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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

阿部 卓也 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/04/2021

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 サーキュラーエコノミーと 「レイクハマナ未来都市構想」 について
2 食の都のグランドデザインについて
3 ICOIプロジェクト (Izu Health Care Onsen Innovation Project) について
4 地域公共交通計画の策定について
5 県立天竜高校への介護福祉学科の新設とマイスター・ハイスクール制度導入について
6 警察官の県単独予算による増員の必要性について


○議長 (宮沢正美君)  次に、 六十七番 阿部卓也君。
        (六十七番 阿部卓也君登壇 拍手)
○六十七番 (阿部卓也君)  ふじのくに県民クラブの阿部卓也です。
 通告に従い、 一括質問方式で質問及び提言をいたします。
 質問に入る前に、 一言私見を申し述べます。
 まず、 今日本と静岡県に求められているのはリニアエコノミー  つまりは直線的な経済からサーキュラーエコノミー  循環型経済への転換だと私は考えます。 また日本には中長期的に未来図を描き今すべきことを考えるバックキャスティングの視点が決定的に欠けているのではないかとも感じています。
 持続可能な未来をつくるためには近視眼的なリニアではなく、 何をどうすればサーキュラーになるのか目標設定を明確にして方程式を組み立て社会をリデザインしていくということが大切だと思います。 そんな視点で今回の質問を構築しましたので、 御一考頂きながらお聞き頂ければ幸いです。
 最初に、 サーキュラーエコノミーとレイクハマナ未来都市構想について伺います。
 レイクハマナ未来都市構想ですが、 ここでバックキャスティング的視点から未来を描く実践をやればいいと考えます。 社会の仕組みをリデザインし、 様々なものやことがつながっていくシステムをつくる、 これは壮大な地球目線構想でありながらも地域から丁寧に一つ一つ考えれば決して難しいことではないと思います。
 県西部の輸送機器産業を中心としたものづくり産業は今カーボンニュートラル、 つまり製造現場からの脱炭素化をいかに図るかという世界共通の重い課題に直面しています。 しかしこれはものづくりの二次産業だけの問題ではなく、 一次産業も三次産業をも巻き込んで全ての産業が協働してサーキュラーエコノミーの循環型共生圏をつくることを目指さねばなりません。
 そこで、 モデルとして紹介するのがデンマークのカルンボー市です。 ここでは企業間の廃棄物を資源として融通し有効活用する産業共生モデルを構築しています。 具体的には水の流れ、 エネルギーの流れ、 材料の流れを自然の生態系システムに経済システムの原理を統合して公的セクターと民間セクターが協業し廃棄物や残留物の売買、 経済的な相互利益の実現を通して環境に配慮した仕組みをつくっています。 またこのモデルには大企業だけではなく地場の中小企業やスタートアップ企業が参加しておりオープンイノベーションの実践がここでなされています。 ぜひレイクハマナ未来都市のモデルとされることを推奨いたします。
 しかし、 レイクハマナ未来都市構想においてこのカルンボー型モデルを形成しサーキュラーエコノミーの循環のループをつくろうとすると幾つかのボトルネックがあることに気がつきます。
 まずは、 全ての経済活動におけるリサイクルの確立が必要だということです。 これは日本全体の問題でもあります。 リサイクルとは不要とされた廃棄物を再度価値のある有価物にすることですが、 リサイクルの美名に隠れて不適切な処理が行われないよう法的には廃棄物処理法があります。 その中でも確実にリサイクルできる技術や体制が整ったものは自動車リサイクル法や家電リサイクル法のように、 順次特別法の形をとって独立させているのですが現在ある特別法のものだけでは不足で、 せっかく様々なリサイクル技術が確立されてきても法律が追いついていなければ多くの廃棄物を有価物にすることはできません。
 また、 今回の熱海の土石流災害でも問題になっている不法投棄問題ですが、 あれは不法行為を行っている者が意図的に廃棄物を土に混ぜていても、 これは廃棄物ではない、 土砂であると言い張れば廃棄物処理法の適用から外れてしまうというウイークポイントもあり法律の見直しは急務です。
 さらには、 既存の工業団地にリサイクル業を組み込み工業団地内でのサーキュラーエコノミーをつくることがまずは現実的であると考えますが、 これにも壁があり建築基準法五十一条で都市計画区域に産業廃棄物処理施設を設置するには都市計画審議会に諮る必要があるなどなかなか大変です。
