案から第九十三号議案までは、任期満了に伴う人事委員会委員の選任並びに公安委員会委員及び収用委員会委員の任命につきましてそれぞれ同意を求めるものであります。
 報告第九号から報告第十七号までは、令和二年度の一般会計、特別会計及び企業会計の繰越額が確定いたしましたので報告するものであります。
 報告第十八号は、生活福祉資金の貸付原資造成経費及び生活困窮世帯に対する自立支援給付金支給経費に関わる令和三年度静岡県一般会計補正予算について専決処分いたしましたので報告するものであります。
 以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
○議長(宮沢正美君) 以上で説明は終わりました。

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