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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成16年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

杉山 盛雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/01/2004

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長 (奥之山 隆君)  ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第百十四号から第百四十五号まで及び平成十五年度静岡県一般会計、 特別会計、 公営企業会計決算全部を一括して議題といたします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 二十二番 杉山盛雄君。
            (二十二番 杉山盛雄君登壇 拍手)
    ○二十二番 (杉山盛雄君)  おはようございます。
     アテネのオリンピックもパラリンピックも無事終了しまして、 本県選手の水鳥寿思選手や河合純一選手を初め、 多くの日本選手の大活躍に心から敬意とお祝いを申し上げ、 またイチロー選手のあと一本と迫った世界記録を心から願いつつ質問に入りたいと思います。
     私は自由民主党所属議員として当面する県政の諸課題に対し、 知事、 関係部局長、 教育長、 警察本部長に伺います。
     まず、 県東部地域の市町村合併の推進について伺います。
     我が国の地方自治制度に係る根本改革とも言える地方分権の流れとともに始まった平成の大合併は、 現行の合併特例法の期限である本年度に至って大きな山場を迎え、 本県の状況も大規模な市町村の再編と行財政基盤の整備の真っただ中にあると言ってよいと思います。 中部を見れば既に人口七十一万人を擁する静岡市は、 来年四月の政令指定都市移行に向けて万全の準備体制を進めているところであり、 また西部を見れば浜松市を中心とする天竜川・浜名湖地域十二市町村は、 平成十九年四月の政令都市移行を目指し人口七十九万人の大合併を精力的に推進をしているところであります。
     しかしながら、 県東部を見ますと本年四月の伊豆市誕生の後、 新たな沼津市や伊豆の国市の誕生が見込まれる以外は特段の合併の動きが見えず、 具体的な合併議論も行われていないのが実情であります。 今や全国的に合併による市町村の再編と体制整備が進み、 力のある自治体の構築を柱とした新たな自治の時代を迎えつつあります。 この新時代における地域の将来は決して明るい要素ばかりではありません。 地方が財政の健全化や行政改革により地域の知恵と努力を結集し、 自主自立の精神で地域住民のために責任ある行政を進めていかなければならない今、 地域の市町村の枠組みは本当にこのままでいいのか、 ますます厳しくなる社会経済情勢にあって、 今後さまざまな課題をどう切り抜け、 打開していくのかを真剣に考える時期となっていることは間違いありません。
     東部地域においては、 沼津市、 三島市を核として、 長泉町、 清水町及び函南町を含めて二市三町、 または二市二町による合併協議会を設置しようとする住民発議の動きが起こっているように、 もはや研究検討の段階は過ぎ具体的な協議に入るべきものと考えます。 昨今の諸情勢を考えれば当地域で自主的な合併議論が進まない場合には、 来年度から施行される合併新法に基づいて、 県が策定する市町村の合併の推進に関する構想の対象として合併を進めていくことも考えるべきであります。 住民や各種団体の合併に向けた動きが活発化する中で行政の動きが鈍いように見えますが、 合併新法の構想の対象地域とすることによって、 行政の重い腰を上げるきっかけになるものと考えます。 そこで県として、 東部地域において拠点都市を形成するため、 場合により東部地域を新法の合併推進構想の対象地域として推進を図るとともに、 継続的な支援を進めていくべきと考えますが知事の所見を伺います。
     次に、 災害ボランティアの支援体制について伺います。
