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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 多美子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2023

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 若者や子育て世代をターゲットとした人口減少対策について
2 NPO活動の担い手確保の取組について
3 中山間地や過疎地域の交通手段に関する課題への対応について
4 オクシズ地域の優良農地の確保について
5 水害から地域を守る麻機遊水地の整備の進め方について
6 子どもの権利である養育費の確保の推進について


○副議長(鈴木澄美君) 次に、八番 天野多美子君。
       (八番 天野多美子君登壇 拍手)
○八番(天野多美子君) 皆様こんにちは。
 本日最後の質問者であります静岡市葵区選出の天野多美子でございます。
 議員になって初めての一般質問ということで、質問に先立ちまして一言御挨拶申し上げます。
 私は、ついこの間まで民間企業の一社員であり政治経験はありませんでした。しかし県民として活動をし女性として、また子育て世代の母親として子育てや教育に思いを持って、この春の選挙に立候補いたしました。ドン・キホーテさながらの挑戦にもかかわらず私を信じて応援してくださった友人たち、静岡県議会議員という重責を担わせていただくことになったこと、また今日こうしてこの壇上に立たせてくださった全ての皆様に心より感謝を申し上げます。
 今の子供たちが社会の中心となる次世代の静岡県のために私は勇気を持って取り組んでまいる所存でございますので、どうぞ御指導くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
 それでは、私は自民改革会議の所属議員として通告に従い知事、副知事、関係部局長に当面する県政の諸課題について一括質問方式にて伺います。
 最初に、若者や子育て世代をターゲットとした人口減少対策について伺います。
 総務省が今年の七月に発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると静岡県の人口は三百六十三万三千七百七十三人と前年から二万五千人近く減少いたしました。減少数は全都道府県で三番目に多く特に静岡市の人口減少や伊豆地域の過疎化などが影響したものであります。
 これまで県では首都圏などからの移住促進や企業誘致による雇用創出などの方法で人口減少の食い止めを図っておりますが依然として若者の県外への転出超過が目立ち、その取組はまさに道半ばといったところではないでしょうか。
 一方、ふるさと回帰支援センターが発表する移住希望地ランキングでは三年連続で一位となるなど全国的に見れば本県への注目は高まっており、実際昨年度の移住者数は過去最高の二千六百三十四人となっております。これは本県に関心を持っている人が多いということの表れであり、静岡県の魅力が注目されている今だからこそ特に若者や子育て世代にアプローチをする取組を強化することが必要ではないかと考えます。
 本県では高校卒業後多くの学生が首都圏に進学しており就職もそのまま首都圏となることが多いのが現状です。しかし一方で、コロナ禍から生まれたワーケーションやテレワークなど新しい働き方や生き方が広く普及し同時に地方の新たな魅力がクローズアップされています。このような流れから県外に対して様々なメニューによるアピールをし本県への流入人口の拡大にもつなげていくチャンスと捉えております。
 さて、近年特に子育て世代や若者をターゲットに絞った関係人口の取組が他の都道府県で積極的に展開されているのは御存じでしょうか。全国では第二のふるさとをキーワードに若者や子育て世代の心に刺さる挑戦をしている地域があります。
 例えば、地域みらい留学による高校生の留学移住制度、未就学児を対象とした保育園留学制度、小中学生の親子や児童を対象とした山村留学制度、国境の生命線として離島を守るために国土交通省が推進している離島留学制度など多岐にわたって親子や子供を対象とした国内留学制度が推進されております。
 また、徳島県や秋田県で運用されているデュアルスクールという制度を御紹介しますと、もともと厚生労働省がDVやいじめ被害などでセーフティーネットとして定めた二拠点で就学できるという制度ですが、これを拡大解釈し新しいライフスタイルにつなげているものです。この仕組みでは、子供は学校を転校せずに現地の学校に出席することで自分の地元の学校の出席として認められます。また大人にはリモートワークができるよう環境を整備して親子での短期移住を実現しています。そしてこれらの施策によってメディアの注目を集めたり、質の高い関係人口やまた親の介護などのために子連れ帰省にも役立っており、さらにその先の移住などにもつながっているなど効果も現れ始めているとのことです。
