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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

櫻町 宏毅 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/03/2014

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 誰もが活躍できる就業環境の実現について
 (1) 非正規雇用者
 (2) 若年層
 (3) 障がいのある人
 (4) 高齢者
2 生活困窮者への支援について
 (1) 本県の生活困窮者と言われる層の実態把握
 (2) 日々の食事に苦労する人への支援
3 田子の浦港の整備について
 (1) 富士市作成の田子の浦港振興ビジョンに対する県の支援
 (2) 沼川の不法係留ボート対策
4 富士山火山防災対策について
 (1) 富士山火山三県合同防災訓練二〇一四の課題と今後の取り組み
 (2) 登山計画書の義務化
5 将来を見据えた工業用水道事業のあり方について


○副議長(伊藤育子君) ただいまから会議を再開します。
 ここであらかじめ会議時間を延長します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇 拍手)
○三十三番(櫻町宏毅君) 私はふじのくに県議団所属議員として、当面する県政の諸課題について知事及び関係部局長に分割質問方式にて質問を行います。
 初めに、誰もが活躍できる就業環境の実現について伺います。
 まず、非正規雇用者についてですが、総務省の労働力調査によれば日本における労働貧困、いわゆるワーキングプアは増加傾向にあり、年収二百万円未満の労働者人口は二〇〇六年から連続して一千万人を超え二〇一二年では一千九十万人となっております。この層は雇用契約が有期で非正規雇用契約となっている方が多く、全労働者の実に四割近くが非正規雇用契約となっています。非正規雇用者は正社員との賃金格差が大きく、厚生労働省の平成二十五年賃金構造基本統計調査では非正規雇用者の賃金カーブは三十五歳から三十九歳の月額十九万八千円をピークに下がり始め、四十五歳から四十九歳ではふえるどころか逆に十九万二千円と減少しております。
 このように、収入が少なければ結婚して子供を育てようという気持ちも薄れてしまい、ますます少子化が進むと言われております。また年金や健康保険といった社会保障も対象とならないなど非正規雇用者は将来に対する不安を感じつつ低賃金でも働かざるを得ないのが実態であります。本県の非正規雇用者は平成二十四年十月時点で六十万七千人、雇用全体に占める割合は三七・六%、全雇用労働者の三分の一以上となっており、この割合は上昇傾向にあります。本県では産業成長戦略会議の開催など雇用の受け皿である景気の回復や産業育成、誘致に積極的に取り組んでいることは承知しておりますが、殊非正規雇用者問題について県行政の立場から県内経営者に対し積極的な正社員への登用を促すなどの取り組みが必要と考えますが、県のお考えを伺います。
 次に、若年層について伺います。
 ことし一月に発表された転入から転出を差し引いた人口流出人数が静岡県は北海道に次いで第二位というニュースは衝撃的でした。詳細を見ますと、年齢別流出者のうち十五歳から十九歳の流出が多い傾向にあります。大学進学で静岡県を離れ東京や他の大都市で学びそのまま現地で就職する、あるいは本県以外で働くという学生が多いと推測されます。学生が大企業を就職先に選ぶ傾向は従来から変わらず、景気が落ち込んでいる就職氷河期となると本県の優秀な中小企業にも目を向けますが、県内企業の多くは若者の労働力確保に苦労しているのが実態です。
 そこで、人口減少社会到来の折、就学等で流出した県内出身の若年層をいかに地元に呼び戻すか、県の取り組みについて伺います。
 次に、障害のある人について伺います。
 平成二十五年四月から民間企業等における法定雇用率が二・〇%に引き上げられ、平成二十六年六月の数値によれば県内の障害者雇用率は一・八〇%であり、達成している事業主割合も四七・六%と半数にも満たない中、国ではさらなる法定雇用率の引き上げが検討されております。最近では大企業を中心に障害のある人だけでなく女性や高齢者を含めたユニバーサル就労に取り組む企業もふえ、積極的に障害者雇用率を達成しようと努力する傾向にあり障害者雇用の環境はかつてよりも前進してきたと思われます。障害のありなしにかかわらず誰もが働きたいときに働ける働いてよしの静岡県の実現に向け、県は障害者雇用についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、高齢者について伺います。
 年金受給年齢の引き上げに伴い六十歳以降も働かなくては生活が成り立たない高齢者もふえてまいりました。働く高齢者は長年勤めてきた企業と再雇用契約をするケースやハローワークなどを通じて新しい就職先を探す、あるいはシルバー人材センターなどに登録し少額であっても勤労奉仕によって得た収入を生活の糧にするなどに大別されます。就労意欲のある高齢者の多くは現役並みの賃金を希望するものではなく、やりがい、生きがいを求め自分のライフスタイルに応じた仕事につき収入を得ることを希望されている方が多いようです。長年培ってきた技術や技能を会社の後輩に、あるいは社会全般に引き継いでいただくことは大変重要なことです。高齢者の人数そのものがふえ就労意欲のある人も必然的にふえている中、就業意欲のある高齢者に対し県はどのようなサポートを行っていくのか、お考えを伺います。
