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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

遠藤 行洋 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/24/2017

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 平成二十九年度当初予算編成について
2 富士山・伊豆地域の世界的な地域資源の魅力を引き出す観
 光振興について
3 東京オリンピック・パラリンピックを契機としたサイクリ
 ストの憧れを呼ぶ聖地づくりについて
4 静岡県を世界に発信するための富士山の映像を通じた魅力
 の発信について
5 子どもの貧困対策と食育の推進について
6 がんの診療体制の整備とがん検診受診の促進について
7 地域経済の持続的成長のための労働力の確保について
8 世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾の利活用促進
 と保全管理について
9 本県の発展を支える高規格幹線道路の整備について
10 ICT教育の環境整備とアクティブ・ラーニングについて
11 スポーツイベント時における交通規制のあり方について
12 富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりについて
 (1) 二期目の県政運営の総括
 (2) 今後四年間の静岡県政


○副議長(藪田宏行君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、十九番 遠藤行洋君。
       (十九番 遠藤行洋君登壇 拍手)
○十九番(遠藤行洋君) 質問に入ります前に、私も一言お許しをいただきたいと思います。
 去る一月九日、自民改革会議の遠藤榮先生が御逝去されました。遠藤先生は私が初当選した際、県議会に同じ遠藤が入ってきて本当にうれしいよとおっしゃってくださり、これまで党派を超えて大変お世話になりました。ここに謹んで哀悼の意を表しますとともに、遠藤先生の御冥福を心からお祈りいたします。
 それでは質問に入ります。
 私はふじのくに県民クラブを代表し、当面する県政の諸課題について通告に従い知事、副知事並びに関係部局長、教育長及び警察本部長に分割質問方式で伺います。
 初めに、平成二十九年度当初予算編成について伺います。
 平成二十九年度は後期アクションプランの最終年度です。ふじのくにづくりの総仕上げに向け、これまで常に全速力で駆け抜けてきた知事にとってまさに総決算の年です。また本県でも開催が予定されているラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックを契機に本県が大いなる飛躍を遂げるための大切な準備期間にもなります。
 一方で、県内経済の状況を見てみますと、個人消費に持ち直しに向けた動きが見られ緩やかに回復しつつあるとされていますが、依然として海外経済の動向など不透明な部分があり予断を許さない状況です。現に去年十二月の部局調整案提出時点の収支見通しでは、県税収入が低調であることを背景に六百三十二億円という巨額の財源不足が見込まれていました。このような大変厳しい財政環境の中ではありましたが、新たに政策調整会議を中心とした政策決定システムを導入し、より生産性の高いめり張りのきいた予算編成に取り組んだと伺っています。
 我が会派は、去年十二月平成二十九年度予算編成に当たりまして「命」「豊」「人」「礎」の四つのテーマに沿って、県民の命を守る危機管理体制の充実、地域経済対策と雇用の創出、教育環境の充実、将来を見据えた行財政改革の推進などを求めた七つの提言を行いました。
 知事は、御自身二期目の集大成となる平成二十九年度当初予算にこれら提言をどのように反映されたのか伺います。
 次に、富士山・伊豆地域の世界的な地域資源の魅力を引き出す観光振興について伺います。
 富士山・伊豆地域は多種多様な地域資源が点在する世界遺産の宝庫です。二〇一三年六月に世界文化遺産に登録された富士山には二十五の構成資産があります。そのほか二〇一三年九月に裾野市の深良用水が、二〇一六年十一月に三島市の源兵衛川が世界かんがい施設遺産に登録され、伊豆の国市の韮山反射炉が二〇一五年七月に世界文化遺産に登録されました。また二〇一六年十一月には駿河湾が世界で最も美しい湾クラブに加盟しました。
 さらに今後、伊豆市の筏場のワサビ田が世界農業遺産に、伊豆半島が世界ジオパークに登録されることが期待されます。まさに富士山・伊豆地域には世界に誇るべき宝物が各地域にきら星のごとく点在し、世界遺産ネットワークを構成しています。これほどまでに魅力的で世界的な遺産が集中している地域はほかにありません。
 しかし、現実的に新幹線三島駅を下車した観光客が裾野市にある深良用水や須山浅間神社、伊豆市にある筏場のワサビ田を訪問したいと考えた場合、利便性の高い交通手段の説明や海外の観光客への多言語による情報提供が行える広域的で国際的な観光案内サービスが十分ではありません。国がインバウンドに力点を置き、訪日外国人観光客四千万人の達成をもくろむ中、現状は寂しい限りです。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックには、日本の多様な魅力を求め世界中から多くの観光客が三島駅におり立ち、富士山・伊豆地域の観光を堪能してもらいたいと思います。
 そのためには三島駅の拠点性の充実も必要です。例えば二〇二〇年四月に三島駅南口に完成予定の複合施設に、静岡県が主体となった富士山・伊豆地域の観光拠点機能を設置することも一考ではないでしょうか。ただ、まずは何より多くのお客様が富士山・伊豆地域に魅力を感じてお越しいただくことが大切です。富士山・伊豆地域には世界的な観光資源が多く点在していながら、その普遍的な価値を国内外に情報発信する拠点施設やガイドシステムが未整備です。世界遺産が地域資源として活用されず宝の持ち腐れとなっています。富士山・伊豆地域の広域的な観光交流振興を担う静岡県がこのような不十分な対応姿勢でいいのでしょうか。
 今後、国内外の観光客に対して新たな観光レクリエーションを多くの人々に提供できれば、世界に誇れる魅力に富んだふじのくに観光拠点づくりが可能となります。世界の観光地と比較しても見劣りしない富士山・伊豆地域に点在する多くの観光資源を生かし、文化的・歴史的価値やさまざまなアクティビティーなどを現場で学び体験できる新たな観光の魅力を提供できる体制を整えた上で誘客を図ることが重要だと考えます。
 そこで質問です。知事は富士山・伊豆地域における誘客促進に向け、今後の観光振興の将来像をどのように考えているのか伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックを契機としたサイクリストの憧れを呼ぶ聖地づくりについて伺います。
 私は去年の十一月、県議会産業振興・スポーツ等海外事情調査団の一員としてオーストラリア、ニュージーランドを訪れました。ニュージーランド南島にクイーンズタウンという小さな町があります。風光明媚なワカティプ湖に面したリゾート地です。ここはマウンテンバイクとサイクリングの聖地として注目されています。レベルやジャンルを問わずサイクリングを楽しめる絶好の環境が整っています。世界に名高いマウンテンバイクリゾートを目指し、初級者から上級者まで楽しむことのできるトレイルが整備されているんです。今回私たちも全員でワカティプ湖畔をマウンテンバイクで走りました。湖に面したアップダウンのある細い道のサイクリングで気持ちのいい汗を流しました。三十分ほどのサイクリングは爽快感があり健康にもいいことを実感いたしました。
 さて、本県では太平洋を見ながらのサイクリングロードの整備が行われています。また世界遺産富士山や数多くの景勝地、温泉を初めとした全国屈指のサイクリング環境に恵まれています。こうした拠点を周遊しながら本県でのサイクリングを楽しむ方々に対し安全で快適に走れるよう環境を整え、地域の受け入れ体制の充実が新たな観光誘客につながるとともに、県民の健康増進にも寄与するものと考えます。
 今、伊豆地域や中遠地域、浜名湖地域を初めとしてサイクルスポーツが全県的な広がりを見せています。サイクリングロードの整備も進められていますが、サイクリストからは狩野川沿いの香貫大橋付近や駿河湾沿いの静岡市清水区薩埵峠付近において、もう少し整備すればサイクリングロードが一本につながり、ヒルクライムやロードバイクの利便性が大きく向上するのに残念だという声を耳にします。
