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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

池谷 晴一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/30/2014

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 水資源の保全と有効活用について                 
2 市町等における獣肉処理加工施設建設への支援について       
3 国立駿河療養所の医療体制と県のかかわりについて         
4 フードポリス、ふじのくに食の都づくりについて          
5 用途地域外の都市計画決定された道路整備について         
6 富士山麓のスコリア地帯における山地災害対策について       
7 大雪に対する危機管理体制の整備について


○副議長(伊藤育子君) これで佐地茂人君の質問は終わりました。
 次に、三十七番 池谷晴一君。
       (三十七番 池谷晴一君登壇 拍手)
○三十七番(池谷晴一君) 私はふじのくに県議団所属議員として通告に従い、当面する県政の諸課題につきまして知事及び関係部局長に一括質問方式で質問いたします。
 まず、水資源の保全と有効活用について伺います。
 地球温暖化の影響などにより近年異常な気象が頻繁に見られるようになりました。全国的には渇水に苦しむ地域が出る一方、大雨による被害が発生する地域もあり、人間の生活の源である水資源を保全していくことの重要性が再認識されています。
 このような状況の中、本年三月に水循環基本法が成立し、また五月には雨水の利用の推進に関する法律、いわゆる雨水利用推進法が施行され、健全な水循環を維持または回復させるとともに水資源の有効活用を図るための施策を推進していくことが制度化されました。
 水循環基本法は、水は生命の源であり人類共通の財産であることを再認識した上で上水道、下水道、農業用水など水利用に係る各施策の所管の縦割り行政の弊害をなくし、水資源の保全と健全な水循環を目指したものであり、政府が水循環基本計画を定め、国及び地方公共団体は雨水浸透能力または水源涵養能力を有する森林や河川、農地等整備のための施策を講じ、水量の増減、水質の悪化などに対する規制等の措置を適切に講ずるものとしています。
 一方、雨水利用推進法は雨水を貴重な資源として有効に活用して河川の洪水を抑えるとともに、トイレ洗浄や散水のほか渇水時の水確保、防災、防火などにも対応することを目指しており、県は国土交通大臣が定める雨水の利用の推進に係る基本方針に即して県方針を定め、雨水の利用のための施設設置に関する目標設定をし関連施策を講じることができるとしています。
 そこで、これら水に係る法律の施行等を踏まえ、地下水及び雨水に係る水資源の保全と有効活用について伺います。
 まず地下水ですが、世界遺産富士山の地下水は、近隣市町の水道水や工業用水として利用されているほかブランド米御殿場コシヒカリやミズカケナ、ワサビなどの名産品も生み出しています。本県は水の都をベースに食の都を形成しているとも言うことができ、地下水の有効利用は重要課題であると思います。
 県内では、井戸の掘削について採取量を制限し、また井戸の掘削場所の距離等を制限している市町もあります。特に上流部で井戸を掘削して取水すると下流の水資源に影響が出ると言われており、地下水の利用は単に一つの市町で判断するものではなく、流域の市町がかかわり全体的な調整を図っていくべきであると考えます。一方雨水ですが、県内では災害対策の観点から土地利用事業指導要綱等で雨水貯留施設の設置を義務づけている市町や貯留施設の新設等について、設置者に対し助成を行う制度を設けている市町もあると聞いています。
 地下水及び雨水に係る水資源の保全と有効活用について、県として今後どのように進めていくのか所見を伺います。
 次に、市町等における獣肉処理加工施設建設への支援について伺います。
 県内におけるニホンジカやイノシシによる農林産物への被害は依然として多い状況にあります。またその被害額の状況を見ると、伊豆や富士地域で約五割を占めています。県においては、これら有害鳥獣害対策として侵入防止柵の設置や市町等における有害鳥獣捕獲などを推進していますが、狩猟者の減少や高齢化により将来有害捕獲や狩猟などに支障が出ることが懸念されています。