 このように、 根本的なリサイクルの確立が日本は世界基準から遅れておりこれらの問題について早急に国とも協議をしながら法改正や特区指定なども含めてレイクハマナ未来都市構想を描いてゆくことが肝要です。 そして地元企業群の潜在力を引き出しオープンイノベーションを実践し、 世界中からスタートアップや研究者を引き込める地域構想にしてこそ静脈産業が育ちサーキュラーエコノミーにつながると思います。 これがまさにバックキャスティング的構築手法です。
 これらの課題に取り組みサーキュラーエコノミーモデル、 レイクハマナ未来都市構想をいかに具体的に描くか、 御所見を伺います。
 次に、 食の都のグランドデザインについて伺います。
 食の都構想は、 今まで打ち出してきた食に関する施策も盛り込みつつ都の姿かたちが分かる全体的な構想をつくるべきと考えます。 構想の土台としては静岡県の誇る農林水産品と風光明媚な県土を生かした、 食と観光と文化と産業をセットとしたガストロノミーツーリズムを提案いたします。
 そして、 都づくりのロールモデルはスペインのサンセバスチャンです。 サンセバスチャンはスペインのバスク地方にあるビスケー湾に面した美しい港町ですが、 このまちに世界中の美食家が集まるには訳があります。 サンセバスチャンには世界初の料理の学位、 博士号が取得できる大学バスク・クリーナリー・センターがありそこに教授、 講師陣として一流の料理人が集まり学生が集まりそしてお客が集まるというプラススパイラルが生まれているからにほかなりません。 日本には料理で学位の取れる大学はまだ存在しません。 であれば静岡県が温暖で風光明媚な県土と一流で多彩な食材という強みと長年取り組んできたフーズ・ヘルスケア・オープンイノベーションプロジェクトも生かして、 県立大学と文化芸術大学を核に料理をアカデミックに権威づけてブランディングし国内外の一流料理人の拠点づくりを志向すべきと考えます。
 幸いにして、 県立大学には食材を科学する力があり文化芸術大学には文化とデザインと風光明媚な浜名湖もあります。 そして具体的なガストロノミーツーリズムとしてはふじのくに食の都づくり仕事人を活用して青森県下北半島ジオパークの仏ヶ浦などで実施されている風景と美食を融合させるジオダイニングや、 県内各地の郷土食を調査し継承を図りながら郷土食そのものの売り出しや郷土食をベースにしたヌーベルキュイジーヌをつくり出したり美食列車やレストランバスを走らせるなど静岡県には様々な可能性があると考えます。
 このように、 概念図と戦略的な設計図があってこそ都づくりは具現化してゆくものと考えますが食の都の全体構想、 グランドデザインの策定の提案について御所見を伺います。
 次に、 ICOIプロジェクト   (イズ・ヘルス・ケア・オンセン・イノベーション) プロジェクトについて伺います。
 九月補正予算案では、 まずは今年度温泉の泉質、 成分、 効能調査等を行うということですがこのプロジェクトの志向性と内容について幾つかの提案をさせていただきたいと思います。
 まずは、 ICOIプロジェクトは今までの温泉イコール観光という固定概念ではない温泉プラスアルファの志向で組み立てることを大前提とすべきです。 これはイベント的な観光事業だけだと一時的な盛り上がりはあるが持続はしないという観点から考えたものです。
 私は、 温泉の効能によるヘルスケアと伊豆半島のまちづくりも含めたウェルネス的要素をベースにプロジェクトを構築していくべきだと考えます。 ウェルネスとはヘルスよりも広範な概念で体の健康だけではなく前向きに生きられる心の健康やライフスタイルの確立、 そして社会的にも良好な状態を目指すことですがこれを全部まちづくりや人づくりも含めて伊豆半島で温泉を基軸にやってしまおうという提案です。 ウェルネスをキーワードにして温泉と様々な地域資源を生かしたまちづくりを志向してこそ持続可能な地域づくりとなると考えます。
 まずは、 温泉と伊豆半島の魅力の再認識からです。 伊豆の温泉は泉質が多彩でほとんどが高温泉であるため、 温泉の効能が沸かし湯等で失われることがなく温泉医学の観点からも研究しやすい条件がそろっています。 中には世界的に希少な泉質もあり高い薬理効果が期待される場所もあります。 惜しむらくは今までこの財産価値がさほど知られていないということです。
 そこで、 まずは伊豆の温泉と効能を知るために温泉医学に取り組む研究者、 医師、 関係団体を一堂に会した円卓会議を設置すること、 場合によってはウェブ上での温泉医学研究所を立ち上げる形でもよいと考えます。 そして温泉利用指導者など温泉ヘルスケアを主導できる人材の育成に取り組み、 別府市のみんなの保健室のようにそれぞれの体質や症状によってどの温泉をどのように使えばいいのかのアドバイスをまちの皆さんや観光客などにもしていくことが温泉ヘルスケアを根づかせる近道だと考えます。 これらの意味ではまずは補正予算の使途は評価したいと思います。