 本県でも、国内外の取り組みを参考にしてハード・ソフトの両面でサイクリストの利便性の向上に向けた取り組みを進めることにより、東京オリンピック・パラリンピックの本県における自転車競技開催を追い風に世界のサイクリストの憧れを呼ぶ聖地づくりを強力に推進すべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、静岡県を世界に発信するための富士山の映像を通じた魅力の発信について伺います。
 富士山頂に富士山測候所があります。この施設は二〇〇四年秋に七十二年間にわたる有人観測を終え無人化になりました。富士山測候所は戦後日本の産業活動と日本人の生命や財産を広範囲な台風予知を通して支えてきた近代産業遺産です。
 残念なことに既に富士山レーダーは富士吉田市に移設されていますが、現在も富士山測候所は過酷な山頂の気象条件に耐え、高所の気象観測施設としての役割と機能を見事に果たしています。
 ところで、知事は新田次郎の「凍傷」を読んだことがありますでしょうか。この小説はまさに厳冬の富士山が舞台です。昨今私のもとに富士山をこよなく愛する県民や環境NPO、文化人、映画関係者、そしてテレビ局から新田次郎作の「凍傷」を映画化できないかという要望が多くあります。
 映画と言えば本年度最大のヒット映画となった「君の名は。」が興行収入二百三十億円を超える大ヒットとなりました。その最大の要因は何でしょうか。それはアニメの映像ながら日本人の感性にマッチした自然を巧みな感動ストーリーと融合させて表現したためと分析されています。アニメのモデルとなった岐阜県飛騨市では聖地巡礼の観光客による経済効果が公開後二カ月間で十八億円以上あったということです。
 例えば、映画「富士山」を制作すれば静岡県内でもロケーションを行うことになり、富士山やその周辺にも聖地をつくることができます。また映画はDVDやサウンドトラックなどの二次使用収入があるため、興行収入のほかにさまざまな経済効果が見込まれます。ヒットすればロケ地は聖地化し新たなツーリズムも起こってきます。
 映画「富士山」は、脚本まで既に完成しています。荒れ狂う富士山を舞台に山岳撮影するもので「劔岳 点の記」を超える作品が期待されます。映画を初めとした映像コンテンツは直接五感に訴えるものであり、老若男女を問わず魅力を訴求するツールとして有効で、本県の魅力の発信に大きな役割を果たすものと考えています。映画の制作は静岡県のPR効果以外にも環境保全意識の高まりなどの相乗効果も期待できます。
 映画「富士山」の制作、上映についても世界遺産登録後の第二のビッグウエーブと捉え、話が具体化すれば積極的にかかわってもらいたいところでありますが、まずは県としても映像の効用を認識し、いま一度映像を活用して富士山の魅力発信に取り組むべきと考えますが、富士山を崇敬する川勝知事のお考えを伺います。
 次に、子供の貧困対策と食育の推進についてです。
 今、子供の貧困が大きな課題となっています。子供の成長にとって重要な食の面でも悪影響が懸念されています。
 かつて、「一杯のかけそば」という実話をもとにした童話が話題になったことがありました。貧しさゆえに一杯のかけそばを分け合って食べる親子の姿が美談として描かれていました。時代は変わり今の貧困家庭の児童生徒は、食事を分け合う相手さえもいない「孤食」が日常化し、兄弟や友人が一緒でもおのおのが好みで別のものを選んで食べる「個食」が当たり前になってきました。
 公益財団法人東京都予防医学協会の調べによりますと、生活習慣病と見られる子供が一、二%、生活習慣病の予備群が五、六%、指導が必要な子供が一〇%前後と、およそ五人に一人が肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病の危機にさらされています。
 かつての日本の家庭の食事は御飯が主役でした。御飯でおなかいっぱいにするのが最も経済的だったからです。しかし今は違います。御飯を炊く手間を惜しみインスタント、冷凍食品、でき合いのお総菜などによって食品添加物の摂取が過剰になっています。
 厚生労働省は、子供の貧困率は平成二十四年の時点で一六・三%と過去最低を更新と発表し、平成二十六年八月には子供の貧困対策大綱を策定しました。これを受けて静岡県では子どもの貧困対策計画において子供の居場所の確保や食を通じた人間性や心身の健全育成などを明記しています。
 一方で、食を通じて人を育むを目標に掲げているふじのくに食育推進計画では、子供の朝食について公表しています。朝食の摂取状況は一〇〇%に近いという結果が出ています。子供の多くが健康な食生活を送っているように見えます。しかし本当にそうでしょうか。
 欠食の有無だけでなく、子供の食事と生活習慣病の相関関係、食事内容の実態把握についても早急に手を打たなければなりません。民間ではいわゆる子供食堂と呼ばれる食事提供事業が広がりつつあります。主に貧困児童に居場所を提供し共食を促す活動です。しかし共食できれば食事内容は問わないのでは効果は薄いと思われます。実際多くの子供食堂の人気メニューはカレー、空揚げ、ハンバーグ、コロッケ、スパゲッティ、サンドイッチなどです。一般的な家庭の食卓でもこのような食事が多いのではないでしょうか。
 今、子供に限らず大人が食べても生活習慣病の予防と改善に効果のある日本型食生活が見直されています。これらを貧困児童などに提供する地域食堂を常設化しようという試みも出始めています。実際日本型食生活の食材費は一度に四十食以上つくれば一食百円程度でできます。旬の野菜を使い、調味料は塩、しょうゆ、みそのみであるからです。コスト的に見ても実は集団で食事をする献立として向いており、だからこそ日常食となり得るのです。
 貧困の家庭だけでなく全ての子供の健全育成に食は重要な役割を占めており、子供のころからの生活習慣病の予防の観点からも米や野菜を中心とした日本型の食事を食育の中で推進していくべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、がんの診療体制の整備とがん検診受診の促進について伺います。
 がん医療は日進月歩で進んでいますが、それでも県内では毎年一万人以上ががんでとうとい命を失っています。幾ら医療技術が進歩しても、がんの治療を初期の段階で始めるのと進行した状態で始めるケースでは大きな差があります。術後の生存率は、全部位のがんですと初期の段階で治療を始めれば八割を超える方が五年以上生存できます。
 がん対策は、何と言っても早期発見、早期治療が重要です。がん検診の受診率は徐々に伸びていますがまだ六割の方が未受診です。がんを早期に発見するために定期的にがん検診を受診することが最も大切です。
 私も十九年前に大腸がんが見つかりました。最初に検診を受けた町のお医者さんが元県立総合病院の医師でした。身近な地域の診療所でがんを見つけてもらい、地域の専門的ながん医療を行う病院で手術、治療につなげることができました。がんを早期に発見することと地域でがんの診療体制が整備されていることの大切さを身をもって感じました。
 がん対策推進条例が平成二十六年十二月に制定、施行されて二年がたちました。
 そこで、本条例が制定されてからこの二年間の県民の方々をがんから守る取り組みとして、県内のがんの診療体制の整備及びがん検診受診の促進について現在の状況と今後の展望を伺います。
 次に、地域経済の持続的成長のための労働力の確保について伺います。
 人口減少が進み県内でも人手不足が顕在化しています。平成二十八年十二月の県内の有効求人倍率は一・四二倍で、建設、運輸、卸・小売、介護などの分野で労働力不足が常態化しています。労働市場は少子高齢化の状況下で、減少する生産年齢人口を補うだけの新規参入を見込みにくいのが現状です。今後女性や高齢者、障害者、外国人などを含めたあらゆる人材が就業可能な全員参加型社会を築くことで就業率を上昇させ、首都圏に一極集中している労働力の地方への還流を図るとともに、少ない労働力で効率よく働く働き方改革につながるシステムを構築することが重要です。
 県では、こうした現状に対応するため、平成二十八年九月補正予算に産業人材確保プラン調査事業費一千二百万円を計上し、独自の産業人材確保・育成プランの策定に着手しました。三千社を対象に人手不足の状況や不足している要因、女性、高齢者、外国人の活用状況、人材育成の取り組み状況などをアンケート調査し、県内企業における現状と課題を整理分析すると聞きましたが、調査の結果はどうだったのでしょうか。また若手社員などにも意見を聞き、就職活動の状況や入社決定の経緯など若者の就職に関する志向や傾向を把握した上で、産業を支える人材の確保・育成に向けた実効性の高いプランをことしの夏をめどに策定、公表すると聞いていますが、どのようなプランの策定を考えているのか伺います。