 他方、捕獲したニホンジカやイノシシは、ごく一部が食肉として自家消費されるのみで、ほとんどが山地へそのまま埋設処分、あるいは一部焼却処分されています。このような状況の中、県においては、これら野生鳥獣を地域資源として有効活用していく動きを受けて平成二十二年三月に野生動物肉の衛生及び品質確保に関するガイドラインを策定しました。このガイドラインは、獣肉を不特定多数の消費者に商品として提供する場合について肉の処理施設や必要となる設備のほか食品衛生法に基づく食肉処理業の営業許可が必要であることから、施設内における取り扱いや狩猟者による捕獲、搬入及び処理業者による受け入れ、保管作業を整理し、衛生的で安全な供給、流通を目指すものであると認識しています。そして、伊豆市においては、捕獲されたニホンジカやイノシシの命を無駄にしないためにも食品として生かしたいと、しとめたニホンジカやイノシシの肉を処理する施設イズシカ問屋を平成二十三年四月に開所し、同時に処理された肉の販売なども行い地域振興の一翼を担っています。
 しかしながら獣肉処理加工施設として収益を上げ事業として存続するためには、安定的な個体数確保や販路確保のほか、およそ四時間以内の搬入、銃器捕獲に係る制限、個体の適切な処理など多くの課題があります。ニホンジカやイノシシの適正数を維持し野生鳥獣を有害鳥獣とさせないためにも、有害捕獲や管理捕獲は今後も続ける必要がありますが、一方では捕獲個体について適正な処理が必要であり、また地域おこしという観点もあり獣肉処理加工施設建設の必要性は高いと考えます。伊豆市の施設に類する施設が全国では二十施設整備されていると聞き及んでいますが、富士山麓地域では施設がないため捕獲したニホンジカやイノシシの処理に苦慮している状況にあります。
 そこで、市町等におけるニホンジカやイノシシの獣肉処理加工施設建設への支援に係る県の取り組みについて伺います。
 次に、国立駿河療養所の医療体制と県のかかわりについて伺います。
 ハンセン病につきましては、病気に対する誤解から全国各地で患者の強制隔離や無らい県運動などが展開され、戦後、治療薬の開発により完治するようになってからも、いわゆるらい病患者として隔離政策が続けられたため、患者とその家族は想像を絶する差別と偏見、人権侵害等に苦しみ続けてきました。最近では群馬県のハンセン病療養所における監獄――重監房や各地の療養所における監禁所の存在についての報道もあり、負の世界遺産登録という話も出ています。平成十三年五月の熊本地裁判決を受け、国はハンセン病に係る政策の誤りについて謝罪し、患者や元患者への補償や名誉回復に努め、福祉増進、ハンセン病問題の啓発事業に努めることとなり、県においても、国の隔離政策等にかかわってきたことから同年六月及び翌年一月に県知事が療養所を訪問し謝罪を行うとともに、県議会においても平成十三年六月定例会においてハンセン病問題の早期解決に関する議決を全会一致で行ったところであります。
 そして、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律、いわゆるハンセン病問題基本法が平成二十一年四月に施行され、国は療養所入所者に対する療養及び生活保障等恒久対策を実施しているところでありますが、過去のらい予防法による強制収容、隔離政策や偏見、差別の歴史は今なお入所されている皆様を苦しめています。現在、全国十四のハンセン病療養所に千八百人余の方が入所されており、県内では御殿場市の国立駿河療養所に六十八人、神山復生病院に七人、計七十五人の元患者の皆様が暮らしており、平均年齢は八十二歳を超えています。
 国は、ハンセン病患者の最後の一人まで面倒を見ると言ってはいるものの、入所者の皆様は高齢化が進み自身と療養所の将来への不安を感じています。特に駿河療養所は常勤医師が年々減少し、国立病院機構や周辺病院からの応援を受けてはいるものの、日々の診療や夜間当直など医療体制の確保に大変苦慮しており、入所者の皆様にとっても大きな不安要素となっています。駿河療養所の医療体制につきましては、平成二十二年に御殿場市を中心に市議会、県健康福祉センターなどによって組織された将来構想検討委員会が策定した国立駿河療養所将来構想案の中でも充実を図るとされていましたが、これまで実現に向けた具体的な取り組みは全く進んでいません。療養所の医療体制につきましては、一義的には施設を運営する国が責任を持って対応すべき問題であると思いますが、一方で療養所は現状の医療体制維持のため、地域で必要とされる医療サービスを提供できるよう地域の医療機関や県立病院とのさまざまな連携を模索していきたいとの考えを持っていると聞いています。