 次に、生活困窮者への支援について伺います。
 生活困窮者とは、明確な定義はありませんが生活保護受給者だけでなくその一歩手前の人も含むと言われております。これら生活保護一歩手前の人や世帯は周囲の目や子供の学校での扱いなどを気にして生活保護の受給申請をせず、収入が少ないため日々の暮らしにも支障を及ぼしていると推測されますが正確な数は把握できておりません。生活保護一歩手前の貧困層については年収など国による明確な定義があるわけではありませんし、調査をかけても、私は生活困窮者ですとみずから名乗り出る方はまれだからであります。平成二十七年四月から生活困窮者自立支援法が施行されることに伴い、制度開始に先駆け県及び五つの市でモデル的に自立支援や相談業務を開始しておりますが、本格導入に向けた正確な対象者の把握は支援を必要とする人がみずから申請しづらいという実態を考えますと大変困難なことと思われます。しかし実態が把握できなければ積極的な支援もできないわけですので、法施行に伴っていかにこれらの層の実態を正確に把握していくのか、現時点での県の取り組みを伺います。
 次に、日々の食事に苦労する人への支援について伺います。
 豊かで過ごしやすいと言われている静岡県にも、その日の食事にも事欠く方がいることを御存じでしょうか。生活困窮者の食料支援を目的に、ことし五月にNPO法人フードバンクふじのくにが設立されました。設立趣意書には、日本では食料自給率がカロリーベースで四割を切っているにもかかわらず、印字ミスや外箱の破損等の理由で流通をさせることができず、処分せざるを得ない食料が年間で五百から八百万トンと言われており、その一方で明日の食事にも事欠く人がふえています。私たちはこの矛盾した二つの問題を結びつけ、処分せざるを得ない食料を預かり、本当に食料を必要としている人や場所に届けるフードバンク事業を行いますとあります。
 私も、設立総会に出席した際、先行して事業展開している山梨県のフードバンクの実例をお聞きしました。山梨県内に在住のあるシングルマザーは、生活保護世帯ということを理由に子供が学校でいじめられることを避けるため生活保護を申請せず、パートをかけ持ちし日夜懸命に働くものの、収入が少なく借金の返済や子供たちを育てるのにお金がかかることもあって夕飯を食べることもできない日もあったとのこと。地元の社協職員との出会いでフードバンクを知り、十分ではないものの、子供にひもじい思いをさせることが少なくなり感謝しているという内容の手紙が紹介されました。このような事例は表面化しておりませんが本県でもあり得ることだと思います。
 フードバンクでは、五月の設立以降十一月末までの約六カ月間で食品メーカーなどの協力で受け入れた食品の総量が十二トン。一方で当事者から支援要望を受けた市役所福祉課などからの支援依頼件数は同じく十一月末現在、県全体で百八十件、食料提供総量は九トンにも上っています。生活保護受給者は原則フードバンクを利用できないので、これらの数字はいかに多くの生活保護一歩手前の人々が食料支援を必要としているかをあらわしていると思われます。私は、生活困窮者と言われている人々のサポートは本来公的機関が行うべきであると考えます。とりわけ生活していく中で食事に事欠く県民が存在している実態が明らかになってきている以上、先んじて取り組んでいるフードバンクふじのくにへの県の積極的なかかわりや支援が必要と思いますが、県の御認識を伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 櫻町議員にお答えいたします。
 誰もが活躍できる就業環境の実現についてのうち、若年層についてであります。
 若年層の人口流出については、進学のため東京を中心とした県外へ流出した本県出身の若者がそのまま本県以外で就職することが大きな要因であるという現状認識を持っております。実際、本県出身者の大学進学先は県内は三割に満ちません。首都圏は四割に達しています。中京圏の三倍ということで基本的に首都圏にとられているということであります。一方Uターン就職率は平成七年には六割を超えておりましたけれども、今は、平成二十年代に入りましてからは四割台でございます。東京にとどまっているという現状がございます。産業界や金融界を代表する方々で構成する産業成長戦略会議の議論におきましても、県外の大学等への進学者を本県内の企業に就職させ地域企業を支える人材を確保することが、企業の事業活動を活発化させるために重要であるとされております。
 そこで、本県では本年七月、最も人口流出の先になっている東京におきまして静岡U・Iターン就職サポートセンターを開設いたし個別相談に応じるとともに、毎月の就活セミナーに加え十月と十一月には就職面接会を開催するなど県内へのU・Iターンの就職支援を強化しているところです。さらにサポートセンターの相談員を増員し充実を図るとともに、就職活動の開始が繰り下げられる平成二十八年三月の新規卒業予定者に対し就職活動開始前の早い段階から業界説明会や企業見学バスツアー、先輩社会人との交流会等を実施してまいります。また就職先の決定には保護者の考えも大きく反映されますので、本年度新たに県内企業への理解を促進する保護者向けセミナーを開催することといたしました。