 次に、世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾の利活用促進と保全管理について伺います。
 去年十一月二日、駿河湾が世界で最も美しい湾クラブに加盟しました。このクラブはすぐれた自然環境を保全しながら湾周辺地域の観光振興や地域経済の発展との共存を理念としており、世界二十五カ国、四十一の湾が加盟しています。日本では平成二十五年の松島湾、平成二十六年の富山湾に続いて、宮津湾・伊根湾と並び三番目です。クラブへの加盟により、静岡県が誇る世界クラスの資源群にまた新たな資源が加わりました。
 これまでの富士山、南アルプス、伊豆半島などの陸の資源に海が加わることで山と海の画廊という静岡県の特徴がさらに際立つことになります。この機会を逃さず駿河湾の魅力を国内外へ積極的にアピールし、駿河湾はもちろん本県への誘客を図ることが必要です。
 駿河湾は湾の全域から富士山を望むことができます。標高三千七百七十六メートルの富士山と湾の最も深いところ、海底二千五百メートルとの高低差は六千メートル以上あります。駿河湾と美しい富士山との鮮やかなコントラストは海底から続いています。豊かな自然に恵まれた駿河湾は生物の宝庫でもあります。日本の魚類およそ二千三百種のうち千種類が生息しています。深海には多くの貴重な生物が生息しています。世界一大きいカニ、タカアシガニなど、日本一深い湾は多様な生命を育んでいます。
 しかし、近年海の環境破壊が進んでいます。特にごみ問題は深刻です。ごみを食べて死ぬ魚も多く発見されています。一度海底に沈んだごみを大量に回収するのは極めて困難です。駿河湾のごみ対策は大きな課題です。駿河湾は海の世界遺産です。私たちは駿河湾の活用を図るとともに、この美しい海を次の世代に伝えていく責任と義務があります。
 そこで、世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾のブランド力を生かした今後の利活用促進と適切な保全管理について、県はどのように取り組むつもりでしょうか。お考えを伺います。
 次に、本県の発展を支える高規格幹線道路の整備について伺います。
 静岡県は古来より交通の要衝として栄えてきました。東西を結ぶ東海道、伊豆半島を南北に貫く下田街道、浜松や掛川から秋葉山に続く秋葉街道など多くの旅人が行き交ってきました。
 東名高速道路が昭和四十四年に全線開通し、その四十年後に当たる平成二十四年四月に新東名高速道路の御殿場ジャンクションから浜松いなさジャンクションまでの県内区間が開通、去年二月には浜松いなさジャンクションより西の区間が開通するなど、時代の流れとともに東西の交通網は大きく進展しました。
 一方、南北を結ぶ三つの高規格幹線道路の整備はこれまでなかなか進みませんでした。伊豆縦貫自動車道、中部横断自動車道、三遠南信自動車道です。しかし、ここに来て三遠南信自動車道の浜松いなさジャンクションから鳳来峡インターチェンジまでの区間が新東名高速道路の県内区間と同時期に開通しました。伊豆縦貫自動車道の一部を構成する東駿河湾環状道路が平成二十六年二月に東名、新東名から函南塚本インターチェンジまでつながるなど、南北軸となる道路も目に見える形で整備が進んできています。速やかな全線開通が期待されます。
 高規格幹線道路はヒト・モノ・カネの流れを大きく変え、交流人口の増大、物流の効率化・高度化、インターチェンジ周辺の企業立地促進など大きな経済効果をもたらします。また災害時の効率的な物資供給など危機管理面での役割も期待される、本県の発展に欠かせない重要な社会資本です。
 そこで、南北軸となる道路整備の現在の進捗状況と今後の見通しを伺います。あわせて本県全体の高規格幹線道路ネットワークのあるべき姿をどのように思い描いているのか伺います。
 次に、ICT教育の環境整備とアクティブラーニングについて質問します。
 主体的、対話的で深い学びを目指すアクティブラーニングの視点を取り入れた授業が全国的な広がりを見せています。アクティブラーニングは従来から行われている講義型の授業で知識を覚えるのではなく、生徒たちが主体的に参加し仲間と対話しながら問題を解決するような学習方法です。各教科の特性を生かしながら、学校としての取り組み方にもさまざまな形が見られるようになってきました。しかしその授業の手法は新学習指導要領実施に向け試行錯誤の状態です。
 私は、この確立にはICTの教育環境の整備が欠かせないと考えています。そんな中、ICTを活用したアクティブラーニングに積極的に取り組んでいる高校があります。県立韮山高校です。
 先日、韮山高校の授業を見学させていただきました。社会科教室で行われた地理の授業でした。演習問題がスクリーンに示されますと、生徒はタブレット端末に解答を記入し先生の端末に送信します。生徒の解答が次々とスクリーンに投影されます。早い順に投影されますので生徒たちは競うように答えを書き上げます。お互いの解答の比較も一目瞭然です。先生はその中から模範的な解答やユニークな解答を瞬時にピックアップして解説します。先生の資料や説明内容もスマートフォンやタブレット端末に保存でき、スクリーンに投影することで板書時間を短縮し、その時間を有効に活用することが可能となります。
 韮山高校においては五十分の質の高い授業が進められていました。また宿題もタブレット端末によりインターネット経由で提出できます。このような現状を把握するために、教育長もぜひ一度授業を見学していただきたいと思います。
 また、授業内容以上に驚いたことがありました。生徒たちの大多数が自分のスマートフォンを使っていることでした。聞けばデータの送受信も自分の通信料で行っているそうです。この教室には無線LANが整備されていませんでした。
 無線LANを整備するためには、四十人が同時にアクセス可能な機器の場合、一教室当たり十万円程度の費用が必要となります。県立学校の無線LANの整備状況は平成二十八年三月一日現在、県立高校全教室で一一%、特別支援学校で一九%、県立学校の合計では一二%とまだまだ低く、静岡県はICTを活用した教育に取り組んでいく環境が十分に整っておりません。
 ICTを活用すればアクティブラーニングの可能性が広がります。今後の新しい教育の形として大いに期待されますが、今後のICTの教育環境の整備とアクティブラーニングの方向性について教育長のお考えを伺います。
 次に、スポーツイベント時における交通規制のあり方について伺います。
 県内にも本格的なマラソンシーズンが訪れました。先週日曜日私もランナーとして参加した浜松シティマラソンを皮切りに、三月五日静岡マラソン、三月十二日ふじえだマラソン、四月二日日本平桜マラソン、四月九日焼津みなとマラソンと、参加者数千人から一万人規模のビッグ大会が続きます。
 今、空前のマラソンブームです。県内各地でマラソン大会が開かれています。マラソン開催による地域振興効果も認められています。まずは静岡県のイメージ向上です。次に健康増進。そして経済波及効果です。
 静岡経済研究所の報告によりますと、去年の静岡マラソン開催による経済波及効果は十四億九千九百万円で参加者一人当たりの消費支出額は一万六千四百十四円でした。支出額は交通費、飲食費、宿泊費、買い物の順に多くなっています。また参加者の五五・三%が静岡県外で、遠方からの来訪者ほど多額の支出をする傾向があるということです。
 静岡マラソンは五時間半というタイム制限がありますが、一万二千人のエントリーが毎年あっという間に埋まってしまうなど大変人気のある大会として知られています。しかしこの五時間半という制限は、私のような一般の市民ランナーにとって完走できるかどうか微妙な時間なのです。
 先ほど申し上げましたが静岡マラソン開催による経済波及効果は抜群です。この大会を発展させ地域を活性化させるためには大会運営等の問題点の改善が必要です。その取り組みの一つとして交通規制の見直しがあると考えます。制限時間をあと一時間延ばしてくれればこれまで制限時間で参加を見合わせていた選手も参加しやすくなり、イベントも盛り上がります。観戦者もふえます。経済波及効果は倍近くになると想定されます。静岡マラソンは受け入れ体制や規制の見直しなどにより参加者が二万人規模の全国屈指の大会になる可能性があり、地域の活性化に一層貢献できるものと考えます。
