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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/02/2023

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 世界文化遺産富士山の後世継承に向けた取組について
2 富士山登山者のゴミ対策について
3 観光拠点としての岩本山の活用について
4 新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行後の医療提供体制について
5 高齢者が活躍できる場としてのシニアクラブの活性化について
6 高年齢者の雇用促進について


○議長(中沢公彦君) 次に、六十一番 植田 徹君。
       (六十一番 植田 徹君登壇 拍手)
○六十一番(植田 徹君) 今議会最後の質問者となりました。もうしばらくの御清聴をお願いをいたします。
 私は、自民改革会議の所属議員として当面する県政の諸課題について通告に従い、知事、副知事、関係部局長に一括質問方式にて伺います。
 まず初めに、世界文化遺産富士山の後世継承に向けた取組について伺います。
 いにしえの時代から人々の信仰の対象であり芸術の源泉でもある富士山。その富士山が世界文化遺産に登録されてから今年で十年の節目を迎えました。この十年の間、行政だけでなく地元住民をはじめとする多くの方々の理解と協力の下、関係者が一体となって富士山の豊かな自然や歴史文化の保存と活用に取り組んでこられました。十周年という記念の年を無事に迎えられたことは、ひとえに関係者の皆様のこれまでの努力のたまものであり、その御尽力に改めて敬意を表する次第であります。
 二〇一三年の世界遺産登録決定からちょうど十年に当たる今年の六月二十二日には東京国際フォーラムにて、静岡・山梨県両県と富士山世界文化遺産協議会との共催により関係者が一堂に会して十周年記念式典が開催されました。基調講演やパネルディスカッションを通じ有識者等から富士山の文化的価値の継承や保全管理をめぐる今後の課題について言及があり、将来に向けどう守り伝えていくか議論されました。
 また、七月一日、二日には富士山世界遺産センターの主催により世界の聖なる山と富士山というテーマで国際シンポジウムが開催されました。世界遺産の聖なる山の研究者、保全関係者の方々から富士山を含む山々の歴史、特色、保全管理について発表がありグローバルな視点で世界遺産を守っていくための課題や未来に向けた提言が出されました。
 富士山の世界遺産登録は富士山ににぎわいをもたらしましたが、その反面ごみの投棄や遭難事故の増加などの問題も生じており、登山者数の規制や富士山保全協力金の義務化を導入し来訪者を管理していくべきだとの声も聞かれます。また富士山のオーバーツーリズム等の課題でも富士登山だけでなく周辺の神社や三保松原などの構成資産の価値を知ってもらう取組や麓から富士山を楽しむ仕組みづくりなど将来に向け取り組むべきことはまだまだ数多くあります。
 十周年である今年は県内市町でも様々な記念イベントが開催されるなど大きな盛り上がりを見せており、富士山を確実に後世に継承していこうという機運の高まりを感じております。これらの十周年を記念した様々なイベント等を通して共通して有識者などから聞かれることは世界文化遺産として認められた富士山の文化的価値の重要性を改めて認識し確実に後世に継承していく取組が必要だということです。
 そこで、富士山の世界文化遺産登録十周年を契機として、これまでの歩みをどう総括し今後、世界遺産富士山を将来に向けどのように守り後世へ継承していくのか、県の考えを伺います。
 次に、富士山登山者のごみ対策について伺います。
 その優美な風貌は日本人のみならず外国人からも日本の象徴として広く知られている富士山。私の初登頂は小学校の時でしたが当時は二合目からの登山でした。アクセス道路も次々に整備され一九六四年に富士スバルライン、一九七〇年に富士山スカイラインが開通し多くの観光客や登山者が簡単に車で富士山五合目まで行くことができるようになり年を追うごとにごみ問題も大きくクローズアップされてきました。
 当時の記録や写真を見ると登山道沿いは登山者が捨てた空き缶などのごみが散乱し、まさにごみの山のようでした。有名なイタリアの登山家であるラインホルト・メスナーが一九七六年に富士山に登り、その時の感想をごみの山と話したことから、その後海外の登山家の間で富士山はごみの山と話題になったと言われております。
