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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大石 健司 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2020

会派名:

無所属


質疑・質問事項:

1 リニア中央新幹線整備への県の対応について
(1) ルート変更等を巡る知事と副知事の発言のそご
(2) リニア工事差し止め訴訟の原告団への対応
2 日本初のウエーブプールを核とした沿岸部の地域おこしに
 ついて
(1) マリンスポーツの振興
(2) 富士山静岡空港を活用した誘客施策
3 牧之原地域周辺の道路整備について
4 TNRによる地域猫活動の推進について
5 高収益作物の導入を図る水田の基盤整備について
6 県立高校の長期計画と魅力化について


○議長 (山田 誠君)  次に、 五番 大石健司君。
        (五番 大石健司君登壇 拍手)
○五番 (大石健司君)  皆様こんにちは。 大石健司でございます。
 質問に先立ちまして、 未曽有の新型コロナウイルス感染症の蔓延により不幸にもお亡くなりになられた県民、 国民の皆様方に心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、 御家族の皆様には心からのお悔やみを申し上げます。
 また、 この秋の第三波の荒波の中、 日夜危険を顧みず大変な御苦労とストレスに耐え職務に邁進してくださっている医療、 介護、 福祉、 そして行政等全ての関係者の皆様に対しまして衷心からの感謝と敬意を表します。
 私は、 静岡県議会議員として県政の諸課題について通告に従い知事、 副知事、 関係部局長、 教育長及び教育部長に分割方式で質問させていただきます。
 まず初めに、 リニア中央新幹線整備への県の対応について、 ルート変更等をめぐる知事と副知事の発言のそごについてお伺いいたします。
 川勝知事がリニア中央新幹線静岡工区をめぐりルート変更か部分開通をと主張する論文を文芸誌の中央公論の十月号に寄稿したと十月十日の中日新聞が報じました。 実際に静岡県知事、 国策リニア計画にもの申すというこのタイトルの論文は十月五日の県議会危機管理くらし環境委員会での私の質問に対する難波副知事の答弁を報じた毎日新聞の見出し 「ルート変更必要ない」 という記事と完全に食い違っています。
 とはいえ、 委員会での難波副知事の答弁は正確には、 大井川の水への影響を回避すればルート変更は必要ない、 JR東海に対して改めて水問題を解決するように努力を促したいという趣旨でした。 したがって今回の論文の前提条件として命の水を戻すことができないのであればと付している知事の主張は論理的には矛盾していないと好意的に解釈することはできます。
 しかしながら、 これまでもずっとJRや国、 国交省の誠意に欠ける姿勢や対応を声高に批判され挑発する発言を繰り返してこられた知事が、 今どんな形であれ南アルプストンネルルートは潔く諦めるべきだという結論の自説を文芸誌に寄稿したことでまたしても全国紙の大見出しになってしまいました。
 一般県民や読者、 視聴者、 全ての国民はマスコミの報じる見出しによって大まかな意味を理解しようとします。 木を見て森を見ないことも多いと思います。
 今回の知事の御寄稿は、 よい意味以上に悪い意味で県民、 国民にルート変更だけが静岡県の要求なのだという印象を与え、 様々な立場で問題の解決や事態の収拾に尽力している全ての関係者の頭の上から湧水ならぬ冷や水をぶっかけることになったのではないかと危惧せざるを得ません。
 九月の定例会における自民改革会議の藤曲県議の、 国の有識者会議で方向性が出るまでは県のトップとしては過激な批判や私見、 提案は控えるべきだという代表質問にも真っ向から反論した形となっています。
 知事はこれまで、 私はリニア中央新幹線の大推進論者だと大見えを切る一方で、 昨日の桜井県議の御指摘のとおり過去には東海道新幹線の富士山静岡空港新駅設置や 「ひかり」 や 「のぞみ」 の静岡停車があたかもリニア建設の交換条件であるかのごとく発言されていたことは周知の事実であります。
 そこで、 今回のルート変更という新たな打開策提案に対する知事と副知事の発言のそご、 そしてその真意や責任の所在について公式見解を伺います。
