• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

岡本 護 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2021

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 西部地域の目指す姿について
2 生物多様性の保全について
3 静岡県動物愛護管理推進計画(二〇二一)の策定について
4 介護と仕事の両立支援について
5 加速するEVシフトに対する本県の対応について
6 進学時等のつまずきの防止について


○議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十二番 岡本 護君。
       (六十二番 岡本 護君登壇 拍手)
○六十二番(岡本 護君) 私は、ふじのくに県民クラブの所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に一括質問方式で質問いたします。
 初めに、西部地域の目指す姿について伺います。
 県内四圏域を見回すと、伊豆半島地域にはオリンピック・パラリンピック自転車競技の開催や伊豆半島ジオパーク、東部地域にはトヨタ自動車が推進する「コネクティッド・シティ」プロジェクトなど今後の地域づくりの核となるものが存在します。また中部地域も、現在はコロナ禍で厳しい状況にありますが富士山静岡空港などの恵まれた交通ネットワークを活用した地域づくりというはっきりとした方向性があるように思われます。
 その一方で、西部地域は世界トップクラスの技術や浜名湖の豊かな自然の恵みなど豊富な地域資源に恵まれているものの、この地域を牽引してきた自動車産業が産業構造転換の過渡期にある中、他の地域から取り残されているような感覚を持っております。西部地域は水産業に加えマリンスポーツも盛んな沿岸部、工業地域や豊かな農地が広がる平野部、さらには天竜美林の美しい景観とともに良質な木材の産地として広く知られる山間部という、それぞれに魅力ある変化に富んだエリアによって構成されております。
 このような西部地域の魅力を最大限に生かすことができるよう、この地域を海、平野、森といったエリアに分けた上で高齢者の暮らしやすい地域や若者が子育てしやすい地域づくりをするなど理想の地域づくりに向けてはいろいろなアイデアが考えられます。この理想郷が実現すれば課題である人口流出を減らし移住・定住を増やすことにもなると思われます。
 そこで、この理想を実現していくためにはまずは政令市を含む市町と県が地域課題に対する認識を共有した上で、それぞれの意見や考えを尊重しつつも方向性を同じくする施策については県と市町が連携して対応することが重要であります。
 来年度は県の総合計画の見直し年度に当たりますが、総合計画に位置づける西部地域の目指す姿を見直していくに当たり地域課題を市町とどのように共有し、また市町の意見をどのように取り込んでいくかをお伺いいたします。
 次に、生物多様性の保全について伺います。
 私の自宅のそばにある四ツ池公園は、名のとおり公園には四つの池や緑豊かな森があり、池の周りの散策コースにはカワセミやカモ、サギなどの野鳥の姿を見ようと多くの市民が集まってきております。住宅街の中に位置していますが、ここでは野生動植物と人間が共存できる様子が身近に感じることができ、このような豊かな自然環境を数多く次世代に継承していくことが大切であると考えます。ちなみに昨日三月三日は世界野生生物の日でありました。
 一方、近年の急速な科学技術の発達や大規模な開発行為等により自然環境と我々との関係は薄れ地域の自然環境と文化が結びついた特有の風土が失われつつあるように感じます。古くから日本人が持っていた自然観を大切にし、自然を守るというだけでなく産業や文化との関わりを含めて生物多様性の重要性を全ての県民が理解し行動していくことが必要であると考えます。
 平成三十年三月に県が策定したふじのくに生物多様性地域戦略においては、生物多様性の大切さを理解し力を合わせて生物多様性に恵まれた理想郷ふじのくにに生きるを目標と掲げ、生物多様性の保全と持続可能な利用に向け県が県民や事業者など様々な人たちが協働して取り組むための具体的な指針となっています。この戦略では私たちの身近にもある県内各地の今守りたい大切な自然とともに伊豆半島や富士山、南アルプス、浜名湖といった国内外で注目が高まっている四つの特徴的な地域を対象として盛り込み、これら地域の自然環境を重点的に守ろうとしております。
 特に南アルプスは氷河期から生き残った絶滅危惧種の動植物等が生息する世界的に希少な動植物の宝庫です。しかし残念なことに近年南アルプスにも急増したニホンジカにより天空のお花畑の草花が過剰に食べられることによって高山植物への被害が深刻なものとなっています。南アルプスの絶滅危惧種は野生生物からの脅威にもさらされているのです。