     ことしの夏は、 例年になく日本に上陸した台風の数が多く、 また勢力が強いことから全国各地の被害を大きなものにしています。 過去三十年間の平均の台風上陸個数は二・六個でありますが、 ことしは一昨日上陸し三重県や四国で大変な被害を出した台風二十一号で既に八個となり、 一九五一年に気象庁が観測を始めて以来最多となっております。 また局地的な豪雨も各地で発生しており、 河川の決壊により家屋の全壊や浸水による被害が相次いだことも特徴であります。 特に新潟県、 福島県では七月の十三日の局地的な集中豪雨により、 死者・行方不明者十六名、 全壊家屋七十棟、 浸水家屋など約一万四千棟の被害があり、 さらに福井県でも七月十八日からの豪雨で、 死者・行方不明者五名、 全壊家屋六十六棟、 浸水家屋など約一万四千棟という甚大な被害が発生をいたしました。 それぞれ災害救助法の適用を受け復旧が図られているとはいえ、 いまだに被害のつめ跡が残されていると聞き、 亡くなられた方々の御冥福と早急な復旧を心から願うものであります。
     そのような中、 被災県の社会福祉協議会を通じ全国に災害ボランティアを募集し、 八月の六日現在ではありますが、 新潟県、 福井県を合わせて延べ十万人を超えるボランティアが救援活動に集まったと聞きました。 本県からも静岡県ボランティア協会と災害ボランティアコーディネーター静岡県協議会が共同で県民に呼びかけ、 新潟県、 福井県それぞれに災害ボランティアを派遣し地元の復旧の大きな手助けになったと聞いています。
     もし東海地震が発生した場合には、 その規模により本県にも多くの災害ボランティアが駆けつけるものと想定をされます。 これらの活動は被災地にとって大変に頼もしく期待も大きいものではありますが、 一方で阪神・淡路大震災の惨状を考えると被災地が大混乱している中、 多くのボランティアがばらばらに集まったのでは、 かえって復旧活動に力を発揮できない場合もあるのではないでしょうか。 このような状況が想定される中、 本県において災害ボランティアの受け入れ体制をどのように考えているのか伺います。
     また、 個人の善意によるボランティア活動とはいえ、 活動が円滑に行われるためには地元の行政機関としても一定の支援が必要になると考えます。 災害時に全国から集まる災害ボランティアが円滑に活動できるよう、 県としてはどのような支援策を準備しているのかあわせて伺います。
     次に、 県立静岡がんセンターの運営について伺います。
     がんという病につきましては年々関心が高まっており、 新聞等においても毎日と言っていいほど、 がんに関する記事や特集を見ることがありますが、 その中で静岡がんセンターの名称が挙げられていることが多数あり、 私も県民の一人として心強く感じております。 がんセンターでは専門医や看護師等の人材を全国から集めるとともに、 国内に五台しかないという陽子線治療施設を設置しているほか、 県下ではまだ三カ所しか導入されていないPETを有するなど、 がんの高度専門医療機関として整備をされ県民に最先端のがん医療を提供しているところであり、 大いに期待されているものであります。  ところで増床計画でありますが、 当初の整備計画では開院四年後の平成十七年度には、 六百十五床の病床がフルオープンする計画でありました。 看護師の確保がなかなか難しいとのことで、 現時点では四百六十五床で運営をされております。 こうした中で、 今後の増床についてどのような見通しを持っているのか伺います。
     また、 がんセンターにおける昨年度の患者数の状況では、 外来において九千八百人余りの初診患者と延べ十一万五千四百人余りの再診患者を診察し、 病棟における入院患者は延べ十二万七千七百人であり、 このうち特に外来の伸びがどんどん大きくなっているとのことであります。 知り合いの患者さんからは 「がんセンターは、 先生や看護師さんたちが患者の立場に立って、 とても親切に対応してくれて気持ちがよく治療が受けられた」 との話を伺い、 大変よい評判を得ているなあと思う一方で、 「外来の診療が予約時間があるのに長時間待たされてしまい予約の意味がない。 特に外来で抗がん剤治療を受ける場合は待ち時間が長く大変である」 といった苦情もあることも事実であります。 そこで、 診察を受けるのに現在でも外来の待ち時間が長いといった問題等があるのか、 あるとすればどのように認識をしているのか伺います。
     次に、 中山間地域の振興について伺います。