 このような中、新聞などで登山道沿いや山小屋周辺等に大量のごみが放置され問題になったことから、私は平成二十八年十二月の県議会定例会で富士山のごみ対策について質問いたしました。その結果、地元の自治体や地域の関係者による富士山一斉清掃やふじさんネットワークの活動などにより、五合目以上の登山道沿いではほとんどごみが見られない状態まで改善され見違えるほどきれいになり世界遺産にふさわしい地域の誇りの富士山に蘇りました。
 しかし、今年の八月十七日の新聞報道で、富士登山者増、ごみも大幅増という見出しで、登山者数がコロナ禍前を上回り、それとともにごみの投棄も大幅に増加、特に外国人登山者等のマナー周知の課題が浮き彫りになった旨が掲載されました。地元の富士山を愛する私といたしましては非常に残念で速やかに対処すべきものであると感じております。
 富士山は世界有数の観光地であり世界遺産登録後に多くの外国人旅行客が訪れていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響でこの三年間はインバウンド需要が急速に冷え込んでいました。しかし今年八月から中国人旅行者が解禁になるなど徐々にコロナ禍前の状況に戻りつつあり、これから多くの外国人旅行客が富士山周辺に訪れ周辺地域の活性化につながることが期待されます。
 その一方で、外国人旅行者はごみのポイ捨てや割り込みを行うなど日本では当然守られるべきマナーを認識できていない部分も見られるようになりました。富士山には登山道沿いにも山小屋周辺にもごみ箱がありません。日本人にとってはごみの持ち帰りは当たり前ですが、海外から来た登山者はごみを持ち帰るという文化がないことから登山道沿いに捨てていることもあると思います。
 平成十年に制定した富士山憲章では、富士山の環境保護のため一人一人が積極的に行動しようと明記されています。一人一人が富士山のごみ削減の意識を持ち世界中の人々を魅了する美しい富士山を引き継いでいく必要があります。
 そこで、今年の富士山におけるごみの現状と登山者のごみ対策について、県の見解を伺います。
 次に、観光拠点としての岩本山の活用について伺います。
 私の住む富士市には、日蓮聖人が立正安国論の構想を練った寺としても知られる日蓮宗霊跡本山實相寺や、千年余前に山伏たちが田子の浦海岸や潤井川の支流凡夫川で水ごりを取り海抜ゼロメートルから富士山に登ったみそぎの道場が起源であり日本三大だるま市に数えられる毘沙門天大祭でも有名な香久山妙法寺など歴史的にも価値がある観光資源が豊富にあるほか、富士山の眺望にも優れ市内にはビューポイントが多数存在します。
 特に、富士市の南西に位置する標高百九十三メートルの岩本山山頂にある岩本山公園は、雄大な富士山だけでなく駿河湾や南アルプスも望むことができ一年を通して四季折々の花が楽しめ新茶シーズンには一面のもえぎ色の茶園も一望できる人気のスポットであります。加えて、この岩本山公園のすぐ南に、かねてより念願であった新々富士川橋、正式名称富士川かりがね橋が建設中であり、その開通が目前に迫っております。この橋が開通すると山梨県峡南地域につながる県道富士川身延線へのアクセスが飛躍的に向上し富士川東西地域間交流が活性化することから、岩本山周辺エリアの観光地としてのポテンシャルがより一層高まることは間違いありません。
 私は、過去にこの本議会で岩本山を核とした観光地域づくりについて再三質問し、知事から情報発信や誘客、富士市への支援に取り組むとの答弁があったところであります。また昨年十二月には地元選出の国会議員や県議会、市議会議員等の有志で結成された岩本山を観光拠点として活用する会が、岩本山周辺エリアにおいて土地利用上の様々な規制の緩和や税制優遇策等を内容とする富士市版・観光推進特区を設定し民間事業者の進出を促進することにより観光による地域の活性化を強力に推進することを富士市長に提言いたしました。地元有志の活動が活発化しており、国内外の観光需要の回復や富士川かりがね橋の開通なども追い風となる今、この絶景の地である岩本山に富士山を眺望できる仮称岩本山富士山夢テラスを整備するなど観光拠点としてさらに発展させる絶好の機会であります。
 このように地元の期待が膨らむ一方、岩本山の観光拠点としての活用に向けた動きは依然として具体化しておりません。岩本山を観光拠点とした地域の活性化は富士市が主体となって行うことであることは承知をしておりますが、間近に見る富士山やそれを取り囲む自然のすばらしさを世界中の人々に知ってもらうことは本県の観光にとっても重要であることを踏まえ、その実現に向けては土地利用に関する助言も含め県に支援を頂きたいと思います。
 そこで、世界文化遺産富士山を眺望する絶景の地、岩本山を観光拠点として活用することについて、県の考え方を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行後の医療提供体制について伺います。
