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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/03/2023

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 不適切盛土への対応について
(1)杉尾・日向地区の安全確保
(2)建設発生土の適正処理
2 リニア中央新幹線工事における残土処分について
(1)ツバクロ発生土置き場の安全性
(2)自然由来の重金属等を含む要対策土の処理計画
3 介護施設の人材の確保について
4 農林水産物の輸出促進について
5 小中学校における働き方改革について


○副議長(鈴木澄美君) 次に六十四番 小長井由雄君。
       (六十四番 小長井由雄君登壇 拍手)
○六十四番(小長井由雄君) 質問に入る前に一言申し上げます。
 本日で熱海伊豆山の大規模土石流の発生から丸二年となります。改めて犠牲になられた二十八人の皆様の御冥福をお祈りするとともに、一日も早い復興を願うところであります。
 それでは通告に従い知事、副知事並びに関係部局長に一括質問方式にて質問します。
 最初に、不適切盛土への対応についてのうち、杉尾・日向地区の安全確保について伺います。
 県は、県民が不適切な盛土の存在を認識することでその拡大防止や新たな盛土行為の抑止につなげる等の目的で、本年四月二十八日に関係法令に違反している不適切な盛土百六十三か所を公表しました。公表されたように多数の箇所で不適切盛土が行われ、指導、是正が行われないまま年月が経過してしまったことは大変残念なことであり、このようなことが今後起こらないようにしなければならないと強く感じています。
 とりわけ静岡市葵区の杉尾・日向地区については、文書や口頭による指導を度々行ってきたとのことですが、この間にも杉尾地区が約五万立方メートル、日向地区は約三十七万立方メートルもの盛土がされており、今年度になるまで措置命令を出さなかったことに大きな疑問を感じています。
 地域住民からは、行政への対応の批判や盛土の崩落によって大きな被害を受けるのではないかという不安の声が多く上がっています。台風シーズンを迎えるに当たり必要な応急対策や恒久的な安全対策を速やかに図っていくべきであると考えます。
 令和五年五月臨時会において川勝知事から、盛土行為者が対策工事に着手しない場合は速やかに行政代執行の手続を進めていくとの発言がありました。結果盛土行為者が期限内に原状回復工事に着手しなかったため今後は行政代執行の手続を進めることになります。
 そこで、改めてこの二か所について、当面の安全対策確保と恒久的な安全確保に向けた行政代執行の進め方についてスケジュールも含め具体的に伺います。
 次に、建設発生土の適正処理について伺います。
 国は熱海の土石流災害を教訓として、盛土を行う土地の用途や目的にかかわらず全国一律の基準で包括的に規制する盛土規制法を制定するなど再発防止のための法整備を進めています。また県においては、規制の強化と監視体制の強化を二本の柱とし盛土条例の適正運用や盛り土一一〇番の取組など不適切な盛土への対策を進めていると聞いています。
 一方で、杉尾・日向地区のような事案が再び発生しないようにするためには管理された最終処分場の確保が必要です。さらに建設発生土の再利用を図ることはもとより、コンクリート殻やアスファルト殻のように建設発生土についても、トレーサビリティーを確保し土の処理業者だけでなく排出する事業者の責任を明確にした上で行政が適時適切な指導を行う必要があると考えます。また中間処分場が事実上の最終処分地として扱われていくような抜け穴のない制度の構築が必要です。建設発生土の適正処理については、県が率先して取り組み民間事業者にもその取組を広げていくという姿勢が大事であると考えます。
 県が今後不適切盛土の再発防止策として建設発生土の適正処理について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、リニア中央新幹線工事における残土処分についてのうち、ツバクロ発生土置き場の安全性について伺います。
 リニア中央新幹線工事における静岡県内を通る予定の南アルプストンネルは、静岡工区本工の約八・九キロと先進坑、導水路、工事用道路や西俣、千石斜坑の六本のトンネルで全長約三十九・七七キロメートルあり、ここから三百七十万立方メートル、東京ドーム三倍分の残土が発生するとされています。