 次に、 リニア工事差止め訴訟の原告団への対応について伺います。
 JR東海に対し、 大井川流域の住民ら百七人が十月三十日リニア中央新幹線の静岡県内区間の工事差止めを求める訴訟を静岡地裁に提訴いたしました。 百七人中静岡県民が百一人、 うち大井川の水を水源とする八市二町の住民六十七人が原告と聞いています。 原告団は、 リニア新幹線のトンネル工事によって大井川の流量が減少し流域住民の水道水源や農業、 産業への影響が出て水利権を侵害される、 大井川上流域の断層で大量湧水が発生する、 水環境の破壊による生態系の崩壊が生じることは必至で人類にとって極めて大きな損失になるなどと訴えております。
 県が二〇一四年から中央新幹線環境保全連絡会議を主宰し今もJR東海と粘り強く協議を続けていることを高く評価した上で、 県や知事に任せるだけではなく県民こそがJR東海と対峙しようと提訴を決めたと報道されています。 これに対し川勝知事は十一月十日の定例記者会見で、 当然のことだと思う、 しっかりと頑張ってほしい、 一歩も引くななどと述べたと報道されました。 これは明らかに先ほど述べたルート変更案よりもさらに大胆にリニア新幹線のそもそも論にまで踏み込んだ新たな主張のように感じますが、 その真意を伺います。
 そして、 川勝頑張れ川勝応援団を自称している原告団の皆様方とこれからどのような姿勢で、 そしてどのような関係で向き合っていくのか、 連携していくのか、 それを伺います。
 次に、 日本初のウエーブプールを核とした沿岸部の地域おこしのうち、 マリンスポーツの振興についてお伺いします。
 私の地元牧之原市の静波海岸に日本初となる本格的なサーフィン用プール  静波サーフスタジアムが建設中です。 この施設は地元の篤志家らが設立した民間企業が建設、 運営する横幅約百五十メーター、 縦六十メーターの半楕円形の言わば巨大な波の出るプールで来春には完成し営業が開始されます。 小さな入門用の波から一・八メートルの波高の筒状や空中競技用の波までを造ることができる画期的、 理想的な施設で、 レジャーとしてのサーフィンやボディーボードなどからトップアスリートの集う世界レベルの競技会までが開催可能です。
 来年夏の東京オリンピックで新種目となったサーフィンは、 若者を中心に世界的に絶大な人気を誇っています。 全国から年間六十万人のサーファーが訪れる牧之原市周辺の海岸線に天候に左右されず自然界では実現不可能な安定した波を常時提供する施設ができることで、 サーフィンがさらに身近で愛されるスポーツとなり地域の沿岸部活性化の起爆剤になることが期待されています。
 五百キロの海岸線を有し様々なマリンスポーツが盛んな本県のど真ん中に誕生するこのユニークな施設に対し、 その評価と今後どのようにマリンスポーツを振興していくか、 県のお考えを伺います。
 次に、 富士山静岡空港を活用した誘客施策についてお伺いします。
 静波サーフスタジアムの完成を待ちわびる牧之原市のある榛南地域は、 沿岸部は冬も温暖で風光明媚であり密とも無縁でウイズコロナ、 アフターコロナ時代の観光地として最適と考えています。 そんな中、 富士山静岡空港から車で十五分の至近距離に誕生するこのウエーブプールへの誘客やにぎわいの場づくりは我が県にとっても極めて有望な観光施策になり得ます。
 そこで、 富士山静岡空港を活用し就航先をはじめとする日本中、 全世界からこのようなスポーツや自然などを楽しむ観光客を沿岸部に呼び寄せるためどのように取り組んでいくのか、 県の考えを伺います。 以上、 答弁を求めます。
○議長 (山田 誠君)  川勝知事。
○知事 (川勝平太君)  大石健司議員にお答えいたします。
 リニア中央新幹線整備への県の対応についてのうち、 ルート変更等をめぐる私と副知事の発言のそごとについてであります。 そごはないということなんですが。
 私は、 リニア中央新幹線には長く関わりリニア中央新幹線整備には賛成してまいりました。 現在も推進すべきものという考えに変わりはありません。 しかし大井川流域市町の生活や経済活動に必要不可欠な命の水である大井川の水資源並びにユネスコエコパークに登録されている世界に誇る南アルプスの貴重な自然環境に悪影響が出るということであれば、 これは決して認めることができないということでございます。