 私は、こうした療養所の意向を県や周辺市町、その他地域の関係団体が協力して実現していくことが入所者の皆様の不安の解消につながると考えますが、療養所の意向に対して県はどのように対応していくのか伺います。
 次に、フードポリス、ふじのくに食の都づくりについて伺います。
 昨年、県議会の海外研修において人口十八万二千人のスペインの地方都市、サン・セバスチャンを視察いたしました。この街は古くから風光明媚な高級保養地として栄え、多くの王族や国家元首なども来訪している街ですが、最近は美食世界一の街としても有名となり、美食と料理、そして国際映画祭など文化イベントやサーフィン大会などスポーツイベントも開催して、観光、宿泊と組み合わせ世界中から多くの観光客を呼び込んでいます。
 この街にバスク・クリナリー・センターという四年制の大学が、モンドラゴン大学の四つの学部のうち食科学部として二〇一一年九月に設立されました。この大学では当地方、バスク地方でとれた食材のプロモーションや食材を生かした新たな料理の創設、料理法、栄養に関する勉強や調査研究を行っているほか文化や歴史、化学、生物学等、科目の勉強も行っています。またワインソムリエ、パティシエ、料理法、レストラン経営の四つのマスター資格が取得できる、世界でも唯一の大学として日本を含め世界中から学生が集まっており、年間で約一万人の見学者も訪れています。この大学はスーパーやビール会社など大手食品や食器など食品関連企業から資金面や講師などの協力を得て経営しており、世界の料理学校とも協力関係にあります。また一般の人も参加できるバスク料理教室なども開設しており、地域の食文化の向上にも貢献しています。さらに食品関係の資器材製造会社の試作製品テストということなども行っています。来年、初の卒業生を出しますが、食品関連業に係る人材育成機関として、また研究開発機関として世界に認められており学生の就職先の心配は全くない状況にあるとのことでした。
 改めて言うまでもなく、本県は日本一高い富士山と日本一深い駿河湾、そして温暖な気候にも恵まれ、海の幸、山の幸が豊富であり、食材の王国である本県の場の力を生かし食の都づくりに取り組んでいます。その取り組みを次のステージに進めるため、このサン・セバスチャンの事例も参考になるのではないかと思います。
 知事は、本年二月定例会における我が会派、田県議の代表質問に対し、フードポリス――食の都静岡から、和食文化を県内外に発信する。世界に向けては、大学と仕事人が連携したインターナショナル無形文化遺産和食料理アカデミーを設置し、県産品のブランド力の向上とともに、国内外からの誘客に取り組むなど、フードポリス――食の都づくりを積極的に推進し、本県の農芸品の販路開拓や消費拡大につなげると答弁されました。
 サン・セバスチャンの活動を本県にそのまま当てはめることは難しい面もあるかと思いますが、将来、例えば県立大学や関連企業等との連携により無形文化遺産となった和食及び食に係る専門的な学習、日本一の食材の宝庫、静岡の食材を使った新たな和食の創造や和食マスター資格の付与、そして関連産業の振興に係る研究なども行い、さらには文化、スポーツイベントも組み合わせた新たなツーリズムの創設も図り、ふじのくに食の都を世界に発信し、世界から静岡を目指して来訪する方々の増大を図ることができれば、食は交流人口拡大の重要なキーワードともなります。
 フードポリス、ふじのくに食の都づくりについて、今後も積極的に推進すべきであると考えますが所見を伺います。
 次に、用途地域外の都市計画決定された道路整備について伺います。
 日本の人口は、今後百年間で百年前――明治時代後半の水準に戻る可能性があると言われている中、市街化区域等における民間投資の促進を通じて住宅市場、地域経済の活性化などを図るため、平成二十四年十二月に都市の低炭素化の促進に関する法律が施行されました。これにより市町村は病院や福祉施設などの集約整備、歩いて暮らせるまちづくり、バス路線やLRT等整備に係る低炭素まちづくり計画を作成してまちづくりを進め、支援を受けることができることとなりました。