 JR東海の計画は、この残土のうち約三百六十万立方メートルを大井川と燕沢の合流地点左岸に高さ七十メートル、幅三百メートル、長さ六百メートルの盛土をすることとし、自然由来の重金属等を含む要対策土約十万立方メートルについてはさらに下流の藤島沢付近に処分するとしています。
 国立研究開発法人の防災科学技術研究所の資料では、燕沢の処分予定地対岸の上千枚沢上部には過去に発生した深層崩壊の落ち残りがあり、下千枚沢には深層崩壊等の発生予備軍と考えられる不安定域、移動域の地滑り地形があるとされています。さらにこの下千枚沢は常に土砂崩れの発生する可能性のある地層だということです。加えて隣接する車屋沢も井川 大唐松山断層が南北方向に存在していることから土石流の危険があり、これらのことから燕沢は盛土予定地としては不適切だと言われています。
 静岡市のリニア有識者会議委員である長谷川裕彦明星大学准教授の現地調査によっても、過去二千年に少なくとも四回大井川にまで到達した土石流が発生し最大で百メートル積み上げたと推測されています。今後も同様の規模で発生する可能性があり、南海トラフ地震に伴って巨大な土砂ダムができ下流域に被害を及ぼすおそれがあると指摘しています。
 これまでに静岡市から県に提出された意見書にはツバクロ発生土置き場について、大量の発生土を置きその保護のために擁壁を築くとすれば自然環境と景観に影響を及ぼすため新たな環境影響評価が必要である、また土石流が発生した場合下流側への影響の拡大が懸念される、そのため周辺の地形や同地の形成要因を適切に把握し場所の選定及び構造に配慮すること、環境影響が明らかな場合は候補地を見直すこととされています。このことに関連しては、五月に施行された盛土規制法により静岡市がこの区域を特定盛土等規制区域として指定することが可能となったことで今後新たに議論されることになると理解しています。
 JR東海は、上千枚沢の深層崩壊に起因する土石流が発生した場合の下流域への影響を把握するためにシミュレーションを実施し、予測結果についてツバクロ発生土置き場の有無による影響の違いは見られないと説明しています。しかし一定の条件下でのシミュレーション結果だけをもって影響を評価することはリスク管理の観点から不十分です。
 脆弱な南アルプスの地形や地質で、しかも複数のリスクが懸念されていることを前提とした十分な検証が必要であると考えますが、県の見解を伺います。
 次に、自然由来の重金属等を含む要対策土の処理計画について伺います。
 トンネル工事においては自然由来の重金属等を含む要対策土の発生が懸念されており、中部横断自動車道のトンネル工事においても環境基準を上回るヒ素やセレンが検出され工事に大幅な遅れが生じました。JR東海は静岡工区の工事において重金属等を含む要対策土が発生する可能性があると認めており、その量は約十万立方メートルとしています。したがって安全性、安定性の高い処分地の確保と封じ込め等の対策が必要となります。
 JR東海の計画によれば、静岡工区から発生する要対策土の永久処分地を大井川河畔の藤島沢付近とし、二重遮水シートで覆って処分すると説明しています。しかしこの方法は南アルプスのような過酷な条件下において恒久的にその機能が保持されるのかが実証されていません。また昨年七月に施行された静岡県盛土条例においては、原則有害物質を含んだ土砂等を用いて盛土はできないと定められています。このため県はJR東海に対し要対策土を盛土しない方法で処理するよう求めていますが、JR東海からその方法は示されていないと理解しています。
 このような状況にもかかわらず国の環境保全有識者会議は、JR東海の現計画のままツバクロ、藤島の発生土置き場における環境への影響について議論を開始しました。県専門部会における対話が十分に行われておらず、特に藤島は県の条例に反すると県が指摘している中、現在の発生土処理計画のまま国が議論を開始したことに不信を抱きます。しかも要対策土の発生量を約十万立方メートルと示す根拠も明確にされておりません。
 県の考えと今後どのように対応していくのか伺います。
 次に、介護施設の人材確保について伺います。
 高齢化の急速な進行により高齢者の尊厳を守る質の高いサービスを提供する介護者、介護施設の必要性がますます高まっていますが、一方で多くの施設において人材不足が大きな問題となっております。
