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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中田 次城 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/05/2010

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 伊豆半島の地域づくりについて                  
2 伊豆半島全域ウオーキング環境整備について            
3 地上デジタル放送への対応について                
 (1) 県内での短時間停波社会実験                  
 (2) 伊豆東海岸における区域外再送信                
4 伊豆地域における「命の道」の整備について            
5 スコリア採取事業について



    ○議長(浜井卓男君) これで落合愼悟君の質問は終わりました。
     次に、十八番 中田次城君。
           (十八番 中田次城君登壇 拍手)
    ○十八番(中田次城君) 私は、これより平成21所属議員といたしまして県政の諸課題について、とりわけ今回は伊豆半島の振興という観点から、川勝知事並びに関係部局長に質問をさせていただきます。
     まず初めに、伊豆半島の地域づくりについてお伺いをいたします。
     現在の静岡県総合計画では県内を五つの区域に区分していますが、伊豆半島地域はほかの地域に比べて昨今の経済的衰退が激しく、今後はさらに真剣な地域づくりを行わなければ他地域との格差は広がる一方であります。
     平成二十一年度の伊豆半島地域の人口は二十七万人で、ピークだった平成五年度の二十九万六千人からずっと減少傾向であります。六十五歳以上の老年人口の割合も三二・二%となっており、県平均の二三・二%に比べ著しく高齢化が進行しています。主産業の観光が低迷している影響もあり、一人当たりの県民所得も他の四地域に比べ約百万円ほど低い状況で、伊豆は静岡県の中でもひときわ貧しい地域となってしまいました。一方、県内市町で生活保護率の高いほうから四位まで伊豆東海岸の市町となっており、地元自治体の財政を圧迫するのと同時に何とも言えないやるせない気持ちになります。
     この状況に歯どめをかけるには、地元住民や団体、特に市町自体が真摯に行動しなければならないことは当然でありますが、この点、平成十八年度からは、伊豆半島全体の発展を目指し自主的に伊豆半島の首長が一堂に会する伊豆半島六市六町首長会議を開催しています。去る二月十二日には、私の地元伊東市において第九回のサミットを開催し、知事にも御参加いただいてジオパーク構想等伊豆半島の地域振興施策について意見交換したところであります。
     しかし、伊豆半島地域を再生させるには、市町の自助努力に加えて国や県からの支援も不可欠であります。これまで県は道路などの社会基盤整備はもとより伊豆新世紀創造祭、伊豆ナンバー導入への支援など伊豆半島の地域づくりに一定の尽力をされてきました。また川勝知事が就任されて間もなくではありますが、伊豆スカイラインの低料金化も実現していますし、現在は伊豆観光圏の取り組みにも御支援いただいているところであります。
     伊豆半島の振興のかぎは観光振興であることは言うまでもなく、政府も観光立国推進協議会を立ち上げるなどして観光産業育成に力を入れています。私は伊豆半島の各市町及び伊豆半島全体の再生を実現していくためには、まさにこの二、三年が勝負どころではないかと強く感じております。
     新年度からの組織改編により、これまでの観光局が格上げをされ新たに文化・観光部が新設されますが、まさに我が意を得たりであり、川勝知事の伊豆半島の地域づくりに対する熱い思いを強く感ずるものであります。また伊豆半島の経済基盤や住民の雇用と生活を下支えしているのは、何も観光関連業者ばかりではなく、中小の土木建設業を初め一般小売業者などもその役目を担っています。
     さきにも述べましたが、観光から一般個人商店まで、すべての業種を含めて年間所得が他地域よりも大幅に少ない伊豆半島住民の生活の実態は、伊豆に暮らす者の一人として、その向上を強く望むところであります。個人所得は各自の努力の結果と言ってしまえばそれまでですが、それでも伊豆地区全体の平均所得が他地区に少しでも近づけるための振興支援策は県の重要な役割であると思います。