 これら国内留学制度のターゲットとなる年齢層や家族はいずれも子育て世代であり、参加する子供たちも子供の頃にその地域と深いつながりを持つことで第二のふるさとを持つことができ未来の関係人口として成長していきます。
 そこで、他県の事例も参考としながら将来的な移住のきっかけとなるような関係人口の拡大も含め県外の若者や子育て世代を対象とした人口減少対策の取組を実施していくべきと思いますが、県のこれまでの取組と今後の政策展開について伺います。
 次に、NPO活動の担い手確保の取組について伺います。
 平成十年に特定非営利活動促進法いわゆるNPO法が施行されてから二十五年が経過しました。この法律の施行により、市民自らが考え社会の課題解決に向けて行動する環境がつくられてきました。県内でも県民が安心し生き生きと暮らせる地域社会のために必要不可欠な存在として多くのNPO法人や地域活動団体が立ち上がっています。
 NPOは、立場や時間に縛られず柔軟に社会貢献が可能であることがその特色の一つであり様々な人が様々な形で活動の担い手として関わることができる場であると思います。私自身も、小中学生向けの自然体験と山間地の活性化や過疎地域の子供たちの交流機会につながる山村留学という制度が静岡県内ではほとんど普及していなかったことから、当時仕事をする傍らその魅力や認知度を上げる活動や自治体への提案や推進に取り組んでまいりました。またこうした活動を通じて地域活性化に関わる様々なNPOなどと交流してきましたが、多くのNPOではせっかく始めた活動の継続について担い手不足が大きな課題となっているとのことでした。
 しかし一方で、子育て中であっても、いろんな活動のスタッフやボランティアとして持ち前の個性を生かしたり、暮らしの中で感じた課題に取り組むための活動などで育児と両立しながら活躍している女性に多く出会います。全国的に見るとNPOでは女性の代表は何と全体の三〇%です。ちなみに地縁組織の自治会長では女性は七%、企業の部長相当職でもまだ一〇%以下であることを鑑みるとNPOでの女性の割合は大きな割合を占めていると言ってよいのではないでしょうか。
 企業活動に比べ柔軟な運営ができるNPO活動は、根本的には生活者の目線が生かされやすいため特に女性が中心的な担い手となりやすいこと、さらにその活動が自信につながるきっかけとなり多くの女性の活躍の促進につながっています。
 新時代を迎え、営利を生み出す企業活動と生活の中の課題に取り組むNPO活動はいずれも社会の両輪として欠かせない存在であります。その意味でもNPO活動がこれからも安定的に活動を継続していく必要があります。
 そこでお尋ねします。このような現状を踏まえ県では、NPO活動の担い手不足に対し今後どのような対策を講じていくのかお伺いします。
 次に、中山間地や過疎地域の交通手段に関する課題への対応について伺います。
 中山間地や過疎地域では路線バスの減便や廃止が進み、ますますその生活は窮するところとなっております。特に生活や通院のために運転免許を返納できない高齢者やバス停までもが遠いため親がバス停まで送り迎えをするバス通学の子供の話も珍しくありません。また移動の手段が地域にないことによって住民の不安は一層募り過疎化はますます進んでいます。
 一方で、平成十八年には道路運送法が改正され、公共交通機関における移動が困難な過疎地域においては国土交通省から登録を受けたNPO法人や社会福祉法人などが白ナンバーで有償サービスを提供できる交通空白地自家用有償旅客運送が制度化されました。さらに現在政府の規制改革推進会議において自家用車による有償旅客運送いわゆるライドシェアの解禁に向けた議論が盛んに行われております。
 このライドシェアは、海外では普及が進んでおりますが日本ではまだまだ認知されておらず、民間調査会社が発表したアンケートの実施結果でも反対する意見が約六割でありました。しかし回答者を実際に海外で利用したことがある人に限定すると賛成は八割以上と高い評価であったそうです。静岡県内では有償旅客運送の試みがほとんど聞こえてきませんが、いずれの形であっても今後過疎地域における交通手段の確保につなげていくことが重要であると考えます。
 市町が基礎的自治体として住民の足の確保を担い国が法制度による安全の確保のための規制などを担う中、県は広域的な自治体として中山間地や過疎地域における交通手段の確保にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、オクシズ地域の優良農地の確保について伺います。