 さらなる提案をいたしますが、 伊豆半島は半島そのものが風光明媚な観光資源でもあるジオパークですが、 実はこれ観光資源であるだけではなく富士山と伊豆半島の成り立ちと温泉が生まれる仕組みを学べる絶好の学習の場でもあります。 例えば学生たちにとってはうってつけの郷土と地球を知る学習の場として、 郷土愛や誇りを醸成する場になり人材育成もできるし温泉と伊豆半島をより深くPRできます。 また伊豆は農林水産品の宝庫でありマリンスポーツやサイクリング、 トレッキングなど多様なスポーツや遊びの宝庫でもあります。 食と健康のおいしいヘルスケアの観点から食の都づくり仕事人の活用や地域の母さんの味も生かして、 伊豆の美食と健康づくりの魅力を売り出すべきです。
 さらに、 伊豆半島はたびたび日本史の教科書に登場する歴史があり文学でも多くの珠玉の名作を生み出しています。 現在も多くの美術館や博物館が点在し伊豆半島の文化芸術的魅力に奥行きを与えており、 大人の知的好奇心をくすぐり心の豊かさを創造してくれています。
 そのほかワーケーション、 移住先としての魅力は首都圏との近接性というストロングポイントがありますし伊豆半島の魅力と可能性は枚挙にいとまがありません。
 このように、 温泉とヘルスケアとウェルネスの観点から構想すればこのICOIプロジェクトが生き生きと動き出します。 ぜひ具現化させ憧れの伊豆半島をつくるという希望と夢を大いに描きながら知事の御所見を伺います。
 次に、 地域公共交通計画策定について伺います。
 二〇二〇年の地域公共交通活性化再生法改正により、 地方公共団体による地域公共交通計画の策定が努力義務化されました。 これは地域が自らデザインする地域交通の設計図に当たるものであり、 まちづくりや生活に直結しSDGsの観点からも必然性の高いものですので利用者目線かつ革新的な内容での策定をすべきと考えます。
 そこで、 地域公共交通が確保されかつ利便性も高い欧州、 ヨーロッパを参考にすべきと考えます。
 フランスでは交通権という概念で公共性を明確にし、 コンセッション契約という形で半官半民でのサービス提供を行っています。 ドイツでは公共交通サービスは福祉サービス同様の生存配慮として公営事業者が直接サービスを行っています。 また鉄道はインフラと営業を分離する上下分離が進み、 安全を担保するインフラ維持などは多くの場合公的関与がなされています。 さらに交通政策の地域主権も進展しています。
 オーストリアでは、 おおむね州単位で運輸連合という様々な公共交通の連合体をつくり域内の公共交通のサービスの均一化、 利便性の向上、 整合性の確保などが行われ質の高い公共交通が提供されています。
 このように、 地域主権的観点から静岡県は率先して公共交通の質を守るために公的支援の拡充や県民の利便性を高める新システムの導入促進を図るための静岡県地域公共交通計画を策定し、 国に公共交通の在り方を率先して提言しさらには権限委譲と財源移譲を求めていくべきと考えますが御所見を伺います。
 次に、 県立天竜高校への介護福祉学科の新設とマイスター・ハイスクール制度導入について伺います。
 七月に厚生労働省が、 高齢者人口が三千九百万人になる二〇四〇年には介護職員が二百八十万人必要となる推計を発表しました。 これを静岡県に置き換えると二〇四〇年の推定高齢者数が百十六万一千人、 必要な介護職員が七万二千人ということになります。 県内の現在の介護職員数は五万四千三百十人であり約一万八千人を確保していく必要があります。
 その対策として、 九月補正予算の中の福祉系高校修学資金貸付事業費助成については大いに評価するものでありますが、 さらにこの際強く具現化を求めたいのは浜松市からも要望が上がっている県立天竜高校への介護福祉学科の新設であります。
 県内には、 東・中・西に一校ずつ介護福祉学科を設置する公立高校がありますが西部地域の磐田北高の本年度の倍率は一・〇五倍。 これは本年度衝撃的な一千人を超す定員割れを起こした公立高校の中では悪くない数字でありニーズを感じられ浜松市からの要望は理にかなったものであると考えます。
 また、 現在天竜高校には既に総合学科福祉系列がある上にもともと開校時に福祉系学科の設置を模索した経緯があり設備は既に十分です。 さらに近隣の複数の福祉法人や福祉施設によるバックアップ体制なども恵まれていますので、 確保が難しい福祉系教員の代わりとして同時に浜松市から要望があった企業からの専門家を派遣する文部科学省のマイスター・ハイスクール事業  次世代地域産業人材育成刷新事業を導入すれば、 周辺福祉法人等からの派遣が見込まれ解決可能だと感じています。