 また、若者のUターンを進めるためには、このような就職支援に加えまして東京でU・Iターンのサポートセンターを設けるわけでありますから、東京都と比べて本県の地域優位性を明確にアピールする必要があります。なるほど東京はいろいろな事業が集中しておりますので仕事先はありますけれども、やがてよきパートナーを見つけて二人でローンを組んでマンションをローンで買うというふうにいたしましても、その後は結果的にはアリ地獄であるということを明確に言うべきではないかと。アリ地獄というのは文化勲章を受章されました歴史人口学の泰斗、速水融先生が江戸東京について言われている言葉であります。実際、統計上、合計特殊出生率は一です。今は一・一三というのが直近の数字ですけれども、要するに一人の子供しか生まれない、育てられないということで、かつ自分たちがローンで買ったマンションもそれを再販売することはほとんど不可能です。そこから出られないと。仮に失職でもすれば管理費を払い続けなくちゃいけませんので、自分のマンションであるにもかかわらずそこで管理費が払えないという悲劇的な状況になります。そうしたことが本県ではないということを、明確に東京との比較で言うべきであろうと思います。
 それからまた、本県において特にミスマッチが生じているのが健康福祉部門、さらにまた建設業部門もそうであります。一見意外のようでございますけれども、最近では農ギャルだとか山ギャルだとかいう言葉と同時にリケジョという言葉もありますが、土木の技師関係になる若い女性がいるとドボジョと言うんだそうです。ですから、そのドボジョは実に静岡県にとっては内陸のフロンティアを拓くとか、あるいは沿岸部のリノベーションをするとか等々、非常に多くの仕事があり、かつ業界のほうもそういう人材を要求しているので、こうした本県の持っているミスマッチの中で、特にいつでも就職できるようなところを重点的にサポートセンターで情報提供するというようなことをしてまいらねば東京への流出はなかなか避けられないのではないかというふうに思います。こうしたことを進めながら地域経済の活性化に向けた産業振興や安心して子供を産み育てられる環境の整備、地域の特色を生かした持続可能なまちづくりなど、本県の若者が、また本県の若者の友人たちがこぞって静岡県において永久就職をし、かつ、ついの住みかとして幸福な生活が営まれる、そういう地域づくりをしてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 土屋経済産業部長。
       (経済産業部長 土屋優行君登壇)
○経済産業部長(土屋優行君) 誰もが活躍できる就業環境の実現についてのうち、非正規雇用者についてお答えいたします。
 就業形態の多様化が進展する中であっても、正規雇用を希望しながら非正規雇用者として働く方が多数いらっしゃることは課題であると認識しております。県では非正規雇用者の正社員化に向け、経営者に対しましては意識向上と受け入れ体制の整備等を促すためのセミナーを実施するとともに、職業能力の開発を通じ非正規雇用者の正社員転換を促すためのキャリアアップ助成金の活用を支援しております。また非正規雇用者の方に対しましてはビジネスマナー研修、資格取得支援、カウンセリング等を実施し意識改革と能力向上を支援しております。さらに新規卒業者や一般求職者を対象とした就職面接会の開催や県内三カ所のしずおかジョブステーションにおける就職相談やセミナーの実施等、求職者に対して実効性の高い就職支援を行い正規雇用に結びつけております。
 今後とも、静岡労働局等と連携し非正規雇用者の正社員化に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、障害のある人についてであります。
 人口減少社会において、企業が障害者雇用への理解や障害のある人も貴重な労働力であるとの認識を深め、働きやすい職場づくりに取り組むことが重要であります。また障害のある人も就労意欲に応じて社会人として健常者と一緒に働き自立していくことが大切であり、県西部にある企業ではジョブコーチと障害のある人で就労チームを編成し人手が不足する農作業を請け負うことで企業の業績を伸ばすなど障害のある人にとっても企業にとってもよい結果につながっております。
 県では、既に取り組んでいる就職面接会や雇用推進コーディネーターによる雇用促進、ジョブコーチ派遣による定着支援に加え、本年度新たに企業と障害のある人の双方に必要な支援を一体的に行うモデル事業に取り組むことといたしました。具体的には、就労先となる企業に対し障害の特性に応じた業務の選定や作業手順書を作成するなどの就業環境づくりを支援する一方で、障害のある人には当該企業で働くために必要なスキルを身につける訓練を実施し確実な就職につなげていくこととしております。
 今後も、働く意欲を持つ障害のある人が一人でも多く就業できる、誰もが働ける社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、高齢者についてであります。
 昨年度内閣府が実施した意識調査によれば、四十歳から四十九歳までの現役世代において、働けるうちはいつまでも働きたいと回答した方の割合は約三割と将来の就労に対するニーズは高く、また平成二十四年度に県が算出いたしました本県の健康寿命におきましては男女計で七十三・五三歳であるということから、今後とも高齢者の活躍がますます期待されております。一方で団塊の世代の大量退職などを背景として、中小企業においては高い技術や知識、指導力を持つ高齢者の雇用を延長し品質管理や若手へのアドバイスを行う専門員として登用するなど活躍の場が拡大しております。
 県では、従来のシルバー人材センターの取り組みに加えまして、本年度新たに多様な就労機会の創出として企業に対し高齢者の就労に必要となる柔軟な勤務環境や業務選定などを学ぶセミナーを開催するとともに、高齢者に対しましてはライフプランの設計や就労のモチベーションの向上などの支援に取り組んでまいります。