     これらの現状を踏まえ、知事には今後どのような方針と考えを持って伊豆半島の地域づくりをされようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
     次に、伊豆半島全域ウオーキング環境整備についてお伺いをいたします。
     健康志向の高まりの中で、ウオーキングは手軽にできる健康づくりとして、また歴史・自然愛好家がさまざまなテーマで街歩きや自然の中を歩くなど幅広い年齢層で楽しまれています。県内各地でもさまざまなウオークイベントが開催されており、日常的にも自宅周辺を夫婦連れなどで歩いている人たちを多く見かけます。
     団体で物見遊山型の旅行から個人やグループによる体験型旅行へと旅行形態が変化している中、ウオーキングを活用した観光振興は非常に重要であり、中でも四季を通じて温暖な伊豆は一年じゅうウオーキングが楽しめるエリアと言えます。そして伊豆半島には美しい海岸線沿いの遊歩道から、天城山系の豊かな自然に囲まれた林間の遊歩道、さらには狩野川沿いの遊歩道など自然景観に恵まれたウオーキングの適地が多数存在していることは、私が申し上げるまでもありません。また宿泊施設だけでなく日帰り温泉施設もかなり充実していますので、伊豆の豊かな自然の中を歩いた後は温泉で汗を流し、地場のおいしいものを味わうことができます。まさに伊豆を肌で楽しんでもらえるわけです。
     現在でも、早春の伊豆を歩き花を楽しむツーデーマーチや伊豆急全線ウォークなど、官民による工夫を凝らしたさまざまなウオークイベントが開催され、これが観光誘客につながっていますが、例えば伊豆の海岸線をめぐる遊歩道を見てもまだまだ魅力に富んだコースも整備も可能だと思います。また伊豆半島のジオパーク構想を推進するのであれば、地質的にも貴重なジオサイトを歩くウオーキングコースの整備も不可欠だと思います。また最近では、伊豆半島の自然と風土の中に点在する伊豆八十八カ所霊場を歩いて参拝する伊豆八十八カ所めぐりも一部の愛好者の中では人気があると聞いており、今後さらにPRとソフトを充実することでリピーターの増加も十分に期待できます。
     私は、伊豆半島全域を丸ごとウオーキング天国とすることによって、低迷する伊豆の観光誘客の一つの起爆剤とすることができると考えます。県の観光部局は伊豆の観光を線でつなぐこと、面でとらえること、各地域の主体性を引き出しつつ、それらをコーディネートしていくことが今、求められています。
     そこで、今後伊豆半島全域ウオーキング環境整備を具体的な観光戦略に位置づけ、県の観光政策としてこれまで以上に力を入れて取り組んでいくお考えはないかお伺いいたします。
     次に、地上デジタル放送への対応について、二点お伺いいたします。
     地上デジタル放送への完全移行まで残すところ一年四カ月余りとなりました。国や放送事業者においては、これまで円滑な移行を図るためデジタル中継局の整備や相談窓口の設置、受信点調査等のさまざまな対策を講じられてきています。県も国策に協力する立場から、市町と連携して周知広報に取り組んでこられていることも十分承知しております。それらの成果もあって二〇〇九年九月時点におけるサンプル調査では、地デジ受信機世帯普及率は全国平均六九・五%に対し、静岡県は七二・八%と上回っています。しかし目標の一〇〇%に向けてさらなる周知徹底が求められています。
     特に高齢者世帯におきましては、今でも電波の知識に乏しく、地デジに関して理解も認知も全くされていない方もおられるかもしれません。単に地デジテレビへの買いかえやブースターの取りつけなどで解決できるならよいわけですが、室内配線がデジタル放送規格不適合の場合、電波減衰によって視聴不可となる住宅やマンションが続出し、配線設計の見直しやそのための工事に相当の日数と費用が必要となる場合もあると聞きます。二〇一一年の七月二十四日を迎えて、そのときになって慌てる視聴者もたくさん出てくることが予想できますし、そういうことが極力起きないようにしなくてはなりません。
     そこで私は、本年一月二十二日から二十四日にかけまして石川県珠洲市周辺地区で行われましたアナログ放送の短時間停波を、静岡県内でも試みてみたらどうかと考えます。あらかじめのリハーサル予告の後、四十八時間――丸二日間アナログ波を停波させることにより、珠洲市周辺地区の住民の意識は相当高まったと聞いております。もっとも珠洲市周辺地区の社会実験は総務省の募集によるもので、かつ総務省が地区選定したものですが、国の担当者に問い合わせましたところ、今後の社会実験については予算面やその地域の特性などを考慮した上で、場合によっては実施することもあり得るとのお話でありました。