 そこで、スポーツイベントにおける交通規制のあり方について警察本部長の御所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 遠藤議員にお答えいたします。
 平成二十九年度当初予算編成についてであります。
 平成二十九年度当初予算は、総合計画後期アクションプランの最終年度を迎え、その総仕上げを行うものであります。一方現在の国際社会に占める日本の地位が急速に変わりつつあります。アジアではもとより世界中の方々が日本を魅力的な国であるということを認め、そして多くの方が訪れられる時代になっております。そして二〇一九年ワールドカップ、二〇二〇年の東京五輪というものを踏み台にいたしまして全国各地に広げられるであろう文化プログラムなど、これらが日本を世界で最もすばらしい国の一つとして認める時代がやってきつつあります。私はこのような潮流を先取りすることが必要であるというふうに思っております。
 世界から日本が憧れを呼び、そしてこの国に来れば夢がかなえられるというジャパニーズドリームの時代を先取りいたしまして、本県がそのモデル地域となり得るという確信のもとにそこに飛び立つための足固めの予算でもあります。そのために新たな政策決定システムを導入いたしまして現場を担当する部局長と副知事、私が直接協議を行い、ふじのくに県民クラブの皆様からいただきました「命」「豊」「人」「礎」の四つのテーマから成る御要望に十分お応えできる予算編成ができたものと考えております。
 一つ目の「命」につきましては、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき既存の防災林や砂丘のかさ上げ等によりレベルワンを超える津波による被害の最小化を図る静岡モデルの防潮堤整備を進める市町に対し土砂提供などの支援を行うほか、緊急輸送路の整備、既存橋梁の耐震補強等を着実に推進いたします。また誰もが健やかに学び育つ環境をつくるため、大学生等の地域人材を活用して放課後に児童生徒に学習機会を提供するしずおか寺子屋を開設いたします。しずおか寺子屋の概念は木苗教育長の御発案によるものであります。そのほか児童養護施設や里親のもとで暮らす子供の大学等への進学を引き続き支援いたします。
 二つ目の「豊」につきましては、農業生産額の飛躍的な向上等を図るため、現在整備を進めております先端農業イノベーションセンターを拠点に慶応義塾大学や理化学研究所との共同研究を進めてまいります。またこれまで進めてまいりました三つの新産業集積プロジェクトをより推進するためにファルマバレーセンターの法人化、フォトンバレーセンターの設置などによりまして体制を強化し、世界水準の次世代産業を一層推進してまいります。
 さらに、本県の持つ世界クラスの資源を生かし中国市場からの誘客を促進するとともに、市町と一体となり県内港湾へのクルーズ船の誘致活動や受け入れ環境の整備等に取り組み、世界の観光客から選ばれる観光地域づくりを進めます。
 三つ目の「人」につきましては、個に、一人一人に応じたきめ細かな指導を実現するために、静岡式三十五人学級編制における一学級当たりの下限人数二十五人を平成三十一年度までの三年間で段階的に撤廃いたします。また中山間地域等の高等学校や特別支援学校においてタブレット端末などのICT機器を活用した教育に取り組み、授業改善による学力の向上や中山間地域の教育環境の充実等に努めてまいります。
 さらに、ラグビーワールドカップ二〇一九や二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の県内開催を契機として県内への事前キャンプ誘致やスポーツを通じた国際交流を促進し、スポーツの聖地づくりを進めてまいります。
 四つ目の「礎」につきましては、公共資産最適管理基本方針に基づき県庁舎や県立学校の長寿命化のための計画策定に取り組むなど県有施設の管理の最適化を進めてまいります。また未利用財産の売却を加速化するため新たに売却手続に専門的な事業者を活用するなど、歳入確保に向けた取り組みを強化いたします。
 御要望いただきました四つのテーマから成る御提言の趣旨を十分に踏まえ、後期アクションプランの総仕上げを着実になし遂げ、その先に見えてまいりましたジャパニーズドリームの展開と発信を本県から始めるという、そういう姿勢で全力で取り組んでまいります。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックを契機としたサイクリストの憧れを呼ぶ聖地づくりについてであります。
 県では、サイクリングの安全・快適な走行環境の整備と全県での受け入れ体制を充実するため、昨年五月に県サイクリング協会など関係団体で構成する静岡県サイクルスポーツ協議会を設置いたしました。それとともに県内六地域でサイクリストが実際に自転車で走行する環境調査を実施いたしたところであります。この調査からは道路環境の改善を初め県内コースの一元的な情報発信の必要性、休憩、修理のできるスポットの充実など、サイクリストの受け入れ環境の充実に向けたさまざまな課題が明らかになったところであります。
 昨年度、難波副知事を団長としてイタリアのフリウリ・ベネチア・ジュリア州に本県の団が訪れました。その成功をもとにいたしまして私も当地のゾンコラン山で行われた自転車レースのコースの視察をいたしましたが、今年度はサイクルスポーツの県づくりを担当する職員が、自転車が社会に浸透している台湾や愛媛県と広島県を結ぶしまなみ海道などを調査いたしまして、広域的なレンタサイクルの仕組みやサイクリストのための設備の整った宿泊施設など自転車に親しむ地域づくりのノウハウを学んでまいりました。
 来年度は、これらの調査結果を踏まえ、休憩施設や宿泊施設、周辺の観光スポットなど一元的に複数言語で紹介するウエブサイトをつくりまして、国内外のサイクリストに向けた情報発信を開始いたします。
 県内にはさまざまなサイクリングルートがあります。まだ十分に知られていないものとして、例えば議員のお隣の熱海というのは坂の町であります。そして風光明媚で温泉と海水浴などが固定観念として言われておりますが、しかしそこはヒルクライムの最高の場所というようにも見ることができるわけであります。
 例えば、熱海の長浜海浜公園を出発いたしまして、そこから山伏峠に当たる、そして伊豆スカイラインに入る、そして韮山峠、熱海峠を経て湯河原峠まで二十四・二キロのコースがあります。常に美しい富士山を仰ぎ見ることができるというルートであります。このようなルートなどは、このヒルクライムロードレースとしては恐らくまだ知られてない最も有益なものではないでしょうか。そうしたものとして、そうした可能性があることを申し上げているわけであります。
 また、伊豆東部地域におきまして民間事業者や市町と連携し、サイクリストが休憩し自転車の修理等を行えるスポットのネットワークを推進するとともに、伊豆地域では自転車の走行位置をわかりやすく伝えドライバーに注意を促す矢羽根型路面表示の設置を進めてまいります。さらに県内各地で県民の皆様に自転車に親しんでいただく機会を設け安全走行の啓発や健康増進につなげていくとともに、自転車の走行環境の改善を目的に必要な道路の側溝の改修や路面の段差解消等を進めてまいります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック伊豆開催を契機にサイクルスポーツが本県の魅力として認知され、ふじのくに静岡県がサイクリストの聖地となり国内外の多くのサイクリストが本県を訪れ、かつ多くの県民がライフスタイルとして自転車に親しむ地域社会をつくるために全力で取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(藪田宏行君) 土屋副知事。
       (副知事 土屋優行君登壇)
○副知事(土屋優行君) 富士山・伊豆地域の世界的な地域資源の魅力を引き出す観光振興についてお答えいたします。
 富士山・伊豆地域は、世界遺産富士山を初めとする世界レベルの観光資源に恵まれ、首都圏からも近いと。さらに宿泊施設の数、種類ともに多く国内外からの誘客に高い優位性を持つ地域であります。
 県では、静岡、神奈川、山梨の自治体で構成する富士箱根伊豆国際観光テーマ地区推進協議会において海外からの誘客促進を広域で連携して行うとともに、この地域を訪れる国内外からの観光客に対応するため観光案内所の機能強化と広域観光案内ができる取り組みを進め、熱海駅ビルラスカ熱海や観光客に人気の沼津港、御殿場プレミアム・アウトレット等の観光案内所が世界に向けた情報提供を行っております。