 今後も元気な高齢者が社会で活躍できるよう、関係機関と連携して企業における多様な取り組みを促進し勤労意欲の高い高齢者を支援してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 生活困窮者への支援についてのうち、本県の生活困窮者と言われる層の実態把握についてお答えいたします。
 生活困窮者自立支援法における生活困窮者とは、現に経済的に困窮し最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者とされております。そのうち現在把握できておりますのは、福祉事務所に生活保護の相談に訪れた方々のうち生活保護に至らなかった方であり、国では約四十万人と推計しており、県内でも七千人前後と見込んでおります。また非正規雇用労働者、ニート、引きこもりといった方々がいることを踏まえますと、潜在的に生活に困窮し支援を必要とする層はさらに上乗せされるものと推測しております。
 今後、県といたしましては、各福祉事務所に設置される相談支援窓口の運営を通じ実態把握に努めてまいります。支援に当たっては待ちの姿勢ではなく市町の税務や水道担当部局等と連携し、滞納状況の確認や社会福祉協議会及び民生委員、児童委員が把握する生活に困窮する方々の情報をしっかり把握することで支援を行う世帯を幅広く捉え、生活困窮者の早期の支援を積極的に行うことに努めてまいります。
 次に、日々の食事に苦労する人への支援についてであります。
 生活に困窮している方々への支援につきましては、関係する団体と県や市町がさまざまな分野で連携し行っているところです。食事に関する支援につきましても、フードバンクと市町が連携し困っている方々への支援を行っております。フードバンク事業は、企業や家庭で余っている品質には問題ない食品を集め生活困窮者の方々などに無償提供するボランティア活動であり、現在では県内十四市一町がフードバンクを活用した支援を行っているところであります。県では市町の福祉担当者に対しフードバンクの活動内容や成果を上げている事例を紹介するなど生活困窮者を支援する方法として活用の促進に努めております。
 今後も県と関係団体や地域が一体となって生活に困窮している方々に寄り添いさまざまな支援の強化を図ることにより、経済的に困窮している家庭が安定した生活を取り戻すことができるよう希望や自立につながるセーフティーネットの構築に努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) それでは再質問を三項目、四点させていただきます。
 一つは非正規雇用者問題についてですけれども、現在有効求人倍率も失業率も非常に改善をしてきているという状況にある中で、問題はその雇用形態だと思っております。正社員で雇用される方ではなくて非正規雇用で雇用される方がふえてきている実態があるということを我々は認識をしなければいけないというふうに思います。特に消費意欲の高い二十代、三十代、四十代といったこの層が非正規雇用のままでは、やはり消費というところにつながってこないと思うわけですね。ですから、まずは将来の不安をなくして、そして正社員化されて賃金も今までの収入をふやして消費に回す。これは本県の経済の底上げということにつながると思うんです。
 したがいまして、今部長のほうからいろんな経済団体とやりとりしていただけるということだったので、ぜひそこは積極的に行っていただきたいと思うんですが、一方、企業側に立ちますと正社員を多くするということはそれだけ人件費が膨らみます。そして健康保険であったり厚生年金であったりそういった社会保障費の企業側の負担も膨らみますので、企業は必要なときに必要な人だけが欲しいというのが実態だと思うんですね。ところが、これから少子化になって労働力が――資源が減ってくると、優秀な人材を確保するには企業もこれでは困ると思うんです。
 そこで提案をし、質問といたしますけれども、やはり県と経済界と、そして今度は労働界ですね。この三者で、トライアングルで静岡県の将来の雇用問題についてしっかりと将来性をつかむための議論をするべきではないかと、会議体を立ち上げるべきではないかと思いますが、この点について県の所見を伺いたいと思います。
 二つ目です。生活困窮者の支援についてです。
 先ほど部長から生活困窮者自立支援法の紹介がありました。現在静岡県では五つの市が先行的にモデル事業を行っております。この五つのモデル事業の中に任意事業というのがありまして、これは就労準備であったり一時生活支援、家計相談、学習支援、その他という五つの項目がございます。この中で学習支援というのをモデル的にやっているのは静岡市だけなんですね。やはり子供たちが親の経済状況で十分な学習機会がないということを受けまして、この学習支援というのを静岡市さんはやっているということで受けとめておりますけれども、これは来年四月から本法が施行されるに当たっては、ぜひ多くの市町でこの学習支援をやっていただきたいと思っておりますが、ここに対して県がどのような働きかけをされるのか。これについて伺います。
 あわせて、この生活困窮者自立支援法の任意事業の中でその他というメニューがあります。これは各基礎自治体が自由にメニューを選んでやっていいよといったような項目だというふうに私は認識しておりますけれども、この中に先ほど触れましたフードバンク事業、つまり食料支援という項目を県としてエントリーをして、これに基づいて市町の支援をしていく、あるいは直接支援をするといったような取り組みが必要かと思いますが、その他メニューに食料支援という項目を入れるような御検討がされるかどうか、この点について伺います。