 十二月県議会の代表質問でも我が会派の阿部議員が質問いたしましたが、世界クラスの宝でありユネスコエコパークに登録されている南アルプスの生物多様性を保全し次の世代に継承していくことは静岡県の責務と考えます。
 そこで、南アルプスの生物多様性の保全と重要性の理解促進に向けた今後の取組についてお伺いいたします。
 次に、静岡県動物愛護管理推進計画二〇二一の策定について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響で自宅で過ごす時間が増えたことにより犬や猫などのペットを飼い始める方が増えているとの報道がなされています。命ある動物を飼うということは日々の生活の癒やしとなるとともに、生命の尊重、友愛等の情操の涵養の観点から子供たちが心豊かに育つ上でも非常に重要なことであると考えます。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響で仕事がなくなり経済的に飼い続ける余裕がなくなった飼い主からの引取りの相談も増えていると聞いています。今後は一時的な巣籠もり需要で増えたペットが、新型コロナウイルス感染症終息後には適切な飼い方がされず命を落としたり捨てられることが懸念されます。
 令和元年六月には、動物の愛護及び管理に関する法律――動物愛護管理法が改正され動物の適正な取扱いが強化されたところであり、安易に動物を購入することによって飼育放棄や遺棄、虐待を招かないよう飼い主に対して終生飼育の責務や動物虐待の防止、動物の適正な取扱いについて正しい知識や理解を浸透させることが肝要であります。
 昨今、飼育能力を超えた飼い主によって引き起こされるいわゆる多頭飼育崩壊という問題を度々耳にするようになりました。例えば昨年神奈川県の海老名市において、自宅で猫百三十九匹を不衛生な環境で飼育したとして飼い主の夫婦が動物愛護管理法違反の疑いで書類送検された事例が報告されております。同様の事例は全国各地で発生しており、平成三十年度に全国の自治体に寄せられた多頭飼育をめぐる苦情は二千件余りにも及んでいるとの報道もあります。
 環境省は、本年二月に専門家会議を開き生活困窮者等により引き起こされる多頭飼育崩壊に対応するため自治体等が対策を講じる際のガイドライン案を取りまとめ、 地域と連携しリスクの高い飼い主を早期に探知することを求めると聞いております。
 このような状況の中、本県では人と動物の共生する社会の実現を目指し平成二十六年三月に策定した静岡県動物愛護管理推進計画二〇一四に基づき動物愛護に係る施策を推進しており、犬猫の殺処分頭数は平成二十五年度三千三百五十二頭に対し昨年度は七百十九頭と大幅に減少し、今後は殺処分ゼロに向けてさらなる取組を行うことを期待しております。県では現在の計画策定から六年が経過し今回の動物愛護管理法の改正を受けて見直しを行い、今年度新たな推進計画を策定すると伺っております。
 そこで、これまでの推進計画に係る現状と課題を踏まえて新たに策定する推進計画においてどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 次に、介護と仕事の両立支援について伺います。
 少子高齢化の進展により生産年齢人口が減少する中、産業を担う人材の確保は企業にとっても大きな課題であり、働く方が育児や介護などライフステージに起きる様々な事情と仕事を両立させることができる環境づくりが求められております。かつては、男性が外で働き女性が家庭での役割を担うといった固定的な分担意識が強く女性が育児や介護の多くを担ってきましたが、女性も仕事での活躍が期待されるとともに男性も育児や介護を担うようになり、仕事と家庭生活の両立は男女に共通する課題であると言えます。
 総務省が実施した平成二十九年就業構造基本調査の静岡県の結果を見ると、雇用されて働く方のうち家族の介護や看護に関わっている方の数は四十歳代で男性、女性ともに七千三百人となっております。間もなく団塊の世代が後期高齢者となり少子高齢化とも相まって介護しながら働く方はますます増えていくと考えられます。
 一方、企業にとっても四十代、五十代の社員は仕事の責任も重くなる年代でありまた熟練者として企業経営の中核を支える重要な人材でもあることから、介護との両立が難しくなり離職されてしまうことは大きな損失でもあります。
 法律の面では、育児・介護休業法により介護休業の取得や時間外労働の制限といった制度は整えられてきましたが、介護は一年先に終わるのか二十年先まで続くのか分かりません。仕事での職責を担いながら終わりの見えない介護をしていくことは個人の努力だけではできることではないと考えます。
 さらに、介護休暇などの制度の利用に当たっては、職責を全うすることや休暇取得により業務に与える影響を考えると実際の利用に難しさを感じちゅうちょしてしまうのではないかとも考えられます。企業が両立支援に取り組むことにより働く方を大切にし雇用を維持することは、企業を将来にわたり成長させていくための経営戦略でもあります。