     中山間地域は農地や森林における生産活動や適正な維持管理活動を通じ、 県民の必要とする水資源を蓄えるとともに、 下流域の市街地の洪水を調整する機能も備えております。 また多くの特産物を産出するとともに、 美しい景観等多面的な機能を有する地域でもあります。 しかし、 こうした地域では御承知のとおり高齢化や過疎化が進み地域の活力が失われつつあります。 それに伴い耕作放棄地が増加し多面的な機能を有することが困難な状況も見られます。 今後、 こうした傾向が進んでいくのではないかと大変危惧しているところであります。
     一方、 市町村の行政サービスの維持向上を目的に県内でも都市地域から農山漁村地域に至る広域的な市町村合併が進められております。 これにより、 中山間地域の有する多面的機能の維持向上にも、 大きな効果が発揮できるものと期待をしているところであります。
     沼津市においても去る八月三十日に戸田村と合併協定書の調印を行い、 新たな市としてのスタートを目指しているところであります。 戸田村は全国にも類を見ない山海の美しい景観を有し観光にも積極的に取り組んでおり、 都市的な発展を遂げてきた沼津市とは異なった一面を持っています。 この戸田村に至る沼津市内浦から西浦にかけて広がる 「寿太郎」 ミカンの園地や風光明媚な海岸線は、 観光名所としての資質も高く、 農業と水産業そして観光が連携した新たな空間を創造できる可能性を秘めた地域でもあります。 今回の沼津市と戸田村の合併を契機に、 その可能性が花開き、 都市地域と中山間地域がうまく融合し、 共存共栄する新しいスタイルの地域が形成されることを大いに期待しているところであります。
     しかし、 こうした期待が高まる一方で、 合併によりこれまで以上に過疎化や地域の活力の低下が進むのではないかと危惧する声も聞かれます。 中山間地域の多面的機能の維持向上、 都市地域との調和した魅力ある地域づくりを推進するため、 また、 こうした危惧を払拭するためにも、 今後、 県は農業を中心とした中山間地域の振興に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、 西浦ミカンの振興対策について伺います。
     本県の温州ミカンは栽培面積が全国三位、 産出額が全国二位であり、 本県農業産出額の八%を占める重要な農産物であります。 産地は県内全域に広がり、 栽培している品種は糖度の高い 「青島」 温州が中心で、 県下の主な産地には光センサーを備えた選果場が整備され、 品質のよいミカンを消費者に提供する体制が強化をされております。 しかし近年、 需要が減少し、 ミカンの一人当たりの年間購入量は約六キロと昭和五十年の三分の一以下となっております。 また長引く経済の低迷は市場価格にも大きな影響を及ぼし、 ミカン農家の経営は大変厳しい状況にあります。
     本県のミカン主産地の一つ沼津市西浦地区においては、 「青島」 温州の枝変わりとして育成をされた 「寿太郎」 温州が栽培をされ、 甘くておいしいミカンとして消費者から高い評価を受けております。 西浦地区の園地は急傾斜地で狭い階段畑が多く、 機械の導入などによる省力化が難しく、 また高齢化も進行をしております。 こうした中で、 県営緊急畑地帯総合整備事業により基幹的な農道網や畑地かんがい施設の整備が今年度完了を迎え、 今後はミカンや資材の運搬、 高品質ミカンの生産を効率的にすることが期待をされております。 この西浦地区が将来もブランドミカン産地として発展するためには、 特産品種である 「寿太郎」 温州の生産量の拡大とあわせ、 農道網や畑地かんがい施設を生かして、 さらに省力化、 高品質化を目指すとともに集積につながる園地整備が必要であると考えます。 そこで県は、 西浦地区の将来に向けたミカン振興にどのように取り組むか伺います。
     次に、 教育行政について伺います。
     まず、 道徳教育の充実についてでありますが、 先日、 新聞に次のような記事がありました。 「大阪府に住む十六歳と十七歳の少年五人が、 ことしの一月から二月にかけて同市内の八十二歳の女性が経営するたばこ店に二十回侵入し、 たばこや現金二百万円相当を盗んだ。 女性は立ち行かないと廃業し、 老人ホームに入所した」。 私は、 この記事を読んで少年に対し強い憤りを感じるとともに、 この年老いた女性の気持ちを思うと、 涙が流れてきたわけであります。 女性は、 たばこ店での人との触れ合いを楽しみにしていたのではないか。 また、 自分の力で生活することを生きがいにしていたのではないか。 少年たちの行動は、 この女性から生きがいと生活を奪ってしまったのであります。 私は、 この少年たちに聞きたい。 盗みを働いているときに、 この年老いた女性の気持ちを考えなかったのか。 人と人とが触れ合う社会の中で、 自分のことしか考えなくていいのか。