 県の需給推計では、二〇二五年に約六万三千人の介護職員が必要になると推計されているのに対して供給の見通しは約五万七千人にとどまり、二〇二五年問題が目前に迫る今介護人材の確保は喫緊の課題となっています。
 このような中で、介護施設は力仕事が多い上に精神的な負担もあり、またシフト制の不規則な勤務であるため土日祭日も出勤しなければならないこともあって家族と予定が合わないことも出てきます。このような状況であるにもかかわらず給与水準が低いことが人材の確保を困難にしている原因だと言われています。
 また、本県における全産業の勤続年数が平均約十二年に対し介護職は約九年と短いことからも人材確保に苦労すると聞いています。私も介護施設の方々にお話を伺ったところ、どの施設も人材の確保に大変御苦労されており、さらに福祉系の学校や介護福祉士等の養成機関では学生の確保に苦慮し定員を確保できない状況にあると聞いています。また本人が介護分野への進学を希望しても保護者や教員が理解を示さないケースがあるとも伺いました。
 県においては、国と連動して介護職員の処遇改善、多様な人材の介護分野への参入促進や外国人材を受け入れる介護事業所への支援など多方面に施策を実施し介護人材の確保に取り組んでいると理解しています。また社会福祉人材センターを設置し福祉介護人材の無料職業紹介を実施しており、二〇二二年には就職人数六百六十八人と全国第一位、就職率一三・七%で全国十四位の実績を上げていると報告されていますが、現状人材難の施設はまだまだ多いということです。
 介護分野の最大の課題となっている人材不足問題は、介護職員の労働環境を悪化させるだけでなく施設の閉鎖などサービスの縮小につながり、ひいては介護ニーズがあるにもかかわらず必要なサービスを提供できなくなることも懸念されることとなります。
 介護人材を確保していくためには、介護職の魅力の発信により若い世代を中心とした新たな介護職員として働く人材を増やすとともに、現在働いている方の職場定着の促進が重要であると考えますが、県の取組について伺います。
 次に、農林水産業の輸出促進について伺います。
 国内における食市場規模は人口減少と少子高齢化の進展により今後縮小することが想定されますが、一方で世界人口の増加と経済成長に伴う食生活の変化により世界の食市場規模は今後大きく拡大すると見込まれています。
 このような情勢を踏まえ政府は、農林水産業の輸出力強化戦略を取りまとめるとともに、輸出促進法に基づいて輸出先国との規制に関わる協議を行う体制を整備するなど輸出促進に取り組んできました。さらに二〇二〇年には農林水産物食品の輸出目標額を二〇一九年の一兆円から二〇二五年に二兆円に、二〇三〇年には五兆円にまで伸ばすと設定し輸出強化に向けて農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略を策定したところです。
 静岡県においては、お茶、イチゴ、ワサビ、温室メロン、日本酒を海外戦略五品目として輸出目標額を設定しふじのくにマーケティング戦略に基づく輸出促進の取組を進めています。これまで冷凍冷蔵コンテナを使用するための基盤整備、航空輸送パレットの改良、輸出対象国の規制内容の把握や国際認証に対応した生産加工体制の整備などを実施してきました。さらに清水港からは購買力の高いアジア地域への展開を図ってきたと認識しています。
 このような県の取組の成果は、二〇二一年には五品目いずれも対前年比三〇%以上も増加したと報告されています。人口の増加や食の多様化により世界の食需要は増大しており、静岡県の農林水産物にも輸出拡大の余地があることから、農林水産業が成長産業として次世代に引き継がれるために県産品の輸出促進、海外市場開拓に今後一層取り組んでいくことが重要と考えます。
 県産の農林水産物には海外戦略五品目以外にも輸出品として有望な商品があると思います。そうした商品を掘り起こし輸出拡大につなげるためには、静岡県産品をブランド化するとともに産地の育成等を支援し輸出量を確保する必要があります。また海外の農薬使用規制への対応や輸出環境、流通体制の整備にも取り組む必要があります。
 農林水産業を成長産業として発展させていくため、輸出規制や他県産品との競合等に対応できる産地の育成を進め、世界の食料市場を出荷先としていち早く切り開き獲得していくことが重要だと思いますが、県は農林水産物の輸出促進に今後どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