 さらに、地方都市における人口減少などによる地域の活力低下に対応するため、都市の再構築――リノベーションが喫緊の政策課題となっている中、本年五月十四日に改正都市再生特別措置法が成立しました。この法律は、地方都市における急激な人口減少や大都市における高齢者の急増が見込まれる中で持続可能な都市経営の確保への対応を図るため、中心市街地に住宅及び医療、福祉、商業等居住関連施設を誘導し、あわせて公共交通に関する施策を講じることにより市町村によるコンパクトなまちづくりを支援するものであります。しかしながら既に地方都市は都市計画法に基づき道路等都市施設を決定してまちづくりを進め、産業振興や雇用創出、地域活性化などを図っており、また用途地域外においても都市計画法等により規制と誘導を行ってきた経緯があり地方都市の単なるコンパクトシティー化の推進については疑問があります。都市計画法は都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進を図ることを目的に都市施設に対する財源の効率的な投下なども目指したものであり、この法律に基づき地方はまちづくりを進めてきたと考えますが、今回の改正都市再生特別措置法等の施行により、国が限られた財源の中で既成市街地の道路整備のため、さらに予算を重点投下し、他方、郊外部の道路整備を置き去りにする危惧が生じています。
 今後、用途地域外における都市計画道路整備について、県としてどのように考え対応するのか伺います。
 次に、富士山麓のスコリア地帯における山地災害対策について伺います。
 富士山麓、特に北駿地域におきましては、富士火山や箱根火山を起源とする火山噴出物のスコリアが堆積した脆弱な地質特性を持った地域が広く分布しております。このため関東大震災に伴う山腹崩壊など過去から幾度となく山地災害に見舞われてきました。記憶に新しいところでは、平成二十二年九月の台風九号により小山町は時間最大雨量百十八ミリ、総雨量四百九十ミリという記録的な豪雨に見舞われました。この豪雨に伴う山腹崩壊によって、整然と植林された杉やヒノキなどが土砂とともにすさまじい流れとなって河川を氾濫させ家屋や農地などに甚大な被害が発生したほか、下流の神奈川県の酒匂川におきましても河床の上昇などが見られ、上水の取水に大きな影響を与えたところであります。小山町内の被災地では、災害発生直後から県による災害関連事業が迅速に実施されてきましたが、翌二十三年九月には台風十二、十五号、平成二十四年には台風四号が襲い、たび重なる豪雨により新たな山腹崩壊の発生や渓流に堆積した土砂の流出などが生じ、現在もなお国道百三十八号、富士霊園やゴルフ場などにおいて被害が発生しており、地域住民の不安は拭えません。これらの被害が繰り返し発生する地域は火山噴出物のスコリアが厚く堆積した地質特性を持った地域であることが多く、スコリアは主に粒径の小さな砂れき状で透水性が高いため、通常の降雨では表面流が生じがたいものの豪雨時には渓流を侵食し、これに伴う山腹の脚部の不安定化によって表層崩壊を発生させるなど加速度的に荒廃を進行させる素因となっております。
 伊豆大島元町地区では昨年十月十六日、台風二十六号による記録的な豪雨に見舞われ大規模な斜面崩壊が発生し、多くのとうとい人命が奪われるなど甚大な被害を受けました。伊豆大島は、一九八六年の噴火を初め歴史的に繰り返し噴火が起こっており、地質特性は小山町と同様に山腹斜面にスコリアや火山灰が堆積したものであります。この衝撃的な惨事によって、改めて山地災害の脅威を思い知らされました。近年では地球温暖化の進行に伴って台風の大型化や局地的集中豪雨が発生する傾向があり、同様の地質特性を持つ本県富士山麓地域の山地災害防止対策を早急に講ずる必要性を強く感じるところであります。また当地域は、世界遺産に登録された富士山を初め美しい山並みなどすぐれた観光資源や、日本の物流の大動脈である東名、新東名高速など重要なインフラを有しています。
 多発する山地災害から県民の生命や財産、そしてこれらの社会資本などを守り、痛ましい災害を二度と繰り返さないために富士山麓地域、特に北駿地域の山地災害対策にどのように取り組んでいくのか県の考えを伺います。
 最後に、大雪に対する危機管理体制の整備について伺います。