 以上の観点から、 天竜高校への介護福祉学科設置とマイスター・ハイスクール制度の導入支援についての所見を教育委員会に伺いますが、 才徳兼備の人づくり小委員会が取りまとめた報告書では地域を見据えた人材育成の必要性と地域の実情に応じた魅力ある学校づくりの必要性が課題とされ、 さらに地域ならではの新しい価値を創造し地域を支える人材を育成するために地域の将来像や地域が求める教育等を十分に踏まえる必要があるとの提言を受けています。 まさに天竜高校のことをうたった提言のようですがこれも踏まえて真摯な答弁を求めます。
 最後に、 警察官の県単独予算による増員の必要性について伺います。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックは成功裏に終了いたしました。 約二か月半にもわたる警備業務等に当たられた静岡県警の皆様には心から敬意を表したいと思います。
 一方、 七月三日に発生した熱海市伊豆山の土石流災害は二十六人もの死者を出す大災害となりました。 改めてお亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈りし行方不明者の一日も早い発見を祈念いたします。
 現在も、 静岡県警は五十人体制で行方不明者の捜索やパトロールに当たっておられますがオリパラの大規模警備活動と大災害が重なった今回、 署員を出動させた各警察署も含めて静岡県警の負担の重さは相当なものであったと拝察しています。 この難局を持ち前の 「正・強・仁」 の精神で政令基準どおりの警察官定数で頑張り通してこられたことは最大の敬意を表するものでありますが、 今や四十七都道府県の中で警察官定数の政令基準にプラスして都道府県単独予算で警察官の増員を行っていないのは本県を含めて五県のみです。 私はそもそもオリパラ開催決定時や新東名開通時に増員を申請してもよかったのではないかと感じています。
 そこで、 この際警察行政職員数は保持しつつも静岡県独自予算による警察官の増員を行うべきと痛感していますが必要性について警察本部長の所見を伺います。 以上、 答弁を求めます。
○議長 (宮沢正美君)  川勝知事。
○知事 (川勝平太君)  阿部議員にお答えいたします。
 阿部議員のおっしゃるとおり、 現代の課題はリニアからサーキュラーへというようにまとめられると、 大筋では私もそのとおりであると存じます。 人類にとって与えられた全体、 これは地球ですが、 その地球はその中で水が循環し、 物が循環しエネルギーが循環しています。 しかし地球は完全に閉じられた閉鎖系かというと、 エネルギーは太陽から来ておりますし熱は大気圏から宇宙に放出しております。 いわば半開きのといいますか開かれた閉鎖系という、 そういう側面も持っている。 ちょうど日本の江戸時代のようで鎖国ではありますけれども長崎、 松前、 対馬あるいは琉球といったように若干の窓も持っていたということでございます。
 したがってリニアも完全に否定するのではなくて、 しかしサーキュラーを目指すと。 軸足はそちらに移すということではないかというふうに存じます。
 幾つか、 建設的な提言も頂きましてありがとうございました。 その中で私はICOIプロジェクト、 このICOIというのは、 イズ・ヘルス・ケア・オンセン・イノベーション (Izu Health Care Onsen Innovation) の頭文字を取ったものでございますがこのICOIプロジェクトについての御質問にお答えをいたします。
 本県は、 二千以上の源泉が分布する国内屈指の温泉地であります。 特に伊豆地域は川端康成あるいは井上靖などの文豪が名作を執筆した宿のある歴史的な温泉地としての側面も有しております。 またジオパークに代表される豊かな自然環境や多彩な食材、 最近ではスポーツの聖地としての魅力も加わるなど国内外の人々を引きつける多彩な地域資源に恵まれている点が伊豆地域の強みであります。
 これまで県では、 人が持つ治癒力を最大限に引き出す湯治法と地元の食材を使った健康食、 運動を組み合わせた健康増進と癒やしのサービスを提供するかかりつけ湯の取組などを進めてまいりました。 今回立ち上げるICOIプロジェクトはこれらに加え伊豆の多彩な資源を温泉でつなぎ合わせ、 ヘルスケアという点で再構築することで伊豆地域に新しい産業を生み出していくものであります。
 まずは、 最新の科学と技術を活用し温泉の効能、 効果を再評価しヘルスケア分野への応用を図ってまいります。 スポーツ医学、 スポーツ科学という用語がございますように温泉科学温泉医学という概念があってもいいと思います。
 この温泉医学の権威、 矢野一行先生はもう既に埼玉名誉教授として引退されていますが伊東にお住まいでございます。 こうした先生もいらっしゃるし東海大学に関心のある先生もいらっしゃるということなので、 議員の御提案のこの温泉医学研究所のようなものがつくられることは可能であると、 つくれると思います。 そうしたことで温泉入浴による健康状態の変化とか疲労回復度など個人の健康データをITデバイス等により取得しまた解析し、 科学的根拠に基づいた健康増進プログラムを官民が一体となってつくり上げていくことができると、 いわゆるウェルネスというものを目指すことができると思います。