 オクシズとは静岡市の八割を占める自然豊かな中山間地域です。ここではお茶やワサビなどを代表する多様な農産物が生産されております。特に本山茶は、本場の山のお茶として命名されたブランド茶で約八百年前に安倍川上流の足久保から始まったとされております。また四百年前に栽培が始まったとされるワサビはオクシズの清らかな水が湧く有東木がその栽培の発祥の地であり、平成二十九年に日本農業遺産、さらに平成三十年には世界農業遺産に認定されました。自然への負荷が少ないワサビ田は周辺に豊かな自然環境を育み、また美しい景観を生み出すとともに、水辺を好む動植物の多様性に富んだ生態系をつくり出しています。
 こうして魅力ある静岡ブランドの農産物は全国的にも、また自然を守る意味でも価値がありますが、静岡市内の全農地約四千五百ヘクタールのうち約六割がオクシズにあり、その地形は傾斜が険しく利用しにくい農地であることから営農条件としては不利であり、また農家の高齢化や後継者不足などにより農業の継続が困難となり、これらの状況が相まって耕作放棄地のますますの増加が懸念されております。
 一方で、地域の農業を守りたい、新規就農で農家になりたいとの要望は少なからずあると聞きます。こうした営農意欲が高い後継者が農家となり持続的に農業を継続していくためには、安心・安全に営農できるような生産性の高い優良な農地を確保する基盤整備が必要であると考えます。
 そこで、オクシズの地域特性に応じた優良農地の確保について、県の取組を伺います。
 次に、水害から地域を守る麻機遊水地の整備の進め方について伺います。
 私の地元の静岡市麻機地区に始まり清水港に注ぐ巴川は、昔から静岡市民の暮らしの中心に流れる重要な二級河川であります。御存じのとおり勾配がとても緩やかであるため必然的に水はけが悪く、一たび豪雨が発生すれば周辺地域における氾濫やそれに伴う浸水被害がしばしば発生する河川であります。
 そのような状況であるため昭和四十九年の七夕豪雨を契機に平成十一年には静岡県が大谷川放水路を構築するなど懸命な治水対策が行われてまいりました。しかしその後も特にここ近年は甚大な豪雨災害が頻発しており、流域住民にとって巴川の治水対策は生活に直結する重要な課題であります。
 巴川流域では、巴川流域水害対策計画に基づき巴川本川の河道掘削や麻機遊水地の二 一工区五十一ヘクタールの整備に加え、校庭や公園などを活用した雨水貯留施設百二十か所の設置などを進めていると聞いております。特に麻機遊水地の整備については観山中学に隣接するエリアの整備に高い関心が寄せられています。巴川の治水は生活に直結する重要な課題であるため地域住民にしっかりとこの治水対策について理解してもらい、住民の声も考慮しながら進めていくことが重要であると考えます。
 そこで、巴川流域における麻機遊水地の整備について今後どのように進めていくのか、県の所見を伺います。
 最後に、子供の権利である養育費の確保の推進について伺います。
 この問題については私自身、自戒の意を込めて質問と要望を申し上げます。
 まず静岡県では、子供が権利の主体であり子供の最善の利益を実現するために社会全体で子供を育むことを基本理念として掲げており、子供の権利擁護、子供が安全に暮らすための取組、家庭と同様の環境における養育、子供の自立支援、四つの施策を柱としております。また静岡県の人権施策推進計画においても子供をめぐる人権問題に触れております。中でも子供の貧困は親の貧困とも直結してくる問題であり、とりわけ独り親家庭の貧困は深刻な問題となっています。
 その大きな理由の一つとして養育費があります。令和三年度に実施した全国の独り親世帯の調査によると、養育費の支払い率は二八・一%と先進国では例がないほどの低い水準にとどまっています。それはきちんと取り決めを交わして離婚できるケースばかりではなかったりDVやモラハラなどで協議する機会すら持たないケースも大変多く、また養育費についてまるで別れた相手を養うとか甘えているというような感覚を持ち親同士でのやり取りが終わるケースもあります。
 しかし、養育費を払わないというのはもってのほかですが養育する側も受け取らないのは子供の権利を放棄、侵害していることを認識するべきです。これは冒頭申し上げたとおり私自身がまさに養育費を受け取れなかった親であり、あのとき私がもっとしっかりしていればと我が子たちに対し申し訳なく思っているからこそ実体験からの要望でもあります。
 今、静岡県の婚姻件数に対する離婚件数の割合は令和四年度で三七・八%、その中で子供がいるケースは約六割を占めています。また昨年度に発表された国の調査によれば母子世帯における令和三年度の平均就労年収は二百三十六万円であり、これは父子世帯の四百九十六万円を大きく下回っています。これには離婚前の就労状況が大きく影響しています。男性は離婚前も一〇〇%近くの方が就労していますが、母子世帯の場合女性の就労状況はパートを含めても七五%前後であり、四人に一人は専業主婦、働いていたとしてもパートや時短勤務などキャリアが積まれにくいことなどが影響していると思われます。
