本会議会議録


答弁文書

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平成29年9月静岡県議会定例会

江間 治人 議員(自民改革会議)の 代表質問 に対する答弁

(質問日:09/25/2017番目)
答 弁 者知事


○知事(川勝平太君) 江間議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、県民本位の施策決定についてであります。
 県民本位というのは、日本国憲法にうたわれている国民主権、主権在民を言いかえたものであります。言いかえますと、私は主役はオール県民であるという視点に立ちまして民力の向上、県民幸福度の最大化に向けまして、みずから現場に赴き現場で学び現場に即した政策を立てる、いわゆる現場主義を徹底し県政運営に取り組んでまいりました。
 知事広聴や移動知事室などで県内各地に赴いた回数は二千回を超えております。わかっているところの正確な数字では先月末、八月三十一日までに二千三百四十八回でございます。地域で頑張っておられるさまざまな分野の皆様と直接対話をし政策に反映してまいりました。昨年江間議員の御紹介によりまして磐田の児童福祉施設に赴くことができました。その施設が老朽化していることは明らかでございましたので、すぐに検討をいたしまして本年度の当初予算で基本計画を実施するということを決定したのは御案内のとおりでございます。ありがとうございました。
 このように、私は現場を大切にしておりましてこの姿勢は職員にも浸透しております。いわば、チーム川勝一丸となって県民の皆様の声の把握と県の施策への反映に努めているところであります。
 また、総合計画は県民の県民による県民のためのマニフェストであると捉えております。これの推進に当たりましては、本県独自のPDCAサイクル、プラン・ドゥー・チェック・アクションというこのサイクルを徹底いたしまして県議会や県民の皆様の評価を反映して柔軟に施策の改善を図りながら取り組んでいるところであります。
 これまで、東日本大震災やリーマンショック、円高不況などの社会経済情勢の変化に直面しつつも地震・津波対策アクションプログラム、雇用創造アクションプラン、産業成長戦略等々、官民一体となって取り組み県民生活にかかわるさまざまな課題に対応してまいりました。こうした取り組みによりまして総合計画はおおむね順調に進捗が図られております。
 一方、日本国が直面する少子高齢化の進行や不透明感を増す社会経済情勢の影響などによりまして多くの県民の皆様が日常生活や将来の生活に不安を抱えておられます。そのことは県政の世論調査の結果にもあらわれています。これを正面から受けとめ県民幸福度の最大化に向けてさらなる施策の改善を図ってまいりたいと考えております。今議会におきましては、こうした改善点を含め後期アクションプランの総括評価について御意見をいただきますとともに、今後県議会の皆様からの御提言や各界各層の県民の皆様から御意見を幅広くお伺いし次期総合計画に積極的に反映してまいります。
 それにつきましての基本的姿勢は、議員御紹介いただきました五箇条の御誓文の第三条「官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス」ということでございますが、その一条、二条もあわせて重要であります。「広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ」、「上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ」とこういう姿勢に立ちまして、県議会や各界各層の皆様とオープンな議論を行い常に県民本位の施策決定に努めてまいります。オール静岡の総力を結集し県民誰もが希望や夢をかなえ幸せに暮らすことのできるドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点づくりに邁進してまいりますので、御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、次期総合計画策定の方向性についてであります。
 次期総合計画につきまして、幅広い観点から御意見を賜りましたことに厚く御礼を申し上げます。
 総合計画は、県民の皆様と地域の将来像を共有し、ともに地域づくりを進めていくための基本であります。まず県政の責任者である知事たる私が今後の県づくりの基本方向をお示しした上で県民の皆様から御意見を頂戴し、活発に議論する中で共通認識を培っていくことが重要であると考えております。まさに五箇条の御誓文のとおりでありまして、この理念は明治以来生きておりかつ戦後日本が出発するときにも昭和天皇が一九四六年一月一日にこれを暗唱せられまして拳々服膺してこられたものであり、本議会においても私は同じ姿勢をとっているわけでございます。
 さて、こうした考えに基づきまして御質問の四点についてお答えいたします。
 初めに、富士の国についてであります。
 本県の公式名称は言うまでもなく静岡県です。明治九年に正式に決まりました。一方本県をあらわすのに駿河、遠州、伊豆といった表現もございます。磐田市民であり静岡県民であり日本人でありアジア人であり、そのような人はあるいは地域は重層的なアイデンティティーというものを持っております。