 また、 宿泊施設や観光施設などと連携して長期滞在が可能となる受入れ体制を構築するとともに健康増進を切り口とした温泉地ならではのワーケーションプランを開発することで、 健康経営に取り組む企業の需要を掘り起こし首都圏ICT企業などの集積を目指してまいりたいと考えております。
 さらに、 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの会場となった伊豆ベロドロームなどで合宿を行う自転車選手などの協力を得てアスリートの運動機能の回復、 向上への可能性などスポーツ科学の知見を生かした温泉の効能に関するメカニズムの探索にも取り組みたいと考えております。 こうした取組を進めるためにはその担い手が必要です。 温泉施設や大学、 伊豆半島ジオパーク推進協議会等と連携した専門人材の確保、 また育成のほか学生や地域住民を対象とした学びの場の創出にも努めてまいりたいと考えております。
 今後、 有識者や伊豆地域の市町、 関係団体などで構成する協議会で御意見を伺い温泉を核にして健康をキーワードとした新しい価値の創出に取り組むことで、 世界の人々の憧れの対象となる伊豆地域の魅力をさらに高めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、 副知事、 関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長 (宮沢正美君)  難波副知事。
○副知事 (難波喬司君)  地域公共交通計画の策定についてお答えをいたします。
 鉄道、 バスなどの公共交通は県民の皆様の日常生活を支える重要な社会インフラです。 しかしながら少子高齢化の進展や人口減少による利用者の減少、 運転手不足の深刻化、 さらにコロナ禍の影響など交通事業者の経営は大変厳しくなっており路線の維持確保が全国的な課題になっています。
 これまで県では、 交通事業者や市町への支援を行うとともに市町ごとに設置した公共交通会議において地域の実情に応じた交通サービスが提供されるよう課題解決に努めてまいりました。 これはこれで大変大事なことですけれどもこれだけでは今後はこの取組だけでは不十分です。
 昨年、 地域公共交通活性化再生法が改正されました。 同法では県や市町に地域公共交通計画を策定することを規定しています。 この背景にはこれまでの延長上で部分最適、 短期的最適を考える取組では真の問題解決にならないという認識があるからだと思います。 県も同じ認識であり大きな危機感を持っています。 よって静岡県全体の地域公共交通の目指す姿を描きその実現方法を示す地域公共交通計画を定めることといたしました。
 策定に当たりましては、 これまでの路線維持に軸足を置いた取組から転換し新しい公共交通サービスの在り方を考える必要があります。 従来の公共交通サービスに加えスクールバスや福祉施設など地域の多様な輸送資源を含め、 住民にとってより利便性が高く持続可能な交通サービスを提供できるようにすることもその一つです。
 また、 脱炭素化の観点やMaaS  サービスとしての移動の推進や急速に進展する自動運転や小型モビリティの活用、 シェアリングビジネスなどを考慮して将来の姿を描くことが必要です。
 検討に当たりましては、 交通事業者だけではなく多様な方々の参加を得て協議会を設置して行います。 権限委譲や財源移譲を含む公共交通のあるべき姿などにつきましては、 この協議会において幅広く御意見を伺いながら検討を進めてまいります。
 県といたしましては、 県民の利便性を高める新システムの導入など地域公共交通の未来像を描き共有し、 その実現に向けて多様な主体、 多様な皆様と協働で取り組んでまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  天野政策推進担当部長。
○政策推進担当部長 (天野朗彦君)  サーキュラーエコノミーとレイクハマナ未来都市構想についてお答えいたします。
 地球規模の気候変動に対応するため、 世界は脱炭素社会に向け大きくかじを切りました。 深刻化する地球環境の問題はエネルギーや環境問題にとどまらず、 国際的な産業競争力に関わる経済問題となっておりその解決の鍵を握るのが環境と経済が調和する社会を目指す地域循環共生圏とされております。
 レイクハマナ未来都市構想は、 県西部地域に地域循環共生圏を形成しようとするものであります。 この地域は我が国有数のものづくり産業の集積地域であり、 脱炭素やリサイクルを意識した取組が極めて重要であります。 製造、 生産を担う動脈産業とそこから排出される廃棄物をきれいにして再び循環させる静脈産業が一体化した工業エリアをつくっていく必要があります。