     今、 学校では道徳教育に力を入れていると聞いておりますが、 教科書や副読本に書いてあるきれい事だけを教材にするのではなく、 この記事のような具体的で生きた事例を活用すべきではないでしょうか。 あすを担う子供たちに対し、 道徳教育のより一層の充実が今こそ必要と考えますが、 どのようにお考えか伺います。
     次に、 学校部活動の活性化についてであります。
     県教育委員会では豊かな感性、 確かな知性、 健やかな心身の育成を目指していると伺っております。 確かな知性については、 確かな学力育成推進事業の推進などにより、 その効果も期待できるのではないかと思ってはおりますが、 豊かな感性や健やかな心身については、 日々の活動の中で身につけるものであり授業の中で教えるだけでは難しいものであります。 そんな中、 部活動は、 文化部、 運動部を問わず、 同じ目的を持った子供が仲間や上下関係の中で互いに高め合い理解し合いながら人間的に成長することを学ぶ機会だと思います。 子供たちは部活動の中で目標に向かってみんなで努力すること、 自分の行動に責任を持つこと、 人を思いやる心や感動する心、 また、 たくましく健全な心身をつくることができるのです。
     しかし、 残念ながらある中学では子供がけがをしたら責任をとれない等の理由で、 柔道部や体育会系の運動部が廃止をされているのが現状であります。 そんなことでは、 未来を開く意味ある人づくりはできるわけがありません。 先ほど質問した道徳教育充実のためにも、 すべての学校における部活動の推進が望ましいと思いますが教育長の所見を伺います。
     最後に、 巧妙な手口の新手の知能犯罪の検挙方策について警察本部長に伺います。
     悪化する一方であった治安にようやく歯どめがかかったといいます。 県内では本年上半期の刑法犯の発生は、 前年同期に比べて一千十四件の減少、 摘発の件数は三百五十八件増加をし、 その結果、 検挙率は二・一ポイントの上昇であったと伺っております。 地域住民の連帯意識が薄れ犯罪の凶悪化巧妙化の傾向が指摘されている中での犯罪総数の減少、 検挙率の向上は評価に値するところではありますが、 強盗などの重要犯罪は依然として多発をし、 さらに巧妙な手口の新手の知能犯罪が急増をしてきております。 特に、 おれおれ詐欺の被害は、 ことしに入ってから七月末までに全国では昨年一年間の四十三億をはるかに上回る七十七億二千万円にも上り、 県内でも既に二億一千万円も被害に遭い、 昨年と比べると被害額は十倍近くふえているといいます。
     これら巧妙な手口による新たな知能犯罪の未然防止対策については、 本年二月定例会において質問をさせていただきました。 「事件検挙はもちろんであるが、 広報活動と金融機関への働きかけが必要」 との答弁があったわけであります。 しかし、 第三者に通帳を販売する行為を禁止する法律がないことが原因とする報道もあり、 今後は関係法令の整備を求めるなど警察が動きやすい法整備を求めていくことも必要と考えます。
     実は先日、 私の留守宅にも不審な電話がありました。 おたくの主人が交通事故に遭い大変なことになっているとのこと。 うちの妻はすぐに電話を切ったそうでありますが、 後に私に連絡が入りました。 ある人は、 今パトカーの中で泣いているとか、 表ざたにしたくないから本人だと泣いて電話口に出るとか、 手口も非常に悪質になってきております。 一昨日の新聞にも沼津で二百万円の被害があったそうです。 これだけニュースになっているにもかかわらず毎日詐欺に遭う人がいるということは、 例えば暴力団関係者が都内のマンションに、 いわゆるおれおれ学校を開設し元暴走族グループに手口を指導し犯行を重ねていたとの報道もあったように、 大変巧妙化をしてきたということであります。 広報活動や金融機関などへの働きかけなどの未然防止策も重要なことではありますが、 一向になくならないこれら巧妙な手口の新手の知能犯罪に対しては、 関係法令を駆使した警察の徹底した取り締まり以外に根絶をする方法はないものと考えます。 そこで、 急増する巧妙な手口の新手の知能犯罪の検挙方策につきまして警察本部長の所見を伺います。
