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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/20/2017

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 浜岡原発について                        
 (1) 浜岡原発一、二号機の廃止に伴う放射性廃棄物          
 (2) 浜岡原発における最近のトラブルの発生             
2 清水天然ガス火力発電所建設計画について             
 (1) 環境への影響                         
 (2) 清水都心ウオーターフロント地区との関連
3 ワサビの世界農業遺産に向けての取り組みについて         
4 林業の振興について                       
5 公契約条例について


○副議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開いたします。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十四番 小長井由雄君。
       (三十四番 小長井由雄君登壇 拍手)
○三十四番(小長井由雄君) 私はふじのくに県民クラブ所属議員として、知事、副知事及び関係部局長に通告に基づき一括質問方式で伺います。
 最初に、浜岡原発についてのうち、浜岡原発一、二号機の廃止に伴う放射性廃棄物について伺います。
 中部電力が二〇〇九年に浜岡原発一、二号機の廃止を決定してから九年が経過しました。現在は廃止措置計画に基づき段階的に解体撤去工事を実施しているところで、計画されている四段階の区分のうち第一段階の解体工事準備期間が終わり、現在は二〇二二年度までの完了を見込む原子炉領域周辺設備解体撤去期間に入っているということであります。その後は第三段階の原子炉領域解体撤去期間、第四段階の建屋等解体撤去期間となり、計画どおりに進めば二〇三六年度までに廃止作業を終了することとなっています。
 廃止措置の工事に伴う撤去物のうち、放射性廃棄物の量は一、二号機の合計で約二万トンの発生を見込むということです。今後原子炉の解体へと進んでいくと放射能レベルの高い放射性廃棄物が発生してきます。現在は東日本大震災の福島第一原発事故を受け、国の要請で三、四、五号機も停止されてはいますが、敷地内には放射能を帯びた多量の廃棄物が存在しており全く危険のない状況であるとは言い切れないと思います。
 一、二号機の廃止に伴う放射性廃棄物の発生や敷地外への搬出について、県への報告はどのようにされるのか、またそれに対して県はどのように対応することになるのか伺います。
 次に、浜岡原発における最近のトラブルの発生について伺います。
 浜岡原発は、二〇一一年から全機停止していますが、だからといって安全であるということではありません。原発施設ではわずかなミスで重大な事態に陥ることもあります。したがって完全に解体撤去が完了してしまうまでは目を離すことのできない施設でもあります。停止中のこの六年間にも事故やトラブルが発生しています。最近では原子炉建屋からの放射性物質の放出を防ぐ設備が不適切な状態のままで核燃料を取り扱う作業をしたということがありました。これは原子炉施設保安規定の違反のうち四段階で二番目に重い違反とされているものです。
 また、原子炉内の蒸気を放出するときに放射性物質を除去するフィルターを備えた三、四号機のフィルターベントの設置工事では金具百十九個が不適切に取りつけられていたという問題も発生しています。このようにヒューマンエラーも少なからず発生しております。
 全機停止してから六年間が経過する中、安全を維持確保するという点で不安がなくなりませんが、県の認識を伺います。
 次に、清水天然ガス火力発電所の建設計画についてのうち、環境への影響について伺います。
 清水港は、三保半島に囲まれた日本屈指の良港であり、清水のまちは海とともに発展してきました。高度成長時代には鉄鋼業などの工場が立ち並び輸入木材を利用した製材業も盛んであり、漁業基地としても大型漁船が寄港し造船業などの港湾関連産業が栄える活気あふれるまちでした。
 しかし近年、産業構造が大きく変化する中でこれまで清水を支えてきた重厚長大型の産業は衰退してきました。そのような中で静岡県と静岡市は交流人口の拡大を目指した港づくりを進めるという共通の目標を持って、JR清水駅周辺から清水港の江尻地区と日の出地区一帯を清水都心ウオーターフロント地区と位置づけ平成二十四年から活性化に取り組んでいます。これまで官民による清水港客船誘致委員会の取り組みや富士山の世界遺産登録、世界で最も美しい湾クラブへの加盟、クルーズ船の寄港急増など交流拠点の創出に向けた動きが活発になっています。