 県は、平成二十三年にふじのくに危機管理計画を策定し、さまざまな危機事案に対して基本となる平時からの危機管理システムや応急対策時の意思決定システムなどを統一化し、全庁挙げて迅速に対応できる体制を構築しました。同計画は基本計画と、地震や津波、原子力災害、火山災害等、地域防災計画編のほか、国民保護、感染症対策などの個別計画編で構成され、事前対策を含め危機事案に対しての基本的な対応が一体的かつ的確に実行できる内容となっており、事前、平時対策については減災の視点から地震・津波、原子力災害等、各個別事案について予防対策を推進し、また情報をGIS――電子地図などに表示してデータベース化、情報を見える化して事前、応急対策に活用し、発災時には迅速かつ円滑な応急対策の実行を目指したものであります。
 このような危機管理体制下において、本年二月八日及び十四、十五日、県東部地区を中心に記録的な大雪に見舞われました。集落の孤立化や建物、農産物などへの被害が発生した一方、交通ではJR御殿場線等において運転を見合わせたほか高速道路などに大渋滞が発生し、企業活動や生活に大きな影響が出ました。このような被害が発生した要因は、豪雪地帯ではない本県において住民や県、市町、中日本高速を初めとした関係機関が大雪への対応になれていないこと、またこのような事態を全く想定していなかったことなどが挙げられると思います。雪への対応は、降り始める前の事前の準備から降り出した後の積雪状況の把握、積雪量に応じた道路や車両規制、誘導、除雪、そして情報分析と情報提供など的確、迅速な対応策の実行が重要であり、今回のような大雪となった場合、その被害の大きさ、影響などから県においても適切に対応すべき危機事案であったと思います。
 しかしながら、このふじのくに危機管理計画には現在大雪に対する対応は掲載されていません。また自衛隊の災害派遣につきましては公共性、緊急性、非代替性の三原則をもって判断されますが、今回の大雪に係る高速道路の麻痺に関しても、その影響の甚大さから派遣要請が検討されるべきであったと考えます。
 県は今回の大雪への対応から何を学び、今後どのように危機管理体制を整備していくのか伺います。以上につきまして答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 池谷議員にお答えいたします。
 フードポリス、ふじのくに食の都づくりについてであります。
 スペインの有名な地方都市を御視察されて、有益な御提言をいただきましてありがとうございました。
 静岡県は多彩で高品質な食材の宝庫です。食材の王国と言うに足る地域でございますが、そのような本県の場の力を生かしまして国内外から人々を引きつける食の都づくりを現在推進しております。そのために食の都づくり仕事人の表彰、しずおか食セレクションの認定などに取り組んでまいりました。
 平成二十二年度から始めましたので、この仕事人は二十二年、二十三年、二十四年、二十五年、この四年間で三百七十三人。そしてまた特段それぞれの年に立派な仕事をしていただいた方を仕事人オブ・ザ・イヤーとして二十三年度から三、四、五と三年間で今三十七名の方たちが、さらにまたいろいろな食材を活用した食セレクションというのも平成二十二年から選び始めまして、これは専門家によって選んでいただいて公正な審査を内外に公表した上で表彰するものでありますけれども、この食セレクションも九十を上回る数になりました。こうした取り組みによりまして、仕事人と生産者などが連携して県産食材を生かした新たな商品開発とか地域のにぎわいづくりの活動が行われるようになっているのを喜んでいます。今年度も食の都フェスティバルや食のワークショップなどを開催して県民参加型の食の都づくりを推進し、地域への定着に一層努めてまいるつもりであります。
 また、東名、新東名のSA、PAにおきましてもレストラン、あるいは食品が大変人気であるということで、そこのSA、PAなどを活用したメニューを提供するフェアの開催、仕事人の店舗と農林水産物の直売所等をめぐる周遊キャンペーンの実施、この間終わりました浜名湖花博二〇一四会場内でのブランド食材の展示販売などを行いまして、県内外への食の都の情報発信や誘客等による交流人口の拡大にも取り組んでまいったところであります。