 議員御指摘のとおり私は、 中央公論十月号ではなく十一月号ですが、 命の水を戻すことができないのであればリニアルートのうち南アルプストンネルルートは潔く諦めるべきであるというふうに最後のところで書いたところを御引用なさいました。 これはルート変更というふうにも取れるでしょう。
 もとよりルート変更というのは極めて大変なことで、 これが容易でないことは十二分に承知しているものであります。
 しかしながら、 命の水を失うことはそれ以上に流域住民にとって受け入れ難いものであるということはJR東海の関係者並びに国策を進めていらっしゃる方々、 全国の皆様にもぜひ理解していただかねばなりません。 ルート変更ありきというものではありません。 まずはJR東海に南アルプスの特殊性を踏まえた環境影響評価を実施していただかなければなりません。
 大井川の水資源及び南アルプスの自然環境に悪影響が出ないよう万全の対策を講じていただかなければなりません。 それを言う根拠はJR東海が有識者会議に提出された資料にトンネル周辺の尾根部では局所的に地下水位が最大三百メートル以上の低下があるという記述がございます。 つまり生態系に悪影響が出ると記されているわけです。 これが科学的に正しいというふうになりますと、 これは極めて深刻な問題です。 なぜならばこれはそもそも環境影響評価手続の中で議論されなかった論点です。 しかも環境大臣意見におきましてユネスコエコパーク申請地の資質を損なうことがないようにと明記されております。 申請地と書かれているのは、 大臣意見が出たのはユネスコエコパークに認定する前のことだったからであります。 地下水位が三百メートル以上下がるということであれば南アルプスの自然環境に激変が生じるということであります。
 難波副知事は、 水や自然環境への影響を回避できればルートを変更する必要がないと言われました。 影響がないならばルート変更は全く必要ありません。 しかし影響があればどうしますか。 そこを考えなくてはならないということです。
 こうした考え方は、 難波副知事並びにくらし・環境部ほか県庁で関係者共有しているところであります。 したがってそごはないということです。
 現在、 国土交通省の有識者会議におきまして引き続き対話を要する事項四十七項目のうち目下は水資源に関する議論だけが行われています。 今後こうした生物多様性についても議論が行われることになります。 残土置場につきましてもそうです。 水量だけでなくて水質についての議論もそうであります。 そこにはもちろんいわゆるヒ素ほか重金属の問題も関わってまいります。
 リニア中央新幹線整備と大井川の水資源の保全並びに南アルプスの自然環境の保全、 これが科学的に確認され、 そして県の専門部会に持ち帰られ、 それが専門部会の下で県民の皆様の御理解を得ることが必要であります。
 県といたしましては、 今後も国の有識者会議や県の専門部会におきまして工事によってどのような影響が起きるリスクがあるのか、 そのようなリスクをどのように回避、 低減できるのかについて住民の皆様が懸念、 不安を抱かれていますので、 これを払拭するよう分かりやすい説明をする説明責任がJR東海にありますのでこれをJR東海に求め続けてまいります。 以上であります。
○議長 (山田 誠君)  難波副知事。
○副知事 (難波喬司君)  リニア中央新幹線整備への県の対応についてのうち、 リニア工事差止め訴訟の原告団への対応についてお答えをいたします。
 県は、 地域の住民生活や経済活動に欠かせない命の水である大井川の水資源とユネスコエコパークに登録された南アルプスの自然環境を保全するため、 環境影響評価法の手続において設置した静岡県中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会でJR東海と対話を重ねています。 しかしJR東海の説明には検討が不十分な事項が多数残っており、 県と認識や見解が大きく異なるため対話には時間を要しております。
 今回のリニア工事差止め訴訟の起因は何かを推測いたしますと、 JR東海が科学的根拠に基づく説明が不十分なまま中下流域への影響がないと主張するなど環境への影響を過小評価しているため大井川地域住民の皆様の不安が払拭されていない、 こういうことにあるというふうに考えております。
 知事の発言は、 原告団の方々が命の水である大井川の水資源の問題を自分のこととして考え行動を起こしたというその行動力に対してエールを送ったものであります。 今回の訴訟につきましては司法が判断することであり原告団に対して県が関与することはありません。