 また静岡市は、海洋産業の拡大と人材育成を一体で進める国際海洋文化都市の実現を目指して新しい清水都心づくりに取り組んでいるところであります。静岡市は先日、国内では最深の駿河湾の魅力などを紹介する海洋・地球に関する総合博物館をコンセプトとして整備を進める清水港海洋文化拠点施設の基本構想を発表するなど、教育、観光振興を推進し港湾工業都市からの転換を図り、二〇一九年には開港百二十年を迎える港町清水の新しいまちづくりを進めようとしています。
 このような中で、旧東燃ゼネラル石油などにより設立された清水天然ガス発電合同会社によりJR清水駅、魚河岸、駅前商店街、住宅地、高層マンションなど人口の密集する場所からわずか数百メートルの隣接地へ出力合計約百十万キロワットの天然ガス火力発電所の建設計画が進められています。計画では二〇一八年着工、二〇二二年度中の稼働を目指して建設するということであります。現在までのところ建設計画に係る諸手続のうち環境影響評価については、計画段階での配慮事項の検討結果を記載した配慮書、アセスする項目や方法などを記載した方法書が事業者から知事に送付されておりますが、大気環境、水環境、生態系、景観、地盤、液状化、漁業等、重要だと考えられる項目について送付時には現況での環境調査と予測、評価の予定されていない点がたくさんあります。
 火力発電所が建設されることによる清水地区の環境への影響について、どのように認識しているのか伺います。
 次に、清水天然ガス火力発電所と清水都心ウオーターフロント地区との関連について伺います。
 清水港は、昭和三十九年に最初の臨港地区が指定された当時と社会的・地理的環境が変化してきております。本年一月には官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾の一つに選定されました。このことは世界遺産富士山、世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾など知事が言うところの場の力が評価されたものであります。
 このような世界クラスの国際クルーズ拠点の形成に向けて取り組んでいる清水都心ウオーターフロント地区近接地に火力発電所を建設することについて、知事の御所見を伺います。
 次に、ワサビの世界農業遺産に向けての取り組みについて伺います。
 静岡県でワサビが栽培されるようになったのは慶長年間、一五九六年から一六一五年です。当時駿河の国安倍川上流の有東木村において、村人がワサビ山と呼ぶ山の渓谷一面に自生しているワサビをとって湧水に植えたのが始まりです。育ちがよかったので、そこかしこに谷川の水を引いて小規模ながら栽培を行うようになったと伝わっています。
 当時、駿府城に隠居していた徳川家康公に有東木の庄屋からワサビが献上されました。家康はその香辛味と甘みのすぐれていることを賞賛し、有東木のワサビは門外不出の天下の御法度品になったと言われています。そして四百年の時を経て本年三月、知事が会長を務める静岡わさび農業遺産推進協議会が申請した静岡水わさびの伝統栽培(発祥の地が伝える人とわさびの歴史)が農林水産省から日本農業遺産として認定されるとともに、世界農業遺産の認定申請が承認されました。世界農業遺産として認定され、静岡県で五十三番目の世界クラスの資源、人材群に加わることを期待しています。
 本県では、平成二十五年五月に静岡の茶草場農法が世界農業遺産の認定を受けていますが、静岡のワサビ栽培についても世界農業遺産の認定を受けることがまずは第一歩であります。関係者、関係団体の皆様が一丸となって認定を目指していただきたいと思っています。
 そこで、静岡水ワサビの伝統栽培において、世界農業遺産に向けたスケジュールと農業遺産の認定によりどのような効果が期待されるのか、あわせてワサビの生産振興に向けた今後の県の取り組みについて伺います。
 次に、林業の振興について伺います。
 第一次産業におけるICTの活用は、さまざまなテーマで研究開発が進行しており、農業分野では施設園芸における環境制御技術の導入やGPS等を利用した無人走行トラクターのロボット化など一部では既に商品化、実用化されているものもあります。一方自然や立地条件がさまざまでありパターン化した生産ができない林業分野においては、こうしたICTの活用は難しいものと認識しておりました。しかし本年五月末に静岡県森林・林業・林産業活性化促進議員連盟が実施した先進地視察の一員として長野県内の大型製材工場やビッグハットで開催された国際ウッドフェア二〇一七を視察したところ、林業の分野においてもICTの活用が進んでいることを実感いたしました。大型製材工場は森林資源を無駄なく活用しその利益を山側に還元することで林業を産業として復活させ、森林の再生や木材産業の振興を図る取り組みである信州F・POWERプロジェクトのメーン施設として新たに建設されたものでした。ここでは製材された材料を超高速カメラでスキャニングし、寸法や製品の欠点を感知してグレード分けし適材を自動的に組み込んで、これまで活用が進んでいなかったアカマツやナラなどを材料とした製品が次々と製造されていました。