 こうした中で、昨年暮れに本県といいますか本県のためと言ってもいいような和食がユネスコ無形文化遺産に認定されたということでございます。そこでこれを追い風にいたしまして大学とのかかわりを深める必要があると考えまして、私ども県立大学にはいわゆる食品栄養科学部というのがあります。これはモンドラゴン大学の食科学部は過去四年ですけれども、私どもはもっと長い歴史を持っているということです。さらに薬食同源という、そういうフレーズを現在の木苗学長先生が言われておりますけれども、立派な日本でも有数の薬学部を持っているということがありまして、このモンドラゴン大学の場合には大学と企業とか食品関係の方たちが関係されているということで、これは新しいと存じます。そこで私どもはこの食の都づくりを推進するため、目下のところは静岡文化芸術大学の熊倉学長先生を委員長とし、県立大学の木苗学長先生を巻き込んで、産業・文化・学術などの幅広い分野の専門家を集めた、和の食文化を活かした食の都づくり推進有識者会議を開催したところでございます。熊倉先生は食の文化の専門家、木苗先生は食の科学の専門家ということで、両者相まって、もう鬼に金棒ということと見ているところでございます。その会議におきまして、さまざまな御提案を頂戴いたしまして、仮称ですけれども、インターナショナル無形文化遺産“和食”料理アカデミーと。これについても議論を深めていただきたいと考えているところであります。
 我々は和食と和の食という言い方をしておりますけど、和食というのはこのたびユネスコの無形文化遺産になりました、一汁三菜を軸にした日本の固有の食文化であります。和の食と言った場合には、静岡県産の食材を活用して、それを中華料理にしたりイタリア料理にしたりフランス料理にしたり、さまざまな料理をされておられるわけですね。こうしたものは狭義の和食ではなくて全てを相和した和の食文化ということで、それら全てを励ましたいと。そうした中に和食とハラール、すなわちイスラムの食品と適合的なものも考えていこうというふうに考えているわけです。
 こうした観点からしますと、これはどうしても学問機関、学術機関の御協力がなければできません。と同時に実際に食品産業にかかわっていらっしゃる方たちと連携しないといけないと。こういうことで私どもは、京都の和食の料理アカデミーが京都の料理、京料理というものを軸にしているのに対しまして、我々は静岡県の食材を活用したものを狙いながら狭義の和食文化と。いろいろな静岡県の食文化、これを生かした和の食文化というもの、この両方を研究していこうというふうに思っておるわけです。それには当然、例えばカレーライス、牛丼、あんパンなども入ります。ラーメン、ギョーザも入ります。さらに案外気がつかれていませんけれども、パンとポテトサラダのサンドイッチ、池谷議員はお好きでしょうか。これは日本の発明です。あんパンなどと同じで。ですから、こうした新しい組み合わせというのは日本で行われていますので、本県の食関係の全産業を励まし、そして子供たちの食育にも生かしながら、食の地産地消を基本的な方針といたしまして食の都づくりをしていこうというわけでございます。
 近い計画といたしましては、有識者会議での御意見を踏まえまして、ことしの十二月にふじのくに和の食文化の祭典を開催いたします。それとともに美食の街として世界中から注目を集めている、議員御紹介くださいましたサン・セバスチャンなどの先進事例を参考にしながら、国内外へ静岡県の食の魅力を発信するフードポリス、ふじのくに食の都づくりを推進してまいりたいというふうに思っております。
 次に、大雪に対する危機管理体制の整備についてであります。
 ことしの二月の大雪の際、静岡県では、情報収集体制をとる中、小山町から孤立地区が出たということで救援要請がございました。速やかに自衛隊へ災害派遣要請を行うとともに災害対策本部を設置するなど全庁的な対応を行ったところでございます。
 記録的な大雪となった県東部におきましては、広域にわたる高速道路の通行どめや周辺道路の大渋滞が発生するなど県民生活に多大な影響が出たわけです。このような事態に対処するには、早い時点から情報収集、特に道路管理者間における情報の共有と交通規制に関する調整、さらには県民の皆様への積極的な情報発信が重要です。
 県ではこの経験を踏まえまして、大雪などさまざまな事象に対し確実に必要な体制がとれるよう災害時の対応要領を見直すとともに、雪害に対しては雪の降り始めの早い段階から中日本高速道路を初めとする道路管理者と十分に連携をいたしまして、必要に応じて自衛隊に災害派遣要請を行うなど的確に対応できるように体制の確認をしたところであります。
 近年は過去に例を見ない異常気象で災害が発生するケースも見られますので、災害に関しましては事前の計画や想定を超えた予期せぬ事態があることを常に心がけておく必要がございます。県といたしましては平素から訓練等さまざまな機会を通じて研さんを積み、あらゆる事態に的確に対処できるように備えてまいります。