 最後、四点目です。フードバンクのことについてですけれども、先ほど部長からフードバンクの事業についても宣伝もいただきました。今フードバンクをやるに当たっては、やはりこれだけ必要とする方が多いという実態を踏まえますと、市町の実態を把握している民生委員や社協の職員や、あるいはフードバンクの本体であったり、あるいはボランティアで生活困窮者を支援しているような方々、こういったような方々が県内に多く広がってきているんですね。でしたらこの人たちをつなぎとめる一つの会議体、具体的には生活困窮者対策協議会なる、そういった組織を立ち上げて、じゃ、県はどこをやりますか、ボランティアさんはどこをやりますか、フードバンクさんはどこをやりますかというような役割分担を明確にする必要があると思いますが、この点について県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 土屋経済産業部長。
○経済産業部長(土屋優行君) 非正規雇用者の再質問についてお答えいたします。
 議員御指摘のように、二十代から三十代、これにつきましては、私が持っているデータの中でも三〇・三%の方が非正規だということがございまして、この方々の所得が低いというのは課題というふうに認識してございます。先ほど御提案のありました労働者とか、あるいは経営の方々、それが集まる審議会というのを私ども持ってございまして、雇用対策審議会というものを県で所管してございます。この中で過去の答弁を見ますと、平成二十年のときに景気後退期における非正規雇用ということがございまして、労働局も含めて労働者側、事業者側、それから県、それから労働局ということで議論をさせていただきました。そのような議論で皆さんの対応を決めていたということから、さらに労働局のほうから平成二十五年度から先ほど申し上げましたキャリアアップ助成金を活用しているということ。それから県のほうでは今年度から緊急雇用創出事業の中で正規職員化を進めているということをやってございます。このような効果、どのような成果が上がっているか、今後どのような対応をしていくべきかということを含めまして、この雇用対策審議会、これを年明けになるかもしれませんけれども開催いたしまして、議論をさせていただければと思ってございます。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 再質問についてお答えします。
 まず、学習支援についての取り組みについて、県がどういうふうな対応をとるかについてでございます。
 議員御指摘のとおり学習といいますか学力を高めて大学、高校へ進学することが貧困の再生産を防ぐ上で大変効果的だというふうなことについては承知しております。そういったことから生活保護される方、また生活に困窮される方が高い学力をつけることは大変にその後の生活にとって有意義なことと考えておりますので、県内の各福祉事務所、それに市のほうが学習支援に取り組んでいっていただけるように、県のほうでも強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、二点目についてですけれども、任意事業についてなんですけれども、フードバンク事業についている支援が当たるかどうかについてでございますけれども、これは国に照会したところフードバンク事業のみを行うことでは国の任意事業に対応しないというふうな回答をいただいております。しかしながらフードバンク事業というふうなことが生活困窮者の支援について大変いいことではあると私どもは思っておりますので、国に対して今後提案してフードバンク事業を任意事業に位置づけることが可能となるように働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、三点目で生活困窮者に対する民間それから市町を踏まえて、団体を踏まえて、いろんな研究会みたいなものを立ち上げたらどうかというふうなことなんですけれども、まずは生活困窮者に対応するものについては、県それから市町が取り組むことが大切だと考えております。議員の提案も含め生活困窮者支援をどういうふうに取り組んでいくかについて、これから県、市町との担当者会議を開きますので、その中できちんと話し合い、また関係団体とよく話し合いながら、今御提案のあったものについての必要性についてしっかり検討してまいりたいと思います。以上でございます。
○副議長(伊藤育子君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) 非正規雇用者については雇用対策審議会が既に設立されているという御答弁がありましたが、私、労働界のほうの方に伺いますと、そういった具体的な非正規雇用の方に対して県といろいろキャッチボールした機会はあまりないという認識だということなので、これは早急に、そのときとはまた状況は変わっておりますから、ぜひ非正規雇用のことだとかあるいは将来の労働力不足だとかいったことをテーマにした充実した審議会になっていただきますように御要望させていただきます。
 また、生活困窮者のことについては、冒頭私も質問したとおり、まず実態把握が難しいと思うんですね。これはぜひ積極的に、苦労されている方、なかなか表に出ない方に大丈夫ですかといったような積極的な公的機関からの働きかけというのが大事だと思いますので、この点、連絡協議会ではないですけど連携されるということなので、ぜひその部分は強化をいただければというふうに思います。以上、要望とさせていただきます。
 それでは、次の質問に入ります。