 換言すれば、 循環経済  サーキュラーエコノミーの実現を目指すものでありますがそこからさらなる成長へと飛躍していくためには技術革新が不可欠であり、 産学官金の密接な連携が求められます。
 議員御指摘のデンマーク、 カルンボー市の企業間の廃棄物を資源として融通し有効活用する産業共生モデルも、 行政主導というよりは自治体もパートナーの一人として長い年月にわたり地域ぐるみの持続的、 内発的な取組のたまものとされております。
 このため、 県では例えば工業技術研究所が県内企業と共同開発した食物残渣から新たなエネルギーを生み出す小型実証プラントの食品製造現場などへの実装や、 大学や企業が連携して進める資源循環型のエネルギー創出事業への助成支援などに取り組んでいるところであります。
 一方、 議員御指摘のとおりレイクハマナ未来都市構想においてデンマークのカルンボー市型の比較的規模の大きい循環経済モデルを構築しようといたしますと、 廃棄物処理に係る法令等の様々な制約に直面することとなります。 このためくらし・環境部など関係部局と連携しながら経済団体、 関連企業などの御意見を伺いつつ課題の整理を行い、 その上で法令の改正などを含め国に対して要望してまいりたいと考えております。
 県といたしましては、 バックキャスティングの視点からレイクハマナ未来都市構想に地域循環共生圏の形成に向けた具体的な取組の方向性を盛り込み、 官民が路となる課題の共有を図ることで脱炭素、 循環型社会の実現を目指す道筋を明らかにしてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  三須経済産業部長。
○経済産業部長 (三須敏郎君)  食の都のグランドデザインについてお答えいたします。
 本県が推進する食の都づくりは、 県内で取れた多彩で魅力ある農芸品を地域でおいしく頂く食文化を創造し国内外の人々を引きつける食を核とした地域づくりの構想であります。
 この構想の実現に向け、 県ではしずおか食セレクションの認定を通じて県産食材のブランド化を図るとともに、 食文化の発展に貢献するふじのくに食の都づくり仕事人にこうした食材を料理の中に積極的に取り入れていただく様々な取組を進めております。 また今年度からは食を目当てに観光客が訪れるまちづくりを推進するため、 美食のまちやいづなど県内三地域での生産者や料理人などの取組への支援も開始したところであります。
 このように、 食の都づくりとして人材の育成や食育、 産業振興、 情報発信等の施策を進めているところですがさらなる充実を図るためには、 これらを結びつけ食の都づくりとしてのシナジー効果を発揮できる地域全体の活性化戦略が必要と考えております。
 議員から御紹介を頂きましたガストロノミーツーリズムは、 旅行を通して食文化そのものを味わうという概念であり現在では世界に広がり国内でも新潟県や奈良県などが取組を始めております。 特にサンセバスチャンはミシュラン星付きのレストランが集まる世界屈指の美食の町として知られており、 料理人の育成を専門とする大学の運営など本県でも大いに参考になるものと考えております。
 県といたしましては、 こうした動きを参考に地域の魅力ある食文化を磨き上げて効果的に発信することにより国内外から多くの人々が本県の食文化を味わいに訪れる食の都のグランドデザインづくりを進めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  木苗教育長。
○教育長 (木苗直秀君)  県立天竜高校への介護福祉学科の新設とマイスター・ハイスクール制度導入についてお答えいたします。
 本県では、 介護福祉士試験の受験資格を得ることができる福祉科を県内の東部、 中部、 西部の三校に設置しており令和三年度募集定員の合計は全国で三番目に多くなっております。 また天竜高校など八校で訪問介護などの介護業務が可能となるカリキュラムを設けております。
 しかしながら、 多くの生徒は多様な進路が選択可能な学科を志願する傾向があり福祉科は磐田北高校で令和三年度入試では定員を満たしたものの近年定員割れが生じております。 また総合学科を有する天竜高校でも福祉系列の選択者は少なく卒業後も福祉関係に進む生徒は限られております。
 県教育委員会といたしましても、 高齢社会に対応した福祉人材養成の必要性を認識しているところであり高校における福祉の学びの魅力化に取り組むことが重要であると考えております。
 こうした中、 浜松市から天竜高校への介護福祉学科新設の要望を頂いたところであります。 このため健康福祉部と連携し天竜高校における福祉系列の選択者増加に向けて、 福祉の魅力を伝える出前講座のさらなる活用に取り組んでまいります。 また令和四年度入学生から教科 「福祉」 の科目数を増やすとともに、 地元の社会福祉施設との連携を強化して実習を一層充実し福祉の仕事に対するやりがいを伝えてまいります。