 その他の御質問につきましては関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(伊藤育子君) 池谷くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 池谷 廣君登壇)
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 水資源の保全と有効活用についてお答えいたします。
 県ではこれまでも、水源涵養林の保全や地下水条例による取水規制などにより豊かな水資源の保全と安定的な利用に努めてまいりましたが、今後は産業構造の変化や内陸のフロンティアを拓く取り組みなどにより水需要の大きな変動も予想されます。
 このため本年度から、内陸高台部も含めた流域全体の水需要を踏まえた地下水の適正管理と有効利用を図るため、県内全域を対象とした地下水賦存量調査を実施するほか、地下水の豊富な富士山麓地域においては、地下水を活用した熱交換システムの普及を図るなど水資源に影響を与えず活用を図る新たな取り組みも進めてまいります。
 一方、雨水につきましては、学校など公共施設を中心に再利用の取り組みが増加しつつあります。また三島市など九市町では住宅用の施設への助成制度を設けて普及を図っていることから、今後は市町とも連携し民間施設や住宅等への導入促進に一層努めてまいります。
 さらに、水資源を流域として総合的かつ一体的に管理し利用していくため、国が今後定める水循環基本計画を踏まえ、本県の特性に応じた水循環に関する施策や雨水利用の基本方針、利用施設の設置目標などを盛り込んだ新たな水循環計画を策定するなど恵み豊かな水資源を大切に守り享受できる社会の構築に努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 土屋経済産業部長。
       (経済産業部長 土屋優行君登壇)
○経済産業部長(土屋優行君) 市町等における獣肉処理加工施設建設への支援についてお答えいたします。
 現在、県内のニホンジカ、イノシシの処理加工施設としては、伊豆市で国、県が支援し整備したイズシカ問屋が稼働しているほか、浜松市や川根本町など四市一町において六つの民間事業者が食肉処理業の許可を取得し営業しております。
 獣肉利用は狩猟者の捕獲意欲を高め、ニホンジカやイノシシの捕獲の強化となることで農林産物被害の減少にもつながることから、本年六月に見直しました静岡県野生鳥獣被害緊急対策アクションプログラムにも処理加工施設への整備支援、獣肉の衛生、品質確保等の指導、周知を盛り込んでおります。獣肉処理加工施設の整備に当たりましては、健全な捕獲個体の安定的な供給や高い処理技術を持つ人材の育成、販路等の確保といった課題がありますことから、これらを踏まえた整備計画や経営計画を策定する必要があります。
 県といたしましては、鳥獣による農林産物の被害を削減するため獣肉利用や処理施設の整備を考える市町や団体等に対し運営全般に係る研修会等を実施するとともに、国の交付金制度等を活用し施設整備への支援を積極的に行ってまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 国立駿河療養所の医療体制と県のかかわりについてお答えいたします。
 ハンセン病問題につきましては、ハンセン病問題基本法に基づき、国が中心となって療養所入所者の皆様に対する療養及び生活の保障などの恒久的対策を実施しております。
 国立駿河療養所の医療体制の確保につきましては、入所者の皆様の不安解消に向け国の責任において必要な措置を講じていただけるものと考えております。県におきましても、医療体制の維持に向け県のホームページに療養所の医師等の募集を掲載するとともに、入所者の皆様の御意見や療養所の意向を踏まえながら国に強く働きかけてまいります。
 また、国の普及啓発などの取り組みに積極的に協力するほか独自にハンセン病をテーマとした映画上映会の開催や、駿河療養所を東部看護専門学校の実習先とするなどハンセン病の理解の促進を図るとともに、里帰り事業や新茶、ミカン等の県産品の進呈などにより入所者の皆様の福祉の増進に取り組んでおります。
 今後も、国や御殿場市と緊密に連携し、入所者や家族の皆様が安心して心豊かな生活を営むことができるよう引き続き努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 用途地域外の都市計画決定された道路整備についてお答えいたします。