     これで質問を終了といたしますが、 おのおのの質問に対し的確なる御答弁をお願いし終了といたします。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (奥之山 隆君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  杉山議員にお答えをいたします。
     初めに、 県東部地域の市町村合併の推進についてであります。
     現在、 東京の中枢機能あるいは都市的魅力、 これますます強まっており、 その力をもとに首都圏は、 東京都心へと吸い寄せられるような、 そういう感じすらするような昨今であります。 そういう傾向の中でありますだけに、 沼津とか三島を中心とした東部地域に核となる拠点都市を形成していくことが非常に重要であるというふうに考えております。 関係の市町村におきましては、 まさに地域としての危機感を持って真剣に合併を目指した地域のビジョンについて議論を重ね、 地域住民に示していくことを期待するところであります。
     こうした中、 清水町においては住民団体から、 沼津市、 三島市、 函南町、 長泉町までを含めた合併協議会の設置請求の動きも出始めております。 これは私から見ておりますと、 なかなか進まない東部地域における行政の取り組み姿勢に何らかのインパクトを与えるものではないかと期待をし、 今後の動向に注目をしているところでございます。
     合併新法による市町村合併につきましても引き続き各種の支援策を講じていく方針でありますが、 現行の合併特例法との関係を含め具体的内容については来年度の予算編成の中で固めていく考えであります。 特に、 合併新法に基づく合併推進構想については、 今後、 総務大臣が定める基本方針において、 単に小規模市町村の合併ということだけではなくて政令指定都市や中核市を目指した合併という類型も盛り込まれる方向と聞いておりますので、 構想の対象地域につきましてはそうした幅広い視点から検討してまいりたいと考えております。
     次に、 災害ボランティアの支援体制についてであります。
     東海地震等大規模な災害が発生した場合に県では県社会福祉協議会やボランティア団体等と連携し、 災害ボランティア本部・情報センターを県総合社会福祉会館に、 そして災害ボランティア支援センターを県総合庁舎――県内、 現状では九地区に設けておりますが、 県の総合庁舎等に設置をするという考えのもとに体制を組んでおります。
     問題は、 その際活動のための資機材を提供するほか、 ライフライン、 公共交通機関の復旧状況、 あるいは交通規制の状況など、 ボランティア活動に必要な情報の提供を行うということも非常に重要になってくるわけであります。 この間の福井、 新潟の集中豪雨の際に、 特に新潟地区で当初問題といいますか話題になりましたのは、 全国的にボランティア活動に従事したい、 そこへ行って手助けしたいという声が大変大きく盛り上がったわけでありますけれども、 地元自身がどのように受け入れたらいいかわからないから当初は何か 「結構です」 というような反応で、 それからしばらくたってから 「ちょっとお待ちください」、 最後は態勢が整ってボランティアの人たちを受け入れるというふうになりましたけれども、 結局そういう最終的に受け入れるまでの間にかなりの時間のロスがありましてですね。  そういうことでありますので、 本県では今のようにまずボランティアの受け入れに当たっても、 県中央の本部組織体制とそれから地域のそれぞれまた支部組織ですね、 そしてそれぞれが必要な地域情報をうまく各方面に提供する。 それによってボランティアの誘引といいますか、 導入を図っていこうと、 そういう考えで一応組んであるわけでございます。 また市町村におきましても市町村社会福祉協議会等と連携をいたしまして、 あらかじめ定められた施設に市町村災害ボランティア本部を設置をして、 ボランティア団体等が主体となってボランティアの受け付けや活動場所のあっせん、 配置調整等を行うという、 そういう体制を組んでおります。 なおボランティアの参加要請や募集活動、 市町村の圏域を越えたボランティア活動の配置調整などは、 県災害ボランティア本部等においてボランティア団体等が主体となって行うというふうにしております。