     県民に対する周知をさらに高めていくために、県として国に対して社会実験の必要性を訴えて試みていくお考えはないでしょうか、お伺いをいたします。
     二点目は、伊豆東海岸における関東広域圏放送の継続視聴、いわゆる区域外再送信について、川勝知事の所見をお伺いいたします。
     伊豆東海岸は申し上げるまでもなく、神奈川県に隣接し東京を初めとする関東圏に近い位置にあり、相模湾に面して間近に望む伊豆七島には航路が開かれ、JR伊東線は県下で唯一JR東日本に属するなど静岡県においては特殊な地理条件下にあります。また伊豆東海岸と関東圏とは、人や生活、文化にかかわる長い交流往来の歴史があり、当地域の主産業である観光業の成立基盤を構成する顧客の大多数は関東圏からの来遊客で占められています。
    こうした地理、歴史、産業など各般にわたる事情に加えて、当地域住民は長年にわたり関東広域圏放送を視聴し続けてきた経緯があり、放送局、いわゆる東京キー局の番組制作面においても当地域を対象にした取材番組は少なくありません。この点で一例を申し上げれば地デジ切りかえ後にテレビ東京が視聴できなくなることになります。このように地域住民は長年なれ親しんだ関東広域圏放送をこれまでどおり視聴したいという願望が強く、また本地域を訪れる多くの観光客に対しても自居住地域に関するニュースや情報が旅先でも視聴できる環境を提供することは、おもてなしの心を大切にするサービス業の精神から言っても非常に重要なことであると考えます。
     二〇一一年七月の地デジ放送への切りかえという国の方針が示されて以降、伊豆東海岸の議会では熱海市と伊東市で同様の趣旨の意見書が採択されています。またこれまでに私も関係者の皆様とともに、総務省へ陳情させていただいた経過もあります。もっとも区域外再送信の同意の可否は、あくまで放送事業者とケーブルテレビ事業者との間の協議で決定するものですので、総務省も県も直接の権限を持っていないことは理解しております。
     この点、平成二十年六月議会の答弁でも、山村企画部長は「ケーブルテレビ事業者や放送事業者、国との間で協議が進むものと考えておりますが、県としましても状況を見ながら対応を考えてまいりたいと思う」と答弁されています。しかしながらこの協議も現在まで同意が認められているという状況ではないと仄聞しております。今後、仮にこの協議が不調に終わり放送事業者側の同意が得られない場合は、ケーブル事業者による同意を求めるための総務大臣への大臣裁定の申請の道も残されますが、できるならば協議の中で同意されることが望ましいと考えます。伊豆東海岸の住民が視聴してきた関東広域圏放送を、これまでどおり同じように見たいと思う当たり前の思いを、川勝知事にもぜひとも御理解いただきたいと思います。
     そこで、川勝知事には、この問題に対する知事としての所見をぜひともお伺いしたいと思います。
     次に、伊豆地域における命の道の整備についてお伺いをいたします。
     昨年の五月、伊東市宇佐見地区で幼稚園児が交通事故に遭い、救急隊により亀石峠を越えて伊豆の国市にある順天堂大学静岡病院へ搬送されましたが、残念ながら幼い命が亡くなってしまいました。このように、県内でも救急医療体制の過疎地域では同様の事例がたびたび起きており、本当に悲しい現実となっています。
     私の地元の伊豆地域では、入院治療が必要な重症患者を受け入れる第二次救急医療機関の数が少なく、さらに命にかかわる重症患者を受け入れる第三次救急医療機関に至っては、伊豆の国市の順天堂大学静岡病院の一つしかない状況であります。しかも、その順天堂大学静岡病院までの伊豆各地からの搬送時間は、下田等南伊豆地域から約一時間半、西伊豆地域から約一時間かかるなど伊豆はまさに医療過疎地域であると言えます。
     県では、伊豆地域においても住民の命綱として大きな役割を果たしているドクターヘリの夜間運航の導入について現在検討を行っておりますが、現状では昼夜を問わず全面的にドクターヘリに頼ることができない困難な状況な上に、将来にわたってヘリの飛べない天候状況なども考えられることから、患者を搬送するための道路の整備は何より重要であります。特に山が海岸まで迫る急峻な地形が多い伊豆地域においては救急搬送に時間がかかるだけでなく、各地から救急医療機関への搬送路となる道路は幅員が狭くカーブが連続し、さらに災害や大雨による通行どめの多発という課題を抱えています。