 用途地域外の都市計画道路につきましては、これまで都市間や市街化区域間を連絡する幹線道路に限定して都市計画決定し整備を進めてまいりました。
 このような中、本年五月に改正された都市再生特別措置法では、都市のコンパクトシティー化を目指し拠点となる区域に都市機能を誘導し、公共交通によるアクセスを容易にする幹線道路や交通結節点へ予算を重点配分するなどの措置を講ずることとしております。こうした地方都市のリノベーションを推進する上で、都市間などを結ぶ用途地域外の都市計画道路についても人や物の動きを活性化し都市の競争力を高める重要な社会資本であると考えております。
 県といたしましては今後も、新東名高速道路へのアクセス道路や、内陸のフロンティアを拓く取り組みにおける地域連携軸となる道路など交通環境の改善を図り、地域の発展を支える用途地域外の都市計画道路については関係する市町と連携しながら整備の実現に努めてまいります。
 次に、富士山麓のスコリア地帯における山地災害対策についてであります。
 富士山麓は富士山の噴出物が堆積した脆弱な地質が広がり、特に富士山の東側に位置する北駿地域では降雨による侵食を受けやすいスコリア層が厚く堆積し、地域の皆様からは山地災害の防止が強く求められております。
 このため県では、渓流の不安定土砂を抑止する渓流工事や崩壊した斜面を森林に再生する山腹工事を実施してまいりました。こうした中、平成二十二年の台風九号やその後のたび重なる豪雨によって崩壊地の拡大や土砂の流出が続いていることから、昨年度、当地域の抜本的な復旧対策を行うため学識経験者や行政関係者から成る検討会を開催し、山腹崩壊の原因分析や対策工法を取りまとめたところであります。
 この検討結果を踏まえ、県といたしましては崩壊の状況に応じて県と国とで分担して復旧対策事業を進めていくこととし、特に大規模な崩壊が進み集中的に対策を講じる必要のある地区については国直轄治山事業の実施を国に働きかけているところであります。
 さらに、森林管理が行き届かず荒廃が懸念される地区については、土砂流出の予防対策として森の力再生事業による間伐などの森林整備を促進し、効果的かつ総合的な山地災害防止対策を進め、地域の皆様が安心して暮らせる県土づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 三十七番 池谷晴一君。
       (三十七番 池谷晴一君登壇)
○三十七番(池谷晴一君) 一点だけ再質問させていただきます。
 国立駿河療養所の関係でございますけれども、今部長から御答弁をいただきましたが、それは十分わかっている話でございまして、国の施設ですから国が、当然そういった法律もできているから、国がこうしなければならないということがわかっている上で、県と療養所は、県立病院ですね、具体的には――とのかかわりについて県の支援が欲しいということを言っているわけですね。これは入所されている皆様のためにもなるわけですので、その点につきましてお答えをいただきたいというふうに思います。以上答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 国立駿河療養所の医療体制についての再質問についてお答えいたします。
 私も駿河療養所を訪問しまして、直接医師の方といろいろお話ししまして、医療的な課題についていろいろお聞きしました。また施設にいらっしゃる方々についても、面会して意見交換等も行いました。
 ただ、実際にああいうところに派遣される、派遣といいますか、いらっしゃるお医者様というのは、大変特殊な医療に従事するわけで、協力体制を築いていくについてもなかなか難しい問題があるなというふうなことは感じました。現にいろいろな関係で話し合い等も行いまして、我々等の行政医師も訪問いたしましたけれども、なかなか実際問題として協力体制を築いていくことはなかなか難しいというふうなことを感じました。
 また今後も、療養所のドクターの方々ともよくお話しさせていただきながら、今後ともこの問題について検討してまいりたいと思います。以上でございます。
○副議長(伊藤育子君) これで池谷晴一君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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