 新型コロナウイルス感染症は、令和五年五月八日に感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ五類感染症に移行しました。この五類感染症への移行により新型コロナウイルス感染症の医療提供体制は、これまでの行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から幅広い医療機関による通常の対応へと段階的に移行していくこととされております。
 本県の五類移行後の医療提供体制のうち、入院患者については、新型コロナウイルス感染症が重症化し入院が必要となる患者の速やかな入院受入れのため新型コロナ患者用の病床を一定数確保しているとのことであります。一方で、感染者の多数を占める、新型コロナの症状は軽症ではあるが基礎疾患などで入院が必要となる患者については、確保病床の有無にかかわらず原則として全ての病院で受け入れる、オール静岡での入院患者受入れ体制が整備できていると伺っております。また外来患者については、五類移行前から発熱など新型コロナウイルス感染症を疑う症状のある患者に対応していた医療機関に加え、より幅広い医療機関で対応していくとのことです。
 このように本県では幅広い医療機関による通常の対応へと移行が進んできていますが、その一方で課題もあります。五類移行前は全医療機関から毎日、感染者数の報告を受け感染動向を把握していましたが、移行後は県内百三十九の定点医療機関から週一回の報告となっています。報道等で取り上げられる頻度が減ったこともあり、実際にどの程度新型コロナの感染者が生じているのか日々詳細に知りたいという県民からは分かりにくくなっているとの声もあります。
 また、幅広い医療機関で対応するとはいうものの、医療機関の中には発熱患者等の動線が分けられないなどの理由により高齢者等の重症化リスクのある患者を診療しながら発熱患者等に対応することは困難な医療機関もあると伺っています。加えて五類感染症に移行したとはいえウイルスの感染力自体が変わったわけではないため今冬も一定の感染拡大が懸念されます。
 そこで、こうした課題に対してどのように取り組むのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、高齢者が活躍できる場としてのシニアクラブの活性化について伺います。
 少子高齢化が進む中、本県の令和五年四月一日の六十五歳以上人口は百十万二千九十六人と過去最高を更新し、六十五歳以上の割合を示す高齢化率が三〇・四%、七十五歳以上の割合を示す後期高齢化率も一六・五%と、いずれも過去最高を更新しています。令和七年には団塊の世代が七十五歳以上となり、今後高齢化がますます進んでいきます。
 このような中、支える側、支えられる側といった一方通行の関係性ではなく地域のあらゆる住民が互いに支え合いながら自分らしく活躍できる地域づくりが求められています。人生百年時代と言われる中、高齢であっても支えられるばかりではなく支える側として社会で活躍することが期待されています。
 さて、地域の高齢者活動グループである老人クラブ、愛称はシニアクラブと言いますが、気の合う仲間が集まりお互いに助け合い励まし合うとともに、健康づくりやボランティア活動などの地域を豊かにする様々な活動を行っています。私の地元の富士市では、富士市悠容クラブ連合会というシニアクラブ連合会があります。同連合会では、高齢者の趣味や文化活動にとどまらず寝たきりや病弱な方を訪問したりお便りなどにより励まし同世代同士で互いに支え合う友愛活動や花いっぱい運動や公園などの清掃といった奉仕活動のほか、シニア世代の経験や知識を生かし児童の見守りや教育現場における社会教育講座への参加など子育て支援や次世代教育にも取り組んでいます。
 一方で、シニアクラブの会員数の減少が課題となっています。県内のシニアクラブの会員数は、平成元年度の約二十四万人をピークに年々減少しており、令和五年度には約七万二千人となっています。この実態を県の行政として気づかなかったのかとも思いますが、会員減少の最大要因は会長や役員の成り手がなくシニアクラブを大量に退会していくことが最大の問題ではないかと考えます。今後さらなる高齢化が進み互いに支え合う関係性の構築が求められる中、シニアクラブ任せにするのではなく市町の福祉行政や各地区のまちづくり協議会等と積極的に連携し行政としてもっと真剣に組織的、戦略的にシニアクラブの活動に関与する必要があるのではないでしょうか。
 シニアクラブは、地域づくりの一翼を担う団体としてこれからの高齢社会に重要な存在であります。先ほどお話しした富士市の例は、会員が仲間と共に楽しみを共有し支え合いながら様々な活動で地域に貢献しており、まさに望ましいシニアクラブの姿を体現しています。