 なお、 次世代地域産業人材を育成するマイスター・ハイスクール事業につきましては、 来年度全国で十五か所の採択が予定されております。 現在浜松市から工業分野での提案を頂き県、 市、 産業界及び導入候補校において申請に向けた準備を進めているところでありこの事業の継続と採択枠の拡大についても注視してまいります。
 天竜高校への介護福祉学科の新設につきましては、 天竜地域をはじめとする西部地域全体の福祉分野への志望動向を見極めるとともに天竜高校が今まで以上に地域の期待に応えられるよう地域づくりや産業振興に関するビジョンなどを伺いながら、 高校長期計画の改定作業の中においてさらに議論を重ねてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  山本警察本部長。
○警察本部長 (山本和毅君)  警察官の県単独予算による増員の必要性について、 お答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、 多くの都道府県警察においては地域の治安情勢を勘案の上条例において政令基準を上回る警察官定数を定めておりますが、 本県では政令基準に従って同数の六千百九十五人とされているところでございます。
 本年四月現在の警察官の一人当たりの負担人口を見ますと、 本県は全国平均を約百人上回る五百九十七人となっておりまして全国で八番目に負担が大きくなっているところでございます。
 こうした中、 先月五日に閉幕しました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の警備は聖火リレーを含め約二か月半に及ぶ大規模なものでありまして、 県下の警察官の約三割がこの警備に直接従事をいたしました。
 また、 時を同じくしまして熱海市伊豆山において発生した土石流災害では本県警察官延べ約一万九千人が従事したところでございます。 この間各警察署において後方治安に当たった警察官も含めまして、 多くの職員が負担を分かち合い取り組んできたところでございます。
 今後も、 南海トラフ地震や富士山の噴火、 台風や集中豪雨といった自然災害など緊急的な治安事象に迅速的確に対応できる体制は常に確保しておく必要がございます。
 また、 今後本県で開催される様々な国際会議や国民体育大会をはじめとしたスポーツ競技大会など国や県を挙げての大規模イベントにも確実に対応していく必要がございます。
 県警察では、 今後とも情勢を見つつ国に対して警察官の増員の必要性を訴えますとともに日々変化する治安情勢を総合的に勘案し、 県内の治安を確保するため政令基準を上回る警察官定数を条例で定めることの必要性についても検討してまいりたいと考えております。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  阿部卓也君。
        (六十七番 阿部卓也君登壇)
○六十七番 (阿部卓也君)  御答弁ありがとうございました。
 繰り返すようですが、 バックキャスティングで考えるということはやはり今現在ひな壇に座っておられる知事、 副知事、 各部長さん、 教育長、 警察本部長の次の人また次の次の次の人のときにどういうことになっていくかということを考えていかなければいけないことだと思っていますので、 ぜひ政策立案そういう視点でお願いをしたいと最初に申し上げますが、 その上で三問再質問と一問要望を申し上げます。
 まず再質問ですが、 レイクハマナ構想についてですが課題については御認識を頂いたと思います。 ただ具体的にこの課題というのはもうはっきりしているので、 この課題に誰がやるのかまたチームをつくったりしてやっていくのかというのがまだ不明瞭であります。 そこについてどのようなお考えをお持ちかお聞きをしたいと思います。
 それから、 公共交通についてでございますが公的関与を強めるべきということを申し上げたつもりでいますが先ほど副知事からの答弁で、 いわゆる現状維持のための計画ではなくてよりよい利便性の高い新しい可能性に挑戦する攻めの公共交通政策をつくるんだということでそれはとてもいいと思います。 なので、 ただそれは公的関与がやはりある程度されないと難しいところが、 民間任せだけではできないところだと思いますがそこについてのお考えをもう一度お伺いをします。
 食の都についてですが、 今までの施策をなぞられたのはいいんですが小さくまとまっては駄目ですよと、 グランドデザインを描いてくださいよということを申し上げました。 それを誰がどう描くのかこれもお聞きをしたいと思います。
 それから、 提案した中の大学や料理関係者との話合いというのはしていくおつもりがあるのかどうなのかお聞きをします。
 最後に要望ですが、 天竜高校についてです。
