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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/12/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 和産和消の推進と茶業の今後の方向について
2 社会資本整備を担う建設業の人材育成について
3 地域外交戦略について
4 (財)静岡総合研究機構について
5 リニア中央新幹線について
 (1) これまでの経緯
 (2) 環境アセスメント
 (3) 本県におけるメリット
6 大手木材業者の誘致と木材産業の振興について
7 放射線に係る子供たちへの教育について



    ○議長(植田 徹君) これで林芳久仁君の質問は終わりました。
     次に、六十二番 天野 一君。
           (六十二番 天野 一君登壇 拍手)
    ○六十二番(天野 一君) 私は自民改革会議の所属議員として、知事並びに関係部局長、教育長にお尋ねします。
     初めに、和産和消の推進と茶業の今後の方向について伺います。
     現在茶業界は、生産者も流通業者も今まで考えてもみなかった放射能問題への対応に追われています。このような状況下で生産者も茶商も、来年の一番茶は大丈夫か、お茶が流通されていくのか、その対応に苦慮しています。一方、他産地の攻勢、消費者の飲み物に対する意識の変化などにより、茶価の低迷、数量減少などによる農家所得、茶商の売り上げが減少し、業界に力強さが見られません。
     こういった状況の中で、本年八月に県茶業会議所会頭に就任しました榛村純一氏が会頭就任あいさつで、これからの茶業の振興は、生産者、茶商ともに新たな需要開拓、消費拡大が当面の最大課題であり、それを限られたお金と人数と時間の中でいかに有効に展開するかだと述べています。そして四つのことを提案しているのです。第一に和産和消路線。すなわち日本で生産し日本で消費することが日本人が世界一の長寿国になった主な原因だということを国民に改めて知ってもらうと言っているのです。それは、お米とお茶とお魚という和産和消を続けてきたからだというのです。今までは地産地消。これからは和産和消を提案して、お米百キロ、お茶二キロ、お魚六十キロの食事をして、健康で長寿の国づくりと日本人らしさを守るすばらしい日本を再生する国民運動とすることにより、お茶を飲む人がふえることを目指しているのであります。次に、文化・美学路線で、茶道や茶器、和菓子、茶インストラクター、スローライフなどいろいろな茶関係人材をはぐくみ、茶をめぐる文化運動を広く連携して進めることです。三番目に、機能・効能路線は、今までの茶学術研究の成果をよく整理してわかりやすく素人に説明できる人をふやすことです。特に茶の専門小売店は、機能・効率をよく説明、PRできる知識を専門に持つことが必要だと語っているのであります。四つ目は、限りなく優しく、心を込めて美しく食事をすることが大事だと言っているのです。さらに榛村氏は、茶業界の新たな出発は、すべての人々が一つになることだと言っているのです。茶業界は、茶業会議所、世界緑茶協会など多くの組織がそれぞればらばらになっているが、それらをまとめることがこれからの茶業界にとって必要だと強調しています。
     私は、このように榛村氏がさまざまな提唱をしていますが、特に和産和消として訴えている国民運動「お米百キロ、お茶二キロ、お魚六十キロ」を本県が率先して県民運動として推進し、さらに国民運動に発展させることができないかと考えます。さらにこれらの提言を具体化するためには、茶業界の各組織や団体が共通の目標を持ち一体となって取り組むことが重要だと考えますが、知事の所見をお伺いします。
     次に、社会資本整備を担う建設業の人材育成についてお伺いします。
     近年、建設業を取り巻く経営環境は急速に変化しており、建設市場が縮小する中、地域の基幹産業である地元地域の中小建設業、また下請専門職種の経営基盤は弱体化し、経営の効率化を図ろうとする企業の努力を促すことだけでは解決できない状況になっております。また一方でことしの異常気象による被害を見ても、中山間地域を初めとする社会資本の充実は今まで以上に重要になっております。しかし現在の入札制度では、公平公正な競争を旨としているため、中山間地域において地域コミュニティーを支えてきた中小零細建設業者は、資格、基準の一律的線引きにより入札に参加できなくなり、地域の雇用の担い手としての役割も果たすことができなくなっております。中山間地域の中小建設業者の育成を視野に入れた入札制度を改めて構築することが必要であると考えます。