 また、同時に視察したウッドフェアには本県内でも普及が進んでいる立木の伐採から玉切りを行い丸太を生産する機械であるハーベスタなど国内外から高性能の林業機械や木質バイオマスを中心とした最新の製品、技術のほか、行政、大学機関の取り組みなど幅広く展示されていました。特に立木の本数や大きさを小型無人機のドローンやレーザセンシングの技術を用いて正確に効率的にはかる技術には大変驚かされました。山の木を一本一本はかるのは大変手間のかかる作業であり、ドローン等の活用により木の太さ、高さ、形状が自動的に短時間ではかることができることは林業経営に最も重要な生産計画の精度を高めその作成作業の軽減・効率化につながるものと実感できました。これにより計画生産が可能となり、ビジネスとしての林業の促進や人材不足の改善も図ることが期待できます。実用化の間近なものや既に商品化されたものもありICTによる次世代型林業の技術は加速的に進んでおりますが、そうした技術や商品はまだまだ高額であり導入をためらわせる要因にもなっています。
 今後林業の振興にはICTによる次世代林業技術の取り組みが重要だと考えますが、どのように取り組み普及させていくのかお伺いします。
 次に、公契約条例について伺います。
 県は、公契約を締結し多くの事務事業を執行していますが、公契約の原資は貴重な税金であることから経費の節減など効率的に執行するのは当然であります。しかし一方で公契約に従事する労働者は行き過ぎた価格競争によるダンピング受注などによって雇用不安、労働条件の劣悪化、担い手不足などのさまざまな問題にさらされているという指摘もなされています。
 平成二十六年国においては、公共工事品確法、入契法、建設業法のいわゆる担い手三法を改正し、以降も建設業における社会保険加入指導を徹底するほか技能資格、職歴をデータベース登録して見える化する建設キャリアアップシステムの導入を決定するなどインフラの品質や担い手確保の措置を講じております。
 本県でも、公契約に従事することの多い建設業において社会保険の加入指導の徹底や公共工事設計労務単価の引き上げによる適切な予定価格の設定、また静岡どぼくらぶを立ち上げ、建設事業の重要性や仕事としての魅力を紹介する取り組みなどにより建設業の人材確保に尽力してきました。
 しかしながら、昨今の少子高齢化により人手不足がさらに進みさまざまな業種において担い手の確保が大きな課題となっております。例えば県内の建設業にあっては、平成二十八年にはその就労者はピーク時から約三四%の減少、また平成二十七年の就業者割合は五十歳以上では四六・四%、三十歳未満は九・八%となっており将来的な人手不足が危惧されている状況であります。
 担い手確保はもちろん、雇用の安定化等のためには現場で働く労働者や職人の賃金をしっかり確保すべきで、特に長い年月をかけて身につけた技術・技能が労働条件面で十分に評価されるべきであります。また長時間労働の是正などの労働関係法令の遵守、社会保険等の加入などの労働環境を整えることも必要になります。担い手を確保し雇用を安定化させることは地域産業の維持発展、ひいては地域経済の活性化につながることから、これらに資する入札制度の運用面での改善だけでなく公契約条例が有効な手段であると考えます。
 他県では、建設工事だけでなく業務委託などの契約も対象にして、適正な労働環境の確保に加え障害者雇用、男女共同参画社会の推進など社会的価値の実現を図る公契約条例を制定する取り組みが進んでおります。
 例えば、長野県、岐阜県や愛知県ではそうした基本理念や方針を定めた条例を制定し、奈良県や岩手県では地域別最低賃金の支払いや社会保険等加入の遵守を義務づけた条例を制定しております。実際に条例が施行されてから一年から二年程度でありますが、今後その成果が期待されるものであります。
 本県では、平成二十六年九月定例会において我が会派の林議員が条例化に向けた検討に入るべきであるとの質問をしておりますが、その後の取り組み状況と今後の考え方を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 小長井議員にお答えをいたします。
 ワサビの世界農業遺産に向けての取り組みについてであります。