 これは、これまでの社会が家事や育児は母親の役目というバイアスがあり社会の構造も男性が外で働き女性が家庭を守るという仕組みになっていました。特に乳幼児の子育ては母親がするのが自然の流れであることから、この就労状況や離婚後の就労収入の男女差については必然とも言えるところでしょう。
 女性にとって出産は人生の大きな決断であります。自分の身を挺し命を授かり我が子を育む喜びは無上のものであります。しかし同時に子育ての中心を担うのは女性であることはまだまだ多く、よって肉体的にも環境的にも大きな変化と負担を持つのは女性であります。
 さて、誰しも将来の結婚や未来の家庭像について思いをはせるとき希望や幸せな姿を思い描きます。しかし万が一離婚したら養育費は払われないのが当たり前という世の中であったら、特に女性はまず自分を守るために仕事を続け収入を確保すること、また場合によっては子供を産まない選択がよぎってしまうことも想像に難くないのではないでしょうか。養育費だけで独り親の貧困が解決するものではありませんが、ただでさえ低い女性の独り親の収入だけで子育てをするのは子供にとってもハンデになります。子供の養育費に係る義務については両方の親がしっかり認識するべきであり、その認識不足が今日の独り親の貧困を招く一因になっていることは否めません。
 かつて離婚は当人同士の問題でした。しかし今や独り親の貧困は大きな社会課題です。親の経済力によって生活環境や学歴など子供たちの未来は大きく左右されます。それはまた日本の未来をも大きく左右するものであります。未来を担う子供たちのためにも行政の御指導やサポートをお願いしたい思いです。例えば、離婚届を提出する際、窓口での声かけや冊子の配付をするなどの情報提供、また行政の相談サービスだけでなく離婚問題に強い弁護士の紹介や相談会の開催などを強く促すことが必要と思われます。
 これらについて、市町や関係団体等と連携した取組を進めていく必要があるかと思いますが、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 天野多美子議員にお答えいたします。
 若者や子育て世代をターゲットとした人口減少対策についてであります。
 人口減少は、社会経済活動やコミュニティーの衰退など地域社会に様々な問題を引き起こすことから、その解決は本県にとって極めて重要な課題であります。
 本県への移住者は、先ほど御紹介がございましたが二〇二〇年に一千三百人余り、二〇二一年に一千九百人余り、二〇二二年には二千六百人余りと過去最高を更新しており、それぞれ五人に四人以上が、つまり八〇%以上が三十代前後の子育て世代であります。それゆえ若者はもとより子育て世代を本県に呼び込み将来の地域の担い手となっていただくことはとても重要であります。このためこれまでに小中学生を対象にした教育旅行の誘致や県外高校生を受け入れる川根高校での留学制度、農泊や棚田体験などを通じて県外の若者や子育て世代に本県の魅力を伝えてまいりました。
 天野議員におかれましては、お子様お二人を離島留学に出されて子供たちが元気になったという御経験を踏まえ静岡県内にも山村、里山、あるいは里海が豊かにあると。したがって静岡県下でも東京都ほかで生きづらくなっている子供たちの留学を支えることができるのではないかということで民間人として活動されていたことはよく存じ上げておりまして、私もその活動はとても静岡県にとっても重要であるというふうに思っておりまして、これからも県議会の議員としてお進め頂ければというふうに思うところであります。
 さらに、令和三年度からは関係人口の創出モデルをつくることを目的として県外の若者、親子を招きまして地域の自然や文化を体験する里山留学や大学生によるフィールドワークなど取組を重ねてまいりました。その結果約六百人の関係人口を創出することができました。今後は取組の結果をモデルとして整理した上で横展開し関係人口のさらなる拡大につなげてまいります。
 加えて、これまで関係をつくってきた若者や子育て世代に本県に移り住んでもらうとともに、県内から流出した若者にも戻ってきてもらって定住人口の増加につなげることも重要です。そのためには若者の就業先の確保や子育てと両立できる働き方の拡大などが必要であります。
 こうした考えの下、集中的な施策の検討と早期の実施を政策推進担当部長に指示いたしました。その結果本年度から新たな取組を開始しているところであります。具体的に申し上げますと、若者に人気のあるICTやデザイン等のサービス産業の誘致や子育てと両立できる働き方としてインターネットで仕事を受注できるクラウドワークサービスの普及に取り組んでいるところです。
 県といたしましては、御紹介頂きました他県の事例も参考としつつ地域づくり団体や市町とも協力しながら、本県が若者や子育て世代に選ばれる地域となるように富国有徳の美しいふじのくにづくりに全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(鈴木澄美君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) NPO活動の担い手確保の取組についてお答えいたします。