 富士の国という呼称は、私は誰が言い出したか知りませんがそれを調べました。一九八五年に平仮名でふじのくにと題した冊子が生まれておりましてこれは静岡県を意味しております。したがいまして昭和の末年ごろから一般に流布していた静岡県の別称であるというふうに存じます。また静岡県に空港ができましてその空港の就航先に御挨拶にまいりますとき、それをふじのくに交流団と言っておりました。その私は団長を務めたということでこの名称には非常に関心を持ったわけでございます。さらにまた東京で一年に一回大きな静岡県にゆかりの方々が集まられる交流会がありますが、これもふじのくに交流会というふうに称しております。したがって静岡県とふじのくにというのはほとんど一体的に使われているということであります。
 一方、この名称は漢字によって山梨県が富士の国と称するようになりました。私どもは平仮名だということで、向こうは漢字でどちらがレベルが高いかなどと冗談めかして言う人がいましたが振り仮名を振れば同じことであります。
 そうしたことで、今回私はこの富士山の富士という字義、字の意味を呈した富国有徳、四字熟語にしたそういう地域づくりを進めることを明確にしようというふうに思っております。富と立派な人間というふうに書いておりますので、富は人材づくりに使う、立派な人材が富をつくると、こういうものとしてのあの山に対する日本人の思いが誰が決めるともなくつけたものであります。不死、不二、不尽、さまざまな字が当てられてまいりましたけれども、国民の総意によって富と士というのが当てられております。この字義は、字の意味はとても重要であると考えるわけであります。富を富のためだけに追求するとこれはもう何と言いますか、あの金の亡者ですね。やはり人のために使わなくてはいけないというふうに思うそういう理念がこの富士の字にあらわれているということでございます。
 その富士の字義を四字熟語にすれば、富者は有徳でなくちゃいけないし富国は有徳でなければならない。一方で貧国ではあってはならない。つまり貧しい国であってはならないと。やはり貧すれば鈍すと言われますように貧困は克服しなくちゃなりません。富をつくる、しかしそれ自体は自己目的ではない人のためにつくるんだというそういう考え方でございまして、そういう思いを込めまして振り仮名を振った漢字で富士の国を発信してまいりたいと考えているところであります。
 次に、理念についてであります。
 今日の日本は、世界の抱えるさまざまな課題を経済力、人材力、技術力で克服し誰もが平和で安心して暮らすことのできる物心ともに豊かな国になり人生の夢を実現できる社会になることが期待されております。かつてはジャポニズムという言葉がありました。今はクールジャパンと言われまして日本に対する憧れが海外で高まっているわけでございます。そして日本に来てみずからの人生の夢を努力をしてかなえている方たちがふえてまいりました。きのう優勝された日馬富士もその一人ではないでしょうか。
 そのように、ドリームズ カム トゥルー イン ジャパンというそういう国柄になっております。静岡県がその先導役を担い、内外の人々が人生の夢を実現し幸せを実感できる地域となることを目指すものでございます。こうした地域になることが県民幸福度の最大化につながるものと確信しているところであります。
 次に、数値目標についてであります。
 今回、総合計画審議会や評価部会におきまして数値目標の設定について多くの御意見を頂戴しました。こうした意見を踏まえて次期総合計画では実現可能性を十分考慮した明確な目標の設定を検討いたします。
 最後に、地域圏の設定についてであります。
 人口減少や高齢化が進む中で、基礎自治体である市町が担う役割は一層重要になっております。次期総合計画の骨子案では自然的、社会的な一体感また一体性、あるいは連携の進展等を踏まえまして伊豆半島、東部、中部、西部の四地域圏を提示いたしますが、今後市町と十分に認識や方向性の共有を図ってまいるつもりであります。引き続き県議会や総合計画審議会を初めさまざまな機会を通じまして県民の皆様から御意見を賜り議論を深め次期総合計画の策定を進めてまいりますので、県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、東静岡文化力の拠点形成についてであります。
 東静岡から名勝日本平、さらに三保松原に広がる地域に集積する学術、文化・芸術、スポーツ等の魅力をさらに磨き高め場の力を最大限に生かした地域づくりを進めるため、その玄関口となる東静岡駅南口の県有地に本県の高い文化力の発信や学び、にぎわいの場を生む拠点の形成に取り組んでいるところです。昨年八月には東京大学の名誉教授、伊藤滋先生を会長とする専門家会議におきまして御議論をいただいた基本計画案を取りまとめたところでございます。これまで民間活力導入調査を実施するとともに、基本計画案に掲げる導入機能や規模等の精査を進めてまいりました。
 文化力の拠点では三つのコンセプトを掲げております。第一に創造・発信、第二に学ぶ・人づくり、第三に出会い・交わるの三つであります。これら三つのコンセプトの具体化に当たり、図書館機能は世代を超えて集い生涯を通して学び、楽しみ、みずからを高めることなど自己実現していくために大変重要な役割を果たすものと考えております。