 県は、シニアクラブが高齢者が活躍できる場として活性化するため、これまでどのように取り組んできたのか、また今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、高年齢者の雇用促進について伺います。
 生産年齢人口の減少で深刻な人手不足が続く中、業種に限らず、求人を出しても若い人が集まらないといった声が聞かれるようになりました。静岡経済研究所が今年四月に県内企業を対象に実施した人材の採用と定着に関するアンケート調査によりますと実際に約四割の企業が若年層について応募自体そのものがない状況となっていると回答しています。
 人手不足が深刻な状況にある中、先日の新聞報道では慢性的な人手不足となっている建設業で高年齢者の活用を重視した雇用戦略に力を入れている静岡市内の企業が紹介されていました。きついイメージがある建設業界ですが勤務日数や時間を柔軟に設定したり若手と異なる仕事を切り出し高齢でも体力的に対応できるように配慮するなど年齢の壁を取り払う工夫を重ねるとともに、採用に当たっては求職する方に直接会って人となりを見極め採用後も高年齢者と若者がお互い気持ちよく働けているか日々確認し人材の定着にも気を配っているということでした。
 また、新型コロナウイルス感染症が五類に移行された後は人手不足の代表業種とされる建設業のほかにも、コロナ禍で落ち込んだ観光需要が回復に向かう中での宿泊・飲食サービス業界や半導体不足等による生産調整を行っていた製造業においても経済情勢の回復とともに生産体制がコロナ禍前に戻ったことから人手不足は深刻な状況となっており、こうした業界でも高年齢人材の活用が期待されております。
 こうした中、国は、年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現を目指し高年齢者等の雇用の安定等に関する法律により企業に定年制の廃止、定年の引上げ、雇用確保措置として継続雇用制度の導入のいずれかを六十五歳まで講じるよう義務づけております。さらに令和三年四月一日からは、こうした雇用による措置を七十歳までを対象とすることを努力義務としております。静岡労働局が公表した令和四年高年齢者雇用状況等報告によれば、回答のあった県内企業の九九・八%にあたる六千九百五十五社が六十五歳までの雇用確保措置を実施済みであり、七十歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は前年から一・二ポイント増加した二八・八%の二千七社でした。今後も増加が見込まれ国においても高年齢者の雇用の確保に取り組んでいます。
 人生百年時代と言われる中、まだまだ働ける、働きたいという経験豊富な高年齢者が数多くいると思われます。こうした働く意欲が高い高年齢者を人手不足に悩む企業の貴重な戦力として活用していくことが重要であります。
 県は、企業の人手不足対策として期待される高年齢者の雇用促進にどのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 本議会のトリを飾る植田議員、十周年を迎えた富士山世界遺産登録、触れていただき、また岩本山に関わる有益な御提言を頂きましてありがとうございました。
 私のほうからは、富士山に関わる二つの御質問に対してお答えいたします。
 まず、世界文化遺産富士山の後世への継承に向けた取組についてであります。
 平成二十五年に長い道のりを経て富士山は世界文化遺産に登録されました。それはゴールではなく富士山を言い伝え、また語り継いでいくスタートでもありました。富士山世界遺産センターの設置や山梨県と連携して来訪者管理戦略の策定などに取り組みました結果、ユネスコ世界遺産委員会から高い評価を得るなどこの十年間で富士山の世界文化遺産としての地位は確たるものになりました。
 登録から十年の節目となる本年の六月二十二日には東京で記念式典を、七月には富士市で富士山世界遺産センター主催の国際シンポジウムを開催いたしました。国内外の専門家からは富士山の神聖さ、美しさを守るために来訪者管理が重要であること、信仰の対象と芸術の源泉という普遍的価値を次世代に伝える必要があることなど未来に向けた貴重な御提言を頂きまして後世継承に向けた取組は新たなステージを迎えたものと実感したところであります。
 来訪者管理の取組につきましては、コロナ禍等を契機に山小屋など現地の受入れ環境や登山者の意識が大きく変化しており、富士山世界文化遺産協議会において望ましい富士登山の在り方の実現を目的とした管理計画を令和七年に改定いたします。信仰の対象である富士山の神聖さを守るため将来に向けた来訪者管理の在り方などについて関係者との議論を深めてまいります。また構成資産、二十五ございますが、これら構成資産が信仰と芸術でつながる一つの文化的景観として、その普遍的価値を次世代に伝えていくことも私たちの重要な使命であります。
