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本会議会議録

答弁文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年2月静岡県議会定例会

櫻町 宏毅 議員(ふじのくに県民クラブ)の 一般質問 に対する答弁

(質問日:03/01/2016番目)
答 弁 者知事


○知事(川勝平太君) 子供たちの生きる力の醸成についてのうち、私の新しい実学に対する考え方についてお答えをいたします。
 現在の国づくりの課題は、地方創生であります。静岡県は富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを進めておりますが真の地方創生、また国づくりに必要な学問、教育はいわゆる五教科、小学校でいえば算数、国語、理科、社会。それに中学に入りますと、これからは英語も小学校から入ってくるということでございますが中学では必須の英数理国社と。この五教科というものが重視されているというふうに受けとめておりまして、いわばそれ以外の科目、図画工作、音楽、体育、保健あるいは技術といったようなものもこうした主要五科目と同じくらいに重要であるというそういう観点に立っているわけでございます。そうした科目は図画にしてもあるいは美術にしても体育、スポーツにいたしましても全て体、身体で覚えるという面がございます。そうした意味で座学に対して身体的な実学という言葉を使っているわけであります。
 ただ、新しい実学と言っておりますのは実学という言葉を最初に使ったのは福沢諭吉さんだと思います。「学問のすゝめ」というのを明治五年から書き始められましたがそこでそのときまでの主要な学問は四書五経を中心とした儒学であり古事記、日本書紀、万葉集を主なテキストとした国学だったわけでございますが、このような勉強をしていても新しい日本をつくることはできないと。欧米に伍してやっていけるだけの一等国にはなれないと。欧米が持っている知的体系というものが新しい国づくりという現実に役に立つ学問、実学だと。それが設計図を描いたりあるいは工場をつくったりするのに必要な数学とか工学とかあるいは物理学、そしてお医者様の医学、法律の民法を中心にした法学と。理財学と言われた経済学。こうした後に主要五科目に収れんしていくようなものが実は日本のために必要であったということで、これが実学だと彼は言ったわけですね。一国の独立は一身の独立にありと。一身の独立はそれ学問にありと。その学問の中身はこの英数国理社のような今欧米にとって最も重要な知的体系をつくり上げているものを日本人がまずマスターすることだと。私はこれは非西洋圏で唯一日本人が全部マスターしたと。大体三、四十年でほぼマスターをしてお雇い外国人をもう解雇しておりますから、入れ込んだというふうに思います。
 そうした中で、今やこうした当時においては実学であったものが今は偏差値であるとか点数を競うとか受験のテクニックだとかいうことになっております。同時に日本は西洋の文明をほぼ入れ切って東京時代を終えようとしているという中で我々は地方創生。新しい、日本の各地が東京をモデルとするのではなくてそれぞれの地域が持っている潜在力といいますか場の力を発揮する、そういう時代に今我々は面していると。そのときに私どもは今必要な学ぶべきものは何かということでございます。これを私は新しい実学と。それは大地に根差した学問でなくちゃならないし身体的にしっかり身につける学問でなければならないということですね。そうしますとものづくり、あるいは農業、あるいは商業、あるいは水産業、林業。さらにまた最近では芸術やスポーツというものは世界共通の人類の遺産としてユネスコを初めオリンピックやさまざまな組織がこれを奨励しておりますが、こうしたものが新しい実学であるというふうに思うわけでございます。まさに富士山に登る道が幾つもありますように一人前になる道は幾つもあるということでございまして、偏差値教育から我々はいわば卒業しようということでございます。
 そうした中で一人前になると、立派な人間になるというのを不徳の致すところということを言う必要のないような人間、言いかえると徳のある人間、有徳の人というものをつくっていこうということでございまして静岡県では基本目標をふじのくに「有徳の人」づくり大綱というところに定めまして、有徳の人づくりに向けた重点取り組みとしてこうした新しい実学を奨励しているということでございます。
 ちなみに、一例を挙げれば普通の高校に行かないで商業高校とか農業高校とかに行かれるという方がいます。あるいはバイオリンだとかピアノだとか行かれる人もいます。それからちょっと芸能的な感じのある宝塚音楽学校に行かれる人もいます。これは中卒から行くわけですね。だけどこういう宝塚音楽学校は自動車学校と同じような各種学校になっているんですね。しかしそこでは清く正しく美しくということで国語や演劇的な才能はもとよりダンスしたりそれも日本舞踊からモダンダンス、クラシックバレエ全てなくちゃいけないんですがこうしたものはですね、おとしめられていますね、日本における知的体系のもので。ですから私は今日本のいわば子供たちに残すべき財産が何かということを大人一人一人が考えるときが来ていると。そしてそれぞれの、何ていいますか、得意とするものは全て子供たちに残すに値すると。
 例えば、小学校では学級会というのがあると思います。中学校になると生徒会。高校にもそれがございます。そしてまた大学になりますと学生組合みたいなものがございますけれどもこうしたものもいわば政治活動についての訓練でありますが、こうしたものは皆様方のような先生方が本来日本の政治あるいは政治というのは本来どういうものであるかということを教える意味ではですね、先生方は先生です。農業経営者や漁業経営者や林家なども同じように先生であるというふうに思っておりまして一人一人が子供たちに小さな場面では自分の子供あるいは近所の子供たち、大きな場面ではこうした世間に公人として対峙するといったときに何がしかを残すということを通して私は学問を組み直す必要があるというふうに思っているわけです。
 それといいますのも、長くなって大変失礼ですが新しい国づくりにはどういうわけか日本はいつでも学問が伴っているわけですね。初めて体系的な学問が来たのは仏教学ですがそれを仏法僧、これを三法重んじよと聖徳太子は言われて、そして日本の各家庭に仏壇が備えられるようになりました。これは天武天皇が七世紀の末に全ての家に仏壇を備えよということです。それくらいですね、仏教というものが実は鎮護国家、国を治める上で必要だという学問としていったわけですね。
 そしてまた、武士の時代になりますとこれは自力本願でございますからしたがって禅というものが学ばれました。そしてそれが結果的に大きな戦乱を招きましたのでそしてその学問から国の秩序を重んずる学問として朱子学を家康が導入されて、それによって干戈を交えることのないような社会がつくり上げられたわけです。
 ですから、それぞれの初めに新しい学問というものが据えられています。明治の初めにもそうでございました。ですから日本人は我々は世界に通用するものとして一万円札を持っていますけれどあそこに描かれている図柄は福沢諭吉ですね。学問立国をしているというそういう顔を世界に通用させているということです。今私たちが必要なのは福沢が主張した学問ではありません、もはや。もうそれは形骸化していると言ってもいいくらいです。あるいは世界の水準に達しているのでそれ自体に新鮮なものがないとすら言えると。だから我々にとって新しい新鮮なものはこの大地から学ぶということで広くはふじのくに学と。あるいは地域学というふうに言ってもいいと存じますけれどもそうしたものを興さなくちゃならないと。ふじのくに地球環境史ミュージアムというのもそういう脈絡でお捉えいただきますと非常に重要なものになります。そしてまた県議のお近くにございます富士宮にできる世界遺産センターというのもこれも富士山を通した自然を学ぶということで、富士山を抜きにしてこの学問はできませんのでやはり大地に根差した学問をこれからやっていかなくちゃいけないと。
 根差しているのは我々人間ですから、大人ですからそれが子供たちに何を教えられるかということを今改めて考え直す時期に来ていると。つまり新しい学問教育の体系をつくるときに来ているのだという認識を持っております。以上でございます。

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静岡県議会事務局議事課

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