 田子の浦港の整備についてのうち、初めに富士市が作成した田子の浦港振興ビジョンに対する県の支援について伺います。
 富士市は、田子の浦港を核とした防災と観光の視点から、地域活性化を図るため民間企業とともに田子の浦港振興ビジョン推進協議会を五月に設立し、このたび振興ビジョンが作成されました。今回の推進協議会の特徴は、富士市に拠点を置く大手の製造業だけでなく富士商工会議所や田子の浦漁協、富士山観光ビューローなどがメンバーとなり官民挙げて田子の浦港を生かしていこうという取り組みになったという点です。防潮堤整備に関しては富士埠頭側にレベルツーの津波が押し寄せても背後の民家や企業敷地を守り、平時にはにぎわい歩道として活用するとうたっております。一方にぎわいづくりでは、ふじのくに田子の浦みなと公園と田子の浦漁港特産のシラス丼を観光資源として取り上げ、さらにみなと公園を富士山を背景にした工場夜景のビューポイントとして活用しようという内容になっております。ふじのくに田子の浦みなと公園は現在整備途中ですが、今後の公園整備に当たり公園来訪者の休憩施設の整備、あるいはシラス丼を食しながら富士山の絶景を見ることができる施設の建設などが大いに期待をされるところであります。
 このように、富士市が田子の浦港を利活用して地域振興を図ろうと努力していることに対し、県として今後どのようなサポートをしていくのか所見を伺います。
 次に、沼川の不法係留ボート対策について伺います。
 田子の浦港に近い沼川には、平成二十六年度調査で小型のプレジャーボートが八十六隻係留されており、これらのボートは安全な係留措置が施されていないため、今後起こり得る大規模災害発生時に沼川の水面が上昇して護岸を乗り越えた場合には周辺に大きな損害を与える危険構造物にもなり得ることが心配されます。一刻も早い正規の係留施設への移動が求められますが、田子の浦港の周辺には係留施設がなく、やむなく沼川に係留しているのが実態であります。
 このたび県では、田子の浦港内の貯木場を埋め立てプレジャーボートの係留施設を建設すると聞いておりますが、現時点での沼川不法係留ボート対策の進捗状況と今後の対応についてお聞かせください。
 次に、富士山火山防災対策について伺います。
 今年九月二十七日に御嶽山が噴火し、死者数は五十七人を超え戦後最悪の火山災害となりました。今回の噴火は突然であり多くの登山者が犠牲になったわけですが、ふだんは平穏で神々しい姿を見せている富士山でも同じ事象が起こり得ることを私たちは再認識をしなくてはなりません。本年二月には富士山火山防災対策協議会において富士山が噴火した際の広域避難計画が策定され、この計画では大規模な溶岩流が本県側に流下した場合、二十四万人が避難する必要があると規定されております。この計画に基づき本年十月には富士山火山三県合同防災訓練二〇一四が実施され、火山活動情報の共有化や自衛隊を含めた関係機関との合同会議、噴火を想定した実際の避難行動など、より実践的な訓練が行われました。御嶽山噴火直後の避難訓練であり被害想定区域内の住民も積極的に参加したと聞いておりますが、車が渋滞するなど課題も浮き彫りになったようであります。
 そこで、今回の避難訓練で明らかになった課題や今後の取り組みについて伺います。
 また、今回避難訓練の参加対象とならなかった富士山周辺の住民も含め被害想定区域内の県民に対し、富士山噴火に対する基礎的な知識や備えについて県として今まで以上に情報を提供する必要があると思われますが、今後の県の取り組みについて伺います。
 次に、富士山への登山計画書提出の義務化について伺います。
 御嶽山の場合、関係施設に登山計画書の提出ボックスが設置されておりましたが、記入は任意であり正確な登山者数の把握ができず、今回の災害では家族から対策本部に情報が入って対象者が判明するなど混乱が生じたことが課題とされております。富士山でも同じような状況が考えられるわけですが、一方富士山は御嶽山よりも登山者数が桁違いに多く、シーズンによっては三十万人以上の登山客があること、さらに登山計画書を提出するにしても、どこでどのように提出しその情報はどのように管理されるのか、非常に悩ましい課題も突きつけられております。
 今年の六月定例会において知事から、万が一遭難事故が発生した場合には迅速な救助が必要であることから、登山計画書の提出の義務化について関係者や登山の専門家などに意見を賜りながら検討してまいりたいとの答弁がありましたが、今回の御嶽山噴火災害を受け富士山の登山計画書の義務化についてどのようにお考えか、県の考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 富士山火山防災対策についてのうち、富士山火山三県合同防災訓練二〇一四の課題と今後の取り組みについてお答えいたします。
 十月十九日に富士山火山三県合同防災訓練を行ったわけでございますけれども、先月九月末に御嶽山が突然噴火いたしましたので、この訓練は時宜を得、かつ極めて緊張感を持ったものになりました。当初予定されていなかった山谷えり子防災担当大臣もテレビ会議に御出席になりまして、山梨、神奈川両県知事と私とがテレビ会議を行い、噴火時などの広域避難に際しては相互に協力して避難者を受け入れることや登山者、観光客への入山規制の徹底について確認をしたところであります。県庁で開催した合同対策会議では西村防災担当副大臣が御参加くださいまして、約六十の関係機関が一堂に会し避難経路の確保や避難者の受け入れなどの主要課題に各機関が連携して対処するとの方針も確認したところであります。また西村副大臣と私とが視察をいたしました御殿場市を初め富士山周辺五市町では多くの住民の皆様や自衛隊、警察、消防、国土交通省などの機関が参加し実践的な訓練が行われました。静岡県だけでその参加者は二千百人を超えました。実際に住民の皆様の避難を行ってみますと、避難車両による交通渋滞、逃げおくれた住民の把握方法、高齢者等の避難のタイミングなどさまざまな課題があることがわかり収穫となったと存じます。今後避難経路の確保や交通規制、住民の安否確認、段階的避難などについて具体的方法を検討し避難計画の充実を図ってまいらねばならないと考えております。