 このため、継続して働き続けることができる就労環境の整備が重要な課題であり、県として介護と仕事の両立支援にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、加速するEVシフトに対する本県の対応について伺います。
 近年、地球温暖化の進行による気候変動や大規模な自然災害の頻発が深刻な問題となり、温暖化の原因となる二酸化炭素の実質的な排出量をゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けた機運が世界的に高まっております。
 EUやイギリスでは二〇五〇年、中国では二〇六〇年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を掲げ、我が国もこれに追随するように二〇五〇年にカーボンニュートラルを実現する目標を昨年掲げました。目標達成のハードルは高く、化石燃料中心のエネルギー体系を見直し経済活動においても製品の生産や使用、サービスの提供といったあらゆる段階において二酸化炭素の排出を大幅に抑制することが求められております。
 このため、これからの社会はカーボンニュートラルに向けて大きく変革していきそこで注目され成長を遂げる産業が出てくる一方で、社会的な要請から縮小を余儀なくされる産業や二酸化炭素排出を低減するための技術革新を求められる産業も出てまいります。特に二酸化炭素排出の約二割を占める自動車などの運輸部門では動力源を化石燃料から二酸化炭素を排出しないエネルギーにシフトすることが不可欠であります。
 このため各国は脱ガソリン車の目標を掲げており、我が国では二〇三五年までに軽自動車を含む乗用車の新車販売を全て電動車へ転換するという目標を掲げております。この世界的な潮流に対し各国自動車メーカーは電動車の開発を加速させております。
電動車は、ガソリン車に比べ部品点数が半分程度になるため従来の自動車部品メーカーの仕事は今後減少すると予測されており、自動車部品メーカーが多い本県産業の影響は大きいと考えます。ガソリン車から電動車へのシフト、いわゆるEVシフトに直面する中で本県の中小自動車部品メーカーが勢いを失うことなくより一層飛躍していくためには持ち前の技術を生かして新たな領域に挑戦していくことが肝要であります。
 そこで、カーボンニュートラルの実現に向け加速していくEVシフトに県はどのように対応していくのかお伺いをいたします。
 次に、進学時等のつまずきの防止について伺います。
 文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によれば、不登校児童生徒の数は全国的に増加しており、本県においても年々増加していることが明らかになっています。また同一の児童生徒集団における小学一年生から中学三年生までの不登校者数の経年的な変化を見ていくと、中学一年生で不登校者数が大幅に増加する傾向があることもこの調査の結果から分かります。
 不登校になる原因は一人一人異なり様々な背景が複雑に絡み合っていることから安易に特定することはできませんが、中学一年生で不登校者数が大幅に増加する原因の一つとして進学時のつまずきがあるのではないでしょうか。また小学校から中学校への進学時だけでなく幼稚園、保育所等から小学校へ就学する際にも同様に子供のつまずきがあることが指摘されております。
 こうした就学、進学時に見られるつまずきの要因として学習方法や学習内容が大きく変わること、友達や教職員との新たな人間関係の構築が必要になること、生活リズムが大きく変わることなどが挙げられます。これらの変化に柔軟に対応し学校生活を楽しむことができる子供がいる一方で、授業に集中できない、集団行動が取れない、新しい集団になじめないなど学習や生活の変化への適応に多くの時間を要する子供が存在していることは以前から指摘されているところであります。
 このような環境の変化に対応できない子供たちを含めた全ての子供たちが、新しい学校生活にスムーズに適応できるよう就学や進学時における不安や戸惑いを軽減しその後の学校での学びをきめ細かく支え続けていくことは、将来社会で活躍する人材を育成する上でも重要な課題であると考えます。
 そこで、就学時や進学時のつまずきを軽減し子供たちが学習や生活の変化に適応できるようにするための取組について県教育委員会の所見をお伺いいたします。
 以上が私の質問ですが、結びにふじのくに県民クラブを代表してこの三月末をもって退職されます職員の皆様に御礼とはなむけの言葉を申し上げます。
 本年度末で定年退職される予定の職員の皆様は、金嶋千明危機管理監兼危機管理部長、杉山浩一経営管理部長、植田基靖スポーツ・文化観光部長、長繩知行交通基盤部長、影島秀明議会事務局長、長田雅孝人事委員会事務局長、尾上景子労働委員会事務局長をはじめ知事部局で百六十四名、教育委員会で六百五十三名、警察本部で百三十二名、合わせて九百四十九名と伺っております。