 県といたしましては、 県民の皆様の不安が払拭されるよう専門部会等を通じてJR東海との対話を進めてまいります。 以上であります。
○議長 (山田 誠君)  植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長 (植田基靖君)  日本初のウエーブプールを核とした沿岸部の地域おこしについてのうち、 マリンスポーツの振興についてお答えいたします。
 御紹介がありました静波サーフスタジアムは、 天候に左右されず安定した人工の波を連続して造ることができ、 初心者にも親しみやすいサーフィンの体験会はもとより国内外からのアスリートの合宿や大会など日本を代表するサーフィンの拠点施設になると考えております。 またトップアスリートとの触れ合いによる子供たちへの教育効果や国際交流の活発化も期待されているところでございます。
 さらに、 本県は静波海岸をはじめ魅力的で自然豊かな海岸線に恵まれ、 新たに世界水準のサーフィンの拠点施設が誕生することで国内外から多くのマリンスポーツやビーチスポーツの愛好者を引きつける絶好の環境になると考えております。
 本年十月には、 牧之原市をはじめ浜松市、 掛川市、 静岡市、 下田市など沿岸市町や民間のスポーツ団体などの関係者と静岡県ビーチ・マリンスポーツ連絡会議を組織し、 ビーチ・マリンスポーツの振興と地域活性化に県全体で連携して取り組むことといたしました。 まずは不足している情報発信力を高めるため、 本年度内にビーチ・マリンスポーツに関するウェブサイトを立ち上げることとしております。 美しく豊かな海や多彩なスポーツイベントなどの本県の魅力を一元的に集約し国内外に強力に発信することで本県を訪れるスポーツ人口の増加や新たな大会の誘致、 開催などにつなげてまいります。
 次に、 富士山静岡空港を活用した誘客施策についてであります。
 富士山静岡空港は新型コロナウイルス感染症が拡大する中、 海外路線の全便欠航など大変厳しい状況にありますが、 早期に路線を回復させるためには国内外の就航先に対して利用の拡大に向けた誘客活動を展開していく必要があります。
 富士山静岡空港のある牧之原市は、 ビーチ・マリンスポーツの体験や広大な茶園を巡るサイクリングコースなどを有しウイズコロナ時代における旅行に適した魅力ある地域でございます。 県はこれまでもサイクリングや野外キャンプなど空港周辺地域の魅力的な旅行コンテンツを空港ホームページや 「ハローナビしずおか」 で情報発信するとともに、 国内最大の観光商談会であるツーリズムEXPOジャパンにおきまして旅行商品の造成を働きかけてまいりました。
 今後につきましても、 県海外事務所、 富士山静岡空港株式会社及び航空会社等と連携し自然景観や食、 アウトドア体験など本県が持つ魅力を情報発信するとともに、 就航先の旅行会社に対し自然やスポーツなどを楽しむ旅行商品の造成を働きかけるなど国内外からの誘客を促進してまいります。 以上でございます。
○議長 (山田 誠君)  大石健司君。
        (五番 大石健司君登壇)
○五番 (大石健司君)  それぞれ御答弁頂きました。 知事、 ありがとうございます。
 まさに正論なんですよ。 そのまま知事のおっしゃっていることがきっちりと国民や県民に伝わっていれば、 もっともっと分かりやすい、 静岡県の立場が分かると思っています。 私がまるで知事の揚げ足をお取りをするような発言、 質問をされたかと思って驚きの表情でちょっとこちらをにらまれましたけれども、 そういうことじゃないんですよ。 君子豹変という言葉があるのでその場その場で正しいと思ったことを口にされるのは構いませんが、 知事はもっと落ち着いて堂々と監督として動いていただかないといけないと思います。 我々全員水が大事だと思っています。 環境が大事だと思っています。 議会も同じことです。 県民も同じことなんです。
 しかし、 知事が昨日発言されたことによって例えば速報でリニア整備認めない静岡県知事が議会で明言、 インターネットの速報記事になりました。 多分知事も御覧になったと思います。 そういうことになってしまうんです。 いろんな形で昨日の桜井県議のおっしゃっていることも一理も二理もある、 うなずくこともたくさんありました。 そんな中でいろんな形で議論を深めて万機公論にという話を毎回されますけれども、 議会に対しても同じようにやっていっていただきたいなということを御要望させていただきます。
 ウエーブプールについても要望させていただきます。
 つい最近までアジア初めてのすばらしい、 すごい施設でございます。 東京オリンピックが一年間延期になった、 それによって東京オリンピックに間に合うかもしれない。 世界からオリンピックに出てくる選手が集まって大騒ぎになるかもしれない。 コロナ禍ですから大変ですけれどもそういうこともあり得るすばらしい施設でございますので、 ぜひ県が空港を活用して誘客、 来客、 そのためにぜひ御協力頂きたいと思います。
 次に、 牧之原地域周辺の道路整備についてお伺いいたします。
 日本一の大茶園が広がる牧之原台地を中心とした牧之原地域周辺は、 国道一号、 東名、 新東名高速道路が東西を貫き南には重要港湾である御前崎港を抱え東には富士山静岡空港を擁するという我が県の陸・海・空の交通ネットワークの命運を握る極めて重要な地域であることは論をまちません。 しかしながら歴史的背景や地理的事情から台地より南には鉄道の駅がなく、 地域住民は長年自家用車や路線バス等で移動を余儀なくされてきました。 三十三年前の富士山静岡空港の建設地決定の際には必須条件とされた東海道新幹線の空港新駅も昨今のJR東海とのあつれきもあり実現の見通しが全く立たなくなりました。
 県は、 来年夏に実現する中部横断自動車道の開通を見越して山梨県等のいわゆる山の洲々くにぐにとの観光や産業の交流に積極的で山梨、 長野方面から空港までが高速道路等で一気につながるなど他県からのアクセスは着実に強化されています。
 一方、 牧之原市沿岸部では地域振興の核となる先ほどのウエーブプールの整備が進んでおり、 周辺では都市計画道路静波一号線の幹線の整備が無電柱化と併せて令和五年度の完成を目指し進められているものの、 牧之原台地から沿岸部にアクセスする道路網は脆弱で、 さらに整備を推進していく必要があります。 中でも空港の北側に位置し新東名や国道一号と空港とを接続する国道四七三号金谷相良道路U期工区、 空港の南側に位置し志太地区と榛南地区を結ぶ幹線ルートであり空港へのアクセス道路である県道吉田大東線南原工区の早期整備はアクセス性の向上により沿岸部への誘客にも大きく寄与することから地域の発展に不可欠と考えます。
 また、 いずれの道路も万が一の浜岡原子力発電所の原子力災害や津波等の複合災害において迅速な住民避難を行うための避難ルートとしての役割を果たすことになります。  そこで、 台地から沿岸部へのアクセス性を向上させる国道四七三号金谷相良道路U期工区及び県道吉田大東線南原工区の整備の進状況と今後の見通しについてお伺いします。
 次に、 TNRによる地域猫活動の推進についてお伺いします。
 犬猫の殺処分を減少させる取組は全国各地で進められており、 その数は年々減少しています。 本県においても平成二十四年度には犬が六百三十八頭、 猫は四千二百六十八頭が殺処分されていましたが、 昨年度は犬四頭、 猫七百十五頭と大幅に減少しました。 殺処分数を減らすためには飼い主による終生飼育やみだりに繁殖しないように措置する等動物の適正な管理が社会に根づくことが必要です。 現在施設整備の計画が見直されている動物管理指導センターは命をつなぐ施設に転換し、 こうした意識を啓発する拠点となることを期待しています。
 しかし、 ここで猫の状況に目を向けると残念ながら殺処分数は下げ止まりの傾向が見られ、 昨年度は初めて前年度を上回る結果となりました。 今後は殺処分の大部分を占める飼い主のいない猫への対応が重要と考えます。 県ではこの飼い主のいない猫を減らすための取組として一旦猫を保護し不妊去勢手術を施し元の場所に戻す、 いわゆるTNRによる地域猫活動を推進していると聞いています。
 私の地元である吉田町に、 飼い主のいない猫の保護活動を行っている吉田キャッツというボランティア団体があります。 大人の猫にはTNRを実施し地域に戻せない子猫等は毎週土曜日の決まった時間に近所のスーパーの駐車場で譲渡会を開いて里親を見つける等地道な活動を続けています。 吉田町では町に登録した団体が雄は一匹一万円、 雌は同二万円を上限に全額補助を受けてTNRを行っており、 そのおかげで過去五年間に千頭もの飼い主のいない猫が手術を受けることができました。
 一方、 私の住む牧之原市ではこうした保護団体がございません。 海岸や公園には特に多くの猫が集結して繁殖し悪臭やふんなど地域住民から苦情が続出しております。 牧之原市の規定では市内に在住または在勤の方が市が指定する獣医師さんに去勢・避妊手術を依頼した場合にのみ獣医師さんに直接手術代の六割または雄五千円、 雌一万円のいずれか少ない額を補助するルールになっています。 つまり個人の市民が自分の飼い猫でない猫の手術費用の四割を自腹で負担してくださっているというわけで、 金銭的にも精神的にも大変な負担になっていると聞いています。
 このように、 県内各市町の助成制度はTNRの支援にはなっているものの、 地域や自治体によって内容に大きな差があり不公平感は否めません。 またTNRによる地域猫活動は環境省が飼い主のいない猫の頭数削減に効果ありと認め官民挙げて一層の推進をと方向性を示している一方で、 様々な立場の方や地域において十分に理解されていないように感じます。
 そこで、 県として地域における飼い主のいない猫に向けた取組であるTNRによる地域猫活動を今後どのように推進していくのか、 所見を伺います。
 次に、 高収益作物の導入を図る水田の基盤整備について伺います。
 近年、 ライフスタイルの変化や食の安全・安心への関心の高まりなど外食やコンビニのお弁当などの中食をはじめ国産野菜に対する消費者ニーズが高まっています。 またコロナ禍においては一部輸出国による穀物輸出規制により諸外国からの安定調達に不安が生じ、 国内で安定的な農業生産に向けた生産体制の強化が求められています。
 本県では、 温暖な気候を生かした露地野菜等の高収益作物が生産されており東京都中央卸売市場において冬レタスは全国一位の出荷量を誇るなど中食等の加工、 業務用需要が増加傾向にあると聞いています。 私の地元である牧之原市や吉田町では水田の裏作として冬レタス栽培が盛んで、 古くは昭和四十四年に冬レタスの野菜指定産地に指定され今では県を代表するレタス産地に成長しました。
 本地域では、 お茶と水稲の複合経営を行う農家が多い中、 近年の茶価の低迷を踏まえ年間を通して収益を得ることができる水田の裏作を利用した営農形態は所得確保の面でも有効です。 水田における野菜の栽培は特に排水対策が必要不可欠であり品質や作業性の向上、 新たな作物の導入を図ることができる基盤整備はとても重要であると考えております。 国産野菜の消費ニーズが高まりを見せる中、 安定的な生産体制を確立し本県農業の競争力を強化していくためにもレタス等の高収益作物の生産拡大に向け県が今後どのように基盤整備に取り組んでいくのかを伺います。
 最後に、 県立高校の長期計画と魅力化についてお伺いします。
 私の母校の静岡県立榛原高等学校は、 今年創立百二十周年を迎えました。 一九〇〇年に明治三十三年にかつて大堰川と呼ばれた大井川の南に榛原郡吉田村立堰南学校として開設しました。 川勝知事は御存じかと思いますが、 この堰南学校を開校するに至った資金はあの坂本龍馬を京都の近江屋で暗殺した今井信郎その人でございます。
 翌年、 志太榛原地区では初めて県内五番目の旧制中学校榛原郡立榛原中学校となって以来地域を代表する進学校として百二十年の歴史を刻んできましたが、 昨今は急激な少子化、 過疎化、 そして近隣地区の私学の台頭で生徒数も減少の一途をたどっております。 折しも県教育委員会が十一月四日に発表した令和三年度の県内公立高校生徒募集においては全県で前年に比べ公立学校の学級数が二十八学級、 千百二十人もの大量の定員減となりました。 少子化や人口減少が進む中で、 もはや県立高校の再編は時代の流れであり仕方がないのかもしれません。
 静岡県では、 本年のコロナ禍によりこの先確実になる財源不足に対応し六つの県立施設の整備計画の見直しを公表していますが、 県立学校等の長寿命化老朽校舎建て替えもその一つに入っております。 今年三月の段階では県全体で百二十五棟の建て替えや長寿命化工事の必要性が公表されていたにもかかわらず、 この秋には県の資料を基に校舎建て替えは将来の県立高校の在り方を踏まえる必要があるため次期の高校長期計画を前倒しして検討、 策定する、 同計画策定までの間、 新規建て替えの着手を年間五棟から四棟に減らすと報じられ全県で波紋が広がっています。
 想定外のコロナ禍を抜きにしても施設の設備は計画的に行うものであり、 すぐには建て替えられないものということは私も十分理解しておりますので、 私は地域の将来を担う子供たちのために学校内外の教育資源を最大限活用し各高校の魅力を増す、 魅力化を進めることが今後最も重要なことではないかと考えます。
 そこで、 これからの地域に根差した県立高校の魅力化に向けた方策について県教育委員会の所見を伺います。 以上、 答弁を求めます。
○議長 (山田 誠君)  長繩交通基盤部長。
○交通基盤部長 (長繩知行君)  牧之原地域周辺の道路整備についてお答えいたします。
 県では、 東名高速道路などの東西軸と富士山静岡空港及び御前崎港を結ぶ道路ネットワークを強化するため南北軸となる地域高規格道路金谷御前崎連絡道路の整備を重点的に推進するとともに、 富士山静岡空港の利便性向上に資する牧之原地域周辺の道路整備を進めております。 現在整備中の国道四百七十三号金谷相良道路U期工区は南北軸を形成し空港と国道一号を結ぶ延長三・三キロメートルの道路であり、 これまでに本線の橋梁七橋を含む二・八キロメートル区間で工事に着手しております。 この完成により本県中西部の内陸部から御前崎港方面へのアクセスが向上し物流や地域間交流の促進などの効果が期待されることから、 引き続き一日も早い供用を目指し着実に工事を進めてまいります。
 また、 県道吉田大東線南原工区は東名吉田インターチェンジ周辺から空港周辺へのアクセスを向上させる延長一・七キロメートルの道路であります。 このうち島田市内の〇・四キロメートル区間は今年度用地取得が完了をし来年度の供用開始を目指して工事を進めており、 牧之原市内の一・三キロメートル区間につきましても今年度から本格的に用地の取得を進め来年度には一部の工事に着手してまいります。
 県といたしましては、 牧之原台地を中心とする周辺地域におきまして引き続き関係市町と連携し陸・海・空のネットワークを強化する道路整備を着実に前進させ当地域の発展と安全・安心の向上に努めてまいります。 以上であります。
○議長 (山田 誠君)  藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長 (藤原 学君)  TNRによる地域猫活動の推進についてお答えいたします。
 静岡県動物愛護管理推進計画に基づき犬や猫の飼い主への終生飼育の啓発や新しい飼い主探しなど動物愛護の取組を推進していくためには、 ボランティア団体や市町との連携が重要であります。 特に飼い主のいない猫につきましてはTNRによる地域猫活動によりまして、 殺処分することなく地域住民との共生を図るためボランティア団体等が行う不妊去勢手術活動に対する助成制度の創設を市町に働きかけてきた結果、 昨年度までに全市町で制度が導入され猫の殺処分頭数は大きく減少してまいりました。
 また、 県では市町において助成に必要な財源に不足が生じた場合などには県動物保護協会を通じて支援を行っております。 今後はTNRによる地域猫活動をより効果的に推進するため地域住民やボランティア団体、 市町などの様々な立場の方々に向けて具体的な実施方法を記載したマニュアル等を用いた啓発や助成制度を活用した取組事例を紹介するほか、 ボランティア団体がない地域につきましては県動物保護協会を通じて近隣の団体を紹介してまいります。
 県といたしましては、 保健所が調整役となって地域住民やボランティア団体、 市町が連携して活動できる環境づくりに努めるとともに、 県民の皆様に動物愛護に対する啓発を行い動物の命が尊重され人と動物が共生できる社会を築いてまいります。 以上であります。
○議長 (山田 誠君)  志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長 (志村信明君)  高収益作物の導入を図る水田の基盤整備についてお答えいたします。
 首都圏における県産野菜の旺盛な需要を受け供給力強化が求められる中、 露地野菜等の高収益作物の生産拡大を図るためには汎用性が高く裏作導入が可能な農地の拡大を戦略的かつ迅速に進めるとともに、 意欲ある担い手の規模拡大や新たな企業的な経営体の参入を促進する必要があります。 このため県では市町やJA等と連携し水田の排水改良により野菜の高品質化と生産拡大を図る基盤整備プロジェクトに取り組んでおります。
 具体的には、 中遠・志太榛原地域の水田地帯におきまして排水性や土質状況等から暗渠排水の整備により迅速にレタス等の裏作導入が可能な区域約三千四百ヘクタールをGISにより選定し、 投資効果が高い二十七地区の八百六十ヘクタールを先行いたしまして導入作物に応じた整備手法を検討しながら順次事業化を推進しております。
 また、 基盤整備を契機として意欲ある担い手や企業的な経営体などに農地を集積・集約するため農地中間管理機構や市町等と連携して貸出し可能な農地のリスト化や情報発信、 地域の相談体制などの強化などに取り組んでまいります。
 県といたしましては、 本プロジェクトを通じて高収益作物の生産拡大につながる基盤整備を迅速に進めることにより本県農業の競争力を強化してまいります。 以上であります。
○議長 (山田 誠君)  木苗教育長。
○教育長 (木苗直秀君)  県立高校の長期計画と魅力化についてお答えいたします。
 県教育委員会では、 平成三十年三月に策定した県立高等学校第三次長期計画に基づき時代とともに変化する社会のニーズに対応した魅力ある学校づくりを推進しております。 推進に当たりましては地域の実情に応じた多様な学びの場の確保や充実を図り、 地域人材や特色ある教育資源を積極的に導入することとしており各校で様々な取組が進められております。
 このうち榛原高校では、 静岡大学や牧之原市、 地元企業とコンソーシアムを形成しまちづくりに関する課題解決型学習や企業訪問等のフィールドワークを実施し地域に対する理解とグローバルな視点を持ち将来地元に貢献できるリーダーの育成に努めております。
 現在、 中央教育審議会におきまして新しい時代の高等学校教育の在り方に関する検討が行われておりまして、 その中で普通科の特色化が求められております。 特に新たに示された地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科では地域における人材育成の中心的機関として地域社会に根差し地域の課題や魅力に対応した学びが必要とされておりまして、 榛原高校の取組はこの考えを先取りしているものであります。
 今後、 こうした地域社会の様々な教育資源を活用した探究的な学びをさらに各学校に広げていくことが重要だと考えております。 このため榛原高校での実践例を基とした地域人材育成のカリキュラム開発を支援するとともに、 報告会の開催を通して各学校への普及を進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、 地域社会や企業等との連携をさらに強化し地域の課題解決に向けた教科横断的な学びに取り組むなど各学校の特色化を図り地域に根差した高校の魅力化をより一層推進してまいります。 以上であります。
○議長 (山田 誠君)  大石健司君。
        (五番 大石健司君登壇)
○五番 (大石健司君)  それぞれ御答弁ありがとうございました。
 私が期待していた以上に御丁寧で温かい御説明を頂きまして、 感謝いたします。 それぞれ要望いたします。 要望を四ついたします。
 道路整備、 着実に進めるという長繩部長の発言に心躍ったわけでございます。 少しずつでも構いませんのできっちりと約束どおり着実にお願いします。
 TNRによる地域猫活動についてですけれども、 命の大切さ、 昨今DVやいじめ様々な問題が起こっておりますけれども、 ペット、 身近なペットを大切にして大事にしていく育てていく、 そして放置しない捨てない、 これは一番大切なことだと思います。 子供の情操教育にも大切ですし命の大切さを教える大人が、 そして県が主体となってやっていく必要があると思いますので、 ぜひ先ほどおっしゃっていただいた取組を着実に進めていっていただきたいと思います。
 水田基盤整備については、 コロナ禍の中での消費低迷と台風が来なかった今年の好天で逆にたくさん取れ過ぎて価格破壊が起こっているというニュースを二、 三日前に耳にしました。 一生懸命県が援助していても基盤整備をしていても取れ過ぎちゃって価格が暴落して農家が困ってしまうようでは困りますので、 その辺のバランスの取れた、 どうやってやっていくかということはまた考えると思いますがよろしくお願いします。
 高校についてですけれども、 木苗教育長、 本当にありがとうございました。 榛原高校をはじめ地域の県立高校は本当に頑張っています。 何十年も全く変わらない校舎、 施設はそれはそれはまた大変でございますので、 またそちらのほうの建て替えのほうもよろしくお願いいたします。 これで私の質問を終わります。
○議長 (山田 誠君)  これで大石健司君の質問は終わりました。 (拍手)
 議事の都合により休憩します。

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