     また災害時において、 ボランティアの活動拠点の設置運営を担う人が必要になるわけであります。 そこがちゃんとしていませんと期待した機能が十分に発揮できないわけでありますので、 その受け入れ調整を行う人材養成を県ではこれまでやってまいりました。 既に八百十九名の災害ボランティアコーディネーターを養成し終わりまして、 この方々が平成十四年度――おととしから本部の立ち上げ訓練等を実施し実践的な活動レベルの向上も図っております。
     さらに、 発災直後からボランティア活動が円滑に行われるためには、 いろんなさっき言った体制以外に物理的な各種の条件整備が必要であります。 例えば電話の架設、 仮設電話の設置でありますとか活動車両の燃料費などもすぐに必要になってまいりますね。 そのような初動の活動経費、 これをいち早くそのボランティアの受け入れ組織、 機構がちゃんと調達をし活動してくださる方々に支給するなり体制を用意して使ってもらうと、 そういうことが必要になるわけでありまして、 そういうお金がすぐに動かせるかどうか、 これが問題になるわけです。 そこで、 これにこたえるために平成十四年度に全国で初めて静岡県災害ボランティア活動ファンドを設けました。 これは公益信託方式により設置しているわけでありますが、 そのファンドには、 当初県が三千万円の出捐金を出しました。 そしてその後、 企業や県民の皆様の寄附により二千万円強がつけ加わりまして残高は五千万円余と今なっております。
     今後とも災害時において全国各地から集まるボランティアの善意にこたえ、 その能力が最大限に発揮されるように、 これまでの被災地における活動事例を参考にしながらボランティア団体等と連携し、 災害ボランティア活動への支援体制の充実に努めてまいる考えであります。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (奥之山 隆君)  植田がんセンター局長。
            (がんセンター局長 植田勝男君登壇)
    ○がんセンター局長 (植田勝男君)  県立静岡がんセンターの運営についてお答えいたします。
     増床の見通しにつきましては病棟運営に必要な看護師の確保が前提となりますため、 全国の看護師養成機関への訪問等の募集活動やインターネット等による広報の強化を図っております。 しかしながら、 全国的な看護師不足に起因する応募者数の減少や質の高いがん医療にふさわしい人材を選考する方針をとっておりますことから、 来年度採用予定者の試験では残りの百五十床を開棟するために必要な増員数の半分程度しか確保できないという厳しい状況でございます。 このため上半期に実施しました特別募集を引き続き行い、 実際に確保可能な看護師数を精査した上で増床計画の見直しを行ってまいります。
     また、 外来診療の待ち時間につきましては、 現在、 平均三十分程度でありますが、 一部の診療科では一時間を超える状況にございます。 特に、 通院治療センターでの抗がん剤治療では予想を上回るペースで治療件数が増加するとともに、 治療時間の長い患者さんの割合がふえておりますことから、 長時間お待ちいただく状況が生じております。 このため当面この下半期からは、 点滴用ベッドを二十床から二十四床に増床いたしまして対応することとしておりますが、 さらに中長期的視野に立って運営時間の延長や施設の再配置による抜本的な外来スペースの拡大等の方策についても引き続き検討をしてまいります。 今後とも本県のがん診療拠点として、 お一人でも多くの県民の皆様に高度な医療を提供できますよう最大限の努力をしてまいります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  北村農業水産部長。
            (農業水産部長 北村正平君登壇)
    ○農業水産部長 (北村正平君)  中山間地域の振興についてお答えいたします。
     中山間地域は高齢化や過疎化などによる活力低下が懸念されておりますが、 経営耕地面積の約三割を占める農業生産の場であるとともに、 県民の安全・安心な暮らしに欠くことのできない多面的機能を発揮する重要な地域であります。 戸田村は、 「寿太郎」 ミカンやタカアシガニなど特徴ある豊かな農林水産物に恵まれまして、 紺碧の海と井田の菜の花畑など美しい自然や景観が魅力となって年間四十三万人に上る観光客が訪れております。