 皆様の多くが生まれた昭和三十五年はアフリカの年と言われました。多くのアフリカ諸国が未来に希望をはせ独立を果たしたためです。現在新型コロナウイルス感染症との闘いの最中であり希望が見えにくくなっていますが、このような中にあって皆様は県民の生活を守り希望に満ちた静岡県をつくらんと御尽力されたことを承知しております。
 今や人生百年時代と言われます。六十歳はようやく人生の半ばを過ぎたところです。今話題の渋沢栄一が残した言葉の一つに四十、五十ははな垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら百まで待てと追い返せとあります。名実ともに働き盛りの新たな人生を迎えるに当たって心は希望に満ちていると推察いたします。
 そこでもう一つ言葉を贈ります。ボーイズ・ビー・アンビシャスとは札幌農学校、現在の北海道大学の初代教頭であったクラーク博士の言葉です。この言葉には続きがあるという説を御存じでしょうか。少年よ大志を抱け、お金のためでなく、自己顕示のためでなく、名誉というむなしいもののためでなく、本来人間があるべき姿のために大志を抱けというものです。大志とは未来に対する大いなる希望のことであり、自己顕示とも名誉とも無縁に本県の発展に御尽力された皆様方に感謝とともにこの言葉を贈ります。
 皆様が生まれた年に希望を持って世界に羽ばたいた国々があったように、皆様には大志を持って新たな世界に飛び込んでいただきたい、そして引き続き本県のためにお力添えをくださるようお願いするとともに、これからの人生がさらに充実したものになるようお祈り申し上げまして私の質問といたします。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 岡本議員におかれましては、ふじのくに県民クラブを代表されまして本年三月をもってこれまで尽くしてきた公務から一応解放されて退職するという全ての者に対しまして温かい言葉を賜りまして、彼らに代わりまして感謝申し上げ厚く御礼を申し上げるものでございます。またクラーク博士のすばらしい言葉もお贈り頂きましてありがとうございました。
 本来のあるべき姿を目指して志を抱けと、その本来のあるべき姿というのは私は富士山に託せるかなというふうにも思います。まさに富士山の日にお生まれになられた今上陛下は昭和三十五年のお生まれでございまして、今年去る二月二十三日に満六十一歳になられました。誰も代わることのできない仕事に精励されているということでございまして、人生百年時代までを見据えて隠居生活をするのではなくて、人のため社会のためにこれまで尽くしてきたようにこれからも彼らは尽くしていくであろうということを、今日のお言葉を胸に抱きながらそんなような生き方をすると信じているところでございます。ありがとうございました。
 岡本議員にお答えいたします。
 生物多様性の保全についてでございます。
 南アルプス、別名赤石山脈は富士山が世界文化遺産になった翌年にユネスコエコパークに認定されました。ただに、この赤石山脈の赤石という名称は近隣の学校の校歌に多く歌い込まれております。地元に愛されてきた山でございます。通称は南アルプスでございますけれども、この南アルプスがエコパーク、英語ではバイオスフィアリザーブ、リザーブというのは保存区ということでございます。バイオスフィアというのは生物圏、生命圏ということでございますから多くの生物が分布しているところであると。この地域は人類の共有財産であるから地元としてこれを大切に保存しなくちゃいけないということで、その責務を静岡県は担っている関係団体の一つということでございます。
 そしてこの南アルプスには、 絶滅危惧種のライチョウやタカネマンテマなど希少な動植物数多く生息しておりまして多様性に富んだ生態系を有しているところであります。この生物多様性を保全し後世に引き継いでいくことは県の責務であると認識しております。これまでボランティア等との協働によりまして、希少動植物に関する学術的調査や貴重な高山植物が咲き誇るお花畑をニホンジカの食害から守る活動等に取り組んでまいりました。
 しかしながら、南アルプスは広大で奥が深くアクセスも容易でないことから地元やボランティア等の皆様に加えまして、今後は南アルプスを愛する方々を増やし様々な形で応援していただくことにより自然環境の保全と魅力発信のための取組の輪を広げていきたいと考えております。
 このため、南アルプスの雄大さや美しさを実感できるPR動画を昨年八月からシリーズ化し誰でも気軽に視聴できるよう配信しております。これまでの視聴回数は二万回を超えております。また新聞紙上でも多数取り上げられるなど大きな反響を頂いているところであります。