 次に、小中学校における働き方改革について伺います。
 文部科学省は本年四月、令和四年度の教員勤務実態調査結果を速報値として公表しました。平成二十八年度の前回調査と比較して平日、土日ともに校長、副校長、教頭、教諭の全ての職種において在校時間が減少したものの依然として長時間勤務の多い状況が続いており、国が残業の上限として示している月四十五時間を超える勤務をしているとみられる教諭が中学校で七七・一%、小学校で六四・五%に上ることも分かりました。
 一方、家庭へ持ち帰っての仕事時間は中学校で三十二分、小学校で三十七分とそれぞれ増えていることから業務の改善が進んだとは言えません。また過労死ラインと言われる月八十時間の残業の可能性のある教諭は前回調査より減少したものの、なお中学校で三六・六%、小学校では一四・二%に上ることからこのような状況は早期に改善する必要があります。
 平成二十九年に文科省は、学校における働き方改革に関する緊急対策と具体的な方策を詳細にまとめそれに対する取組の徹底を求める通知を都道府県及び政令市の教育長宛てに出しています。この取組が徹底実施されていたなら、先日公表された六年経過しての調査結果は大幅に改善していたのではないかと思います。もちろん教育委員会の取組がなかったということではなく、子供や業務が多様化し教員の業務が増えているにもかかわらず少子化等の進行を理由に国が教職員の大幅増員や定数改善を打ち出さないことが一番の問題だと考えます。
 本県においては、令和四年三月に学校における業務改革プランを改定し、教育の質の向上と教職員の心身の健康の保持増進を目標とした業務改善の指針を示しています。
 先日、山梨県教育委員会では教員の負担軽減を目的として今年度国や県が教育現場に出す事務的な文書を半分に減らす取組を始めたとの報道がありました。まだ二週間分ではありますが進捗状況が発表され小中学校の文書の削減率は七十八件中三十八件の四八・七%とのことでした。このような他県の取組を見ると本県においてもまだまだやれることはあるのではないかと思います。
 本県のプランでは、教職員の主体的な改善と校長のリーダーシップに基づく学校の組織改善を進めるとあります。現場の声を尊重することは必要だと考えますが現場任せの対応には限界があると思います。国による教職員の大幅な増員や定数改善が図られない中にあっても、他県での好事例なども参考にしながら教育委員会が主体性を持って変えていかなければ働き方改革は進まないと考えます。
 長時間労働の実態が続くと心と体に余裕がなくなり、疾病等で長期療養を余儀なくされるケースの増加により教員の定数未配置などの弊害が生じ、ひいては子供たちに十分な教育を受けさせることに少なからず影響を及ぼしかねません。教員の働き方改革を推進し長時間勤務を解消するためには教育委員会がより主体的に関与していくことが必要と考えます。
 今後の小中学校の業務改善にどのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 小長井議員にお答えいたします。
 不適切盛土への対応についてのうち、杉尾・日向地区の安全確保についてであります。
 熱海市伊豆山地区で起きたような災害を二度と引き起こさないよう、現在把握しております不適切盛土につきましては確実かつ速やかに是正を行い、また監視の強化により不適切盛土の発生を防ぐなど県民の皆様の安全と安心の確保に全力で取り組んでいるところでございます。
 杉尾・日向地区の盛土は、静岡県砂防指定地管理条例や静岡市が所管する森林法の許可を得ずに行った不適切なものであります。このため県は本年四月に事業者に対し同条例に基づき原状回復を求める命令を行いました。履行していただけなかったものでありますので周辺地域の安全確保に向けて行政代執行の手続を進めております。
 当面の安全確保対策につきましては、大規模な盛土の崩落が起きる前に近隣住民の速やかな避難を可能とするため、去る五月に両地区へ土石流センサーなどの観測機器を速やかに設置いたしました。また七月末を目途に杉尾地区の盛土の下流側において住宅への土砂流出を防ぐ仮設堰堤の設置も進めているところであります。