 県民の皆様への情報提供につきましては、火山現象の特徴や避難計画の内容、また噴火からの避難の際に必要なヘルメットやゴーグル、マスクなどの携行品について示した啓発用パンフレットを作成いたし、市町と協力して研修会などさまざまな機会を通じて周知してまいります。御嶽山の噴火のときにマスクは不可欠であったということでありますが、このマスクもインフルエンザが流行した後、使いやすくいいマスクが出回るようになりました。今回御嶽山の噴火でやはりヘルメットの重要性も認識されたわけでございますが、このヘルメットにつきましても、この間の訓練の際には使いやすさにおいてまさり、有用性においては従来のヘルメットと変わらず軽くておしゃれであるというようなものも展示されておりましたので、これからこのヘルメットについてもそういういいヘルメットが出てくるものと。それに対して県も協力したいというふうに思っております。さらにやがて富士山世界遺産センターというのが富士宮にできますけれども、そこにもこうした富士山についての正しい認識を持つという、そういう啓発活動もここのセンターが担うことになるというふうにも思っております。
 今後、あらゆる事態について豊かな想像力をめぐらしまして想定をした上で、訓練、検証を積み重ねて富士山火山防災対策の一層の充実を図る所存であります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 田子の浦港の整備についてのうち、富士市作成の田子の浦港振興ビジョンに対する県の支援についてお答えいたします。
 田子の浦港振興ビジョンは、地域住民代表や地元企業、関係行政機関で構成される推進協議会が三回にわたる会議を経て、田子の浦港を含む周辺地域の将来象を描く構想として本年九月に作成したものです。このビジョンでは防災対策として田子の浦港周辺の津波による浸水被害を解消するとともに、観光交流を促進するため港周辺の特色ある地域資源を活用したにぎわいゾーンの創出を目指すことを基本方針としております。現在田子の浦港では、静岡モデル推進検討会において防潮堤の整備方針の検討を進めているところであり、このビジョンを踏まえまして、例えばフェリー乗り場跡地からふじのくに田子の浦みなと公園の区間につきましては、防潮堤を景観に配慮したプロムナードとして活用するなど防災機能の確保とともに、周辺観光施設との回遊性を持ったにぎわい空間づくりを進めてまいります。
 県といたしましては、田子の浦港振興ビジョンの実現に向け、富士市や港周辺企業などの取り組みに対して田子の浦港の港湾整備を通じて積極的に支援してまいります。
 次に、沼川の不法係留ボート対策についてであります。
 田子の浦港に近い沼川下流域においては、不法係留しているプレジャーボートが多数存在していることから、県では治水安全度の確保に向けて適正な係留保管を進めることが喫緊の課題であると認識しております。このため県や富士市、清水海上保安部、地元町内会などの関係者による富士市水域利用推進調整会議において協議した結果、田子の浦港の依田橋地区に位置する水面貯木場を埋め立て、その一部に陸上保管施設を整備する方針が承認され、プレジャーボートの所有者にも了解が得られたことから平成二十五年十月から平成二十九年度末の完成を目途に埋め立て工事に着手したところであります。この陸上保管施設の具体的な整備内容や管理運営方法等につきましては、今後水域利用推進調整会議で決定した上で適正な利用が図られるよう関係者への丁寧な説明を重ねてまいります。
 県といたしましては、沼川の不法係留プレジャーボートの解消を図ることにより災害時における河川の安全確保に努め、河川環境の維持や海洋性レクリエーション活動の健全な発展を目指してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 伊藤文化・観光部長。
○文化・観光部長(伊藤秀治君) 富士山火山防災対策についてのうち、登山計画書の義務化についてお答えいたします。
 登山計画書につきましては、富士登山における安全確保のためのガイドラインにより登山条件の厳しい夏山期間以外での提出を呼びかけておりますが、御嶽山の噴火を踏まえて改めて夏山期間も含め必要性を認識しているところであります。一方で登山計画書の義務化に向けて夏山期間では本県側だけでも十万人を超える登山者に対する受け付け、指導体制を整える必要があること、夏山期間以外では登山道が道路法により通行禁止とされていることとの整合を図る必要があることなどの課題もあります。また先月二十六日に開催された富士山世界文化遺産学術委員会では、携帯電話のアプリケーションを活用した登山者情報の登録や登山者への情報伝達の仕組みの構築などの御意見も伺ったところであります。
 今後は、これらの御意見も踏まえ登山者への情報伝達方法や避難安全対策などの検討とあわせ登山計画書の義務化につきましても国や山梨県、地元市町のほか避難救助を行う関係機関などと連携を図りながら、さまざまな観点から検討を進めてまいります。また登山者みずからが登山計画書提出の必要性を自覚していただくことが何よりも重要であります。引き続き国や山梨県などと連携しながらガイドラインの趣旨を徹底するとともに、夏山の期間も含めた登山計画書提出についての意識醸成を図ってまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) 一点要望させていただきます。