     国の公共事業予算が激減する中で道路予算を取り巻く状況は殊さらに厳しいものがありますが、救急医療を支える命の道として、伊豆縦貫自動車道や国道百三十六号拡幅の既存の計画や事業を着実に進めると同時に、県道伊東大仁線の亀石バイパスを初めとした新たな道路の建設も含め、救急医療機関への時間短縮と安全な搬送に効果の得られる道路整備を早急に進めるべきと考えます。
     県は、本年度独自で伊豆の各市町の消防機関や順天堂大学静岡病院などへヒアリング調査を行っていると承知していますが、それらを踏まえ新年度以降着実に命の道路整備に向けて取り組みを進めていくべきであると考えますがいかがでしょうか、お伺いをいたします。
     最後に、スコリア採取事業についてお伺いいたします。
     私はこれまで、過去二回の一般質問でもこの問題を取り上げてまいりました。今回川勝知事に対しまして初めてその所見をお伺いしたいと思います。
     まず、これまでの経過につきまして若干説明をさせていただきたいと思いますが、当該地は伊東市鎌田の通称馬場の平と呼ばれている山間地の丘陵地であります。この地域は伊東市民の心のふるさととしてなれ親しんだ場所であるばかりでなく、伊東市の生命線であります水道水源や温泉資源を涵養する重要な地域であると言われております。しかしながらこの土地を取得されました民間事業者が昭和四十六年ごろからスコリア採取を開始し、六十年までに四回に分けて約三十五万立米、十トンダンプにして約五万台分が採取されてまいりました。
     地質学の専門家の指摘では、スコリアは降った雨水を地下にゆっくり浸透させるスポンジのような役割を担っているため、それが採取されてなくなることによって、雨水が地表を流れ落ち地下に浸透しにくくなると言われております。その結果として地下の水道水源や温泉源が涵養されにくくなり、さまざまな影響が出てくることが心配されております。
     また、伊東市にはその長い歴史の中で、伊東国際観光温泉文化都市建設法という地域法が制定されており、当時の静岡県知事でありました斎藤寿夫知事が、この特別法の具現化をするべく総理府土地調整委員会に対し伊東市域に関する鉱区禁止地域指定請求書を提出しています。そのときの請求理由書には、鉱物の掘採は温泉水脈や上水道水源に大きな影響を及ぼすなどの懸念が記載をされており、その後、土地調整委員会は専門家の調査を経て昭和二十七年五月十七日伊東市域に鉱区禁止地域指定を行い、官報でこれを公示しています。今日私たち伊東市民が問題としているスコリア採取事業の区域はまさにこの指定区域の中に含まれているのであります。隣接する分譲地で生活している方々の生活用水や温泉観光地伊東の命とも言える温泉が枯渇するようなことがあってはなりません。
     このことを憂慮した伊東市民は、伊東商工会議所会頭を代表幹事とする市民団体の連絡協議会を発足させ、当時の数で約一万二千名の署名を添えて市や県に陳情を重ねてまいりました。しかしながらまことに残念ではありますが、石川前知事時代の平成十五年十二月十二日、過去十五年間で採取した量をはるかに上回る量のスコリア採取事業が許可されてしまったのであります。
     昨年の夏、私は、地質学の専門家といわれております静岡大学名誉教授の土隆一先生にお会いしてまいりました。土先生も「この場所でのスコリアの影響は十分考慮されなくてはいけない」と話されており、「県から調査や見解を求められればいつでも協力したい」と話されておりました。
     そこで、私はこの問題に対する川勝知事の認識をまずはお伺いしたいと思います。また隣接する民間分譲地の井戸水の水位観測データについてあわせてお伺いいたします。
     水位観測は平成十八年より毎月観測し県に報告させていただいておりますが、二十年十月以降のデータが以前と比較して少し変化が見受けられます。以前は通年で見ると、でっこみ引っこみはありますが、必ずしも右肩下がりではありませんでした。しかし二十年十月以降は緩やかではありますが、まさに右肩下がりの傾向となっており、二十二年に入ってからもその傾向が続いています。二十年十月から二十二年二月までのこの約一年五カ月間の間で、実に八メートル五十五センチもの水位が下がっております。分譲地住民は非常に心配をされています。県は許認可を与えるに際して地下水の定期観測と報告を義務づけています。
     そこでお伺いしますが、前述しました地下水の変化に対し現在どのような見解を持ち、今後どのような判断基準をもって対応していくお考えなのかをお伺いいたしまして、ひとまず私の壇上からの質問を終わりにいたします。(拍手)
    ○議長(浜井卓男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 中田議員にお答えいたします。
     中田議員の伊豆半島に寄せる熱い思いに感じるところが多くございました。
     まず初めに、伊豆半島の地域づくりについてであります。
     伊豆半島は首都圏に近接しております。そしてこのたびの富士山静岡空港の開港によりまして、東アジア地域や国内遠隔地との交流も期待される地理的条件のもとに置かれることになりました。豊かな自然、美しい景観、多彩な食材、温泉などの資源に加えまして、歴史や文学の舞台ともなる大変魅力的な地域であります。私は世界で最も美しい半島であるという認識を持っております。
     議員御指摘のとおり、当地域の活性化を図るためには基幹産業である観光の振興が不可欠でございます。そのためには人々を魅了する美しい半島の場の力――場力を地域の方々が再認識していただいて一丸となってその魅力を磨き高め、世界の人々を引きつける新しい伊豆ブランドを創出していくことが重要であると考えております。その取り組みの一つといたしまして、去る二月十二日に地域が主催する伊豆半島六市六町首長会議にも私は出席いたしまして、トップ同士がひざを交えて意見交換を行い、伊豆半島が一丸となって世界ジオパークを目指すことが合意されたところであります。
     これまで伊豆半島というのは、日本人によく知られた半島として大体四千万前後の人々が毎年訪れると。ここのところその観光も少しく低下傾向にはありますけれども、しかし先ほど申しましたごとく、伊豆半島は世界で最も美しい半島であるというふうに思います。したがってこれを日本人のみならずアジアの方々、さらに欧米の方々にも認知していただくための、その空の玄関口が富士山空港であると。それができたことによって、私は少しなじみのない言葉かもしれませんけれどもジオパークというコンセプトを強くここで押し出しているわけでございます。すなわちジオパークといえば、これは世界のパークになるということなんです。日本の伊豆半島から世界の伊豆半島にという、そういうお志を半島の方にお持ちいだたきたいと。
     そのためには、従来とは一味違ったといいますか、一皮むけた観光の戦略が要ります。日本語だけでなくて、ローマ字あるいは中国語、あるいはハングルですね。そうした今、日本にたくさんお越しになっている観光客――九割はアジアですから――そういう人たちのことをお考えいただいて国際的な戦略を立てるべきときに来ていると。その一つがジオパークであります。
     今後とも地域の方々と協働いたしまして、広域的な魅力づくりや観光を初めとする多彩な産業づくり、交流、連携を促す伊豆縦貫自動車道等の道路網や光ファイバー網の整備の促進、良好な生活空間の確保に向けた環境整備等を含めまして、それを進め、「住んでよし 訪れてよし」の世界的レベルの魅力ある観光交流圏づくりに取り組んでまいりたいと思っております。
     伊豆縦貫自動車道は、少しく時間がかかるかもしれませんけれども、私はその開発、伊豆縦貫自動車道建設促進期成同盟代表として、自分のできる限りのことをしてまいりたいと思っております。また宇佐見と大仁の間の亀石峠で小さなお子さんが亡くなられたと、その搬送中にですね。そういういわゆる命の道をしっかりと、今それが欠如しているという認識も持っておりますので、限られた予算の中ではありますけれどもできる限りのことをやっていきたいということしか言えませんが、ただ夜間のドクターヘリにつきましては本年度間に合いませんで、何とか来年度にはそのドクターヘリが飛べるだけの環境を整えまして、来年度のこの当初予算には何とか皆様方にお諮りできるようにいたしたいと念願しております。
     また、確かに徳川家康が関八州を任されたときに伊豆も入っているわけですね。ですから東伊豆は特に首都圏と非常に近いということがございます。そして首都圏からたくさんのお客様がお越しになっているということもありますので、今回地デジの問題で――私に権限はありませんけれども――放送法の関係では、各地方の放送局が放送している番組を見てくださいということになっておりますけれども、東伊豆海岸の方々が従来どおり首都圏の放送を見たいというお気持ちはよくわかるところでございます。
     次に、スコリア採取事業についてであります。
     本案件につきましては、開発による周辺区域の地下水への影響は専門家の間で意見が分かれるところでありました。しかし県は、開発区域内に水利用の実態がないということから審査基準に基づき許可をしたという経緯がございます。その際、隣接する分譲地の井戸及び農業用水については、静岡県林地開発許可審査基準の審査対象ではありませんでした。しかし井戸水などへの影響を心配する森林審議会の答申などを受けまして、事業者に対し説明会の開催や水位・水量観測を行う条件を付しました。
     最近の水位観測によりますと分譲地の井戸の水位が低下しているというグラフを拝見しております。近隣の農業用水の取水施設の水量には、しかし明らかな減少などは認められないということなので、このことだけをもって許可処分の撤回の事案に該当するとは言えないというのが、専門家の現段階における判断でございます。しかし地元住民の不安の声もありますことから、県といたしましては、事業者に対しより高頻度の水位観測などの協力を要請するとともに、新たに専門家を交えて地元住民と事業者との意見交換の場を設けるようにして、適切に対処してまいりたいと思っております。
     ところで、土隆一先生は私も最も尊敬申し上げている学者であります。特に富士山の世界文化遺産登録に当たりまして、静岡県側の学術委員会の私が委員長、土先生が副委員長ということで、二、三年にわたりいろいろな御啓発をいただいたところでございました。そして私はその土先生が出された平成十五年三月四日の報告書を熟読いたしました。いろいろな判断をなされた後、結論部分だけを読みますと、「スコリア層は降水が単に浸透通過するだけのように見えるが、よく考えれば降水の地表流出を防ぎ、蒸発を少なくし、スコリア層内を地下水としてゆっくり浸透させることによって、より下位の地下水帯水層へ導く役割を果たしていると言うことができる。このような降水が単に浸透通過するだけのように見えるスコリア丘も実際には、地下水の涵養に大きく貢献していることは留意しなければならない。この鉢ケ窪スコリア層周辺に湧水や恒常河川の降雨時流量や基底流量が多いのもそのことをあらわしている。また、伊東付近の気温平均値は平均十五・九度、降水量平年値は年千八百九十ミリメートルと、温暖多雨の地域に属するが、このような温泉地帯では、地下水は山地の地下の浅い部分では水道などの生活用水を涵養するが、平野及び山地の地下深部では温泉を涵養することになるので、山地部の土砂採取については、それらの影響を十分考慮することが必要と考えたい」と結ばれています。
     専門家の意見が異なり徳山明、元富士常葉大学学長、兵庫教育大学名誉教授によりますと、「本計画地の地下水は、丸善ランドへ向かっていないと判断されるので、許可してよいと考える」ということでございます。
     この二つの判断をもとにどういう結論を導き出すかということでありますが、私はこの結論に対しましては、やや遺憾な思いを抱かざるを得ません。しかしながらこれをどう覆すかということにつきましては、さまざまな手続も要るかと存じますけれども、斎藤知事、石川知事の間で判断が違ったということでございますが、こういう温泉にかかわり、かつまた伊東という伊豆半島を代表する地域に科学者が安全性について疑義を呈されているということであり、そして土先生の再度の確認として報告書が出た一年半後に――平成十六年十一月十二日でありますが――因果関係の証明には相当の時間と多額な費用がかかるというふうに言われつつ、ただ影響があると。ただその影響については明確には言えない。ただ最後に結論は、開発がこれ以上拡大しない対策が重要というふうに土先生は主張を一貫されているということで、私は本県の恩人でもある土先生のこのような御判断は十分に尊重されてしかるべきであるというふうに考えております。
     その他の御質問に関しましては、関係部局長から御答弁申し上げます。
    ○議長(浜井卓男君) 堀川産業部長。
           (産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○産業部長(堀川知廣君) 伊豆半島全域ウオーキング環境整備についてお答えいたします。
     県では、伊豆半島において、爪木崎や石廊崎をめぐる南伊豆歩道、富士山の眺望がすばらしい達磨山をめぐる伊豆山稜線歩道、それから踊り子歩道などの九路線、百五十五・三キロに及ぶ遊歩道の整備を行っているところであります。市町においても城ヶ崎ピクニカルコース、河津川ウオーキングコースなど、それぞれ多様な魅力に富んだ遊歩道を整備しておりますが、県ではコース整備に際し、案内標識などの施設整備等への支援を行っております。こうした整備により、現在伊豆半島全域で総延長千百キロメートル以上のコースが設定され、市町観光協会や交通事業者などにより、さまざまなウオークイベントが一年を通して行われています。また下田市における二本のポールを使ったノルディックウオークの旅行商品化など新しい取り組みもなされており、伊豆八十八カ所霊場めぐりもいやしを求める人々の注目を集める新しいコースとなると考えております。