 来年度は、学術的調査の拡充や高地でのニホンジカの管理捕獲等を充実させるとともに、専門家による解説やドローンで撮影した雄大な景色の映像などを盛り込んだ新たな動画を配信し自然環境の保全と魅力の発信を強化してまいります。また南アルプスを訪れる皆様が撮影なさった画像等を投稿することで、その体験や感動を多くの方々と共有できるアプリケーションを開発するなどサポーターを増やす取組も進めてまいります。
 さらに、これらの取組を支える財源を確保するため昨年十一月に南アルプスの保全をメニューに追加した個人向けのふるさと納税に加え今月末には企業版ふるさと納税を開始いたします。また頂いた寄附を積み立てて南アルプスの保全に活用するための基金を設置する条例案を本議会にお諮りしているところでございます。
 県といたしましては、南アルプスの豊かな自然環境が育む生物多様性を保存するため国内外の多くの皆様にそのすばらしさを御理解頂けるよう全力で取り組んでまいりまして、南アルプスを愛する方々との協働により世界の宝である南アルプスをしっかりと後世に引き継いでまいりたいと考えております。
 次に、加速するEVシフトに対する本県の対応についてであります。
 国は、二〇五〇年の温室効果ガスの排出量実質ゼロに向けたグリーン成長戦略を昨年十二月に公表し、自動車につきましても二〇三五年までに軽自動車を含む乗用車の新車販売を全て電動車とする目標を示しております。世界的に脱ガソリン車の動きが加速する中、県内にはガソリン車のエンジン関連部品を製造する企業が数多く集積しており、その影響は非常に大きいものがございます。
 こうした大きな変革期を官民を挙げて乗り切るため、県では平成三十年度から次世代自動車センター浜松が行う次世代自動車開発に不可欠な中小企業の固有技術の探索、EVの分解研修、試作品開発などの取組を支援してきたところでございます。さらにこの取組を加速するため、県では来年度学識経験者や自動車メーカー、部品関連企業などから成る次世代自動車の電動化・デジタル化等対応研究会、仮称でございますが、この研究会を立ち上げ具体的な対策の検討を行ってまいります。加えて国際競争力を高めるため三次元設計の導入等を促進いたします。さらに次世代自動車分野の研究開発助成を拡充し電動化、デジタル化に対応した試験検査機器の導入にも取り組んでまいります。
 他方、自動車関連の中小企業がその高度な精密加工技術などを生かして他の成長分野への参入を目指す場合があります。県ではこうした他分野への参入支援にも力を注いでまいります。具体的には医療機器などの分野であればファルマバレープロジェクトの中核支援機関であるファルマバレーセンターが、企業による薬事規制対応への支援あるいは共同研究パートナーへの橋渡しなどその円滑な参入に向けた伴走型支援を行っております。
このように、ファルマバレーや次世代自動車、ロボットなど各プロジェクトに配置されているコーディネーター相互間の連携体制を強化いたしまして、相談を受けた企業の希望を受けて他の成長分野のコーディネーターにつなぎ具体的な支援に結びつけてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、こうした取組を一層強化し県内中小企業が鍵となる自社の技術力を生かしてこの大きな変革期を乗り越え飛躍していくことができるように全力で支援してまいります。
 なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(山田 誠君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 西部地域の目指す姿についてお答えいたします。
 西部地域は、浜名湖の豊かな自然、世界農業遺産の茶草場農法など世界クラスの地域資源に恵まれ、また世界に誇る産業技術が集積することから現総合計画の中で世界トップクラスの技術と豊かな自然の恵みで新たな価値を生み出す創造都市圏を目指す姿に掲げております。
 一方、新型コロナウイルス感染症の影響を受け旧来の社会経済システムや人々の価値観が変化しており、西部地域におきましても地方回帰やテレワークなど人や物の流れ、働き方や暮らし方の変化への対応が急務であります。また自動車のEV化や自動運転化 経済のデジタル化など産業技術に関しましては新たな価値の創造を迫られております。
 このような新たな働き方や暮らし方に対応した地域づくりや産業構造の転換に対処していくためには、先端技術の導入や圏域単位での連携した施策推進がこれまで以上に重要になるものと考えております。
 次期総合計画の策定に当たりましては、知事と四圏域ごとの市町長が意見交換を行う地域サミットや県と市町の企画担当者で構成する地域政策会議であらかじめ御意見を伺うとともに、圏域の中核機関である地域局が地域の調整機能を果たしていくことなどにより県と市町との間で十分な議論を行いながら西部地域の目指す姿を共有してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長(藤原 学君) 静岡県動物愛護管理推進計画二〇二一の策定についてお答えいたします。