 教育長、 繰り返し申し上げるようですがこの介護人材の問題はバックキャスティングで考えたらもう緊急、 必須のものであります。 それを今回今の答弁を聞いていると大変失礼な言い方をしますがいつもながらのやらない理由を申し述べられているように聞こえます。 これでは教育委員会、 申し訳ないんですが公立高校が私学に負けるはずです。 そういう体質を改められないと天竜高校の件に関してはしっかりと健康福祉部とも話をしてまた浜松市とも話をして軽々に答えを出すのではなくて真剣にどうあるべきかというのをやらないことを前提じゃなくてやることを前提に考えるという形で御検討頂きますよう、 これは要望とさせていただきます。 以上、 答弁を求めます。
○議長 (宮沢正美君)  天野政策推進担当部長。
○政策推進担当部長 (天野朗彦君)  レイクハマナ未来都市構想における産業廃棄物処理等の課題に関するチーム編成等について、 お答えをいたします。
 この実際にですね、 法令上の問題に関わるところがございます。 そうしますと廃棄物処理法等の法令に精通いたしましたくらし・環境部はもとより先ほど少し例をお示ししましたけれども食物残渣をメタン発酵させてエネルギーをつくるというところが、 今工業技術研究所と県内企業四社でつくり上げてきたものをいよいよ五月に協同組合を発足させまして、 実用化に今その売り込みにかかっているところであります。 そういった例もございまして実はここには技術革新と先ほど申し上げましたけれども循環経済をさらに飛躍させるには技術革新、 それを国頼りにするのではなくて県のこの公設試、 民間企業の研究機関と一緒になって取り組む必要がありますので、 経済産業部などもこのチームに入ってくるというふうに思っております。
 さらに、 このものづくり産業が集積した浜松地域でまずやるこの未来都市構想はですねその成果を、 例えばこれは全県展開していく必要があると思います。 工業エリアは浜松地域だけではございません。 中部、 東部、 伊豆にもですねその成果を全県展開させていくためにはこの政策推進局を中心とする部局も入りまして、 それを広く全県に横展開できるような調整も必要かと思っております。
 議員御指摘のとおり、 この問題をバックキャスティングの視点で必ず次の世代にですね実現できるようにチームを組んで取り組んでまいりたいというふうに思っております。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  和田交通基盤部長。
○交通基盤部長 (和田直隆君)  地域公共交通計画の策定についての再質問にお答えいたします。
 公的関与の部分でございますが、 これまではですねどちらかというと採算が厳しい行政に対しての維持という形で、 運行費補助みたいな形で県としても取り組んでまいりましたが、 これから地域公共交通計画をつくっていくに当たりましては全く新しいというか考え方に基づいてやっていかなきゃいけないと思っておりますので、 当然ながら公的関与の考え方についてもですねしっかり見直していかなきゃいけないと考えております。
 ただし、 公的関与につきましては県民の皆様の御理解も当然必要となってきますのでここはですね先ほど議員からいろいろ御紹介もありましたヨーロッパ等の事例も踏まえましていろんな方の御意見を聞きながら、 しっかり検討してまいりたいと思っております。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  三須経済産業部長。
○経済産業部長 (三須敏郎君)  食の都のグランドデザインについての再質問についてでございます。
 まず第一点目、 誰がどう描いていくかという御質問でございますが私どもが考えておりますのは県庁内に庁内の検討組織を立ち上げていきたいというふうに考えております。 具体的には私ども経済産業部とそれからスポーツ・文化観光部これを中心にまずは県庁内で立ち上げをして、 それをベースに実際に事業をやっていただく方々にも加わっていただくと、 こういうことを考えております。
 二点目に、 大学やあるいは料理人と意見を意見交換をするかということでございますが議員から御指摘を頂きましたように、 観光分野では静岡県立大学やあるいは静岡文化芸術大学もございます。 それから農産物の生産という観点では静岡の農林環境専門職大学がございますのでこういった皆さんとも意見交換をしていきたいというふうに考えておりますし、 あと料理につきましてはこれも議員のほうから御紹介を頂きましたように本県には食の都づくり仕事人が、 五百人を超える方々がいらっしゃいますので、 こういった方々が実際にこの事業に関わっていただくというふうに思っておりますので、 こういった方々からもぜひ御意見あるいは意見交換をしたいというふうに考えております。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  これで阿部卓也君の質問は終わりました。 (拍手)
 議事の都合により休憩します。

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