 引き続き静岡市と連携をして関係住民に対し現場状況を丁寧に御説明申し上げ、住民の不安の解消を図ってまいります。今後行政代執行法に基づき県は事業者に戒告を行い、これによる原状回復が行われない場合は引き続き静岡市が所管する森林法や土壌汚染対策法等の調整を進めできる限り早期に工事に着手してまいります。具体的には、危険性を取り除く対応として杉尾地区は土砂の全量を搬出いたします。日向地区は当面の措置として土砂の一部を撤去し盛土の安定化を図ってまいります。
 県といたしましては、両地区の近隣住民の皆様の不安を一日でも早く解消するよう関係者と協議を進めながら、両地区の安全が確保されるように取り組んでまいります。
 次に、リニア中央新幹線工事における残土処分についてのうち、ツバクロ発生土置き場の安全性についてであります。
 ツバクロ発生土置き場が計画されております、JR東海が計画をされている燕沢付近を含む南アルプスは、国土交通省の監修の下、独立行政法人土木研究所が作成した深層崩壊推定頻度マップにおきまして深層崩壊が発生する頻度が四段階のうち一番高い、特に高い地域に分類されております。
 深層崩壊のリスクが懸念される中、JR東海は令和二年二月の第五回地質構造・水資源専門部会において、上千枚沢の上流部の千枚崩れで過去の崩落により堆積している土砂の一部が豪雨の影響で流出するというシミュレーション結果を説明するにとどまっております。その際におきましても専門部会委員から地層が曲がりくねるよう変形している褶曲構造の激しいところは地震時に伴う深層崩壊のほうが危険が大きい旨の御指摘があったところであり、現在の説明だけではリスク評価としては不十分であります。また深層崩壊が起こりますと周囲の沢や崩壊地などから同時多発的に土石流が発生するリスクなどを指摘する専門家もおられます。
 JR東海の発生土処理計画については、現在県地質構造・水資源専門部会で対応を進めている最中でありますが、こうした専門部会委員の御指摘等も踏まえまして今後より丁寧に科学的、工学的検討を進める必要があると考えています。
 ツバクロ発生土置き場周辺の地形、地質に関わる課題と対策を総合的に検証し、安全で安心な発生土処理が行われるよう発生土置場が計画されている静岡市とも連携をしながらJR東海と双方向のコミュニケーションを尽くしてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(鈴木澄美君) 勝又交通基盤部長。
       (交通基盤部長 勝又泰宏君登壇)
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 不適切盛土への対応についてのうち、建設発生土の適正処理についてお答えいたします。
 県では、インフラ整備やまちづくりの停滞を招かぬよう建設発生土の適正処理に向けて発生抑制、利活用促進及び適正処分を三本柱とする建設発生土の処理に関する基本方針を策定し率先して取組を開始しました。
 具体的には、民間工事からの建設発生土も含めて利用調整を可能とするストックヤードの設置や最終処分場を設置する民間事業者へのきめ細やかな技術相談を行う伴走型支援などに取り組んでいるところであります。
 議員御指摘のトレーサビリティーの確保につきましては、来年六月以降民間工事も含め元請業者は最終の搬出先まで確認する法令上の義務が生じることとなります。県工事ではこれに先立ち、最終処分に搬出する場合だけでなく中間処分場に搬出する場合にもこの四月から最終の搬出先まで確認を求めております。今後国の制度や県での取組状況について、みらいの県土研究会を通じて民間事業者にしっかりと周知してまいります。
 県といたしましては、建設発生土は循環利用可能な資源であるとの認識の下、引き続き民間事業者と連携しながら建設発生土の適正処理について積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 高畑くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 高畑英治君登壇)
○くらし・環境部長(高畑英治君) リニア中央新幹線工事における残土処分についてのうち、自然由来の重金属等を含む要対策土の処理計画についてお答えいたします。
 JR東海による要対策土に係る現計画は、静岡県盛土等の規制に関する条例の土砂基準に適合しない土砂による盛土であり条例の適用除外にも該当しないことから認められるものとなっておりません。このためJR東海に対しては条例の趣旨を御説明した上で、要対策土に係る現計画は認められないことを明確にお伝えしています。国の環境保全有識者会議の場においても現計画を前提とした議論を行うことは適当ではないと申し上げております。