 このため、県教育委員会と連携し県立中央図書館の機能分化により図書館機能を整備する方針で検討を進めてまいりました。その過程で本年六月に現施設においてひび割れが確認され継続使用には大きな課題があることが判明いたしましたことから、さまざまな選択肢を検討した結果県立中央図書館の機能を全て東静岡に移転し整備することが最善との結論に至りました。この判断は文化力の拠点の魅力をさらに向上させるものと確信しております。
 整備に当たりましては、宿泊施設と文化施設の一体かつ同時整備すべきであるという考え方もございますけれども、民間活力導入調査結果なども踏まえまして基本計画案に掲げる機能を一度に整備するのではなくまず図書館機能を中心とする公的施設を先行整備いたしまして、その後分棟による段階的な整備を進めていくと予定しております。この予定のもとで全庁を挙げた整備体制を確立するために難波副知事をリーダーとする部局横断的なプロジェクトチームを立ち上げます。このプロジェクトチームを中心に整備の具体的内容、規模、民間活力を導入した事業手法、策定を予定しているグローバル人材の育成方針等を踏まえた国際学生寮のあり方、これにつきまして検討を進めて県議会を初め関係の方々の御理解を賜りながら文化力の拠点の形成に向けて取り組みを加速してまいります。
 次に、県内産業の振興についてのうち、産業人材の確保についてであります。
 県では、企業にとって喫緊の課題となっている人材の確保を図るため七月に静岡県産業人材確保・育成対策県民会議を開催いたしました。経済団体や業界団体から現状や課題、御意見や御要望を具体的にお聞きしたところであります。官民一丸となって取り組む緊急対策を取りまとめ必要な予算について今議会にお諮りをしているところであります。
 各団体からは、中小企業には採用担当部署がないなど企業の採用活動への支援に関する要望が多く寄せられました。そのため中小企業の採用活動を支援するプラットホームを構築いたします。このプラットホームを通しまして各業界における人材確保を支援してまいります。
 具体的に申しますと、首都圏等のプロフェッショナル人材の県内への還流に成功を挙げている戦略拠点に加えまして、新しく第一に企業と求職者の橋渡し役を務めるコーディネーターを県内八カ所に設置します。第二に県内企業が日がわりで利用できる個別説明会場を都内で提供いたします。第三に企業が行う一日単位のインターンシップを促進します。第四に高校生の就職支援をいたします。こうしたことを通じまして企業の人材確保のための幅広い取り組みを実施いたします。
 さらに、経済団体や業界団体は独自の対策実施に強い意欲を持っておられるので、各団体が行われる業界や企業の魅力の発信などの人材確保に関するモデル的な取り組みにつきましては支援をいたします。新規の採用だけでなく就職した人の定着も重要です。観光業界に勤める若手従業員が企業の垣根を超えてきずなを深める取り組みを支援したり、新人の介護職員のモチベーションを高め現場定着につなげる研修を行ったり、資格を持ちながらも働いていない保育士や看護師等の掘り起こしをするなどそれぞれの分野の抱えている課題にきめ細かく対応をしてまいります。
 このほか、十月に静岡労働局及び業界団体との共催で運輸、建設、警備業界を対象とした就職面接会を東部、中部、西部の三カ所で計二百社を超える企業が参加する大きな規模で初めて開催いたします。こうしたことを通じまして関係機関と密接に連携しながら人材確保対策に集中的に取り組んでいるところであります。
 引き続き、産業界、労働界、教育界などとともに官民を挙げてスピード感を持って効果的な対策を実施し豊かな産業を支える産業人材の確保を図ってまいります。
 次に、企業立地の促進についてです。
 本県が全国有数のものづくり県として持続的な発展を図るには、景気の回復により企業の設備投資意欲が高まりを見せているこの機を逃してはなりません。戦略的な企業立地政策を打ち出していくことが重要です。本県の企業立地施策は、従来県外からの企業の誘致と雇用の創出による量的拡大を主眼として取り組んでまいりました。それはそれなりに本県経済の成長に効果を上げてまいりました。しかし企業の立地が進む中、県内企業の定着につながる再投資を促進することの重要性が高まっております。さらに人材不足や労働力不足が大きな課題です。このことから、いわばこれまでの量的拡大から質的向上へ産業構造の転換を促すという意味での政策の抜本的な見直しが必要です。
 このため、中小・中堅企業を含めた県内企業が行う再投資を何回でも支援することができるようにしようということで、設備投資に対する助成制度を再設計することで県内企業の定着、生産性の向上、質の高い雇用の創出に向けた取り組みを強化します。また単純生産や組み立て工程の海外移転が進んでおります。その一方先端的なものづくりや製品の研究開発などを行ういわゆる拠点化工場、あるいはマザー工場といったものは国内に設置する動きが見られるようになりました。
 こうした流れに対応いたしまして、地域産業を牽引する企業を本県に集積するため拠点化工場やマザー工場などの大型投資に対する支援を拡充いたします。新しい支援制度をセールスツールの一つとして有望企業への働きかけを一層強め本県への企業立地を確実なものとしてまいります。
 県としましては、引き続き市町と連携し企業誘致・定着の取り組みを熱意とスピード感を持って実施し、本県経済の持続的発展を力強く推進し富の創出を図ってまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。

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