 最後の登山計画書の義務化、火山防災対策の件ですが、やはり阿蘇山や桜島といった今生きている火山の自治体と十分連携をとっていただいて、先進事例を生かしていただいて、富士山もいつ何どき噴火するかわからないというようなことで緊張感を持って対応いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、将来を見据えた工業用水道事業のあり方について企業局長に伺います。
 私は、平成二十四年十二月定例会一般質問において同じ内容の質問をさせていただきましたが、この二年間で工業用水道事業を取り巻く環境は新規ユーザーの開拓が思うように進んでいない、ユーザーの受水水量が減少、施設の老朽化がさらに進行、電気料金の値上げ、これ以上の人件費の削減は困難などなど企業局にとって明るい話題となるものがなく、経営は一層厳しい状況下に置かれていると思われます。企業局は平成二十五年度から水道施設更新マスタープランの策定に着手し、老朽化する工業用水施設の更新に当たり将来の水需要に見合う適正な施設規模への更新を目指していると聞いておりますが、ユーザーの水需要が急激に変化してきている中、建設当時のままの管路配置や送水方法、ポンプなどの施設能力、浄水場の規模などを前提とせずユーザーの意向を十二分に反映した施設規模へのダウンサイジングが必要と考えます。例えば東駿河湾工業用水は、清水区蒲原で取水した水を富士川を渡る水管橋を経由して厚原浄水場に大型ポンプで圧送しておりますが、現在あるいはこれからの富士地域でこれだけの給水コストをかけた水を必要としているのか疑問であります。水管橋による送水に頼らず、富士地域の豊富な湧水を市民生活に影響のない範囲で、かつ塩水化対策を施した上で工業用水としてできるだけ多く活用し、結果としてユーザーの負担を下げられれば企業の定着促進にもつながると考えます。また現在東駿河湾工業用水を利用している最も西のユーザーは清水駅付近にあります。蒲原から日の出地区までの送水管の維持管理にかかる費用と、日の出地区付近まで配置されている静清工業用水からの給水への切りかえにかかるコストの比較も必要なのではないでしょうか。切りかえが可能となれば東海道の地下を通る二十キロメートル以上に及ぶ管路は不要となるわけであり、管路維持費の大幅な削減にもつながります。今回は東駿河湾工業用水の改革案について提案をいたしましたが、従来からの常識から脱却した大胆な工業用水道改革を進める時期に来ていると思います。
 以上を踏まえ、現時点での企業局における将来を見据えた工業用水道事業のあり方について、企業局の考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 篠原企業局長。
○企業局長(篠原清志君) 将来を見据えた工業用水道事業のあり方についてお答えいたします。
 企業局は、工業用水の安定供給のため現在施設の長寿命化、新規ユーザーの開拓、ユーザーの理解を得た適正な料金への改定などに取り組んでおります。また施設の大規模な更新時期が迫っていることから、水道施設更新マスタープランの策定を東駿河湾工業用水道事業を初め進めております。この中では適正な施設規模へのダウンサイジングや効率的な給水方法などについてユーザー企業の皆様と検討しているところでございます。
 他方、議員御指摘のとおり工業用水道を取り巻く状況は受水企業の撤退や使用水量の減少などにより、より一層厳しさを増しております。このため今後工業用水道事業の抱える構造的な課題を整理分析し、その対応策を検討することを目的にユーザー企業、庁内関係部局、学識者、地元商工会議所などをメンバーとする工業用水道事業のあり方検討会を設置し、これにより将来にわたる工業用水の安定的な供給と事業の経営基盤の強化に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) 一点要望と一点再質問させていただきます。
 一つは、関係者等集まったあり方検討会をつくられるというような御趣旨だったと思います。ぜひそれは進めていただきたいと思います。改革をするにしてもユーザーとの信頼関係なくしてはこれは進みませんので、そのユーザーの将来展望を踏まえた意向を踏まえた上でいろいろな御意見を賜った上で改革につなげていただきたいと思います。
 一点再質問は、民間委託の件です。
 今、関係企業等を通じて委託をされていると言っておりますが、これを拡大する御予定があるのかどうか、この一点を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 篠原企業局長。
○企業局長(篠原清志君) 再質問にお答えいたします。
 このあり方検討会では、当然給水方法のあり方、工業用水道ごとの連結だとかそういう問題も当然議論をしなきゃならないと思っています。それから先ほど答弁いたしましたように、事業の経営基盤の強化につきましてという課題の中に、今御指摘のありましたように業務について今一部民間への委託を進めております。この事業それぞれについて、包括委託の可能性等についても当然この検討会の中で議題としていきたいというふうに考えております。以上であります。

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