 要対策土の処理につきましては、県の地質構造・水資源専門部会で域外処理やオンサイトでの無害化処理を検討すべきであるとの意見を頂いておりますが、JR東海から納得できる説明は得られておりません。議員御指摘のとおり、要対策土の発生量を約十万立方メートルとする根拠も明確に示されておりません。大切な水源である大井川上流の河畔に県盛土条例の土砂基準を超える重金属等を含む土砂を存置することは流域の住民の皆様が抱く不安が長く続くことになります。
 県といたしましては、引き続き専門部会において重金属等を含む土砂を確実に処理する方法について対話を進めるとともに、対話の状況を必要に応じ国の有識者会議に対し提供してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 八木健康福祉部長。
       (健康福祉部長 八木敏裕君登壇)
○健康福祉部長(八木敏裕君) 介護施設の人材の確保についてお答えいたします。
 若い世代への介護職の魅力発信につきましては、静岡県社会福祉人材センターによる中学校等での出前講座に加えて、若手介護職員を介護の未来ナビゲーターとして高校、大学や就職ガイダンス等へ派遣し介護職のやりがいや魅力を伝えております。世代の近い職員から経験を踏まえた話や情報を聞くことで介護職への理解が深まると好評であり、今後も就業につながるよう取組を進めてまいります。
 また、昨年度八十四組の小学生の親子を対象に謎解きの要素を加えた介護の仕事の体験型プログラムを新たに実施したところ、国からも先進事例として紹介されたところであります。今年度はさらに多くの児童や保護者に体験していただき介護職の魅力が伝わるよう市町や介護施設と連携して取り組んでまいります。
 働いている方の職場定着の促進につきましては、介護職員の身体的、精神的負担を軽減するため、施設入所者を見守るセンサー等の介護ロボットや介護記録の効率化を図るタブレット等のICT機器の導入費用を助成しております。また直接介護を担う職員と食事の配膳など周辺業務を担う介護サポーターの役割分担を整理するなど業務改善に取り組む施設の事例報告会を開催し、優良事例を他の施設へ横展開を図り働きやすい職場環境の整備を進めてまいります。
 県といたしましては、県民の皆様が必要な時に必要な介護サービスを受けられるよう市町や教育委員会と連携し現場を支える人材の確保に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 増田経済産業部長。
       (経済産業部長 増田始己君登壇)
○経済産業部長(増田始己君) 農林水産物の輸出促進についてお答えいたします。
 県ではこれまで、農林水産物の輸出に新たに取り組む事業者の伴走支援などにより輸出拡大を目指してまいりました。農林水産物、食品の輸出額を二〇三〇年に五兆円とする国の目標達成に向け本県においてもさらなる拡大を目指すためには、輸出に向けた生産量の確保や海外の規制への対応などの環境整備が重要であると認識しております。
 このため、今年度は輸出品目として有望な有機茶とカンショの生産拡大や農薬など海外の規制に対応した大規模な産地づくりに取り組んでおります。海外において高価格で取り引きされる品質の高い農芸品の生産を拡大し全国のモデルとなるような産地を育成してまいります。
 加えて、海外の販売店での売り場の獲得に取り組んでまいります。具体的には海外に広く販路を持つ商社等のネットワークを活用し、アメリカ、シンガポールなどにおいて高品質な農芸品のフェアを開催し静岡ブランドの価値を高めてまいります。さらにフェアで得た現地ニーズを産地にフィードバックし商品改善や品目増加につなげるなど産地と一体となった出口戦略を展開してまいります。
 県といたしましては、マーケットインの視点に基づき生産、物流、商流の面において一貫した支援をきめ細かに実施し、農林水産業の成長産業化に向け本県農林水産物の輸出促進に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 池上教育長。
       (教育長 池上重弘君登壇)
○教育長(池上重弘君) 小中学校における働き方改革についてお答えいたします。