     県といたしましては、ウオーキング資源の豊富な伊豆半島においては、今後もウオーキング愛好者が安心して楽しむことができるよう市町と協働したコースの維持、整備、地域が発信するウオーク情報の充実やウオークを組み込んだ宿泊型旅行商品の造成などの支援に努めるとともに、来年度で最終年度となります観光しずおか躍進計画の見直しに当たりましては、ウオーキングなどの地域の資源を活用したニューツーリズムの推進を主要施策に位置づけ、その推進に努めてまいります。
    ○議長(浜井卓男君) 大須賀企画部長。
           (企画部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画部長(大須賀淑郎君) 地上デジタル放送への対応についてのうち、県内での短時間停波社会実験についてお答えいたします。
     県には放送や電波管理に関する権限はありませんが、テレビが県民生活に深く浸透した情報基盤でありますことから、国が設置している地上デジタル放送静岡県連絡調整会議に参画し放送事業者や関係機関とも連携して、県民への周知広報等に取り組んでいるところであります。
     アナログ放送を短時間停波――これは電波をとめてアナログ放送を見えなくするということですが――停波する社会実験は、当該地域への周知広報として絶大な効果が期待されます。実験の目的は停波に伴う課題や対策をあらかじめ確認することであり、その実施には地域住民を初め放送事業者など多くの関係者の理解と協力が不可欠であります。また実施に向けた準備作業にも相当の時間がかかるため、石川県珠洲市のケースでは、国の地上デジタル放送推進総合対策の中に位置づけられた上で周到な準備のもとに実施されたものと承知しております。
     県といたしましてはこのような事情を踏まえまして、地域からの要望を受けた場合には、これを国に取り次ぐとともに実施に協力してまいりたいと考えております。
     次に、伊豆東海岸における区域外再送信についてであります。
     伊豆半島東海岸には個人でアンテナを立て、あるいはケーブルテレビの区域外再送信によりまして、本来関東エリアを対象とする東京キー局のテレビ番組を視聴している県民が多数いることは承知いたしております。
     地上放送のデジタル化に際しましては、現にアナログ放送を視聴する方々がデジタル放送でも引き続き見られるようにすることが重要と考えておりますが、一方で放送法におきましては県内放送局の放送の視聴を原則としておりますことから、まずは県内放送のデジタル化が円滑に行われますよう、現在、国、放送事業者におきまして、周知広報や新たな難視対策、共聴施設の設置などに全力で取り組んでいるところでございます。
     区域外再送信につきましては国から再送信の同意や手続についての詳細なガイドラインが示されておりますが、放送法の放送エリアの考え方と現在の視聴状況、また県内のテレビ放送事業者に及ぼす影響など極めて複雑で難しい問題があるものと認識いたしております。
     国においても、こうした特別な課題を有する地域対策といたしまして、来年度には仮称でございますが、伊豆半島地デジ総合対策関係連絡会を設置することとしておりますので、県といたしましては、関係市町とともにこれに参画して伊豆地域の円滑なデジタル化に協力してまいります。
    ○議長(浜井卓男君) 衛門建設部長。
           (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長(衛門久明君) 伊豆地域における命の道の整備についてお答えいたします。
     現在、県では、安全・安心な道路の実現に向けまして、大雨等で道路が通行どめになることを防ぐ防災工事やすれ違い困難箇所の拡幅工事など、地域の孤立を防止するための道路整備を県内各地で進めております。さらに救急医療機関へのアクセスが課題となっております伊豆地域におきましては、昨年の秋以降、順天堂大学静岡病院や救急搬送を担う各消防機関との意見交換を実施いたしまして、救急搬送路としての道路の現状と課題を整理するとともに、路面の段差解消など早期に対応可能なものについては速やかに改善を進め、救急医療の支援に努めているところであります。
     今後は、道路照明灯の増設や待避所設置などの短期的な課題と亀石バイパス構想などの長期的な課題に対して、従来の道路整備効果を示す便益評価に加えまして命の道の観点を重視した道路計画を策定し、優先度を見ながら整備を進めてまいります。
     県といたしましては、今後とも地域との対話を重視しながら、国や市町とも連携して伊豆地域の人々の安心・安全な暮らしの確保に向けまして、救急搬送路の整備に積極的に取り組んでまいります。