 静岡水ワサビの伝統栽培は、静岡市有東木地区において初めて栽培されて以降四百年にも及ぶ歴史と和食文化への貢献、豊富な湧水を活用した独自の栽培技術と生物多様性の保全、すぐれた景観などが評価され本年三月に日本農業遺産に認定されましたことは議員御指摘のとおりでございます。五月には私が会長を務める静岡わさび農業遺産推進協議会から世界農業遺産認定の申請書原案を農林水産省へ提出したところであります。今後九月に予定されている国内専門家へのプレゼンテーションを経て国連食糧農業機関へ正式に申請する予定となっております。
 今後、世界農業遺産認定を契機に国内だけでなく海外からも注目が高まり、ブランド力もますます向上すると見込まれます。そこから生産者の方々も一層誇りを持ってワサビ栽培に取り組まれることが期待されます。
 また、観光交流客が増加することが見込まれる中、ワサビ産業のみならず宿泊施設、直売所など山間地域の活性化にも好影響が期待されます。さらにワサビ田の保全に向けた機運が高まることで地域の子供たちの環境学習や企業の社会貢献活動への波及も想定され、これを期待しております。地元では来訪者の増加に対応するためワサビ田周辺の遊歩道の設置を検討されていますので、県は受け入れ体制の整備について支援をしてまいります。
 さらに、協議会が主体となりまして複数言語によるホームページやパンフレットを作成いたします。そのことにより独自の栽培方法や樹木に囲まれ四季折々に移り変わる景観など、静岡ワサビの、またそれを取り巻く環境の魅力発信に取り組んでまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みに加え農林技術研究所が開発いたしました生育が早くこれまでの品種に比べ生産量の増加が期待できる新品種「伊づま」の普及や優良種苗の安定供給技術の確立、ワサビの運搬等の作業省力化のための作業道並びにモノレールの整備の支援等により生産振興を図ってまいります。あわせまして名実ともに日本一のワサビ産地として、静岡ワサビのブランド力強化に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(山田 誠君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 林業の振興についてお答えをいたします。
 県内の成熟した森林資源を有効に活用し、林業や木材産業の振興を図るためには製材工場や合板工場等の需要者のニーズに応じた県産材の安定的な供給が極めて重要であることから、木材流通全体で需給の最適化を図ることが求められています。
 このため、森林・林業研究センターでは今年度からICTを活用して森林資源の状況、林業事業体の丸太の生産場所や量、生産時期等の供給情報と木材加工業者が希望する量や納期、材質等の需要情報を一元的に管理するシステムの開発に着手をいたしました。さらに木材流通のかなめである静岡県森林組合連合会と連携し、システムの実用化に向けそれを動かす木材需給コーディネーターや原木選別評価士などの人材育成に取り組み、木材生産、流通、加工にかかわる全ての関係者が参加できるプラットホームを構築してまいります。
 また県は先月、林業関係者を対象に技術革新セミナーを開催をいたしました。セミナーではドローンや地上からのレーザー照射により一本一本の立木を高い精度で効率的に計測する技術など森林資源の状況を把握する最先端のICTを紹介をしました。
 県といたしましては、このようなセミナーなどを通じICT活用の機運を高めるとともに、ICTによる次世代林業技術を開発しこの技術を各地域の林業事業体や木材加工業者が活用することで林業の成長産業化を進めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 杉保危機管理部長。
       (危機管理部長 杉保聡正君登壇)
○危機管理部長(杉保聡正君) 浜岡原発についてのうち、浜岡原発一、二号機の廃止に伴う放射性廃棄物についてお答えいたします。
 中部電力の計画では、浜岡原子力発電所一、二号機の廃止措置に伴い発生する約二万トンの放射性廃棄物のうち、平成三十四年度までの予定で現在進められている第二段階では約四千トンが発生する見込みであります。この放射性廃棄物については現時点では処分先が未定であり、当面は一、二号機の建屋内に金属容器に入れて貯蔵し安全に保管するとしております。
 放射性廃棄物の適切な管理は浜岡原子力発電所の安全上重要な課題であります。県は中部電力と締結した浜岡原子力発電所の安全確保等に関する協定に基づく四半期ごとの定期通報により、設備、機器の解体撤去の状況やそれに伴う放射性物質を含む廃棄物の発生量を把握するとともに、保管の状況を現場で確認してまいります。