 県内のNPOからは、地域活動を担う人材の後継者の不足に悩む声が多く聞かれます。NPOにとって担い手の確保は大きな課題となっております。
 県では、ふじのくにNPO活動支援センターを通じNPOから寄せられる人材確保に係る相談に対し必要とされる人材の紹介を行うなどの対応に加え、NPOが募集するボランティアに関する情報を県ホームページやSNSで発信するなどNPOで活動する人材の確保に努めております。
 また、近年企業において従業員の社会貢献活動を促進する動きがあることから、昨年度従業員をNPO活動に参加させたい企業と人材を受け入れたいNPOとのマッチングを新たに行いNPOの担い手確保に取り組んだところです。その結果NPOが行う放置竹林対策に企業の従業員が参加したり、高齢者向けの健康講座に企業から講師が派遣されるなど成果が生まれております。今後は、こうした企業内人材のNPO活動への参画を進めるとともに、地域活動に関心がある移住者とNPOとのマッチングなども実施しNPOの人材確保を進めてまいります。
 議員御指摘のとおり、NPOにおいては女性が代表者や役員を務める事例が多く見られます。このためNPOの女性リーダーと子育て支援や環境保全などに関心を持つ女性が交流する機会を設けるなど女性のNPO活動への参画や活躍の促進につながる取組も併せて検討してまいります。
 県といたしましては、多様な人材のNPO活動への参画を促進しNPOが地域活動を継続して行えるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 勝又交通基盤部長。
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 中山間地や過疎地域の交通手段に関する課題への対応についてお答えいたします。
 中山間地や過疎地域において今後も住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるようにするためには誰もが利用しやすい交通手段を確保していくことが極めて重要であります。
 近年路線バスの廃止が進む中で代わりとなるバスを市町が運行しております。県では昨年度中山間地等を含む二十九市町の二百二十七系統に補助を行いましたが、交通手段の確保は十分とは言えない状況であります。
 こうした中、近年議員御指摘の自家用有償旅客運送を含む地域住民が主体となった住民共助による移動手段の確保の取組が行われてきております。この取組が課題解決の一つの方法になり得ると考え、事業が継続している県内外の先行事例について現地調査を行ってまいりました。その結果住民ニーズに配慮した経路等の設定に加え担い手となる中心的人材の確保が重要であることを認識いたしました。そこで勉強会を通じて市町に情報共有したところであり、今後導入に向けた地域ごとの条件や課題を整理し行政の支援の在り方を検討してまいります。
 県といたしましては、制度改正等の動向を見極め地域の実情に応じた暮らしを支える交通手段の確保に向け引き続き市町の関係者と連携し取り組んでまいります。
 次に、水害から地域を守る麻機遊水地の整備の進め方についてであります。
 市街地を流れる巴川の治水対策は、昭和四十九年の七夕豪雨を契機に本川改修や大谷川放水路の建設、麻機遊水地の整備を柱として静岡市と共に総合治水対策事業として重点的かつ段階的に治水安全度の向上を図っているところであります。このうち麻機遊水地の整備については、将来計画二百ヘクタールに対してこれまでに百三十八ヘクタールの整備が完了し、昨年九月の台風十五号に伴う豪雨の際には東京ドーム約二杯分に相当する二百六十四万立方メートルの洪水をため下流域の浸水被害軽減に一定の効果を発現しました。現在施工中の二 一工区を令和七年には供用開始させ、さらなる安全度の向上を図ってまいります。
 麻機遊水地の今後の整備については、気候変動による豪雨の激甚化、頻発化や現在の施設の効果検証を踏まえ関係機関や流域住民の御意見を伺い御理解を得ながら新たに河川整備計画に位置づける検討を進めてまいります。
 県といたしましては、来年は七夕豪雨から五十年となる節目であることから、これまでの治水対策の効果や現状についての一層の効果にも努めながら水災害に強い地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) オクシズ地域の優良農地の確保についてお答えいたします。
 急傾斜で点在する農地が多く担い手の高齢化や後継者不足が急速に進行するオクシズ地域において本県を代表する本山茶や水ワサビの産地が持続的に発展するためには、地域特性に応じた基盤整備を効果的に進め生産性の高い優良農地を確保することが重要であります。