    ○議長(浜井卓男君) 十八番 中田次城君。
           (十八番 中田次城君登壇)
    ○十八番(中田次城君) 五点にわたる質問に対しまして、本当に御丁寧に御答弁いただきましてありがとうございます。
     一点要望と一点質問させていただきたいと思います。
     まず一点の要望というのは、伊豆半島というのが今本当に――伊豆半島の先生、私だけじゃなくてたくさんいらっしゃいますが――本当に苦しんでいます。もちろん来年以降、観光の活性化を目指して富士山を中心にしたふじのくにづくり、それもうんと重要だと思いますし、それによって伊豆半島が活性化するということにつながると思います。しかし伊豆半島で暮らしている、今そこに暮らしている人たちは本当にもう、きょうあすの生活の苦労の中でみんながもう本当に歯を食いしばって頑張っている。
     そういうことを考えたときに、私はやっぱり政治は弱い人たちの味方であってもらいたいと思いますから、私はそのために伊豆半島でこうしてくれという御提言を今しているわけではありませんが、伊豆半島というのはそういう地域なんだということをやはりしっかり行政の皆さんに認識をしてもらって、それでことし一年新しい機構の中で、静岡の観光の伊豆の発展のということをやっぱり認識しながらやっていっていただきたいと。そのことを強く要望させていただきたいと思います。
     それともう一点、要望ですが、地デジの件です。
     地デジも知事の御認識、私たちと本当に同じ御認識をいただきました。伊豆半島で暮らしている方たちは当たり前のようにテレビをつけて東京波を見てたわけです。ところが国策で地デジに変わる、テレビも買いかえる、いろんなものも買いかえる。そういうような状況の中にあってそれでもなおかつ東京十二チャンネルは見れなくなります。ずっと見ていたテレビで東京のコマーシャルばかり見てたら、急に浜松や中部のコマーシャル。それはそれですばらしいとは思いますが、伊豆東海岸の皆さんからするとなかなかなじめないのもこれまた事実なんですよ。ですからこちらも見れてあちらも見れるという状況が一番望ましいんですよ。
     私は、ケーブルテレビ事業者と民放連との協議の話をさせていただきましたが、実はこれは対等の関係じゃないんです。民放が電波を流してケーブル事業者がそれを受けて、電波をいただいて再放送してるわけです。立場が全然弱いんですよ。したがいましてケーブル事業者の皆さんが区域外再送信を望んでも、それを民放連の方からそんなことはだめだと言われればそれ以上のことは言えないやっぱり弱さがある。でもそこで欠けてるのは何でしょう。それは視聴者の立場なんですよ。そこで暮らして生活している人、観光客で伊東に来た人たちはある日突然それが見れなくなるということに対して物すごい違和感を感じるわけです。
     ですから私は知事にこれは質問させていただきたいんです。もしケーブルテレビ事業者と民放との話し合いが不調に終わった場合、恐らく大臣裁定という手続に入ると思いますが、しかしその前に私は静岡県民の東伊豆住民の代表として、知事に例えば民放連とか、こちらの静岡の在静局のテレビ局を通じてとか、やはり東海岸住民のそういった同じものを見たいという思いをぜひお伝えいただきたい。もちろん強制力がないのもわかっています。でも知事の思いを県民の思いとして伝えていただきたいということを知事にお願いしたいと思います。これについては御答弁いただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
    ○議長(浜井卓男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 国あるいは関係者に、この地域の方々の要望を、あるいは望みを確実に伝えるということはやぶさかではありません。地デジがまず一〇〇%、難視聴の谷合いとかいうところも含めて、まず設定されるということが今は喫緊の課題です。今は総務省とテレビ局がそれについて全力をぶつけてやっていると、これが今一番大事ですよ。それとあわせまして――機会のあるごとにと申し上げておきます――東伊豆の方々のそういう希望があるということを申し上げるということをお約束いたします。
    ○議長(浜井卓男君) これで中田次城君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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