     次に、建設業は、土木一式、建築一式などの工事を一括して請け負う総合建設業者が、下請専門職種の設備工事や塗装工事など専門工事業、さらには大工、左官などの一人親方等を支配下に入れ、元請建設業者が下請専門職種の単価を決める優位性を今日まで持ち続けております。技術の高度化、専門化への対応や経営の効率化の要請などから、元請がみずから担ってきた機能を切り離し外注化していったことを背景に外注比率が七割近くなり、専門工事業者が建設生産のプロセスの中で中核的役割を担うようになりました。役割分担が大きく変わる中で、外注比率が低かったころの建設生産管理システムが今日まで続いているのです。さらに現在元請間の過当競争により著しい低価格による受注が増加して下請専門職種にしわ寄せをし、下請専門工事業者への安値発注、いわゆる指し値がとまらず、施工にかかわる優秀な人材の育成はもとより従業員の社会保障まで顧みられなくなっております。この結果、建設業の現場の人材の担い手の専門工事業者は、適正な労働賃金を支払うことができなく廃業や倒産に追い込まれている昨今であります。このため建設業の将来に夢と希望が持てず、若い人材は建設業界に入ってこなくなりました。
     そこでお尋ねいたします。公共工事の発注者として県は、技術者を抱え実際に工事の現場を仕切っている下請専門工事業者が、人材の確保、育成が可能となる適正な値段で仕事ができるよう、入札契約制度の改善等に取り組むことが必要であると考えますが、県の所見をお伺いします。
     次に、地域外交戦略についてお伺いします。
     現下の国際情勢を見ますと、ギリシャを初めとするヨーロッパ諸国の財政危機により非常に不安定な状況に直面しております。我が国についても、失われた二十年と言われる経済低迷からいまだに抜け出すことができず、依然として厳しい状況にあります。このような情勢の中、知事は、就任以来、地域外交を県政の主要施策の一つとしてとらえ、海外との積極的な交流を推進しており、本年七月の米国ロードアイランド州との交流、モンゴル・ドルノゴビ県との友好提携、また先月の台湾チャイナエアライン訪問など、知事みずからによる地域外交の展開は県民にとって新しい県政のあり方として注目していると思います。その一方でこうした地域外交が一過性のものとならないか、いかなる戦略に基づくものなのか、いま一つ県民にとって明確でないのも事実であります。県民の多くは、日本では急激な人口の縮小、少子高齢化、それに伴う内需の縮小により経済的地位の一段の低下が強く懸念されているのであります。こうした状況をかんがみ、成長著しい東南アジア諸国など新興国からの経済活力の取り込み、人材の受け入れを国や大企業任せでなく地方が積極的に図ることで新しい展開をすることは理解できます。
     地域外交を進めるに当たり、中長期的な展望のもと県及び産業界が一体となり、総合的かつ戦略的な展開を図ることが県勢の発展のために極めて重要であると認識しておりますが、トップセールスの後、今後具体的にどのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いします。
     次に、財団法人静岡総合研究機構についてお伺いします。
     十一月二十六日、二十七日、財団法人静岡総合研究機構――SRIの事業として最後のセミナー、静岡アジア・太平洋学術フォーラムがグランシップで開催されました。その席上、川勝知事は本年度末で解散するSRIに触れ、成果を継続発展させるため学術的な拠点センターを県立大学に発足させ、若い研究者を育てることにしたいとあいさつをしました。このSRIの解散についての説明の不十分さを感じたのは私一人だけでありましょうか。今年度、SRIにとって県への最後の政策提案を行うべく、「静岡県の成長戦略」を研究テーマに自主研究を進めていると聞いておりますが、まさにこうした研究こそ、これから今まで以上に県にとって必要なのではないでしょうか。SRIのこれまでの長年にわたった調査研究によって蓄積されたさまざまな研究成果や情報、また地域づくり、人づくりに関するノウハウは県にとって貴重な財産であります。特にアジア・太平洋学術フォーラムを通して得たアジアを初めとした多くの国内外の研究者とのネットワークは、川勝知事が意欲的に進めているアジアを初めとする地域外交を推進していく上で、県にとって活用すべきものであると考えます。明治維新、その後の日本の原動力となったのは、中央の江戸幕府要人ではなく、薩摩、長州、土佐等地方の若者たちであり、それを可能にしたのはいち早く海外に目を向けた先見性でありました。現在の閉塞感に満ちた日本を変革するのは中央ではなく地方であるとの強い思いがあります。
     その先達として静岡県が勇躍するためにも、SRIの調査研究機能をなぜ二十三年度に解散することになったのか、その経緯と今までの成果をどのように評価したのか、またこの知的財産と人的ネットワークの人材をどのように継承していくのか、その所見についてお伺いします。
     次に、リニア中央新幹線について、まずこれまでの経緯についてお伺いします。
     先ごろ、リニア中央新幹線のルートが南アルプスルートに決着し、川勝知事はリニア中央新幹線の整備に全面的賛意を示しました。しかし南アルプスの貫通を前提としている建設ルートは、本県において課題も多いと思います。まず糸魚川―静岡構造線の大断層帯を横切る長大トンネルの建設において、東海地震への対応、事故発生時の救出方法などとあわせてリニア方式により発生する電磁波の影響等の安全性などについて心配します。
     そこで、今回の中央リニア新幹線の整備計画が決定される過程において、南アルプスにおける長大トンネルの安全性や想定される課題について、十分な検討や議論がなされてきたのかお伺いします。
     次に、環境アセスメントについて伺います。
     現在、静岡県、山梨県、長野県の関係市町村により世界自然遺産登録に向けた推進協議会を設置し、環境保全に向けた取り組みが進められておりますが、中央新幹線は、この自然豊かな南アルプスの地下をトンネルで通過するものであり、建設に当たり大井川源流部の水が地層を通ってトンネルへ抜けることに伴う水資源の枯渇のおそれや、膨大な残土の処理に伴う自然環境への影響など環境上の課題も多いと思います。
     そこで、九月末より環境アセスメントの手続が開始されていますが、環境アセスメントにおける手続と県の対応について伺います。
     次に、本県におけるメリットについてお伺いします。
     今後、環境アセスメントの手続が完了すれば、南アルプスにおいてトンネルの建設工事に着手することになりますが、自然豊かな南アルプス周辺における自然環境を十分保全することはもちろんですが、今回のリニア中央新幹線の整備を機会に、ユネスコエコパークへの登録を目指している静岡県北部の井川地区や川根地区を含め大井川上流部に位置する本地域は、自然と共存しながら、自然観察や体験など自然環境を生かした人々の交流の場として考えられます。
     そこで、中央新幹線の整備が本県にとってメリットとなるよう、本地域にはどのように生かしていこうと考えているのかお伺いします。
     次に、大手木材業者の誘致と木材産業の振興についてお伺いします。
     本県の昭和四十年代の木材業界は国産材だけで百万立方メートル余を消費し、全国でも有数な木材産業県でありました。木材産業のすそ野は広く、住宅建設のみならず家具や木工品などの二次加工産業、さらにはそれらを加工する機械製造産業など本県のものづくりの原点として木材にかかわる産業が幅広く育ちました。今まさにTPPの議論がされていますが、木材は昭和三十五年から段階的に関税が廃止され、その結果格安な外材が流れ込み国産材の自給率は年々下がり続け、現在は二十五万立方メートルと四分の一になりました。県では、静岡県総合計画で平成二十五年の木材生産量を、平成二十一年の一・七倍の四十五万立方メートルに増産する目標を立てております。この目標達成に向けて、県では丸太の新たな受け入れ先の一つとして、日本で最大の製材会社で広島県中国木材株式会社の誘致を進め、木材需要の拡大を図ろうとしていますが、私はこの計画を強引に進めることは、地場の県内の製材工場を窮地に陥れるもろ刃の剣だと考えます。
     一例を挙げます。国は平成十八年度から二十二年度まで、木材加工の広域化、大規模化を目指した新生産システムの推進を全国十一カ所で行いました。その成功事例だとされる宮崎県ですが、大型製材工場が林立した結果、林業では木材生産量が二五%の増加をしましたが、木材産業では中小の製材工場数と従業員数が一〇%以上減少したと聞いております。県内の木材産業関係者の多くは、大規模製材工場の誘致は丸太の入手、製品の販売で激しい競争が想定され、製材工場の中には廃業するところも出てくると心配しております。ただ県内の業界もみずから木材産業振興対策委員会を立ち上げて前向きな検討を始めたと聞いております。こうした状況、意見を聞きながら、誘致について慎重に進める必要があると考えます。
     そこで、県は、大規模製材工場の誘致を含め木材産業の振興についてどのように取り組んでいくのか、特に県内の木材業界に対しどのような考え方を持っているのか、所見をお伺いします。
     最後に、放射線に係る子供たちへの教育についてお伺いします。
     原子力発電については、これまで国内のエネルギーを支えるものとして、また平和利用という視点で考えられ説明されてきました。しかし今回の東日本大震災福島原発事故は、安全神話を崩し、国民は放射能漏れの影響など考え方を大きく変えざるを得ません。国民に事実を伝え、現実の課題と問題点に真正面から向き合うことが大事だと考えます。特に、事実に基づき反省すべきは反省しながら、しっかりと次の世代の子供たちに真実を教え、正しく理解し正しく恐れること。また原子力発電のあり方を伝える教育をする必要があります。来年度、中学校において実施の新学習指導要領により、三年では理科第一分野に放射線に関する内容が組み込まれました。また文部科学省では、十月十四日からホームページで放射線等に関する副読本を公開しており、十一月には全国の学校に一部ずつ配付されております。私は、今放射線に係る教育でなすべきことは、事故を目の当たりにして事実を知りたがっている子供たちに科学的な事実を教えることだと考えています。それに基づき、多様なエネルギーの可能性、放射線の活用と有害さなど正しく教えることが肝要であると考えます。
     浜岡原子力発電所を抱える本県はどのように子供たちに教えていくのか、またどのように副読本を活用していくのか。教職員への研修も踏まえ、教育長の所見をお伺いして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 天野一議員にお答えいたします。
     初めに、地域外交戦略についてであります。
     二年半ほど前に空港が本県で初めて開設することになりまして、このハードをどのように中長期的に生かしていくかということが戦略のかなめになると存じます。昨年度におきましては韓国と中国とに焦点を当てました。韓国におきましては、日本における平城遷都千三百年にかける形で、百済滅亡千三百五十年祭を忠清南道におきまして世界大百済典として開催され、大統領みずからが出席され、私もそこに参りまして、そのことをきっかけにいたしまして忠清南道との関係を深めることになりました。そしてまた昨年度は、中国政府が国家的威信をかけて開きました上海万博が、本県の友好をしております浙江省の隣にあると、かつ上海から浙江省に入るという我々の地の利を生かしまして三七七六友好訪中団を上海と浙江省にお送り申し上げ、向こうから感謝をされたわけでございます。今年度におきましてはドルノゴビとの交流を友好提携として結ぶことができまして、またアメリカとの関係につきましては、三・一一以降のトモダチ作戦へのお礼も兼ねまして、下田と提携のありますニューポートがございますロードアイランド州に参りまして、そこで交流を深めてまいりました。来年はそれを収穫する年でございます。中国からは返礼として四月には浙江省の省長が来られることになっております。また下田における黒船祭は県も共催をさせていただきますけれども、ルース大使御夫妻が来られることが決まっております。そしてモンゴルからは高校生たちがお越しになると存じます。忠清南道とは友好提携に一歩手前までこぎつけたところでございます。こうしたことのほかに、台湾、さらには東南アジアのベトナムであるとかシンガポールなどを軸にしまして、全方位的に地域外交を進めていくということでございます。
     議員御指摘のとおり、人口減少に立ち至りまして、これからは交流人口をふやさなくてはなりませんが、交流人口をふやすということが、国際化と同時に観光産業を栄えさせることにもなるということでございます。このふじのくにの静岡空港というのは、いわば富士山というものが中心にございますが、富士山が再来年には世界文化遺産になるということで、確実に空の玄関口として活用されることは目に見えております。そういたしますと東の玄関口として成田や羽田、そして西の玄関口として中部国際空港や関空があると。本県は富士山の見える美しい景観の中に降り立ち、またそこから帰るということで、本物の玄関口としてそこを育てていくということでございまして、このふじのくに静岡県を日本のど真ん中に据えるということを通して、世界から見れば、東京や京都とは違う本物の日本の世界に入るところだというようになることをねらっているわけでございます。いわば東洋の桃源郷を寄せてある扶桑しげるる敷島の国などとうたわれるような、この地域性をグローバルの中で輝かすという、そういう戦略を持っております。
     また、これが一過性に終わらないために、例えばアメリカとはこのほどニューポート黒船祭への公式訪問を契機といたしましてシムラニー全米茶業協会会長さん、あるいはパール・デクスター「ティー・ア・マガジン」編集長などとの人間関係もできましたので、そのネットワークも活用いたしまして、来年三月にはニューヨークで開催される食品見本市に参加して、お茶を初めとする県産品の販路拡大のための活動を強化いたします。風評被害を徹底的に撃破していくという覚悟でございます。さらにこの七月に訪問いたしましたロードアイランド州のロジャー・ウイリアムズ大学と県内大学との間の学術交流の検討がなされているので、その調整役もしたいと存じます。さらに国内での活動としましても、カリフォルニア州と県内企業との交流を促進するようルース大使との間でお話を進めておりますので、県と州レベルでの連携強化をも進める意向を持っております。一つずつではございますけれども、そのときそのときのだれにもわかるイベント等を活用いたしまして、それを契機として、広く深くこれからこの地域を世界にPRしていくというように考えております。中長期的な視点を持って誠意を持って信頼関係を築き上げながら、友好的互恵・互助の精神に基づいて相互にメリットのある交流を促進いたしまして、県勢並びに日本の発展に寄与してまいりたいというふうに思っています。
     次に、大手木材業者の誘致と木材産業の振興についてであります。
     静岡県には収穫期を迎えた森林が豊富にございます。今まさに木材として利用していく時期となっています。このため県産材の増産に向けて、低コストで計画的な木材生産システムの構築、効率的な加工流通体制づくり、消費者が県産材を利用しやすい制度の導入など、生産から需要まで一体となった取り組みを精力的に進めております。
     県産材の加工流通を担う県内木材産業につきましては、これまでしずおか優良木材の安定供給や森林認証の取得などを通しまして、県産材の活用に取り組むことにより、工務店などへ小ロットで多品種の製材品を供給しております。県産材の地産地消には欠くことのできない地域としっかり結びついた産業であると考えています。
     県としましては、付加価値の高い製品づくりや生産性の向上を目指す地元の製材工場に対し、製材加工や木材乾燥などの施設整備の支援を行っています。さらに県産材を利用した住宅助成や公共建築物での県産材の利用を促進するなど、今後とも地域産業の担い手の県内木材産業の一層の振興に努めてまいることは言うまでもありません。
     一方、増産される県産材の需要先として期待される大手ハウスメーカーなどの大口需要家に一定品質の製品を定時・定量に供給するには、大規模製材加工工場の誘致も視野に入れる必要があると考えておりましたところ、中国木材株式会社が本県に関心があるということで既に用地を取得し、さらにその用地を拡大されております。強引な誘致ではなくて向こうが本県への魅力を感じているということでございます。それを受けまして本県の林業・木材関係団体と打ち合わせを行い、その中で大規模工場と地元工場との間で、丸太の調達と製材品の販売の両方で競合するのではないかという御懸念も生まれているわけでございます。それらを念頭に置きながら木材業界が立ち上げた木材産業振興対策委員会の御意見も伺いながら、引き続き関係者と打ち合わせを進める中で新たな木材産業の将来像を描きたい。本県の木材産業がこれまでのように小さくまとまり続けることではなくて大きな将来像を描けるように、そこの中での大手の役割も明確にしてまいりたいと考えております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げたいと存じますが、一言だけ。
     SRI――静岡総合研究機構が廃止されるという報告を、竹内理事長、また谷副理事長から私聞きましたときには、議員にまさるとも劣らず相当なるショックを受けまして、それは誤りであるとさえ思いました。しかしながら経済上立ち行かないということでSRI御自身が撤退をお決めになったわけです。それを、しからばどのように引き継ぐかということが私に課せられた課題になります。私自身は、SRIが立ち上がった当初から議員の御指摘ございましたアジア・太平洋フォーラムのテーマを定める委員の一人です。ですからもし私がこの職にとどまっていずに、いわゆる委員の一人としてであれば、何という県だと、SRIを廃止するとはというふうに思うと存じます。したがってこそ竹内SRIの理事長が現在県立大学の理事長でございますので、そこに受け皿をつくる。そして竹内氏御自身がその受け皿の長になる。そして長になることを通して、これまでの人材をそことつなぐと、かつ教育課程を入れると。さらに竹内さんが考えられている文化的サロンもつくりたい。これを、SRIの中にはなかったのでこれも入れる。さらになかったものは危機管理でございます。危機管理もその中に入れるということで、これまで中心でございました経済についての蓄積に加えて、文化的な、本県には有馬先生、熊倉先生、あるいは芳賀徹先生などが学術機関の長としていらっしゃいます。その方らとの連携もあり、かつ本県が先進県として持っている防災的な技術、人材、こうしたものを内外に発信していくというようなためのセンターとして生まれ変わると、発展的に解消するということをしなければ、まことにこれまで十数年間のSRIの活動は何であったのかということになりまして、同じような憂慮する気持ちから、これを県立大学に引き継いで発展的に解消するという、そういう考えを持っているということでございます。そのセンターは、静岡文化芸術大学に静岡文化芸術研究センターがございます。そのセンター長は三枝成彰氏です。それと同じようなセンター機能を、そのセンターに持たせるという考えを私は持っておりまして、両方で、一方は文化芸術のいわば芸術部門中心に、他方は経済あるいは危機管理、あるいは多くの人たちが集うサロンという形で、両者相まって本県のシンクタンク機能、あるいは人材のネットワークというものを広げていくという、そういうつもりでおります。
     あとの設問等につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 和産和消の推進と茶業の今後の方向についてお答えいたします。
     我が国は、栄養バランスにすぐれた健康的な日本型食生活によって長寿国になったと認識をしております。日本人の食生活に欠くことのできないお米、お茶、お魚を基本とする和産和消の提案は、お茶の消費拡大につながるものであると考えております。茶業を取り巻く環境が大きく変化している中、茶業の発展のためには、和産和消の提案に加えお茶を楽しむ新しい文化の提案、お茶の機能性や効用の活用、食育の基本的な考え方のもと、優しく、心を込めて、美しく食事をするの四つの提案を、茶業界が一丸となって取り組むことが重要であります。
     県が進めております食の都づくりにおきましては、ふじのくに食の都づくり仕事人により、お茶をテーマに県産の食材を活用した和食メニューを提供するなど、ふじのくに食文化の創造に取り組んでいるところであり、このような取り組みは和産和消につながるものであります。今後もお茶に地域の伝統的な料理などを組み合わせた食文化を提案し、お茶の消費拡大を推進してまいります。さらに県といたしましては、来年掛川市で開催される全国お茶まつりなどで和産和消の考え方を本県から全国に向けて発信をしてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 社会資本整備を担う建設業の人材育成についてお答えいたします。
     中山間地域の建設業者を含め建設産業は、社会基盤を整備し災害から地域を守る重要な役割を担うとともに、多くの就業機会を提供する主要な産業でもあります。その役割を適切に果たすためには、元請としての総合工事業とともに、主に下請として現場施工を担う専門工事業は欠かすことができない存在であります。県ではこのように重要な役割を担う専門工事業へのしわ寄せが懸念されます過度な低価格入札を抑制するため、県建設業審議会からの答申なども踏まえ、ダンピング対策の強化に努めているところであります。今年度は最低制限価格及び低入札調査基準価格の引き上げ、低入札工事における技術者の兼務禁止等の措置を講じたところであります。また元請と下請との関係につきましても、県工事の受注者に対する構造改善実態調査や中部地方整備局と連携して開催します法令遵守講習会などにより、適正化に向けた指導に取り組んでいるところであります。
     県といたしましては、これらさまざまな施策を通じて専門工事業を支える人材の育成に努めるとともに、専門工事業が総合工事業と一体となって地域における社会資本整備の一翼を担うことができるよう支援してまいります。
     次に、リニア中央新幹線のうち、まずこれまでの経緯についてであります。
     リニア中央新幹線につきましては、国土交通省の諮問機関である交通政策審議会のもとに設置されました鉄道部会中央新幹線小委員会におきまして、中央新幹線の意義、走行方式、ルート及び建設主体などにつきまして、昨年三月より二十回に及ぶ集中的な審議が行われてまいりました。本年四月に開催されました第十七回及び十八回の小委員会の中では、東日本大震災におけます東北新幹線の被災状況を踏まえた上で、中央新幹線の整備の意義や防災対策などの安全性につきまして議論が行われております。あわせてパブリックコメント等を通じ各方面からの意見を踏まえた審議がなされ、五月十二日には交通政策審議会より中央新幹線についての答申が取りまとめられ、五月二十六日には国土交通大臣が中央新幹線整備計画を決定し、翌二十七日にはJR東海に対し建設の指示が出されたところであります。
     議員御指摘の中央新幹線の安全性につきましては、関係者や有識者等から幅広く意見を受け審議が行われました交通政策審議会の答申を踏まえ、国土交通省が整備計画を最終的に決定したものであり、安全性が確保された上で実現されるものであると認識しております。
     県といたしましても、中央新幹線の整備に当たりましては、想定される東海地震や事故発生時の万全な対応、さらには開通後の沿線地域への悪影響が及ばないよう、建設主体でありますJR東海に対し、建設、計画、供用後の各段階におきまして適時適切に申し入れを行ってまいります。
     次に、本県におけるメリットについてであります。
     本年五月十二日の交通政策審議会の答申の中で、中央新幹線の意義としまして、三大都市圏以外の沿線地域に与える効果とともに、東海道新幹線の輸送形態の転換と沿線都市群の再発展につきましても示されております。具体的には中央新幹線が開通することにより、「のぞみ」の機能が転換され、東海道新幹線における「ひかり」、「こだま」の停車本数の増加や新駅設置の可能性など、東海道新幹線沿線におきます利用者の利便性の向上や地域の活性化が期待されますことから、今後必要な協力をJR東海に求めてまいります。また中央新幹線の整備に当たりましては、南アルプスの豊かな自然環境への影響が懸念されております。このため建設主体でありますJR東海には環境影響への十分な配慮を要請いたします。あわせて必要な工事用道路などの施設が開通後にも利用でき、多くの人が豊かな自然を学び享受し、自然教育や観光、地域振興にも寄与するものとなりますようJR東海に働きかけてまいります。
     県といたしましては、静岡市とともに本年六月に中央新幹線整備推進本部を立ち上げ、建設主体でありますJR東海に積極的に協力するとともに、東海道新幹線の新たな利活用や南アルプスの地域振興など、静岡市と連携し活性化に向けた検討を進め、地域を含めた県全体のメリットにつなげられるよう取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) 財団法人静岡総合研究機構についてお答えいたします。
     静岡総研につきましては、公益法人改革の動向等を踏まえまして平成二十二年度にゼロベースであり方を検討した結果、基本財産運用収入の低迷や受託研究業務の減少などにより、現状の財団法人としての活動が限界に来ておりますことから解散の方針を決定したところでございます。
     一方で、静岡総研は、これまで県内唯一の行政系シンクタンクとして行政の羅針盤となる調査研究機能を担ってまいりました。例えば総研が研究し推進した新公共経営は県内市町への導入が進みましたし、川根地域振興の研究では、山岳図書館の開館の契機となり地域の活性化に寄与するなど、県内自治体の施策に反映され多くの成果を上げてまいりました。
     今後、県の成長戦略や地域外交、防災、地域主権改革など本県が直面する行政課題に適切に対処していくためには、静岡総研が担ってきた調査研究機能の継承と強化が必要であり、その継承先として県立大学内に新たな研究センターを設置する方向で現在検討を進めております。そうした中で、静岡総研に蓄積された人的ネットワークや地域づくり、人づくりに関するノウハウ等の知的財産につきましても、竹内理事長に引き続き新組織の運営に積極的に関与していただくとともに、県もテーマの設定や運営に関与することで、その確実な継承と活用を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) リニア中央新幹線についてのうち、環境アセスメントについてお答えいたします。
     去る九月二十六日に、JR東海から環境影響評価法に基づき環境影響調査を行う項目等を記載した方法書が提出されました。現在、県環境影響評価審査会におきまして専門的な見地から方法書の審査をしていただいているところでありまして、別途JR東海が実施した公告縦覧に対する一般の方からの意見や地元静岡市長の意見なども勘案して審査をしていただき、この審査会からの答申を踏まえ、来年二月末までに方法書に対する知事意見を提示いたします。また次の段階におきましては、方法書に対する知事意見を踏まえてJR東海が環境影響調査を実施し、その結果と対策を記載した準備書が提出されることになりますので、方法書と同様の手続で知事意見を提示してまいります。次にJR東海は知事意見を踏まえて準備書を見直した評価書を国土交通大臣に提出した後、事業に着手することになり、事業実施後には環境保全結果の報告書を国土交通大臣に提出します。
     なお本県では、法以外の手続として事業実施中及び実施後の環境影響を把握するため、静岡県環境影響評価条例により事業着手前には事後調査計画書を、事業実施後には事後調査報告書の提出を義務づけており、南アルプスの自然環境の保全に十分配慮した事業が実施されるよう対応してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 放射線に係る子供たちへの教育についてお答えいたします。
     原子力発電所の事故により、放射線や放射性物質等に関する関心が高まっている中、文部科学省では小中高等学校における放射線等に関する指導を充実させるために、児童生徒用副読本及び教師用解説書を本年十月に作成いたしました。また県教育委員会におきましても、本年八月に教師や子供たちが授業等で使うことができる資料「放射線について知ろう」を作成し、ホームページで掲載し広く活用を呼びかけたところであります。
     来年度から実施されます中学校での新しい学習指導要領では、放射線等の学習は中学三年生だけで扱うこととなっておりますが、今回の事故を踏まえて、副読本等の活用によりすべての子供たちが放射線等の有用性や有害性について学び危険を正しくとらえ、適切に判断し行動できる力を育てていくことが大切であると考えております。
     このため、県教育委員会といたしましては、教職員が放射線等に対する理解を深め小中高等学校において発達に応じた学習が進められるよう、来年度、放射線やエネルギーに関する研修会を実施したいと考えております。以上であります。

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