 このため、富士山世界遺産センターを拠点に学術研究や教育普及活動をさらに深めるとともに、SNSを活用し研究者や専門家のメッセージを伝えていくなど発信力を高めてまいります。あわせて多くの皆様が実際に構成資産を訪れ、その歴史的意義や文化的価値を体感していただけるよう地元関係者と連携して山麓地域の周遊促進等に取り組んでまいります。
 世界文化遺産登録十周年は、古来から霊峰として畏怖され、畏敬され、信仰の対象また芸術の源泉として世界に認められた富士山の顕著な普遍的価値を改めて我々に認識させてくれました。今後とも未来を見据え富士山の価値を後世へ着実に継承してまいります。
 次に、富士山登山者のごみ対策についてであります。
 富士山の豊かな自然環境や美しい景観、歴史、文化を守り、その恵みを後世に引き継ぐことは私たちの責務とも言えます。静岡・山梨両県は、平成十年に富士山の環境保全の行動規範である富士山憲章を制定し、環境負荷の軽減、環境保全意識の高揚、生物多様性の確保を三本の柱として富士山の環境保全対策に取り組んでおります。
 県では、これまでも環境保全意識の高揚に向け登山者のマナー向上を図るため日本語を含む六か国語によるマナーガイドブックの作成、配布に加え、ごみの持ち帰りを啓発する動画のSNSでの配信、シャトルバスでの動画放映など様々な対策を実施してきております。また多くの外国人が通う学校、事業所でもポスターの掲示などをしていただき、日本人、外国人を問わず事前の注意喚起をしてまいりました。
 また、ごみの削減を図るため登山道入り口でのごみ袋の配付などによるごみを持ち帰る運動のほかボランティアとの協働による清掃活動に取り組んでまいりました。具体的には地元の五市町と企業、団体が協働で行う富士山一斉清掃は今年で四十三年目の開催となりました。
 こうした取組を進める中、ごみ清掃活動に携わった山小屋関係者やボランティアの方によりますと今年は軽装の外国人登山者や山小屋に宿泊せずに夜通しで頂上を目指す多くの登山者を目にしたと、いわゆる弾丸登山であります。またビニールカッパや夜露で濡れた防寒着などが山頂近くの山小屋周辺に放置されていたなど登山者のマナーがこれまでになく低かったとの印象を述べられております。
 県といたしましては、こうした地元の実情を国内外の登山者にさらに深く御理解頂くためにマナー違反の登山者の意識や行動の把握に努め山小屋関係者やボランティア、旅行会社などと連携し、これまで以上に効果的なごみ対策につなげてまいります。
 富士山の環境保全のため関係者との連携の下、富士山登山者のごみ対策に取り組み日本の象徴であり世界の宝である自然環境豊かな美しい富士山を後世に着実に引き継いでまいる覚悟であります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(中沢公彦君) 村松スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(村松毅彦君) 観光拠点としての岩本山の活用についてお答えいたします。
 岩本山は、富士山の眺望に加え富士川や駿河湾、さらには伊豆半島まで一望できる自然豊かなすばらしい場所であります。観光客のみならず写真愛好家も多く訪れ観光地としてのポテンシャルは非常に高いものがあると認識しております。
 県では、地域の歴史や文化資源と豊かな食材や食文化を組み合わせたガストロノミーツーリズムを推進しております。議員のお膝元である富士地域においては今年度、田子の浦港で水揚げされるシラスを食したり富士山の伏流水を使用して日本酒を造る蔵元を巡る旅行商品の造成に取り組んでいます。
 また、先月十四日からは県内の周遊促進を目的に県の公式観光アプリTIPSを使ったしず旅スタンプラリーがスタートいたしました。岩本山公園も県内の百八あるスポットの一つに指定されており、県内外から多くの方が訪れ、その魅力が伝わるものと大変期待しております。
 岩本山公園の整備については、これまで公園管理者である富士市に対し遊歩道や駐車場を対象に県の観光施設整備事業費補助金を活用して助成を行ってまいりました。議員から御提案のあった富士山を眺望できるテラスの整備につきましても富士市の意向を踏まえ支援してまいります。また岩本山周辺は市街化調整区域でありますことから土地利用を行うには都市計画法の開発許可が必要であり、観光資源を有効活用するための立地基準に適合するよう権限を有する富士市に対し先進事例を紹介し具体的な助言を行ってまいります。
 県といたしましては、岩本山を核とした周辺地域の魅力がさらに向上し県内外からより多くの方が訪れる観光地となるよう積極的に支援してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行後の医療提供体制についてお答えいたします。