     こうした地域の特徴を踏まえ、 県では中山間地域総合整備事業により安全で作業しやすい農道や用排水施設等の生産基盤整備を進めるとともに、 特産物や地域住民の知識と経験を生かして住民が生き生きと暮らし訪れる人々が心和む 「もてなしの里づくり」 を目指しているところであります。 県といたしましては、 今後とも本県の地域特性を生かした生産基盤と生活環境の一体的な整備にあわせまして、 都市と農村との交流を進め定住化の促進や交流人口の増加を図り中山間地域の振興に努めてまいります。
     次に、 西浦ミカンの振興対策についてであります。
     西浦地区は本県としても力を入れて奨励している 「寿太郎」 温州ミカンの主要な産地であり、 この地域で県全体の九〇%の生産を占め京浜市場を中心に高い評価を受けております。 しかし、 駿河湾に面した丘陵地につくられたミカン園は階段状で小規模な園地が分散しており、 他の産地に比べて園地整備や機械化がおくれ省力化や効率化が課題となっております。 このため県では、 県営緊急畑地帯総合整備事業による基幹農道やかんがい施設の整備、 うんしゅうみかん改植等整備特別事業による園地の改良、 かんきつ産地整備事業による光センサー装備の集出荷場の整備など、 作業環境の改善や果実の選別作業の効率化への取り組みを支援してまいりました。
     今後の産地振興については、 貯蔵ミカンの生産に適している西浦地区の特性を生かして評価の高い 「寿太郎」 温州ミカンの生産を拡大し、 ミカンの端境期となる二月中旬から三月末までの安定的な出荷、 販売を目指すことが重要と考えております。 県といたしましては、 近年徐々に増加しつつあるミカン園の流動化を関係団体と連携して一層促進するとともに、 今年度基盤整備事業が完成する平沢地区をモデルとして地域の実情に合った農道や園地の整備により生産性の高い経営体を育成し、 高品質な貯蔵ミカン産地として西浦地区全体の体質強化に取り組んでまいります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  教育行政についてのうち、 初めに道徳教育の充実についてお答えいたします。
     子供たちの行動や考え方に憂慮すべきあらわれが出ている今日、 道徳教育は子供たちに社会の一員としての規範意識や人間性をはぐくむため大変重要であると考えております。 議員御指摘のとおり教科書や副読本に限らず具体的な事例を活用して実践的な指導を行うことは、 非常に有効であると考えております。 例えば新聞の報道記事や投書欄を活用した道徳の授業は、 平成十五年度で県内小学校の約四五%、 中学校の約七〇%で実施されており、 それらの学校では子供たちがそれぞれのテーマを自分のことと受けとめ真剣に授業に参加しているとの報告を得ております。 また、 ビデオや子供の日記を活用したり動植物の世話をしたりするなどの具体的な指導を取り入れている学校もあります。
     県教育委員会といたしましては、 今後とも具体的な生きた事例の活用を一層進めるとともに、 ゲストティーチャーの招聘や体験活動、 人権教育などとの関連を図り、 家庭や地域とも連携をとりながら人を思いやる心の育成など、 道徳教育の一層の充実に努めてまいります。
     次に、 学校部活動の活性化についてであります。
     部活動はスポーツや文化活動に共通の興味、 関心を持つ生徒が、 技能を高めたり芸術に触れたりする中で、 社会性を身につけ個性や可能性を伸ばしながら感性や心身をはぐくむ教育上意義の大きな活動と考えております。 教育委員会といたしましては、 指導経験の浅い教員を対象とした運動部活動指導者研修会による指導者の資質向上や文化部に所属する生徒の発表の場としての静岡県中学校総合文化祭の開催を支援することなどを通して部活動の充実に努めてまいりました。
     しかしながら、 本県においては今日直面している中学校生徒数の大幅な減少とそれに伴う教職員数の減少、 さらには教職員の高齢化などにより従前の部活動を維持することが困難な状況も生じております。 今後は、 既に二十二校までに広がってきた複数校による合同の部活動や国体の開催地域に芽生えた新たな部活動など、 学校の規模や地域の特性に応じた活動がさらに展開されたり、 外部の指導者の活用を促進したりして、 多くの学校で部活動がさらに推進されるよう支援してまいりたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  高石警察本部長。