 また今後、放射性廃棄物の処分先が決定され敷地外に搬出することになった場合には、低レベル放射性廃棄物の輸送の安全確保に関する協定に基づき具体的な輸送計画について中部電力と事前に協議し、実際の搬出時には県の職員が立ち会い放射線量を把握するなどして安全が確保されていることを確認することとしております。
 原子力発電所においては安全の確保が何よりも重要であり、県といたしましては、県民の安全と安心を第一に中部電力に対して放射性廃棄物の安全な管理の徹底を求めてまいります。
 次に、浜岡原発における最近のトラブルの発生についてであります。
 浜岡原子力発電所では、平成二十六年度以降火災報知機の誤作動などの軽微な事例を除き三十三件のトラブルが発生をしており、そのうち十一件はヒューマンエラーを原因としております。ヒューマンエラーは大きな事故につながる可能性を秘めており県も憂慮しているところであります。特に御指摘のあった二件は原子力発電所の安全確保上重要な設備で発生したものであるとともに、個人のミスにとどまらず部署間や関連会社とのコミュニケーション不足を原因としており、中部電力の安全に対する意識の低下も懸念され、原子力発電所を管理する組織として県民の信頼を揺るがしかねないものと認識しております。
 県といたしましては、これらの事案については報道機関に公開の場で中部電力に説明を求め、直接的な原因はもとより発生につながった管理体制の問題等組織としての根本的な原因究明と再発防止対策の徹底を要請しているところであります。原子力発電所においては安全の確保が何よりも優先され、それは運転を停止してしていても変わらないものであります。中部電力には全社を挙げての対応を求めているところであり、今後現場での点検を含めその取り組みをしっかりと確認をしてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 清水天然ガス火力発電所建設計画についてのうち、環境への影響についてお答えいたします。
 事業が予定されている清水地区は、多くの人々が居住する生活の場であるとともに、清水港周辺のにぎわいやクルーズ船の寄港など人々が集う交流機能を有しております。また世界遺産富士山やその構成資産である三保松原等のすぐれた景観に恵まれており、事業実施に当たってはこうした地域特性を踏まえ、環境の保全について十分に配慮をしていくことが重要であると認識しております。
 このため、県では環境影響評価審査会の答申を踏まえ、事業者に対して騒音や振動、排出ガスなどによる地域住民の生活や清水地区を訪れる人々が集う施設への影響や煙突などの配置が富士山を仰ぎ見るこの地域の景観に及ぼす影響を回避、低減するように求めてまいりました。また発電所からの排水に伴う水の汚れや水温の変化が海域に生息する動植物に及ぼす影響など事業者が選定していない項目についても調査、予測及び評価を行うように求めてまいりました。
 さらには、南海トラフ巨大地震等への災害に対する安全対策につきましても地域住民等に丁寧な説明を行い懸念の払拭に努めるとともに、十分な検討を行い万全の対策を講じるよう意見を述べてまいりました。
 今後、事業者から環境影響評価の準備書が提出されることになります。県といたしましては、県全体の環境保全に係る計画や政策との整合性等の観点からその内容を精査し必要に応じて意見を述べてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木交通基盤部長。
       (交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 清水天然ガス火力発電所建設計画についてのうち、清水都心ウオーターフロント地区との関連についてお答えいたします。
 清水港袖師地区における火力発電所建設予定地は、発電所の立地も可能な工業港区としてかねてより指定されております。当該工業港区はLNGタンクや石油タンクなどが設置され、県内各地域へのエネルギー供給を支える重要な役割を担っております。
 県が静岡市等と設置した清水都心ウオーターフロント地区開発推進会議では、対象エリアとなります江尻地区、日の出地区に近接する工業港区の状況を認識した上で江尻、日の出両地区の魅力を一層高める清水都心ウオーターフロント地区開発基本方針を策定し、にぎわいと交流空間創出の方向性を示したところです。火力発電所の設置に関しましては社会的影響が大きいことから、事業者は電源開発手続を進める過程で環境影響評価などの必要な手続を行うとともに、地元住民への十分な説明が求められるものと考えております。
 県といたしましては、このような経過を経て経済産業大臣が工事計画を審査しこれを受理した場合には港湾管理上の必要な行政手続について関係法令に基づき適切に対処してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 杉山出納局長。
       (出納局長 杉山行由君登壇)
○出納局長(杉山行由君) 公契約条例についてお答えいたします。
 県では、平成二十六年度に公契約のあり方を検討する庁内ワーキンググループを設置し先行して条例化していた奈良県や岩手県の制定経緯や内容を調査研究したほか、二十七年度には県が締結した公契約に係る賃金等の実態調査を行いました。その結果回答があった約二千二百契約において地域別最低賃金については全ての契約で遵守されている一方、社会保険等については工事請負契約において約八%が未加入でありました。
 このため県では、県発注建設工事の元請や一次下請に加え今年度から二次下請以下についても社会保険等の加入を求めることとしております。この取り組み以外にも、総合評価方式の入札過程において新卒者の雇用実績や仕事と家庭の両立を支援する取り組みなどを評価項目に加える改善を行っております。
 今後労働力人口の減少が見込まれる中、本県産業を担う人材を確保するため働く人々が活躍しやすい環境を整備することが求められ、本県の公契約に従事する方々につきましても労働環境の改善を積極的に進める必要があると考えております。こうした認識のもと、その後新たに公契約条例を制定した愛知県を初め奈良県などにおける条例施行後の実情を調査するほか、事業者を初め関係団体の御意見も頂戴しながら条例制定も含めた公契約のあり方について検討してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 小長井由雄君。
       (三十四番 小長井由雄君登壇)
○三十四番(小長井由雄君) それぞれにお答えありがとうございました。
 それでは、要望二件と再質問三件、お伺いいたします。
 まず、浜岡原発における最近のトラブルの発生に関して、南海トラフ地震や東海地震では浜岡原発の直下が震源地になるというふうに予想されております。これによって原発の機器への重大な影響が懸念をされるところであります。
 先ほど二件のトラブルを紹介しましたが、あのような状態でもし稼働中に事故があれば重大な事態に陥った可能性のあるトラブルです。全機廃炉が県民の安全のためには重要だと考えますが、県民の命を守るを第一に掲げている川勝県政では知事が記者会見でおっしゃったように浜岡原発は再稼働させないという方針を貫いていただくことを強くお願いいたします。
 次に、公契約条例についてでございます。
 今、お答えで検討していくというふうにお答えをいただきました。検討していくための学識経験者や事業団体、労働団体、あるいは業界関係者、こういった方たちによって構成される検討会議の設置が求められると思いますのでぜひともその方向でやっていただきたいと、これ要望いたします。
 次に、清水の天然ガス火力発電所についての質問をいたします。
 環境への影響、現在事業者から環境影響配慮書、環境影響評価方法書が送付されており、その後出力規模も変更されておりますが、環境に関して大きな問題があると専門家が指摘しています。
 例えば、大気環境については局所風による大気拡散のシミュレーションが行われておらず、特に海岸部で発生する海風前線による逆転層による評価が不足しています。また煙の大気拡散現象であるダウンウォッシュ、ダウンドラフトの予測評価も必要だと思います。つけ加えれば、清水地区の地形は西に有度山、北側に南アルプスの山麓に囲まれているため排出物質が上空によどむ形になっております。また供用開始に伴い大量の湿潤な水蒸気、この百十万キロという出力でございますので多分一日に二万九千立方の水が蒸発すると。これは通常の小中学校のプールの六十杯分の水が蒸発するというふうになるかと思います。これは住民の生活に大変大きな影響を及ぼすことになります。
 また、水環境においてはマイナス十度の冷排水が大量に清水港湾に排出されるにもかかわらず、周辺海域の塩分濃度、水質の変化に対する影響評価がされていません。この排水による生態系に与える影響も評価はされていません。
 また、景観においては清水の景観は富士山と三保松原、日本平とが一体の景観を高く評価されているものであります。クルーズ船の誘致を推進していることから、海上からの景観が重要であるにもかかわらずそれも評価をされていません。
 さらに、地盤液状化については二次的被害が発生すると周辺に甚大な被害をもたらすことが予想されております。しかし地震の液状化が環境影響評価の対象になっておりません。漁業においても排水の水質、特に水温の変化による駿河湾の特産であるサクラエビ、シラウオ等に与える影響も評価をされていません。
 以上のように、この建設計画は環境に与える影響が非常に大きいにもかかわらずそう評価されていない点が多々あります。これから準備書が出されるということで、どんな扱いなのか、それもありません。特に大気については生物指標として亜硫酸濃度が〇・〇三%になると示すというウメノキゴケという地衣類があります。清水市街地ではこのウメノキゴケは現在確認できないということです。この上さらに大気を悪化させる要因を持ち込むのかどうかという判断もしなければなりません。
 以上、環境に関しての問題点について指摘しましたが、どのような問題意識をお持ちか、御所見を伺います。
 次に、清水都心ウオーターフロント地区との関連について伺います。
 一九九〇年代に三保に石炭火力発電所建設計画が持ち上がりました。当時の議事録を読むと県議会で建設の是非について活発な議論が展開されております。当時の斉藤知事は平成四年二月二十六日の知事議案説明において、長期的、広域的な視点に立って三保地域、清水港、静清庵地域のあるべき姿を考えたとき、エネルギー基地の立地にはより広域的な見地から適地を広く探すことは可能であっても三保の景観や清水港の諸機能、有限に等しい海洋資源を他に求めることは不可能と言っても過言ではない、将来の中部日本の海の玄関口清水港、静岡県の中枢、静清庵において計画されていることには大いに疑問が持たれるとして火力発電所の立地については適当とは言いがたい、賛成しかねると。地元清水市においても地域の振興、活性化についてはいま一度再考を要するものであるというふうに所信表明されております。まさにこの選択により三保松原は富士山世界文化遺産の構成資産に登録されたことになります。これによって世界との交流拠点の創出、世界クラスのクルーズ拠点の形成に向け、また清水都心ウオーターフロントと位置づけての活性化に取り組むということが可能となっています。
 今回の火力発電所の建設予定地は、県と市が一緒に推進し県も投資している清水都心ウオーターフロント地区に近接しており清水地区の港を生かしたまちづくりに影響を及ぼすものと考えます。
 この近接地に火力発電所を建設することについて再度、知事の御所見をお伺いいたします。以上、答弁を求めます。
 すみません。もう一つ、ワサビの世界遺産に向けての取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 このワサビでは、メリクロン苗の生産というのが非常に生産者から求められております。メリクロン苗の施設の整備、これについての考えをお伺いをいたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 清水天然ガス火力発電所建設計画についての再質問にお答えいたします。
 私は、小長井議員がこの火力発電所について披歴されました見解はまことにもっともなことであるというふうに考えております。
 まず第一に、この環境影響評価についてでありますが、大気、水にかかわる影響については御指摘のとおりだと存じます。また景観についても同じであります。これにつきましてはこの計画が持ち上がりましたときの経緯というのがございます。平成二十三年、三・一一の事故がございまして、御案内のように関東首都圏におきましては東電の管轄内で電力不足が厳しく生じました。周波数が違いますので、したがって六十、五十、これを変えねばなりません。そんな周波数を変える場所というのは長野県の朝日村と佐久間、そしてこの清水にしかありませんで、当時は百万キロワット分しか変えられなかったと。今はそれが二百万キロワット以上に増強中です。ともあれ、その当時の事情というのは電力不足をどうするかということでありました。私はJビレッジにまいりました。そこで広野というところがございまして、百万キロワットの火力発電所が建設されておりました。すなわちこれから原発が使えない以上代替エネルギーとしてすぐに建設ができて、技術を持っているのは火力発電だということであったわけであります。
 私は、そうした脈絡の中でこの火力発電所の計画が持ち上がったというふうに考えております。あそこのところはまさにこの周波数を変える場所でもありますし、したがってエネルギーという観点からとると極めて合理的な判断であったと思います。
 一方、環境あるいは景観、あるいは観光というその観点は当時は比較的希薄であったと存じますが、しかし今はまさにその観光立国、あるいは環境、こうしたものに対する関心が極めて高まっております。むしろこれが中心にさえなっているのが今の現状ではないかというふうに存じます。
 そうした中で、交通基盤部を中心にふじのくに静岡県全体を回遊式庭園にしようと、そしてまた三十五市町はそれぞれガーデンシティーというふうに位置づけようと、そしてまたそれぞれめぐるところには富士山あり、伊豆半島あり、南アルプスあり、浜名湖あり等々、それぞれ世界クラスの美しい自然景観群があるということ、そしてまた静岡県には美しく品格のある邑として認定されているものが百以上あります。その中でも日本で最も美しい邑に認定されているものが二つございます。
 こうした事柄が何を意味しているかというと、静岡県はまさにその庭園の地域であるということでございます。そうしたことと、あそこに火力発電所があるということが果たして合うのかどうかということが問われると存じます。環境、景観、そうしたこととエネルギーと、どちらをとるかということでございますが、おのずと結論は出ているというふうに私は思います。
 それから、ウオーターフロントとの関係ですけれども、県市一体でやっておりますけれども、ウオーターフロント、これは今まさに海洋文化都市をつくろう、あるいはクルーズ船の拠点港となろうと、そしてそれが国交省から認めていただいて、まさにこの観光立国を今、清水港を拠点としてやっていこうということでございますから、それと火力発電所があることと、それを促進することになるのかと、観光をですね。ならないと思います。
 しかし、議員御指摘のとおりこれは県市一体でやっていかなくちゃいかんということであります。ですから歩調を合わせることがとても大切でございまして、この歩調を合わすのに若干時間が要るかなというふうに私は思っておりまして、余り過激な発言をするとまたハレーションを起こしかねないのでですね。しかしこの件について小長井議員が言われた事柄に満腔からの賛意を表しまして、御懸念についても共有しているということを申し上げたく存じます。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 吉田農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(吉田 茂君) ワサビの世界農業遺産登録に向けての取り組みについてのうち、静岡水ワサビの伝統栽培のメリクロン苗について再質問にお答えさせていただきたいと思います。
 この静岡水ワサビの伝統栽培持続のためには、もちろん優良苗の確保が大事でございまして、そのためには議員御指摘のありましたメリクロン苗、これはワサビの成長点を、これはウイルスがいない状態でございますので、これを無菌的に培養して苗をつくることによってほぼ無菌に近い苗が得られるということでございます。静岡県でもこのウイルスフリーのメリクロン苗を使ってございますが、これも議員の御指摘にございましたように本県では北海道の士幌農協、あるいは山梨県の種苗会社といった他県に生産を依頼しているところでございます。
 このような他県の生産が、やや時間もたって不安定になってきたこともございますことから、現在県内各産地では種苗、育苗施設の整備をしようということが盛り上がっております。安倍におきましては安倍山葵業組合の有志が育苗施設を既に建設をしていただいておりますし、伊豆市等におきましてもそのような計画がございます。
 このような中で、メリクロン苗施設の設備が計画を盛り上がってくれば、県といたしましてもこれに対しまして何らかの支援の方法を検討をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 小長井由雄君。
       (三十四番 小長井由雄君登壇)
○三十四番(小長井由雄君) ありがとうございました。
 これは平成二十六年の統計ですけれど、国土交通省中部地方整備局のホームページによりますと、クルーズ船が一回清水港へ来るとその経済効果は六千四百万円と非常に大きな経済効果があるということでございます。知事もこの清水港について非常に私と同じような考えを持っていていただけるということは、ありがたいと思っております。
 知事、選挙が終わりましてから仏の川勝になるということでございます。静岡市と県とともに選挙後に始める第一歩としてこの清水の火力発電、これについてどうするかということをぜひ静岡市の田辺市長と話をしていただきたいと、そんなふうに思っております。清水は、斉藤知事が三保松原を守ってきたと同じように、ここの、今非常に、あのときには玄関先にかまどというようなこともおっしゃいましたけれども、これはもう既に応接間に入っているわけでございます。裏には居間があるわけでございますので、ぜひともこの清水港について静岡市と手を携えてやっていただきたいとそんなふうに思っております。以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

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