 特に、議員の地元の三島市におきましても観光案内所が本年六月にJR三島駅舎内に移転する機会を捉え、英語での対応が可能なスタッフが常駐し広域の観光案内が提供できる政府観光局認定のビジット・ジャパン案内所のカテゴリーUの獲得を目指し、富士山・伊豆地域の玄関口となるべく取り組みを進めております。
 さらに、静岡銀行と横浜銀行、あるいは三島信用金庫とさがみ信用金庫などの民間企業が主体となった地方創生の取り組みを進めており、先日は経済産業省関東経済局のファムトリップを誘致するなど県域を越えた観光誘客を強力に推進しております。
 こうした中、地域資源を活用し魅力ある観光商品を提供する主体となる地域DMOの設立の動きが各地で活発となっており、伊豆地域におきましても美しい伊豆創造センターの法人化が決定しましたほか、先月はインバウンドに取り組む県域――県下全体のDMO静岡ツーリズムビューローが開設され、各地の取り組みを世界に向けて発信する体制が整いつつあります。
 県といたしましては、ラグビーワールドカップ二〇一九や二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックなどの国際的なイベントにおいて地域の魅力を世界に向けて発信するとともに、開催後のさらなる展開を見据えた次期観光基本計画を来年度にも策定してまいります。中でも世界遺産の富士山や韮山反射炉、世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾など世界に認められた富士山・伊豆地域の有する魅力をさらに磨き上げ、既存の枠組みを超えたさまざまな主体が担い手となる新たな観光ビジョンを盛り込むことで世界から称賛され続ける地域づくりの実現に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 静岡県を世界に発信するための富士山の映像を通じた魅力の発信についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、映像を活用した魅力発信については大きな効果が期待できることから、県といたしましても県内のフィルムコミッションの活動を積極的に支援し、平成二十七年度の映像制作支援件数を五年前の三倍近くである一千八件と大きく伸ばしてまいりました。特に富士山はその雄大さや神聖さなどから多くの映像制作者の創造力をかきたてる対象であるため、本年度日本語と英語を併記したロケ地ガイドを作成し、富士山がその存在感を発揮する世界水準の映像が制作されるよう海外プロモーションなどの機会を捉え紹介してまいります。
 また、本年十二月に開館予定である富士山世界遺産センター――仮称――におきましては、二百六十五インチの最新映像機器を整備し四季折々の多彩な富士山を4K映像により紹介することで世界各国から訪れたお客様にその魅力を存分に体感していただくこととしております。
 さらに、ラグビーワールドカップ二〇一九や二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けたPR素材として富士山を含めた自然景観や文化等の紹介映像を制作し、動画サイトや各種メディア等を活用して放映するなど富士山の映像を通じた魅力発信に努めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 子供の貧困対策と食育の推進についてお答えいたします。
 本県は、ふじのくに食育推進計画に基づき、食を知る、食をつくる、食を楽しむことを通しまして生涯にわたり望ましい食生活を身につけ、健全な心と体を培い、豊かな人間性を養うことを目指しております。
 本県の食育は、子供のころから望ましい食生活ができるようにゼロ歳から始まるふじのくにの食育を目標として、食育ボランティアの育成や幼児から中学生までを対象とした食育教室を開催するなど、教育委員会や静岡県健康づくり食生活推進協議会などとも連携し地域における食育活動を推進しております。この中で子供たちが健やかに育つためには、一人で食事をする孤食ではなく家族や仲間と一緒に食事をする共食を進め、栄養バランスにすぐれた食事をとれるようにすることについて指導しております。
 また、栄養バランスにすぐれた生活習慣病対策にも効果のある日本型食生活について親子で学ぶ講習会を開催し、望ましい食生活の指導や啓発に努めております。子供食堂を運営する団体等にも子供の貧困対策の一環として日本型食生活を推奨するなど、全ての子供たちが健やかに育つよう食育の一層の推進に努めております。
 今後とも、教育委員会や食育ボランティア、生産者や関係団体と連携協働し、共食による豊かな人間性の醸成やライフステージに応じた望ましい食生活の普及など食育の推進にしっかり取り組み、「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 次に、がんの診療体制の整備とがん検診受診の促進についてであります。
 県では静岡県がん対策推進条例を制定し、誰もが適切ながん医療を受けられる医療体制の整備やがんの早期発見、早期治療に不可欠ながん検診の受診率の向上などがん対策の一層の推進を図っております。
 がんの診療体制の整備につきましては、今年度熱海伊東及び富士の二つの医療圏で新たに二つの病院が地域がん診療病院の指定を受け、県内全体で二十二の専門的ながん医療を行う病院が設置されることとなり、県民の皆様が身近な地域でがん治療を受けられる体制づくりが着実に進んでおります。今後も高度ながん治療を行うための機器整備の助成や緩和ケアなどきめ細かながん医療に対応する人材の養成等を行い、地域のがん医療を担う医療機関のさらなる機能の向上に努めてまいります。
 がん検診受診の促進につきましては、市町や企業等と連携した受診の啓発や市町の保健師など受診啓発の中心的役割を担う人材への研修、市町への受診勧奨に関する助言などの取り組みを一層進め、県内全体で受診を推進する体制づくりを強化してまいります。また来年度から県医師会やがん患者団体の女性から成る女性のがん検診受診促進プロジェクトチームによる企業の女性従業員に対する受診啓発や一般県民への受診の呼びかけを積極的に行うなど、受診率のさらなる向上に努めてまいります。
 県といたしましては、今後も引き続きがんの診療体制の整備と検診の受診促進に向けた取り組みなどがん対策を着実に推進し、がん対策推進計画の実効性を高め、条例が目指す県民の皆様が生涯にわたって健やかに安心して暮らせるふじのくにづくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 篠原経済産業部長。
       (経済産業部長 篠原清志君登壇)
○経済産業部長(篠原清志君) 地域経済の持続的成長のための労働力の確保についてお答えいたします。
 産業人材確保・育成プラン策定のためのアンケート調査では、県内三千事業所に対して調査票を送付したところ千五百十の事業所から回答がありました。それによると県内事業所の七五%が人手不足を感じており、七割を超える事業所から募集をかけても人が集まらないという回答が寄せられております。また調査から中途採用は六五・七%の事業所が実施している一方、管理職への登用など女性の活用については二八・六%、外国人の採用も一二・一%と慎重な姿勢も見られます。これらを含めて現在産業別、規模別での分析を進めているところであります。
 さらに、経営者や若手社員に対する聞き取り調査を二百社を対象に実施しております。この調査では人手不足の影響や募集している人材が集まらない理由、新卒者の確保策などについて聞き取りを行っております。
 今後、これらのアンケートや聞き取り調査をもとに現場の実態の分析と課題の抽出を行い、本年八月に策定するプランでは大都市に集中するすぐれた産業人材の本県への還流、技術革新に対応した産業人材の育成、誰もが生き生きと働くことができる職場環境の整備などを柱として具体的な施策をまとめていきたいと考えております。
 県といたしましては、引き続き働く意欲のある誰もがみずからの能力を最大限発揮できる社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) 世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾の利活用促進と保全管理についてお答えいたします。
 世界で最も美しい湾クラブは、すぐれた自然景観を保全しながら観光振興や地域経済の発展との共存を図るという活動理念を掲げており、現地調査の際、駿河湾は美しい自然環境を守りながら周辺の生活や伝統文化も守られているとの高い評価を受け加盟が認められたところであります。今後も美しい駿河湾の自然環境を保全するため、市町とともに国の補助制度などを活用した海岸漂着物等の回収や地域住民の皆様と連携した清掃活動を継続するとともに、ごみ等の発生を抑制するための普及啓発にもより一層取り組んでまいります。
 また、沿岸十一市町の関係者から成る協議会を来年度早々に立ち上げ、湾クラブのブランド力を生かした商品の開発などさまざまな分野で新たな魅力の創造に取り組むとともに、湾クラブの情報発信力を活用して国内外のクルーズ船社への働きかけを行いクルーズ船誘致によるさらなる人や物の流れの創出を図り、沿岸市町の活性化につなげてまいります。
 県といたしましては、駿河湾の持つ世界クラスの価値を後世に引き継ぐとともに、訪れた世界中の人々に駿河湾の魅力を感じていただけるよう取り組んでまいります。
 次に、本県の発展を支える高規格幹線道路の整備についてであります。
 南北軸となる高規格幹線道路のうち中部横断自動車道につきましては、中日本高速道路株式会社が整備を進める山梨県内の六郷インターチェンジから増穂インターチェンジまでの約九キロメートル区間が来月十九日に開通し、新清水ジャンクションから富沢インターチェンジまでの約二十一キロメートル区間は平成三十年度開通予定であります。国が整備を進める富沢インターチェンジから六郷インターチェンジまでの約二十八キロメートル区間は平成三十年度から順次開通し、平成三十一年度には東名、新東名と中央道が結ばれる見込みであります。
 また、伊豆縦貫自動車道の河津下田道路、天城北道路、三遠南信自動車道の三遠道路、佐久間道路、青崩峠道路などにつきまして、現在用地買収やトンネル等の工事が着実に進められており、天城北道路約五キロメートル区間と佐久間道路約七キロメートル区間につきましては平成三十年度の開通が予定されております。
 本県全体の高規格幹線道路ネットワークのあるべき姿についてでありますが、本県の優位性をさらに高めるため東名、新東名の東西軸に中部横断、伊豆縦貫、三遠南信の南北軸を加えることにより現在の交流圏域を日本海まで及ぶ新たな圏域へと拡大させるとともに、清水港を初めとする駿河湾港や富士山静岡空港とを結びつける、世界とつながる陸・海・空の交通ネットワークの形成であると考えております。
 このため県といたしましては、引き続き隣接県や関係市町等と連携し国や中日本高速道路株式会社に整備促進を働きかけ、本県の社会経済活動の発展に加え、県民の皆様の安全・安心を支える高規格幹線道路ネットワークの一日も早い構築に努めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) ICT教育の環境整備とアクティブラーニングについてお答えいたします。
 県教育委員会では、アクティブラーニングにおける効果的な指導方法の研究を行っており、韮山高校では本年度からその研究協力校の一校として積極的にICT機器を活用した授業が展開され、県内外から高く評価をされております。また清水南高校と浜松西高校においては平成二十七年度から文部科学省委託事業によりICT機器を活用した先進的な授業改善に取り組んでおり、過日私も生徒が主体的に学習する授業を自分の目で確認し、その重要性を改めて認識いたしました。
 議員御指摘のとおり、アクティブラーニングへのICT機器の活用は大変効果的であるとともに、中山間地域校では学校間連携による遠隔授業が可能となるなどカリキュラムの充実、教育環境の向上につながります。さらに特別支援学校では視覚、聴覚、肢体などさまざまな障害を補完するツールとして活用することが大いに期待されております。
 県教育委員会といたしましては、日常的にタブレット端末等を活用する中でアクティブラーニングの視点を取り入れた授業改善を初めとし時代の新しいツールとしてICT機器を活用するため、来年度導入効果が高い中山間地域校や特別支援学校等に整備するとともに、次期学習指導要領改訂を踏まえて、今後とも計画的かつ戦略的にICT教育の環境整備に努めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) スポーツイベント時における交通規制のあり方についてお答えいたします。
 道路においてマラソン等のイベントを行う場合は、主催者が警察署長の道路使用許可を受けることとなります。警察が道路使用許可を行うに当たっては当該行為により生じる交通の妨害の程度と公益性または社会慣習上の必要性などを考慮し、許可の判断を行っているところであります。
 特にマラソン大会のような大きなイベントの場合には、時間的、面的に大規模な交通規制が必要となることから、早い段階から主催者と綿密な協議を行い、道路使用許可手続が円滑に行えるよう配意しているところであります。
 なお、定期的に開催されるスポーツイベントにおいて主催者から次回の開催に向けた新たな要望や意見があった場合は、これまでの開催結果や地域住民、道路利用者等の合意形成の状況などを踏まえ適切に対応しているところであります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 遠藤行洋君。
       (十九番 遠藤行洋君登壇)
○十九番(遠藤行洋君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
 再質問を一点お願いいたします。
 地域経済の持続的成長のための労働力の確保についてです。
 人材の確保育成のプランについてはわかりました。ただ、これから二〇二五年問題もありまして労働力の量だけではなくて質もこれ、大きなテーマになってくると思います。例えば今、中小企業の熟練工や建設現場の重機操作のベテランなどが各現場で貴重な戦力になっています。しかし二〇二五年になりますとこういった人たちも七十五歳以上になって、さすがにもう働けなくなると思うんですね。
 そこで、技術伝承も含めた質の確保について、まだ八年後ではありますけれどもこれからどういう対策をとっていくのかお考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) 技術、技能を持つ労働者がこれから不足していくと、それから質の問題についての再質問にお答えいたします。
 基本的な今県が直面している課題については、今議員がお話しになったようなことで我々も同じように問題意識を持っております。
 そこで、今年度は平成二十九年度から三十三年度までの五カ年の計画である第十次静岡県職業能力開発計画を、労働界の皆さんあるいは企業、福祉施設の方、教育関係者など広く専門家にも集まっていただいて検討を進めてまいりました。年度末を目途に今取りまとめの最後の作業を進めておりますが、現場主義に徹した人材育成を第一に置き若者の職業観の醸成や技術、技能の継承に向けた企業の取り組みへの支援などを図ることとしております。
 さらに、具体的な対策といたしましては老朽化しております清水技術専門校の建てかえ再整備による、このような基盤整備をしっかり進めていくこと、それから技能オリンピックへの若手技術者あるいは技能者の企業からの派遣も企業に働きかけて進めるということで、若者の技術、技能への理解を深めて労働力の質の確保等を図ってまいりたいというふうに考えています。以上です。
○副議長(藪田宏行君) 遠藤行洋君。
       (十九番 遠藤行洋君登壇)
○十九番(遠藤行洋君) ありがとうございます。しっかりとその辺は進めていただきたいと思います。
 それでは次の質問に入ります。
 富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりについて伺います。
 初めに、二期目の県政運営の総括です。
 川勝知事は、二期目就任以降の三年八カ月の間、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに向けて総合計画後期アクションプランに基づきさまざまな施策を推進してきました。これまでの県政運営について我が会派の政策体系シート、四つの理念「命」「豊」「人」「礎」を中心に進捗状況をチェックしました。
 まずは、政策テーマ「命」です。命を守り将来の安心な暮らしの実現についてです。
 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三につきましては、原子力防災センターの整備や富士山火山噴火対策の推進など多方面にわたり取り組まれています。県民の関心が高い津波対策は静岡方式の早期完成が求められておりまして、不断の努力が必要です。
 安心の健康福祉の実現につきましては、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジを通じた医療人材の確保や質の高い医療の提供、ふじ三三プログラムを活用した健康寿命日本一の推進などは実績を上げています。一方、増加が見込まれる介護需要への対応については人材育成や確保、福祉環境の整備などに積極的に取り組む必要があります。
 少子化対策につきましては、ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤により現状を分析し市町と連携して取り組んでいることや、さんきゅうパパ応援事業など社会総がかりで子育てに取り組む姿勢は評価いたします。一方、保育士や認定こども園の数は増加してはいますが、待機児童ゼロに向けた取り組みは急務です。また昨年度の合計特殊出生率は一・五四と近年上昇傾向にはあるものの、二・〇七の目標達成には相当の取り組みが必要です。
 次に、政策テーマ「豊」です。ものづくり、ものづかい日本一豊かな県についてです。
 地域経済と雇用の創造などに関する施策につきましては、ふじのくにブランドを生かした戦略的な海外展開やファルマバレー、フォトンバレー等の新産業集積クラスターの推進など着実に実績を上げていると考えます。今後は人口減少、超高齢化の進行を見据え新産業の創出や農林水産業の競争力の強化、若者や女性、高齢者や障害者の雇用創出、ワーク・ライフ・バランスの推進などをさらに推し進めることが必要です。
 観光産業につきましては、観光交流客数、宿泊客数ともに順調に増加している中、しずおか食セレクションを初めとした場の力を活用したPRは誘客促進の観点からも有効なものと評価をしております。これからも地域ごと特色を打ち出した展開を期待しています。富士山静岡空港につきましては、路線の拡大充実と空港利用者数の増加への取り組みが望まれます。
 次に、政策テーマ「人」、将来の日本を背負える人材の育成についてです。
 教育環境の整備につきましては、静岡式三十五人学級の加配定数は毎年度八百人以上配置し、小中学校全ての学年で実施しています。平成二十九年度からは下限を撤廃する方向を示すなどさらなる少人数教育の推進に努める点は評価できます。
 しかし、教職員の多忙化解消にはつながっておらず、引き続き課題解決に向けて取り組んでいく必要があります。また総合教育会議において教育目標や施策の基本方針を示すふじのくに「有徳の人」づくり大綱を策定し、鋭意取り組んでいます。
 社会総がかりの教育の実現に向けてコミュニティスクールの導入などを進めていますが、家庭、学校、地域、行政が一体となった社会総がかりの教育活動に向け、さらなる取り組みが求められます。
 最後に、政策テーマ「礎」、持続可能な静岡県の基礎づくりについてです。
 財政健全化指標についてはおおむね良好ですが、国の地方財政計画による臨時財政対策債の増加など懸念材料もあります。全国最下位だった県税収入率や滞納対策は改善されてはいますが、引き続き税の公平性の観点からの取り組み強化が求められます。ファシリティマネジメントやアセットマネジメントの計画を策定し取り組みを進めてきましたが、施設の更新や老朽化対策など資産経営をさらに強化する必要があります。
 県では、行政経営研究会の設置や富士山静岡空港の公共施設運営権制度など市町連携、官民連携の取り組みを進めており、県内の全体最適に向けさらなる取り組みに期待したいところです。以上が我が会派の川勝県政に対する評価と総括です。
 知事として、二期目の県政運営をどのように総括しているのか伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりについてのうち、二期目の県政運営の総括についてお答えいたします。
 ふじのくに県民クラブの皆様には、四年の業績評価として丁寧な総括をいただきましたことに対しまして感謝申し上げます。
 私は、知事就任以来富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを県政運営の基本理念に掲げてまいりました。その総仕上げに向け二期目に策定いたしましたのが総合計画後期アクションプランでございます。これは四つの戦略体系から成ります。
 まずは、全てに優先するのが命であります。命を守る危機管理体制の充実、これが第一の柱になりまして、その基盤の上に徳のある人材の育成、豊かさの実現、そして自立の実現を図るというものでございます。これはまさにふじのくに県民クラブの皆様の政策テーマである四つの理念「命」「豊」「人」「礎」に通ずるものであります。
 その進捗状況につきましては、専門家によります評価部会や各界各層の代表者で構成する総合計画審議会の皆様の外部評価に加え県議会の皆様の御審議を賜り、今月十四日に“ふじのくに”づくり白書として公表したところであります。計画に掲げる二百六十八の数値目標のうち六〇%が目標達成に向け着実に推移、また五百一の主な取り組みの九九・二%が着実に実施されており、ふじのくにづくりは順調に進捗が図られているものと考えております。
 議員御指摘のとおり、万全の津波対策や待機児童ゼロに向けた取り組みは「命」にかかわる政策テーマであります。新産業の創出や農林水産業の競争力の強化への取り組みは「豊」にかかわる政策テーマであります。教職員の多忙化解消や社会総がかりの教育の実現は「人」にかかわる政策テーマであります。行財政運営の効率化等、これは政策テーマ「礎」にかかわるものであります。これら全てに対しましてこれまで以上に力を入れて取り組んでいかなければならないものと認識をしております。
 来年度はいよいよこの後期アクションプランの最終年を迎えますことから、ふじのくにづくりの総仕上げを確実なものとするため、課題の解消やおくれが見られる施策の推進に向けた取り組みにつきまして来年度当初予算案に反映したところでございます。
 十年の計画を七年でやり遂げたという総括の仕方、言いかえますとラストスパート、第四コーナーを回ってラストスパートでもって次の四年に入るということでございますから、その次の四年の出発の仕方はスタートダッシュでなければならないというふうに考えております。
 県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 遠藤行洋君。
       (十九番 遠藤行洋君登壇)
○十九番(遠藤行洋君) ありがとうございます。
 私たちのこの評価、政策体系シートの評価項目は二十七項目ありました。その二十七項目について丸、三角、バツで評価し、総合評価は三・七点という点をつけさせていただきました。その中で一番評価の低い項目が子供を産み育てやすい社会環境の整備であります。
 これまで少子化対策、少子化突破戦略の羅針盤を作成して市町と連携した取り組みを強化してまいりました。ただこの目標達成には相当な覚悟が必要だというふうに思います。また目標値と現状値のこの乖離が非常に大きいという現状があります。
 この点についてどのようにお考えでしょうか、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 議員御指摘のとおり、本県の合計特殊出生率は二・〇と非常に高い目標を掲げております。本県の合計特殊出生率につきましては平成十六年の一・三七を底に平成二十七年度は一・五四になっており、回復傾向ではありますが二・〇というのは非常に高い目標と認識しております。
 この総合計画の基本構想におけます合計特殊出生率二の目標は、県民の皆様方のアンケートから見ますに二人から三人の子供を持ちたいという県民の希望をかなえるため掲げた目標でございます。これは一つは少子化対策に取り組む静岡県の非常に強い姿勢を示したものでございます。
 議員御指摘のとおり、この目標達成のためには相当の覚悟を持ってやらなければならないと思っております。健康福祉部におきましてもあらゆる分野、少子化に関するあらゆる分野につきましては積極的に取り組むこととしております。
 先ほどありましたが、静岡県では昨年度ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤、こちらのほうを出しまして各市町における強みや弱みを分析をしております。そして問題解決に向けてのさまざまな取り組みを提示しております。今年度はこのさまざまな取り組みにつきまして積極的にやっていこうという市町に対しましては、県も連携しましてともに取り組みまして、合計特殊出生率二の達成に向けまして積極的に取り組む姿勢でございます。
 各市町におきましては、この県の強い姿勢を受けまして二・〇以上を目標と挙げる市町が四ありまして、一・八以上を目標と挙げている市町につきましては十ありまして、まさに一・八以上を目標と挙げているのは十四あるという非常に積極的な取り組みが見られたところでありますので、県としましては相当の取り組みといたしましてそのような市町を積極的に応援していきたいと考えております。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 遠藤行洋君。
       (十九番 遠藤行洋君登壇)
○十九番(遠藤行洋君) 御答弁ありがとうございました。まさに相当の覚悟を持って、これから取り組んでいただきたいというふうに思います。
 それでは最後の質問に入ります。
 今後四年間の静岡県政について伺います。
 川勝知事の任期は今年七月四日までです。静岡県知事選挙の日程も六月八日告示、六月二十五日投開票と決まりました。ということは実質あと三カ月です。そしてこれが知事任期中、我が会派として県議会本会議最後の代表質問です。
 川勝知事は、就任以来富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを県政運営の基本理念に掲げてこられました。この基本理念は経済力や軍事力で押しつける力の文明から、心の豊かさや文化の力で人々の憧れを引きつける美の文明への大転換を図ることにより、世界における我が国のアイデンティティーを確立するという知事の深い学識に基づく、国家的見地のみならず世界的視野にまで立脚した崇高な思想であると理解をしております。
 しかしながら、そのような気高い理念であるがゆえにそこに至る道は険しく、まさに川勝県政がある限り永遠のテーマとも言えるものであります。
 そこで伺います。これまで川勝知事が進めてきた富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりは六月で一旦リセットされるのでしょうか。それとも七月以降、誰がその椅子に座ろうともこれまでの県政運営の路線は継承すべきとお考えでしょうか。以上、現職の知事として答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりについてのうち、今後四年間の静岡県政についてお答えいたします。
 県議会の議員の先生と同様、静岡県知事も四年ごとに節目を迎えます。その節目におきましては継承とリセット、リセットというか発展というのが二つの柱にならねばならないと存じます。竹に上下の節ありというふうに言いますが、竹は真っすぐに伸びていきますけれども節目を持って伸びていくということであります。その節目が四年ごとの知事選であり、また県議会選であろうというふうに理解をしております。
 先ほど遠藤議員が言われました軍事力、経済力から文化力への時代というのは、二十一世紀になりまして石川県政において新しい時代をつくるための学問的な根拠地として文化芸術大学が創設されたのでありますが、そこには高坂正堯さんの国家論すなわち軍事力を必要条件、十分条件とする時代、経済力を必要条件、十分条件とする時代これを経て、今や軍事力も経済力も必要条件として重要でありますけれどもこれからの時代は文化力、言いかえると憧れを呼ぶ美しい地域づくりにならねばならないと、そういうことで文化や芸術をマネジメントすることのできる文化政策、文化芸術大学をおつくりになり、その学部が文化政策学部とデザイン学部になっているわけでございます。
 石川県政は、創知協働と富国有徳を掲げになっておられました。私はこの両者のうち特に富国有徳という理念を継承したわけでございます。そしてそれをリセットするに際しまして富士山というものを軸に据えました。自覚的に据えたのであります。
 富士山は活火山でございます。人間の力を超えているものでありますから、まず畏敬の念を失わない。第二に富士山は活火山であることに示されるように、いつ何どき天災が襲ってくるとは限らない、ゆえに危機管理を最優先すると。第三に富士山は美しい存在です。永遠の芸術ですから人も地域もさもそのようにありたいということで富士山に恥じないような美しく品格のある人づくり、地域づくりをするということが課題です。第四にまた富士山は美しく調和をしている存在でありますから、聖徳太子以来の和というものを大事にするということであります。
 また、富士山は、きのうまでは美しい冬の姿を見せておられましたけれども今や春がすみに入りました。そしてスプリングフェスティバル、春の祭典、夏祭り、秋祭りというように、今ふじのくにの芸術祭が展開されておりますけれども、春夏秋冬というものを大事にしろというそういうメッセージもございますので、四季に対する感性を磨くということも入ってまいります。また同時に富士の白雪というのが太陽が当たりますと解けてそれが生物を生みますから、大地の恵みを大切にするということであります。
 第七に富士は「富」という字と「士」という字を書きます。これは四字熟語にすると富国有徳になるので、富士を富国有徳あるいは富者有徳というように置きかえることが、実は富士にかかわるこれまでの日本人が富士に与えてきた、あるいは託してきたイメージであります。
 ほかにもあります。二つならずオンリーワン。したがって健常者も身障者も誰ひとり同じように扱うべきである。誰ひとりおろそかにするべきではない。何者もおろそかにするべきではないということでもあります。不死という字も当てられてきました。それゆえに我々は健康寿命、健康長寿をことほぐのであります。
 そして第八に、最後に、高坂さんがあるいは前の県政を担当されました皆様方が新しい学問が必要であるということであるように、きのうの富士山の日におきまして新しく富士山学というものが提唱されました。またこれに基づく雑誌も英文と日本語で出されることが決まったようであります。
 このように、ふじのくにづくりは富士山を理想にした富国有徳の国づくりをしてきたわけであります。そして第二期になりましたちょうどそのときに、あるいは第一期のちょうど終わりのときに富士山が世界文化遺産に認定されましてそれ以後今月まで四十五カ月の間に、すなわち三年と八カ月の間に何と四十六件もの世界クラスのものが認定されてきたわけでございます。それゆえこの次の四年間というのは世界クラスの地域づくりになるということがおのずと出てくることでありましょう。
 四年前あるいは八年前にはこれはやや遠い目的でございました。その世界クラスの地域になっているという条件のもとでの地域づくりのときのキーワードが、日本全体が観光客が二千万、三千万、四千万となるように、また留学生が二十万を既に超えて急増しておりますように内外から人々が憧れてこちらに来るような時代になっております。それゆえに世界クラスの地域としての本県が、この日本全体がジャパニーズドリームの相手として誰にも共通認識となったときに、その最初の扉を開いているということが本県が地方創生においてふじのくにづくりをしてきたことのあかしになるだろうというふうに思っておりまして、次の四年間はこれまでの成果を踏まえるならば、継承とリセットをするときには世界クラスの地域づくり、ふじのくにづくりとして日本のいわば代表、まさに日本の国土の統合のシンボル富士山のある静岡県ないし山梨県東部などがポスト東京時代を引っ張る新しい日本の顔になっていくということについては恐らく誰がなさろうと変わらないものと確信しております。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 遠藤行洋君。
       (十九番 遠藤行洋君登壇)
○十九番(遠藤行洋君) ありがとうございます。
 私は、最後の一球、渾身の力を込めて知事の胸元に投げ込んだつもりなんですけど、何か十個ぐらいボールが返ってきたような思いで、肝心の渾身の力を投げ込んだストレートが返ってこなかったなというような感じがするわけです。
 わかりました。何とも再質問のしようがありませんが知事の思いを受けとめまして、まだまだこの静岡県政に対しての意欲をお持ちであるというふうに理解をしてこれで質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(藪田宏行君) これで遠藤行洋君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 二月二十七日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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