 感染動向の把握につきましては、五類移行前と比較できるよう一週間ごとではありますが県全体の感染者数を推計し公表しております。また本県独自で感染者数の増加に応じて注意報、警報を発令するなど公表方法を工夫しており、今後も県民に分かりやすい形での周知に努めてまいります。
 次に、幅広い医療機関での対応につきましては、現在発熱患者等に対応可能な医療機関として約千二百五十機関を指定し公表しております。議員御指摘のとおり診療所の構造等により感染対策が十分でなく発熱患者等への対応が困難な医療機関もあります。このため動線分離用のパーティション等の設備整備に係る費用の助成制度を設け、より多くの医療機関で対応頂けるよう支援しているところであります。
 この冬の感染拡大への備えにつきましては、年末年始など受診可能な医療機関が少ない時期は医療の逼迫が懸念されるため市町や医療関係者と連携協力し在宅当番医や休日夜間急患センターなど発熱患者等の診療体制を確保してまいります。また九月二十日から新型コロナワクチン接種が始まっております。感染拡大した場合に重症者が増えることが想定されることから接種勧奨の対象となる方や希望する方への接種が円滑に進むよう引き続き広報に努めるとともに、市町の体制整備を支援してまいります。
 県といたしましては、五類移行後も県民の皆様に安心して暮らしていただけるよう引き続き医療提供体制の確保等に努めてまいります。
 次に、高齢者が活躍できる場としてのシニアクラブの活性化についてであります。
 県では、これまでシニアクラブの活性化のため独り暮らし高齢者への友愛訪問や他の世代とのふれあい交流などシニアクラブが行う地域を豊かにする社会活動を支援してきたほか、静岡県老人クラブ連合会との協働により広報誌の発行や文化活動等の発表会の開催など活動の周知を図ってまいりました。議員御指摘のとおり、シニアクラブは従来から健康づくりや友愛活動に取り組んでおり、介護予防や生活支援活動において支える側となり得る存在と認識しております。
 シニアクラブ役員との意見交換会では、役員を引き受ける者がいない、会員が減少しているという声がある一方、見守りやボランティア活動などの地域づくりに積極的に取り組みたいなどクラブの活動を通じて地域のために貢献したいとの意見が寄せられたところであります。
 シニアクラブの活性化を図るためには役員の負担の軽減や地域住民及び自治会等に対して活動内容を積極的に情報発信していくことが重要であります。このため今後市町に対し自治会とシニアクラブとの連携による組織運営の円滑化に向けた意見交換会の実施を促すとともに、シニアクラブが地域住民の生活課題を検討する場に参画しシニア世代の経験や知識を生かして生活支援の担い手として活動していただけるよう市町や市町社会福祉協議会に働きかけてまいります。
 県といたしましては、市町との一層の連携を図りながら高齢者が活躍できる場としてのシニアクラブの活性化を支援してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 増田経済産業部長。
○経済産業部長(増田始己君) 高年齢者の雇用促進についてお答えいたします。
 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が続く中、企業が成長力を維持していくためには豊かな経験と知識を持つ高年齢者に生き生きと活躍していただける職場環境づくりが重要であります。
 このため県では、県内三か所のジョブステーションに高齢者雇用推進コーディネーターを配置し、企業訪問により高年齢者向けの求人開拓を行う際に効果的な仕事の切り出し方法等について助言しております。加えて高年齢者に安全に働いていただけるよう作業内容の見直しや手すりの設置、段差の解消等について助言するなど労働災害の防止に向けた職場改善意識の向上を図っております。
 また、高年齢者に対しましては、御自身の体調等に合わせた短時間勤務や経験を生かして働くことのできる職場への就職など幅広いニーズに寄り添いながら、シニア向け企業面接会を市町単位で開催し企業とのマッチング機会の提供に努めております。
 県といたしましては、人生百年時代における高年齢者の新しいチャレンジを支援するとともに、県内企業における活躍を促進するため今後とも高年齢者の働きやすい職場環境整備に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) これで植田徹君の質問は終わりました。(拍手)

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