 動物の遺棄や不適正飼育をなくすためには、県民一人一人が命ある動物に対する愛情を持ち適正な管理の下に終生飼育する意識を持つことが重要であります。
 このため、本県では平成二十六年に策定した静岡県動物愛護管理推進計画二〇一四に基づき飼い主への終生飼育や不妊去勢の普及啓発、ボランティアとの協働による新しい飼い主探しに積極的に取り組んだ結果犬猫の殺処分頭数は大幅に減少しております。今後は広く県民の皆様に適正飼育の普及啓発を行うとともに、 飼い主の高齢化や多頭飼育者による飼育放棄への対策を講じることが重要であります。
 現在策定を進めております新たな計画では、SNSや動画配信等の啓発ツールを活用し動物愛護への理解や適正飼育に関する正しい知識の普及に努めることといたします。また飼い主の高齢化や多頭飼育に伴う不適正飼育につきましては、福祉サービス事業所や老人クラブ、民生委員等の福祉関係者と保健所が連携を強化し問題が深刻化する前に相談できる体制を構築いたします。
 県といたしましては、市町や関係団体、ボランティアの皆様と連携し犬猫の殺処分頭数ゼロを目標に定め推進計画二〇二一を着実に推進することにより人と動物の共生する社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) 介護と仕事の両立支援についてお答えいたします。
 平成二十九年の就業構造基本調査によりますと、本県における家族の介護や看護による離職者数は年間約二千七百人おり、今後さらに離職者が増加することも懸念されております。
 このため、県では毎年企業の労務担当者を対象に東部、中部、西部の各地域でそれぞれ三日間にわたり介護休業制度の概要や介護休業給付金制度、柔軟な働き方を実現する職場環境づくりなどをテーマにセミナーを実施しております。急な休暇取得をカバーし合う体制づくりや介護の状態に応じた勤務の柔軟な変更など企業の具体的な取組を積極的に情報発信し、広く優良事例の横展開を図っております。
 実際に職場環境の見直しに着手しようとする企業に対しましては、社会保険労務士等のアドバイザーを派遣し短時間勤務制度の導入や仕事の分担方法の見直しなど個別具体的に支援をしております。また働き方改革推進リーダーの養成講座の開催などによりまして企業内での人材養成にも取り組んでいるところであります。
 さらに、コロナ禍により県内企業のテレワークの導入が進みつつあります。介護のための在宅勤務制度の導入は働く時間や場所の制約に対応でき仕事と介護を両立させるのに有効であるため、導入上の課題や解決策を企業が共有する研究会の設置やテレワークの導入設備等への助成などにも取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、こうした取組によりまして県内企業による柔軟な就業環境の整備を推進することで働く人々の仕事と介護の両立支援により一層注力してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 進学時等のつまずきの防止についてお答えいたします。
 小学校や中学校への就学、進学におきまして学習方法や学習内容、新たな人間関係など環境の大きな変化に対する児童生徒の不安や戸惑いを解消するためには幼小中の連携を強化し子供や教職員同士の相互理解を深めることが重要であります。
 小学校への就学に当たりましては、幼稚園、保育所などの幼児教育施設と小学校におきまして子供同士の交流や教職員による情報交換を行っているほか、五歳児後半から小学校入学時に至るまでの連続した教育計画を作成し子供たちの自立心を育む活動や入学時の弾力的な時間割による授業などを行っております。
 また、 中学校への進学に当たりましては各中学校区で目指す子供の姿などの共有、小中学校間、小学校間における子供たちの交流、中学校から小学校への出張授業などをそれぞれの実情に応じて実施しております。
 こうした取組により子供たちが新しい環境にスムーズに適応するとともに、子供の育ちや学びを踏まえた効果的な支援や授業ができるようになったところであります。学校現場からは、子供たちが無理なく小学校の生活リズムに慣れ落ち着いて教科の学習に取り組めるようになった、中学校入学後の授業において小学校までの指導内容を踏まえた系統的な指導を行うことができるようになった等の声を聞いております。
 県教育委員会といたしましては、今後も市町教育委員会と共に幼児教育施設や小中学校間の連携をさらに推進し、子供たちに寄り添い個々の状況に応じた教育を行うことにより誰もが安心して学ぶことができる環境の整備に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) これで岡本護君の質問は終わりました。(拍手)

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp