本会議会議録


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令和3年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 川勝県政三期十二年の課題について
 (1) お茶
 (2) 知事直轄組織
 (3) 地域外交
 (4) ハコモノ行政
 (5) 静岡ブランドの低下


○議長(山田 誠君) 次に、五十九番 天野 一君。
       (五十九番 天野 一君登壇 拍手)
○五十九番(天野 一君) 私は、自民改革会議所属議員として県政の諸課題について通告に基づき一括質問方式で質問をいたします。
 知事は就任以来、ポスト東京時代の新しい日本づくりの先導役を本県が担い地方創生のモデルとなるよう地域づくりを進めると発言してきました。川勝県政三期十二年を検証してみたいと思います。
 初めに、お茶について質問いたします。
 茶の都、食の都、太陽の都、森の都、花の都等々のネーミングを聞くたび、知事は本当に静岡県のことを理解しておられるのかと疑問に感じました。今やお茶の生産現場、流通現場は想像以上に悲惨な状況にあります。来年には全国お茶生産量一位の座が静岡県から鹿児島県に交代する公算が高くなってきております。
 なぜこのような状況になってしまったのでしょうか。後継者不足、天候不順、放射能による風評被害等々の要因もあるでしょうが、私は知事が静岡茶の歴史的背景や環境要因を理解していないことから今日の現状になったと一つの原因を痛感しております。
 静岡県がお茶の生産日本一の座を維持することができたことは、気候がお茶栽培に適している、第二は大量消費地東京が近くにあること、三番目に明治維新後、旧徳川幕臣のお茶畑の開墾等の歴史があります。いいお茶が集まるところには製茶問屋が集まります。製茶問屋が多く集まるところにはさらにたくさんのお茶が集まります。それに伴い茶袋、茶箱、茶缶などを作る茶関連業者、製茶機械、冷蔵冷凍機のメーカーなども発展しました。静岡茶は生産地かつ集散地であることで日本一になったのです。
 知事は、「山は富士 お茶は静岡 茶の都」と呼ばれるにふさわしい茶の都づくりを推進してまいりました。その結果生産・流通の現場より文化的事業に多く投資をしてきました。その一つはふじのくに茶の都ミュージアム、第二は世界お茶まつり、第三は世界緑茶協会。静岡県の生産・流通業者を二の次にして、静岡茶の振興につながる事業ではなかったのです。
 知事は、お茶にはお公家さんや茶道に代表されるみやび文化のイメージがあるかもしれませんが、静岡茶は京都の茶とは対照的に土とお日様の匂いの地域であります。京都の二番煎じの感がする茶の都の発想では日本一転落は当然であります。
 そこで、現在の静岡茶に対して知事の所見を伺います。
 次に、知事直轄組織について伺います。
 知事直轄組織は、平成二十八年度に部局横断的な課題に対して知事のトップマネジメントを最大限に発揮させ意思決定を迅速化するために設置され、翌二十九年度には政策企画部と知事の特命事項を担当してきた知事公室を廃止し知事戦略局を新設しました。そして三十年度には予算編成を担当する財政課を経営管理部から切り離し知事直轄としました。全国四十七都道府県で財政課を知事直轄にしたのは静岡県が初めてであります。
 知事直轄組織の中に政策と財政と統合した組織を併せ持つ編成は全国的にも見当たりません。県の行政当局は県民より知事の意向を重視するようになったのです。言い換えれば県民不在の行政に変化したのです。
 当時知事は、政策推進と予算を一体化したほうがお金が生きると説明されました。政策、予算にスピード感を強調しました。今までは、知事の外側に位置していた部署が重要な機能を果たすことによってバランスが取られていました。それを知事直轄の部署に集約するというにはスリム化と言えば聞こえはいいですが権力の集中化にほかなりません。権力は様々に分散されて機能を十全に果たすものだと考えます。
 また、知事の言う現場主義は知事だけのもので職員が現場主義になっていないのです。民主主義は時間がかかって効率が悪いという欠点があります。知事は、この欠点を克服して決定できるようにするためには権力の集中が最も効率的であると信じているのかもしれません。
 私は、現在の知事に対する忖度政治がはびこりつつある風潮に強い危機感を持っています。職員が知事の顔色ばかりをうかがい、公のため県民のために尽くすことをおろそかにすることにつながります。知事は、今までもこれからも静岡県において忖度はないとおっしゃっていますが、元来忖度を想像させるような政治姿勢、制度はあるまじきものです。
 県の職員は県民の声より知事の声を聞く体制になっているのです。その結果平成二十三年四月から令和三年一月末まで知事部局の職員の自殺者数は合計二十人。毎年職員が自死されているのです。しかしこのことについて知事は県民に対して一言もコメントがありません。
 そこで、知事のトップマネジメント機能を強化するために行われた組織改編の結果、課題、自殺者の数を含めてどう考えているかお伺いします。
 次に、これまた知事直轄である静岡県の地域外交についてお伺いします。
 平成二十三年度、国際交流局国際課は地域外交局地域外交課となりました。前年の国際課の職員数は十人、予算は一億六千九十六万円、今年度は職員二十三人、予算は駐在員の体制見直しにより二億七千八百五十万円、ここ数年は三億二千万以上になっております。人員も予算も倍以上になっています。多くの自治体は二〇〇〇年代になって対外的な国際交流に急ブレーキをかけたのですが、知事は全く逆を選択しました。しかし残念ながらこの十年の県の地域外交は友好協定締結と覚書の繰り返し、地域外交を一種の華やかなイベントとみなし事業がつつがなく行われることを成果と考え安易な姿勢が続き、その成果を検証する努力を怠っています。
 現在の地方自治体の国際化政策には地域社会の活性化につながるものでなくてはなりません。例えば静岡県は日本有数の工業県であり、また農業県でもあります。県内企業では多くの外国人が働いております。その意味で、外国人受入れ先進県を標榜することなどの地道な活動が静岡として望ましい国際化政策ではないでしょうか。もし県が外国人住民を自らの地域に進んで受け入れることを標榜しその上に積極的な姿勢を示せば、それは海外からの投資や観光客の誘致においても大きなアドバンテージになります。なぜなら、他の地域は観光客の受入れについては歓迎の姿勢を示していながら外国人の受入れを推奨するわけではないのです。
 今こそ発想を大きく転換することが本県にとっても希望を生み出す力になると考えますが、 知事の所見を伺います。
 また、知事は民間人をはじめとする外部人材の活用について熱心であります。静岡県リーディングアドバイザー二十三人、静岡県補佐官四人を任命しております。地域外交の分野でも平成二十三年から対外関係担当補佐官を任命していますが、これまでどのような成果が現れているのかお伺いいたします。
 次に、ハコモノ行政について伺います。
 知事が直轄管理する組織に県政の中枢機能を集約することにより、権力の集中による上意下達の組織風土や独断専行的な財政運営などの弊害が生まれているのではないでしょうか。その最も象徴たるものが日本平夢テラス、このはなアリーナ、富士山世界遺産センター、富士山静岡空港ターミナル、ふじのくに茶の都ミュージアム、「プラサ ヴェルデ」等々の箱物であります。特に日本平夢テラスは知事の私見に満ちたものであると考えます。
 日本平が有名になったのは昭和二年五月、東京日日新聞により日本新八景と日本百選の選定が行われ、日本平は平原の部で入賞したことで、一躍日本平が富士山景勝の地として全国に知れわたったのであります。この入賞に大いに貢献したのが有度村草薙青年団や現在の静岡雙葉学院高等学校であります。草薙青年団の趣意書には登場してくる人があります。それは徳富蘇峰であります。明治から昭和にかけての日本のジャーナリスト、思想家、歴史家、評論家で知られております。静岡新聞の創設者大石光之助氏は蘇峰の門下生であった関係もあり何かと静岡県と関係が深いのです。
 こうした歴史的事実を差し置いて、知事は中曽根康弘元首相と哲学者の梅原猛氏が揮毫した石碑を建てられました。中曽根元総理大臣は旧制静岡高校出身、梅原氏は富士山の世界文化遺産登録に貢献したとのことですが知事の京都時代の恩師でもあります。また石庭も京都龍安寺をイメージして作るよう知事が指示したようであります。ここは静岡県です。知事の郷土愛は静岡ではなくて京都に向けられているのでしょうか。
 また、県と静岡市が進めていた東静岡駅北口多目的アリーナ建設計画を知事は突然変更してこのはなアリーナを現在地に建設しました。結果十分な議論が尽くせぬままスタートしたあまり、県民から観客席が少ない、駐車場が少ない、動線を誘導しにくい等の意見が寄せられております。一般的な多目的のアリーナは定員一万人から二万人前後で、コンサートなどのイベント会場として日本ではこの規模の会場をアリーナクラスと呼んでいます。
 しかし、このはなアリーナは県民のアマチュア競技大会を想定した体育館であることから大規模なプロスポーツ興行やコンサート、見本市などの利用に適した施設にはなっておりません。この定義では、このはなアリーナは厳密にはアリーナとは言えるものではありません。知事は、県民は草薙新体育館はアリーナと誰もが思っていると述べたことがあります。どういう経過でアリーナと体育館という目的も用途も全く違う別物になってしまったのか今でも不思議でなりません。
 ところで、これら一連の建物は隈研吾氏、内藤廣氏、坂茂氏など日本でも有数の建築家の設計になっております。私は前から有名な建築家の是非を指摘してきています。県民は、こんなすごい人たちに設計してもらって光栄ですと感じているのでしょうか。これらが本当に県民ニーズに見合ったものになっているでしょうか。私には建築物や建築プロジェクトが知事の個人的な思考で進められているのにすぎないと思えてなりません。
 知事が、本当に静岡県のため、そして静岡県民のことを思うのであれば既に地位の確立した建築家より地元設計事務所を採用するべきだと思います。なぜなら地元設計事務所の成功は県内全域に有形無形の財産を未来に残していくからであり、県民の貴い税金が投入され多くの人々に長く愛され利用される公共の建築物では有名建築家が表現する奇抜なデザインではなく、例えば維持管理のしやすい利用者のニーズに合った使い勝手など県民目線に添った在り方が大切になると考えますが、建築プロジェクトに対する知事の所見を伺います。
 最後に、静岡ブランドの低下についてお伺いします。
 知事の政治手法は、アドバルーンを上げ外部から著名な人を招く審議会で賛意を形成し知事の夢を実現する。ではこの手法が通用しないときどうするか。常に自分が有利な方向へどんどん論点をすり替えていくのが知事の常套手段であります。私は改めて本会議に提出されたこの十年の知事提案を読み返してみました。
 現在の静岡県は超高齢化社会、人口減少の時代を迎え経済だけでなく医療、福祉、教育全ての分野に新しい制度設計が求められています。知事の提案は派手なパフォーマンスとイベントばかり、肝心の県民の生活がおざなりになっています。しかも県内に不均衡、不公平感を生んでいます。
 JAL搭乗率補償問題をはじめとして全国学力テスト、菅総理大臣への誹謗中傷の問題、そしてリニア。知事は常に物言う知事を標榜していらっしゃいます。ごねる知事、ごねる静岡県の印象を全国民に植え付け、インターネット上で静岡県民を誹謗中傷する書き込みが相次いでいます。
 このような現状について知事の所感をお伺いします。
 以上で質問は終わりますが、先ほど岡本議員からもこの三月で退職される皆さんにお礼の言葉と激励を申し上げましたが、私からも退職される皆さんに自民改革会議を代表して感謝とお別れの言葉を申し上げます。
 退職される皆さんの多くが昭和三十五、六年の誕生とお伺いしました。昭和三十五年は当時の皇太子殿下、現在の上皇上皇后両陛下の長男として今上天皇が御生誕し、翌三十六年には伊豆急行が全線開通するなど国内、県内でも明るい話題も多かったです。
 一方、三十五年五月チリ地震の津波により県内でも百八十九戸の家屋が浸水、水産・漁港施設にも大きな被害が出ました。七月には静岡地震が発生し死者九名、家屋の全壊三百六十戸余りと自然災害の多い年でもありました。
 その皆様の多くが県の職員になられた昭和五十年代後半は、ソニーが世界で初めてCDプレーヤーを発売、電電公社がカード式公衆電話を導入した時代です。情報通信技術はその後飛躍的に進化し県の仕事も大きく変わりました。バブル景気とその崩壊、昭和から平成そして令和と激動の時代をくぐり抜け本県がここまで発展したのは皆様の御尽力によるものと本当に感謝申し上げます。
 そしてこの一年、新型コロナウイルスの対応で我々議員も県の役割の重要性を再認識しました。本来であれば第二の人生に思いを巡らす一年のはずが、ままならぬままここまできてしまった方も多いのではないでしょうか。
 最後に、皆様には県庁職員として培った知識と経験により豊かで充実した人生を切り開いていかれることを確信し、お体を大切にしてお過ごししてくださるよう切にお願い申し上げ感謝とお別れの言葉といたします。ありがとうございました。以上、答弁をお願いします。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 天野議員におかれましては、私に対しては極めて厳しい御指摘とは裏腹に、この三月をもって退職する県職員に対しまして温かいお言葉を賜りまして、彼ら県職員一同に成り代わりまして、ありがたく厚く御礼を申し上げるものであります。
 天野議員にお答えいたします。
 私の県政三期十二年の課題についてのうち、 お茶についてであります。
 生産・流通の現場を二の次としたという御指摘ではありますが、私は何事も現場主義を大切にしております。現場主義の基礎は何かというと地域への愛であります。地域の自然、風土、文化・歴史、そしてそこで営まれている産業、そしてそこで生きている人々、この人々への愛着なしに現場主義というものは成り立ちません。現在この点で茶の消費動向、消費行動の大きな変化に対応した生産・流通現場の変化を進めることが極めて重要であるという認識の下に取り組んでまいったわけでございます。
 議員の御認識のとおり、本県は先人の大変な御努力によりリーフ茶に適した高級茶の生産を中心として生産力とブランド力を高め、あわせて本県が茶の集積、流通の拠点となることで拠点性、中心性を維持してまいりました。生産量、流通量、一人当たりの消費量が日本一であることによって茶の都というわけで、これは京都とは関係ございません。
 そしてまた、例えばこの静岡市はホビーの町と言われます。これを静岡市は、ホビーの世界首都というふうに言っております。あるいは仙台が杜の都という、あるいは北九州市があの環境汚染があった後はきれいなまちづくりをされて環境首都と表明されていると同じです。食の都というのも食材が日本一多いからであります。太陽の都というのも日照時間が日本一多い県であるからであります。決してその言葉で遊んでいるわけではありません。
 しかし、近年お茶に関しましては消費行動は大きく変化したのは御存じのとおりでありまして、変化として最も分かりやすい指標値は一世帯当たりの茶飲料とリーフ茶の支出額の変化であります。約二十年前の平成十二年はリーフ茶が約六千八百円、茶飲料が約三千七百円であったものが令和二年はリーフ茶が約三千八百円、茶飲料が約七千六百円と完全に逆転した形となっております。
 このような消費行動の劇的な変化に対応し生産側も転換をすることが必要であります。しかし平地での野菜の露地栽培とは異なりまして、本県は起伏のある畑で茶の栽培が行われているところが多いのは御案内のとおりであります。したがって生産構造をすぐに変えることは容易ではありません。
 茶農家は、消費の劇的な変化に対応し必死で生産構造を転換する努力をお続けになり、県もその取組を支援、促進してまいりました。例えば平成二十九年度から茶産地構造改革事業によりまして大手飲料メーカー等との契約生産に向けた製茶機械の導入支援などを行ってまいりました。平成三十年度からは市町や関係団体と連携して茶園基盤整備プロジェクトチームを設置いたし、主要な茶産地を抱える十五の市町で政策的に基盤整備を働きかける区域を定め重点的に茶園の集積・集約や小規模な茶園の大区画化などに取り組んでおります。
 これらの構造改革や基盤整備には農家の負担も生じてまいります。農家の方々は厳しい経営状況にある中、一定の負担を行い県、市町と共に生産・流通現場の変化、転換を進めておられます。私はこのような農家や流通関係者の取組に敬意を持ち、これからも様々な取組を進めてまいります。
 また、ふじのくに茶の都ミュージアム、世界お茶まつり、世界緑茶協会は三つとも文化的イベントという御理解をお持ちのようでございますが、私はこれらはイベントではなくブランド力を高めるための基盤――プラットフォームづくりであると考えております。ブランド力には中心性、憧れが重要であります。静岡の茶の強みは量的な生産力だけではなく質の高さであります。質の高さは茶葉の品質だけではなく、それをいかにおいしく楽しむかという文化面の質の高さや情報発信力が重要であります。
 ちなみに、茶の都ミュージアムというのは箱物の一つでありますけれども、これの大規模な改修をしたのは学生です。あるいはこのたびオープンいたします農林環境専門職大学と、これを大幅な増築をいたしましたけれども、これを設計したのも学生です。あるいは田子の浦の海浜公園のドラゴンタワー、これを設計したのも学生です。そしてまた御殿場の馬術スポーツセンターの貴賓棟を設計したのも学生です。
 ついでに申し上げれば、世界遺産センターの設計は、コンペを行って選ばれたのが坂茂さんでございましたが坂茂の坂という字を「さか」と呼ぶのか「ばん」と呼ぶのか私は知りませんでした。夢テラスもこれは公募です。夢テラスという名前も公募です。愛称です。このはなアリーナはこれは総合体育館です。それを愛称を求めました。全国から三千以上の応募がありました。それに対しまして県の出身者の審査員を大半とする、三分の二を占める方々が選ばれてこのはなアリーナとなったわけであります。グランシップと同じで元は別の名前がございます。正式な名称、このはなアリーナは人々の、また地元の人たちがそれにふさわしいものとしてつけたというものなのであります。
 ともあれこのふじのくに茶のミュージアム、新しく面目を一新しました。若者の愛情が籠もっている、その茶のミュージアムなどにおきましてお茶の魅力発信に努めるとともに、昨年度からオープンイノベーションの手法で静岡茶のブランド価値を高めていくChaOIプロジェクトを開始したところであります。チャ・オープン・イノベーションと、このプロジェクトであります。
 こうした需要の構造変化に対応した生産転換や先端技術を活用した生産基盤の整備、新たな需要創出に向けた官民を挙げての取組を着実に推進し、長い歴史や伝統文化に裏打ちされた茶の都静岡のお茶のブランド力をしっかりと守りながら生産者等の経営の安定と本県茶業の再生に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、静岡ブランドの低下についてであります。
 私は、知事に就任して以来現場に赴き現場から学び現場に即した政策を立てると、現場主義を基本姿勢としてまいりました。現場で伺う県民の皆様の声を政策の柱とするというのが根本であります。広聴会も、これは広く人々から聞くということで私の主張するところではありませんで、これも年五、六回やっておりますのでもう恐らく七十回ぐらいはやっていると思います。それ以外に静岡県下、三千回以上回っているということでございます。
 こうした現場で伺う県民の皆様の声を政策の源といたしまして、職員や専門家の御意見にも耳を傾け先例にとらわれることなく積極的に現場に即した政策を打ち出しその実現に全力を注いできたわけでございます。また独断にならないように広く会議を興し万機公論に決すべしという、この広く会議を興すということはなかなかできませんとしても全て万機公論に決すという姿勢は貫いておりまして、いわば大学のゼミナールみたいなものであります。ですからどなたも気軽に発言ができるというのが現在の、私は少なくとも私の知る県庁の現場であるというふうにそれを誇りに思っているわけであります。
 物言えば唇寒しというと反対の形になっていると。何か悪いこと言ったから何か懲罰人事で飛ばすとかやったことは一度もありません。もしいらしたならばですね、それは本当に伺いたいぐらいであります。そういうことはいたしません。
 そういうことで、こうしたこの万機公論に決すという姿勢の下で検討の過程に係る会議は原則誰が聞いていても構わないということで全面公開とし、オープンで闊達な議論を深めております。ただ公益のためになると確信したことにつきましては、 私よりも強い権限とか高い権力といいますか、そういう持っている人に対してへつらわないと、むしろはっきりと物を言うということを、勇気を持たないとそれはできませんが、それを自らの姿勢として貫いておりますことから時に義憤に駆られ発言内容が物議を醸し県議会の皆様にも御心配をおかけしたこと、これは反省しております。
 私の発言が、静岡県だけの利益を求め一方的に主張しているという印象を全国的に植え付けているという御指摘がございました。このような御意見があることは発言の意図が正確に伝わっていないこともありますので、今後とも発言の根拠や背景につきまして丁寧に説明し情報の公開、正確な情報発信に努めてまいりたいと思っております。
  よらしむべしという言葉がありますが、昔の中国のことわざに、それと逆のことをやっているわけですね、全て人々にオープンにすると。なぜかというと人々を信じているからです。そこに立派な方々がいらっしゃることを分かっているからです。ですからどなたに聞かれても構わないという、それが基本的な姿勢であるということでございます。
 ともあれ、発言に当たりましては節義を重んじ礼節を失わないことをより一層心がけてまいります。県議会議員の各位の御支援、御協力を賜りますればありがたく存じます。よろしくお願いしたいと存じます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(山田 誠君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 川勝県政三期十二年の課題についてのうち、知事直轄組織についてお答えをいたします。
 県の組織体制につきましては、行政課題が複雑化、高度化する中、迅速な意思決定と機動的に施策を展開する体制を確保することが重要であります。知事直轄組織の設置により、例えば今回のコロナ禍という緊急事態におきましても防疫から経済対策まで多数の部局にわたる総合的な政策判断を迅速に行うことができたものと考えております。