 県教育委員会は、教員が子供と向き会う時間の確保と長時間勤務の是正を同時に達成するため、スクール・サポート・スタッフの全校配置や全市町に共同学校事務室を設置するなど全国的に見ても先駆的な学校における働き方改革を推進してまいりました。これまでの取組で一定の業務改善は図られましたが教育課題がますます多様化、複雑化する中で教員はいまだ多くの業務を抱えております。この間に起きたコロナ禍は教員の働き方を改めて考える機会となった一方で激変するICT環境への対応等新たな業務も生んでおります。
 このため、より徹底した時間外勤務の縮減に向け新たな手法により働き方を改革してまいります。
 具体的には、一昨年度からモデル事業として導入した業務改善「夢」コーディネーターを今年度から全校に配置しオンラインプラットフォームを介して学校間で課題や手法を共有し、取組から得られた効果が高い改革手法は県教育委員会のリーダーシップにより全県挙げて展開することといたします。
 加えて、学校での文書事務を軽減するため県等からの文書の削減を図るとともに、クラウドサービスを活用した文書の共有、生成AIやデジタル採点システムの導入促進など教育DXによる働き方改革を加速いたします。
 また、市町の首長部局や地域、保護者と連携しながら学校、教員が担ってきた役割や業務についての見直しを進めていくこととし、広く県民の理解を得るための発信等を精力的に行ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、心身ともに健康な教員が児童生徒と向き合う時間を確保し質の高い教育が実現できるよう、さらなる働き方改革に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 小長井由雄君。
       (六十四番 小長井由雄君登壇)
○六十四番(小長井由雄君) ありがとうございました。
 それでは要望と質問をさせていただきます。
 まず、杉尾・日向地区の盛土の関係でございますが、速やかに行政代執行を進めていくということでございますので、これはですね、確実に、本当に着実に速やかに行っていただきたいということを強くお願い申し上げます。
 次に、建設発生土の適正処理についてです。これを資源として考えているというふうに先ほどお話がございました。つまり有効利用ということかと思いますが、この有効利用の取組を民間に広げると。どのように民間に広げていくかということをお聞かせを頂きたいと思います。
 次に、リニア中央新幹線の燕沢でございます。先日施行されました盛土条例では、盛土等の崩落により流出した土砂が土石流となって渓流等を流下し保全対象のある区域に到達することが想定される渓流等の上流や過去に大災害が発生した区域を特定盛土等規制区域としてできる限り広く指定区域に指定することが重要だとしております。ツバクロを含め南アルプス山脈の至る箇所で度重なる深層崩壊を起こしており、それによって大規模な土石流が発生する危険があるとされているため静岡市がこの一帯を特定盛土等規制区域として指定する可能性があるというふうに考えますが、県の御見解と対応をお伺いをさせていただきます。
 次に、発生土の有効利用でございますが、先ほど申し上げましたとおり民間へも広げていくということで県は八〇%の有効利用を目指しているということでございます。こうなりますと三百七十万立方メートルの南アルプスの土砂、これに対しての有効利用ということも話が出てくるんではないかなと思いますが、この点についてはどんなふうに考えておられるのかお聞かせを頂きたいと思います。
 それから、自然由来の重金属を含む要対策土の処理計画でございますが、自然由来の重金属等を含む要対策土の処理には不溶化処理という処理方法があると聞いております。この処理を行っても有害物質が除去されるわけではないと言われておりますが、リニア工事において発生する要対策土を現地において不溶化することへの御見解、どのような扱いになるのか、これについてもお伺いをさせていただきます。以上、回答を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 勝又交通基盤部長。
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 建設発生土の適正処理についての再質問にお答えいたします。
 民間事業とですね、利用活用にどのように進めていくか、広げていくかという御質問でございます。
 先ほどの答弁で申しましたように、まずは県が県の工事で率先してその有効利用に努めるという取組をまず進めてまいります。また民間事業者様におきましてはいろいろな機会で我々も接する機会がございます。例えば建設業の許可の申請窓口、先ほど申したようなみらいの県土研究会、いろいろ様々に接する機会がございますので、まずその有効利用についての説明と今後のやり方についてはしっかり丁寧に説明していきたいと思います。
 また今ですね、県のほうで相談窓口等をつくっております。例えばその中では最終処分場をどのような形でつくったらいいか、例えばほかには発生土をどうしたら有効利用、改良剤で使えるかというような御相談もきておりますので、その辺についてもしっかり丁寧に説明しながら有効利用として使えるような形で取り組んでまいりたいと思っております。以上でございます。
○副議長(鈴木澄美君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) ツバクロ発生土置き場の安全性についての再質問にお答えいたします。
 この地域での規制区域の指定についてでございますけれども、その規制区域の指定の準備、検討の段階から静岡市とは連携をしまして、静岡市の検討状況もしっかり把握して連携して対応してまいりたいと思います。
 続きまして、建設発生土の有効利用についてございます。
 JR東海は、平成二十九年一月に示されました環境影響評価書に基づく事後調査報告書におきまして、三百七十万立方メートルの建設発生土について有効利用率八〇%以上を目標とすると明記しています。これまでJR東海の現計画における発生土置き場でどのように発生土が有効利用されるかについての具体的な説明はされていないものと認識しております。今後の対話の中で説明を求めてまいりたいと考えます。
 続きまして、自然由来の重金属等を含む要対策土の処理計画についての再質問にお答えいたします。
 御質問のありました不溶化処理でございますけれども、不溶化処理は土壌に含まれる重金属等を溶け出さないようにする処理方法であり含有する有害物質自体は除去されません。浄化済みの土壌とはなりません。したがいまして条例上の土壌基準に適合しない土砂であることには変わりはないと認識しております。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 小長井由雄君。
       (六十四番 小長井由雄君登壇)
○六十四番(小長井由雄君) 自然由来の重金属等を含む要対策土についてでございますけれど、これは適用除外に当たらないというようなお答えだったと思います。不溶化処理したとしても当たらないということのお答えだったと思います。
 今回のこの盛土規制法によってですね、様々な面で新しい展開をしなきゃいけないというようなことが出てきていると思います。特にこの盛土の土地所有者、ここに対する責任も明確化されているということで、これまでとはまた違った議論もなされていくんではないかなというふうに考えております。
 そこで意見として申し上げますが、このリニア問題というのはですね、今回の知事の御答弁にもありますように大きく水の問題、発生土処理の問題、生態系への影響の問題等それぞれありまして、それぞれが対話を要する四十七項目と密接に関係しているということで県の専門部会でJR東海と対話を進めていただいているところでございますが、いずれもJR東海から明確な答えがなかなか出てこないということだというふうに私は思います。
 こうなるとですね、どうしても流域の皆さんのことを考えますと、ああ言えばこう言うということが必要になってくるんだろうと私はそんなふうに思います。これはぜひそういうようなことで進めていかないと住民の皆さんの理解を得ることができないと私はそういうふうに思いますので、ぜひとも今後とも同じような方針で取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(鈴木澄美君) これで、小長井由雄君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。
 再開は十五時三十分といたします。

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