            (警察本部長 高石和夫君登壇)
    ○警察本部長 (高石和夫君)  巧妙な手口の新手の知能犯罪の検挙方策についてお答えをいたします。  初めに、 この種の知能犯罪の発生状況でございますが、 昨年から全国的におれおれ詐欺や架空請求詐欺などが多発しておりまして、 本県におきましても昨年二月に初めて、 おれおれ詐欺を認知いたしまして以降、 平成十五年中には二百七十四件の発生がございまして、 このうち既遂が百九件、 被害総額は一億一千七百万円余となっています。 本年は八月末現在で既に昨年を上回ります四百六件の発生、 うち既遂が百五十五件で被害総額は二億四千四百万円余となっております。
     また、 このおれおれ詐欺以外にもはがきやメールなどを利用いたしまして身に覚えのない有料サイトの料金を請求したり、 あるいは金融業者から債権回収を依頼されたごとく装います架空請求詐欺というものも多発しておりまして、 平成十五年中には二百二十六件、 被害総額は一億一千五百万円余でございましたけれども、 本年は八月末現在で既に昨年を上回ります二百六十件、 被害総額は二億二千四百万円余となっております。
     この種の知能犯罪は、 電話や郵便、 インターネットなどを利用いたしまして不特定多数の方を欺罔いたしますので、 一度に大量の被害者が発生いたしますほか高齢者や女性の方が被害者となることも多い極めて悪質な犯罪でございます。 警察といたしましては、 こうした身近な知能犯罪に対する捜査及び被害防止対策を強力に推進しているところでございます。
     そこで検挙方策でございますが、 まず、 この種の知能犯罪は不特定多数の方が対象とされ、 犯人の犯行場所、 被害者の住居、 被害金の引き出し場所などの管轄警察が異なります上、 広域的な捜査が必要となりますので、 県内の関係警察署はもちろんのこと、 他の都道府県警察との間でも相互に情報交換や報告連絡を緊密に行いまして積極的かつ効率的な捜査を推進しているところでございまして、 本年は福島県警との共同捜査などによりまして、 おれおれ詐欺二件四人を逮捕しているところでございます。
     次に、 この種の知能犯罪でございますけれども、 最初から最後まで犯人と被害者が直接接触しないという、 いわゆる非面接犯というものでございまして犯人が指定いたします現金振込口座あるいは犯人から被害者への連絡のために使用されます携帯電話というのは、 ほとんどがインターネットを通じて売買されたものということでございまして、 その名義人と実際にこれを使用している犯人が異なっているということが大きな特徴でございます。 警察といたしましては預金口座の開設名義人あるいは犯人が連絡用に使用しております携帯電話の名義人を特定いたしまして、 これらの供述から突き上げ捜査を行っているところでございます。 ちなみに、 おれおれ詐欺や架空請求詐欺などで使われております預金通帳が転売目的で開設されたことが明らかになった場合には、 その口座開設名義人を詐欺で、 また、 この口座を有償で買い取った者につきましても盗品等有償譲り受けによりまして検挙しております。 本年は十三件十六人を逮捕しているところでございます。
     また、 預金口座の不正開設あるいは売買、 携帯電話の不正取得、 個人情報の不正入手や漏えいなどにつきましては、 この種の知能犯罪のみならず各種の犯罪を助長する行為でもございますので、 議員御指摘のとおり、 あらゆる法令を駆使いたしまして積極的な取り締まりを行っているところでございます。
     さらに、 この種の知能犯罪では、 被害者から振り込まれました現金は振り込まれた直後に県外の金融機関のATMあるいはコンビニエンスストアのキャッシュコーナーで引きおろされるというのが実情でございますので、 関係者の御協力を得た上でATMやコンビニの防犯ビデオの解析を行っておりますほか、 携帯電話の通話記録などを解析いたしまして地道な捜査を積み重ねておるところでございますので御理解をいただきたいと存じます。

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