 地方自治法におきまして、全ての職員は知事の補助機関としてその指揮の下、職務を遂行することとされております。知事直轄組織も条例に基づき他の部と同様に知事の権限に属する事務を分掌する組織の一つとして県民の皆様のために業務を遂行しているところでございます。
 また、職員の自死につきましては、日頃職務に精励していた職員が貴い命を自ら絶たれているということは大変に痛ましい出来事であり深刻に受け止めております。ここに知事と共に深く哀悼の意を表します。
 県といたしましては、このような事案を二度と発生させないためメンタルヘルス対策や風通しのよい職場づくりを進めていくとともに、県政の重要課題に迅速かつ的確に対応できるよう現場の声を聞きながら常に組織の検証を行い見直しに取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長谷川地域外交担当部長。
○地域外交担当部長(長谷川 卓君) 川勝県政三期十二年の課題についてのうち、地域外交についてお答えいたします。
 本県では、国や地域による文化の違いを理解し友好的互恵・互助、善隣外交の精神に基づいて相手国の信頼関係を築いていくことが重要であるとの認識の下、経済、観光、文化、教育など幅広い分野において地域レベルで行う国際交流を推進してまいりました。
 長年の友好関係が構築された中国浙江省との間では、国内の他の地方空港にはない杭州、温州、寧波の三路線十三便の定期便が富士山静岡空港との就航につながりました。またインドネシア西ジャワ州やモンゴル国におきましては現地政府との信頼関係を生かし県内企業が参加する日本語のできる高度人材を対象とした合同面接会を昨年度開催したところ、インドネシアで十七人、モンゴル国では十六人が内定となりました。これまでの着実な積み重ねがこのような成果に結びついております。加えましてコロナ禍におきまして海外に駐在員事務所を置く優位性を生かし、東南アジア各国政府の経済政策や企業支援に関する現地情報の発信等につきまして県内企業からも高い評価を得ているところであります。
 一方、人口減少等により経済成長が鈍化する中、今後も本県の活力を維持、伸長していくためには海外の人材や外国企業を取り込むことが重要であることは議員御指摘のとおりであり、海外とのネットワークや情報を有する地域外交の重要な役割であると考えております。
 このため、地域外交の新たな展開といたしまして世界から選ばれるふじのくにの実現に向け海外の人材や外国企業が求める環境整備の課題を明らかにする調査などを実施し、今後の施策に生かしてまいります。
 対外関係補佐官任命の成果に関しましては、元外交官としての知見や人脈を生かし地域外交基本方針の策定等において適時適切に御助言を頂き地域外交の推進につなげております。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長繩交通基盤部長。
○交通基盤部長(長繩知行君) 川勝県政三期十二年の課題についてのうち、箱物行政についてお答えいたします。
 県有建築物の大部分を占める学校や警察署などの一般的な施設は、利用者ニーズに合った使い勝手や維持管理のしやすさなどを重視して県内の設計事務所を活用し最適な施設の整備に努めております。
 一方、日本平夢テラスなど県を代表する特徴的な施設には際立った存在を印象づけ多くの人々を引きつけるなど多様な要求を高い水準で調和させることも併せて求められます。このため計画段階から様々な御意見等を伺うとともに、県内外の設計事務所からの幅広い提案を外部の有識者を含む選定委員会で審査し施設を整備してまいりました。日本平夢テラスに関する今年度の利用者調査におきましては、外観や使いやすさなどの項目で九割を超える方々からよい評価を頂いており、県民の誇りとなる施設を実現できたものと考えております。
 今後の建築プロジェクトにつきましては、交通基盤部に新設する建築管理局におきましてコストやスケジュール、発注等に関する技術的なノウハウや経験を蓄積して有効に活用する体制を整えるとともに、プロジェクトを所管する部局と緊密に連携して構想から実現に至るプロセスを共有しながら県民の皆様のニーズに合致した施設の整備に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) これで天野一君の質問は終わりました。(拍手)    

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