 このため県では、GISを活用して茶園の形状や傾斜度、耕作状況等を分析し事業効果の高い二十二ヘクタールを対象に策定した基盤整備の全体構想に基づき令和四年度から順次農地中間管理機構と連携した事業化を進めております。今後は事業効果が早期に発現できるよう工事施工から苗木の植栽までが一年で完了する即効性の高い区画整理等を重点的に進め、意欲ある担い手が農地の集積、集約化や有機茶への転換など産地競争力の高い茶業経営を迅速に展開できるよう支援を強化してまいります。
 また、水ワサビにつきましては、生産者からの要望を踏まえ山間部のワサビ田を農道に近接する傾斜の緩やかな農地に移転し災害リスクを軽減する新たな取組を進めております。令和六年度からは先行モデルとして六十アールの荒廃農地等を対象にワサビ田に転換する基盤整備に着手してまいります。
 県といたしましては、オクシズ地域を支える農業の持続的発展に向け地域特性を生かした基盤整備を着実に推進し生産性や安全性の高い優良農地の確保に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 子供の権利である養育費の確保の推進についてお答えいたします。
 養育費については子供の健やかな成長のために必要な費用であり、養育費の確保に係る支援を市町や関係団体と連携して取り組むことが必要であると考えております。
 養育費の確保に当たっては離婚前の対応が特に重要であることから、県では、国の養育費等相談支援センターから講師を招き市町の戸籍担当と独り親支援担当を対象に研修会を開催し、市町で離婚届を受け付ける際、独り親をサポートする情報の提供に加え養育費の取り決めを確認するよう働きかけております。また離婚後を含む養育費に関する相談支援につきましては、静岡県ひとり親あんしんLINEや市町の独り親相談窓口での対応のほかひとり親サポートセンターにおいて離婚や養育費等の知識を有する相談員を配置し電話や来所による相談支援を実施しております。
 加えて、養育費確保のための取り決めや支払いの履行などの法律問題に対応するため、弁護士による県内四か所での無料法律相談会を毎月実施するほか市町と連携して県内九か所の市役所等での出張無料相談を実施するなど身近な地域での相談支援の充実に取り組んでおります。
 県といたしましては、引き続き市町や関係団体と連携して養育費の確保の支援に努め離婚した独り親家庭の生活の安定とその子供が健やかに成長できる社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 天野多美子君。
       (八番 天野多美子君登壇)
○八番(天野多美子君) それぞれに御答弁頂きましてありがとうございました。
 それでは、要望を二点申し上げます。
 まず、NPOの活動についてですが、担い手不足についてなんですけれども、こうした活動については利益や収入につながりにくいという側面がありまして、いわゆるやりがいの搾取であったり、利益の出し方が難しいケースがあって、なかなか担い手につながらないという側面もあります。そういったことからも所得や利益につなげる経営アドバイスなども教育する機会があれば効率的に運営につなげられるのではないかと考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 若者や子育て世代をターゲットとした人口減少対策について要望を申し上げます。
 先ほどお話の中で知事から、移住者に関して一千三百人、一千九百人、そして二千六百人と段階的に増えているということでお伺いしまして、大変うれしい気持ちになりました。しかしながらですね、他県に比べて非常にこの静岡県というのはアドバンテージがある中、私も山村留学の活動を通じてほかにももっとできることがいっぱいあるんじゃないかと。私はあくまでも教育の立場からですけれども、先ほどのお話の中のICTや子育てと両立しての就労の移住というお話だったんですけれども、もちろんそういうのも大事ですけれども教育の面も含めてですね、もっと幅広くできることがあるんじゃないかと思います。広い範囲の中でまた御検討頂ければ大変ありがたいと思います。
 以上、質問を終わります。(拍手)
○副議長(鈴木澄美君) これで天野多美子君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 十二月十一日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

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静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

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